JP7449201B2 - 多層管 - Google Patents

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Description

本発明は、多層管に関する。
建築物の壁及び床等の区画体には、貫通孔を設けて区画貫通部を形成し、配管等を貫通させることがある。また、建築物には、通常、火災時に炎や煙が急激に広がることを防ぐために、防火区画が設置されている。防火区画においては、原則として、所定の耐火性能を有する管以外は、区画貫通部を貫通させて配管を設置することはできない。
区画貫通部を貫通させる配管として、熱膨張性を有する樹脂管(耐火管)が用いられることがある。熱膨張性を有する樹脂管を用いることで、火災時の熱により樹脂管が膨張して樹脂管と区画貫通部の壁面との間が閉塞し、火の燃え移りを防止することができる。
下記の特許文献1には、ポリ塩化ビニル系樹脂と、熱膨張性黒鉛とを含み、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛の含有量が1~10重量部である建築用配管材が開示されている。上記建築用配管材は、単層の樹脂管である。
下記の特許文献2には、耐火膨張層と、上記耐火膨張層の外側又は内側の少なくとも一方を被覆する被覆層とを備える複層耐火配管材が開示されている。この複層耐火配管材では、上記耐火膨張層が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、熱膨張性黒鉛1~15重量部とを含み、上記被覆層が、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。
特開2008-180068号公報 特開2008-180367号公報
特許文献1に記載のような熱膨張性黒鉛を含む単層の樹脂管では、熱膨張後の樹脂管の強度が低いことがある。熱膨張後の樹脂管の強度が低い場合には、燃焼物のドリップが生じやすい。
また、特許文献2に記載のような熱膨張性黒鉛を含む多層の樹脂管であっても、熱膨張性黒鉛を含む層が過度に膨張し、燃焼時の熱変形によって、燃焼物のドリップが生じることがある。
また、防火区画に用いられる樹脂管として、大きな径の樹脂管が用いられることがある。しかしながら、熱膨張性黒鉛を含む従来の樹脂管では、径が大きくなるにしたがって樹脂管の重量も増加するため、火災時に樹脂管の燃焼物がより一層ドリップしやすい。
このように、熱膨張性黒鉛を含む従来の樹脂管では、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生を抑えることは困難である。ドリップが発生すると、樹脂管と区画貫通部の壁面との間を燃焼物により効果的に閉塞できなくなるため、酸素が供給され続け、延焼の原因となる。
本発明の目的は、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生を抑えることができ、従って、耐火性を高めることができる多層管を提供することである。
本発明の広い局面によれば、内層と、前記内層の外側に配置された外層と、前記内層と前記外層との間に配置された中間層とを備え、前記内層及び前記外層がそれぞれ、塩化ビニル系樹脂と、無機充填剤とを含み、前記中間層が、塩化ビニル系樹脂と、ハイドロタルサイトとを含み、前記内層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記内層に含まれる前記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下であり、前記外層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記外層に含まれる前記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下であり、前記中間層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記中間層に含まれる前記ハイドロタルサイトの含有量が1重量部以上20重量部以下である、多層管が提供される。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記内層及び前記外層に含まれる前記無機充填剤がそれぞれ、SiOを30重量%以上80重量%以下、CaOを10重量%以上60重量%以下、Alを0.1重量%以上10重量%以下で含む。
本発明に係る多層管は、内層と、上記内層の外側に配置された外層と、上記内層と上記外層との間に配置された中間層とを備え、上記内層及び上記外層がそれぞれ、塩化ビニル系樹脂と、無機充填剤とを含み、上記中間層が、塩化ビニル系樹脂と、ハイドロタルサイトとを含む。本発明に係る多層管では、上記内層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記内層に含まれる上記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下であり、上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記外層に含まれる上記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下である。本発明に係る多層管では、上記中間層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記中間層に含まれる上記ハイドロタルサイトの含有量が1重量部以上20重量部以下である。本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生を抑えることができ、従って、耐火性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る多層管を製造するために用いられる製造装置を模式的に示す平面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る多層管を製造するために用いられる製造装置を模式的に示す正面図である。 図4は、製造装置における金型部分及び管外面成形用チューブ部分を拡大して示す断面図である。 図5は、耐火試験に用いられる耐火試験炉の概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る多層管は、内層と、上記内層の外側に配置された外層と、上記内層と上記外層との間に配置された中間層とを備え、上記内層及び上記外層がそれぞれ、塩化ビニル系樹脂と、無機充填剤とを含み、上記中間層が、塩化ビニル系樹脂と、ハイドロタルサイトとを含む。本発明に係る多層管では、上記内層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記内層に含まれる上記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下であり、上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記外層に含まれる上記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下である。本発明に係る多層管では、上記中間層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記中間層に含まれる上記ハイドロタルサイトの含有量が1重量部以上20重量部以下である。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生を抑えることができ、従って、耐火性を高めることができる。
本発明に係る多層管では、ハイドロタルサイトが用いられているので、熱膨張性黒鉛を含む従来の樹脂管と比べて、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生を抑えることができ、従って、耐火性を高めることができる。
上記多層管は、中心から外側に向かって、内層と中間層と外層とをこの順で備える。上記多層管は、内層と中間層と外層との3層構造を有していてもよく、4層以上の構造を有していてもよい。上記内層は、最内層であってもよく、最内層でなくてもよい。上記内層の内側には、他の層が配置されていてもよい。ただし、上記内層は、最内層であることが好ましい。上記外層は、最外層であってもよく、最外層でなくてもよい。上記外層の外側には、他の層が配置されていてもよい。ただし、上記外層は、最外層であることが好ましい。上記内層と上記中間層との間、又は、上記外層と上記中間層との間には、他の層が配置されていてもよい。ただし、上記内層と上記中間層との間、及び、上記外層と上記中間層との間には、他の層が配置されていないことが好ましい。上記内層と上記中間層とは直接積層されていることが好ましく、上記外層と上記中間層とは直接積層されていることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。図1には、多層管の径方向に沿う断面図が示されている。
図1に示す多層管10は、内層1と、中間層2と、外層3とを備える。多層管10は、3層構造を有する。内層1の外側に中間層2が配置されている。中間層2の外側に外層3が配置されている。中間層2は、内層1の外表面上に配置されており、積層されている。外層3は、中間層2の外表面上に配置されており、積層されている。内層1は、最内層であり、表面層である。外層3は、最外層であり、表面層である。内層1と、中間層2と、外層3とはそれぞれ管状である。
内層1は、塩化ビニル系樹脂と無機充填剤とを含む。中間層2は、塩化ビニル系樹脂とハイドロタルサイトとを含む。外層3は、塩化ビニル系樹脂と無機充填剤とを含む。
(塩化ビニル系樹脂)
上記内層は、塩化ビニル系樹脂を含む。上記中間層は、塩化ビニル系樹脂を含む。上記外層は、塩化ビニル系樹脂を含む。上記内層に含まれる塩化ビニル系樹脂と、上記中間層に含まれる塩化ビニル系樹脂と、上記外層に含まれる塩化ビニル系樹脂とはそれぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂として、従来公知の塩化ビニル系樹脂を使用可能である。上記塩化ビニル系樹脂としては、(1)塩化ビニルモノマーの単独重合体、(2)塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、及び(3)塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。上記塩化ビニル系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等の炭素数2以上16以下のα-オレフィン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の炭素数2以上16以下のビニルエステル化合物;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等の炭素数2以上16以下のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1以上16以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート化合物;フェニル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸等のジカルボン酸化合物;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物;及びN-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であっても、グラフト共重合体であってもよい。
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のα-オレフィン化合物とビニルエステル化合物との共重合体;エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体等のα-オレフィン化合物とビニルエステル化合物と一酸化炭素との共重合体;エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のα-オレフィン化合物とアルキル(メタ)アクリレート化合物との共重合体;及びエチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体等のα-オレフィン化合物とアルキル(メタ)アクリレート化合物と一酸化炭素との共重合体;エチレン-プロピレン共重合体等の異なる2種以上のα-オレフィン化合物の共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等の不飽和ニトリル化合物とジエン化合物との共重合体;ポリウレタン;塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記内層及び上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。上記中間層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂を作製する際の重合方法は、特に限定されず、従来公知の重合方法を用いることができる。上記重合方法としては、例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
上記内層及び上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、好ましくは1600以下、より好ましくは1400以下である。上記中間層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、好ましくは1600以下、より好ましくは1400以下である。上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度が上記下限以上であると、熱安定性及び疲労特性等の長期性能が損なわれ難い。上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は以下のようにして測定される。上記塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、濾過により不溶成分を除去する。濾液中のTHFを乾燥除去して、測定サンプルを得る。JIS K6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した測定サンプルの平均重合度を、塩化ビニル系樹脂の平均重合度とする。
上記塩化ビニル系樹脂は、塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。
上記内層100重量%中、上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記外層100重量%中、上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記中間層100重量%中、上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
(無機充填剤)
上記内層は、無機充填剤を含む。上記外層は、無機充填剤を含む。上記内層に含まれる無機充填剤と、上記外層に含まれる無機充填剤とはそれぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記無機充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
無機充填剤としては、タルク、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、ウォラストナイト、ゼオライト、シリカ(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、及び金属繊維等が挙げられる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点、並びに、耐衝撃性及び引張強度を高める観点からは、上記内層及び上記外層に含まれる上記無機充填剤はそれぞれ、SiOと、CaOと、Alとを含むことが好ましい。
上記内層に含まれる上記無機充填剤100重量%中、SiOの含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記SiOの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記SiOの含有量が上記上限以下であると、引張強度を高めることができる。
上記外層に含まれる上記無機充填剤100重量%中、SiOの含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記SiOの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記SiOの含有量が上記上限以下であると、引張強度を高めることができる。
上記内層に含まれる上記無機充填剤100重量%中、CaOの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。上記CaOの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記CaOの含有量が上記上限以下であると、耐衝撃性を高めることができる。
上記外層に含まれる上記無機充填剤100重量%中、CaOの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。上記CaOの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記CaOの含有量が上記上限以下であると、耐衝撃性を高めることができる。
上記内層に含まれる上記無機充填剤100重量%中、Alの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記Alの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記Alの含有量が上記上限以下であると、引張強度を高めることができる。
上記外層に含まれる上記無機充填剤100重量%中、Alの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記Alの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記Alの含有量が上記上限以下であると、引張強度を高めることができる。
上記内層及び上記外層に含まれる上記無機充填剤はそれぞれ、SiOを30重量%以上80重量%以下、CaOを10重量%以上60重量%以下、Alを0.1重量%以上10重量%以下で含むことが特に好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができ、また、耐衝撃性及び引張強度をより一層高めることができる。
上記無機充填剤の平均粒径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。上記平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記無機充填剤の平均粒径は、レーザー光回折法又はSEM画像の解析により測定可能である。上記無機充填剤の平均粒径は、数平均粒径であることが好ましい。
上記内層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記内層に含まれる上記無機充填剤の含有量は15重量部以上40重量部以下である。上記無機充填剤の含有量が15重量部未満であると、ドリップが生じやすいことがある。上記無機充填剤の含有量が40重量部を超えると、多層管を良好に製造すること自体が困難である。
上記内層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記内層に含まれる上記無機充填剤の含有量は、好ましくは20重量部以上、好ましくは35重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは25重量部以下である。上記無機充填剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生をより一層効果的に抑えることができる。
上記内層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記内層に含まれるSiOと、CaOと、Alとの含有量の合計は、好ましくは20重量部以上、好ましくは35重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは25重量部以下である。上記含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生をより一層効果的に抑えることができる。
上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記外層に含まれる上記無機充填剤の含有量は15重量部以上40重量部以下である。上記無機充填剤の含有量は15重量部未満であると、ドリップが生じやすいことがある。上記無機充填剤の含有量は40重量部を超えると、多層管を良好に製造すること自体が困難である。
上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記外層に含まれる上記無機充填剤の含有量は、好ましくは20重量部以上、好ましくは35重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは25重量部以下である。上記無機充填剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生をより一層効果的に抑えることができる。
上記外層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記外層に含まれるSiOと、CaOと、Alとの含有量の合計は、好ましくは20重量部以上、好ましくは35重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは25重量部以下である。上記含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生をより一層効果的に抑えることができる。
(ハイドロタルサイト)
上記中間層は、ハイドロタルサイトを含む。上記ハイドロタルサイトは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ハイドロタルサイトは、マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレートの化学名で称される化合物である。ハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOなどに代表される鉱物の一種である。ハイドロタルサイトは、例えば、正に帯電した基本層[Mg(1-x)Al(OH)x+と、負に帯電した中間層[(COx/2・mHO]x-とから構成される層状の無機化合物である。2価又は3価の金属の多くが、これと同様の層状構造を形成可能である。
ハイドロタルサイトは、下記式(1)で表されるハイドロタルサイトであることが好ましい。
[M2+ (1-x)3+ (OH)x+[An- x/n・mHO]x- ・・・(1)
上記式(1)中、M2+は、2価の金属イオンを表し、M3+は、3価の金属イオンを表し、An-は、n価のアニオンを表し、Xは、0を超え0.33以下の数を表す。
上記式(1)中、M2+としては、Mg2+及びZn2+等が挙げられる。
上記式(1)中、M3+としては、Al3+及びFe3+等が挙げられる。
上記式(1)中、An-としては、CO 2-、Cl、及びNO 等が挙げられる。
ハイドロタルサイトは、分子間に有している結晶水が約180℃から脱水を開始し、その結晶水は約300℃で完全に脱離する。この状態まではハイドロタルサイトは結晶構造を保持しているが、約350℃を超えると結晶構造が崩壊し始め、水と二酸化炭素とを放出する。この際、ハイドロタルサイトは膨張し、樹脂管と区画貫通部の壁面との間が閉塞することで耐火性能を発揮する。また、ハイドロタルサイトは、塩化ビニル系樹脂の熱分解温度である約200℃~300℃よりも60℃~75℃低い温度で吸熱分解を開始するため、塩化ビニル系樹脂の熱分解をハイドロタルサイトの吸熱分解で効率的に抑制することができ、塩化ビニルが炭化した状態をより長く維持することができる。
上記ハイドロタルサイトの平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.0μm以下である。上記平均粒径が上記下限以上であると、吸熱性をより一層高めることができ、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生をより一層効果的に抑えることができる。上記平均粒径が上記上限以下であると、良好に分散した多層管を得ることができ、多層管の全体に亘って、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記ハイドロタルサイトの平均粒径は、レーザー光回折法又はSEM画像の解析により測定可能である。上記ハイドロタルサイトの平均粒径は、粒度分布において、積算値(累計)50%の粒径を意味する。上記ハイドロタルサイトの平均粒径は、数平均粒径であることが好ましい。
上記中間層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記中間層に含まれる上記ハイドロタルサイトの含有量は1重量部以上20重量部以下である。上記ハイドロタルサイトの含有量が1重量部未満であると、ドリップが生じやすいことがある。上記ハイドロタルサイトの含有量が20重量部を超えると、ハイドロタルサイトが良好に分散した多層管を製造することが困難になり、その結果、熱安定性が低下し、ドリップが生じることがある。
上記中間層に含まれる上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記中間層に含まれる上記ハイドロタルサイトの含有量は、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは18重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。上記ハイドロタルサイトの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生をより一層効果的に抑えることができる。
(内層、中間層及び外層の他の詳細)
上記内層、上記中間層及び上記外層はそれぞれ、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、有機充填剤、顔料、難燃剤及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記熱安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記熱安定化助剤としては特に限定されず、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては特に限定されず、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;アルキルメタクリレートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートとの共重合体;アルキルメタクリレートと、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物との共重合体;アルキルメタクリレートと、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物等との共重合体等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤として、重量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等を好適に使用することができる。重量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体としては、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、及び2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエン系共重合体ゴム、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン系共重合体、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン系グラフト共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン系共重合体ゴム、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン系グラフト共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体ゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)、シリコーン含有アクリル系ゴム、シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体、及びシリコーン系ゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α-メチルスチレン系樹脂、及びN-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;トリス(ミックスドモノ及びジ-ノニルフェニル)ホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤;ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。高温での分解阻害機能が低いため、上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤であることが好ましく、4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)であることがより好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、従来公知の帯電防止剤を使用することができる。上記帯電防止剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族アミン、アミドの硫酸塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類、ホルマリン縮合のナフタレンスルホン酸塩類及びこれらの混合物等が挙げられる。上記カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルピリジウム塩及びこれらの混合物等が挙げられる。上記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエステル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類及びこれらの混合物等が挙げられる。上記帯電防止剤は、非イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤との混合物であってもよい。上記両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、高級アルキルアミノ型(ベタイン型)、硫酸エステル、リン酸エステル型、スルホン酸型等の両性界面活性剤が挙げられる。上記帯電防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機充填剤としては特に限定されず、ポリアミド等が挙げられる。上記有機充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。上記顔料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記難燃剤としては、金属水酸化物、臭素系化合物、トリアジン環含有化合物、亜鉛化合物、リン系化合物、ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、イントメッセント系難燃剤、及び酸化アンチモン等が挙げられる。上記難燃剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により成形体の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。上記可塑剤としては、フタル酸エステル可塑剤、及び非フタル酸系可塑剤等が挙げられる。上記フタル酸エステル可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(DOP)等が挙げられる。上記非フタル酸系可塑剤としては、トリメリット酸系化合物、リン酸系化合物、アジピン酸系化合物、クエン酸系化合物、エーテル系化合物、ポリエステル系化合物、大豆油系化合物、シクロヘキサンジカルボキシレート系化合物、及びテレフタル酸系化合物等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(多層管の製造方法)
図2は、本発明の一実施形態に係る多層管を製造するために用いられる製造装置を模式的に示す平面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る多層管を製造するために用いられる製造装置を模式的に示す正面図である。図2,3は、多層管10を製造するための製造装置を模式的に示す図である。
製造装置20は、内外層押出機11と、中間層押出機12と、金型13と、冷却水槽15と、引取機16と、切断機17とを備える。内外層押出機11及び中間層押出機12に、金型13が接続されている。金型13に冷却水槽15が接続されている。冷却水槽15に引取機16が接続されている。引取機16に切断機17が接続されている。
内層の材料及び外層の材料をホッパーから入れ、内外層押出機11内で内層の材料及び外層の材料を溶融混練し、金型13に押し出す。
中間層の材料をホッパーから入れ、中間層押出機12内で中間層の材料を溶融混練し、金型13に押し出す。
金型13の出口から、3層構造を有する未硬化の多層管が押し出される。
冷却水槽15には、未硬化の多層管を所定寸法に成形するための管外面成形用チューブ14が取り付けられており、未硬化の多層管の外面を、管外面成形用チューブ14と接触した状態で冷却する。
図4は、製造装置における金型部分及び管外面成形用チューブ部分を拡大して示す断面図である。
図4に示すように、内外層押出機11により溶融混練された内層の材料21及び外層の材料23と、中間層押出機12により溶融混練された中間層の材料22とを、金型13に注入し、未硬化の多層管10Xを成形する。未硬化の多層管10Xは、未硬化の内層31及び未硬化の外層33と、未硬化の中間層32とを備える。
未硬化の多層管10Xを管外面成形用チューブ14内に挿入し、未硬化の多層管10Xは所定寸法に型成形されながら冷却水槽15内で冷却される。
次いで、図2,3に示すように、引取機16を用いて、冷却水槽15で冷却された多層管10を引き取り、また、切断機17を用いて、引取機16から送られてきた多層管10を所定の長さに切断する。このようにして、所定の長さを有する多層管10を得る。
金型13での加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下である。金型13での加熱時間は、好ましくは10分以上、好ましくは30分以下、より好ましくは20分以下である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
内層の材料及び外層の材料:
内容積200リットルのスーパーミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、内層の材料及び外層の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
ALC(住友金属鉱山シポレックス社製「シポレックス外壁パネルWH」、組成:SiO:50重量%、CaO:30重量%、Al:3.0重量%、その他の無機充填剤:17重量%)15重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
中間層の材料:
内容積200リットルのヘンシェルミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、中間層の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
ハイドロタルサイト(協和化学工業社製「アルカマイザー1」)20重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
多層管の作製:
得られた内層の材料、外層の材料及び中間層の材料を用いて、押出成形機によって共押出成形して、多層管を作製した。多層管の成形時の樹脂温度は190℃とした。また、多層管のサイズは、JIS K6741に準拠して、長さ1200mm、外径216mm、厚さ10.3mm、呼び径200Aとした。また、多層管の中間層の厚みは8.24mmとし、内層の厚みは1.03mmとし、外層の厚みは1.03mmとした。
(実施例2~7及び比較例1~6)
内層及び外層に含まれる無機充填剤の配合量、及び、中間層に含まれるハイドロタルサイトの配合量を表1,3のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管を得た。なお、比較例4では、成形することができず、多層管を得ることができなかった。
(比較例7)
内層の材料及び外層の材料:
内容積200リットルのスーパーミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、内層の材料及び外層の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
中間層の材料:
内容積200リットルのヘンシェルミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、中間層の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
ハイドロタルサイト(協和化学工業社製「アルカマイザー1」)20重量部
熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP-EG」、1.3倍膨張温度:210℃)10重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
多層管の作製:
得られた内層の材料、外層の材料及び中間層の材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多層管を得た。
(実施例8)
内層の材料及び外層の材料:
内容積200リットルのスーパーミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、内層の材料及び外層の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
下記のSiOとCaOとAlとの混合物である無機充填剤25重量部
SiO(富士フィルム和光純薬社製、製品コード199-00625):30重量%
CaO(富士フィルム和光純薬社製、製品コード036-19655):60重量%
Al(富士フィルム和光純薬社製、製品コード012-01965):10重量%
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
中間層の材料:
内容積200リットルのヘンシェルミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、中間層の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
ハイドロタルサイト(協和化学工業社製「アルカマイザー1」)10重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
多層管の作製:
得られた内層の材料、外層の材料及び中間層の材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多層管を得た。
(実施例9~16)
内層及び外層に含まれる無機充填剤の組成を表2のように変更したこと以外は、実施例8と同様にして多層管を得た。
(比較例8)
単層管の材料:
内容積200リットルのスーパーミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、単層管の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
ALC(住友金属鉱山シポレックス社製「シポレックス外壁パネルWH」、組成:SiO:50重量%、CaO:30重量%、Al:3.0重量%、その他の無機充填剤:17重量%)25重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
単層管の作製:
得られた単層管の材料を用いて、押出成形機によって押出成形して、単層管を作製した。単層管の成形時の樹脂温度は190℃とした。また、単層管のサイズは、JIS K6741に準拠して、長さ1200mm、外径216mm、厚さ10.3mm、呼び径200Aとした。
(比較例9)
単層管の材料:
内容積200リットルのスーパーミキサー(カワタ社製)で、下記の成分を撹拌混合し、単層管の材料を得た。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製「TH1000」)100重量部
ALC(住友金属鉱山シポレックス社製「シポレックス外壁パネルWH」、組成:SiO:50重量%、CaO:30重量%、Al:3.0重量%、その他の無機充填剤:17重量%)25重量部
ハイドロタルサイト(協和化学工業社製「アルカマイザー1」)10重量部
鉛系安定剤(堺化学工業社製「SL-1000」)2重量部
ポリエチレン系滑剤(三井化学社製「ハイワックス4202E」)0.5重量部
単層管の作製:
得られた単層管の材料を用いたこと以外は、比較例8と同様にして、単層管を得た。
(比較例10)
単層管の材料を表4に示すように変更したこと以外は、比較例8と同様にして、単層管を得た。
(評価)
(1)耐火試験
図5は、耐火試験に用いられる耐火試験炉の概略図である。
耐火試験炉100は、上部以外は密閉された加熱室110と、加熱室110の上部に配置された床材120と、加熱室110の側壁に設置されたバーナー130と、加熱室110内の温度を測定する熱電対140とを備える。なお、床材120として、区画貫通部120aが形成された厚さ100mmのPC(プレキャストコンクリート)パネルを用いた。
区画貫通部120aの内側に、得られた樹脂管P(多層管又は単層管)を貫通させた状態で配置した。次いで、区画貫通部120aと樹脂管Pとの間にモルタルを充填した。樹脂管Pは、加熱室110の内側に300mm露出させ、かつ加熱室110の外側に800mm露出させるように配置した。また、熱電対140は、樹脂管Pの下端近傍の温度を測定できる位置に配置した。
ISO834-1に準拠して、耐火試験(平成12年(2000年)6月1日に施行された改正建築基準法の耐火性能試験の評価方法)を実施し、加熱開始後、樹脂管Pと区画貫通部120aとの隙間から煙が出るまでの時間(発煙時間)を測定した。煙の発生の有無は、目視で判断した。
[耐火試験の判定基準]
○○:発煙時間が130分以上
○:発煙時間が120分以上130分未満
×:発煙時間が120分未満
(2)引張試験
得られた多層管又は単層管から、任意の位置でダンベル試験片を切り出した。得られたダンベル試験片について、JIS K6815に準拠して23℃で引張試験を行った。なお、樹脂管としての実用的な性能を満たしているか否かを以下の基準で判定した。
[引張試験の判定基準]
○○:23℃での引張強度が47MPa以上
○:23℃での引張強度が44MPa以上47MPa未満
△:23℃での引張強度が41MPa以上44MPa未満
×:23℃での引張強度が41MPa未満
(3)耐衝撃性試験
得られた多層管又は単層管から、任意の位置で長さ20cmの試験片を10個切り出した。得られた10個の試験片のそれぞれについて、JIS K6741に準拠して耐衝撃性試験(評価温度0℃、円錐形重錘9kg、落下高さ225cm)を行った。なお、樹脂管としての実用的な性能を満たしているか否かを以下の基準で判定した。
[耐衝撃性試験の判定基準]
○○:試験数10個に対して、合格数が10個
○:試験数10個に対して、合格数が8個又は9個
△:試験数10個に対して、合格数が6個又は7個
×:試験数10個に対して、合格数が5個以下
樹脂管の構成及び結果を表1~4に示す。
Figure 0007449201000001
Figure 0007449201000002
Figure 0007449201000003
Figure 0007449201000004
実施例1~16で得られた多層管では、耐火試験において、燃焼時の熱変形によって生じる燃焼物のドリップの発生を抑えることができており、耐火性に優れていた。また、実施例1~12で得られた多層管では、内層及び外層に含まれる無機充填剤がそれぞれ、SiOを30重量%以上80重量%以下、CaOを10重量%以上60重量%以下、Alを0.1重量%以上10重量%以下で含むので、引張強度及び耐衝撃性にも優れていた。
一方、比較例1,6で得られた多層管では、中間層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対するハイドロタルサイトの含有量が20重量部を超えているので、多層管が燃焼時に過度に膨張し、燃焼物が形状を維持することができず、燃焼物のドリップが生じ、耐火性に劣っていた。また、比較例2,5で得られた多層管では、中間層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対するハイドロタルサイトの含有量が1重量部未満であるので、燃焼時に樹脂管と区画貫通部の壁面との間が閉塞せず、耐火性に劣っていた。また、比較例3,5~7で得られた多層管では、内層及び外層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、無機充填剤の含有量が15重量部未満であるので、燃焼時の熱変形によって、燃焼物がドリップし、発煙時間が短く、耐火性に劣っていた。また、比較例8,9で得られた単層管では、燃焼時の熱変形によって、燃焼物がドリップし、発煙時間が短く、耐火性に劣っていた。
1…内層
2…中間層
3…外層
10…多層管
10X…未硬化の多層管
11…内外層押出機
12…中間層押出機
13…金型
14…管外面成形用チューブ
15…冷却水槽
16…引取機
17…切断機
20…製造装置
21…内層の材料
22…中間層の材料
23…外層の材料
31…未硬化の内層
32…未硬化の中間層
33…未硬化の外層
100…耐火試験炉
110…加熱室
120…床材
120a…区画貫通部
130…バーナー
140…熱電対
P…樹脂管(多層管又は単層管)

Claims (2)

  1. 内層と、前記内層の外側に配置された外層と、前記内層と前記外層との間に配置された中間層とを備え、
    前記内層及び前記外層がそれぞれ、塩化ビニル系樹脂と、無機充填剤とを含み、
    前記中間層が、塩化ビニル系樹脂と、ハイドロタルサイトとを含み、
    前記内層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記内層に含まれる前記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下であり、
    前記外層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記外層に含まれる前記無機充填剤の含有量が15重量部以上40重量部以下であり、
    前記中間層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記中間層に含まれる前記ハイドロタルサイトの含有量が1重量部以上20重量部以下である、多層管。
  2. 前記内層及び前記外層に含まれる前記無機充填剤がそれぞれ、SiOを30重量%以上80重量%以下、CaOを10重量%以上60重量%以下、Alを0.1重量%以上10重量%以下で含む、請求項1に記載の多層管。
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