JP7269129B2 - 塩化ビニル系樹脂管及び塩化ビニル系樹脂管の施工方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂管及び塩化ビニル系樹脂管の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐火性が高められた塩化ビニル系樹脂管及び塩化ビニル系樹脂管の施工方法に関する。
建築物の壁及び床等の区画体には、貫通孔を設けて区画貫通部を形成し、配管等を貫通させることがある。また、建築物には、通常、火災時に災や煙が急激に広がることを防ぐために、防火区画が設置されている。防火区画においては、原則として、所定の耐火性能を有する管以外は、区画貫通部を貫通させて配管を設置することはできない。
区画貫通部を貫通させる配管は、例えば、区画貫通部の内側に配管を配置し、該区画貫通部と該配管との間にモルタル等の不燃材料を充填して設置される。この施工方法は、防火措置工法と呼ばれる。
耐熱性及び耐火性に優れるため、区画貫通部を貫通させる配管として、金属管が多く用いられている。しかしながら、金属管は、重量が大きかったり、加工性が低かったりするため、施工時の作業性に劣る。一方、軽量であり、取扱性に優れ、かつ接合等が容易であることから、区画貫通部を貫通させる配管として、耐火性が高められた樹脂管を用いることが提案されている。
例えば、耐火性が高められた樹脂管として、熱膨張性を有するシートが樹脂管の外表面に巻きつけられた管が提案されている。
上記熱膨張性を有するシートに用いることができる材料の一例として、下記の特許文献1には、熱膨張性塩化ビニル系樹脂組成物が記載されている。この塩化ビニル系樹脂組成物は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部、(B)可塑剤10~100質量部、(C)滑剤0.1~5質量部、(D)無機充填剤5~200質量部、(E)熱膨張性黒鉛10~300質量部、及び(F)特定のポリリン酸とメラミンとの塩及び/又は特定のポリリン酸とピペラジンとの塩10~300質量部を含む。
特開2006-348228号公報
防火措置工法により設置された配管では、火災発生時に、配管が熱により変形するなどして、配管とモルタル等の不燃材料との間に隙間が生じる。そのため、配管と不燃材料との隙間を通って炎や煙が区画間を移動し、被害が拡大することがある。
区画貫通部を貫通させる配管として、上記熱膨張性を有するシートと上記樹脂管との積層管を用いる場合、火災時に、熱によって上記熱膨張性を有するシートが膨張するため、配管と不燃材料との隙間を小さくすることができ、その結果、耐火性をある程度高めることができる。
しかしながら、区画貫通部を貫通させる配管として、上記熱膨張性を有するシートと上記樹脂管との積層管を用いる場合には、施工の手間や施工時間が増大する。例えば、熱膨張性を有するシートを樹脂管に巻き付ける作業が必要であったり、また、熱膨張性を有するシートを巻きつけた後は、該シートの位置調整を行うことが難しかったりする。
なお、特許文献1に記載の熱膨張性塩化ビニル系樹脂組成物を用いて、樹脂管自体を製造した場合、該塩化ビニル系樹脂組成物には可塑剤及び無機充填材が比較的多く配合されているため、得られる樹脂管の機械的強度に劣り、得られる樹脂管を配管として用いることは困難である。
このように、耐火性に優れる樹脂管を作製することは困難であり、特に、区画貫通部を貫通させる配管として用いることができる樹脂管を作製することは困難である。
本発明の目的は、耐火性に優れる塩化ビニル系樹脂管を提供することである。また、本発明は、上記塩化ビニル系樹脂管の施工方法を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、塩化ビニル系樹脂管であって、塩化ビニル系樹脂を含む管状の第1の層を備え、塩化ビニル系樹脂管を120℃で20分間加熱したときに、下記式(1)により算出される膨張率が5%以上20%以下である、塩化ビニル系樹脂管が提供される。
膨張率=(D-D)/D×100 ・・・式(1)
:加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径
:加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管のある特定の局面では、前記第1の層の内表面上に積層された第2の層と、前記第2の層の内表面上に積層された第3の層とを備え、前記第2の層が発泡層である。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管のある特定の局面では、前記第1の層が、アクリル系加工助剤を含み、前記第1の層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記第1の層に含まれる前記アクリル系加工助剤の含有量が、1重量部以上15重量部以下である。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管のある特定の局面では、前記塩化ビニル系樹脂管は、建築物に好適に用いられる。
本発明の広い局面によれば、区画貫通部の内側に塩化ビニル系樹脂管を貫通させた状態に、前記塩化ビニル系樹脂管を配置する工程と、前記区画貫通部と前記塩化ビニル系樹脂管との間に不燃材料を充填する工程とを備え、前記塩化ビニル系樹脂管が、上述した塩化ビニル系樹脂管である、塩化ビニル系樹脂管の施工方法が提供される。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、塩化ビニル系樹脂を含む管状の第1の層を備え、塩化ビニル系樹脂管を120℃で20分間加熱したときに、上記式(1)により算出される膨張率が5%以上20%以下であるので、耐火性に優れる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂管を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂管を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂管の製造方法を説明するための図である。 図4は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管を製造するための製造装置に用いられる金型及び冷却金型の部分を拡大して示す断面図である。 図5は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管を製造するための製造装置に用いられる金型及び冷却金型の部分を拡大して示す断面図である。 図6は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管を製造するための製造装置に用いられる金型及び冷却金型の部分を拡大して示す断面図である。 図7は、耐火試験に用いられる耐火試験炉の概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(塩化ビニル系樹脂管)
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、塩化ビニル系樹脂を含む管状の第1の層を備え、塩化ビニル系樹脂管を120℃で20分間加熱したときに、下記式(1)により算出される膨張率が5%以上20%以下である。
膨張率(%)=(D-D)/D×100 ・・・式(1)
:加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径
:加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管では、上記の構成が備えられているので、耐火性に優れる。
区画貫通部を貫通させる配管は、例えば、区画貫通部の内側に配管を配置し、該区画貫通部と該配管との間にモルタル等の不燃材料を充填して設置される。上記配管として、従来の樹脂管を用いた場合には、火災発生時に、樹脂管が熱により変形するなどして、樹脂管と不燃材料との間に隙間が生じる。そのため、樹脂管と不燃材料との隙間を通って炎や煙が区画間を移動し、被害が拡大することがある。
これに対して、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、火災時に、熱により径方向に膨張することができるので、塩化ビニル系樹脂管とモルタル等の不燃材料との間に隙間を生じ難くすることができ、その結果、耐火性を高めることができる。
また、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、高い機械的強度を有する。
したがって、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、建築物に好適に用いることができ、建築物用配管として好適に用いることができる。本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、例えば、電線管、排水管、又はダクト管として好適に用いることができる。本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、区画貫通部を貫通させる配管として好適に用いることができる。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、塩化ビニル系樹脂を含む管状の第1の層を備える。本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、上記第1の層のみを備える単層管であってもよく、上記第1の層と、上記第1の層の内表面上に積層された第2の層とを備える多層管であってもよく、上記第2の層の内表面上に積層された第3の層をさらに備える多層管であってもよい。本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、1層のみの構造を有していてもよく、2層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、3層以上の構造を有する多層管であることが好ましい。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管では、上記塩化ビニル系樹脂管を120℃で20分間加熱したときに、上記式(1)により算出される膨張率が5%以上20%以下である。上記膨張率が5%未満であると、火災発生時に、塩化ビニル系樹脂管とモルタル等の不燃材料との間に隙間が生じやすく、耐火性が低下することがある。なお、後述するように上記膨張率が20%を超える塩化ビニル系樹脂管を製造することは、困難である。
上記膨張率は、より具体的には、以下のようにして測定される。
塩化ビニル系樹脂管を切断し、軸方向寸法が1cmである輪状の膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管を得る。得られた膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管の外径を測定し、加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)とする。膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管を120℃に設定したオーブンで20分間加熱する。次いで、膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管を25℃で1時間以上静置した後、膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管の外径を測定し、加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)とする。得られた加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)と加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)とから、上記式(1)により膨張率を算出する。
耐火性をより一層高める観点からは、上記膨張率は、好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上である。耐火性を高める観点からは、上記膨張率は大きいほうが好ましい。塩化ビニル系樹脂管の製造効率を高める観点からは、上記膨張率は、好ましくは15%以下である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂管を模式的に示す断面図である。
塩化ビニル系樹脂管11は、第1の層1を備える。第1の層1は、管状である。塩化ビニル系樹脂管11は、第1の層1のみを備える単層管である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂管を模式的に示す断面図である。
塩化ビニル系樹脂管11Aは、第1の層1と、第2の層2と、第3の層3とを備える。第2の層2は、第1の層1の内表面上に積層されている。第3の層3は、第2の層2の内表面上に積層されている。第1の層1、第2の層2及び第3の層3はそれぞれ、管状である。第1の層1は、最外層であり、第2の層2は、中間層であり、第3の層3は、最内層である。第1の層1、第2の層2及び第3の層3はそれぞれ、塩化ビニル系樹脂管11Aの両側の末端に至っている。塩化ビニル系樹脂管11は、3層構造を有する多層管である。
以下、塩化ビニル系樹脂管に含まれる成分、及び塩化ビニル系樹脂管の材料に含まれる成分について説明する。
上記第1の層は、塩化ビニル系樹脂を含む。上記第2の層は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記塩化ビニル系樹脂及び上記熱可塑性樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の層に含まれる樹脂及び上記第3の層に含まれる熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
耐火性をより一層高める観点からは、第2の層に含まれる熱可塑性樹脂は、塩化ビニル系樹脂であることが好ましく、第3の層に含まれる熱可塑性樹脂は、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂は特に限定されない。上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれ塩化ビニル系樹脂はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、並びに、塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。上記塩化ビニル系樹脂は、硬質塩化ビニル系樹脂であってもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン化合物;塩化アリル、アクリロニトリル等のビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等;無水マレイン酸等のジカルボン酸化合物が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂を後塩素化した塩素化塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。上記塩素化塩化ビニル系樹脂が上記塩素化塩化ビニル系樹脂である場合には、塩素含有量を多くすることができるので、難燃性をより一層高めることができる。
上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記塩化ビニルに由来する構造単位の含有率が上記下限以上であると、難燃性をより一層高めることができる。上記塩化ビニルに由来する構造単位の含有率が上記上限以下であると、成形性を高めることができ、成形時に塩化ビニルの熱分解を抑えることができる。なお、上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、100重量%(全量)であってもよい。
上記塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用してもよい。例えば、機械的強度をより一層向上させるために、アクリル樹脂等を上記塩化ビニル系樹脂と併用してもよい。
上記塩化ビニル系樹脂の重合度は、好ましくは800以上、より好ましくは1000以上、好ましくは1500以下、より好ましくは1300以下である。上記塩化ビニル系樹脂の重合度が上記下限以上であると、塩化ビニル系樹脂管の機械的強度を高めることができる。上記塩化ビニル系樹脂の重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記第1の層100重量%中、上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐火性をより一層高めることができる。
上記第2の層100重量%中、上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐火性をより一層高めることができる。
上記第3の層100重量%中、上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐火性をより一層高めることができる。
上記第1の層は、アクリル系加工助剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、アクリル系加工助剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、アクリル系加工助剤を含むことが好ましい。塩化ビニル系樹脂を含む層は、アクリル系加工助剤を含むことが好ましい。上記アクリル系加工助剤を含むことにより、ダイスウェルを大きくすることができる。このため、後述の製造方法で塩化ビニル系樹脂管を製造した際に、上記膨張率が上記の範囲を満足する塩化ビニル系樹脂管を良好に得ることができ、また、外径及び厚みを良好に制御することができる。上記アクリル系加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリル系加工助剤としては、アルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、及び2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
上記アクリル系加工助剤の重量平均分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは200万以上、更に好ましくは300万以上、好ましくは700万以下、より好ましくは600万以下、更に好ましくは500万以下である。上記重量平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、塩化ビニル系樹脂管の耐火性をより一層高めることができる。また、上記重量平均分子量が上記下限以上あると、アクリル系加工助剤の添加量を少なくすることができ、製造コストを抑えることができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記第1の層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記第1の層に含まれるアクリル系加工助剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
上記第2の層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記第2の層に含まれるアクリル系加工助剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
上記第3の層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記第3の層に含まれるアクリル系加工助剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる上記アクリル系加工助剤の含有量がそれぞれ上記下限以上であると、すなわち、上記第1の層の材料、上記第2の層の材料、及び上記第3の層の材料に含まれる上記アクリル系加工助剤の含有量がそれぞれ上記下限以上であると、ダイスウェルを大きくすることができる。このため、上記膨張率が上記の範囲を満足する塩化ビニル系樹脂管を良好に得ることができ、また、外径及び厚みを良好に制御することができる。上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる上記アクリル系加工助剤の含有量がそれぞれ上記上限以下であると、すなわち上記第1の層の材料、上記第2の層の材料、及び上記第3の層の材料に含まれる上記アクリル系加工助剤の含有量がそれぞれ上記上限以下であると、成形性を良好にすることができる。
上記第1の層の材料は、発泡剤を含まないことが好ましく、上記第1の層は、発泡層ではないことが好ましい。
上記第2の層の材料は、発泡剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記第2の層は、発泡層であってもよく、発泡層でなくてもよい。上記第3の層の材料は、発泡剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記第3の層は、発泡層であってもよく、発泡層でなくてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂管に結露防止性能、断熱性能、遮音性能を付与する観点からは、上記第2の層は、発泡層であることが好ましく、上記第3の層は、発泡層であることが好ましく、上記第2の層及び上記第3の層の少なくとも一方の層は、発泡層であることが好ましい。上記塩化ビニル系樹脂管が、上記第1の層と上記第2の層と上記第3の層とを備える場合には、上記第2の層は、発泡層であることが好ましい。上記塩化ビニル系樹脂管に結露防止性能、断熱性能、遮音性能を付与する観点からは、上記塩化ビニル系樹脂管において、最外層以外の少なくとも1つの層が、発泡層であることが好ましい。
上記発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物;ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン誘導体;トルエンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物等が挙げられる。上記発泡剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層並びに上記第1の層の材料、上記第2の層の材料及び上記第3の層の材料は、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α-メチルスチレン系、及びN-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルク等が挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。上記顔料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、及びジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニル系樹脂管の機械的強度を高める観点から、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる可塑剤の含有量はそれぞれ少ないことが好ましい。上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる上記可塑剤の含有量はそれぞれ、好ましくは10重量部未満であり、より好ましくは5重量部以下であり、更に好ましくは2重量部以下であり、最も好ましくは0重量部(未配合)である。
実使用上の観点及び耐火性をより一層高める観点からは、上記塩化ビニル系樹脂管の厚みは、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下である。
実使用上の観点及び耐火性をより一層高める観点からは、上記第1の層の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、好ましくは10mm以下、より好ましくは7mm以下である。
実使用上の観点及び耐火性をより一層高める観点からは、上記第1の層の厚みの上記塩化ビニル系樹脂管の厚みに対する比(第1の層の厚み/塩化ビニル系樹脂管の厚み)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。
実使用上の観点及び耐火性をより一層高める観点からは、上記第2の層の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、好ましくは8mm以下、より好ましくは5mm以下である。
実使用上の観点及び耐火性をより一層高める観点からは、上記第3の層の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。
耐火性をより一層高める観点からは、上記第1の層は、塩化ビニル系樹脂管の最外層であることが好ましい。
(塩化ビニル系樹脂管の製造方法)
上記膨張率が上述の範囲である塩化ビニル系樹脂管を従来の製造方法により製造することは困難である。従来の塩化ビニル系樹脂管の製造方法では、本発明に係る塩化ビニル系樹脂管を製造することは困難である。従来の塩化ビニル系樹脂管の製造方法で製造される塩化ビニル系樹脂管の上記膨張率は、通常、1%~3%程度である。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管の製造方法について、以下に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂管の製造方法を説明するための図である。
製造装置20は、ホッパー21(樹脂投入口)と、押出機22と、加熱部を有する金型23と、冷却金型24と、冷却水槽25と、引取機26と、切断機27とを備える。
塩化ビニル系樹脂管の材料がホッパー21から投入され、押出機22に供給される。押出機22では、塩化ビニル系樹脂管の材料が、押出機22のスクリューの回転により混合される。混合された塩化ビニル系樹脂管の材料は、金型23により管状に成形され、管状体11aとして金型23から押し出される。管状体11aは、完全には硬化しておらず、溶融状態又は半溶融状態の管である。管状体11aは、引取機26により引き取られることによって、冷却金型24及び冷却水槽25に供給されて、完全に硬化し、塩化ビニル系樹脂管11が得られる。また、塩化ビニル系樹脂管11は、切断機27により所定の長さに切断され、切断された塩化ビニル系樹脂管11が得られる。
ここで、金型23から押し出された管状体11aの線速をV(cm/分)とし、引取機26による引取速度をV(cm/分)とする。なお、管状体11aの線速(V)は、スクリューの回転数及び充満率等により制御することができる。
上記膨張率が上述の範囲である塩化ビニル系樹脂管は、すなわち、本発明に塩化ビニル系樹脂管は、引取機による引取速度(V)の、管状体の線速(V)に対する比(V/V)を1.10以上1.50以下とすることにより製造することができる。
上記比(V/V)を1.10以上1.50以下に制御して得られる塩化ビニル系樹脂管は、軸方向に引き伸ばされている。このため、高温に晒された場合に、上記塩化ビニル系樹脂管は、軸方向に収縮し、かつ径方向に膨張する。
従来の塩化ビニル系樹脂管の製造方法では、上記比(V/V)は通常、1.00である。上記比(V/V)が1.10未満であると、上記膨張率が5%以上である塩化ビニル系樹脂管を得ることは困難であり、従って、耐火性に優れる塩化ビニル系樹脂管を得ることは困難である。上記比(V/V)が1.50を超えると、金型から押し出された管状体が破断しやすくなり、塩化ビニル系樹脂管を得ること自体が困難である。
なお、上記比(V/V)を1.10未満に制御して得られた塩化ビニル系樹脂管と、上記比(V/V)を1.10以上1.50以下に制御して得られた塩化ビニル系樹脂管とは、その構造上の違い(例えば、塩化ビニル系樹脂の結晶性の違い等)を分析により特定することは、本願出願時において不可能である。
上記比(V/V)を大きくすることにより、上記膨張率を効果的に大きくすることができる。上記膨張率をより一層大きくする観点からは、上記比(V/V)は、好ましくは1.15以上、より好ましくは1.2以上である。金型から押し出された管状体の破断を効果的に抑え、製造効率をより一層高める観点からは、上記比(V/V)は、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.35以下である。
なお、上記比(V/V)を上記の範囲内に制御する限り、押出機、金型、管状体の線速(V)、引取機による引取速度(V)等は適宜変更することができる。
塩化ビニル系樹脂管の外径及び厚みを良好に制御する観点からは、上記比(V/V)を制御する方法と、以下の(1)の方法、以下の(2)の方法及び以下の(3)の方法の内の少なくとも1つの方法とを組み合わせることが好ましい。
(1)図4に示すように、金型23と冷却金型24との組み合わせとして、金型23から押し出された管状体11aの外径が、冷却金型24に供給されて得られる塩化ビニル系樹脂管11の外径よりも大きくなる組み合わせを用いる方法。
(2)図5に示すように、金型23と冷却金型24との組み合わせとして、金型23から押し出された管状体11aの厚みが、冷却金型24に供給されて得られる塩化ビニル系樹脂管11の厚みよりも大きくなる組み合わせを用いる方法。
(3)図6に示すように、金型23から押し出された管状体11aの厚みが、冷却金型24に供給されて得られる塩化ビニル系樹脂管11の厚みよりも大きくなるように、すなわち、ダイスウェルが大きくなるように塩化ビニル系樹脂管の材料の組成を採用する方法。
上記(3)の方法としては、例えば、塩化ビニル系樹脂管の材料に、上記アクリル系加工助剤を用いる方法が挙げられる。
(塩化ビニル系樹脂管の施工方法)
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管の施工方法は、区画貫通部の内側に塩化ビニル系樹脂管を貫通させた状態に、上記塩化ビニル系樹脂管を配置する工程と、上記区画貫通部と上記塩化ビニル系樹脂管との間に不燃材料を充填する工程とを備え、上記塩化ビニル系樹脂管が、上述した塩化ビニル系樹脂管である。上記区画貫通部は、区画間を貫通する貫通孔を有する。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂管は、火災時に、熱により径方向に膨張することができるので、塩化ビニル系樹脂管と不燃材料との間の隙間を生じ難くすることができ、その結果、耐火性を高めることができる。
上記不燃材料としては、モルタル及びコンクリート等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
以下の材料を用意した。
塩化ビニル樹脂(徳山積水工業社製「TS-1000R」)
塩素化塩化ビニル樹脂(徳山積水工業社製「HA-53K」)
アクリル系加工助剤(カネカ社製「PA-40」、重量平均分子量:約400万)
有機錫系安定剤(日東化成社製「TVS-8832」)
衝撃改質剤(MBS樹脂、カネカ社製「B-564」)
滑剤A(三井化学社製「ハイワックス220MP」)
滑剤B(エメリーオレオケミカルズジャパン社製「ロキシオール259」)
炭酸カルシウム(白石工業社製「CCR」)
発泡剤(永和化成社製「ビニホールAC#3」)
(実施例1)
第1の層の材料として、以下を用意した。
塩化ビニル樹脂:100重量部
アクリル系加工助剤:1重量部
有機錫系安定剤:3重量部
衝撃改質剤:5重量部
滑剤A:1重量部
滑剤B:1重量部
炭酸カルシウム:2重量部
上記第1の層の材料をスーパーミキサーで混合した後、図3に示す製造装置を用いて、塩化ビニル系樹脂管を作製した。押出機として、コニカル二軸押出成形機を用いた。金型の温度は所定の温度とした。金型から押し出された管状体の線速(V)及び引取機による引取速度(V)は、表1のように設定した。
このようにして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。
(実施例2,3)
アクリル系加工助剤の配合量、金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(実施例4)
第1の層の材料として、アクリル系加工助剤の配合量を表1のように変更したこと以外は実施例1の第1の層の材料と同様の組成を有する材料を用意した。
第2の層の材料として、以下を用意した。
塩化ビニル樹脂:100重量部
アクリル系加工助剤:5重量部
有機錫系安定剤:3重量部
衝撃改質剤:3重量部
滑剤A:1重量部
滑剤B:1重量部
炭酸カルシウム:2重量部
発泡剤:1重量部
上記第1の層の材料及び第2の層の材料をそれぞれスーパーミキサーで混合した後、図3に示す製造装置を用いて、塩化ビニル系樹脂管を作製した。押出機として、コニカル二軸押出成形機を用いた。金型の温度は所定の温度とした。金型から押し出された管状体の線速(V)及び引取機による引取速度(V)は、表1のように設定した。
このようにして、第1の層及び第2の層を備える2層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、第2の層は、発泡層である。
(実施例5)
第1の層の材料として、アクリル系加工助剤の配合量を表1のように変更したこと以外は実施例1の第1の層の材料と同様の組成を有する材料を用意した。
第2の層の材料として、実施例4の第2の層の材料と同様の組成を有する材料を用意した。
第3の層の材料として、アクリル系加工助剤の配合量を表1のように変更したこと以外は実施例1の第1の層の材料と同様の組成を有する材料を用意した。
上記第1の層の材料、第2の層及び第3の層の材料をそれぞれスーパーミキサーで混合した後、図3に示す製造装置を用いて、塩化ビニル系樹脂管を作製した。押出機として、コニカル二軸押出成形機を用いた。金型の温度は所定の温度とした。金型から押し出された管状体の線速(V)及び引取機による引取速度(V)は、表1のように設定した。
このようにして、第1の層、第2の層及び第3の層を備える3層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、第2の層は、発泡層である。
(実施例6,7)
塩化ビニル樹脂の代わりに塩素化塩化ビニル樹脂を用いたこと、アクリル系加工助剤の配合量、金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(比較例1)
金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(比較例2)
金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂管を製造しようとしたところ、金型から押し出された管状体が引取時に破断し、塩化ビニル系樹脂管を製造することができなかった。
(比較例3)
金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表2のように変更したこと以外は、実施例4と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(比較例4)
金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表2のように変更したこと以外は、実施例5と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(比較例5)
金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表2のように変更したこと以外は、実施例6と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(比較例6)
金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表2のように変更したこと以外は、実施例7と同様にして、第1の層を備える単層の塩化ビニル系樹脂管を製造した。なお、金型の温度は適宜変更した。
(比較例7)
アクリル系加工助剤を用いなかったこと、金型から押し出された管状体の線速(V)、及び引取機による引取速度(V)を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂管を製造しようとしたところ、金型から押し出された管状体が引取時に破断し、塩化ビニル系樹脂管を製造することができなかった。
(比較例8)
第1の層の材料として、アクリル系加工助剤の配合量を表2のように変更したこと以外は実施例1の第1の層の材料と同様の組成を有する材料を用いて、塩化ビニル系樹脂管を製造しようとしたところ、押し出す際の負荷が大きすぎることによって、金型から管状体を押出すことができず、塩化ビニル系樹脂管を製造することができなかった。
(評価)
(1)膨張率
得られた塩化ビニル系樹脂管を切断し、軸方向寸法が1cmである輪状の膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管を得た。ノギスを用いて、得られた膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管の第1の外径を測定し、また、第1の外径から90度回転させた位置の第2の外径を測定し、第1の外径と第2の外径との平均値を、加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)とした。膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管を120℃に設定したオーブンに、径方向が水平となるように配置し、20分間加熱した。次いで、膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管を25℃で1時間以上静置した。次いで、ノギスを用いて、加熱後の膨張率測定用塩化ビニル系樹脂管の第3の外径を測定し、また、第3の外径から90度回転させた位置の第4の外径を測定し、第3の外径と第4の外径との平均値を、加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)とした。得られた加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)と加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径(D)とから、下記式(1)により膨張率を算出した。
膨張率(%)=(D-D)/D×100 ・・・式(1)
:加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径
:加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径
(2)耐火試験
図7は、耐火試験に用いられる耐火試験炉の概略図である。
耐火試験炉100は、上部以外は密閉された加熱室110と、加熱室110の上部に配置された床材120と、加熱室110の側壁に設置されたバーナー130と、加熱室110内の温度を測定する熱電対140とを備える。なお、床材120として、区画貫通部120aが形成された厚さ100mmのPC(プレキャストコンクリート)パネルを用いた。
区画貫通部120aの内側に、得られた塩化ビニル系樹脂管Pを貫通させた状態で配置した。次いで、区画貫通部120aと前記塩化ビニル系樹脂管Pとの間にモルタルを充填した。塩化ビニル系樹脂管Pは、加熱室110の内側に300mm露出させ、かつ加熱室110の外側に800mm露出させるように配置した。また、熱電対140は、塩化ビニル系樹脂管Pの下端近傍の温度を測定できる位置に配置した。
ISO834-1に準拠して、耐火試験(平成12年(2000年)6月1日に施行された改正建築基準法の耐火性能試験の評価方法)を実施し、加熱開始後、塩化ビニル系樹脂管Pと区画貫通部120aとの隙間から煙が出るまでの時間(発煙時間)を測定した。消防法の令8区画の判定基準に従って評価した。煙の発生の有無は、目視で判断した。
[耐火試験の判定基準]
合格:発煙時間が120分以上
不合格:発煙時間が120分未満
塩化ビニル系樹脂管の構成及び結果を下記の表1,2に示す。
Figure 0007269129000001
Figure 0007269129000002
1…第1の層
2…第2の層
3…第3の層
11,11A…塩化ビニル系樹脂管
11a…管状体
20…製造装置
21…ホッパー(樹脂投入口)
22…押出機
23…金型
24…冷却金型
25…冷却水槽
26…引取機
27…切断機
100…耐火試験炉
110…加熱室
120…床材
120a…区画貫通部
130…バーナー
140…熱電対
P…塩化ビニル系樹脂管

Claims (5)

  1. 塩化ビニル系樹脂管であって、
    塩化ビニル系樹脂を含む管状の第1の層を備え、
    塩化ビニル系樹脂管を120℃で20分間加熱したときに、下記式(1)により算出される膨張率が5%以上20%以下である、塩化ビニル系樹脂管。
    膨張率=(D-D)/D×100 ・・・式(1)
    :加熱前の塩化ビニル系樹脂管の外径
    :加熱後の塩化ビニル系樹脂管の外径
  2. 前記第1の層の内表面上に積層された第2の層と、前記第2の層の内表面上に積層された第3の層とを備え、
    前記第2の層が発泡層である、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂管。
  3. 前記第1の層が、アクリル系加工助剤を含み、
    前記第1の層に含まれる前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記第1の層に含まれる前記アクリル系加工助剤の含有量が、1重量部以上15重量部以下である、請求項1又は2に記載の塩化ビニル系樹脂管。
  4. 建築物に用いられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の塩化ビニル系樹脂管。
  5. 区画貫通部の内側に塩化ビニル系樹脂管を貫通させた状態に、前記塩化ビニル系樹脂管を配置する工程と、
    前記区画貫通部と前記塩化ビニル系樹脂管との間に不燃材料を充填する工程とを備え、
    前記塩化ビニル系樹脂管が、請求項1~4のいずれか1項に記載の塩化ビニル系樹脂管である、塩化ビニル系樹脂管の施工方法。
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