JP4490706B2 - 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた難燃性、透明性、その他の特性を有する塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂組成物は、分子中に塩素を含有するため、難燃性に優れており、また各種の無機添加剤を広い含有量で添加できるため、広範囲の機械的特性、耐熱性、成形性、耐候性を実現することができる。
このような特性を有する塩化ビニル系樹脂組成物の、特に硬質塩化ビニル系樹脂組成物の成形体は、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等;として広く使用されている。
しかし、塩化ビニル系樹脂組成物は、火災時等のように耐熱温度以上の高温に晒されると、分子内の塩素に起因して、大量に発煙すると共に、塩素ガスや塩化水素ガス等の有毒ガスを発生する。このため、無機添加剤を使用し、有毒ガスの発生を抑制することが試みられ、無機添加剤の種類や配合量を検討することがなされている。
ところで、後塩素化塩化ビニル樹脂を使用した組成物は、加工性(熱安定性)が悪く、通常の塩化ビニル系樹脂を使用した組成物は、添加する配合剤の量や種類によって難燃性や発煙性が低下することが本発明者によって確認されている。
この通常の塩化ビニル系樹脂を使用した組成物の難燃性や発煙性の向上対策として、無機系難燃剤の添加が一般に行われているが、無機系難燃剤を添加すると透明性が低下するという問題がある。
また、通常の塩化ビニル系樹脂を使用した組成物の動的熱安定性や成形加工性を向上させるために、有機錫系安定剤を配合したものも提案されている(特開平11−343375号公報参照)が、この提案は、主として押出成形時の熱分解やスクリューへの樹脂の付着等に着目したものであって、カレンダープレス成形の際の諸問題は、必ずしも解決されていない。
特開平11―343375号公報
本発明は、加工性の悪い後塩素化塩化ビニル樹脂を使用せず、また、十分な難燃性とカレンダープレス成形時における加工性(熱安定性)、その他の各種特性を有すると共に、カレンダープレス成形体とした場合に良好な透明性、その他の優れた特性を有する、難燃性塩化ビニル系樹脂組成物と、この組成物から得られる成形体とを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、
塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、
錫系安定剤
滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤等の配合剤とを、
合計4〜8重量部含んでなり
前記錫系安定剤は、マレート系またはラウレート系錫系安定剤に、メルカプト系錫系安定剤を混合した錫系安定剤であり、かつ前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し2〜5重量部含むものであって、
前記難燃剤は、無機系難燃剤を前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0〜0.3重量部含むものであり、
前記錫系安定剤および前記配合剤中の融点30℃以下の成分の含有量が合計1〜4重量部である難燃性塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダープレス成形して得られる成形体である。
このとき、融点30℃以下の成分は、錫系安定剤であることが好ましい。
また、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、上記の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダープレス成形して得られる成形体であって、ASTM E1354に準じて測定される平均発熱量(AHRR)が65kW/m2以下、平均減光面積(ASEA)が1100m2/g以下であり、JIS K7105に準じて測定されるヘーズが20%以下である。
本発明における塩化ビニル系樹脂は、ホモポリマーのポリ塩化ビニルの他に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体等のコポリマーをも使用することができ、重合度が400〜1100程度の硬質のものが適している。
本発明において、これらの塩化ビニル系樹脂には、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤等の配合剤が配合されるが、これらの配合剤の添加量は、合計で4〜8重量部とすることが重要である。
4重量部未満ではカレンダープレス成形時の加工性(特に熱安定性)が悪く、8重量部を超えると成形体の難燃性低化を招く。
また、本発明では、上記配合剤中、融点30℃以下の成分としては、特定の錫系安定剤、特定の滑剤、可塑剤等が挙げられるが、これら融点30℃以下の成分の添加量は、合計で1〜4重量部とすることが重要である。
1重量部未満では、本発明の樹脂組成物から得られる成形体のゲル化が遅く、4重量部を超えると該成形体の難燃性低下を招く。
上記の融点30℃以下の成分は、錫系安定剤が好適である。
この融点30℃以下の錫系安定剤は、本発明の樹脂組成物のカレンダープレス成形時における動的熱安定性と静的熱安定性とを増加する作用(潤滑作用)を有する。これらの潤滑作用が、穏やかな成形条件でのカレンダープレス成形の途上で、該樹脂組成物中に歪が発生するのを防止し、また歪が発生しカレンダープレス成形体(板状体やシート状体)中に残ったとしても、この歪みは、板状やシート状のカレンダープレス成形体を二次成形して種々の形状の成形体(二次成形体)に加工する際に消失し易くなる。この結果として、二次成形体の物性(特に、変形安定性)が良好なものとなる。
なお、上記の塩化ビニル系樹脂の安定剤としては、一般には、錫系安定剤や鉛系安定剤が使用されるが、本発明の樹脂組成物では、鉛系安定剤を使用すると、成形体の優れた透明性を確保することができなくなることに加え、鉛系安定剤は、環境保全の観点からも好ましくないため、本発明では、錫系安定剤を使用する。
錫系安定剤のなかでも、透明性や耐温水白化性の面からは、メルカプト系のものが好ましいが、メルカプト系の錫系安定剤は、耐候性の低下を招き、また難燃性を阻害しやすい。
これに対し、マレート系や、ラウレート系の錫系安定剤は、透明性や耐温水白化性に劣るが、耐候性や難燃性を阻害しにくい。
これらの特性を勘案し、本発明では、1種以上の錫系安定剤を適宜組み合わせて使用する。なお、マレート系やラウレート系の錫系安定剤(「Ma・Lu」)とメルカプト系の錫系安定剤(「Mc」)とを混合使用する場合の「Ma・Lu」,「Mc」の配合割合は、これらの特性に応じて決めればよく、特に限定しないが、一般には重量比で20:1〜20:1の範囲内から選定することが好ましい。
上記の錫系安定剤のうちで、融点30℃以下のものとしては、ジメチル錫ジメルカプト、ジブチル錫ジメルカプト、ジオクチル錫ジメルカプト等のジアルキル錫ジメルカプト;ジアルキル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジアルキル錫ビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジアルキル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)等のジアルキル錫ビス(メルカプト脂肪酸エルテル)及びその塩酸処理物;ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫ジマレート等のジアルキル錫ジマレート;ジアルキル錫ビス(モノアルキルマレート);ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等のジアルキル錫ジラウレートが好ましく使用できる。
融点30℃以上の錫系安定剤としては、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫βメルカプトプロピオネート、ジオクチル錫βメルカプトプロピオネート等があり、本発明では、これらも使用することができる。
本発明において、上記の錫系安定剤は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、2〜5重量部の添加量で使用する。特に、融点30℃以下の錫系安定剤を、他の融点30℃以下の成分との合計で1〜4重量部の量で使用することが、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物のカレンダープレス成形加工時における動的・静的熱安定性を高める上で好適である。
また、滑剤としては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸類;ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類;カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の合成ワックス等を使用することができ、中でも、融点30℃以下の滑剤として、ブチルステアレート等が好ましく使用できる。
これらの滑剤は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.5〜2.0重量部の添加量で使用することが好ましく、特に、融点30℃以下の滑剤を、上記の融点30℃以下の錫系安定剤や他の成分との合計で1〜4重量部の量で使用することが、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物のカレンダープレス成形加工時における動的熱安定性を高める上で好適である。
可塑剤は、液体であり、融点30℃以下の成分であり、本発明では、通常のジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジベート、ジイソノニルアジペート等が好ましく使用できる。
可塑剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0〜2重量部が好ましく、上記の融点30℃以下の錫系安定剤や滑剤との合計で1〜4重量部の量で使用することが好適である。
本発明では、上記のように、融点30℃以下の錫系安定剤と滑剤とが、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の動的熱安定性を高め、特に融点30℃以下の錫系安定剤は、動的熱安定性に加えて静的熱安定性をも高める作用をなすため、本発明の樹脂組成物のカレンダープレス成形性を向上させ、特にカレンダープレス成形体から得られる二次成形体の変形安定性を高めることができる。
さらに、本発明における加工助剤は、ポリアルキルメタクリレート類、ポリアルキルアクリレート類から選ばれる少なくとも一種であり、分子量20万〜500万程度のものが好ましく、より好ましくは分子量50万〜300万程度のものである。
このポリアルキルメタクリレート類としては、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−アルキルアクリレート共重合体(MMAの共重合比が100:0〜50:50のもの)等が挙げられ、ポリアルキルアクリレート類としては、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、中でも分子量50万〜300万程度でMMAの共重合比が100:0〜50:50のポリメチルメタクリレートやメチルメタクリレート−アルキルアクリレート共重合体が好ましい。
これらの加工助剤も、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー成形する際の加工性を向上する作用を有する。
加工助剤の添加量は、少なすぎれば、このような作用を発現せず、逆に多すぎると、カレンダー成形時に塩化ビニル系樹脂組成物が剪段発熱して安定したカレンダー成形ができなくなるため、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.2〜2.0重量部とすることが好ましい。
また、本発明において、上記配合剤中、無機系難燃剤の添加量は、0.3重量部以下とする。無機系難燃剤の添加量が0.3重量部を超えると成形体の透明性が低下する。
無機系難燃剤としては、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛等の亜鉛化合物、三酸化モリブデン、オクタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、炭酸リチウム等のリチウム化合物、および錫化合物等が挙げられ、これらの無機系難燃剤は、燃焼時に塩化ビニル系樹脂組成物の炭化を促進し、発煙量を低減する作用を有している。
無機系難燃剤の添加量の下限値は、0重量部、すなわち無機系難燃剤を使用しなくてもよいことは言うまでもないが、発煙量を低減させる作用を得るには、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.01〜0.02重量部を添加することが好ましい。
なお、本発明では、無機系難燃剤の他に、有機系難燃剤を配合することもでき、有機系難燃剤としては、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
本発明では、上記の錫系安定剤、滑剤、加工助剤、無機系・有機系難燃剤の他に、衝撃改良剤や紫外線吸収剤、顔料・染料等の着色剤等が配合され、このうち衝撃改良剤としては、メチルメタアクリレート・ブタジエン・スチレン系共重合体、アクリレート系共重合体等が挙げられ、これらの衝撃改良剤は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0〜2重量部を添加することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が挙げられ、これらの紫外線吸収剤は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0〜0.2重量部を添加することが好ましい。
さらに、顔料・染料等の着色剤としては、通常の塩化ビニル系樹脂組成物に配合する通常のものが使用できる。着色剤は、本発明において必須の成分ではなく、用途に応じて適宜の量で添加することができる。
本発明における難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、所定量の塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、その他適宜の配合剤を、ブレンダーやヘンシェルミキサー等を用い混合して得ることができる。
このようにして得られる本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダープレス成形に適した組成物であり、本発明の成形体は、この組成物をカレンダープレス成形して得られるものであって、所定の評価基準による、所定の難燃性、透明性、その他の特性を有するものである。
難燃性は、ASTM E1354に準じて測定される平均発熱量(AHRR)が65%W/m2以下で、かつ平均減光面積(ASEA)が1100m2/g以下である。
従来、難燃性の指標の一つとして、産業相互保険組織(Factory Mutual System)が定める評価基準が有効に利用されてきた。
この評価基準は、Class Number 4910として挙げられているクリーンルーム材料の難燃性テスト(FMRC、Clean Room Materials Flammabilty Test Protocol)に基づいて測定された、難燃性を示す延焼指数(FPI)、発煙性を示す発煙指数(SDI)、腐食性ガス発生を示す腐食指数(CDI)等が指標(総じてFM規格とも記載する)とされている。
FM規格による評価値は、評価値を求める者が産業相互保険組織に試験片を提出し、産業相互保険組織がこの試験片を評価して得られる値であるため、評価結果が得られるまでに時間を要し非効率的である。
本発明においては、このようなFM規格による評価値に代えて、評価値を求める者が行うことができるASTM E1354に準じたコーンカロリメータを用いる燃焼試験により評価される値を難燃性の指標とするものである。
コーンカロリメータを用いた燃焼試験により評価される難燃特性は、単位面積および単位時間あたりの燃焼による発熱量の最大値(最大発熱量、PHRRとも記載する;単位:kw/m2)、平均値(平均発熱量、AHRRとも記載する;単位:kW/m2)、総発熱量(総発熱量、THRとも記載する;単位:MJ/m2)、質量減少率の平均値(質量減少率、AMLRともに記載する;単位:g/sec/m2)、減光面積の最大値(最大減光面積、PSEAとも記載する;単位:m2/g)、減光面積の平均値(平均減光面積、ASEAとも記載する;単位:m2/g/g)等を挙げることができる。
上記のFM規格による延焼指数(FPI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される最大発熱量(PHRR)、平均発熱量(AHRR)、総発熱量(THR)等の発熱量に関する評価値と強い相関を有する。
また、上記のFM規格による延焼指数(FPI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される最大減光面積(PSEA)、平均減光面積(ASEA)等の減光面積に関する指標と強い相関を有する。
さらに、上記のFM規格による腐食指数(CDI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される質量減少率(AMLR)等の質量減少に関する指標と強い相関を有する。
従って、コーンカロリメータを用いて難燃性を評価することにより、FM規格の指標をも効果的に得ることができる。
FM規格においては、延焼指数(FPI)が6以下、発煙指数(SDI)が0.4以下と要求されている。
本発明では、このFM規格と同様以上の値をえるために、最大発熱量(PHRR)130Kw/m2以下、平均発熱量(AHRR)82Kw/m2以下、総発熱量(THR)100MJ/m2以下、質量減少率(AMLR)13g/sec/m2以下、最大減光面積(PSEA)1500m2/g以下、平均減光面積(ASEA)1200m2/g以下とすることが好ましく、中でも特に平均発熱量(AHRR)、平均減光面積(ASEA)が難燃性に対して支配的であるため、平均発熱量(AHRR)65kW/m2以下、かつ平均減光面積(ASEA)1100m2/g以下とすることが好適である。
また、本発明では、カレンダープレス成形体とした場合の透明性は、JIS K 7105に準じて測定されるヘーズ値が20%以下とする。ヘーズ値が20%以下において、本発明で所望する優れた透明性を有する成形体とすることができる。
そして、本発明における難燃性塩化ビニル系樹脂組成物のカレンダープレス成形性は、当該組成物が熱安定性に優れているか否かが基準となる。
この熱安定性は、プラストミルでの動的熱安定性評価法によっての分解時間(例えば、200℃に昇温後、トルクが10%以上増加し始めた時間)で評価することができる。
本発明では、この分解時間が15分以上のものが適している。15分未満であると、成形時の安定性が低下することがある。
なお、分解時間の上限は、特に限定しないが、あまり長いと燃焼時の炭化が阻害され、発煙指数が高くなり、FM規格を満足できなくなることがあるため、本発明では30分程度までとする。
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダープレス成形が容易で、その成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、高い透明性を有し、耐薬品性も良好である。
このカレンダープレス成形体は、シートまたは板材等であって、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等の素材として好適に使用することができる。
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物によれば、難燃性に優れるばかりでなく、カレンダープレス成形性に優れるため、この樹脂組成物によるカレンダープレス成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、透明性も良好となる。
このため、特に硬質の塩化ビニル系樹脂を使用した本発明の樹脂組成物によるカレンダープレス成形体は、航空機、船舶、車両等の運送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等の素材として好適である。
加えて、本発明の組成物は、カレンダープレス成形時の動的・静的熱安定性に優れるため、穏やかな成形条件のカレンダープレス成形の際にあっても、組成物中に歪は発生せず、もし発生してカレンダープレス成形体に残ったとしても、二次成形途上で消失し易く、この結果として、カレンダープレス成形体から得られる二次成形物の物性、特に変形防止性を優れたものとすることができる。
〔実施例1〜8、比較例1〜6〕
重合度800の塩化ビニル樹脂(塩化ビニルのホモポリマー)に対して、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤等の配合剤、その他の配合剤を、表1,表2に示す割合で添加し、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
表1,2中、
数字:重量部
塩化ビニル樹脂:重合度800のポリ塩化ビニル(大洋塩ビ社製商品名“TH−800”)
後塩素化塩化ビニル樹脂:塩素含有率65質量%の塩素化塩化ビニル樹脂(鍾淵化学社製商品名“H−527”)
錫系安定剤A:ジブチルスズマレート系(日東化成社製商品名“N−2000E”)(融点:0℃以下)
錫系安定剤B:ジブチルスズメルカプト系(日東化成社製商品名“PS300P”)(融点:120℃)
滑剤A:ブチルステアレート(川研ファインケミカル社製商品名“ブチルステアレート”)(融点:23℃)
滑剤B:ステアリルステアレート(ヘンケル社製商品名“G−32”)(融点:50℃)
加工助剤;メチルメタアクリレート系共重合体(三菱レイヨン社製商品名“メタブレンP550A”)
衝撃改良剤:メチルメタアクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(鍾淵化学社製商品名“カネエースB22”)
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカル社製商品名“チヌビンP”)(融点130℃)
無機系難燃剤:ヒドロキシ錫酸亜鉛(アルキャンケミカル社製商品名“Flamtard H”)
可塑剤:ジイソノニルアジベート(ジェイプラス社製商品名“DINA”)(融点:0℃以下)
である。
実施例1〜8および比較例1〜6の組成物につき、各特性を下記の評価方法で評価し、この結果を表3,表4に示す。
難燃性:実施例1〜8および比較例1〜6の組成物を10mm厚の板状に成形し、この成形体について、アトラス社製コーンカロリメータを用い、ASTM E1354に準じ、AHRR(Kw/m)とASEA(m/g)を測定した。
透明性(ヘーズ):得られた10mm厚の成形板について、JTS K7105に準じてヘーズを測定した。
カレンダープレス加工性:実施例1〜8および比較例1〜6の組成物について、プラストミルでの動的熱安定性評価法によって、200℃における分解時間(200℃に昇温後、トルクが10%以上増加し始めた時間)を測定した。
この分解時間は、15min以上を合格とした。15min未満であると、成形時の安定性が低下することがある(なお、分解時間の上限は、特に限定しないが、あまり高いと燃焼時の炭化が阻害され、発煙指数が高くなり、FM規格を満足できなくなることがあるため、30min程度とする)。
Figure 0004490706
Figure 0004490706
Figure 0004490706
Figure 0004490706
〔実施例9〜16、比較例7〜12〕
実施例1〜8および比較例1〜6の組成物を用い、成形体の厚さを5mmとする以外は、実施例1〜8および比較例1〜6と同様にして、実施例1〜8および比較例1〜6と同様の各特性を評価し、この結果を表5,表6に示す。
Figure 0004490706
Figure 0004490706
以上のように、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、難燃性、カレンダープレス成形性に優れるため、この樹脂組成物によるカレンダープレス成形体も、難燃性に優れ、発煙量も少なく、透明性も良好となる。
このため、特に硬質の塩化ビニル系樹脂を使用した本発明の樹脂組成物によるカレンダープレス成形体は、航空機、船舶、車両等の運送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等の素材として利用することができる。

Claims (3)

  1. 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、
    錫系安定剤
    滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、可塑剤および難燃剤より選択された配合剤とを、
    合計4〜8重量部含んでなり
    前記錫系安定剤は、マレート系またはラウレート系錫系安定剤に、メルカプト系錫系安定剤を混合した錫系安定剤であり、かつ前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し2〜5重量部含むものであって、
    前記難燃剤は、無機系難燃剤を前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0〜0.3重量部含むものであり、
    前記錫系安定剤および前記配合剤中融点30℃以下の成分の含有量が合計1〜4重量部である難燃性塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダープレス成形して得られる成形体であって、
    当該成形体のASTM E1354に準じて測定される平均発熱量が65kW/m2以下、平均減光面積が1100m2/g以下であることを特徴とする難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. 融点30℃以下の成分が、錫系安定剤であることを特徴とする請求項1記載の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  3. 成形体のヘーズが20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
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