JP4490724B2 - 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP4490724B2
JP4490724B2 JP2004120819A JP2004120819A JP4490724B2 JP 4490724 B2 JP4490724 B2 JP 4490724B2 JP 2004120819 A JP2004120819 A JP 2004120819A JP 2004120819 A JP2004120819 A JP 2004120819A JP 4490724 B2 JP4490724 B2 JP 4490724B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
chloride resin
flame
less
tin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004120819A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005298766A (ja
Inventor
幹人 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Plastics Inc filed Critical Mitsubishi Plastics Inc
Priority to JP2004120819A priority Critical patent/JP4490724B2/ja
Publication of JP2005298766A publication Critical patent/JP2005298766A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4490724B2 publication Critical patent/JP4490724B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、優れた難燃性と透明性を有すると共に、カレンダープレス成形時における高い熱安定性を有し、その他の各種特性にも優れた塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂組成物は、分子中に塩素を含有するため、難燃性に優れており、また各種の添加剤を広い含有量で添加できるため、広範囲の機械的特性、耐熱性、成形性、耐候性を実現することができる。
このような特性を有する塩化ビニル系樹脂組成物の、特に硬質塩化ビニル系樹脂組成物の成形体は、航空機、船舶、車両等の輸送機内外装材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等;として広く使用されている。
しかし、塩化ビニル系樹脂組成物は、火災時等のように耐熱温度以上の高温に晒されると、分子内の塩素に起因して、塩素ガスや塩化水素ガス等の有毒ガスを発生すると共に、大量に発煙する。このため、種々の添加剤を使用し、有毒ガスの発生や、煙の発生を抑制することが試みられ、添加剤の種類や配合量を検討することがなされている。
ところで、塩素含有量の高い塩化ビニル系樹脂を使用する場合は、加工性(熱安定性)が悪く、通常の塩化ビニル系樹脂を使用する場合は、添加する配合剤が当該樹脂100重量部に対し9重量部以上、あるいは融点30℃以下の成分が5重量部以上添加されていると、難燃性、特に発煙性が悪くなる(すなわち、発煙量が多くなる)。
一方、通常の塩化ビニル樹脂の難燃性向上対策としては、無機系難燃剤の添加が一般に行われているが、これらの難燃剤を添加すると透明性が低下するという問題がある。
本発明は、以上の諸点を考慮し、塩化ビニル系樹脂中の塩素含有量の多寡に拘わらず、加工性が良好で、しかも難燃剤の配合を要することなく、従って透明性の低化を招くことなく、優れた難燃性(発煙性や有毒ガス発生性を含む)を有すると共に、カレンダープレス成形時における加工性(熱安定性)等を高めた塩化ビニル系樹脂組成物と、該組成物をカレンダープレス加工して得られる成形体とを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の難燃性塩化ビニル樹脂成形体は、後塩素化塩化ビニル系樹脂を混合した塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダープレス成形して得られる成形体であって、前記塩化ビニル系樹脂中の塩素をA重量%とし、該樹脂に、配合剤をB重量部配合し、前記配合剤中は、マレート系またはラウレート系錫系安定剤に、メルカプト系錫系安定剤を混合した錫系安定剤を必須成分として含み、かつ該配合剤中の融点30℃以下の成分をC重量部とし、A:B:C=1.0:0.113:0.040〜1.0:0.15:0.080の範囲にある。
また、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、ASTM≡E1354に準じて測定される平均発熱量(AHRR)が65kW/m2以下、平均減光面積(ASEA)が1100m2/g以下であることを特徴とし、JIS≡K7105に準じて測定されるヘーズが20%以下であってもよい。
本発明における塩化ビニル系樹脂としては、ホモポリマーのポリ塩化ビニル
の他に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体等のコポリマーをも使用することができ、これらを後塩素化したいわゆる後塩素化塩化ビニル系樹脂使用されこれらは重合度が400〜1100程度の硬質のものが適している。
これらの塩化ビニル系樹脂は、いずれかを単独であるいは適宜の組み合わせ
による2種以上を混合して使用することができ、単独使用の場合であっても、2種以上の混合使用の場合であっても、上記のA重量%は、塩化ビニル系樹脂の全使用量中の塩素含有量を意味する。
本発明では、これらの塩化ビニル系樹脂に、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の配合剤が配合され、上記のB重量部は、これらの配合剤の全添加量を意味する。
また、本発明では、上記配合剤中、融点30℃以下の成分としては、特定の錫系安定剤、特定の滑剤、可塑剤等が挙げられ、上記のC重量部は、これら融点30℃以下の成分の全添加量を意味する。
上記の融点30℃以下の成分は、錫系安定剤が好適である。
この融点30℃以下の錫系安定剤は、本発明の樹脂組成物のカレンダープレス成形時における動的熱安定性と静的熱安定性とを増加する作用を有する。これらの安定性が、穏やかな成形条件でのカレンダープレス成形の途上で、樹脂組成物調製時に該樹脂組成物中に発生している歪みが消失するのを防止する役割をなし、カレンダープレス成形体(板状体やシート状体)に歪みを残す。この歪みは、板状やシート状のカレンダープレス成形体を二次成形して種々の形状の成形体(二次成形体)に加工する際に消失する。この結果として、二次成形体の物性(特に、変形安定性)が良好なものとなる。
なお、上記の塩化ビニル系樹脂の安定剤としては、一般には、錫系安定剤や鉛系安定剤が使用されるが、本発明の樹脂組成物では、鉛系安定剤を使用すると、成形体の優れた透明性を確保することができなくなることに加え、鉛系安定剤は、環境保全の観点からも好ましくないため、本発明では、錫系安定剤を使用する。
錫系安定剤のなかでも、透明性や耐温水白化性の面からは、メルカプト系のものが有利であるが、メルカプト系のものは、耐候性を低下させたり、燃焼性を阻害しやすい。
これに対し、マレート系、ラウレート系の錫系安定剤は、透明性や耐温水白化性には劣るが、耐候性や燃焼性を阻害しにくい。
よって、これらの特徴を勘案し、本発明では、1種以上の錫系安定剤を適宜組み合わせて使用することが好ましい。
上記の錫系安定剤のうちで、融点30℃以下のものとしては、ジメチル錫ジメルカプト、ジブチル錫ジメルカプト、ジオクチル錫ジメルカプト等のジアルキル錫ジメルカプト;ジアルキル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジアルキル錫ビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジアルキル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)等のジアルキル錫ビス(メルカプト脂肪酸エルテル)及びその塩酸処理物;ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫ジマレート等のジアルキル錫ジマレート;ジアルキル錫ビス(モノアルキルマレート);ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等のジアルキル錫ジラウレートが好ましく使用できる。
融点30℃以上の錫系安定剤としては、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫βメルカプトプロピオネート、ジオクチル錫βメルカプトプロピオネート等があり、本発明では、これらも使用することができる。
また、滑剤としては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸類;ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類;カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の合成ワックス等を使用することができ、中でも、融点30℃以下の滑剤として、ブチルステアレート等が好ましく使用できる。
可塑剤は、液体であって、融点30℃以下の成分であり、本発明では、通常のジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート等が好ましく使用できる。
本発明では、上記のように、融点30℃以下の錫系安定剤と滑剤とが、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の動的熱安定性を高め、特に融点30℃以下の錫系安定剤は、動的熱安定性に加えて静的熱安定性をも高める作用をなすため、本発明の樹脂組成物のカレンダープレス成形性を向上させ、特にカレンダープレス成形体から得られる二次成形体の変形安定性を高めることができる。
本発明における加工助剤は、ポリアルキルメタクリレート類、ポリアルキルアクリレート類から選ばれる少なくとも一種であり、分子量20万〜500万程度のものが好ましく、より好ましくは分子量50万〜300万程度のものである。
このポリアルキルメタクリレート類としては、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−アルキルアクリレート共重合体(MMAの共重合比が100:0〜50:50のもの)等が挙げられ、ポリアルキルアクリレート類としては、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、中でも分子量50万〜300万程度でMMAの共重合比が100:0〜50:50のポリメチルメタクリレートやメチルメタクリレート−アルキルアクリレート共重合体が好ましい。
これらの加工助剤も、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー成形する際の加工性を向上する作用を有する。
本発明では、上記の錫系安定剤、滑剤、加工助剤の他に、衝撃改良剤や紫外線吸収剤、顔料・染料等の着色剤等が配合され、このうち衝撃改良剤としては、メチルメタアクリレート・ブタジエン・スチレン系共重合体、アクリレート系共重合体等が挙げられる。
また、紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が挙げられる。
さらに、顔料・染料等の着色剤としては、通常の塩化ビニル系樹脂組成物に配合する通常のものが使用できる。着色剤は、本発明において必須の成分ではなく、用途に応じて適宜の量で添加することができる。
そして、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、前述のA重量%,B重量部,C重量部が、A:B:C=1.0:0.113:0.040〜1.0:0.15:0.080の範囲にあることが重要である。
A重量%(以下、単に「A」と記す)すなわち前述の塩化ビニル系樹脂中の塩素の量(1.0)に対し、B重量部(以下、単に「B」と記す)すなわち前述の各種配合剤合計の量の比率が0.113未満であると、カレンダープレス成形性(カレンダープレス時の熱安定性はもとより加工性も)が低化するのみならず、樹脂中の塩素量に対して配合剤の量が少なくなりすぎ、万一、耐熱温度以上の高温に晒された際に、塩素含有ガスの発生を効果的に抑制することが困難になることがあり、0.15を超えてもこの効果は飽和する。
また、A(1.0)に対し、C重量部(以下、単に「C」と記す)すなわち上記B中の融点30℃以下の成分合計の量の比率が0.040未満であると、カレンダープレス成形時における動的熱安定性と静的熱安定性とが不十分となり、優れた特性(特に、前述した二次成形体の物性を良好にするための残留歪等)を有するカレンダープレス成形体を得ることができなくなり、0.080を超えると、成形体の難燃性が低化するのみならず、成形体から融点30℃以下の成分が一部吹き出すなどの不具合が出やすくなる。
以上のように、本発明は、熱安定性や加工性などのカレンダープレス成形性、成形体の難燃性や変形安定性あるいは透明性や配合剤の吹出し防止性、その他難燃性塩化ビニル系樹脂組成物に要求される種々の特性を考慮し、これらの特性を最適なのもとするために、該組成物におけるA、B、Cの配合比率を特定したものであり、本発明における配合比の範囲内であれば、難燃性には優れるものの、加工性が悪いとしてこれまで敬遠されていた後塩素化塩化ビニル系樹脂であっても、該樹脂単独で、あるいは一般の塩化ビニル系樹脂との混合樹脂として、本発明において、好適に使用することができる。
本発明における難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、所定量の塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、その他適宜の配合剤を、ブレンダーやヘンシェルミキサー等を用い混合して得ることができる。
このようにして得られる本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダープレス成形に適した組成物であり、本発明の成形体は、この組成物をカレンダープレス成形して得られるものであって、所定の評価基準による、所定の難燃性、透明性、その他の特性を有するものである。
難燃性は、ASTM E1354に準じて測定される平均発熱量(AHRR)が65kW/m2以下で、かつ平均減光面積(ASEA)が1100m2/g以下である。
従来、難燃性の指標の一つとして、産業相互保険組織(Factory Mutual System)が定める評価基準が有効に利用されてきた。
この評価基準は、Class Number 4910として挙げられているクリーンルーム材料の難燃性テスト(FMRC、Clean Room Materials Flammability Test Protocol)に基づいて測定された、難燃性を示す延焼指数(FPI)、発煙性を示す発煙指数(SDI)、腐食性ガス発生を示す腐食指数(CDI)等が指標(総じてFM規格とも記載する)とされている。
FM規格による評価値は、評価値を求める者が産業相互保険組織に試験片を提出し、産業相互保険組織がこの試験片を評価して得られる値である。従って、評価結果が得られるまでに時間を要し非効率的であった。
本発明においては、このようなFM規格による評価値に代えて、評価値を求める者が行うことができるASTM E1354に準じたコーンカロリメータを用いる燃焼試験により評価される値を難燃性の指標とするものである。
コーンカロリメータを用いた燃焼試験により評価される難燃特性は、単位面積および単位時間あたりの燃焼による発熱量の最大値(最大発熱量、PHRRとも記載する;単位:kW/m2)、平均値(平均発熱量、AHRRとも記載する;単位:kW/m2)、総発熱量(総発熱量、THRとも記載する;単位:MJ/m2)、質量減少率の平均値(質量減少率、AMLRとも記載する;単位:g/sec・m2)、減光面積の最大値(最大減光面積、PSEAとも記載する;単位:m2/g)、減光面積の平均値(平均減光面積、ASEAとも記載する;単位:m2/g)等を挙げることができる。
上記のFM規格による延焼指数(FPI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される最大発熱量(PHRR)、平均発熱量(AHRR)、総発熱量(THR)等の発熱量に関する評価値と強い相関を有する。
また、上記のFM規格による発煙指数(SDI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される最大減光面積(PSEA)、平均減光面積(ASEA)、等の減光面積に関する指標と強い相関を有する。
さらに、上記のFM規格による腐食指数(CDI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される質量減少率(AMLR)等の質量減少に関する指標と強い相関を有する。
従って、コーンカロリメータを用いて難燃性を評価することにより、FM規格の指標をも効果的に得ることができる。
FM規格においては、延焼指数(FPI)が6以下、発煙指数(SDI)が0.4以下と要求されている。
本発明では、このFM規格と同等以上の値を得るために、最大発熱量(PHRR)130kW/m2以下、平均発熱量(AHRR)82kW/m2以下、総発熱量(THR)100MJ/m2以下、質量減少率(AMLR)13g/sec・m2以下、最大減光面積(PSEA)1500m2/g以下、平均減光面積(ASEA)1200m2/g以下とすることが好ましい。中でも特に平均発熱量(AHRR)、平均減光面積(ASEA)が難燃性に対して支配的であるため、平均発熱量(AHRR)を65kW/m2以下、かつ平均減光面積(ASEA)を1100m2/g以下とすることが好適である。
また、本発明では、カレンダープレス成形体とした場合の透明性は、JIS K7105に準じて測定されるヘーズ値が20%以下とする。ヘーズ値が20%以下において、本発明で所望する優れた透明性を有する成形体とすることができる。
そして、本発明における難燃性塩化ビニル系樹脂組成物のカレンダープレス成形性は、当該組成物が熱安定性に優れているか否かが基準となる。
この熱安定性は、プラストミルでの動的熱安定性評価法によっての分解時間(例えば、200℃に昇温後、トルクが10%以上増加し始めた時間)で評価することができる。
本発明では、この分解時間が15分以上のものが適している。15分未満であると、成形時の安定性が低下することがある。
なお、分解時間の上限は、特に限定しないが、あまり長いと燃焼時の炭化が阻害され、発煙指数が高くなり、FM規格を満足できなくなることがあるため、本発明では30分程度までとする。
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダープレス成形が容易で、その成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、高い透明性を有し、耐薬品性も良好である。
このカレンダープレス成形体は、シートまたは板材等であって、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等の素材として好適に使用することができる。
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂中の塩素含有量の多寡に拘わらず、加工性が良好で、しかも難燃剤の配合を要することなく、従って透明性の低化を招くことなく、難燃性に優れるばかりでなく、カレンダープレス成形性に優れるため、この樹脂組成物を用いて得られるカレンダープレス成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、透明性も良好となる。
このため、特に硬質の塩化ビニル系樹脂を使用した本発明の樹脂組成物によるカレンダープレス成形体は、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材・内外装材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等の素材として好適である。
加えて、本発明の組成物は、カレンダープレス成形時の動的・静的熱安定性に優れるため、穏やかな成形条件のカレンダープレス成形の際にあっても、組成物中の歪は消失することはなく、この結果として、カレンダープレス成形体から得られる二次成形物の物性、特に変形防止性を優れたものとすることができる。
実施例1〜6、比較例1〜5
重合度800の塩化ビニル樹脂(塩化ビニルのホモポリマー)に対して、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、およびその他の配合剤を、表1,表2に示す割合で添加し、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
表1,2中、
数字:重量部、カッコ内の数値は重量比
塩化ビニル樹脂:重合度800のポリ塩化ビニル(大洋塩ビ社製商品名“TH−800”)
後塩素化塩化ビニル樹脂:塩素含有率65重量%のCPVC(徳山積水社製商品名“HA17F”)
後塩素化塩化ビニル樹脂:塩素含有率58重量%のCPVC(鐘淵化学工業社製商品名“H5811”)
錫系安定剤(融点:0℃以下):ジブチルスズマレート系(日東化成社製商品名“N−2000E”)
錫系安定剤(融点:120℃):ジブチルスズメルカプト系(日東化成社製商品名“PS300P”)
滑剤:ステアリルステアレート(ヘンケル社製商品名“G−32”、融点50℃)
加工助剤:メチルメタアクリレート系共重合体(三菱レイヨン社製商品名“メタプレンP550A”)
衝撃改良剤:メチルメタアクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(鐘淵化学社製商品名“カネエースB22”)
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカル社製商品名“チヌビンP”、融点130℃)
難燃剤:ヒドロキシ錫酸亜鉛(アルキャンケミカル社製商品名“Flamtard H”)
である。
Figure 0004490724
Figure 0004490724
実施例1〜6および比較例1〜5の組成物につき、各特性を下記の評価方法で評価し、この結果を表3,表4に示す。
難燃性:実施例1〜6および比較例1〜5の組成物を5mm厚の板状に成形し、この成形体について、アトラス社製コーンカロリメータを用い、ASTM E1354に準じ、AHRR(kW/m)とASEA(m/g)を測定した。
透明性の評価(ヘーズ):得られた5mm厚みの成形板について、JIS K7105に準拠してヘーズを測定した。
カレンダープレス加工性の評価:実施例1〜6および比較例1〜5の組成物について、プラストミルでの動的熱安定性評価法によって、200℃における分解時間(200℃に昇温後、トルクが10%以上増加し始めた時間)を測定した。
この分解時間は、15min以上を合格とした。15min未満であると、成形時の安定性が低下することがある(なお、分解時間の上限は、特に限定しないが、あまり高いと燃焼時の炭化が阻害され、発煙指数が高くなり、FM規格を満足できなくなることがあるため、30min程度とする)。
Figure 0004490724
Figure 0004490724
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダープレス成形が容易で、その成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、高い透明性を有し、耐薬品性も良好である。
このカレンダープレス成形体としては、シートまたは板材等があり、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材・内外装材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等として好適に使用することができるものである。

Claims (3)

  1. 後塩素化塩化ビニル系樹脂を混合した塩化ビニル系樹脂中の塩素をA重量%とし、前記樹脂に、錫系安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤および可塑剤より選択された配合剤(ただし、該配合剤中の前記錫系安定剤は必須成分である)をB重量部配合し、前記錫系安定剤は、マレート系またはラウレート系錫系安定剤に、メルカプト系錫系安定剤を混合した安定剤であり、かつ前記配合剤中の融点30℃以下の成分をC重量部とし、A:B:C=1.0:0.113:0.040〜1.0:0.15:0.080の範囲にある難燃性塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダープレス成形して得られる成形体であって、当該成形体のASTM≡E1354に準じて測定される平均発熱量が65kW/m2以下、平均減光面積が1100m2/g以下であることを特徴とする難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. 融点30℃以下の成分が、錫系安定剤であることを特徴とする請求項1記載の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  3. 成形体のヘーズが20%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
JP2004120819A 2004-04-15 2004-04-15 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体 Expired - Lifetime JP4490724B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004120819A JP4490724B2 (ja) 2004-04-15 2004-04-15 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004120819A JP4490724B2 (ja) 2004-04-15 2004-04-15 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005298766A JP2005298766A (ja) 2005-10-27
JP4490724B2 true JP4490724B2 (ja) 2010-06-30

Family

ID=35330695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004120819A Expired - Lifetime JP4490724B2 (ja) 2004-04-15 2004-04-15 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4490724B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5270116B2 (ja) * 2007-06-29 2013-08-21 タキロン株式会社 塩化ビニル系樹脂成形体
JP6727769B2 (ja) * 2015-07-31 2020-07-22 東リ株式会社 浴室用内装シート
KR102578301B1 (ko) * 2017-09-27 2023-09-13 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 성형용 수지 조성물

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0328252A (ja) * 1989-03-31 1991-02-06 Takiron Co Ltd 硬質ポリ塩化ビニル樹脂系透光材
JPH09143301A (ja) * 1995-11-27 1997-06-03 Mizusawa Ind Chem Ltd 樹脂用配合剤及び樹脂組成物
JPH10338786A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2001115331A (ja) * 1999-10-14 2001-04-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ポリ塩化ビニル系繊維
JP2001192520A (ja) * 1999-07-16 2001-07-17 Takiron Co Ltd 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP2002226659A (ja) * 2001-02-01 2002-08-14 Takiron Co Ltd 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP2005255741A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0328252A (ja) * 1989-03-31 1991-02-06 Takiron Co Ltd 硬質ポリ塩化ビニル樹脂系透光材
JPH09143301A (ja) * 1995-11-27 1997-06-03 Mizusawa Ind Chem Ltd 樹脂用配合剤及び樹脂組成物
JPH10338786A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2001192520A (ja) * 1999-07-16 2001-07-17 Takiron Co Ltd 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP2001115331A (ja) * 1999-10-14 2001-04-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ポリ塩化ビニル系繊維
JP2002226659A (ja) * 2001-02-01 2002-08-14 Takiron Co Ltd 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP2005255741A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005298766A (ja) 2005-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5017637A (en) Low toxicity fire retardant thermoplastic material
US5013782A (en) Flame retardant rigid or flexible chlorine-containing resin composition
JP2001510872A (ja) 難燃性ポリオレフィン組成物
JP4490724B2 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物および成形体
EP2785790B1 (en) Stabilized compositions of halogenated polymers
EP1013713A1 (en) Flame retardant polymer composition
JP4402936B2 (ja) 押出成形体
JP2002226659A (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP4490706B2 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体
CN111372991B (zh) 阻燃聚(氯乙烯)复合物
JP4488578B2 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
US6316118B1 (en) Fire-retardant vinyl chloride resin molding
JP2008208250A (ja) 塩化ビニル系樹脂成形体
JP4209735B2 (ja) 耐温水白化性の透明で難燃性の塩化ビニル系樹脂積層体
JP2002053726A (ja) 難燃性塩化ビニル樹脂組成物、難燃性塩化ビニル樹脂成形品および難燃性塩化ビニル樹脂組成物の製造方法
JPH0155295B2 (ja)
JP2021109884A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物および成形体
JPS62285940A (ja) 軟質難燃樹脂組成物
JP2833706B2 (ja) 焼結性樹脂組成物
JPS6316422B2 (ja)
JP4558894B2 (ja) 難燃性塩化ビニル樹脂成形体
JP2001226548A (ja) 塩素含有樹脂組成物及び塩素捕捉剤組成物
JPH08208925A (ja) 塩化ビニル系化粧シート
JPS6181462A (ja) ハロゲン含有樹脂組成物
JP3777449B2 (ja) 難燃性透明塩化ビニル樹脂成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090512

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100330

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100402

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4490724

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350