JP5270116B2 - 塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な光学特性、特に透明性と難燃性とを兼ね備えた塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
塩化ビニル樹脂は、成形性が良く、機械的強度や耐食性を有し、安価で、成形性に富むため、あらゆる分野の材料として広く使用されており、例えば、耐食工業用材料として半導体製造装置や液晶製造装置などにも賞用されている。
しかしながら、塩化ビニル樹脂は塩素を含むため、難燃性を有するとはいうものの、200℃以上の雰囲気に長時間接すると熱分解を起こし、発煙を生じると共に、塩素ガスや塩化水素ガスなどの腐食性ガスを発生する。そして、600℃以上の高温に晒されると、着火して燃焼する。そのため、塩化ビニル樹脂を使用した装置が火災にあうと、発生する煙や腐食性ガスによって精密機器類や製品等が侵され、使用不能になる恐れがあった。
上記のような事情から、難燃性を向上させた塩化ビニル樹脂成形体の研究、開発が行われるようになり、本出願人も、良好な難燃性と光学特性(特に透明性)を兼ね備えた塩化ビニル樹脂成形体を開発して既に出願した(特許文献1)。
即ち、この塩化ビニル樹脂成形体は、(1)塩素化度が56〜57%の塩化ビニル樹脂の芯層の両面に、塩素化度が62〜66%の高塩素化塩化ビニル樹脂の表面層を積層一体化することにより、成形体中に塩素が56〜59重量%含有された積層構造の塩化ビニル樹脂成形体とするか、或いは、(2)塩素化度が56〜57%の塩化ビニル樹脂と塩素化度が64%以上の高塩素化塩化ビニル樹脂とを混合した塩素化度が61〜63.5%の混合樹脂を用いて、成形体中に塩素が56〜59重量%含有された単層構造の塩化ビニル樹脂成形体としたものであって、いずれの成形体も、ISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させたときの最大発熱速度が140kW/m以下であり、良好な難燃性を備えていた。そして、前者の積層構造の塩化ビニル樹脂成形体は、青色顔料を含んでいても、厚さ5mmのときの全光線透過率が70〜80%、ヘーズが3〜5%であり、良好な透明性を兼ね備えていた。
特開2005−15620号公報
しかしながら、上記特許文献1の塩化ビニル樹脂成形体のうち後者の単層構造の成形体は、溶融混練時における塩化ビニル樹脂と高塩素化塩化ビニル樹脂の粘度の差が大きすぎると、塩化ビニル樹脂と高塩素化塩化ビニル樹脂が均一に充分混ざりにくいため、成形体に白いスジが発生し、それによって成形体の全光線透過率が低下すると共にヘーズが上昇して、成形体の透明性が前者の積層構造の成形体よりも低下するという問題があった。
このような透明性の低下の問題について本発明者が種々検討した結果、加工助剤としてアクリル系加工助剤を選択し、このアクリル系加工助剤を配合すると、成形体の透明性を向上させることができるという事実を見出した。けれども、アクリル系加工助剤を多量に配合すると、成形体の難燃性が低下するという新たな問題が生じてきた。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、良好な難燃性と光学特性、特に透明性とを兼ね備え、工業用材料、特に半導体製造装置や液晶製造装置などの材料として好適に使用される塩化ビニル系樹脂成形体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る塩化ビニル系樹脂成形体は、塩素化度56.8%の塩化ビニル樹脂(A)と塩素化度57〜68%の塩素化塩化ビニル樹脂(B)との混合樹脂を主成分とする透光性の塩化ビニル系樹脂成形体であって、混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)の占める比率が60質量%よりも大きく、成形体全体に占める塩素含有率が53.5〜56.4質量%であり、
塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度が650〜850で、塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度が430〜750であり、
塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度P (B) と塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度P (A) との比P (B) /P (A) が0.51〜1.15であり、
混合樹脂100質量部に対しアクリル系加工助剤が0.1〜2質量部の割合で添加されており、
JIS K 7199の試験方法A2に準拠して温度が180℃、剪断速度が1200/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mm、L/Dが10の条件下に測定した塩素化塩化ビニル樹脂(B)の見掛けの粘度ηap(B)と塩化ビル樹脂(A)の見掛けの粘度ηap(A)との粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5であり、
上記混合樹脂を主成分とする複数枚のカレンダーシートを重ねて熱圧着して得られるものであることを特徴とするものである。
ここに「塩素化度56.8%の塩化ビニル樹脂」とは、市販されている一般的な塩化ビニル樹脂のことであり、かかる一般的な塩化ビニル樹脂は、通常、その塩素化度が±0.5%の範囲で増減しているので、塩素化度が56.8±0.5%の範囲にある市販の一般的な塩化ビニル樹脂を全て包含するものである。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、前記混合樹脂を主成分とする複数枚のカレンダーシートを重ねて熱圧着して得られるものであり、その厚さが5mmのときの全光線透過率が90%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が20以下であって、優れた透明性を有している。そして、青色顔料を含んだものでも、厚さが5mmのときの全光線透過率が60%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が0以下であり、良好な透明性を有している。しかも、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、ISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させたときの最大発熱速度が140kW/m以下、最大発煙濃度が7.0/m以下であり、充分な難燃性を兼ね備えている。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体のように、塩素化度57〜68%の塩素化塩化ビニル樹脂(B)の見掛けの粘度ηap(B)と、塩素化度56.8%の塩化ビニル樹脂(A)の見掛けの粘度ηap(A)との粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5であると、溶融混練時の双方の塩化ビニル樹脂(A),(B)の溶融粘度の差がそれほど大きくないので、均一に充分混合することが可能となり、このように均一に混合された混合樹脂で塩化ビニル系樹脂成形体を製造すると、混合不良による白いスジが成形体に実質的に発生しなくなる。そのため、成形体の全光線透過率の低下やヘーズの上昇がなくなり、上記のように厚さが5mmのときの全光線透過率が90%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が20以下という優れた透明性を有する塩化ビニル系樹脂成形体や、青色顔料を含んでいても全光線透過率が60%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が0以下という良好な透明性を有する塩化ビニル系樹脂成形体を得ることが可能となる。しかも、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、成形体全体に占める塩素含有率が53.5〜56.4質量%と高いため、上記のようにISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させたときの最大発熱速度が140kW/m以下、最大発煙濃度が7.0/m以下という充分な難燃性を兼ね備えている。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体において、混合樹脂100質量部に対しアクリル系加工助剤を0.1〜2質量部の割合で添加したものは、難燃性を実質的に低下させることなく透明性を更に向上させることが可能となる。また、混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)の占める比率が60質量%よりも大きい成形体は、塩化ビニル樹脂(A)が塩素化塩化ビニル樹脂(B)より二次加工性が良い。
また、塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度P(B)と塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度P(A)との比P(B)/P(A)が0.51〜1.15である成形体や、塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度が650〜850、塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度が430〜750である成形体は、前記の粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5の範囲にあり、溶融混練性が良好であるため、優れた透明性と充分な難燃性を兼ね備えている。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る塩化ビニル系樹脂成形体の断面図である。
図1に示す塩化ビニル系樹脂成形体1は、塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)との混合樹脂を主成分とするカレンダーシート1aを複数枚重ねて熱圧着一体化することにより製造された透光性の単層板状の成形体であって、この塩化ビニル系樹脂成形体1(カレンダーシート1a)には、成形に必要な錫系安定剤や、透明性を高める上で好ましいアクリル系加工助剤が含有されている。また、この塩化ビニル系樹脂成形体1には、アクリル系加工助剤に代えてシリコーン系加工助剤が含有されたり、塩素化ポリエチレンや、MBS(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の補強剤や、黄変度を下げるための青色顔料や、紫外線吸収剤、滑剤などの添加剤が含有されていてもよい。
混合樹脂の一方の成分である塩化ビニル樹脂(A)としては、市販されている塩素化度が56.8%(現実には56.8±0.5%)の一般的な塩化ビニル樹脂が使用され、その中でも、平均重合度が650〜850であるものが好ましく使用される。
また、混合樹脂の他方の成分である塩素化塩化ビニル樹脂(B)としては、塩素化度が57〜68%の塩素化塩化ビニル樹脂が使用され、その中でも、平均重合度が430〜750であるものが好ましく使用される。
上記の塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)との混合樹脂は、JIS K 7199のプラスチック−キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れ特性試験方法の試験方法A2に準拠して、温度が180℃、剪断速度が1200/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mm、L/Dが10の条件下に測定した塩化ビニル樹脂(A)の見掛けの粘度ηap(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)の見掛けの粘度ηap(B)を考慮し、両者の粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5となるように、平均重合度の種々異なる塩化ビニル樹脂(A)と、平均重合度及び塩素化度の種々異なる塩素化塩化ビニル樹脂(B)とを組み合わせて混合する必要がある。
混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)が上記粘度比の範囲内に含まれる組合わせであると、溶融混練時の両樹脂の溶融粘度の差がそれほど大きくなく混練性が良好であるため、両樹脂を均一に充分混合することが可能となり、このように均一に混合された混合樹脂のカレンダーシート1aを用いて塩化ビニル系樹脂成形体1を製造すると、白いスジの発生が実質的になくなるので、厚さが5mmのときの全光線透過率が90%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が20以下、好ましくは20〜0という優れた透明性を有する塩化ビニル系樹脂成形体や、青色顔料を含んでいても全光線透過率が60%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が0以下という良好な透明性を有する塩化ビニル系樹脂成形体を得ることが可能となる。けれども、混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)が上記粘度比の範囲を逸脱するような組合わせであると、溶融混練時の両樹脂の溶融粘度の差が大きすぎて、混練が不十分となるため、成形体に白いスジが発生して透明性が低下し、本発明の目的を達成することが困難になる。
塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)のより好ましい粘度比ηap(B)/ηap(A)の範囲は1.18〜1.46であり、この範囲に含まれるように塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)を組合わせて混合すると、両樹脂の混練性が更に良くなるため、白いスジが完全に消えて透明性に優れた成形体を得ることが可能となる。
また、混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)は、塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度P(B)と塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度P(A)との比P(B)/P(A)が0.51〜1.15となるように、両樹脂の平均重合度を考慮して組合わせることが好ましい。塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度P(A)が既述したように650〜850の範囲内にあり、塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度P(B)が既述したように430〜750の範囲内にあって、両樹脂の平均重合度の比P(B)/P(A)が上記の範囲に含まれる混合樹脂は、その粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5の範囲にあるので混練性が良好であり、優れた透明性を有する塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができる。尚、平均重合度が850を超える塩化ビニル樹脂(A)や、平均重合度が750を超える塩素化塩化ビニル樹脂は、混練性の低下を招く恐れがあり、特に平均重合度が1000以上の塩化ビニル樹脂(A)は、混練時に高い成形温度を必要とするため、黄変度を高める傾向があるので、好ましくない。
混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)の占める比率は60質量%より大きくすることが好ましい。塩素化度が56.8%の塩化ビニル樹脂(A)は、塩素化度が57〜68%と高い塩素化塩化ビニル樹脂(B)よりも容易に入手できるので、このように塩化ビニル樹脂(A)が60質量%よりも多く混合されていると、例えば、前記特許文献1の塩化ビニル樹脂成形体のように塩素化度が56.8%の塩化ビニル樹脂を60質量%以下含んだものに比べて、カレンダーシートの作製や熱圧着時における作業性、成形性が良好であるので、塩化ビニル樹脂(A)が60質量%よりも多く混合されていると、これらの作業性や成形性もよく、また二次加工性も良い。
以上のような混合樹脂を主成分とし、錫系安定剤やアクリル系加工助剤などを配合して塩化ビニル系樹脂成形体全体に占める塩素含有率が53.5〜56.4質量%となるように、混合樹脂の含有量や、混合樹脂中の塩素化塩化ビニル樹脂の占める割合、塩素化度などを決定する必要がある。成形体全体に占める塩素含有率が上記の範囲内にあると、充分な難燃性が発揮され、ISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させたときの最大発熱速度が140kW/m以下に、最大発煙濃度が7.0/m以下に抑えられる。けれども、塩素含有率が53.5質量%を下回ると、成形体の難燃性の低下を招く心配があり、また、塩素含有率が56.4質量%を上回ると、耐薬品性などの低下を招く心配があるので、いずれも好ましくない。
この塩化ビニル系樹脂成形体1には、熱安定剤として錫系安定剤を含有させることが必要であり、透明な成形体を得ることができない鉛系安定剤は使用不可である。錫系安定剤の含有量は、混合樹脂100質量部に対して3〜10質量部とし、樹脂の劣化と透明性の低下を防止するのが良い。
また、この塩化ビニル系樹脂成形体1には、透明性を高めるのに有用なアクリル系加工助剤を含有させることが好ましい。アクリル系加工助剤としては、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸アルキル共重合体などが使用される。アクリル系加工助剤の含有量は、混合樹脂100質量部に対して0.1〜2質量部の範囲とすることが好ましく、この含有量の範囲内であれば、成形体の難燃性を実質的に低下させることなく透明性を向上させることができる。アクリル系加工助剤の含有量が0.1質量部未満では、成形性、透明性の向上効果が殆どなく、逆に、2質量部より多くなると、後述する実施例のデータに示すように、成形体の難燃性が低下して最大発熱速度が140kW/mを超え、最大発煙濃度が7.0/mを超えるようになる。アクリル系加工助剤の更に好ましい含有量は、0.2〜1質量部の範囲である。
更に、この塩化ビニル系樹脂成形体1には青色顔料を添加し、成形体製造時の樹脂の熱劣化で生じる黄色味を青色顔料で補色、相殺して、零ないしマイナスの黄変度を有する成形体としてもよい。青色顔料としては、群青、フタロシアニンブルー系顔料、アンスラキノン系顔料などが好ましく使用され、その含有量は、混合樹脂100質量部に対して0.002〜0.02質量部、好ましくは0.005〜0.015の範囲である。青色顔料を上記の含有量で含有させると、成形体の透明性はある程度低下するが、それでも厚さが5mmのときの全光線透過率が60%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が0以下、好ましくは0〜−40という良好な透明性を備えた成形体となる。
その他、この塩化ビニル系樹脂成形体1には、シリコーン系加工助剤を添加したり、塩素化ポリエチレンや、MBS(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の補強剤を添加することも可能であるが、シリコーン系加工助剤を添加する場合や塩素化ポリエチレンを添加する場合は、透明性が大幅に低下し、MBSを添加する場合は、難燃性が低下するので、好ましくない。
以上のような単層板状の塩化ビニル系樹脂成形体1は、前述した塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)との混合樹脂に、錫系安定剤、アクリル系加工助剤、必要に応じて青色顔料などを混合して調製した混合樹脂組成物を用いてカレンダーシート1aを作製し、このカレンダーシート1aを複数枚重ねて熱プレス機で熱圧着一体化することにより、容易に製造することができる。また、上記の混合樹脂組成物を、溶融押出成形機から板状に押出成形することによって、容易に製造することができる。
次に、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の更に具体的な実施例を挙げる。
(実施例1〜17)
塩素化塩化ビニル樹脂として、(a)平均重合度700(塩素化度63.5%、見掛けの粘度1.72×10ポイズ)、(b)平均重合度700(塩素化度64.5%、見掛けの粘度1.74×10ポイズ)、(c)平均重合度800(塩素化度66.5%、見掛けの粘度2.20×10ポイズ)、(d)平均重合度600(塩素化度64.5%、見掛けの粘度1.58×10ポイズ)、(e)平均重合度480(塩素化度63.0%、見掛けの粘度1.18×10ポイズ)の5種類を準備した。
そして、塩化ビニル樹脂として、(f)平均重合度800(塩素化度56.8%、見掛けの粘度1.34×10ポイズ)、(g)平均重合度1000(塩素化度56.8%、見掛けの粘度1.74×10ポイズ)、(h)平均重合度1300(塩素化度56.8%、見掛けの粘度1.75×10ポイズ)の3種類を準備した。
また、錫系安定剤と、アクリル系加工助剤(メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体)と、シリコーン系加工助剤と、塩素化ポリエチレン(塩素化度30%)と、MBS(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体)補強剤と、アンスラキノン系顔料も準備した。
尚、上記の塩素化塩化ビニル樹脂及び塩化ビニル樹脂の見掛けの粘度は、JIS K 7199のプラスチック−キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れ特性試験方法A2に準拠して、温度が180℃、剪断速度が1200/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mm、L/Dが10の条件下に測定した値であり、平均重合度は、JIS K6720−2に準拠して測定した値である。
表1、表2の実施例1〜17に示す組成の混合樹脂組成物を用いて、それぞれ厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製し、それぞれのカレンダーシートを10枚ずつ重ねて熱プレス機で熱圧着一体化することにより、実施例1〜17の透明な塩化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)をそれぞれ作製した。
そして、実施例1〜17の塩化ビニル系樹脂板について、樹脂板全体に占める塩素含有率を算出すると共に、塩化ビニル樹脂(A)と塩素化塩化ビニル樹脂(B)との見掛けの粘度比ηap(B)/ηap(A)を算出した。その値を表1、表2に記載する。
次いで、実施例1〜17の塩化ビニル系樹脂板について、ヘーズと、全光線透過率と、黄変度を測定した。その測定値を表1、表2に記載する。
尚、ヘーズは、JIS K7136のプラスチック−透明材料のヘーズの求め方に準拠して測定した値であり、全光線透過率はJIS K7361−1のプラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第一部シングルビーム法に準拠して測定した値であり、黄変度はJIS K7373のプラスチック−黄色度及び黄変度の求め方に準拠して測定した値である。
また、実施例1〜17の塩化ビニル系樹脂板について、白いスジの有無を肉眼で調べた。その結果、白いスジの有無を肉眼では、確認されなかった。
更に、実施例1〜17の塩化ビニル系樹脂板について、ISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させたときの最大発熱速度と最大発煙濃度を測定した。その結果を表1、表2に記載する。
(比較例1〜3)
比較のために、表2の比較例1〜3に示す組成の混合樹脂組成物を用いて、それぞれ厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製し、それぞれのカレンダーシートを10枚ずつ重ねて熱プレス機で熱圧着一体化することにより、比較例1〜3の塩化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)をそれぞれ作製した。
そして、これらの塩化ビニル系樹脂板について、実施例1〜17と同様して、樹脂板全体に占める塩素含有率と見掛けの粘度比ηap(B)/ηap(A)を算出すると共に、ヘーズと、全光線透過率と、黄変度と、最大発熱速度と、最大発煙濃度を測定した。その結果を表2に併記する。また、白いスジの有無について肉眼で観察した結果、比較例1,2の塩化ビニル系樹脂板には白いスジが確認されたが、比較例3の塩化ビニル系樹脂板には白いスジが確認されなかった。
Figure 0005270116
Figure 0005270116
表1、表2に示すように、実施例1〜17の塩化ビニル系樹脂板はいずれも、混合樹脂中の塩素化塩化ビニル樹脂(B)と塩化ビニル樹脂(A)との見掛けの粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5の範囲内にあり、樹脂板全体に占める塩素含有率も53.5〜56.4質量%の範囲内にある。
そのため、難燃性に悪影響を与えるMBS補強剤を含んだ実施例11の塩化ビニル系樹脂板を除いて、他の実施例の塩化ビニル系樹脂板は良好な難燃性を備えており、最大発熱速度が140kW/m以下、最大発煙濃度が7.0/m以下である。また、実施例1〜17の塩化ビニル系樹脂板は、いずれも白いスジが実質的に発生してなく、透明性に悪影響を与えるシリコーン系加工助剤や塩素化ポリエチレンを含んだ実施例13,14の塩化ビニル系樹脂板と、アンスラキノン系顔料を含んだ実施例7〜10の塩化ビニル系樹脂板と、アクリル系加工助剤を含まない実施例12の塩化ビニル系樹脂板を除いて、他の実施例の塩化ビニル系樹脂板は優れた透明性を備えており、ヘーズが5%以下、全光線透過率が90%以上である。そして、アンスラキノン系顔料を含んだ実施例7〜10の塩化ビニル系樹脂板でも、ヘーズが3.7〜3.9%、全光線透過率が74.1〜82.8%であり、良好な透明性を備えている。アクリル系加工助剤を含まない実施例12の塩化ビニル系樹脂板と、アクリル系加工助剤を0.1質量部含んだ実施例11の塩化ビニル系樹脂板を対比すると、アクリル系加工助剤が透明性の向上、特にヘーズの低下に有効であることが分かる。
また、黄変度は、平均重合度1000の塩化ビニル樹脂や平均重合度1300の塩化ビニル樹脂を混合した実施例2,3,5の塩化ビニル系樹脂板を除いて、他の実施例の塩化ビニル系樹脂板が19.1〜16.5であり、特に、アンスラキノン系顔料を含んだ実施例7〜10の塩化ビニル系樹脂板は−1.1〜−31であって、透明ないし若干の青味を有するガラスのような色相を呈している。このことから、アンスラキノン系顔料が黄変度の低下に極めて有効であることが分かるし、平均重合度の高い塩化ビニル樹脂が黄変度に悪影響を与えることが分かる。
一方、比較例1〜3の塩化ビニル系樹脂板はいずれも、樹脂板全体に占める塩素含有率が53.5〜56.4質量%の範囲内にあるが、混合樹脂中の塩素化塩化ビニル樹脂(B)と塩化ビニル樹脂(A)との見掛けの粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5の範囲外にある。そのため、難燃性を低下させるアクリル加工助剤を2質量部よりも多量に含んだ比較例3の塩化ビニル系樹脂板を除いて、比較例1,2の塩化ビニル系樹脂板は優れた難燃性を備えているが、白いスジが発生しているため、透明性があまり良くなく、ヘーズが8.0〜8.8%、全光線透過率が66〜88%である。このことから、塩素含有率が53.5〜56.4質量%の範囲内にあると、優れた難燃性を発現するが、塩素化塩化ビニル樹脂(B)と塩化ビニル樹脂(A)との見掛けの粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5の範囲外にあると、透明性が低下し、全光線透過率が90%よりも減少すると共に、ヘーズが5%よりも高くなるとこが分かる。
そして、アクリル加工助剤を2質量部よりも多量に含んだ比較例3の塩化ビニル系樹脂板は優れた透明性を備えているが、難燃性が大幅に低下して、最大発熱速度が162kW/m、最大発煙濃度が13.4/mとなっている。このことから、アクリル加工助剤は透明性の向上に極めて有効であるが、2質量部よりも多量に含有させると、難燃性を大幅に低下させることが分かる。
本発明の一実施形態に係る塩化ビニル系樹脂成形体の断面図である。
符号の説明
1 塩化ビニル系樹脂成形体
1a カレンダーシート

Claims (4)

  1. 塩素化度56.8%の塩化ビニル樹脂(A)と塩素化度57〜68%の塩素化塩化ビニル樹脂(B)との混合樹脂を主成分とする透光性の塩化ビニル系樹脂成形体であって、混合樹脂中の塩化ビニル樹脂(A)の占める比率が60質量%よりも大きく、成形体全体に占める塩素含有率が53.5〜56.4質量%であり、
    塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度が650〜850で、塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度が430〜750であり、
    塩素化塩化ビニル樹脂(B)の平均重合度P (B) と塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度P (A) との比P (B) /P (A) が0.51〜1.15であり、
    混合樹脂100質量部に対しアクリル系加工助剤が0.1〜2質量部の割合で添加されており、
    JIS K 7199の試験方法A2に準拠して温度が180℃、剪断速度が1200/s、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが10mm、L/Dが10の条件下に測定した塩素化塩化ビニル樹脂(B)の見掛けの粘度ηap(B)と塩化ビル樹脂(A)の見掛けの粘度ηap(A)との粘度比ηap(B)/ηap(A)が0.7〜1.5であり、
    上記混合樹脂を主成分とする複数枚のカレンダーシートを重ねて熱圧着して得られるものであることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. 厚さが5mmのときの全光線透過率が90%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が20以下である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  3. 青色顔料を含み、厚さが5mmのときの全光線透過率が60%以上、ヘーズが5%以下、黄変度が0以下である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  4. ISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させたときの最大発熱速度が140kW/m以下、最大発煙濃度が7.0/m以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
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