JP2008074927A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなどの建築部材や、照明具などの保護カバーなどに必要な光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有し、耐候性も良好なフレーク状ガラスを使用した成形体及びその製造方法を提供。
【解決手段】透明な熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%のフレーク状ガラスを配合した樹脂組成物を成形して得られる透光性でありながら光拡散性の成形体であって、フレーク状ガラスは、5〜50μmの平均粒径を有し、かつ、成形体中に成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有する成形体;平均粒径5〜50μmのフレーク状ガラスを熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%配合し溶融混練した後、得られたマスターバッチを所定の形状に成形して、フレーク状ガラスが成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有した成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法によって提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形体及びその製造方法に関し、より詳しくは、採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなどの建築部材や、照明具などの保護カバーなどに必要な光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有し、耐候性も良好なフレーク状ガラスを使用した成形体及びその製造方法に関する。
ビルや住宅のガラス窓では、材料が一般に透明なガラス板であるため内側、外側いずれからもガラス窓に近接した物体が容易に視認できる。これに対して、採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなどの建築部材や、照明具などの保護カバーなどの用途では、プライバシー保護、意匠性、屋内に柔らかい光を取り入れるために、光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有することが求められ、透明な樹脂をマトリックスとして、これに有機又は無機フィラーを配合し、この樹脂組成物を所定の形状に成形することが提案されている。
具体的にはポリカーボネート樹脂に代表される透明マトリクス樹脂中に透明高分子粒子、無機粒子などを分散させ、透明マトリクス樹脂と透明マトリクス樹脂中に分散された粒子との屈折率の差を利用する方法が知られている。
その一例として、熱線遮断効果に優れた半透明なポリカーボネ―ト樹脂からなる採光用板状体が提案され(特許文献1参照)、ポリカーボネ―ト樹脂中に酸化チタンで被覆された雲母を分散させた成形体が開示されている。しかしながら、この成形体では、光拡散性を高くすると、これに反比例して透光性が低くなってしまう。また酸化チタンの光触媒作用により透明マトリクス樹脂の劣化が促進され、機械的強度の低下、意匠性の悪化が懸念される。
また、照明器具カバーのように、内部の電球が点灯していないときには外部から見えない半透明な熱可塑性物品が提案され(特許文献2参照)、透明なポリカーボネートなどのマトリックス樹脂中に、それとは異なる屈折率を有する架橋PMMA粒子などの球状の高分子透明微粒子を分散させた成形体が開示されている。また、照明器具カバーのほか、看板や液晶用バックライト拡散板を製造するための材料が提案され(特許文献3参照)、ポリカーボネート樹脂をベースとして、この中にビーズ状の架橋PMMA粒子とガラス繊維を所定の比率で分散させた組成物が開示されている。
ところが、特許文献2の熱可塑性物品では、その全光線透過率を85%以上にするとヘイズが40%以下となってしまう場合があり、一方、特許文献3の成形体用組成物を用いて、光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有する成形体を得ようとすれば、ポリカーボネート樹脂に対して架橋PMMA粒子とガラス繊維を多量に配合しなければならず、このためポリカーボネート樹脂が有する耐候性、耐衝撃性を維持することが難しく成形体の特性に支障をきたす恐れがあった。
さらに、これらの用途において、成形体に光拡散性と透光性だけでなく、難燃性を備える成形体が提案され(特許文献4参照)、ポリカーボネート樹脂中に、有機酸アルカリ(土類)金属塩、高分子透明微粒子とフルオロポリマーを所定の比率で含有する組成物を成形した成形体が開示されている。しかし、成形体に難燃性を付与することができても、光拡散性を高くすると、これに反比例して透光性が低くなることがあった。また、高分子透明微粒子としてPMMA粒子を使用しているため、成形条件によっては成形体を製造する際に熱、或いはせん断力等の作用により、PMMA粒子自体が劣化することがあった。
このようなことから、所望の光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有するとともに、配合成分によって透明マトリクス樹脂を劣化させることがない成形体が求められていた。
特開平2−173060号公報 特表2002−529569号公報 特開平10−36655号公報 特開2006−143949号公報
本発明の目的は、上記課題に鑑み、採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなどの建築部材や、照明具などの保護カバーなどに必要な光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有し、耐候性も良好なフレーク状ガラスを使用した成形体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行ない、ガラスと熱可塑性樹脂を主成分とする成形体において、ガラス成分として特定の粒径を有するフレーク状ガラスが熱可塑性樹脂中で均一に分散されると特有な光学的作用を示すことに着目し、フレーク状ガラスを含む樹脂組成物を、フレーク状ガラスが成形体単位面積あたり特定の割合で含有されるように成形することで、光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有する成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、透明な熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%のフレーク状ガラスを配合した樹脂組成物を成形して得られる透光性でありながら光拡散性の成形体であって、フレーク状ガラスは、5〜50μmの平均粒径を有し、かつ、成形体中に成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有することを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、フレーク状ガラスが、SiOを50〜65モル%、Alを4〜12モル%、SrOを5〜25モル%、MgOを15モル%以下、CaOを10〜35モル%及びアルカリ金属酸化物を2モル%以下含有するガラス粉末であることを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、フレーク状ガラスが、平均厚さ0.1〜5.0μm、かつ平均アスペクト比2〜50であることを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、又はポリオレフィン樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする成形体が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、その全光線透過率が60%以上、かつヘイズが80%以上であることを特徴とする成形体が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜5の発明に係り、平均粒径5〜50μmのフレーク状ガラスを熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%配合して溶融混練した後、得られたマスターバッチを所定の形状に成形して、フレーク状ガラスが成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有した成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、マスターバッチに、さらに前記と同じ熱可塑性樹脂、またはこれと相溶性を有する熱可塑性樹脂からなる成形材料を添加して混練することを特徴とする成形体の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第6の発明において、マスターバッチが、射出成形、押出成形、圧縮成形、または回転成形から選ばれるいずれかの方法で成形されることを特徴とする成形体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第6の発明において、マスターバッチが採光用窓材、カーポート用部材、又は照明具用保護部材のいずれかの形状に成形されることを特徴とする成形体の製造方法が提供される。
本発明の成形体は、ガラス成分として特定の粒径を有するフレーク状ガラスを用いており、このフレーク状ガラスを熱可塑性樹脂に対して特定の含有量となるように混合し、成形体単位面積あたり特定の割合となるように均一に分散させているので、成形光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有している。
加えて、使用中に受ける日光や紫外線などに対する耐候性も良好である。したがって、採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなどの建築部材や、照明具などの保護カバーなどに機械的強度などの性能を持たせるだけでなく、プライバシー保護、意匠性、屋内に柔らかい光を取り入れる等といった機能を付与することができるから、巾広い分野で利用することができる。
1.成形体
本発明の成形体は、透明な熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%のフレーク状ガラスを配合した樹脂組成物を成形して得られる透光性でありながら光拡散性の成形体であって、フレーク状ガラスは、5〜50μmの平均粒径を有し、かつ、成形体中に成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有することを特徴とする。
(A)フレーク状ガラス
本発明において、フレーク状ガラスとしては、平均粒径が5〜50μmで、形状が燐片状のガラス粉末であれば、ガラスの組成に関係なく使用でき特に制限されない。ここで、平均粒子径は、フレーク状ガラスを平面視したときの面積Sの平方根として定義され、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される。特に平均粒径が8〜30μmのものが好ましい。上記範囲を外れると当該フレーク状ガラスを主成分とする成形体において所望の光学特性を得ることができなくなる。フレーク状ガラスとしては、平均厚さが0.1〜5.0μmであって、平均アスペクト比が2〜50であるとより好ましい。
また、平均厚さは、電子顕微鏡観察によりフレーク状ガラス粒子50個の測定を行い、その単純平均により求め、また、平均アスペクト比は、上記平均粒径の値を上記平均厚さの値で除することにより求められる。
本発明において好ましいフレーク状ガラスの組成成分は、例えば、SiO2を50〜65モル%、Al2O3を4〜12モル%、SrOを5〜25モル%、MgOを15モル%以下、CaOを10〜35モル%及びアルカリ金属酸化物を2モル%以下含有するガラス粉末である。
このうち二酸化ケイ素(SiO)は、ガラスの骨格を形成する主成分であり、また耐酸性を向上させる成分でもある。SiOの含有率が50モル%未満の場合は、ガラスの耐酸性が悪化する。一方65モル%を越えると、ガラスの融点が高くなり、原料を均一に熔解することが困難になる。したがって、SiOは、50〜65モル%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、55〜65モル%の範囲である。
酸化アルミニウム(Al)は、ガラス形成時の失透温度および粘度を調整する成分であり、また耐水性を向上させる成分でもある。Alが4モル%未満では、失透温度および粘性を調整し、耐水性を改善するのに十分な効果を得ることができない。また、Alの含有率が12モル%以上では、ガラスの融点が高くなり、原料を均一に熔解することが難しくなる。したがって、Alは、4〜12モル%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、4〜10モル%の範囲である。
三酸化二ホウ素(B)は、実質的に含有しないことが望ましい。なお、実質的に含有しないとは、例えば工業用原料より不可避的に混入される場合を除き、意図的に含ませないことを意味する。具体的には、0.5モル%未満とする。
酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)は、ガラス形成時の失透温度および粘度を調整する成分である。酸化ストロンチウム(SrO)は、ガラス形成時の失透温度および粘度を調整する成分であり、またガラスのX線吸収性能を高める成分としても知られている。本発明においては、特に前記の組成範囲とすることによって、失透温度を大きく低下させないフレーク状ガラスを得ることができる。
SrOの含有率が5モル%未満の場合は、失透温度および粘度を調整するのに十分な効果を得ることができない。一方25モル%を越えると、失透温度が上昇する。したがって、SrOは、5〜25モル%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、5〜20モル%の範囲である。
MgOとSrOの含有率の合計が10モル%以下の場合は、失透温度および粘度を調整するのに十分な効果を得ることができないことがある。一方30モル%を越えると、失透温度が上昇する。したがって、MgOおよびSrOは、その合計量が10〜30モル%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、10〜20モル%の範囲である。MgO、CaOおよびSrOの含有率の合計が20モル%未満では、失透温度および粘度を調整するのに十分な効果が得られないことがある。一方45モル%を越えると、失透温度が上昇する。したがって、MgO,CaO,およびSrOは、これらの合計量が20〜45モル%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、25〜35モル%の範囲である。MgOは、必須成分ではないが、含有率が15モル%を越えると、失透温度が上昇する。したがって、MgOは、0〜15モル%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、0〜10モル%の範囲である。CaOは、含有率が10モル%未満の場合は、失透温度および粘度を調整するのに十分な効果を得ることができない。一方、35モル%を越えると、失透温度が上昇する。したがって、CaOは、10〜35モル%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、10〜30モル%の範囲である。
酸化バリウム(BaO)、酸化亜鉛(ZnO)は、実質的に含有されないことが望ましい。具体的には、いずれも0.5モル%未満とする。
アルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)は、ガラス形成時の失透温度および粘度を調整する成分である。アルカリ金属酸化物の含有率が2モル%以上では、ガラス転移温度が低下し、ガラスの耐熱性が悪くなる。一方、アルカリ金属酸化物を全く含まないときには、ガラスの融点が高くなるため原料を均一に熔解することが困難になる。したがって、LiO、NaOおよびKOは、これらの合計量が0〜2モル%の範囲にあることが好ましい。
酸化ジルコニウム(ZrO)は、ガラスの失透成長速度を速めるが、5モル%まで含ませてもよい。フッ素(F)は、実質的に含まないことが望ましい。
ガラス中に存在する鉄分(Fe)は、通常は酸化鉄(FeOまたはFe)の状態で存在する。Feは紫外線吸収特性を高め、一方FeOは熱線吸収特性を高める成分である。鉄分(Fe)は、必須成分ではないが、ガラスの光学特性を調整するため含有してもよい。
酸化チタン(TiO)は、ガラスの熔解性および化学的耐久性を向上させ、ガラスの紫外線吸収特性を向上させる成分である。TiOは、必須成分ではないが、光学特性を調整するため含んでもよい。三酸化硫黄(SO)は、必須成分ではないが、清澄剤として使用できる。
上記のような組成を有するフレーク状ガラスとして、例えば、日本板硝子製「ガラスフレーク」を用いることができる。このフレーク状ガラスは、特開2005−97080号公報に詳細が示されているが、耐熱性能に優れており、高温に加熱されても変形が抑えられ、三酸化二ホウ素(B)、酸化バリウム(BaO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素(F)を実質的に含有しないため、周囲の作業環境を汚染しないという特徴がある。また、塗料、化粧品、インキなどに配合されると好ましいとされているが、これまで採光窓などの成形体材料に使用されることはなかった。
フレーク状ガラスは、熱可塑性樹脂との接着性を改良するために、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤で表面処理することができる。カップリング剤の使用量は、フレーク状ガラスの重量に対して1〜5重量%とすればよい。
また、フレーク状ガラスには、本発明の目的を損なわない範囲内で他の形態のガラス、例えば、ガラス繊維、ミルドガラス、ガラスビーズ、ガラスパウダー等を混合して用いることができる。これらは単独でも二種以上を組み合わせて用いても良い。ただし、その含有量はフレーク状ガラスに対して30重量%以下、好ましくは10重量%以下とする。
(B)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、可視光領域の光線透過率が高い透明な熱可塑性樹脂であれば使用でき、特に限定されるものではない。
具体的には、ポリカーボネ―ト樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂等、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ系樹脂、ビニル系樹脂、およびポリオレフィン樹脂を挙げることができる。採光窓、腰窓等の窓材、カーポート等の建築部材、照明器具などの保護カバー用に成形する場合、透明性、耐衝撃性、耐侯性などを考慮すると、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素系樹脂がより好ましい。好ましい物性値は、3mm厚の板状成形体としたときのJIS R 3106記載の可視光透過率が50%以上で、JISK7105記載のヘイズが30%以下のものである。
本発明において特に好ましいポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートである。芳香族ポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンに代表される二価のフェノール系化合物の一種以上と、ホスゲンまたはジフェニルカーボネート等で代表されるカーボネート前駆体を用いて合成される。合成方法は、界面重合、溶融重合または固相重合等の公知の方法によることができる。
ここで、二価のフェノール系化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4−ビフェノール等を挙げることができる。この他に、例えばレゾルシン、および3−メチルレゾルシン、3−エチルレゾルシン、3−プロピルレゾルシン、3−ブチルレゾルシン、3−t−ブチルレゾルシン、3−フェニルレゾルシン、3−クミルレゾルシン、2,3,4,6−テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6−テトラブロムレゾルシン等の置換レゾルシン;カテコール;ハイドロキノン、及び3−メチルハイドロキノン、3−エチルハイドロキノン、3−プロピルハイドロキノン、3−ブチルハイドロキノン、3−t−ブチルハイドロキノン、3−フェニルハイドロキノン、3−クミルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン、2,3,5,6−テトラブロムハイドロキノンなどの置換ハイドロキノン等、及び2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビス(1H−インデン)−7,7’ジオール等を用いることもできる。これらの二価のフェノール系化合物は、単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの二価のフェノール系化合物と反応させるホスゲンまたはジフェニルカーボネート等で代表されるカーボネート前駆体も特に制限はなく、例えば、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。これらカーボネート前駆体もまた、単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリカーボネートを製造する際に、酸成分として、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルを含有していても良い。ジカルボン酸及びジカルボン酸エステルの例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなどの芳香族ジカルボン酸類;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼッライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、セバシン酸ジフェニル、デカン二酸ジフェニル、ドデカン二酸ジフェニルなどの脂肪族ジカルボン酸類;シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,2’−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸ジフェニル、1,2−シクロブタンジカルボン酸ジフェニル、1,3−シクロブタンジカルボン酸ジフェニル、1,2−シクロペンタンジカルボン酸ジフェニル、1,3−シクロペンタンジカルボン酸ジフェニル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジフェニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジフェニルなどの脂環族ジカルボン酸類を挙げることができる。これらジカルボン酸またはジカルボン酸エステルは、単独で用いてもよく、また、二種以上組み合わせても良い。ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルは、上記カーボネート前駆体に、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量で含有される。
ポリカーボネートを製造する際に、1分子中に3個以上の官能基を有する多官能性化合物を使用できる。これら多官能性化合物としては、フェノール性水酸基またはカルボキシルを有する化合物が好ましく、特にフェノール性水酸基を3個含有する化合物が好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性および耐衝撃性に優れていることから、これまでもガラスの代替材料として、レンズ、プリズム等の光学用途に採用されている。しかし、ガラスに比べ剛性が低いため、高い剛性を必要とする用途においては、ガラス繊維等のフィラーを添加している。レンズ、プリズム等の光学用途でガラスフィラーを添加すると、ガラスの屈折率(通常1.545程度)とポリカーボネートの屈折率(通常1.582程度)との差が大きいために、ポリカーボネート本来の大きな特徴である透明性が損なわれることが課題とされていた。ところが、本発明においては、成形体の用途が採光窓部材などであり、透明性の低下は問題ではなく、むしろガラスフィラーとして、特定のフレーク状ガラスを採用することで、適度な光拡散性を与えることができる。
また、熱可塑性樹脂として使用できる(メタ)アクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等を主原料とし、必要に応じて炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として用いた重合体または共重合体を挙げることができる。また、更に多段で重合した(メタ)アクリル樹脂を用いることもできる。
また、ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸化合物および/またはジカルボン酸のエステル形成性誘導体、およびジオール化合物および/またはジオール化合物のエステル形成性誘導体を重合させてなる樹脂があげられる。その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4―ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレートなど、またはこれらの共重合ポリエステルをあげることができる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエーテルイミド樹脂は、その構造単位に芳香核結合及びイミド結合を含む樹脂であり、特に制限されるものでない。その製造方法は特に限定されるものではないが、通常、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物とm−フェニレンジアミンとの重縮合物として、また、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。この樹脂には、アミド基、エステル基、スルホニル基など共重合可能な他の単量体単位を含んでもかまわない。これら1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることが出来る。ポリエーテルスルホン樹脂は、その構造単位に芳香核結合を有するスルホン基含有樹脂である。
また、ポリスチレン樹脂は、芳香族ビニル系単量体を重合して得られる重合体、あるいは芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な他のビニル系単量体を共重合して得られる共重合体である。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、およびジビニルベンゼン、等が挙げられる。これらのなかでも、反応の容易さや入手の容易さ等から、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらは1種単独、あるいは2種以上併用して用いられる。
また、(メタ)アクリル−スチレン共重合体(MS樹脂)は、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレン等の芳香族ビニル系単量体との共重合体であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化エチレン、ポリ2フッ化エチレン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−2フッ化エチレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などを挙げることができる。また、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニルフルオライドなども使用できる。
また、ビニル系樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、塩化ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−グリシジルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニルエチレン−酢酸ビニル共重合体、またはポリビニルアセタール−ポリビニルブチラール混合物等が挙げられる。
さらに、ポリオレフィン樹脂は、エチレンを含むα―オレフィンの単独重合体、2種以上のα―オレフィンからなる共重合体(ランダム、ブロック、グラフトなど、いずれの共重合体も含む)、またはオレフィン系エラストマーがあげられる。エチレン単独重合体としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などがあり、プロピレン重合体としては、プロピレン単独重合体に限られず、プロピレンとエチレンとの共重合体も含まれる。前記オレフィン系エラストマーとは、エチレンと、1種以上のエチレン以外のα−オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど)との共重合体であり、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレンブテン共重合体(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などが挙げられる。
上記フレーク状ガラスの含有量は、熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%でなければならない。熱可塑性樹脂に対して0.1重量%未満では、ヘイズ値が不十分であり、一方、20重量%を超えると成形性が不安定となり、ペレット状に加工することが困難となるため好ましくない。
シート状成形体において、フレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量に対する全光線透過率及びヘイズの関係を図1に示す。これは、ポリカーボネート樹脂をマトリックス樹脂として用い、これを成形して厚さ2.0mmのシート状成形体とした場合である。
この図から、上記成形体におけるフレーク状ガラスの含有量は、成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの範囲が必要であることが分かる。より好ましい含有量は6〜36g/mであり、特に好ましくは8〜24g/mである。フレーク状ガラスの含有量が成形体単位面積あたり6g/m未満であると十分な光拡散性を得ることができない。一方、44.5g/mを超えると全光線透過率が低下してしまう。なお、この関係は、ポリカーボネート樹脂だけでなく、それと同等の屈折率を有する(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素系樹脂でも同様な傾向がある。
成形体の厚さは、その用途によって様々に変化させることができ、フレーク状ガラスの種類や含有量によって異なるので一概に規定できないが、1.0〜10.0mm、特に1.0〜5.0mmであることが好ましい。1.0mmよりも薄いと、十分な光拡散性を得ることができない。また、10.0mmよりも厚いと全光線透過率が低下してしまうので好ましくない。
この成形体は、全光線透過率が60%以上であって、ヘイズが80%以上という特性を有する。より好ましくは、全光線透過率が70%以上、ヘイズが90%以上である。全光線透過率が60%未満である場合は、採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなど建築部材、照明具などの保護カバーなどとして必要な透光性を得ることができない。ここで、全光線透過率とヘイズの評価方法としては、例えば市販のヘイズメーターを使用し、全光線透過率(Tt)(単位:%)に関しては、JIS K 7361に準じ、ヘイズ(H)(単位:%)に関してはJIS K 7136に準じ行う方法を挙げることができる。
本発明の成形体は、上記した全光線透過率およびヘイズを示し、従来なかった光拡散性と透光性という相反する機能を同時に有するものである。加えて、使用中における耐候性も良好であるという特徴を有している。したがって、採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなど建築部材、照明具などの保護カバーなどのプライバシー保護、意匠性、屋内に柔らかい光を取り入れることを目的とする分野で好ましく使用できる。
2.成形体の製造方法
本発明の成形体の製造方法は、平均粒径5〜50μmのフレーク状ガラスを熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%配合して溶融混練した後、得られたマスターバッチを所定の形状に成形して、フレーク状ガラスが成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有した成形体を得ることを特徴とする。
まず、平均粒径5〜50μmのフレーク状ガラスを熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%配合し、溶融混練してマスターバッチを調製する。熱可塑性樹脂に対するフレーク状ガラスの含有量は0.1〜20重量%とする。より好ましくは0.1〜10重量%である。熱可塑性樹脂に対するフレーク状ガラスの含有量が0.1重量%未満であると、十分な光拡散性を得ることができないため好ましくない。また、20重量%を超えると、成形性が不安定となり、ペレット状に加工することが困難となるため好ましくない。
フレーク状ガラスと熱可塑性樹脂の粉粒体、および必要に応じて他の添加剤を押出機等の溶融混練装置を使用し、溶融混練してから、得られた溶融混練物をペレット状に加工する。このとき上記熱可塑性樹脂、またはこれと相溶性のある樹脂を必要により配合することができる。
上記マスターバッチにはフレーク状ガラスと熱可塑性樹脂からなる成分に対して添加剤を10重量%以下配合することができる。例えば、添加剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸系、HALS系、トリアゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、リン酸エステル系、フェノール系等の酸化防止剤、カップリング剤、界面活性剤、帯電防止剤、離型剤等がある。
上記熱可塑性樹脂と相溶性のある樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ハロゲン化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エラストマー、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリスルホン、ゴムなど及び、それらの共重合樹脂があげられる。これらの樹脂は1種で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの各成分の混合および溶融混練は、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサーなどの予備混合機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機などの溶融混練装置を使用することができる。また、溶融混練装置への原材料の供給は、予め各成分を混合した後に供給することが好ましいが、それぞれの成分を独立した形で溶融混練装置に供給することも可能である。ペレットのサイズは、特に限定されないが、通常は取り扱いやすさ、成形の容易さから、例えば1〜10mm、特に1〜5mm程度とすることが望ましい。
成形体の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、または回転成形等の方法を用いることができる。特に、射出成形、押出成形によれば効率的に所望の形状に成形できるので好ましい。押出成形により板状、フィルム状の成形体を得るには、Tダイなどの押出機を用いて押し出した溶融熱可塑性樹脂を冷却ロールで冷却しながら引き取る方法が採用される。
成形温度は、樹脂の種類によって異なるが、十分な流動性が得られるように樹脂の融点あるいはガラス転移温度より50〜150℃高い温度に加温する。ポリカーボネート樹脂の場合、成形温度を例えば200℃以上、好ましくは240〜330℃とする。200℃よりも低いと、高分子特有の粘度を低下させることができないので、フレーク状ガラスを樹脂中に均一に分散できず、350℃よりも高いと樹脂が分解し劣化することがあるため好ましくない。
こうして得られる採光窓、腰窓などの窓材、カーポートなど建築部材、照明具などの保護カバーは、全光線透過率が60%以上であって、ヘイズが80%以上となる。より好ましくは、全光線透過率が70%以上、ヘイズが90%以上である。
以下に本発明の実施例、比較例を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限されることはない。
なお、得られた成形体の光学特性評価は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製)を使用し、全光線透過率Tt(単位:%)に関しては、JIS K 7361に準じ、ヘイズH(単位:%)に関してはJIS K 7136に準じて行った。
(実施例1)
ポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)粉砕粉(最大粒径500μm以下)に対して5重量%になるようにフレーク状ガラス(日本板硝子製 平均粒径15μm、平均厚み5.0μm、平均アスペクト比3)を加え、均一に混合した後、二軸押出機(東洋精機製作所製)で290℃に加熱して溶融混練し、押し出された直径3mmのストランドをペレット状にカットし、フレーク状ガラスとポリカーボネート樹脂を主成分とするマスターバッチを得た。
なお、フレーク状ガラスの平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装製 マイクロトラックHRA)を用いて測定した。また、平均厚さは、電子顕微鏡観察によりフレーク状ガラス粒子50個の測定を行い、その単純平均により求めた。また、平均アスペクト比は、上記平均粒径の値を上記平均厚さの値で除することにより求めた。
更に、上記マスターバッチに前記と同じポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)を加え、均一に混合した後、射出成形機(東洋精機製作所製)でTダイを使用して、フレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が6g/mとなるように成形して、10cm×5cm厚さ2.0mmのシート状成形体を得た。
評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは81.9%、ヘイズHは80.1%となった。
(実施例2)
マスターバッチは実施例1と同様の方法で得た。更に、上記マスターバッチとポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)をフレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が12g/mになるように混合した以外は実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。
得られた成形体の評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは79.7%、ヘイズHは93.4%となった。
(実施例3)
マスターバッチは実施例1と同様の方法で得た。更に、上記マスターバッチとポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)をフレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が24g/mになるように混合した以外は実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。
得られた成形体の評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは71.0%、ヘイズHは97.9%となった。
(実施例4)
マスターバッチは実施例1と同様の方法で得た。更に、上記マスターバッチとポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)をフレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が36g/mになるように混合した以外は実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。
得られた成形体の評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは65.3%、ヘイズHは98.4%となった。
(実施例5)
マスターバッチは実施例1と同様の方法で得た。更に、上記マスターバッチとポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)をフレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が44.5g/mになるように混合した以外は実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。
得られた成形体の評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは60.3%、ヘイズHは98.7%となった。
(比較例1)
マスターバッチは実施例1と同様の方法で得た。更に、上記マスターバッチとポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)をフレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が1.2g/mになるように混合した以外は実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。
得られた成形体の評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは86.9%、ヘイズHは29.5%となった。フレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が少なく、全光線透過率は高くなるが、ヘイズが低くなりすぎてしまった。
(比較例2)
マスターバッチは実施例1と同様の方法で得た。更に、上記マスターバッチとポリカーボネート樹脂ペレット(GEP製)をフレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が72g/mになるように混合した以外は実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。
得られた成形体の評価結果を表1及び図1に示す。全光線透過率Ttは45.6%、ヘイズHは99.3%となった。フレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量が多すぎて、全光線透過率が低下し、ヘイズが高くなりすぎてしまった。
Figure 2008074927
シート状成形体において、フレーク状ガラスの単位面積あたりの含有量に対する全光線透過率及びヘイズの関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 透明な熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%のフレーク状ガラスを配合した樹脂組成物を成形して得られる透光性でありながら光拡散性の成形体であって、
    フレーク状ガラスは、5〜50μmの平均粒径を有し、かつ、成形体中に成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有することを特徴とする成形体。
  2. フレーク状ガラスが、SiOを50〜65モル%、Alを4〜12モル%、SrOを5〜25モル%、MgOを15モル%以下、CaOを10〜35モル%、及びアルカリ金属酸化物を2モル%以下含有するガラス粉末であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. フレーク状ガラスが、平均厚さ0.1〜5.0μm、かつ平均アスペクト比2〜50であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  4. 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、又はポリオレフィン樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  5. その全光線透過率が60%以上、かつヘイズが80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  6. 平均粒径5〜50μmのフレーク状ガラスを熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%配合して溶融混練した後、得られたマスターバッチを所定の形状に成形して、フレーク状ガラスが成形体単位面積あたり6〜44.5g/mの割合で含有した成形体を得ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  7. マスターバッチに、さらに前記と同じ熱可塑性樹脂、またはこれと相溶性を有する熱可塑性樹脂からなる成形材料を添加して混練することを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造方法。
  8. マスターバッチが、射出成形、押出成形、圧縮成形、または回転成形から選ばれるいずれかの方法で成形されることを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造方法。
  9. マスターバッチが、採光用窓材、カーポート用部材、又は照明具用保護部材のいずれかの形状に成形されることを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造方法。
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