JP6829096B2 - 防眩フィルムおよび成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂からなる基材フィルムの少なくとも一方の面の表面に、2種類の有機系粒子を含有する熱可塑性樹脂からなる防眩層を積層した防眩フィルムおよびそれを用いた成形体の製造方法に関するものである。
ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂は、安価かつ軽量で、透明性、成形性、光学特性、耐熱性、機械的強度に優れることから種々の分野で幅広く利用されている。具体的には、OA・電子機器のディスプレイやタッチパネル、計器パネル、家電製品(洗濯機、電子レンジ等)のメンブレスイッチパネル等に用いられている。
その中でも特にカーナビ前面板用途に用いられる熱成形用フィルムとしては、主に次のような特性が求められる。第1には、外光の映り込みを防止するための防眩性に優れること、第2には、熱成形時において深絞り性に優れること、第3には、硬度が高く傷が付きにくいこと等が挙げられる。
外光の映り込みを防止するために、フィルムの表面に凹凸を付与する方法が従来技術として知られており、例えば、Tダイから押し出された溶融フィルムをゴムロールや金属のマットロール、成形ベルトで挟時加圧することでフィルム表面に凹凸をつける方法(特許文献1)、微細な粒子を含有するハードコート膜を樹脂板上に形成する方法(特許文献2〜5)等が挙げられる。
一方、近年カーナビに使用される液晶ディスプレイ(LCD)のパネル解像度の高精細化が進み、防眩性のために前面板に付与した凹凸面とは反対の面からの透過光(LCDの映像)が、凹凸形状面を透過するときに、その凹凸形状がマイクロレンズの役割をして、表示される画像を乱す状態「ギラツキ」が強くなったり、画像が白く見えたり、コントラストが低下する等の問題が出てきている。
そしてこれまで、従来提案されている方法では、必ずしも十分な防眩性が得られていないのが現状である。具体的には、特許文献1のように、ゴムロールや金属マットロール、成形ベルトを使用することでフィルム表面に凹凸をつける方法は、ギラツキが強く、微細転写が困難で、凹凸形状の最適化ができていない課題があった。また、フィルムの幅方向における転写性が、両端部と中央部で異なることからフィルム表面の凹凸が不均一となりやすいとの問題もあった。一方、特許文献2〜6のように、微細な粒子を含有するコート膜を樹脂板上に形成する方法は、コート膜の膜厚や微粒子の粒径、分布の状態により凹凸形状が変化するため、防眩性の制御に問題があった。また、防眩性を高める為に凹凸形状を大きくする必要があるが、凹凸が大きくなると、ヘイズ値の上昇やギラツキが悪化する傾向にあり、表示文字の視認性が低下する問題点があった。更に凹凸を形成したコート膜は、熱成形時に伸ばされることでクラックが発生しやすい問題があり、賦型での深絞りが難しいため成形品の形状が制限され、やはり防眩性の制御に問題があった。
したがって、フィルムの表面の凹凸により防眩性と透明性に優れ且つ、ギラツキを抑えられたフィルムの出現が求められていた。
特開平10−156944号公報 特開2010−170122号公報 特開2004−322481号公報 特開2003−66205号公報 特開2002−207109号公報 特開2002−207108号公報
本発明は、防眩性と透明性に優れ且つ、ギラツキを抑えた基材フィルムにポリカーボネート樹脂を用いる防眩フィルムを提供することを目的とする。さらに熱成形用途に有用な防眩フィルムを提供することを第二の目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリカーボネート樹脂からなる基材フィルムの少なくとも一方の面の表面に、粒子径の異なる2種類の有機系粒子を分散した熱可塑性樹脂から成る防眩層を積層することで、防眩性、透明性、ギラツキ性が両立し、さらに熱成形性に優れるフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
1.ポリカーボネート樹脂からなる基材フィルムの少なくとも一方の面の表面に、2種類の有機系粒子を分散した熱可塑性樹脂から成る防眩層を積層した防眩フィルムであって、下記に示す条件(1)〜(3)を具備することを特徴とする防眩フィルム。
(1)防眩層に含まれる2種類の有機系粒子が、平均粒径が3.0〜6.0μmの有機系粒子Iと、平均粒径が0.5〜2.5μmの有機系粒子IIとを、それぞれ熱可塑性樹脂100重量部に対して2重量部以上10重量部以下と0.1重量部以上1重量部以下の範囲で含有し、且つ防眩層の厚みが10〜80μmである。
(2)防眩層に含まれる熱可塑性樹脂と有機系粒子Iの屈折率差が0.05以下の範囲で、熱可塑性樹脂と有機系粒子IIの屈折率差が0.06〜0.15の範囲である。
(3)防眩層を形成する熱可塑性樹脂のJISK7199に準拠したキャピログラフによる溶融粘度が、せん断速度121(1/s)且つ加熱温度280℃時で1200Pa・S以下を満たす。
2.防眩層の厚みが30〜80μmであり、防眩フィルムの総厚みが50〜500μmである前記1に記載の防眩フィルム。
3.ヘイズが40%以下である前記1または2のいずれかに記載の防眩フィルム
4.JIS K5600に準拠して測定した防眩フィルムの防眩層側の鉛筆硬度がF以上である前記1〜3いずれかに記載の防眩フィルム。
5.防眩層を形成する熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である前記1〜4のいずれかに記載の防眩フィルム。
6.防眩層を形成する熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であって、ポリカーボネート樹脂の構成単位として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)プロパンを、全構成単位のモル数を基準として、50モル%以上含有する前記5記載の防眩フィルム。
7.前記1〜6のいずれかに記載の防眩フィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した熱可塑性樹脂を前記金型内に射出する成形体の製造方法。
本発明によれば、防眩性と透明性に優れ、且つ、ギラツキを抑え、さらに熱成形用途に有用な基材フィルムにポリカーボネート樹脂を用いる防眩フィルムおよびそれを用いた鵜成形体の製造方法を提供することができる。
かかる防眩フィルムは、特にカーナビ前面板向けインサート成型用フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の防眩フィルムの断面図の概略図である。 ポリカーボネート樹脂の基材フィルムの上に、粒子径の異なる2種類の有機系粒子を分散した熱可塑性樹脂から成る防眩層を積層したものである。 映り込みの測定方法について、蛍光灯と防眩フィルムの位置関係を示す斜視図である。 映り込みの測定方法について、蛍光灯と防眩フィルムの位置関係を示す図2のY−Z面の模式図である。
本発明の防眩フィルムは、基材フィルムに防眩層を積層しており、以下において、防眩層用の成形材料を成形材料A、基材フィルム用の成形材料を成形材料Bとして説明する。
以下、本発明の防眩フィルムを構成する各成分、それらの配合割合、調整方法等について、順次具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
<有機系粒子>
本発明の防眩性フィルムを構成する防眩層には、防眩性と透明性に優れ且つ、ギラツキを抑えるために2種類の有機系粒子を特定の条件で含有させることが必要である。
以下2種類の有機系粒子について説明する。
先ず、有機系粒子Iを説明する。
ここで使用する有機系粒子Iは、平均粒径が3.0〜6.0μmであり、好ましくは、3.5〜5.5μmであり、より好ましくは、3.5〜5.0μmである。
有機系粒子Iの平均粒径が下限未満の場合は、防眩性が不十分となる。
また、有機系粒子Iの、平均粒径が上限より大きい場合は、ギラツキが悪くなり、LCDの画像表示の視認性が悪化する。また表面の凹凸が大きくなりヘイズが高くなることから、透明性が低下する。
また、上記有機系粒子Iは、防眩層の熱可塑性樹脂との屈折率差が小さいことが望ましく、有機系粒子Iの屈折率と熱可塑性樹脂の屈折率の差は、0.05以下であることが必要であり、好ましくは0.02以下である。
有機系粒子Iの屈折率と熱可塑性樹脂の屈折率の差が、上限より大きい場合は、透明性が低下する。
また、有機系粒子Iの含有量は、防眩層を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して2重量部以上10重量部以下であり、好ましくは、2重量部以上6重量部以下である。有機系粒子Iの含有量が、下限より少ない場合は、防眩性が不十分となる。有機系粒子Iの含有量が、上限より多い場合は、透過率が低下する。
次に有機系粒子IIを説明する。
有機系粒子IIは、平均粒径が0.5〜2.5μmであり、好ましくは1.0〜2.5μmである。有機系粒子IIの平均粒径が下限より小さい場合は、ギラツキが悪くなる。また、有機系粒子IIの平均粒径が上限より大きい場合は、透過率が低下する。
有機系粒子IIの屈折率と熱可塑性樹脂の屈折率の差は、0.06〜0.15の範囲であることが必要であり、0.08〜0.13であることが好ましい。有機系粒子IIの屈折率と熱可塑性樹脂の屈折率の差が下限より小さい場合は、ギラツキが悪くなる。有機系粒子IIの屈折率と熱可塑性樹脂の屈折率の差が上限より大きい場合は、透過率が低下する。
また、有機系粒子IIの含有量は、防眩層を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部以上1重量部以下であり、好ましくは、0.1重量部以上0.5重量部以下である。有機系粒子IIの含有量が、下限より少ない場合は、ギラツキが悪くなる。有機系粒子IIの含有量が、上限より多い場合は、透過率が低下する。
有機系粒子I、IIとしては、防眩層を形成する熱可塑性樹脂との屈折率差に応じ適宜調整でき、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体、有機シリコーン樹脂等挙げられる。スチレン樹脂の例としては、ポリスチレン等の合成樹脂の微粒子を用いることができる。アクリル樹脂の例としては、アクリルビーズ、ポリメタクリル酸メチルビーズ等の合成樹脂の微粒子を用いることができる。
本発明においては、バックライト光の不均一な散乱を少なくするため、球状粒子を用いることが好ましい。なお、本発明において有機系とはC−H結合を持つ化合物であり、主に共有結合で原子が結合しているものをいう。
本発明は、有機系粒子Iと有機系粒子IIとを、粒子径と屈折率の異なる特定の組成比で併用して用いることが一つの特徴で宛、それにより防眩性、透明性、ギラツキを高度に兼備することができる。
<防眩層を形成する熱可塑性樹脂>
本発明に用いられる防眩層を形成する熱可塑性樹脂は、被膜を形成できる熱可塑性樹脂であれば、いずれを用いることができる。例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂等の板状に加工できるものが挙げられる。また、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは、60℃以上であることが好ましく、特に上限は制限されないが200℃以下であることが好ましい。
このような防眩層を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が好ましく用いられ、これらの熱可塑性樹脂の中で、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂がより好ましく用いられる。
また、JIS K5600に準拠して測定した防眩フィルムの防眩層側の鉛筆硬度は、特にカーナビ前面板用に用いる場合には、F以上が好ましく、2H以上がより好ましい。
以下、防眩層を構成する熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂を例にとって、それぞれ説明する。
(ポリカーボネート系樹脂)
本発明で用いられる防眩層を形成する熱可塑性樹脂としては、前述の通りポリカーボネート樹脂を好ましく例示できる。
本発明で用いられる防眩層に用いられるポリカーボネート樹脂は、それ自体公知のものを使用できる。ポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。このようなジヒドロキシ化合物から誘導される繰返し単位を、本発明においては、構成単位として称することがある。
構成単位を誘導するビスフェノール類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のビスフェノール化合物等が挙げられる。
一方、構成単位を誘導する脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
本発明における前記ビスフェノール類や前記脂肪族ジオール類は、一種に限られず二種以上を併用して用いても良い。
これらのビスフェノール類や前記脂肪族ジオール類の中でも、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)等が好ましく、さらに硬度をより高め易いことから、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンなどの2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)プロパン(アルキルは例えば、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)や1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)が好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを含むことがより好ましい。また、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)プロパンや1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)を含む場合、その含有量は、構成単位のモル数を基準として、50モル%以上であることが好ましい。
一方、耐衝撃性および耐熱性の観点からは、構成単位として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含むビスフェノールが好ましい。また、耐衝撃性、耐熱性および硬度を高度に兼備させる観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンとを構成単位として含有することが好ましい。この場合のモル比は1:99〜99:1、さらに10:90〜90:10、さらに20:80〜80:20の範囲であることが好ましい。
本発明において、防眩層を形成する熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂用いる場合、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは1.4×10〜3×10であり、さらに好ましくは1.4×10〜2.4×10である。
粘度平均分子量が下限未満のポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が発現しにくい。一方、粘度平均分子量が上限を超えるポリカーボネート樹脂では、フィルムの外観が悪化する場合がある。
本発明に用いられる防眩層を形成する熱可塑性樹脂の溶融粘度は、JISK7199に準拠したキャピログラフによる溶融粘度(せん断速度121(1/s)、加熱温度280℃)で1200Pa・S以下であり、1050Pa・s以下が好ましく、500Pa・s以下がより好ましい。本発明に用いられる防眩層を形成する熱可塑性樹脂の溶融粘度が、1200Pa・Sより大きい場合は、防眩性が悪化する。
(アクリル系樹脂)
本発明で用いられる防眩層を形成する熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂が例示でき、具体的には、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの重合体を主体とするものである。アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチルのホモ重合体、あるいはメタクリル酸メチルが好ましく用いられ、その含有量は、好ましくは、50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含む共重合体を挙げることが出来る。
他の共重合体の成分としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
本発明に用いられるアクリル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で熱成形時における割れの改善のため、アクリル樹脂にゴム粒子を添加しても良い。アクリル樹脂に加えるゴム粒子は、それ自体公知のものを用いることができる。
(ポリエステル系樹脂)
本発明で用いられる防眩層を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂が例示でき、具体的には、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂が挙げられ、これらはホモポリマーに限られず、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン/ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂等があげられ、これらはホモポリマーに限らず一部共重合した共重合ポリマーであっても良い。中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂が好ましい。これらの樹脂は1種であってもよく、また2種以上混合してもよい。
さらに、防眩層を形成する熱可塑性樹脂に、効果が損なわれない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、着色剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を加えても良い。
<基材フィルム>
本発明に用いられる基材フィルムは、ポリカーボネート樹脂を主たる樹脂成分として用いたフィルムである。基材フィルムを構成するポリカーボネート樹脂は、前述の防眩層を構成するポリカーボネート樹脂で説明したポリカーボネート樹脂を好ましく用いることができる。特に基材フィルムに用いるポリカーボネート樹脂としては、例えば、靱性を高度に具備することが好ましく、その観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を主たる構成単位とするポリカーボネートが好ましい。
<防眩フィルムの製造方法>
本発明の防眩フィルムは、従来公知の方法により製造することが出来る。例えば各層を予め別々に製膜しておきラミネートする、あるいは熱圧着プレスする方法、それぞれの樹脂層を共押出法により積層製膜する方法等が挙げられる。中でも経済性、生産安定性等から共押出法による製造がもっとも好ましい。
即ち、本発明の防眩フィルムは、防眩層用の成形材料Aと、基材フィルム用の成形材料Bとを共押出して製造することができる。
例えば、成形材料Aは、熱可塑性樹脂、有機系粒子Iおよび有機系粒子IIを混合し、その後、溶融混練してペレット化して調製することが出来る。混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等、公知の方法を用いることが出来る。該ペレットを用いて、フィルム製造装置に供給することにより本発明の防眩フィルムを製造することが出来る。またかかるペレット化工程を経ることなく、共押出法による多層製膜の際に、押出機で直接溶融混練させてダイから押出すことによりフィルム化することも可能である。成形材料Bは、ポリカーボネート樹脂を含む。ポリカーボネート樹脂は前述の通りである。
共押出法は、成形材料AおよびBを別々の押出機を用いて溶融押出しし、フィードブロックまたはマルチマニホールドダイを用いて積層することにより多層フィルムを得る方法であり、各押出機の押出量や製膜速度、ダイスリップ間隔等を調整することにより、得られる多層フィルムの総厚みおよび厚み組成をコントロールすることが可能である。
共押出法の場合、一般にダイスから出た溶融樹脂を冷却ロールで冷却した後、ロール状に巻き取ることによりフィルムを製造するが、本発明ではかかる際に防眩フィルムにプロテクトフィルムを付けて巻き取っても良い。表面の滑り性が不足してそのまま巻き取ることが困難な場合があり、かかる場合にはプロテクトフィルムを付けて巻き取ることが好ましい。かかる際には、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の公知のプロテクトフィルムを用いることが出来る。
<フィルム厚み構成>
本発明の防眩フィルムは、その総厚みが50〜500μmの範囲であり、好ましくは125〜350μmの範囲である。総厚みが薄すぎるとハンドリングが困難となる場合や、防眩性機能が低下する場合がある。一方、総厚みが厚すぎるのも、熱成形時のフィルム加熱に時間を要することや、熱成形性が低下することがあるために好ましくない。
また防眩層の厚みは10〜80μmの範囲であり、好ましくは30〜50μmの範囲である。本発明の防眩フィルムの防眩層の厚みが、10μmより薄いと、防眩性や透明性ギラツキを抑えるために、有機系粒子の添加濃度を高くする必要があることから、有機系粒子が凝集して均一に分散しないため好ましくない。また、80μmより大きいと熱成形時に防眩層が割れやすくなったり、透過率が低下するため好ましくない。
なお、防眩層の膜厚は、防眩フィルム断面写真を顕微鏡で観察し、有機系粒子IとIIの存在位置から防眩層と基材フィルムの界面を確認することができ、防眩層界面から表面までを実測することにより実測可能である。防眩層に凹凸がある場合には、防眩層界面から表面突起の頂点までを実測する。なお、本発明においては、防眩層の凸部の高さは5μm程度であることが好ましい。
<表面処理>
本発明の防眩フィルムは、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、加飾塗装、ARコート、ハードコート、撥水・撥油コート、親水コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、電磁波吸収コート、発熱コート、帯電防止コート、制電コート、導電コート、並びにメタライジング(メッキ、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、溶射など)などの各種の表面処理を行うことができる。
<ヘイズ>
本発明の防眩フィルムは、そのヘイズ範囲は、40%以下が好ましく、さらに好ましくは25%以下である。
上限よりヘイズが高い場合は、透過率が低下し白っぽくなるため視認性が悪くなる。
<鉛筆硬度>
本発明の防眩フィルムの鉛筆硬度は、カーナビ前面板用途では、鉛筆硬度がFより小さい場合、手で触れた時に傷がつきやすいため、F以上が好ましく、2H以上がより好ましい。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600に準拠して測定した。
なお、鉛筆硬度は、防眩フィルムの防眩層側の表面が満足することが好ましい。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例で行った各項目の測定は以下の方法で行った。
(1)防眩層/基材フィルム厚み
(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡VA−9710を用い、フィルム断面の観測により測定した。フィルム幅方向における中央部の値である。
(2)フィルム総厚み
実施例及び比較例で得られたフィルムにおいて、アンリツ(株)製の電子マイクロ膜厚計により測定した。厚みはフィルム幅方向における中央部の値である。
(3)映りこみ
各フィルムの防眩層とは反対の面に黒印刷を行い、図2および図3に示すように、蛍光灯距離2m、入射角20°となるようにそれぞれ平行に位置する2本の蛍光灯を備え、その灯りを防眩層に映り込ませた場合、20°で正反射した蛍光灯の輪郭がどれほどぼやけるかを、下記に示す基準に従って目視にて評価した。但し、防眩処理が施されていない鏡面フィルムの場合、映り込んだ蛍光灯の太さは15mmであり、これを基準値1とした。
◎:蛍光灯の輪郭が完全にぼやけて見える。
○:蛍光灯の輪郭が基準値に対して1.3倍より大きく2.0倍以下であり、ぼやけ
て見える。
△:蛍光灯の輪郭が基準値に対して1.1倍より大きく1.3倍以下であり、少しぼやけて見える。
×:蛍光灯の輪郭がはっきりと見える。
(4)ギラツキ
表示装置(iPadmini(登録商標)第一世代、アップル社製)の上に、フィルムの表面すなわち防眩層面が観察者側となるように防眩フィルムを配置した。なお、表示装置から表示される像は緑色単色の像とし、像の寸法は、50mm×50mmとした。次にこの状態で、フィルムを目視で正面から観察し、ギラツキの程度について〇、△、×の3段階で評価した。
○:ギラツキが小さく、視認性が良好。
△:ギラツキがあり、視認性が少し悪い。
×:ギラツキが強いく、視認性が悪い。
(5)ヘイズ
日本電色工業(株)製の分光ヘイズメータ―SH−7000型を用いてヘイズを測定した。ヘイズ40%以下の場合、透過率が高く、白っぽさを〇と評価した。またヘイズ40%より大きい場合は、白っぽさを×とした。
(6)鉛筆硬度
JIS K5600に基づき、雰囲気温度23℃の恒温室内で80mm×60mmに切
り出したフィルムの表面に対して、鉛筆を45度の角度を保ちつつ750gの荷重をかけた状態で線を引き、表面状態を目視にて評価した。
(7)溶融粘度
東洋精機製のキャピログラフを用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、溶融温度240℃〜280℃にて剪断速度を任意に変更して測定し、得られた溶融粘度曲線より剪断速度121sec-1での溶融粘度を読み取った。
(8)熱成形性
真空成型法により、コーナーエッジの曲率半径が0.5mmの溝を有する直方体の金型にフィルムを転写させ、角部分まで転写されているかどうかをR面測定器で測定することで評価した。
○:熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が1.5mmで機能に影響を与えるような実害があるレベルのクラックが発生しない
△:熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が2.0mmで機能に影響を与えるような実害があるレベルのクラックが発生しないが、曲率半径が1.5mmで機能に影響を与えるような実害があるレベルのクラックが発生する
×:熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が2.0mmで機能に影響を与える実害があるレベルのクラックが発生する
<樹脂組成物>
[製造例1]
帝人(株)製 商品名:パンライトCM−1000 粘度平均分子量15,500Tg143℃の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)を用いた。
[製造例2]
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液3845部およびイオン交換水18182部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン1992部およびビスフェノールA2993部、ハイドロサルファイト8.37部を溶解した後、塩化メチレン10567部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液897部およびp−tert−ブチルフェノール93.2部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。その後、該パウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05重量%となるように添加し、均一に混合した後、かかるパウダーをベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]により脱気しながら溶融混錬し、粘度平均分子量が20,000、Tg135℃である変性ポリカーボネート樹脂(A−2)を得た。
[製造例3]
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液3845部およびイオン交換水18182部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン3984部およびハイドロサルファイト8.37部を溶解した後、塩化メチレン10567部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液897部およびp−tert−ブチルフェノール69.93部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。その後、該パウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05重量%となるように添加し、均一に混合した後、かかるパウダーをベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]により脱気しながら溶融混錬し、粘度平均分子量が20,000でTg120℃の変性ポリカーボネート樹脂(A−3)を得た。
[製造例4]
アクリル樹脂は、三菱レイヨン製 商品名:アクリペットVH001 Tg110℃(A−4)を用いた。
[製造例5]
帝人(株)製 商品名:パンライトL−1250WP 粘度平均分子量23,900、Tg147℃の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−5)を用いた。
[製造例6]
有機系粒子として、以下のスチレン系粒子、アクリル系粒子を用いた。
スチレン系粒子は、綜研化学(株)社製SX350(平均粒径3.5μm)、綜研化学(株)社製SH500(平均粒径5.0μm)、積水化成品工業(株)社製SBX6(平均粒径6.0μm)、積水化成品工業(株)社製SSX−302ABE(平均粒径2.0μm)、積水化成品工業(株)社製SSX−303ABE(平均粒径3.0μm)、積水化成品工業(株)社製SBX12(平均粒径12.0μm)、積水化成品工業(株)社製XX-12CT(平均粒径0.8μm)を用いた。
アクリル系粒子は、綜研化学(株)社製MX80H3wT(平均粒径0.8μm)、綜研化学(株)社製MX300(平均粒径3.0μm)、積水化成品工業(株)社製MBX0.8(平均粒径0.8μm)、積水化成品工業(株)社製MBX2H(平均粒径2.5μm)を用いた。シリコーン系粒子は、信越シリコーン社製シリコンレジンパウダーKMP−702(平均粒径2.0μm)を用いた。
<防眩フィルム>
[実施例1〜12、比較例1〜4]
表1に示す通り、防眩層を構成する成形材料Aとして、熱可塑性樹脂A-1に有機系粒子I、IIを添加した成形材料A、基材フィルムを構成する成形材料Bとして熱可塑性樹脂A−1を、それぞれスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度280℃の条件で、フィードブロック方式にて650mm幅のTダイから押出し、冷却ロールに溶融樹脂の防眩層の一方の面をタッチさせて冷却した後、エッジトリミングして2層構造を有するフィルム幅400mmの防眩フィルムを作成した。防眩層厚みと総厚みは各押出機の吐出量と冷却ロールの巻取速度で適宜調整した。
[実施例13]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−2に変更した以外は、実施例8と同様にして防眩フィルムを作成した。
[実施例14]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−2に変更した以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを作成した。
[実施例15]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−2に変更した以外は、実施例2と同様にして防眩フィルムを作成した。
[実施例16]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−3に変更した以外は、実施例9と同様にして防眩フィルムを作成した。
[実施例17]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−3に変更した以外は、実施例4と同様にして防眩フィルムを作成した。
[実施例18]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−4に変更し、有機系粒子I、IIの種類、平均粒径、添加比率を表1に示す通りに調整した以外は、実施例4と同様にして防眩フィルムを作成した。
[比較例5]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂をA−5に変更した以外は、実施例8と同様にして防眩フィルムを作成した。
[比較例6]
防眩層を構成する熱可塑性樹脂A-1に添加する有機系粒子の種類を表1に示す通り、1種類に変更した以外は、実施例5と同様にして防眩フィルムを作成した。
[比較例7]
紫外線硬化型樹脂(共栄社化学(株)社製ライトアクリレート)に硬化開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製IRGACURE184)5重量部、アクリル系粒子MX300(綜研化学(株)社製 平均粒径3.0μm)10重量部、レベリング剤(ビックケミー・ジャパン(株)社製BYK−333)0.2重量部の組成物と溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:1の割合で混合し調整したものを、実施例1と同様にして作成した成形材料Bである基材フィルム(A−1)の上に乾燥後10μmとなるように塗工し、紫外線照射し硬化することで、防眩フィルムを作成した(A−6)。
Figure 0006829096
Figure 0006829096
Figure 0006829096
本発明の防眩フィルムは、2種類の有機系粒子の種類や添加量を特定の組み合わせとすることで、防眩性、透明性、ギラツキ性を高度に両立できる。また、本発明によれば、さらに熱成形性に優れるため、OA・電子機器のディスプレイその中でも特にカーナビ前面板用途やタッチパネル、計器パネル、家電製品(洗濯機、電子レンジ等)のメンブレスイッチパネル等の各種工業用途に極めて有用であり、その奏する工業的効果は極めて大である。
1 ポリカーボネート樹脂
2 熱可塑性樹脂
3 有機系粒子
4 基材フィルム
5 防眩層
6 作業台
7 防眩フィルム
8 蛍光灯2本
9 観測点
10 入射角
11 反射角

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂からなる基材フィルムの少なくとも一方の面の表面に、有機系粒子を分散した熱可塑性樹脂からなる防眩層を積層した防眩フィルムであって、下記に示す条件(1)〜(3)を具備することを特徴とする防眩フィルム。
    (1)防眩層に含まれる有機系粒子が、平均粒径が3.0μm〜6.0μmの有機系粒子Iと、平均粒径が0.5〜2.5μmの有機系粒子IIとを、それぞれ熱可塑性樹脂100重量部に対して2重量部以上10重量部以下と0.1重量部以上1重量部以下の範囲で含有し、且つ防眩層の厚みが10〜80μmである。
    (2)防眩層に含まれる熱可塑性樹脂と有機系粒子Iの屈折率差が0.05以下の範囲で、熱可塑性樹脂と有機系粒子IIの屈折率差が0.06〜0.15の範囲である。
    (3)防眩層を形成する熱可塑性樹脂のJISK7199に準拠したキャピログラフによる溶融粘度が、せん断速度121(1/s)且つ加熱温度280℃時で1200Pa・S以下を満たす。
  2. 防眩層の厚みが30〜80μmであり、防眩フィルムの総厚みが50〜500μmである請求項1に記載の防眩フィルム。
  3. ヘイズが40%以下である請求項1または2のいずれかに記載の防眩フィルム。
  4. JIS K5600に準拠して測定した防眩フィルムの防眩層側の鉛筆硬度がF以上である請求項1〜3のいずれかに記載の防眩フィルム。
  5. 防眩層を形成する熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルム。
  6. 防眩層を形成する熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であって、ポリカーボネート樹脂の構成単位として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)プロパンを、全構成単位のモル数を基準として、50モル%以上含有する請求項5記載の防眩フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の防眩フィルムを金型内にインサートした後、熱溶融し
    た熱可塑性樹脂を前記金型内に射出する成形体の製造方法。
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