JP5668341B2 - ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性、成形性、透明性等に優れ、各種機械部品、光学用ディスク、自動車部品、建材等の用途に広く用いられている。
この中でも、建材用途においては、軽量で透明な構造要素を要求され、ポリカーボネート樹脂を用いたシートがよく用いられており、その際に多層シートとしたり、ハードコート処理を施したりと付加的な処理を施すことがしばしば行われる。
例えば、特許文献1には、アンモニアを多く含む環境等の塩基性環境に暴露された場合のポリマー分解を軽減するために、ジメチルビスフェノールシクロヘキサン骨格を有するポリカーボネートを用いて多層シートとすることが、特許文献2には、耐候性改良のために紫外線吸収剤を多く含む層を表層に用いることが報告されている。
また、特許文献3には、シート表面への沈着物の付着を抑制するために、表層にジフェニルカーボネート含量が50重量ppm〜300重量ppmであるポリカーボネート樹脂を用いることが、特許文献4には、複屈折率を抑制するために1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールを原料とした共重合ポリカーボネートのシートを用いることが報告されている。
更に、特許文献5には、遊離の二価フェノール及び一価フェノールを低減したポリカーボネート樹脂をシートに用いることが、特許文献6に記載の通り、厚みムラを抑制するために分岐度を一定の範囲に抑制したポリカーボネート樹脂を用いることが報告されている。
特表2009−500195号公報 特開平8−224848号公報 特表2006−503136号公報 特開2000−86783号公報 特開2002−52677号公報 特表2005−524744号公報
ところで、一般的にシートを成形した際には、シートの引き取り方向に対して鉛直方向にあるシートの端の部分は、厚みが不均一となり、切り落とし作業が必要となるが、前述の多層シートの場合、機能を付与した層まで切り落とすこととなり、その樹脂のロスが問題となっていた。
かかる現状下、本発明の目的は、表層と少なくともそれ以外の層を有する積層体に於いて、表層及びそれ以外の層にポリカーボネート樹脂を用い、且つ表層に用いたポリカーボネート樹脂と同一の組成を、それ以外の層を構成するポリカーボネート樹脂に特定の範囲にて混合することにより、前記樹脂のロスを軽減することを目的とする。さらに、本発明の別の目的は、透明性に優れたポリカーボネート樹脂積層体を得ることにある。
本発明は、下記<1>から<10>に係る発明に関するものである。
<1> ポリカーボネート樹脂からなる積層体であって、前記積層体は少なくとも表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有し、
前記A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンを原料としたポリカーボネート樹脂を含み、
前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)と炭酸ジエステルとを反応させることにより得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を含み、
かつ、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%含有するポリカーボネート樹脂積層体。
<2> JIS K−7105に準拠して測定される、前記積層体の曇価(Haze)が、10以下である前記<1>に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<3> 前記A層のISO15184による鉛筆硬度が、HB以上である前記<1>又は<2>に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<4> 前記A層が、紫外線吸収剤を前記ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.1〜15重量部含有する前記<1>乃至<3>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<5> 前記A層の更に外層にハードコート層を形成している前記<1>乃至<4>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<6> 前記ポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより得られ、且つ前記ポリカーボネート樹脂(a)中の残存炭酸ジエステル含量が50重量ppm未満である前記<1>乃至<5>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体。
> 前記<1>乃至<>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体を射出成形又は共押出にて製造するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
> 前記<>記載の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂積層体の端面を切断してそろえてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
> 前記<>記載の製造方法において、当該積層体の端面をそろえるために切断した際に排出される樹脂を積層体のB層に再度用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
10> 前記<1>乃至<>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体を用いてなる成形品。
本発明によれば、機能を付加した表層の樹脂をロスすることなく効率よく使用でき、得られた積層体の透明性や密着性を損なわない。
本発明は、ポリカーボネート樹脂からなる積層体であって、少なくとも表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有し、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%含有するポリカーボネート樹脂積層体に関する。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、種類の異なるポリカーボネート樹脂からなる複数の層が実質的に接してなる積層体であり、少なくとも表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有している。
表層(A層)はB層の両面に積層されていてもよく、B層が複数層存在していても良い。なお、本発明においてを「複数の層が実質的に接してなる」とは、種類の異なるポリカーボネート樹脂からなる層同士が直接積層されている場合のほか、接着層を介し積層されている場合を包含する。
先ず、本発明では、表層のA層を構成するポリカーボネート樹脂(a)とそれ以外の層であるB層を構成するポリカーボネート樹脂(b)について説明する。
<ポリカーボネート樹脂(a)>
本発明でA層を構成するポリカーボネート樹脂(a)としては、ISO15184による鉛筆硬度が好ましくはHB以上、より好ましくはF以上、更に好ましくはH以上である。
また、次の(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
(1)ISO1133に準拠し、300℃、1.2kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR)が、1cm3/10分〜15cm3/10分であること。
(2)ISO1133に準拠し、下記式より求まるフローレイト比(MVR−R)が、18〜45であること。
[式1]
上記(1)のメルトボリュームフローレイト(MVR)は、より好ましくは、1cm3/10分〜14cm3/10分であり、さらに好ましくは1cm3/10分〜13cm3/10分である。ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト(MVR)が過度に小さいと、溶融状態での流動性が悪くなり、成型性が悪くなる傾向がある。メルトボリュームフローレイト(MVR)が過度に大きいと、溶融状態での流動性が良いが、反面流れが良すぎるために成型不良を起こす傾向がある。
また、上記(2)のフローレイト比(MVR−R)の技術的意義は、分子の絡み合いやポリマー鎖の分岐の程度を示しており、溶融張力といった溶融特性の指標として用いられる。本実施の形態において、フローレイト比(MVR−R)の範囲は、好ましくは18〜40であり、さらに好ましくは18〜35の範囲である。ポリカーボネート樹脂のフローレイト比(MVR−R)が過度に小さいと、溶融張力が得られず、目的とする、成型性に優れたポリカーボネート樹脂が得られない傾向がある。フローレイト比(MVR−R)が過度に大きいと、溶融張力が大きくなり、流動性が悪くなり、結果として成型性が悪くなる傾向がある。
本発明に於いては、前記メルトボリュームフローレイト(MVR)とフローレイト比(MVR−R)の両方を満足する必要があり、それぞれを本願記載の範囲内に収めることにより、流動性に優れ、且つ成型性に優れ、加えて難燃性も示すポリカーボネート樹脂が得られる。
また、本実施の形態が適用される好適なポリカーボネート樹脂(a)としては、分子中に少なくとも下記一般式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ここで、一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
1及びR2の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
3及びR4の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1及びR2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R3及びR4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。ここで、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4の結合位置は、それぞれのフェニル環上のXに対して2位,3位,5位及び6位から選ばれる任意の位置であり、好ましくは3位、5位である。
一般式(1)において、Xは、下記の構造式で表される置換若しくは無置換のアルキリデン基、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。置換若しくは無置換の硫黄原子としては、例えば、−S−、−SO2−が挙げられる。
ここで、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のアルキレン基を示す。
5及びR6の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Zは一般式(1)において、2個のフェニル基と結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数4〜炭素数12)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体、シクロドデシリデン基が好ましい。
なお、前記ポリカーボネート樹脂(a)は、後記のように芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより得られ、且つ前記ポリカーボネート樹脂(a)中の残存炭酸ジエステル含量が50重量ppm未満、好ましくは40重量ppm未満である。ポリカーボネート樹脂(a)中の残存炭酸ジエステル含量が過度に高いと、成膜時にガスを発生したり、食品用途等では臭気の原因となったりするため、好ましくない。
上記一般式(1)で表される構造単位を含有するポリカーボネート樹脂の好ましい例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシ-3−メチルフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールC」と略記することがある。)を原料としたビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、2,2−ビス(4−ヒドロキシ-3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、及び/又は1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカンを原料にしたポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、ポリカーボネート樹脂(a)は、その性能を損なわない範囲で、一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位を含んでいてもよい。
そのような構造単位としては、特に制限はないが、具体的には、後述する一般式(7)で表される無水糖アルコール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、一般式(8)で表されるスピログリコール等の環状エーテル化合物に由来する構造単位が挙げられる。この中でも、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットに由来する構造単位が好ましく、イソソルビドに由来する構成単位が特に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂(b)>
次に、本発明でB層を構成するポリカーボネート樹脂(b)は、上記ポリカーボネート樹脂(a)と、ポリカーボネート樹脂(a)以外のカーボネート樹脂とからなり、ポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%含有するポリカーボネート樹脂である。
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂(b)におけるポリカーボネート樹脂(a)以外のカーボネート樹脂としては、分子中に少なくとも下記一般式(2)で表される繰返し単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が代表的なものとして挙げられる。
一般式(2)において、R7、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。尚、R7、R8、R9、R10における炭素数は置換基を除くアルキル基部分の炭素数を示す。Xは、下記の構造式で表される置換若しくは無置換のアルキリデン基、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。置換若しくは無置換の硫黄原子としては、例えば、−S−、−SO2−が挙げられる。
ここで、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のアルキリデン基を示す。
5及びR6の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Zは一般式(2)において、2個のフェニル基と結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数4〜炭素数12)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体、シキロドデシリデン基が好ましい。
これらの中でも、ポリカーボネート樹脂(b)におけるポリカーボネート樹脂(a)以外のポリカーボネート樹脂としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)と炭酸ジエステルとを反応させることにより得られたビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が好ましく使用される。
<ポリカーボネート樹脂積層体>
次に、本発明の態様である積層体について詳細を説明する。
前記のように、本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、種類の異なるポリカーボネート樹脂からなる複数の層が実質的に接してなる積層体であり、表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有している。
本発明の特徴の一つは、上述のように前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%含有することにある。即ち、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)は、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を特定量含有する樹脂組成物である。
本発明の、ポリカーボネート樹脂積層体には、前記B層をコア層として、比較的廉価なポリカーボネート樹脂を使用し、その表層(スキン層とも言われる。)であるA層に表面硬度や耐候性等の機能を付与した樹脂価格の高いポリカーボネート樹脂が用いられる。
本発明により、前述の通り、積層体シート成形時に発生する切り落とした積層体部分の樹脂を、コア層であるB層を主たる構成とするポリカーボネート樹脂に特定の範囲で混合することにより、積層体全体として物性等を損なうことなく、前記樹脂のロスを軽減することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体を構成するA層としては、最終製品の用途に応じ、次の機能を付与することが望ましい。
即ち、A層はISO15184による鉛筆硬度がHB以上、好ましくは、F以上であり、さらに好ましくはH以上、特に好ましくは2H以上である。ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度が過度に小さいと、成型品とした際に成型品の表面に傷が付きやすい傾向にある。
また、A層は、紫外線吸収剤を前記ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜5重量部含有することが望ましい。
本発明で使用する紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム及び酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物及びトリアジン系化合物等の有機紫外線吸収剤があげられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール系化合物が望ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物、及びメチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物が好ましい。
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、OH基、ハロゲン原子又は炭素数1〜炭素数12の炭化水素基を表し、Y1及びY2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数40の窒素原子及び/又は酸素原子を含有してもよい炭化水素基を示す。)
上記一般式(3)のベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビンP、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン234、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−プチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン320、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン326、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン327、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン328、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン329、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール[メチル−3−〔3−t−プチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物(商品名:チヌビン213、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、又は下記一般式(4)で表される化合物、
等を挙げることができるが特にこれらに限定されない。
これらの中で、特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、上式(4)で表される化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−イル−)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−(ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノールである。
また、A層は、更に外層にハードコート層を形成していることが望ましい。本発明においてハードコート剤としては、シリコン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが挙げられる。シリコン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった樹脂であり、例えば、トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン又はそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシラン及びフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物などが挙げられる。これらには縮合反応時に発生するアルコール等が含まれているが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよく、そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、次の物性を有することが望ましい。
即ち、JIS K−7105に準拠して測定される、曇価(Haze)が10以下、好ましくは5以下である。曇価が10以下であることにより、積層体全体の透明性が担保される。
また、ポリカーボネート樹脂積層体は、積層体を80℃温水中に30分間浸漬した際に、浸漬前の積層体の膜厚rに対する、浸漬後の膜厚Rの比(R/r)が、20以下、好ましくはR/rが15以下、更に好ましくは10以下である。これが過度に高いと積層体とした際にたわみが生じたり、場合によっては、各層間の密着性が悪く、剥離する恐れがあるため好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明に係るポリカーボネート樹脂は、下記のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを原料として用い、エステル交換触媒の存在下、溶融重縮合反応を行うことにより製造することができる。
以下、本発明に係るポリカーボネート樹脂の一般的製造方法について説明する。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に係るポリカーボネート樹脂(a)の原料であるジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(5)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
ここで、一般式(5)において、R1、R2、R3及びR4は、前記一般式(1)におけるR1、R2、R3及びR4とそれぞれ同義である。
また、本発明に係るポリカーボネート樹脂(b)におけるポリカーボネート樹脂(a)以外のポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(6)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
ここで、一般式(6)において、R7、R8、R9及びR10は、前記一般式(2)におけるR7、R8、R9及びR10とそれぞれ同義である。
また、一般式(5)又は一般式(6)において、Xは、前記一般式(1)及び(2)におけるXと同義である。
一般式(5)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、5,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、3,3’−ジメチルビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)プロパン、5,5−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール等が挙げられる。
これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、5,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、3,3’−ジメチルビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、5,5−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール等が好ましいものとして挙げられる。
これらの中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンが更に好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカンが最も好ましい。尚、一般式(5)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また、一般式(6)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好適に使用される。尚、一般式(6)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本発明に係るポリカーボネート樹脂(a)の原料である芳香族ジヒドロキシ化合物は、その性能を損なわない範囲で、芳香族ジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物を用いても良い。そのような例としては、下記一般式(7)で表される無水糖アルコール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、下記一般式(8)で表されるスピログリコール等の環状エーテル化合物が挙げられる。なお、本発明において、脂環式ジヒドロキシ化合物とは、ヘテロ環式ジヒドロキシ化合物も包含する概念である。
この中でも特に上記一般式(7)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物が好適であり、該ジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
特にこれらの脂環式ジヒドロキシ化合物のうち、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能なグルコースから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性、カーボンニュートラルの面から好ましい。
その他、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、等の脂環式ジヒドロキシ化合物が例示される。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(炭酸ジエステル)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
ここで、一般式(9)中、A’は、置換されていてもよい炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基である。2つのA’は、同一でも相互に異なるものでもよい。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
炭酸ジエステル化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記の炭酸ジエステル化合物は、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明の製造方法において、これらの炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを含む。以下同じ。)の使用量は、通常、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物が1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの比で用いられる。前記炭酸ジエステルのモル比が過度に小さいと、エステル交換反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となったり、得られるポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が高くなり、熱安定性が悪化したりする傾向にある。また、前記炭酸ジエステルのモル比が過度に大きいと、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステル化合物の残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となることがあり、好ましくない。
(エステル交換触媒)
本発明の製造方法において使用されるエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、全ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲で用いられるが、成形特性や色相に優れたポリカーボネート樹脂を得るためには、エステル交換触媒の量は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、好ましくは1.0×10-8モル〜1×10-4モルの範囲内、より好ましくは1.0×10-8モル〜1×10-5モルの範囲内であり、特に好ましくは1.0×10-7モル〜5.0×10-6モルの範囲内である。上記下限量より少なければ、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、上記上限量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、分岐成分量が多すぎて流動性が低下し、目標とする溶融特性の優れたポリカーボネート樹脂が製造できない。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物;アルカリ土類金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。ここで、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
また、ベリリウム化合物及びマグネシウム化合物としては、例えば、当該金属の水酸化物、炭酸塩等の無機金属化合物;前記金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
(触媒失活剤)
本発明に於いては、エステル交換反応終了後に、触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。
これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
<ポリカーボネート樹脂の製造工程>
次に、本発明の製造方法が適用されるポリカーボネート樹脂の具体的な製造工程を、芳香族ポリカーボネート樹脂を例にとり具体的に説明する。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、芳香族ポリカーボネート樹脂を所定の粒径に形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
(原調工程)
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式又は連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
以下、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを原料として用いる場合を例として説明する。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
(重縮合工程)
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応槽においては、エステル交換反応の進行とともに副生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
重縮合工程を多段方式で行う場合は、通常、竪型撹拌反応槽を含む複数基の反応槽を設けて、芳香族ポリカーボネート樹脂の平均分子量を増大させる。反応槽は通常2基〜6基、好ましくは4基〜5基設置される。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
竪型撹拌反応槽の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼((株)神鋼環境ソリューション製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等が挙げられる。
また、横型撹拌反応槽とは、撹拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型撹拌反応槽の撹拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ翼、格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
尚、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との重縮合に使用するエステル交換触媒は、通常、予め溶液として準備されていてもよい。触媒溶液の濃度は特に限定されず、触媒の溶媒に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整される。溶媒としては、アセトン、アルコール、トルエン、フェノール、水等を適宜選択することができる。
触媒の溶媒として水を選択した場合、水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
<積層体の製法>
本発明の積層体を製造する方法については特に制限がないが、ポリカーボネート樹脂(a)及びポリカーボネート樹脂(b)を溶融させ、Tダイからの押出成形や射出圧縮成形が最適である。
かかる成形温度は、通常200〜350℃、成形性(特に成形残留歪みの低減)と熱分解劣化抑制の点で好ましくは220〜330℃、更に好ましくは240〜310℃である。かかる積層体の厚みは、通常10〜1000μm、機械的強度やハンドリング性の点で好ましくは50〜500μmである。
また、成形にあたり、顔料、染料、離型剤、熱安定剤等を本発明の目的を損なわない範囲において適宜添加することができる。
積層体は、シート、フィルム等の形状を有することができる。なお、成形のため、射出成形又は共押出にて製造された積層体の端面を切断してそろえることが好ましい。さらに当該積層体の端面をそろえるために切断した際に排出される樹脂を積層体のB層に再度用いることが好ましい。
例えば、スキン層(40μm)にポリカーボネート樹脂(a)としてビスフェノールCを原料として得られたポリカーボネート樹脂(ビスフェノールCポリカーボネート)を使用し、コア層(400μm)にビスフェノールAを原料として得られたポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAポリカーボネート)を用いた共押出成型による2層積層体は、ビスフェノールCポリカーボネートの表面硬度を生かした積層シートとされるが、成形時に切断して端面がそろえられた積層体シートとして製造される。
そして、例えば、端面をそろえるため切り落とした積層体部分の樹脂10重量%を、コア層を構成するビスフェノールAポリカーボネート90重量%に混合しポリカーボネート樹脂(b)として、上記ポリカーボネート樹脂(a)と共押出成型することにより優れた物性を有する2層積層体を生産することができる。
また、本発明においては、上記ポリカーボネート樹脂積層体を用いて、建築
物、車両、電気・電子機器、機械その他の各種分野の種々の成形品を得ることができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例で使用したポリカーボネート樹脂並びに積層体の物性は、下記の方法により評価した。
(1)ポリカーボネート樹脂積層体の曇度(曇価:Haze)
JIS K−7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色株式会社製NDH−1001DP型)を用いて求めた。この数値が小さいほど、透明性が良好である。
(2)ポリカーボネート樹脂積層体の浸漬試験
ポリカーボネート樹脂積層体の端部の膜厚をノギスにより10点測定し、その平均値を算出し、rとした。次いで、該ポリカーボネート樹脂積層体を80℃温水中に30分間浸漬後に、端部の膜厚を10点測定し、最大値をRとした。前記r及び前記Rから、R/rを算出した。
(3)ポリカーボネート樹脂積層体の鉛筆硬度
ポリカーボネート樹脂積層体について、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
(4)メルトボリュームフローレイト(MVR)
ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(タカラ工業株式会社製)を用いて、130℃で、5時間乾燥したポリカーボネート樹脂の試料について、300℃、荷重1.2kgにて単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR)を測定した(単位:cm3/10分)。
(5)フローレイト比(MVR−R)
ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(タカラ工業株式会社製)を用い、130℃で、5時間乾燥したポリカーボネート樹脂の試料について、280℃、荷重21.6kgで測定した単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、21.6kg荷重))と、同様に、280℃、荷重2.16kgで測定した単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、2.16kg荷重))とを測定した。
これらのメルトボリュームフローレイト(MVR)の測定値を用い、下記式により求まるフローレイト比(MVR−R)を算出した。
MVR−R=MVR(280℃、21.6kg荷重)/MVR(280℃、2.16kg荷重)
「実施例1、参考例1、比較例1〜2」
表1に示す、ポリカーボネート樹脂(PC−1、PC−2、及びPC−3)並びにポリ(メタクリル酸メチル)(以下、PMMA)を用いて、創研製Tダイ押出機を使用し、表層を約40μm、コア層を約400μmの厚みにて2層シートを成形した。得られた2層シートのHaze、鉛筆硬度、R/rについての測定結果を表1に示す。
PC−1: 市販のビスフェノールAポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製 ノバレックスM7027J)。MVR=3.8、MVR−R=16.4。
PC−2: ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンと炭酸ジエステルよりエステル交換反応により得られた、芳香族ポリカーボネート樹脂。MVR=8.7、MVR−R=22.1。
PC−3: イソソルバイド 50モル%、シクロヘキサンジメタノール 50モル%と、炭酸ジエステル100モル%より得られる、脂肪族ポリカーボネート樹脂。
PMMA: 市販のポリ(メタクリル酸メチル)樹脂(三菱レーヨン製、アクリペットMD−001)。
本実施例によれば、コア層のポリカーボネート樹脂にPMMAを混合すると、白濁を起こすが、コア層とポリカーボネート樹脂の種類が異なる表層のポリカーボネート樹脂を、コア層に混合しても白濁を起こすことが無く、透明性に優れている。とりわけ、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンから得られるポリカーボネート樹脂は、透明性に優れ、表面硬度も高い。
本発明によれば、表面硬度や難燃性が付与した表層の樹脂をロスすることなく効率よく使用でき、得られた積層体の透明性や密着性を損なわない積層体並びにその製造方法を提供する。

Claims (10)

  1. ポリカーボネート樹脂からなる積層体であって、前記積層体は少なくとも表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有し、
    前記A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンを原料としたポリカーボネート樹脂を含み、
    前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)と炭酸ジエステルとを反応させることにより得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を含み、
    かつ、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%含有することを特徴とする、ポリカーボネート樹脂積層体。
  2. JIS K−7105に準拠して測定される、前記積層体の曇価(Haze)が、10以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  3. 前記A層のISO15184による鉛筆硬度が、HB以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  4. 前記A層が、紫外線吸収剤を前記ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.1〜15重量部含有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  5. 前記A層の更に外層にハードコート層を形成していることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  6. 前記ポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより得られ、且つ前記ポリカーボネート樹脂(a)中の残存炭酸ジエステル含量が50重量ppm未満であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  7. 請求項1乃至の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体を射出成形又は共押出にて製造することを特徴とする、ポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
  8. 請求項記載の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂積層体の端面を切断してそろえてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
  9. 請求項記載の製造方法において、当該積層体の端面をそろえるために切断した際に排出される樹脂を積層体のB層に再度用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
  10. 請求項1乃至の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体を用いてなることを特徴とする成形品。
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