JP5668341B2 - ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この中でも、建材用途においては、軽量で透明な構造要素を要求され、ポリカーボネート樹脂を用いたシートがよく用いられており、その際に多層シートとしたり、ハードコート処理を施したりと付加的な処理を施すことがしばしば行われる。
また、特許文献3には、シート表面への沈着物の付着を抑制するために、表層にジフェニルカーボネート含量が50重量ppm〜300重量ppmであるポリカーボネート樹脂を用いることが、特許文献4には、複屈折率を抑制するために1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールを原料とした共重合ポリカーボネートのシートを用いることが報告されている。
更に、特許文献5には、遊離の二価フェノール及び一価フェノールを低減したポリカーボネート樹脂をシートに用いることが、特許文献6に記載の通り、厚みムラを抑制するために分岐度を一定の範囲に抑制したポリカーボネート樹脂を用いることが報告されている。
かかる現状下、本発明の目的は、表層と少なくともそれ以外の層を有する積層体に於いて、表層及びそれ以外の層にポリカーボネート樹脂を用い、且つ表層に用いたポリカーボネート樹脂と同一の組成を、それ以外の層を構成するポリカーボネート樹脂に特定の範囲にて混合することにより、前記樹脂のロスを軽減することを目的とする。さらに、本発明の別の目的は、透明性に優れたポリカーボネート樹脂積層体を得ることにある。
<1> ポリカーボネート樹脂からなる積層体であって、前記積層体は少なくとも表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有し、
前記A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンを原料としたポリカーボネート樹脂を含み、
前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)と炭酸ジエステルとを反応させることにより得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を含み、
かつ、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%含有するポリカーボネート樹脂積層体。
<2> JIS K−7105に準拠して測定される、前記積層体の曇価(Haze)が、10以下である前記<1>に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<3> 前記A層のISO15184による鉛筆硬度が、HB以上である前記<1>又は<2>に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<4> 前記A層が、紫外線吸収剤を前記ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.1〜15重量部含有する前記<1>乃至<3>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<5> 前記A層の更に外層にハードコート層を形成している前記<1>乃至<4>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<6> 前記ポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより得られ、且つ前記ポリカーボネート樹脂(a)中の残存炭酸ジエステル含量が50重量ppm未満である前記<1>乃至<5>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体。
<7> 前記<1>乃至<6>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体を射出成形又は共押出にて製造するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
<8> 前記<7>記載の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂積層体の端面を切断してそろえてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
<9> 前記<8>記載の製造方法において、当該積層体の端面をそろえるために切断した際に排出される樹脂を積層体のB層に再度用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
<10> 前記<1>乃至<6>の何れかに記載のポリカーボネート樹脂積層体を用いてなる成形品。
表層(A層)はB層の両面に積層されていてもよく、B層が複数層存在していても良い。なお、本発明においてを「複数の層が実質的に接してなる」とは、種類の異なるポリカーボネート樹脂からなる層同士が直接積層されている場合のほか、接着層を介し積層されている場合を包含する。
本発明でA層を構成するポリカーボネート樹脂(a)としては、ISO15184による鉛筆硬度が好ましくはHB以上、より好ましくはF以上、更に好ましくはH以上である。
また、次の(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
(1)ISO1133に準拠し、300℃、1.2kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR)が、1cm3/10分〜15cm3/10分であること。
(2)ISO1133に準拠し、下記式より求まるフローレイト比(MVR−R)が、18〜45であること。
[式1]
R1及びR2の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R3及びR4の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1及びR2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R3及びR4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。ここで、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4の結合位置は、それぞれのフェニル環上のXに対して2位,3位,5位及び6位から選ばれる任意の位置であり、好ましくは3位、5位である。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Zは一般式(1)において、2個のフェニル基と結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数4〜炭素数12)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体、シクロドデシリデン基が好ましい。
そのような構造単位としては、特に制限はないが、具体的には、後述する一般式(7)で表される無水糖アルコール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、一般式(8)で表されるスピログリコール等の環状エーテル化合物に由来する構造単位が挙げられる。この中でも、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットに由来する構造単位が好ましく、イソソルビドに由来する構成単位が特に好ましい。
次に、本発明でB層を構成するポリカーボネート樹脂(b)は、上記ポリカーボネート樹脂(a)と、ポリカーボネート樹脂(a)以外のカーボネート樹脂とからなり、ポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%含有するポリカーボネート樹脂である。
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂(b)におけるポリカーボネート樹脂(a)以外のカーボネート樹脂としては、分子中に少なくとも下記一般式(2)で表される繰返し単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が代表的なものとして挙げられる。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Zは一般式(2)において、2個のフェニル基と結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数4〜炭素数12)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体、シキロドデシリデン基が好ましい。
次に、本発明の態様である積層体について詳細を説明する。
前記のように、本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、種類の異なるポリカーボネート樹脂からなる複数の層が実質的に接してなる積層体であり、表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有している。
本発明の特徴の一つは、上述のように前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%含有することにある。即ち、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)は、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を特定量含有する樹脂組成物である。
本発明により、前述の通り、積層体シート成形時に発生する切り落とした積層体部分の樹脂を、コア層であるB層を主たる構成とするポリカーボネート樹脂に特定の範囲で混合することにより、積層体全体として物性等を損なうことなく、前記樹脂のロスを軽減することができる。
本発明で使用する紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム及び酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物及びトリアジン系化合物等の有機紫外線吸収剤があげられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール系化合物が望ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物、及びメチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物が好ましい。
上記一般式(3)のベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビンP、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン234、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−プチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン320、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン326、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン327、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン328、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン329、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール[メチル−3−〔3−t−プチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物(商品名:チヌビン213、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、又は下記一般式(4)で表される化合物、
これらの中で、特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、上式(4)で表される化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−イル−)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−(ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノールである。
即ち、JIS K−7105に準拠して測定される、曇価(Haze)が10以下、好ましくは5以下である。曇価が10以下であることにより、積層体全体の透明性が担保される。
本発明に係るポリカーボネート樹脂は、下記のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを原料として用い、エステル交換触媒の存在下、溶融重縮合反応を行うことにより製造することができる。
以下、本発明に係るポリカーボネート樹脂の一般的製造方法について説明する。
本発明に係るポリカーボネート樹脂(a)の原料であるジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(5)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
また、一般式(5)又は一般式(6)において、Xは、前記一般式(1)及び(2)におけるXと同義である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明の製造方法において使用されるエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
本発明に於いては、エステル交換反応終了後に、触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。
これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
次に、本発明の製造方法が適用されるポリカーボネート樹脂の具体的な製造工程を、芳香族ポリカーボネート樹脂を例にとり具体的に説明する。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、芳香族ポリカーボネート樹脂を所定の粒径に形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式又は連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
以下、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを原料として用いる場合を例として説明する。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応槽においては、エステル交換反応の進行とともに副生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
本発明の積層体を製造する方法については特に制限がないが、ポリカーボネート樹脂(a)及びポリカーボネート樹脂(b)を溶融させ、Tダイからの押出成形や射出圧縮成形が最適である。
また、成形にあたり、顔料、染料、離型剤、熱安定剤等を本発明の目的を損なわない範囲において適宜添加することができる。
例えば、スキン層(40μm)にポリカーボネート樹脂(a)としてビスフェノールCを原料として得られたポリカーボネート樹脂(ビスフェノールCポリカーボネート)を使用し、コア層(400μm)にビスフェノールAを原料として得られたポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAポリカーボネート)を用いた共押出成型による2層積層体は、ビスフェノールCポリカーボネートの表面硬度を生かした積層シートとされるが、成形時に切断して端面がそろえられた積層体シートとして製造される。
そして、例えば、端面をそろえるため切り落とした積層体部分の樹脂10重量%を、コア層を構成するビスフェノールAポリカーボネート90重量%に混合しポリカーボネート樹脂(b)として、上記ポリカーボネート樹脂(a)と共押出成型することにより優れた物性を有する2層積層体を生産することができる。
物、車両、電気・電子機器、機械その他の各種分野の種々の成形品を得ることができる。
JIS K−7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色株式会社製NDH−1001DP型)を用いて求めた。この数値が小さいほど、透明性が良好である。
ポリカーボネート樹脂積層体の端部の膜厚をノギスにより10点測定し、その平均値を算出し、rとした。次いで、該ポリカーボネート樹脂積層体を80℃温水中に30分間浸漬後に、端部の膜厚を10点測定し、最大値をRとした。前記r及び前記Rから、R/rを算出した。
ポリカーボネート樹脂積層体について、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(タカラ工業株式会社製)を用いて、130℃で、5時間乾燥したポリカーボネート樹脂の試料について、300℃、荷重1.2kgにて単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR)を測定した(単位:cm3/10分)。
ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(タカラ工業株式会社製)を用い、130℃で、5時間乾燥したポリカーボネート樹脂の試料について、280℃、荷重21.6kgで測定した単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、21.6kg荷重))と、同様に、280℃、荷重2.16kgで測定した単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、2.16kg荷重))とを測定した。
これらのメルトボリュームフローレイト(MVR)の測定値を用い、下記式により求まるフローレイト比(MVR−R)を算出した。
MVR−R=MVR(280℃、21.6kg荷重)/MVR(280℃、2.16kg荷重)
表1に示す、ポリカーボネート樹脂(PC−1、PC−2、及びPC−3)並びにポリ(メタクリル酸メチル)(以下、PMMA)を用いて、創研製Tダイ押出機を使用し、表層を約40μm、コア層を約400μmの厚みにて2層シートを成形した。得られた2層シートのHaze、鉛筆硬度、R/rについての測定結果を表1に示す。
PC−2: ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンと炭酸ジエステルよりエステル交換反応により得られた、芳香族ポリカーボネート樹脂。MVR=8.7、MVR−R=22.1。
PC−3: イソソルバイド 50モル%、シクロヘキサンジメタノール 50モル%と、炭酸ジエステル100モル%より得られる、脂肪族ポリカーボネート樹脂。
PMMA: 市販のポリ(メタクリル酸メチル)樹脂(三菱レーヨン製、アクリペットMD−001)。
Claims (10)
- ポリカーボネート樹脂からなる積層体であって、前記積層体は少なくとも表層(A層)と表層以外の層(B層)とを有し、
前記A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンを原料としたポリカーボネート樹脂を含み、
前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)と炭酸ジエステルとを反応させることにより得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を含み、
かつ、前記B層を構成するポリカーボネート樹脂(b)が、A層を構成するポリカーボネート樹脂(a)を0.001重量%〜20重量%含有することを特徴とする、ポリカーボネート樹脂積層体。 - JIS K−7105に準拠して測定される、前記積層体の曇価(Haze)が、10以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
- 前記A層のISO15184による鉛筆硬度が、HB以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
- 前記A層が、紫外線吸収剤を前記ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.1〜15重量部含有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
- 前記A層の更に外層にハードコート層を形成していることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
- 前記ポリカーボネート樹脂(a)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより得られ、且つ前記ポリカーボネート樹脂(a)中の残存炭酸ジエステル含量が50重量ppm未満であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
- 請求項1乃至6の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体を射出成形又は共押出にて製造することを特徴とする、ポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
- 請求項7記載の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂積層体の端面を切断してそろえてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
- 請求項8記載の製造方法において、当該積層体の端面をそろえるために切断した際に排出される樹脂を積層体のB層に再度用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
- 請求項1乃至6の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂積層体を用いてなることを特徴とする成形品。
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JP2010154179A JP5668341B2 (ja) | 2010-07-06 | 2010-07-06 | ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 |
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