JP7211694B2 - 樹脂組成物ならびにそれを含む光学レンズ、シートおよびフィルム - Google Patents
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Description
的とする。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、炭素数5~20のシクロアルコキシル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子から選択され;
Xは、それぞれ独立に、分岐していてもよい炭素数2~6のアルキレン基であり;
HvおよびHfは、それぞれ水素原子であり;
nは、それぞれ独立に、1~5の整数であり;
*はポリマー鎖である]
を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物のH1-NMRスペクトルは、
樹脂組成物。
[2] 前記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を含むポリエステルカーボネート樹脂は、一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位からなるポリエステルカーボネート樹脂である[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記ポリエステルカーボネート樹脂は、さらに下記一般式(2)で表される化合物に由来する繰返し単位を含む、
R6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、炭素数5~20のシクロアルコキシル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子から選択され;
Yは、それぞれ独立に、分岐していてもよい炭素数2~6のアルキレン基、炭素数6~10のシクロアルキレン基、または炭素数6~10のアリーレン基であり;
Wは、単結合または
pおよびqは、それぞれ独立に、0~5の整数である]
[1]に記載の樹脂組成物。
[4] pおよびqは0であり、
Wは
である、[3]に記載の樹脂組成物。
[5] 前記一般式(2)で表される化合物はビスフェノールAである、[3]に記載の樹脂組成物。
[6] 前記ポリエステルカーボネート樹脂において、前記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位と、前記一般式(2)で表される化合物に由来する繰返し単位とのモル比が、20:80~99:1である、[3]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 前記樹脂組成物のH1-NMRスペクトルは、
[8] 下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位および下記一般式(3)で表される繰返し単位を含むポリエステルカーボネート樹脂(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーおよび下記一般式(C)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、炭素数5~20のシクロアルコキシル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子から選択され;
XおよびZは、それぞれ独立に、分岐していてもよい炭素数2~6のアルキレン基であり;
nおよびmは、それぞれ独立に、1~5の整数であり;
Hv、HfおよびHoは、それぞれ水素原子であり;
*は、それぞれ独立に、ポリマー鎖である]
を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物のH1-NMRスペクトルは、
樹脂組成物。
[9] 前記H1-NMRスペクトルは、
[10] 前記H1-NMRスペクトルは、
[11] 前記一般式(1)、(A)および(B)におけるXは、いずれもエチレンである、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12] 前記一般式(1)、(A)および(B)におけるnは、いずれも1である、[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] 前記一般式(1)で表される化合物は、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンまたは9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレンである、[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[14] 前記一般式(3)、(C)および(D)におけるZは、いずれもエチレンである、[8]~[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15] 前記一般式(3)、(C)および(D)におけるmは、いずれも1である、[8]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16] 前記一般式(3)で表される化合物は、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフタレンである[8]~[15]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16-1] 前記ポリエステルカーボネート樹脂において、前記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位と、前記一般式(3)で表される化合物に由来する繰返し単位とのモル比が、20:80~99:1である、[8]~[16]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16-2] 前記ポリエステルカーボネート樹脂は、230~300℃の温度で重合させることによって得られる、[1]~[16-1]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16-3] 前記重合は、1Torr以下の圧力下で行われる[16-2]に記載の樹脂組成物。
[16-4] メルトボリュームレート(MVR)が11cm3/10min以上である、[1]~[16-3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16-5] 曲げ強度が90MPa以上である、[1]~[16-4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[17] [1]~[16-5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む光学レンズ。
[18] [1]~[16-5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むシートまたはフィルム。
[19] [1]~[16-5]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、前
記一般式(1)で表される化合物を230~300℃の重合温度で重合させる工程を含む、樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を含むポリエステルカーボネート樹脂(以下、樹脂(a)とも称する)(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
以下、式(A)および(B)の末端に位置するビニル基を「フルオレン系ビニル末端基」といい、式(I)によって算出される値を、「フルオレン系ビニル末端基量」という。
一般に化合物末端の構造は、その化合物の存在量の割に、樹脂組成物の物性へ影響を与えやすい傾向がある。本発明の樹脂組成物は、炭素-炭素二重結合を末端に有する式(A)で表されるポリマーが存在することにより、該二重結合の結合軸まわりで分子レベルでの回転が生じにくい。これが、成形体の強度向上に寄与するものと推測される。また、式(B)で表される化合物が存在することにより、樹脂組成物に微小の可塑性を付与することができ、その結果、樹脂の流動性が向上したと推測される。
さらに、本発明の樹脂組成物は、離型性が良いため射出成形時の金型汚れが少なく、射出成形物の形状安定性にも優れ、着色が少ないという利点も有する。
HvおよびHfは、それぞれ水素原子である。
nは、それぞれ独立に、1~5の整数であり、1~3の整数であることが好ましく、1~2の整数であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
a)を構成する全繰返し単位(カーボネート結合部分およびエステル結合部分を除く)に対して50mol%以上が好ましく、さらには80mol%以上が好ましく、90mol%以上が特に好ましく、100mol%が最も好ましい。樹脂(a)は、式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位以外の繰返し単位を含んでいてもよい。
<第1の好ましい実施形態>
第1の好ましい実施形態によると、下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位からなるポリエステルカーボネート樹脂(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
ート樹脂(ポリマー鎖)」とは、樹脂におけるカーボネート結合部分およびエステル結合部分を除いた繰返し単位が、一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位からなることを意味する。すなわち、上記記載は、一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位とポリカーボネート結合部分とエステル結合部分とからなるポリエステルカーボネート樹脂(ポリマー鎖)を意味する。例えば、ポリカーボネート結合部分は、ホスゲンまたは炭酸ジエステルに由来し、エステル結合部分は、ジカルボン酸またはその誘導体に由来する。
第2の好ましい実施形態によると、下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位および下記一般式(2)で表される化合物に由来する繰返し単位を含むポリエステルカーボネート樹脂(以下、樹脂(b)とも称する)(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
Wは、単結合、
R10およびR11は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
R12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子であることが好ましい。
pおよびqは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、0~3であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、pおよびqが共に0であることが特に好ましい。
ニル)ブタン[=ビスフェノールB]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン[=ビスフェノールBP]、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン[=ビスフェノールC]、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン[=ビスフェノールE]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン[=ビスフェノールF]、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン[=ビスフェノールG]、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン[=ビスフェノールM]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン[=ビスフェノールS]、1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン[=ビスフェノールP]、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル]プロパン[=ビスフェノールPH]、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン[=ビスフェノールTMC]、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン[=ビスフェノールZ]、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールOCZ)、および4,4-ビスフェノール等が例示される。これらの中で、ビスフェノールA、ビスフェノールM、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、およびビスフェノールTMCが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
第3の好ましい実施形態によると、下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位および下記一般式(3)で表される繰返し単位を含むポリエステルカーボネート樹脂(以下、樹脂(c)とも称する)(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーおよび下記一般式(C)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
mは、それぞれ独立に、1~5の整数であり、1~3の整数であることが好ましく、1~2の整数であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Hoは、水素原子である。
上述したとおり、本発明の樹脂組成物はポリエステルカーボネート樹脂を含む。ポリエステルカーボネート樹脂において、各構成単位は、カーボネート結合部分およびエステル結合部分を介して結合される。このカーボネート結合部分は、「炭酸ジエステルに由来する構成単位」または「炭酸ジエステル構成単位」とも称し、エステル結合部分は、「ジカルボン酸またはその誘導体に由来する構成単位」または「ジカルボン酸構成単位」とも称する。また、本発明におけるポリエステルカーボネート樹脂は、ランダム、ブロックおよび交互共重合体のいずれの構造であってもよい。
エステル交換法、直接重合法などの溶融重縮合法、溶液重合法、界面重合法等の種々の方法が挙げられるが、中でも、反応溶媒を用いない溶融重縮合法が好ましい。
ルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル基、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類;ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類;プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基もしくは塩基性塩等が用いられる。
触媒は、2種類以上を併用してもよい。また、触媒自体をそのまま添加してもよく、あるいは、水やフェノール等の溶媒に溶解してから添加してもよい。
具体的には、反応の最終段階(反応条件の安定した段階)における反応温度が230~300℃であることが好ましく、240~280℃であることがより好ましく、250~260℃であることが特に好ましい。反応の最終段階(反応条件の安定した段階)における減圧度は、100~0.01mmHgであることが好ましく、50~0.01mmHgであることがより好ましく、5~0.1mmHgであることが特に好ましく、1mmHg以下(例えば1~0.01mmHg)であることが最も好ましい。触媒は、原料と共に反応の最初から存在させてもよく、あるいは、反応の途中で添加してもよい。ここで、反応の最終段階とは、原料を融解させてエステル交換反応を行った後、減圧した状態(例えば、100~0.01mmHg)で重合反応を行う段階を意味する。
、亜リン酸ジn-ブチル、亜リン酸ジn-ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類;リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類;ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類;フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類;トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類;ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類;ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類;ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p-トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物;ジメチル硫酸等のアルキル硫酸;塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。失活剤の効果、樹脂に対する安定性等の観点から、p-トルエンまたはスルホン酸ブチルが特に好ましい。これらの失活剤は、触媒量に対して0.01~50倍モル、好ましくは0.3~20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、樹脂の耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
Mwが20000より小さいと、樹脂が脆くなるため好ましくない。Mwが200000より大きいと、溶融粘度が高くなるため、成形時に金型からの樹脂の抜き取りが困難になり、更には流動性が悪くなり溶融状態で扱い難くなるため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、上述した以外の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明における「式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を含むポリエステルカーボネート樹脂」の繰り返し単位として、式(1)~(3)以外の化合物に由来する繰返し単位が含まれても良い。その量は、式(1)~(3)で表される化合物に由来する繰返し単位の合計100モル%に対して20モル%以下が望ましく、10モル%以下がさらに望ましい。この範囲内であれば、高屈折率が保持される。
他の樹脂として、以下のものが例示される:
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)クリル樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン。
ルカーボネート樹脂100重量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
他の樹脂の含量が多すぎると、相溶性が悪くなり、樹脂組成物の透明性が低下する場合がある。光学歪みを低く保つためには、他の樹脂は含まないことが好ましい。
本発明の方法により得られる樹脂組成物は、末端ビニル基を含有する化合物およびポリマーを所定量含むことにより、所望の特性を有する。樹脂組成物のメルトボリュームレート(MVR)は、10cm3/10minよりも大きく、11cm3/10min以上であることが好ましく、12cm3/10min以上であることがより好ましい。曲げ強度は、90MPa以上であることが好ましく、95MPa以上であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いて光学成形体を製造できる。本発明の樹脂組成物は、成形に適した流動性および強度を有するため、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、太陽電池等に使用される透明導電性基板、光学ディスク、液晶パネル、光学レンズ、光学シート、光学フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡などの光学成形体の材料として有利に使用することができる。本発明の樹脂組成物を含む光学成形体は、高い屈折率を有すると共に、賦形性にも優れる。
酸化防止剤の含有量は、樹脂組成物100重量部に対して0.001~0.3重量部であることが好ましい。
トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸モノグリセリドおよびラウリン酸モノグリセリドが特に好ましい。これら離型剤の含有量は、樹脂組成物100重量部に対して0.005~2.0重量部の範囲が好ましく、0.01~0.6重量部の範囲がより好ましく、0.02~0.5重量部の範囲がさらに好ましい。
光学成形体の一例として、光学フィルムまたは光学シートについて説明する。本発明の樹脂組成物を含むフィルムまたはシートは、例えば、液晶基板用フィルム、液晶表示装置の輝度向上のためのプリズムシート、光メモリーカード等に好適に使用される。
成に分配して共押出ししてもよい。
また、T型ダイのリップの幅方向の長さは、特に制限は無いが、製品幅に対して1.2~1.5倍であることが好ましい。リップの開度は、所望の製品の厚みにより適宜調整すればよいが、通常、所望の製品の厚みの1.01~10倍、好ましくは1.1~5倍である。リップの開度の調整は、T型ダイの幅方向に並んだボルトによって行うのが好ましい。リップ開度は幅方向に一定でなくてもよく、例えば、端部のリップ開度を中央部のリップ開度より狭く調整することで、ドローレゾナンス現象を抑制することができる。
弾性ロールとしては、例えば、ゴムロールや、外周部に金属製薄膜を備えた弾性ロール(以下、金属弾性ロールとも称する)などが挙げられ、なかでも、金属弾性ロールであることが好ましい。
フィルムへの異物の混入を極力避けるため、成形環境も当然低ダスト環境でなければならず、クラス6以下であることが好ましく、より好ましくはクラス5以下である。
光学成形体の具体例としては、光学レンズも挙げられる。本発明の樹脂組成物を含む光学レンズは、望遠鏡、双眼鏡、テレビプロジェクター等、従来、高価な高屈折率ガラスレンズが用いられていた分野に用いることができ、極めて有用である。必要に応じて、非球面レンズの形で用いることが好ましい。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせによって球面収差を取り除く必要がなく、軽量化および生産コストの低減化が可能になる。従って、非球面レンズは、光学レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。
光学レンズは、例えば射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法など任意の方法により成形される。本発明の樹脂組成物を使用することにより、ガラスレンズでは技術的に加工の困難な高屈折率低複屈折非球面レンズをより簡便に得ることができる。
1.樹脂組成物
実施例におけるメルトボリュームレート(MVR)および曲げ強度は、以下の方法を用いて測定した。
(1)メルトボリュームレート(MVR)
MVRは、樹脂組成物の流動性を示す指標であり、値が大きいほど流動性が高いことを示す。実施例で製造した樹脂組成物を120℃で4時間真空乾燥し、(株)東洋精機製作所製メルトインデクサーT‐111を用い、温度260℃、加重2160gの条件下で測定した。
(2)曲げ強度
実施例で製造した樹脂組成物を120℃で4時間真空乾燥した後、射出成型によって80mm×10mm×4mmの試験片を得た。この試験片を用いて、JIS K 7171に準拠した曲げ試験を行った。
(3)1H-NMR測定条件
装置:ブルカー AVANZE III HD 500MHz
フリップ角:30度
待ち時間:1秒
積算回数:500回
測定温度:室温(298K)
濃度:5wt%
溶媒:重クロロホルム
内部標準物質:テトラメチルシラン(TMS) 0.05wt%
4-1)レンズ成形性1(離型性):ポリエステルカーボネート樹脂組成物をファナック(株)製FUNUC ROBOSHOTS‐2000i30Aを用いて成形温度260度、金型温度135度でレンズ型試験片(厚さ0.5mm、直径10mm)に成形した。射出時のピーク圧力を55MPaに設定し、このときのエジェクト圧の値が20MPa未満である樹脂組成物をA、エジェクト圧の値が20~30MPaである樹脂組成物をB、エジェクト圧の値が30MPa以上である樹脂組成物をCと評価した。
上述のエジェクト圧の低い樹脂組成物は、成形しやすく、生産性に優れることを示す。
4-2)レンズ成形性2(金型汚れ):新潟鉄工所製ミニ7成型機としずく型の金型を用いてシリンダー温度250℃、成型サイクル11秒、金型温度80℃、型締め力7トンで2000ショット成型した。成型終了後金型稼動側に設置された成型品本体部分に対応する入れ子(成型品の凸側表面に対応する)を連続成型後に金型部より取り外し、その表面部の金型汚れを目視にて観察した。
レンズ成形性2については、以下のように評価した。
A:目視にて金型汚れがなく、離型性が良好
B:目視にて金型汚れがあり、離型性が若干不良
C:目視にて金型汚れがあり、離型性が不良
9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下、「BPEF」とも称する)15.00kg(34.21mol)、テレフタル酸ジメチル1.66kg(8.55mol)、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」とも称する)5.86kg(27.36mol)、チタンテトラブトキシド14.5×10-4gを攪拌機及び留出装置つきの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760mmHgの下、1時間かけて200℃に加熱しながら攪拌した。その後、同条件でさらに100分間攪拌を行った。その後、20分かけて減圧度を200mmHgに調整し、200℃、200mmHgの条件で40分間保持してエステル交換反応を行った。その後、45℃/hrの速度で250℃まで昇温し、250℃、200mmHgで10分間保持した。その後、20分かけて減圧度を150mmHgに調整し、250℃、150mmHgで10分間保持した。その後、10分かけて120mmHgに調整し、250℃、120mmHgで70分間保持した。その後、10分かけて100mmHgに調整し、250℃、100mmHgで10分間保持した。さらに40分かけて1mmHg以下とし、250℃、1mmHg以下の条件下で30分間攪拌しながら重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで加圧し、生成したポリエステルカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。
実施例1と同様にエステル交換反応を行った。その後、45℃/hrの速度で260℃まで昇温し、260℃、200mmHgで10分間保持した。その後、20分かけて減圧度を150mmHgに調整し、260℃、150mmHgで10分間保持した。その後、10分かけて120mmHgに調整し、260℃、120mmHgで70分間保持した。その後、10分かけて100mmHgに調整し、260℃、100mmHgで10分間保持した。さらに40分かけて1mmHg以下とし、260℃、1mmHg以下の条件下で30分間攪拌しながら重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで加圧し、生成したポリエステルカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。
実施例1と同様にエステル交換反応を行った。その後、45℃/hrの速度で220℃まで昇温し、220℃、200mmHgで10分間保持した。その後、20分かけて減圧度を150mmHgに調整し、220℃、150mmHgで10分間保持した。その後、10分かけて120mmHgに調整し、220℃、120mmHgで70分間保持した。その後、10分かけて100mmHgに調整し、220℃、100mmHgで10分間保持した。さらに40分かけて1mmHg以下とし、220℃、1mmHg以下の条件下で20分間攪拌しながら重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで加圧し、生成したポリエステルカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。
実施例1と同様にエステル交換反応を行った。その後、45℃/hrの速度で310℃まで昇温し、310℃、200mmHgで10分間保持した。その後、20分かけて減圧度を150mmHgに調整し、310℃、150mmHgで10分間保持した。その後、10分かけて120mmHgに調整し、310℃、120mmHgで70分間保持した。その後、10分かけて100mmHgに調整し、310℃、100mmHgで10分間保持した。さらに40分かけて1mmHg以下とし、310℃、1mmHg以下の条件下で50分間攪拌しながら重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで加圧し、生成したポリエステルカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。
実施例および比較例で得られたポリエステルカーボネート樹脂は、以下の繰返し単位を含んでいる。
また、樹脂組成物中には、以下のポリマーおよび/または化合物が含まれている。
実施例1で製造した樹脂組成物の1H-NMRチャートを図1(a)に示す。図1(b)および(c)は、図1(a)の部分拡大図である。また、比較例1で製造した樹脂組成
物の1H-NMRチャートを図2(a)に示す。図2(b)および(c)は、図2(a)の部分拡大図である。
本発明の樹脂組成物を含むフィルムが上記のような優れた特性を有する理由は定かではないが、本発明の樹脂組成物中に存在するフルオレン基やビナフタレン基が、フィルムの光学特性や賦形性の向上に寄与するものと考えられる。さらに、本発明の樹脂組成物中には、末端にビニル基を有する化合物が含まれるため、成型時に樹脂が柔軟性を持ち、フィルムの賦形性がより向上するものと考えられる。
Claims (9)
- ジオール成分として下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位のみを含むポリエステルカーボネート樹脂(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、炭素数5~20のシクロアルコキシル基、炭素数6~20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子から選択され;
Xは、エチレン基であり;
HvおよびHfは、それぞれ水素原子であり;
nは、それぞれ独立に、1~5の整数であり;
*はポリマー鎖である]
からなる樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物の重クロロホルムを溶媒として用いて測定した際の 1H-NMRスペクトルは、
樹脂組成物。 - ジオール成分として下記一般式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位および下記一般式(3)で表される化合物に由来する繰返し単位のみを含むポリエステルカーボネート樹脂(ただし、下記一般式(A)で表される末端構造を有するポリマーおよび下記一般式(C)で表される末端構造を有するポリマーは除く)と、
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、炭素数5~20のシクロアルコキシル基、炭素数6~20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子から選択され;
XおよびZは、エチレン基であり;
nおよびmは、1であり;
Hv、HfおよびHoは、それぞれ水素原子であり;
*は、それぞれ独立に、ポリマー鎖である]
からなる樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物の重クロロホルムを溶媒として用いて測定した際の 1H-NMRスペクトルは、下記関係式(V)
前記関係式(V)の
と、
との和に対応する、
樹脂組成物。 - 前記一般式(1)で表される化合物は、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記一般式(3)で表される化合物は、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフタレンである請求項2~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む光学レンズ。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むシートまたはフィルム。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、前記一般式(1)で表される化合物を230~300℃の重合温度で重合させる工程を含む、樹脂組成物の製造方法。
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