JP6587832B2 - 液体吐出装置、スプレーパス設定方法、プログラム - Google Patents
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Description
例えば上記特許文献1には塗布液体を吐出する装置が開示されている。
この場合に、特に処理対象物上でコーティングを行う部分と行わない部分が存在する場合や、塗布処理対象物の配置物、例えば電子回路基板上の電子部品等に応じて、コーティング剤を塗布する吐出部(ノズル等)の位置の制御が重要である。
そこで本発明では、液体吐出装置において塗布処理対象物の状況に応じて効率よくコーティングができるようにするスプレーパスの設定手法を提供することを目的とする。
スプレーパスが、塗布禁止エリアの設定及び塗布処理対象物の各部の高さ位置の測定結果を考慮して設定されることで、塗布処理対象物上の配置物等に応じた最適な吐出部の移動経路(縦、横、高さ方向の移動)として、効率的なスプレーパスを設定できる。
塗布高さ値とは、例えば吐出部の先端から吐出面までの離間距離であって、安定した液体塗布が可能な距離とする。塗布する領域では塗布高さ値を維持するようにすることで、なるべく安定したコーティングを実現する。一方で、塗布禁止エリアは液体塗布を安定化する第1高さ位置を保つ必要はないため、第2高さ位置を用いて、高さ方向(Z方向)の動きが無用に大きくならないようにする。
塗布禁止エリアの高さが第2の所定値以下とは、例えば吐出部が塗布処理対象物に衝突する恐れのない高さであるものとする場合、むやみに高さ位置を変更させることでスプレーパスが非効率となる。そこでそのような箇所では、高さ位置を維持する。
塗布処理対象物画像がカメラ等の撮像装置で塗布処理対象物の塗布面を撮像した画像である場合、撮像光軸からずれた配置物等は投影上のずれが生ずる。高さ検出部による測定結果を参照すると、そのような配置物の正確な位置が判定できる。そこで配置物の位置を補正し、補正した塗布処理対象物画像を用いて正確なスプレーパスを設定するようにする。
塗布液体を扇状又は円錐状に吐出するノズルと、塗布液体を細線状に吐出するニードルとを有することで、処理対象物の状態にあわせてノズルとニードルで分担して塗布液体を吐出できる。例えば塗布エリアとしてノズルでは対応できないような幅が狭い部分があった場合や、ノズルが入り込めない位置への塗布などにはニードルを使用して対処できる。この場合に、ノズル用のスプレーパスとニードル用のスプレーパスについて、それぞれ塗布禁止エリアと高さ測定結果を考慮して設定する。
このようなスプレーパス設定方法により、液体吐出装置に効率の良いスプレーパスでの塗布作業を実行できるようにすることができる。
このようなプログラムにより、液体吐出装置が用いるスプレーパスとして、効率の良いスプレーパスを提供できる。
説明は次の順序で行う。
<1.実施の形態のコーティング装置の構成>
<2.コーティング装置の制御構成>
<3.実施の形態のスプレーパス設定>
<4.まとめ及び変形例>
<5.プログラム>
図1に本発明の液体吐出装置の実施の形態であるコーティング装置1の外観例を示す。
このコーティング装置1は、その作業台部2に載置された回路基板100に対して、吐出部であるノズル3又はニードル16からコーティング剤を吐出して吹き付け、回路基板100に防湿や防錆のための保護薄膜を形成する装置である。
なお後述するが、ノズル3は塗布液体(コーティング剤)を扇状又は円錐状に吐出する吐出部である。一方、ニードルとは先端が例えば針状とされて塗布液体を細線状に吐出する吐出部である。各吐出部を区別するために説明上「ノズル」「ニードル」と呼ぶこととしている。また、このコーティング装置1はノズル3とニードル16を備えるものとしているが、それぞれが着脱可能であったり、あるいはノズル3のみ、又はニードル16のみが取りつけられるコーティング装置1とする場合もある。
例えばこのコーティング装置1は電子回路基板等の製造ラインの一部として使用することができ、回路基板100が図示しない搬送機構で基板載置台10上にセットされる。そしてコーティング装置1でコーティング処理が行われ、その後図示しない搬送機構で回路基板100が取り出されて次工程に移送される。これによりライン上で連続作業としてのコーティング処理が実行される。
もちろん、コーティング装置1は、このようにラインを構成するだけでなく、個別に回路基板100等の処理対象物に対してコーティングを行う機器としてもよい。
ノズル3は、筒状先端部3aがノズルベース部3bに取り付けられた構造とされている。
ニードル16は、針状先端部16aがニードルベース16bに取り付けられた構造とされている。
ノズル3及びニードル16は、ホルダ4に取り付けられた状態で、作業台部2の上方空間をX方向、Y方向、Z方向に移動可能とされている。
またホルダ4にはレーザセンサ25が取りつけられている。レーザセンサ25は高さ測定を行うためのセンサであり、塗布処理対象物である回路基板100の高さを測定できる。レーザセンサ25がホルダ4に装着されていることで、レーザセンサ25はノズル3及びニードル16とともに作業台部2の上方空間をX方向、Y方向、Z方向に移動可能とされている。
さらにホルダ4には、ニードルZモータ15が配置されており、このニードルZモータ5によって、ニードル16の先端が上下(Z方向)に移動される。つまり作業台部2に対するニードル16の針状先端部16aの高さ位置が変動される。
以上の構成により、ノズル3及びニードル16の位置は、Xモータ7、Yモータ8、ノズルZモータ5、ニードルZモータ15によって、作業台部2の上方空間をX方向、Y方向、Z方向に移動可能となる。X方向、Y方向、Z方向に移動することで、載置された回路基板100上の各所を移動しながらのコーティング剤のスプレーを行うことができる。
またレーザセンサ25の位置はXモータ7、Yモータ8によりX方向、Y方向に移動可能となる。これにより回路基板100の平面をスキャンして、回路基板100の各部の高さを計測できる。
また図3には、ニードル16が回路基板100の上方からコーティング剤(スプレーパターン91)を吐出して吹き付けている様子を拡大して示している。
図2Aに示すように、回路基板100には、抵抗、コンデンサ、ICチップ等の各種の電子部品110,111,112,113がマウントされており、その各種電子部品の高さw,vや、電子部品間のサイズk,mなども多様である。本実施の形態では、例えばこのような回路基板100に対して、X方向、Y方向、Z方向にノズル3及びニードル16が移動されながら吹きつけを行うことで、回路基板100の形状や部品配置に応じた適切な薄膜形成を可能とする。
この図2Dのようなスプレーパターン90は、a−a断面線の位置よりさらに下方にいくと、霧化状になり、コーティングに適さなくなる。霧化状のパターンで塗布したコーティング剤は塗布されない部分やピンホールが多くなり、不良品になることがある。そのため、例えばa−a断面線の位置あたりで、回路基板100の表面に達することが適切である。
図2Aでは、上述のZ方向移動によりノズル3の回路基板100の表面からの高さ位置が、距離tの状態に調整され、コーティング剤の塗布が行われている様子を示している。この場合の塗布面からの距離tは、スプレーパターン90による塗布幅が、最も効率よく塗布ができる幅hとなる高さを得る距離である。この状態でY方向に移動されることで、幅hの状態でのY方向へ帯状に進行する塗布が行われることになる。
なお、最適な距離tは、塗布液体の粘度やノズル3のサイズ・形状等にもよるが、例えば本実施の形態では距離t=10mmとして説明する。
さらに回転角度位置により、進行させる塗布の帯の幅を調節することもできる。例えば図2Aの状態から45°回転角度位置を変化させてY方向に移動させれば、図示の幅hの半分の幅の状態でのY方向へ帯状に進行する塗布を行うことが可能になる。
図4A、図4B、図4Cには、各種回転角度位置θ1、θ2、θ3の場合に、例えばY方向側から見た場合のスプレーパターン90及び塗布領域92の塗布幅を示している。図のように、塗布幅を回転角度位置によって調整できる。
従って重ね塗り部分を考慮して塗布幅を調整したり、比較的狭い箇所にスプレーを行う場合などは、回転角度位置を調整して、進行方向からみたスプレーパターン幅を調整することで、適切な幅の塗布が可能となる。
即ち本実施の形態のコーティング装置1は、塗布液体を扇状に吐出するノズル3と、塗布液体を細線状に吐出するニードル16を有することで、処理対象物(回路基板100等)の状態にあわせてノズル3とニードル16で分担して塗布液体を吐出し、塗布作業を実行できる。このため回路基板100の電子部品110配置などにフレキシブルに対応して適切なコーティングが可能である。
コーティング剤は例えばポリオレフィン系若しくはアクリル系若しくはポリウレタン系の絶縁コーティング剤である。シンナーで希釈して液状で回路基板100に塗布した場合、10分程度乾燥させることで、回路基板100に基板遮蔽層としての薄膜が形成される。
光センサを構成する発光部21と受光部22は、X方向に対向するように配置されている。発光部21は例えば半導体レーザ等により構成され、例えば直径1.5mm程度のレーザ光を出力する。このレーザ光は受光部22によって受光される。受光部22では、受光光量に応じて、検出信号を出力する。
この場合、レーザ光の光線はX方向に伸びる線状となり、例えばノズル3がY方向に移動されてレーザ光の光線を横切ると、光線がノズル3によって妨げられ、受光部22に達しない。これによって受光部22では、受光光量が低下し、光量低下状態を示す検出信号を出力することとなる。
適切な塗布幅で塗布を行うために、ノズル3からの扇状のスプレーパターン90の幅を調整することが行われる。そのために、ノズル3からのスプレーパターン90を吐出させながら、センサの光線を横切る方向性でノズル3を移動させて、スプレーパターン90の幅を測定する。測定結果に応じて、コーティング剤のスプレー圧を調整することで、スプレーパターン幅を所望の幅に調整できる。
本例では、揮発性の高い溶剤で希釈されたコーティング剤を用いており、これが乾燥してノズル3の吐出孔3aやニードル16の針状先端部16aの先端(吐出孔)で硬化し、吐出するスプレーパターン90、91を変化させてしまうことがある。
そこで不使用時には、希釈剤を入れた浸け置き部24にノズル3及びニードル16の先端が浸されるようにしておく。浸け置き部24には例えばシンナー系の溶剤を入れておく。これによりノズル3やニードル16の詰まりを防ぐ。
また使用前には捨て打ち部23の上方にノズル3やニードル16を位置させた状態で、捨て打ちとしての吐出を行って硬化部分を吹き飛ばしたり、ノズル3やニードル16の先端をブラシ26に接触させるようにY方向に移動させて清掃できるようにしている。これらの作業により、実際のコーティング作業時には、安定したスプレーパターンが得られるようにしている。
また、捨て打ち部23の上方は、発光部21からのレーザ光の光線位置となる。従って、後述する測定処理としてスプレーパターン90を吐出しながらノズル3を移動させる動作は、捨て打ち部23の上方で行うことができる。つまり捨て打ち部23が測定処理の際に吐出されるスプレーパターン90の受け部としても機能する。
また捨て打ち部23には図示の様に斜面が形成されており、該斜面によって捨て打ちされたコーティング剤は一定方向に飛び散るように構成されている。この図1の場合、浸け置き部24の方向にコーティング剤が飛び散るようにされている。このため捨て打ちの際や、測定処理の際に、むやみに作業台部2上にコーティング剤が飛散することがないようにできる。
この表示部9には、このコーティング装置1に取り込まれた回路基板100の画像(撮像画像)や撮像画像を加工した画像、操作アイコン、メッセージ表示、その他、ユーザインターフェースのための各種画像が表示される。
回路基板100の画像が表示されることで、オペレータは、画像上で、コーティングを行う部位を指定したり、あるいはコーティングを禁止する領域を指定したりすることも可能とされる。
図5にコーティング装置1の制御構成を示す。なおここでは特に電気系統を示し、コーティング剤の供給、加圧制御等の流体制御系についての説明は省略する。
メモリ部34は、主制御部30が各種制御で用いるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEP−ROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリ等の記憶領域を総括的に示している。
なお、このメモリ部34としては、マイクロコンピュータ内部に形成される記憶領域(レジスタ、RAM、ROM、EEP−ROM等)や、マイクロコンピュータとしてのチップ外部で外付けされるメモリチップの領域の両方をまとめて示している。つまり、いずれの記憶領域が用いられても良いため区別せずに示したものである。
メモリ部34におけるRAM領域は、主制御部30としてのCPUが各種演算処理のためのワークメモリとして用いたり、画像データ等の一時的な記憶等に用いられる。
メモリ部34における不揮発性メモリ領域は、演算制御処理のための係数、定数等、必要な情報が格納される。
主制御部30は、メモリ部34に格納されるプログラムや、入力部31からのオペレータの操作入力に基づいて、或いは外部装置であるコンピュータ装置200等からの指示に基づいて、必要な演算処理、制御処理を行う。
入力部31からの入力情報は主制御部30に供給され、主制御部30は入力情報に応じた処理を行う。
例えば主制御部30は、回路基板100の撮像画像データを表示駆動部33に受け渡して、撮像画像を表示部9に表示させたり、撮像画像データを編集して表示部9に表示させたりすることができる。
なお主制御部30は、例えばコンピュータ装置200やデジタルスチルカメラ等の外部機器から撮像画像データを取り込んで、メモリ部34に格納する。そして主制御部30は、必要に応じて撮像画像データを読み出して画像解析処理、拡大/縮小処理、画像編集処理、或いは外部送信処理等を行うことができる。
この通信により、外部機器から撮像画像データ等の供給を受けたり、或いはバージョンアッププログラムをロードしたり、各種処理係数、定数の変更設定を受け付けたりすることができる。また主制御部30がホスト機器に対し、エラーメッセージ、ワーニング等を送信したり、撮像画像データを送信することなども可能とされる。
また、図示のようにコンピュータ装置200が通信可能の場合、コンピュータ装置200から撮像画像データ、動作プログラム、スプレーパスの設定データ等を取り込むことができる。
例えば主制御部30は、コーティング処理を開始する前に、回路基板100を撮像した撮像画像の解析、及びオペレータの操作入力による禁止エリア設定等に応じて、スプレーパス(後述するノズルパス及びニードルパス)を作成する処理を行う。実際のコーティング処理を開始した後は、作成したノズルパスに応じて、ノズル移動方向をモータコントローラ35に指示し、またニードルパスに応じて、ニードル移動方向をモータコントローラ35に指示していくこととなる。
また、後述するスプレーパス設定処理における高さ測定の際にも、主制御部30は、モータコントローラ35に対してレーザセンサ25(ホルダ4)の所定の移動を指示する。
これらの移動のコマンドに応じて、モータコントローラ35は、各モータドライバ(36,37,38,39,45)を駆動制御することとなる。
Yモータドライバ38は、Yモータ8に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりYモータ7が駆動され、ホルダ4を支持するX方向ガイド11全体がY方向の正方向又は逆方向にスライド移動される。
ノズルZモータドライバ39は、ノズルZモータ5に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりノズルZモータ5が駆動され、ノズル3が垂直方向に繰り出されたり、引き上げられたりするように移動される。
ノズル回転モータドライバ38は、ノズル回転モータ6に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりノズル3の回転角度位置を変化させる回転動作が行われる。
ニードルZモータドライバ45は、ニードルZモータ15に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりニードルZモータ15が駆動され、ニードル16が垂直方向に繰り出されたり、引き上げられたりするように移動される。
モータコントローラ35は、主制御部30からのコマンドに応じて、各モータドライバ36,37,38,39,45に指示を出し、電流印加を実行させることで、各モータが連携して、作業台部2上でのノズル3、ニードル16、レーザセンサ25の移動が実行される。
位置検出部52は、ノズル回転モータ6により回転駆動されるノズル3の回転角度位置を検出する。そして回転角度位置を主制御部30に通知する。
位置検出部53は、Yモータ8により移動されるホルダ4のY方向の位置を、Y座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部54は、ノズルZモータ5により上下移動されるノズル3のZ方向の位置を、Z座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部55は、ニードルZモータ15により上下移動されるニードル16のZ方向の位置を、Z座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部51,53,54,55は、それぞれX方向ガイド11,Y方向ガイド12、ホルダ4に機械的或いは光学的なセンサが設けられて位置を検出するようにしても良いし、或いはXモータ7,Yモータ8,ノズルZモータ5,ニードルZモータ15がステッピングモータの場合、位置検出部51,53,54,55は、正逆方向の駆動ステップ数をアップ/ダウンカウントするカウンタとし、そのカウント値を検出位置とするものでもよい。またXモータ7,Yモータ8,ノズルZモータ5,ニードルZモータ15に取り付けられたFG(Frequency Generator)やロータリエンコーダ等の信号を用いて、現在位置を計測するものでもよい。いずれにせよ位置検出部51,53,54,55は、ノズル3及びニードル16の現在位置としてX座標値、Y座標値、Z座標値が検出できる構成であればよく、その具体的手法は問われない。
また位置検出部52も同様に、ノズル回転位置を機械的或いは光学的に検出するセンサでもよいし、例えばノズル回転モータ6のFGやロータリエンコーダ、或いはステッピングモータの場合のステップ数のアップダウンカウンタなどとしてもよい。
モータコントローラ35は、位置検出部51,52,53,54,55からの位置情報を監視しながら、主制御部30から求められたノズル駆動を実行することになる。
また主制御部30は、モータコントローラ35を介して位置検出部51,52,53,54,55による位置情報の通知を受けることで、ノズル3、ニードル16、レーザセンサ25の現在位置を把握でき、正確かつ無駄のない移動制御が実行できる。
また吐出制御部40は、主制御部30の指示に応じて、吐出の際の圧力を調整することで、コーティング剤のスプレーパターン90、91の幅や量を調整することもできる。
例えば吐出機構41では、コーティング剤の吐出用の空気圧の調整に電空レギュレータを使用する。吐出制御部40は電空レギュレータを制御することで、噴射圧でコーティング剤のスプレーパターン90、91の幅を調整できる。電空レギュレータによって電気信号に比例して空気圧を無段階に制御できることで、スプレーパターン90、91の幅を無段階で変化させることができる。これにより、スプレーパターン90、91の調整、あるいは設定変更などが容易に実行できる。
このセンサ駆動部42は主制御部30の指示に応じてレーザ発光駆動を行い、またその際、検出信号を主制御部30に供給することになる。
以上の構成の本実施の形態のコーティング装置1は、ノズル3及びニードル16を併用することで、回路基板100に応じた精細な塗布を行うことができる。特にコーティングを効率よくかつ正確に行うために、実際の塗布作業の前には、ノズル3による塗布作業時の移動経路(ノズルパス)と、ニードル16による塗布作業時の移動経路(ニードルパス)を以下説明するように設定している。
図6Aはコーティング処理対象物である回路基板100を示している。この回路基板100にコーティングを行うためには、図6B、図6Bのように第1禁止エリアAR1、第2禁止エリアAR2を設定する。
第1禁止エリアAR1は、ノズル3によるスプレーパターン90の吐出を行わない領域である。但し、塗布したいが、ノズル3によっては塗布できない領域も含んでいる。
第2禁止エリアAR2は、第1禁止エリア内であって、ニードル16によるスプレーパターン91の吐出を行わない領域である。即ち第2禁止エリアAR2は、第1禁止エリアAR1に含まれているが塗布を行うべき場所を除外したエリアである。換言すれば、本来、回路基板100上で塗布を行わないとすべきエリアは、第2禁止エリアAR2として表される。例えば電子部品110〜113の上面などである。
図7Aは、表示部9に表示される回路基板100の撮像画像である。回路基板100や電子部品110、111、112、113等が画像として表示されている。
このような画像に対し、オペレータのタッチ入力、もしくは主制御部30の画像解析により図7Bのように第1禁止エリアAR1を設定する。主制御部30はこの第1禁止エリアAR1を考慮してノズルパスを設定する。即ち第1禁止エリアAR1を避けるようにノズル3を移動させる経路を算出する。図7Cは作成したノズルパスを表示部9に表示させている状態を示している。各パスマーカPM1がノズルパスを示す。三角形のパスマーカPM1によりノズル3の移動方向が示される。また例えば各パスマーカPM1には数字が付されており、塗布時にノズル3を移動させる経路の順序が示される。
なお各パスマーカPM1によっては、ノズル3がコーティング剤を吐出しながら移動する吐出移動経路が示される。各パスマーカPM1で示されるのが、それぞれ1つの吐出移動経路となる。或る吐出移動経路から次の吐出移動経路に移動するときは、ノズル3からの吐出を継続させながら移動できる箇所もあれば、一旦コーティング剤の吐出を停止させて移動させる場合もある。例えば図7Cで「7番」のパスマーカPM1の吐出移動経路で塗布を行った後、「8番」のパスマーカPM1の吐出移動経路での塗布に移る場合、ノズル3は非吐出状態で移動される。このような非吐出状態で移動する経路(非吐出移動経路)は、パスマーカPM1によって直接的には示されないが、実質的には塗布作業時のノズル移動経路であり、ノズルパスに含まれることになる。
なお図8Bには、第2禁止エリアAR2に、第1禁止エリアAR1を破線で重ねて示した。この図からわかるように、第2禁止エリアAR2は、第1禁止エリアAR1内で、塗布しないエリアを示すものとなる。
主制御部30は、図8Aの第2禁止エリアAR2を考慮してニードルパスを設定する。即ち第1禁止エリアAR1内であって、第2禁止エリアAR2に含まれない部分をニードル16で塗布するように、ニードル16を移動させる経路を算出する。図8Cは作成したニードルパスを表示部9に表示させている状態を示している。各パスマーカPM2がニードルパスを示す。三角形のパスマーカPM2により、ニードル16の移動方向が示される。また図示していないが、例えば各パスマーカPM2に対応して数字が付されて、ニードル16を移動させる経路の順序が示される。
なお各パスマーカPM2によっては、ニードル16がコーティング剤を吐出しながら移動する吐出移動経路が示される。ニードル16の場合も、或る吐出移動経路から次の吐出移動経路に移動するときは、一旦コーティング剤の吐出を停止させて移動させる場合もある。この場合の非吐出移動経路は、パスマーカPM2によって直接的には示されないが、実質的には塗布作業時のニードル移動経路であり、ニードルパスに含まれることになる。
以下、スプレーパス設定処理の具体例を図9を参照して詳細に説明する。
なお、ここでは主制御部30がスプレーパス設定用のプログラムに応じて実行するスプレーパス設定処理として説明するが、以下のスプレーパス設定処理は、例えばコーティング装置1の外部のコンピュータ装置200等で実行して、作成したスプレーパス設定データを主制御部30に受け渡すようにしてもよい。
例えば処理対象とする回路基板100については、予め作業者がデジタルスチルカメラ等を用いて撮像し、コンピュータ装置200等に取り込んでおく。このステップS101では、主制御部30は、外部インターフェース46を介したコンピュータ装置200等との通信により基板撮像データを取得してメモリ部34に記憶する。なお、メモリカードその他の記憶媒体を読み込み可能とし、そのメモリカード等を介して基板撮像データを取り込むようにしてもよい。
主制御部30は、取り込んだ基板撮像データを補正して表示部9に表示させる。ここでの補正とは、回路基板100の撮像画像を実物と同じ大きさで表示部9に表示させるように、画像を縮小又は拡大する処理である。例えば表示部9の表示上の基板画像上で原点aからX方向に1cmだけ仮想ノズルを移動させると、基板載置部10の実物の回路基板100上でも同様に原点aからX方向に1cmだけ実際のノズル3が移動するように、画像と現物のサイズを合わせる。即ち現実の回路基板100の大きさと主制御部30が管理する縮尺とが一致するように画像補正を行う。
図10で説明する。図10Aは作業台部2上の基板載置台10に載置された回路基板100の平面を示しているとする。この回路基板100に対して、レーザセンサ25で測定スキャンを行う。
例えばまずレーザセンサ25を原点aから破線矢印で示すように端辺bの位置までX方向に移動させるように第1ラインL1をスキャンする。
続いて端辺bに沿って1ライン分だけY方向に移動させ、破線矢印に示すようにX方向に逆移動させ、第2ラインL2をスキャンする。
このような1つのライン毎にレーザセンサ25を移動させて高さ測定値を取得していく動作を、最終ラインLnまで行う。
このように回路基板100の平面上を第1ラインL1〜最終ラインLnまでレーザセンサ25によりスキャンさせて、平面上の各部の高さ位置を測定する。
なお、各ラインL1,L2・・・Lnは、例えば1mm間隔などとして設定すればよい。ライン間隔を狭くするほど、回路基板100の平面上を精密に高さ測定できることになる。
t0時点で測定が開始されると、主制御部30は、まず時点t1においてレーザセンサ25が原点aの直上に位置するようにモータコントローラ35に指示する。そして時点t1〜t2間に、レーザセンサ25を駆動させて、原点aにおける高さを計測する。この高さの値が、基準高さの値となる。
続いて各ライン毎のスキャンのスタートタイミングが規定され、各ラインスタートのタイミングで、ラインナンバで示されるラインのスキャンが行われる。
時点t3〜t4には、主制御部30はモータコントローラ35及びセンサ駆動部25へ指示して第1ラインL1のスキャンを実行させ、このときに主制御部30は第1ラインL1上の各点(各X座標点)の高さ値を取得し、メモリ部34に記憶する。
時点t5〜t6には、主制御部30はモータコントローラ35及びセンサ駆動部25へ指示して第2ラインL1のスキャンを実行させ、このときに主制御部30は第2ラインL2上の各点(各X座標点)の高さ値を取得し、メモリ部34に記憶する。
このような処理を最終ラインLnまで行うことで、回路基板100の各X、Y座標点の高さ値を取得し、メモリ部34に記憶することになる。
原点aで測定した基準となる高さ値が0mmとしている。例えば回路基板100の上面の高さ位置が基準の0mmの高さ位置となる。
例えば図11Aにおいて点PGが撮像時の撮像光軸位置であるとすると、基板撮像データ上で観察される電子部品等は、図のように真上からの形状ではなく、点PGの光軸を中心として観察される斜視形状が、二次元に投影された画像となる。この画像を解析すると、図のように或る電子部品がX軸上でx1〜x2の範囲に位置するように判定される。
しかしながら実際には図11Bのように、この電子部品がX軸上でx3〜x4の範囲に位置している。そしてこのx3〜x4の範囲に電子部品が位置していることは、レーザセンサ25を用いた高さ測定データから正確に判定できる。
そこで主制御部30は、高さ測定データを用いて基板撮像データの補正を行う。具体的には電子部品等の配置物の輪郭線が、高さデータの変化点に一致するように補正を行えば良い。なお、実際に画像自体の補正を行っても良いが、基板撮像データを解析して得た回路基板100上の各種部品の位置データについてのみ補正を行うものでもよい。いずれにしても、スプレーパスの設定に反映させる各種電子部品の位置が補正されるようにすればよい。
扇状のスプレーパターン90の幅は加圧液体の加圧力やノズル3の種別によって異なる。スプレーパターン90の幅が異なれば効率の良いノズルパスも変わる。そこでノズルパス作成のために扇状スプレーパターン90の幅を設定する。また塗布厚の設定はノズル3の移動速度や、隣のすでに塗布された部分への重ね塗り量に関わる。
塗布幅hで塗布する際に、隣の既に塗布された部分にどれだけ重ねて塗布するかを設定する。通常は重ね塗りしないでノズルパスを設定しても、液化したコーティング剤の塗布後の僅かな拡張によって隣同士の塗布が合体し隙間のない塗布が完成する。しかし付着しない部分やピンホールを完全に防ぐための塗布作業ないし厚みのある塗布を必要とする場合は重ね塗り量を多く設定する必要がある。
回路基板100の端面までコーティング剤を塗布すると、コーティング剤が流れ落ちピンホールや付着しない部分を形成することがある。また、コーティング剤が流れ出して回路基板100の側面や裏面に付着すると粘着性が発生するともに厚みが変化し、後の搬送に支障をきたす恐れがある。また、無駄なコーティング剤の消費ともなる。そこで外周でコーティング剤を塗布しないのり代を設定できるようにしている。回路基板100の外周に数ミリ間隔の塗布しないのり代を設定すると、のり代の手前に塗布されたコーティング剤の表面張力によって、回路基板100上に塗装厚を保持しコーティング膜を作成することができる。この表面張力によってコーティング剤が流れ落ちることもない。
効率的で短時間に塗布作業を完成させる為に、回路基板100の横方向(X方向)か縦方向(Y方向)のどちらに主にノズル3やニードル16を移動させたほうが良いかを設定する。
回路基板100上の電子部品110,111等の高さにも応じたノズル3及びニードル16の高さ位置の設定であって、扇状スプレーパターン90が霧化しないダブテイル状の部分を使って塗布するための高さ設定である。過去のデータが揃っていれば条件を入力するだけで自動的に効率よい塗布幅hに設定することができる。
例えば図2Aに示した距離tが塗布高さであり、例えばt=10mmとする。
上述のように塗布作業時の移動経路であるスプレーパス(ノズルパス、ニードルパス)は、吐出移動経路と非吐出移動経路を含む。
非吐出移動経路においてコーティング剤の吐出を行わずに回路基板100上をノズル3及びニードル16が通過するときは、回路基板100上の電子部品110,111等の高さに考慮して移動しなくてはならない。そこでノズル3及びニードル16が電子部品等に当接して破損することがないように、移動高さ(ノズル移動高さ、及びニードル移動高さ)を設定する。
具体的には、非吐出状態で移動が行われる非吐出移動経路でのノズル3の高さ位置、及びニードル16の高さ位置を、ノズル移動高さ、及びニードル移動高さとして設定する。
ここでノズル移動高さ及び上記ニードル高さは、塗布処理対象物である回路基板100に設けられた構造物(電子部品110,111)の高さを越える高さに設定することで、非吐出移動経路において、ノズル3やニードル16が電子部品110,111に衝突することがないようにされる。
基本的には、移動高さとは、回路基板100上の電子部品110等に衝突しない十分な高さに設定される。例えば移動高さ=30mmなどとする。
上記の移動高さ(30mm等)は、例えば塗布開始時のスタート位置に移動する場合や、塗布終了時に回路基板100の上方から離脱する際など、つまり塗布過程以外の移動に用いる高さとする。説明上、この移動高さを「第1の移動高さ」と呼ぶ。
そして塗布過程においては、第1の移動高さとは異なる第2の移動高さを適用する。即ち塗布過程でのノズル3やニードル16の移動時の高さが電子部品110,111の高さを越えるが、高すぎないような高さに設定されることで、移動効率を確保する。
本実施の形態では、例えば上述のように塗布高さ=10mmとした場合、第2の移動高さ=4mmなど、塗布高さより小さい値とする。もちろん4mmは一例である。
なお、ここでいう第2の移動高さは、その位置における高さ値から+4mmという意味である。例えば電子部品の高さが15mmの部分ではZ座標値として19mmに相当する座標値とするという意味である。
一方、第1の移動高さとは、各部の電子部品等に関わらず、例えば基準高さ(回路基板100の平面)から30mmという意味である。
ノズル3の選定と吐出圧の設定と塗布速度の設定によってコーティング剤の塗布厚が決定する。塗布速度を下げるとコーティング剤が厚く塗布され、ひび割れの原因になったり、あふれて禁止エリアAR1,AR2に入ってしまうことがある。塗布速度を早くするとコーティング剤が薄く塗布され、塗布されない箇所ができてしまうと共に、飛沫量が大きくなり、禁止エリアAR1,AR2に飛沫が飛んでしまうことがある。そこで適切な塗布速度を設定する。
なお、設定する塗布速度としては、ノズル3による直線方向塗布速度、θ回転角度に応じた塗布速度、斜め方向移動のための塗布速度、円弧移動のための塗布速度、ニードル16の塗布速度などがある。
塗布方向にノズル3やニードル16が移動する際、停止した状態から加速して一定速度に達するまでの期間に吐出したコーティング剤は厚く塗布されてしまう。同様にノズル3やニードル16の速度が減速して停止するまでの間に吐出したコーティング剤も厚く塗布されてしまう。また、一定速度で移動していたノズル3やニードル16が停止するまでコーティング剤が吐出されると、慣性力によって停止位置よりも先にコーティング剤が塗布されてしまう。そこでノズル3及びニードル16の移動が一定速度に達してからコーティング剤を塗布するとともに、一定速度より減速するとコーティング剤の塗布を中止するように、塗布タイミングを設定する。
続いてステップS106では、主制御部30は第1禁止エリアAR1の設定を行う。
上述のように回路基板100の画像が表示部9に表示されている際に、オペレータが塗布を禁止させたい領域範囲をマウスやタッチペンなどを用いて囲うなどの入力部31からの入力を行うことに応じて、主制御部30は図7Bのように禁止エリアAR1の領域を設定する。
なお、主制御部30は撮像画像の解析結果とステップS104の部品位置座標補正により、電子部品110〜113等の領域を正確に判別することができる。
そこで電子部品領域や、上述の設定処理で設定した塗布幅では塗布できない領域などを画像解析結果から判定し、当該箇所を第1禁止エリアAR1として自動設定するようにしてもよい。
また、自動設定した第1禁止エリアAR1を図7Bのように表示した際に、オペレータが必要に応じて修正入力を行い、それにより主制御部30は、第1禁止エリアAR1の設定を修正するようにしてもよい。
例えばオペレータが禁止させたい箇所を入力した場合、その領域を第2禁止エリアAR2に設定する。その上で主制御部30は、該第2禁止エリアAR2と、さらにノズル3では塗布できない幅の領域をまとめて第1禁止エリアAR1の設定を行う。このようにすれば、オペレータは、単純に、塗布させたくない領域の入力のみを行えばよいことになり作業性が向上する。
また、同様に画像解析の場合も、まず電子部品110,111等の領域を主制御部30は第2禁止エリアAR2として設定する。そして該第2禁止エリアAR2と、さらにノズル3では塗布できない幅の領域を検出して、これらをまとめて第1禁止エリアAR1として設定するようにしてもよい。第1禁止エリアAR1、第2禁止エリアAR2の両方を画像解析に基づいて主制御部30が自動設定するようにすれば作業の手間は軽減され、作業効率は大きく向上する。
具体的なノズルパス作成処理は、全体の経路を設定するとともに、1つのパスマーカPM1で示される1つ1つの吐出移動経路について、開始位置、終了位置、パス長、方向、ノズル回転角度(θ)、吐出時のノズル高さ(Z座標値)、移動速度などを設定する処理となる。また非吐出移動経路のノズル高さもノズルパスの情報に含まれる。
このようなノズルパス設定により、ノズル3の吐出移動経路の移動が第1禁止エリアAR1を含まず、また吐出移動経路及び非吐出移動経路の移動が適切な高さで行われ、さらに各種コーティング条件に応じて効率良く行われるようにする。
そして図8Cに示したようにパスマーカPM2によりニードルパスを表示部9に表示させる。図8CのパスマーカPM2は、全体のニードルパスを構成する1つ1つのパスの略中央に表示される例としている。
具体的なニードルパス作成処理は、全体の経路を設定するとともに、1つのパスマーカPM2で示される1つ1つのパスについて、開始位置、終了位置、パス長、方向、吐出時のニードル高さ(Z座標値)、移動速度などを設定する処理となる。また非吐出移動経路のニードル高さもニードルパスの情報に含まれる。
このようなニードルパス設定により、ニードル16の吐出移動経路の移動が第2禁止エリアAR2及びノズル3による塗布エリアを含まず、また吐出移動経路及び非吐出移動経路の移動が適切な高さで行われ、さらに各種コーティング条件に応じて効率良く行われるようにする。
但し、すぐに実際の塗布作業に移るのではなく、適切なスプレーパス設定がなされたか検証するために、実際に作成したスプレーパスによる移動を実行させるシミュレーションを経て、最終的なノズルパス及びニードルパスを決定するようにしてもよい。
例えば主制御部30は、まずノズルパスに応じた移動が実行されるようにモータコントローラ35に指示するとともに、吐出制御部40に指示してノズル3からのコーティング剤の吐出を実行させる。これによりノズルパスの経路で回路基板100上に塗布が行われていく。
ノズルパスでの塗布が完了したら、続いて主制御部30は、ニードルパスに応じた移動が実行されるようにモータコントローラ35に指示するとともに、吐出制御部40に指示してニードル16からのコーティング剤の吐出を実行させる。これによりニードルパスの経路で回路基板100上に塗布が行われていく。
以上の制御により回路基板100上でのコーティング剤の塗布が完了する。
図12Aは先述のように、例えばラインLxでの高さ測定データを示している。
今、仮にスプレーパス(ノズルパス、ニードルパス)において、ラインLxに沿った移動が行われると仮定したモデルで、当該移動時の高さ位置の設定について説明する。
図12Bにおいて、実線矢印(K1〜K9)が、ラインLxに沿って移動するときの吐出部(ノズル3又はニードル16)の先端の高さ位置の遷移を示している。なお、電子部品110等に相当する高さ測定データを破線で示している。これら電子部品110等に相当する部分のうち、斜線を付した部分(電子部品110等の上面に相当)は、塗布禁止エリアであることを示し、つまり実線矢印が、非吐出移動経路として移動される部分である。
ここで、仮に非吐出移動経路において衝突を避ける場合、常に上述の第1の移動高さHi1(例えば基準高さから30mm)で移動させるようにすると、図12Bの一点鎖線K3’、K7’で示すような経路となる。しかしながら、このようなスプレーパスは上昇量・下降量が大きくなり非効率である。
そこで本実施の形態では、衝突を避けるための高さとしては、上述の第2の移動高さHi2(例えばその位置の高さ値+4mm)を用いる。これにより、図12Bの矢印K3,K7で示すような経路とする。つまり、電子部品110、113に相当する部分の高さ値は、高さ測定により取得できているため、矢印K3,K7の部分の移動の際のZ座標値としては、測定された高さ値+第2の移動高さHi2とするZ座標値を設定する。
しかし、電子部品112の上面の高さ値は、例えば4〜5mm程度であって、所定値th2より低く、塗布高さtのまま移動させても衝突はしない。そこで矢印K5のように、吐出移動経路での塗布高さtのまま移動させるようにする。
即ち電子部品112等として、基準高さより高い部分があっても、その高さが所定値th2以下(例えば塗布高さt=10mmの場合にth2=8mmなど)の場合は、非吐出移動経路であってもZ座標値を変更させないようにする。これによっては一点鎖線K5’として示すような無駄な上下移動はなくなる。
但し、塗布高さt=10mmは、1つの基準であるが、常に正確に保たなければならないものでもない。例えば実際のノズル3と塗布面の離間距離が9〜11mmなどの所定の範囲なら適切に塗布が行われる場合もある。そこで、塗布面の高さ位置が変化しても、実際の塗布高さの変動が小さい場合は、現状のZ座標値を保つようなことも考えられる。レーザセンサ25による高さ測定データを参照することで、高さ変動分も把握できるため、そのようなスプレーパス設定も可能となる。
例えばホルダ4に装着されたノズル3、ニードル16、レーザセンサ25の位置関係が、図13Aのようにずれており、それぞれのXY座標値がCT1,CT2,CT3として示すようにずれているとする。図13Bは、CT1,CT2,CT3をXY平面上に示している。
この場合、レーザセンサ25で計測される各XY座標値の高さ値は、ノズルパス設定時には、X座標値としてxh1,Y座標値としてyh1のオフセットをもって用いるようにする。またニードルパス設定時には、X座標値としてxh2,Y座標値としてyh2のオフセットをもって用いるようにする。これにより、レーザセンサ25と、ノズル3、ニードル16の平面位置のずれを解消して、適切なスプレーパス設定が可能となる。
これらの場合の距離CLは、ノズル3やニードル16の半径に応じて設定する。図13Cには、ノズル3の直径d1、ニードル16の直径d2を示しているが、ノズル3やニードル16が位置するXY座標値が中心点CTの座標値であるとする。するとノズル3やニードル16が電子部品110のXY座標値と半径(d1/2、又はd2/2)だけ離れた座標値となる位置までに接近すると、ノズル3やニードル16が電子部品110に衝突することになる。
そこで、ノズルパス設定時には、距離CLを半径(d1/2)より大きくした値として経路設定に用いる。より具体的には図2Dのようなスプレーパターンの幅の半分の値とすれば、距離CLとして示した部分も、塗布が適切に行われることになる。
同様にニードルパス設定時には、距離CLを半径(d2/2)より大きくした値として経路設定に用いる。
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
実施の形態のコーティング装置1は、塗布液体を吐出する吐出部(ノズル3、ニードル16)と、吐出部を三次元の各方向であるX方向、Y方向、Z方向に移動させる移動手段(ノズルZモータ5,Xモータ7,Yモータ8,X方向ガイド11,Y方向ガイド12,ニードルZモータ15)と、この移動手段により吐出部とともに移動されるように装着された高さ検出部(レーザセンサ25)と、塗布処理対象物である回路基板100に対する、吐出部の塗布作業時の移動経路であるスプレーパスを設定するスプレーパス設定処理を行うとともに、設定したスプレーパスに基づいて移動手段により吐出部を移動させながら、塗布処理対象物に対する塗布液体の吐出を実行させる制御手段(主制御部30)とを備える。そして制御手段は、スプレーパス設定処理として、塗布処理対象物画像を取り込む画像取得処理(S101)と、移動手段により高さ検出部を移動させて、塗布処理対象物の各二次元位置での高さを測定する高さ測定処理(S103)と、塗布処理対象物画像上で塗布禁止エリアを設定する塗布禁止エリア設定処理(S106,S107)と、塗布禁止エリアの設定及び高さ測定処理の測定結果を用いて、スプレーパスを作成する作成処理(S108,S109)とを行う。
スプレーパスが、塗布禁止エリアの設定及び塗布処理対象物の各部の高さ位置の測定結果を考慮して設定されることで、塗布処理対象物上の配置物等に応じた最適な吐出部の移動経路(X、Y、Z方向の移動)として、効率的なスプレーパスを設定できる。特に高さ測定データを参照することで無駄な上下移動を解消したスプレーパス設定が可能となる。
第1の所定値以上とは、例えば吐出部を塗布高さtで移動させると衝突する高さを考慮した高さ値であり、例えばt=10mmの場合、第1の所定値=10mm、或いは衝突の危険を確実に回避するため、第1の所定値=9mm又は8mmなどとしてもよい。
塗布高さ(t)は、吐出部の先端から吐出面までの離間距離であって、安定した液体塗布が可能な距離とし、塗布する領域では塗布高さ値が維持されるようにすることで、安定したコーティングを実現できる。
一方で、塗布禁止エリアは液体塗布を安定化する塗布高さ(t)を維持する必要はないため、移動高さ値(Hi2)を用いてZ座標値を設定して、図12Bの矢印K3,K7の部分のようにZ方向の動きが無用に大きくならないようにしている。これによって移動効率を向上させることができる。
塗布禁止エリアの高さが第2の所定値th2以下とは、例えば吐出部が塗布処理対象物に衝突する恐れのない高さであり、例えばth2=8mmなどとする。衝突の恐れがないときにむやみに高さ位置を変更させることでスプレーパスが非効率となる。そこで図12Bの矢印K5の部分のように、高さ位置を例えば直前の塗布高さtのまま維持することで、移動効率を向上させることができる。
塗布処理対象物画像がカメラ等の撮像装置で塗布処理対象物の塗布面を撮像した画像である場合、撮像光軸からずれた配置物等は投影上のずれが生ずる。高さ検出部による測定結果を参照すると、そのような配置物の正確な位置が判定できる。そこで配置物の位置を補正し、補正した塗布処理対象物画像を用いて正確なスプレーパスを設定するようにする。これにより正確で安定した塗布、及び効率の良い上下移動となるスプレーパス設定が可能となる。
塗布液体を扇状又は円錐状に吐出するノズルと、塗布液体を細線状に吐出するニードルとを有することで、処理対象物の状態にあわせてノズルとニードルで分担して塗布液体を吐出できる。例えば塗布エリアとしてノズルでは対応できないような幅が狭い部分があった場合や、ノズルが入り込めない位置への塗布などにはニードルを使用して対処できる。この場合に、ノズル用のスプレーパスとニードル用のスプレーパスについて、それぞれ塗布禁止エリアと高さ測定結果を考慮して設定することで、効率的な移動経路設定が可能となる。しかも、高さ測定データを参照して設定することで、ノズル3やニードル16が電子部品110等と接触することがないスプレーパスが決定され、機器や回路基板100に損傷等を生じさせることのない安全なスプレー塗布動作が実行できる。
例えば円錐状に広がるスプレーパターンを吐出するノズルであっても本発明は適用できる。即ち、円錐状のスプレーパターンのノズルと、細線状のスプレーパターンのニードルを組み合わせたものでも、上述のスプレーパス設定処理に基づいて適切な塗布を行うことが想定される。
そしてコンピュータ装置200等で作成したスプレーパスのデータを、コーティング装置1に転送して、コーティング装置1が使用できるようにしてもよい。
また本発明の液体吐出装置は、実施の形態のようなコーティング装置に限らず、膜形成、洗浄、塗装など、各種の目的で加圧液体の吐出を行う液体吐出装置において広く適用できる。
さらに本発明は、基板接着装置やレーザ加工装置などに応用することができる。
実施の形態のプログラムは、上述の図9のスプレーパス設定処理を、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置に実行させるプログラムである。
即ち塗布処理対象物画像を取り込む画像取得処理と、移動手段により高さ検出部を移動させて、塗布処理対象物の各二次元位置での高さを測定する高さ測定処理と、塗布処理対象物画像上で塗布禁止エリアを設定する塗布禁止エリア設定処理と、塗布禁止エリアの設定及び高さ測定処理の測定結果を用いてスプレーパスを作成する作成処理とを演算処理装置に実行させるプログラムである。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
またこのようなプログラムによれば、実施の形態のコーティング装置1等の液体吐出装置の広範な提供に適している。
3…ノズル
4…ホルダ
5…ノズルZモータ
6…ノズル回転モータ
7…Xモータ
8…Yモータ
9…表示部
10…基板載置台
11…X方向ガイド
12…Y方向ガイド
15…ニードルZモータ
16…ニードル
25…レーザセンサ
30…主制御部
Claims (7)
- 塗布液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記吐出部とともに移動されるように装着された高さ検出部と、
塗布処理対象物に対する、前記吐出部の塗布作業時の移動経路であるスプレーパスを設定するスプレーパス設定処理を行うとともに、設定したスプレーパスに基づいて前記移動手段により前記吐出部を移動させながら、前記塗布処理対象物に対する塗布液体の吐出を実行させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記スプレーパス設定処理として、
塗布処理対象物画像を取り込む画像取得処理と、
前記移動手段により前記高さ検出部を移動させて、塗布処理対象物の各二次元位置での高さを測定する高さ測定処理と、
前記高さ測定処理で測定された塗布処理対象物の各二次元位置での高さの測定値を、前記高さ検出部と前記吐出部の二次元位置の関係に応じて補正する測定値補正処理と、
前記塗布処理対象物画像上で塗布禁止エリアを設定する塗布禁止エリア設定処理と、
前記塗布禁止エリアの設定及び前記測定値補正処理の補正結果を用いて、スプレーパスを作成する作成処理と、
を行う液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記吐出部が塗布液体を吐出しながら移動するときの塗布面と前記吐出部の高さ方向の離間距離の基準となる塗布高さ値と、該塗布高さ値より小さい値の移動高さ値を設定し、
前記作成処理では、スプレーパスにおいて前記吐出部が塗布液体の吐出を行う部分の高さ位置を、塗布面の高さ位置から前記塗布高さ値だけ上方に設定するとともに、
前記塗布禁止エリアの高さ位置が、第1の所定値以上である部分については、スプレーパスが当該塗布禁止エリアの上方を通過する際の高さ位置を、前記塗布禁止エリアの高さ位置から前記移動高さ値だけ上方に設定する
請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記作成処理では、
前記塗布禁止エリアの高さ位置が、第2の所定値以下である部分については、スプレーパスの高さ位置が、当該塗布禁止エリアに至る直前の高さ位置を維持するように設定する
請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記画像取得処理で取り込んだ塗布処理対象物画像について、前記高さ測定処理の測定結果を用いた補正処理を行う
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置。 - 前記吐出部として、塗布液体を扇状又は円錐状に吐出するノズルと、塗布液体を細線状に吐出するニードルとを備え、
前記制御手段は、前記作成処理として、
前記塗布禁止エリアの設定及び前記測定値補正処理の補正結果を用いて前記ノズルのスプレーパスを作成する処理と、
前記塗布禁止エリアの設定及び前記測定値補正処理の補正結果を用いて、前記ニードルのスプレーパスを作成する処理とを、それぞれ行う
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体吐出装置。 - 塗布液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記吐出部とともに移動されるように装着された高さ検出部と、
を備えた液体吐出装置における、塗布処理対象物に対する、前記吐出部の塗布作業時の移動経路であるスプレーパスを設定するスプレーパス設定方法として、
塗布処理対象物画像を取り込む画像取得工程と、
前記移動手段により前記高さ検出部を移動させて、塗布処理対象物の各二次元位置での高さを測定する高さ測定工程と、
前記高さ測定工程で測定された塗布処理対象物の各二次元位置での高さの測定値を、前記高さ検出部と前記吐出部の二次元位置の関係に応じて補正する測定値補正工程と、
前記塗布処理対象物画像上で塗布禁止エリアを設定する塗布禁止エリア設定工程と、
前記塗布禁止エリアの設定及び前記測定値補正工程の補正結果を用いて、スプレーパスを作成する作成工程と、
を有するスプレーパス設定方法。 - 塗布液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記吐出部とともに移動されるように装着された高さ検出部と、
を備えた液体吐出装置が、塗布処理対象物に対する塗布作業時に前記吐出部の移動経路とするスプレーパスを、演算処理装置に設定させるプログラムとして、
塗布処理対象物画像を取り込む画像取得処理と、
前記移動手段により前記高さ検出部を移動させて、塗布処理対象物の各二次元位置での高さを測定する高さ測定処理と、
前記高さ測定処理で測定された塗布処理対象物の各二次元位置での高さの測定値を、前記高さ検出部と前記吐出部の二次元位置の関係に応じて補正する測定値補正処理と、
前記塗布処理対象物画像上で塗布禁止エリアを設定する塗布禁止エリア設定処理と、
前記塗布禁止エリアの設定及び前記測定値補正処理の補正結果を用いて、スプレーパスを作成する作成処理と、
を演算処理装置に実行させるプログラム。
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