JP5655495B2 - ポリカーボネート樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂及びその製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性、成形性、透明性等に優れ、各種機械部品、光学用ディスク、自動車部品等の用途に広く用いられている。例えば、特許文献1には、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等の芳香環にアルキル置換基を導入した芳香族ビスフェノールとジフェニルカーボネートとを重合して得られた芳香族ポリカーボネート樹脂が記載されている。
特開昭64−069625号公報
ところが、ポリカーボネート樹脂は、成形性等は優れるものの、表面硬度が低く、成型品とした際に表面に傷が付きやすいという欠点を有している。例えば、前述した特許文献1の記載された芳香族ポリカーボネート樹脂は、表面硬度が改良されるが、成形性や色調が不十分である。
本発明の目的は、表面硬度が高く、且つ、成形性、色調に優れたポリカーボネート樹脂とその製造方法を提供することにある。
そこで本発明者は鋭意検討の結果、例えば、原料として特定のジヒドロキシ化合物を選択し、特定の不純物量を低減し、重縮合条件を適正化すると、得られたポリカーボネート樹脂の成形性、表面硬度あるいは色調が改良されることを見いだし、かかる知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、下記[1]〜[]に係るポリカーボネート樹脂及びその製造方法が提供される。
[1]ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との重縮合により得られるポリカーボネート樹脂であって、当該ジヒドロキシ化合物が下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物及び下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を含有し、当該一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の量が前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物の量に対して6ppm以下であり、当該ポリカーボネート樹脂が分子中に少なくとも下記一般式(1)で表される繰返し単位を50重量%以上有し、且つ、下記(a)〜(c)を満たすことを特徴とするポリカーボネート樹脂。
Figure 0005655495
(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、水素原子を示し、Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は、酸素原子を示す。
Figure 0005655495
(一般式(2)中のR 、R 及びXは前記一般式(1)と同義である。)
Figure 0005655495
(一般式(3)中のR 、R 及びXは前記一般式(1)と同義であり、R は置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。)
(a)ISO15184による鉛筆硬度が、HB以上である。
(b)ISO1133に準拠し、300℃、1.2kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR)が1cm /10分〜15cm /10分の範囲である。
(c)ISO1133に準拠し、280℃、21.6kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、21.6kg荷重))と、280℃、2.16kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、2.16kg荷重))とを用い、下記式より求まるフローレイト比(MVR−R)が、18〜45の範囲である。
フローレイト比(MVR−R)=MVR(280℃、21.6kg荷重)/MVR(280℃、2.16kg荷重)
[2]前記一般式(1)のXの置換又は無置換のアルキリデン基が、
Figure 0005655495
であることを特徴とする[1]に記載のポリカーボネート樹脂。
(R 及びR は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のアルキレン基を示す。)
[3]濃度0.1g/mLに調製した塩化メチレン溶液の波長420nmにおけるAPHAカラーが18以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂。
[4]ISO527−2/1A/1に準拠し、23℃、引張速度1mm/分における引張弾性率が1,800MPa以上であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
[5]前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる塩化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオンの総量が10ppm以下であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
[6]前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる塩化物イオンが1,000ppb以下であり、亜硝酸イオンと硝酸イオンの合計が500ppb以下であり、且つリン酸イオンと硫酸イオンの合計が200ppb以下であることを特徴とする[5]に記載のポリカーボネート樹脂。
[7]前記カルボニル化合物が、炭酸ジエステル化合物であることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
][1]乃至[]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法であって、アルカリ金属触媒及び/又はアルカリ土類金属触媒の存在下で行われる芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応において、前記アルカリ金属触媒及び/又は前記アルカリ土類金属触媒の使用量が、前記芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.1μモル〜5μモルの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、成型性に優れ、表面硬度が高く、色調に優れたポリカーボネート樹脂が得られる。
また、本発明により得られるポリカーボネート樹脂は、高い難燃性も示す。このようなポリカーボネート樹脂を用いることにより、透明で、傷つきにくく、且つ高い難燃性を示す成型品が得られる。
ビスフェノールAと2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンとの共重合体のH−NMRスペクトルである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
<ポリカーボネート樹脂>
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂は、分子中に少なくとも下記一般式(1)で表される繰返し単位を有するものが挙げられる。
Figure 0005655495
ここで、一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。尚、R、R、R、Rにおける炭素数は置換基を除くアルキル基部分の炭素数を示す。
及びRの、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
及びRの、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R及びRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。ここで、一般式(1)におけるR、R、R、Rの結合位置は、それぞれのフェニル環上のXに対して2位,3位,5位及び6位から選ばれる任意の位置であり、好ましくは3位、5位である。
一般式(1)において、Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。置換若しくは無置換の硫黄原子としては、例えば、−S−、−SO−が挙げられる。
また、置換若しくは無置換のアルキリデン基は、
Figure 0005655495
を示す。ここで、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のアルキレン基を示す。
及びRの、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R及びRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Zは一般式(1)において、2個のフェニル基を結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数5〜炭素数8)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体が好ましい。
本発明では少なくとも一般式(1)で表される繰り返し単位を含有することが必要となる。好ましい範囲としては、一般式(1)の繰り返し単位が、全芳香族ジオール構造単位中30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。一般式(1)の繰り返し単位が30重量%未満となると、表面硬度や流動性が劣るので好ましくない。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する方法としては、少なくとも一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を出発原料として界面重合法やエステル交換法にてポリカーボネート樹脂とすることで達成できる。一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は単独でも2種類以上含有していても良く、また一般式(2)以外の例えばビスフェノールAのような芳香族ジヒドロキシ化合物を含有していても良い。
ポリカーボネート樹脂の形態としてはホモポリマー、共重合体、ポリマーブレンドの何れであっても良い。
さらに、本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂は、下記(a)〜(c)に示す物性を満たすものが挙げられる。
(a)ISO15184による鉛筆硬度が、HB以上である。
前記ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度は、好ましくは、F以上であり、さらに好ましくはH以上、特に好ましくは2H以上である。ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度が過度に小さいと、成型品とした際に成型品の表面に傷が付きやすい傾向にある。
(b)ISO1133に準拠し、300℃、1.2kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR)が1cm/10分〜15cm/10分の範囲である。
前記ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト(MVR)は、好ましくは、1cm/10分〜14cm/10分であり、さらに好ましくは1cm/10分〜13cm/10分である。ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト(MVR)が過度に小さいと、溶融状態での流動性が悪くなり、成型性が悪くなる傾向がある。メルトボリュームフローレイト(MVR)が過度に大きいと、溶融状態での流動性が良いが、反面流れが良すぎるために成型不良を起こす傾向がある。
(c)ISO1133に準拠し、280℃、21.6kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、21.6kg荷重))と、280℃、2.16kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、2.16kg荷重))とを用い、下記式より求まるフローレイト比(MVR−R)が、18〜45の範囲である。
フローレイト比(MVR−R)=MVR(280℃、21.6kg荷重)/MVR(280℃、2.16kg荷重)
ここで、フローレイト比(MVR−R)の技術的意義は、分子の絡み合いやポリマー鎖の分岐の程度を示しており、溶融張力といった溶融特性の指標として用いられる。本実施の形態において、フローレイト比(MVR−R)の範囲は、好ましくは18〜40であり、さらに好ましくは18〜35の範囲である。ポリカーボネート樹脂のフローレイト比(MVR−R)が過度に小さいと、溶融張力が得られず、目的とする、成型性に優れたポリカーボネート樹脂が得られない傾向がある。フローレイト比(MVR−R)が過度に大きいと、溶融張力が大きくなり、流動性が悪くなり、結果として成型性が悪くなる傾向がある。
本発明に於いては、前記メルトボリュームフローレイト(MVR)とフローレイト比(MVR−R)の両方を満足する必要があり、それぞれを本願記載の範囲内に収めることにより、流動性に優れ、且つ成型性に優れ、加えて難燃性も示すポリカーボネート樹脂が得られる。
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂は、濃度0.1g/mLに調製した塩化メチレン溶液の波長420nmにおけるAPHAカラーが、18以下であることが好ましい。APHAカラーは16以下であることがさらに好ましく、10以下であることが特に好ましい。APHAカラーが過度に大きいと、ポリカーボネート樹脂の色が黄色味を帯びる傾向があるため好ましくない。ここで、濃度0.1g/mLに調製した塩化メチレン溶液の波長420nmにおけるAPHAカラーの技術的意義は、ポリカーボネート樹脂の着色度合いを示すものであり、特に黄色度の指標として用いられる。
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂は、ISO527−2/1A/1に準拠し、23℃、引張速度1mm/分における引張弾性率が、1,800MPa以上であることが好ましい。引張弾性率は2,000MPa以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは2,400MPa以上である。ここで、23℃、引張速度1mm/分における引張弾性率の技術的意義は、材料の引張状態における剛性を示すものであり、引張変形条件下での樹脂の強度の指標として一般的に用いられ、ポリカーボネート樹脂の引張弾性率が過度に小さいと、変形に対して脆くなる傾向がある上、表面硬度も小さくなる傾向にある為、好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
次に、本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを用いて重合することにより得られ、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物と塩化カルボニルとを任意に混合しない有機相と水相との界面にて反応させることによりポリカーボネート樹脂を製造する界面重縮合法と、芳香族ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とをエステル交換反応触媒存在下、溶融状態にてエステル交換反応させることによりポリカーボネート樹脂を製造する溶融重縮合法(以下、溶融法と略する)がある。
前記方法の中でも、溶融法によりポリカーボネート樹脂を製造することが好ましい。以下、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を用い、エステル交換触媒の存在下、溶融法によりポリカーボネート樹脂を製造する方法について説明する。
(芳香族ジヒドロキシ化合物)
本実施の形態において使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。本実施の形態においては、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物は、全芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上使用される。一般式(2)の割合が過度に低い場合には、表面硬度が低くなるため好ましくない。
Figure 0005655495
ここで、一般式(2)におけるR、R、Xは、前記一般式(1)と同義である。
一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)アダマンタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、5,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、3,3’−ジメチルビフェノール等が挙げられる。
これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、5,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、3,3’−ジメチルビフェノールが好ましく、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが特に好ましい。一般式(2)で表されるこれらのジヒドロキシ化合物は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。上記一般式(2)において、R、R、Xの好ましい構造及びフェニル環上のXに対するR、Rの好ましい結合位置は、一般式(1)におけると同様である。これらのR、R、Xの構造や結合位置は一般式(1)と同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中には陰イオンが含まれる場合がある。陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。本実施の形態では、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる陰イオンの量は、塩化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン及び硫酸イオンの総量は、通常10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる陰イオンの量が過度に多いと、重合反応性に影響したり、得られたポリカーボネート樹脂の色調が悪化するなどしたりするなど好ましくない。
一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる陰イオンの中、塩化物イオンの量は1,000ppb以下であることが好ましく、さらに好ましくは800ppb以下である。
加えて、亜硝酸イオンと硝酸イオンの合計量は500ppb以下であることが好ましい。亜硝酸イオンと硝酸イオンの合計量は、さらに好ましくは400ppb以下である。
さらにリン酸イオンと硫酸イオンの合計量は200ppb以下であることが好ましい。リン酸イオンと硫酸イオンの合計量は、さらに好ましくは100ppb以下である。これら塩化物イオンの量、並びに亜硝酸イオン、硝酸イオンの合計量、及びリン酸イオンと硫酸イオンの合計量がすべて前記の範囲を満たすことが好ましく、前記イオン量が過度に多いと、得られたポリカーボネート樹脂の色調に影響を及ぼすため好ましくない。
前記陰イオンが所望の範囲を超える場合には、所望の範囲内に収める方法として、ジヒドロキシ化合物を適宜、洗浄や再結晶、昇華などの手法を用いて、陰イオンを低減することにより、本発明のジヒドロキシ化合物として使用することが出来る。
本実施の形態において使用する芳香族ジヒドロキシ化合物には、下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を更に含有していてもよい。
Figure 0005655495
ここで、一般式(3)中のR、R、Xは前記一般式(1)と同義であり、Rは置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。
置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−メチルエチル]−2,6−ジメチルフェノール、4−[1−(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−2,6−ジメチルフェノール、4−[1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−2,6−ジメチルフェノール等が挙げられる。
これらの中でも、4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−メチルエチル]−2,6−ジメチルフェノールが好ましい。上記一般式(3)においてR、R、R、Xの好ましい構造及びフェニル環上のXに対するR、R、Rの好ましい結合位置は、一般式(1)におけると同様である。これらのR、R、R、Xの構造や結合位置は一般式(1)と同じであることが好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれる一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の量は、前述した一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物の量に対して5ppm以下、好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは、1ppm以下である。
一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の量が過度に多いと、得られたポリカーボネート樹脂が着色する傾向があるため好ましくない。また、一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の含有量が過度に少ないと、過度に精製を行う必要があり、経済的に好ましくない。
本発明に於いて、一般式(3)で示されるジヒドロキシ化合物が全芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上となるように、一般式(3)で示されるジヒドロキシ化合物と共に別のジヒドロキシ化合物を用いてもよい。
このようなジヒドロキシ化合物は芳香族ジヒドロキシ化合物、脂肪族ジヒドロキシ化合物等、如何なるジヒドロキシ化合物でもかまわないが、好ましくはビスフェノールAである。
(カルボニル化合物)
本実施の形態で使用するカルボニル化合物としては、炭酸ジエステル化合物が好ましい。炭酸ジエステル化合物としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005655495
ここで、一般式(4)中、A’は、置換されていてもよい炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基である。2つのA’は、同一でも相互に異なるものでもよい。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
炭酸ジエステル化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記の炭酸ジエステル化合物は、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本実施の形態において、これらの炭酸ジエステル化合物(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを含む。以下同じ。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して過剰に用いられる。
即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、炭酸ジエステル化合物1.01〜炭酸ジエステル化合物1.30、好ましくは1.02〜1.20のモル比で用いられる。モル比が過度に小さいと、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなり、熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が過度に大きいと、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステル化合物の残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となることがあり、好ましくない。
(エステル交換触媒)
本実施の形態において使用するエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が望ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して0.001μモル〜1000μモル、好ましくは0.1μモル〜300μモルの範囲で用いられる。
また、エステル交換触媒としてアルカリ金属化合物(アルカリ金属触媒)、アルカリ土類金属化合物(アルカリ土類金属触媒)を使用する場合は、アルカリ金属触媒及び/又はアルカリ土類金属触媒の使用量が、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.01μモル〜10μモル、好ましくは0.1μモル〜5μモルの範囲である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物;アルカリ土類金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。ここで、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
(ポリカーボネート樹脂の製造工程)
次に、本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂の具体的な製造工程について説明する。
ポリカーボネート樹脂の製造工程は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物の原料混合溶融液を調製し(原調工程)、これらの化合物を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応器は、複数基の竪型撹拌反応器、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応器が用いられる。通常、これらの反応器は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、ポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペレットに形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
(原調工程)
ポリカーボネート樹脂の原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常20℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
以下、芳香族ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを原料として用いる場合を例として説明する。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.00モル〜1.30モル、好ましくは1.01モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
(重縮合工程)
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上の多段方式で連続的に行われる。各槽の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応器においては、重縮合反応の進行とともに副生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。尚、得られるポリカーボネート樹脂の色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、短滞留時間の設定が好ましい。
重縮合工程を多段方式で行う場合は、通常、竪型撹拌反応器を含む複数基
の反応器を設けて、ポリカーボネート樹脂の平均分子量を増大させる。反応器はバッチ式反応では通常2基〜4基、好ましくは2基〜3基設置され、連続方式では通常3基〜6基、好ましくは4基〜5基設置される。
ここで、反応器としては、例えば、撹拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型撹拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。
竪型撹拌反応器の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社製)、サンメラー翼(三菱重工業株式会社製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼(株式会社日立製作所製)等が挙げられる。
また、横型撹拌反応器とは、撹拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型撹拌反応器の撹拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業株式会社製)、バイボラック(住友重機械工業株式会社製)、あるいはメガネ翼、格子翼(株式会社日立製作所製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
尚、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との重縮合に使用するエステル交換触媒は、通常、予め水溶液として準備される。触媒水溶液の濃度は特に限定されず、触媒の水に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整される。また、水に代えて、アセトン、アルコール、トルエン、フェノール等の他の溶媒を選択することもできる。
触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例で使用したポリカーボネート樹脂の物性は、下記の方法により評価した。
(1)粘度平均分子量(Mv)
ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液(濃度(C)0.6g/dl)を調製し、ウベローデ粘度計を用いて、この溶液の温度20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(2)末端水酸基濃度([OH])
四塩化チタン/酢酸法(ディー・マクロモレキュラー・ヘミー(Makromol.Chem.)88巻,第215頁(1965年)参照)により比色定量を行い、末端水酸基濃度([OH])を求めた。
(3)鉛筆硬度
射出成型機(株式会社日本製鋼所製J100SS−2)を用い、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件で、厚み3mm、縦100mm、横100mmのプレートを射出成形した。この射出成形プレートについて、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
(4)メルトボリュームフローレイト(MVR)
ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(タカラ工業株式会社製)を用いて、130℃で、5時間乾燥したポリカーボネート樹脂の試料について、300℃、荷重1.2kgにて単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR)を測定した(単位:cm/10分)。
(5)フローレイト比(MVR−R)
ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(タカラ工業株式会社製)を用い、130℃で、5時間乾燥したポリカーボネート樹脂の試料について、280℃、荷重21.6kgで測定した単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、21.6kg荷重))と、同様に、280℃、荷重2.16kgで測定した単位時間当たりのメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、2.16kg荷重))とを測定した。
これらのメルトボリュームフローレイト(MVR)の測定値を用い、下記式により求まるフローレイト比(MVR−R)を算出した。
MVR−R=MVR(280℃、21.6kg荷重)/MVR(280℃、2.16kg荷重)
(6)引張弾性率
ISO527−2/1A/1に準拠して調製したポリカーボネート樹脂の試験片について、23℃、引張速度1mm/分の条件で行った引張試験の結果に基づき、ポリカーボネート樹脂の引張弾性率を測定した(単位:MPa)。
(7)APHAカラー
ポリカーボネート樹脂2.5gを塩化メチレン25mLに溶解させ、その溶液を光路長5cmのセルに入れ、分光光度計を用いて、波長420nmにて吸光度(Abs)を測定した。次いで、得られた吸光度を用いて、下記の式より、APHAカラーを求めた。
APHA=Abs×645
(8)芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれるイオン性不純物の分析
超純水により洗浄したポリプロピレン製容器に、芳香族ジヒドロキシ化合物0.2gを精秤し、予め超純水を用いてイオン性不純物を除去したトルエン50mLに溶解させ、トルエン溶液を調製した。次に、このトルエン溶液に超純水40mLを添加し、振とう機を用いて10分間振とうし、芳香族ジヒドロキシ化合物中のイオン性不純物を水側に抽出した。振とう後、静置分離により水相を取り出した。続いて、この水相について、濃縮モジュール(日本ダイオネクス株式会社製試料濃縮モジュールSPU−300)を具備したイオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス株式会社製イオンクロマトグラフDX−AQ)を用い、溶離液に2.7mM炭酸ナトリウムと0.3mM炭酸水素ナトリウムとの混合液により陰イオン成分を測定した。
(9)芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれる一般式(3)で表されるジヒドロ基化合物の構造の同定
移動相Aが0.05%トリフルオロ酢酸水溶液であり、移動相Bがメタノールである高速クロマトグラフィを使用し、波長280nmにて芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれる一般式(3)で表されるジヒドロ基化合物を分離した。なお、移動相は、流速1mL/分で、最初、移動相Aを60%、移動相Bを40%とした。次に、測定開始から25分後に、移動相Bが95%となるように、移動相Aと移動相Bの割合を徐々に変化させた。さらに、測定開始25分経過後から40分後までは、移動相Bを95%で維持した。
前記の分析条件において、一般式(3)で表されるジヒドロ基化合物は、13.9分付近に吸収ピークが観測された。また、その濃度は、注入した芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて予め作成した検量線に基づき算出した。
(10)ポリカーボネート共重合体の組成の同定
ポリカーボネート樹脂0.100gを重クロロホルム1mLに溶解し、日本電子株式会社製核磁気共鳴装置JNM−AL400を用いて、共鳴周波数400MHz、照射時間4.1sec、緩和時間20secにてH−NMR測定を実施した。
ポリカーボネート樹脂が共重合体の場合、その共重合組成は使用したジヒドロキシ化合物に依存した、特徴的なシグナルの面積強度比により、モル組成として得ることができる。例えば、ビスフェノールAと2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPC」と記す。)との共重合体の場合、図1に示されるスペクトルが得られる。
図1において、2.25ppm付近にBPCの芳香環に結合したメチル基が観測される。また、1.6〜1.7ppm付近にビスフェノールA並びにBPCのイソプロピリデン基のメチル基のシグナルがそれぞれ観測される。面積強度により、ポリカーボネート樹脂中のビスフェノールA骨格とBPC骨格とのモル組成を求める。
得られたモル組成と、繰り返し単位の式量より、それぞれの骨格の重量比を求めた。
(実施例1)
BPC(市販BPC)6,700g及びジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と記す。)5,765gに、炭酸セシウムの水溶液を、BPC1mol当たり1.5μmolとなるように添加して混合物を調製した。次に、この混合物を、内温が80℃以下、内容量40Lであり、撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した第1反応器に投入した。
次に、第1反応器内を10torrにし、続いて、窒素で大気圧とする操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、内容物を溶解させた。その後、300rpmで撹拌し、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPCとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、オリゴマー化反応を行った。オリゴマー化反応終了後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を用いて、オリゴマー化反応により得られたオリゴマーを、内温240℃に制御した内容量40Lの撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却器を具備した第2反応器(内圧:大気圧)に圧送した。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを38rpmで撹拌し、熱媒ジャケットにて内温を昇温し、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。その後、昇温を継続し、さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、溜出するフェノールを系外に除去した。さらに昇温、減圧を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃であった。
本実施の形態では、第2反応器が備えた撹拌機の撹拌動力を、ポリカーボネート樹脂の分子量の指標としている。第2反応器の撹拌機が、予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。次いで、第2反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、第2反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、水槽にて冷却しながら、回転式カッターを使用してペレット化した。
続いて、ペレット状にカットしたポリカーボネート樹脂に対し、p−トルエンスルホン酸ブチルを15ppm添加し、二軸押出機にて溶融、混錬し、二軸押出機の出口より、溶融状態のポリカーボネート樹脂をストランド状にて押出、水槽にて冷却しながら、回転式カッターにてペレット化した。
得られたBPCホモポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリカーボネート樹脂の分子量の設定を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
(実施例3)
炭酸セシウムをBPC1mol当たり2.0μmolとなるように水溶液にて添加し、目標分子量を実施例1より高くし、p−トルエンスルホン酸ブチルの添加量を20ppmとし、それ以外は実施例1と同様の操作を行ってポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
(実施例4)
市販のBPC(市販BPC)をアセトンに溶解し、超純水を滴下することにより粉体の精製BPCを得た。市販のBPC並びに精製BPCのイオン性不純物測定の結果、一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の含有量を表2に示す。
この精製BPCを用い、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
(実施例5)
原料BPCに、実施例4で調製した精製BPCを用い、ポリカーボネート樹脂の設定分子量を変更した以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
(実施例6)
原料BPCに、実施例4で調製した精製BPCを用い、炭酸セシウムをBPC1mol当たり2.0μmolとなるように水溶液にて添加し、目標分子量を実施例1より高くし、p−トルエンスルホン酸ブチルの添加量を20ppmとした以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
比較例6
原料BPCとして、表2に示す市販BPC比較品1を用い、それ以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の物性を表1に示す。
比較例7
原料BPCとして、表2に示す市販BPC比較品2を用い、それ以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の物性を表1に示す。
比較例8
原料BPCとして、表2に示す市販BPC比較品3を用い、それ以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の物性を表1に示す。
参考例1
ジヒドロキシ化合物として、ビスフェノールA(BPA)3350gとBPC3350gを用いた以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の共重合組成はH−NMR測定によりビスフェノールA(BPA):BPC=50:50(重量比)であり、粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度[OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
参考例2
ジヒドロキシ化合物として、ビスフェノールA(BPA)3350gとテトラメチルビスフェノールA(TBPA)3350gを用いた以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の共重合組成はH−NMR測定によりビスフェノールA(BPA):テトラメチルビスフェノールA(TBPA)=50:50(重量比)であり、粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表1に示す。
参考例3
ジヒドロキシ化合物として、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンを6700g用いた以外は、実施例1と同様な条件でポリカーボネート樹脂を得た。得られた1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン表1に示す。
Figure 0005655495
Figure 0005655495
表1に示す結果から、本願実施例のようにエステル交換法にて、芳香族ジヒドロキシ化合物として、芳香環にアルキル基が置換されている化合物を用いて重合し、得られるポリカーボネート樹脂のMVR、MVR−Rを制御することにより(実施例1〜)、適度な流動性と溶融張力を有し、且つ高い表面硬度を有するポリカーボネート樹脂を得ることが可能となる。このような物性を有するポリカーボネート樹脂は、接炎時の樹脂のタレ落ちを防止する効果を発現し、結果として樹脂の難燃性が向上する。
また、ジヒドロキシ化合物中に含まれる一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の量が原料BPCの量に対して5ppm以下であり、且つ、塩化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオンの総量が10ppm以下である芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とすると(精製BPC使用:実施例4,5及び6)、市販BPCを原料とする場合と比較して、得られたポリカーボネート樹脂の色調が改善される傾向がある。
(比較例1,比較例2)
原料にBPC、触媒としてトリエチルアミン、分子量調整剤としてp−tert−ブチルフェノールを用い、常法によりホスゲンを用いて界面重縮合を行い、p−tert−ブチルフェノールの量を調整することにより、分子量の異なる2種類のポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の物性を表3に示す。
(比較例3)
ビスフェノールAを原料として用いて得られたポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックスM7022IR)について物性測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例4)
ビスフェノールAを原料として用いて得られたポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックスM7027BF)について物性測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
特開昭64−069625号公報に従い、次のように実施した。
BPCを6,700g、DPCを5,765g、それぞれ計量し、触媒として水素化ホウ素カリウムをBPCに対して10−3mol%となるように添加し、内温が80℃以下、内容量40Lであり、撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した第1反応器に投入した。
続いて、第1反応器内を10torrにし、次いで、窒素で大気圧とする操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、160℃にて内容物を溶解させた。その後、内温を160℃に調節しながら300rpmで30分間撹拌した。次いで、同温下で、第1反応器の内部で行われるBPCとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、30分間攪拌し、次いで第1反応器内の圧力を絶対圧で6.7kPa(50torr)まで減圧し、温度、圧力を保持しながら60分間攪拌した。
続いて、内温を220℃に上昇させ、60分間反応させ、副生するフェノールを系外に留去した。オリゴマー化反応終了後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を用いて、オリゴマー化反応により得られたオリゴマーを、内温220℃に制御した内容量40Lの撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却器を具備した第2反応器(内圧:大気圧)に圧送した。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを38rpmで撹拌し、熱媒ジャケットにて内温を220℃に保持しながら、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13.3kPaから1.33kPa(10Torr)まで減圧し、30分間反応させた。さらに、内圧を保持した状態で、徐々に内温を270℃まで昇温させ、270℃にて30分間反応させ、その後665Pa(5Torr)まで系内を減圧し、30分間反応させ、溜出するフェノールをほぼ全量系外に除去した。
最終的に270℃、13.3Pa(0.1Torr)〜39.9Pa(0.3Torr)にて2時間重縮合反応を実施し、反応を終了した。次いで、第2反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、第2反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、水槽にて冷却しながら、回転式カッターを使用してペレット化した。
得られたBPCホモポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、末端水酸基濃度([OH])、鉛筆硬度、メルトボリュームフローレイト(MVR)、フローレイト比(MVR−R)、引張弾性率、APHAカラーの測定結果を表3に示す。
Figure 0005655495
表3に示す結果から、界面法にて得られるポリカーボネート樹脂(比較例1,2)は、鉛筆硬度はH以上であるが、MVRが1cm/10分未満であり、MVR−Rが18未満であり、難燃性向上の効果が期待できないことが分かる。
ビスフェノールAを原料として用いて得られたポリカーボネート樹脂(比較例3,4)は、鉛筆硬度はHB未満であることが分かる。
特開昭64−069625号公報に記載された方法に従い得られた、ポリカーボネート樹脂(比較例5)は、鉛筆硬度はH以上であるが、MVRが15cm/10分を超え、MVR−Rが18未満であることが分かる。

Claims (8)

  1. ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との重縮合により得られるポリカーボネート樹脂であって、当該ジヒドロキシ化合物が下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物及び下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を含有し、当該一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の量が前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物の量に対して6ppm以下であり、当該ポリカーボネート樹脂が分子中に少なくとも下記一般式(1)で表される繰返し単位を50重量%以上有し、且つ、下記(a)〜(c)を満たすことを特徴とするポリカーボネート樹脂。
    Figure 0005655495

    (一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、水素原子を示し、Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は、酸素原子を示す。)
    Figure 0005655495
    (一般式(2)中のR 、R 及びXは前記一般式(1)と同義である。)
    Figure 0005655495

    (一般式(3)中のR 、R 及びXは前記一般式(1)と同義であり、R は置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。)
    (a)ISO15184による鉛筆硬度が、HB以上である。
    (b)ISO1133に準拠し、300℃、1.2kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR)が1cm/10分〜15cm/10分の範囲である。
    (c)ISO1133に準拠し、280℃、21.6kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、21.6kg荷重))と、280℃、2.16kg荷重におけるメルトボリュームフローレイト(MVR(280℃、2.16kg荷重))とを用い、下記式より求まるフローレイト比(MVR−R)が、18〜45の範囲である。
    フローレイト比(MVR−R)=MVR(280℃、21.6kg荷重)/MVR(280℃、2.16kg荷重)
  2. 前記一般式(1)のXの置換若しくは無置換のアルキリデン基が、
    Figure 0005655495

    であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂。
    (R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のアルキレン基を示す。)
  3. 濃度0.1g/mLに調製した塩化メチレン溶液の波長420nmにおけるAPHAカラーが18以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂。
  4. ISO527−2/1A/1に準拠し、23℃、引張速度1mm/分における引張弾性率が1,800MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  5. 前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる塩化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオンの総量が10ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  6. 前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる塩化物イオンが1,000ppb以下であり、亜硝酸イオンと硝酸イオンの合計が500ppb以下であり、且つリン酸イオンと硫酸イオンの合計が200ppb以下であることを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネート樹脂。
  7. 前記カルボニル化合物が、炭酸ジエステル化合物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
    アルカリ金属触媒及び/又はアルカリ土類金属触媒の存在下で行われる芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応において、
    前記アルカリ金属触媒及び/又は前記アルカリ土類金属触媒の使用量が、前記芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.1μモル〜5μモルの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
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