JP5903904B2 - ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、近年は、前記性能に加えて、成形体としたときに表面外観が良好であることや、成形品表面が傷つきにくいことも求められている。
特許文献1には、ビスフェノールAに由来する構造単位と前記ビスフェノールA以外の化合物に由来する構造単位とを有するコポリカーボネート、又そのプレスシートが記載されている。
又、非特許文献1等には、ポリカーボネート樹脂成形体にハードコートを施す技術が開示されている。
及びその製造方法を提供することにある。
<1>少なくともポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂成形体であって、以下の(i)及び(ii)の条件を満足するポリカーボネート樹脂成形体。
(i)フィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度が、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度より高いこと
(ii)ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であること
<2>前記フィルム層のガラス転移温度が100℃以上であり、かつ前記基体のガラス転移温度以下である前記<1>に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<6>前記ポリカーボネート樹脂成形体を構成する全ポリカーボネート樹脂中に含まれる前記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位のモル数に対する、前記一般式(1a)で表される化合物に由来する構造単位のモル数、前記一般式(1b)で表される化合物に由来する構造単位のモル数及び前記一般式(1c)で表される化合物に由来する構造単位のモル数の合計の比率が50mol%以下である前記<4>又は<5>に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<8>前記フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上である前記<1>乃至<7>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<10>前記フィルム層の280℃、剪断速度1220sec-1における溶融粘度の、前
記フィルム層の280℃、12sec-1における溶融粘度に対する比が、1〜10である前
記<1>乃至<9>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
次に、本発明は、以下のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法の発明に係るものである。
<12>前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、前記ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層を金型に設置し、次いで前記ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体を、射出成形するポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
さらに、本発明は、以下のポリカーボネート樹脂成形体の発明に係るものである。
<14>車両用部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<16>遊技用部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<17>メガネ部材、レンズ部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
まず条件(i)として本発明のポリカーボネート樹脂成形体を構成するフィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度は、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度よりも高いことを必須とする。フィルム層の鉛筆硬度が基体の鉛筆硬度と同じかあるいは低い場合には、ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度が低くなる可能性があり、成形体表面が傷つきやすい場合がある。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂成形体を構成する、フィルム層、基体についてそれぞれ説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層は、後述するポリカーボネート樹脂(a)を含有することを必須とする。ポリカーボネート樹脂(a)を含有するとは、ポリカーボネート樹脂(a)のみから構成されるか、ポリカーボネート樹脂(a)と、ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有する他の樹脂とのブレンド物またはポリマーアロイであることを意味する。更に機能を付与するために、後述する熱安定剤や離型剤、着色剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。ここでいう「異なる構造単位を有する他の樹脂」とは、前記ポリカーボネート樹脂(a)製造時に使用したモノマー等の原料の種類が異なる樹脂、あるいは、モノマー等の原料の種類が同じであっても該モノマーに由来する構造単位の組成比が異なる場合は、前記異なる構造単位を有する他の樹脂に含まれる。
前記ポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基は、該フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂全体に対する濃度として、5μeq/g以上であることが好ましく、10μeq/g以上であることが更に好ましい。該フェノール性末端水酸基濃度が低いと基体との密着性が悪化する傾向がある。また、該フェノール性末端水酸基濃度が高すぎると、色調や耐候性が低下する可能性があるため、その上限は好ましくは100μeq/g、更に好ましくは50μeq/g、特に好ましくは40μeq/gである。
い。ガラス転移温度の上限について制限はないが、高すぎるとフィルム成形時に高温にせざるを得なくなり、着色や分子量低下を招く可能性があるため、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、特に好ましくは145℃以下である。また、フィルム層と基体との密着性の観点からは、基体のガラス転移温度以下であることが好ましく、中でもその差が50℃以内、特には40℃以内であることが好ましく、好適には30℃以内である。本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合、低温から走査した際に熱容量の変化として現れるDSC曲線変化の最も低温側の温度(Tig)を指す。
000Pa・sであることが好ましく、特には500Pa・s〜2000Pa・sであることが好ましい。また、フィルム成型時のネッキングやドローダウンを抑制するためには、前記フィルム層の280℃、剪断速度1220sec-1における溶融粘度の、前記フィルム層の
280℃、剪断速度12sec-1における溶融粘度に対する比が、1〜10であることが好
ましく、1.5〜9がより好ましく、2〜8が特に好ましい。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(a)とは、下記一般式(1)で表される化
合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂である。
これらの中でも、R1及びR2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R3及びR4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。ここで、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4の結合位置は、それぞれのフェニル環上のXに対して2位,3位,5位及び6位から選ばれる任意の位置であり、好ましくは3位、5位である。
くは無置換の炭素数4〜炭素数20のポリメチレン基を示す。
R5及びR6の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
Zは一般式(1)において、2個のフェニル基と結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数4〜炭素数12)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体、シクロドデシリデン基が好ましい。
このような構造単位としては、特に制限はないが、具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と称する場合がある。)、無水糖アルコール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、スピログリコール等の環状エーテル化合物に由来する構造単位が挙げられる。この中でもビスフェノールA(以下、「BPA」と称する場合がある。)に由来する構造単位が特に好ましい。
下、特に好ましくは145℃以下である。また、フィルム層と基体との密着性の観点からは、基体のガラス転移温度以下であることが好ましく、中でもその差が50℃以内、特には40℃以内であることが好ましく、好適には30℃以内である。本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合、低温から走査した際に熱容量の変化として現れるDSC曲線変化の最も低温側の温度(Tig)を指す。
以上、好ましくは85以上、好適には90以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体における基体は、従来よりポリカーボネート樹脂が有する特性である、耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性、成形性、透明性等を満足するものであれば特に限定されない。但し、該基体には前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有することが必須要件である。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(b)は、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有する。
本発明において「異なる構造単位を有する」とは、前記ポリカーボネート樹脂(a)製造時に使用したモノマー等の原料の種類が異なる場合、あるいは、該モノマー等の原料の種類が同じであっても該モノマーに由来する構造単位の組成比が異なる場合は、前記「異なる構造単位を有する」に含まれる。
ポリカーボネート樹脂(b)を構成する構造単位のうち、50mol%以上、好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上が、ビスフェノールAに由来する構造単位である場合に本発明による改良効果が大きい。なお、ポリカーボネート樹脂(b)中の構造単位の含有量は、1H−NMR法により求めることができる。
次に、本発明のポリカーボネート樹脂(a)及びポリカーボネート樹脂(b)の製造方法について説明する。(以下、「ポリカーボネート樹脂(a)及びポリカーボネート樹脂(b)」を「ポリカーボネート樹脂」と総称する場合がある。)
本発明のポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを用いて重合することにより得られる。具体的には、ジヒドロキシ化合物と塩化カルボニル(以下「CDC」もしくは「ホスゲン」と称することがある。)とを、任意に混合しない有機相と水相との界面にて反応させることによりポリカーボネート樹脂を製造する界面重縮合法(以下、「界面法」と称することがある。)と、ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とをエステル交換触媒存在下、溶融状態にてエステル交換反応させることによりポリカーボネート樹脂を製造する溶融重縮合法(以下、「溶融法」と称することがある。)がある。
以下、界面法および溶融法のそれぞれについて、具体的に説明する。
界面法による本発明のポリカーボネート樹脂は、通常、ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を調製し、重縮合触媒として、例えばアミン化合物の存在下で、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重縮合反応を行い、次いで、中和、水洗、乾燥工程を経てポリカーボネート樹脂が得られる。具体的には、界面法によるポリカーボネート樹脂製造プロセスは、モノマー成分等の原料調製を行う原調工程、オリゴマー化反応が行われるオリゴマー化工程、オリゴマーを用いた重縮合反応が行われる重縮合工程、重縮合反応後の反応液をアルカリ洗浄、酸洗浄、水洗浄により洗浄する洗浄工程、洗浄された反応液を予濃縮しポリカーボネート樹脂を造粒後に単離するポリカーボネート樹脂単離工程、単離されたポリカーボネート樹脂の粒子を乾燥する乾燥工程を、少なくとも有している。以下、各工程について説明する。
原調工程では、原調タンクに、ジヒドロキシ化合物と、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ金属化合物の水溶液又は水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物の
水溶液と、脱塩水と、さらに必要に応じてハイドロサルファイト等の還元剤を含むジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液等の原料が調製される。
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物としては、具体的には前記一般式(1)から(13)で表されるジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、通常、水酸化物が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
次に、オリゴマー化工程では、所定の反応器において、原調工程で調製されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液とホスゲン(CDC)とを、塩化メチレン(CH2Cl2)等の有機溶媒の存在下で、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われる。
続いて、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われた混合液に、トリエチルアミン(TEA)等の重縮合触媒と、p−t−ブチルフェノール(pTBP)等の連鎖停止剤が添加され、ジヒドロキシ化合物のオリゴマー化反応が行われる。
ここで、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われる反応器にジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液が供給されてから静置分離槽に入るまでのオリゴマー化工程における滞留時間は、通常、120分以下、好ましくは、30分〜60分である。
オリゴマー化工程で使用するホスゲンは、通常、液状又はガス状で使用される。オリゴマー化工程におけるCDCの好ましい使用量は、反応条件、特に、反応温度及び水相中のジヒドロキシ化合物の濃度によって適宜選択され、特に限定されない。通常、ジヒドロキシ化合物の1モルに対し、CDC1モル〜2モル、好ましくは1.05モル〜1.5モルである。CDCの使用量が過度に多いと、未反応CDCが多くなり原単位が極端に悪化する傾向がある。また、CDCの使用量が過度に少ないと、クロロフォルメート基量が不足し、適切な分子量伸長が行われなくなる傾向がある。
オリゴマー化工程では、通常、有機溶媒を使用する。有機溶媒としては、オリゴマー化工程における反応温度及び反応圧力において、ホスゲン及びカーボネートオリゴマー、ポリカーボネート樹脂等の反応生成物を溶解し、水と相溶しない(または、水と溶液を形成しない)任意の不活性有機溶媒が挙げられる。
炭化水素;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びクロロトルエン等の塩素化芳香族炭化水素;その他、ニトロベンゼン及びアセトフェノン等の置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらの中でも、ジクロロメタン又はクロロベンゼン等の塩素化された炭化水素が好適に使用される。これらの不活性有機溶媒は、単独であるいは他の溶媒との混合物として使用することができる。
オリゴマー化反応は、重縮合触媒の存在下で行うことができる。重縮合触媒の添加時期は、CDCを消費した後が好ましい。重縮合触媒としては、二相界面重縮合法に使用されている多くの重縮合触媒の中から、任意に選択することができる。例えば、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン、N−イソプロピルモルホリン等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、N−エチルピペリジンが好ましい。
本実施の形態において、オリゴマー化工程では、通常、連鎖停止剤としてモノフェノールを使用する。モノフェノールとしては、例えば、フェノール;p−t−ブチルフェノール、p−クレゾール等の炭素数1〜炭素数20のアルキルフェノール;p−クロロフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール等のハロゲン化フェノールが挙げられる。モノフェノールの使用量は、得られるカーボネートオリゴマーの分子量に応じ適宜選択され、通常、ジヒドロキシ化合物に対して、0.5モル%〜10モル%である。
カーボネート形成性化合物の共存下でモノフェノールを添加すると、モノフェノール同士の縮合物(炭酸ジフェニル類)が多く生成し、目標とする分子量のポリカーボネート樹脂が得られにくい傾向がある。モノフェノールの添加時期が極端に遅れると、分子量制御が困難となり、さらに、分子量分布の低分子側に特異な肩を有する樹脂となり、成形時には垂れを生じる等の弊害が生じる傾向がある。
また、オリゴマー化工程では、任意の分岐剤を使用することができる。このような分岐剤としては、たとえば、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン等が挙げられる。また、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル等も使用しうる。これらの中でも、少なくとも3個のフェノール性ヒドロキシル基を有する分岐剤が好適である。分岐剤の使用量は、得られるカーボネートオリゴマーの分岐度に応じ適宜選択され、通常、ジヒドロキシ化合物に対し、0.05モル%〜2モル%である。
乳濁液の乳化状態は、通常、ウェーバー数又はP/q(単位容積当たりの負荷動力値)で表される。ウェーバー数としては、好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、最も好ましくは35,000以上である。また、上限としては1,000,000以下程度で十分である。また、P/qとしては、好ましくは200kg・m/L以上、さらに好ましくは500kg・m/L以上、最も好ましくは1,000kg・m/L以上である。
有機相中のカーボネートオリゴマー濃度は、得られるカーボネートオリゴマーが可溶な範囲であればよく、具体的には、10重量%〜40重量%程度である。有機相の割合はジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩水溶液又はアルカリ土類金属塩水溶液を含む水相に対し、0.2〜1.0の容積比であることが好ましい。
次に、重縮合工程では、静置分離槽で水相と分離されたカーボネートオリゴマーを含有する有機相は、撹拌機を有するオリゴマー貯槽に移送される。オリゴマー貯槽には、トリエチルアミン(TEA)等の重縮合触媒がさらに添加される。
続いて、オリゴマー貯槽内で撹拌された有機相は所定の重縮合反応槽に導入され、続いて、重縮合反応槽に、脱塩水、塩化メチレン(CH2Cl2)等の有機溶媒及び水酸化ナトリウム水溶液が供給され、撹拌混合されてカーボネートオリゴマーの重縮合反応が行われる。
ここで、重縮合工程において、連続的にカーボネートオリゴマーの重縮合反応が行われる重縮合反応槽における滞留時間は、通常、12時間以下、好ましくは、0.5時間〜5時間である。
法に従い重縮合反応を行う。重縮合反応における有機相と水相との割合は、容積比で有機相:水相=1:0.2〜1:1程度が好ましい。
重縮合工程における重縮合反応の温度は、通常、常温付近である。反応時間は0.5時間〜5時間、好ましくは1時間〜3時間程度である。
次に、重縮合反応槽における重縮合反応が完結した後、重縮合反応液は、公知の方法により、アルカリ洗浄液によるアルカリ洗浄、酸洗浄液による酸洗浄及び洗浄水による水洗浄が行われる。尚、洗浄工程の全滞留時間は、通常、12時間以下、好ましくは、0.5時間〜6時間である。
ポリカーボネート樹脂単離工程では、先ず、洗浄工程において洗浄されたポリカーボネート樹脂を含む重縮合反応液は、所定の固形分濃度に濃縮された濃縮液として調製される。濃縮液におけるポリカーボネート樹脂の固形分濃度は、通常、5重量%〜35重量%、好ましくは、10重量%〜30重量%である。
ここで、脱塩水の温度は、通常、37℃〜67℃、好ましくは、40℃〜50℃である。また、造粒槽内で行われる造粒処理によりポリカーボネート樹脂の固形化温度は、通常、37℃〜67℃、好ましくは、40℃〜50℃である。
造粒槽から連続的に排出されるポリカーボネート樹脂粉状体を含む水スラリーは、その後、所定の分離器に連続的に導入され、水スラリーから水が分離される。
乾燥工程では、分離器において、水スラリーから水が分離されたポリカーボネート樹脂粉状体が、所定の乾燥機に連続的に供給され、所定の滞留時間で滞留させた後、連続的に抜き出される。乾燥機としては、例えば流動床型乾燥機が挙げられる。尚、複数の流動床型乾燥機を直列につなぎ、連続的に乾燥処理を行ってもよい。
ここで、乾燥機は、通常、熱媒ジャケット等の加熱手段を有し、例えば、水蒸気にて、通常、0.1MPa−G〜1.0MPa−G、好ましくは、0.2MPa−G〜0.6MPa−Gに保持されている。これにより、乾燥機の中を流通する窒素(N2)の温度は、
通常、100℃〜200℃、好ましくは、120℃〜180℃に保持されている。
次に、溶融法について説明する。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物としては、具体的には前記一般式(1)から(13)で表されるジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
(炭酸ジエステル)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(14)で示される化合物が挙げられる。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明のポリカーボネート樹脂の溶融法による製造方法において使用されるエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム
化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
また、ベリリウム化合物及びマグネシウム化合物としては、例えば、当該金属の水酸化物、炭酸塩等の無機金属化合物;前記金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
本発明に於いては、エステル交換反応終了後に、エステル交換触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。
溶融法によるポリカーボネート樹脂の製造方法は、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
次に、製造方法の各工程について説明する。
ポリカーボネート樹脂の原料として使用するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式又は連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
この際、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
重縮合工程を多段方式で行う場合は、通常、竪型撹拌反応槽を含む複数基の反応槽を設けて、ポリカーボネート樹脂の平均分子量を増大させる。反応槽は通常2基〜6基、好ましくは4基〜5基設置される。
竪型撹拌反応槽の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼((株)神鋼環境ソリューション製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等が挙げられる。
触媒の溶媒として水を選択した場合、水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体を製造するには、通常、射出成形法が用いられる。
具体的には、フィルム層を金型内にインサートし、金型を閉じて、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体の原料を射出成形することにより、本発明のポリカーボネート樹脂成形体を得る。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する樹脂からなる基体と、ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層からなり、該フィルム層を表層とした構造を有する。
や離型剤、着色剤、ガラス繊維やガラスフレーク等のフィラー、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。ここでいう他の樹脂とは、ポリカーボネート樹脂(b)とは異なる構造単位を有する樹脂である。異なる構造単位を有する樹脂とは、使用したモノマー等の原料がの種類が異なる樹脂、あるいは、ポリカーボネート樹脂(b)とモノマー等の原料の種類が同じであっても該モノマーに由来する構造単位の組成比が異なる場合は、前記異なる構造単位を有する樹脂に含まれる。
度が高すぎると、成形時の冷却時間を長くする必要があり、成形体の製造サイクルが長くなり、生産性が低下する場合がある。また、金型温度が低すぎると、基体を構成する樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ、均一な成形体が得られなかったり、成形体表面にムラが生じたりする可能性があるため、通常、30℃以上が好ましく、中でも50℃以上が特に好ましい。
射出速度が高すぎると射出成形時にフィルムが破れる可能性があるため好ましくない。一方、射出速度が低すぎると成形体がショートショットになる可能性があるため好ましくない。
さらに耐衝撃性として、最大衝撃力点エネルギーが10J以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。最大衝撃力点エネルギーが低いと、衝撃により該成形体が破損しやすくなる。
(1)−1 基体の鉛筆硬度
基体の原料を射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)により、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂の成形体に射出成形した。この成形体について、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。又、基体の原料であるポリカーボネート樹脂(b)、その他の樹脂それぞれについても前記と同条件にてポリカーボネート樹脂の成形体に射出成形し、前記と同条件にて鉛筆硬度を求めた。
フィルム層の原料を25mmφ単軸押出成形機(いすず化工機株式会社製)により、バレル温度280℃、ロール温度130℃の条件下にて、厚み50μm、幅140±5mmのポリカーボネート樹脂フィルムを押出成形した。このフィルムについて、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。このようにして求めた値を、フィルム層の鉛筆硬度とした。又、フィルム層の原料であるポリカーボネート樹脂(a)、その他の樹脂それぞれについても前記と同条件にてポリカーボネート樹脂フィルムに押出成形し、前記と同条件にて鉛筆硬度を求めた。
前記(1)−2で得られたフィルム層を射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)の金型内に装着した。次いで、バレル温度300℃、金型温度90℃、射出速度15mm/秒の条件下にて、基体の原料をフィルム層が装着されている金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を射出成形した。
得られたポリカーボネート樹脂成形体について、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。このようにして求めた値を、ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度とした。
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度
管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差操作熱量計(SII製DSC6220)を用いて、フィルム層、基体それぞれ約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、JIS−K7121に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。該補外ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(4)−1 基体のL値及びイエローインデックス(YI)
前記(1)−1の方法で成形した成形体のL値(L*)、及びイエローインデックス(YI)を分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)により測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
また、このようにして求めた値を、基体のL値及びイエローインデックス(YI)とした。
(4)−2 フィルム層のL値及びイエローインデックス(YI)
前記(1)−2の方法で成形したフィルムのL値(L*)、及びイエローインデックス(YI)を分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)により測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
前記(1)−3の方法で成形したポリカーボネート樹脂成形体のL値(L*)、及びイエローインデックス(YI)を分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)により測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
(5)フェノール性末端水酸基の濃度
フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂または基体を構成するポリカーボネート樹脂を四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem.88 215(1965))に従い、比色定量を分光器(島津製作所製UV−1600)により行い、フェノール性末端水酸基の濃度を測定した。
フィルム層を120℃で5時間乾燥した後、ダイス径1mmφ×30mmを具備したキャピラリーレオメーター(東洋精機株式会社製)を用い、280℃に加熱して剪断速度12(sec-1)・122(sec-1)・1220(sec-1)にて測定した。この溶融粘度が高す
ぎると、流動性が低くなり、成形性が悪化するため、適度な範囲内に収める必要がある。
前記(1)−3で得られたポリカーボネート樹脂成形体を目視により表面外観を評価した。
(8)最大衝撃力点エネルギー
ポリカーボネート樹脂成形体をハイレートインパクト試験によって耐衝撃性を測定した。使用した機器は島津製作所製(HITS−P10)。打ち抜き棒の径(ポンチ径)1/2インチ(約12.7mm)、サポート径40mm、打ち抜き速度は5m/sとした。試験温度は23℃、フィルム面側から打ち抜き試験を実施し、試験のn数は1として最大衝撃力点エネルギーを算出した。
なお、実施例、比較例で使用したポリカーボネート樹脂は、次の通りである。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ-3−メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と
略記する場合がある。)(本州化学社製)37.60kg(約147mol)とジフェニルカーボネート(DPC)32.20kg(約150mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり2μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
圧に復圧する操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、30055rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPCとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
その後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を経由して、第1反応器内のオリゴマーを、第2反応器に圧送した。尚、第2反応器は内容量200Lであり、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却管を具備しており、内圧は大気圧、内温は240℃に制御していた。
.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5Torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃であった。第2反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
また、重縮合反応を終了する攪拌動力のみを変更した以外は同様の方法で、粘度平均分子量31,800のポリカーボネート樹脂を得た。
原料としてBPCの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン以下、「Bis−OCZ」と略記する場合がある。)(本州化学製)43.48kgを使用し、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがBis−OCZ1mol当たり5μmolとなるように添加した以外は参考例1と同様にして実施した。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は10,200であった。
原料としてBPC(本州化学製)3.39kg、BPA(三菱化学(株)製)30.47kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は20,300であった。
原料としてBis−OCZ(本州化学製)19.30kg、ビスフェノールA(「BPA」と略記する場合がある)(三菱化学(株)製)16.12kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は16,300であった。
原料としてBis−OCZ(本州化学製)3.39kg、BPA(三菱化学(株)製)30.47kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は19,800であった。
PC(b1)として、BPAに由来するモノマー単位のみで構成された溶融法による市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 M7022J)を用いた。該PC(b1)の粘度平均分子量は20,600であった。
(参考例7)PC(a6)の合成:BPC/BPA(30/70wt%)コポリマーの合成(溶融法)
原料としてBPC(本州化学製)10.05kg、BPA(三菱化学(株)製)23.45kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は25,200であった。
合成(溶融法)
重縮合反応を終了する攪拌動力のみを変更した以外は参考例3と同様の方法で、粘度平均分子量25,200のポリカーボネート樹脂を得た。
(参考例9)PC(b2):BPAホモポリマー(溶融法)
PC(b2)として、BPAに由来するモノマー単位のみで構成された溶融法による市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 M7027J)を用いた。該PC(b2)の粘度平均分子量は25,600であった。
フィルム層の原料としてPC(a1)を用い、25mmφ単軸押出成形機(いすず化工機株式会社製)を用い、バレル温度280℃、ロール温度130℃の条件下にて、押出成形することにより、厚み50μm、幅140±5mmのフィルム層を得た。
次いで、得られた前記フィルム層を射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)の金型内に装着した。基体の原料として、PC(b1)を用い、バレル温度300℃、金型温度90℃、射出速度15mm/秒の条件下にて、フィルム層が装着されている金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。
得られたポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度、L値(L*)及びイエローインデックス(YI)を評価した。その結果を表1に示した。
更に、前記手法によって得られたフィルム層、基体の物性値についても併せて表1に示した。
フィルム層の原料、基体の原料それぞれを表1に示すポリカーボネート樹脂に変更したこと、フィルム層の厚みを表1記載の厚さとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例1と同様に表1に示した。
フィルム層は装着せず、表1に示すポリカーボネート樹脂のみで、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)によりバレル温度300℃、金型温度90℃、射出速度15mm/秒の条件下にて、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例1と同様に表1に示した。
フィルム層は装着せず、表1に示すポリカーボネート樹脂のみで比較例1と同じ条件でポリカーボネート樹脂成形体を得た。尚、ポリカーボネート樹脂成形体の原料は、2種類のポリカーボネート樹脂を表1記載の配合量比となるように測り取り、1つのベント口を有する日本製鋼所製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)にて、500Paの減圧条件下、溶融混練(バレル温度280℃)し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化したものを原料とした。結果を実施例1と同様に表1に示した。
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)とPC(b2)を用い、表1記載の比率(50wt%/50wt%)で1つのベント口を有する日本製鋼所製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)にて、溶融混錬し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式買ったでペレット化し、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。このとき、該2軸押出機のバレル温度は280℃、該2軸押出機の出口におけるポリカーボネート樹脂温度は300℃であった。なお、溶融混錬時は、該2軸押出機のベント口は真空ポンプに連結し、該ベント口での圧力が5
00Paになるように調整した。
次いで、得られた前記フィルム層を射出成形機(名機製作所製NADEM2000)の金型内に装着した。基体の原料として、PC(b1)を用い、バレル温度275℃、金型温度80℃の条件下にて、フィルム層が装着されている金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦100mm、横100mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。
また、得られたポリカーボネート樹脂成形体の最大衝撃力点エネルギーを評価した。その結果を表1に示した。
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)とPC(b2)を、表1記載の比率(30wt%/70wt%)で用いたこと、ロール温度125℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)とPC(b2)を、表1記載の比率(10wt%/90wt%)で用いたこと、ロール温度140℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
得られるフィルム層の厚さを1000μmとしたこと以外は実施例6と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例8」
フィルム層の原料としてPC(a6)を用いたこと、ロール温度120℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
フィルム層の原料としてPC(a7)を用いたこと、ロール温度120℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例10」
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)を用いたこと、ロール温度137℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
原料としてPC(b1)を用い、射出成形機(名機製作所製NADEM2000)を用いて、バレル温度275℃、金型温度80℃の条件下にて、金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦100mm、横100mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。
得られたポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度、L値(L*)及びイエローインデッ
クス(YI)を評価した。その結果を表1に示した。更に、前記手法によって得られたフィルム層、基体の物性値についても併せて表1に示した。
また、得られたポリカーボネート樹脂成形体の最大衝撃力点エネルギーを評価した。その結果を表1に示した。
原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)を用いたこと以外は比較例6と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を比較例6と同様、表1に示した。
尚、鉛筆硬度は低いランクより3B、2B、B、HB、F、H、2Hの順で高くなる。
Claims (7)
- 少なくともポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂成形体であって、以下の(i)及び(ii)の条件を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、前記ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層を金型に設置し、次いで前記ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体を、射出成形する、ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
(i)フィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度が、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度より高いこと
(ii)ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1a)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であること
- 前記フィルム層のガラス転移温度が100℃以上であり、かつ前記基体のガラス転移温度以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
- 前記フィルム層の厚さが1μm以上2000μm以下であることを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。 - 前記ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度がF以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
- 前記フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
- 前記基体を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
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