JP5802495B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、高い表面硬度と高い耐衝撃性を併せ有し、かつ透明性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、強靭で耐衝撃性や電気的特性に優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性等にも優れることから、電気・電子機器のハウジング類、自動車用内装部品類、または、精密成形部品類の製造用原料樹脂として広く使用されている。特に、家電機器、電子機器、液晶ディスプレイ表示機器の部材(筐体)等においては、その美麗な外観を活かし、商品価値の高い商品が得られる。
しかし、ポリカーボネート樹脂は、ガラスに比べると表面硬度が低いため、耐擦傷性が劣り、布で拭いたり手荒に扱うと表面に傷がつきやすく、耐擦傷性を有することが望まれる。
従来、この耐擦傷性の改良のためには、ポリカーボネート樹脂成形品の表面に各種コーティングを施すことが行なわれているが、コーティング等の処理では、加工のためのコストと手間を要することから、ポリカーボネート樹脂組成物の配合組成を改良することにより、ポリカーボネート樹脂成形品自体に耐擦傷性を付与することが望まれる。
従来、ポリカーボネート樹脂組成物自体の硬度を高める技術としては、ポリカーボネート樹脂にシリコーンオイルを配合したもの(特許文献1)、シリコーン化合物等の摺動性充填剤を配合したもの(特許文献2)、ビフェニル化合物、ターフェニル化合物、ポリカプロラクトン等の反可塑剤を配合したもの(特許文献3)などが提示されているが、表面硬度はある程度向上し透明性も良好ではあるものの、耐衝撃性は十分ではなかった。
特許文献4には、芳香族ポリカーボネート樹脂にアクリルエラストマーとポリエステル樹脂を配合して、耐衝撃性を改善する方法が提案されている。しかしながら、この樹脂組成物は、硬度と耐薬品性がある程度向上するものの、透明性は低下してしまい、また硬度及び耐衝撃性も、その両方とも満足できるというものではない。
特開2004−210889号公報 特開2007−51233号公報 特開2007−326938号公報 特公昭62−37671号公報
近年、各種の表示(ディスプレイ)機器、電気電子機器、車載用機器等の分野においては、新たな製品が次々登場し、それらに用いる樹脂部品(部材)には、高級感志向の流れからも、表面硬度、耐衝撃性、透明性についての要求スペックは、ますます高度のものになっている。しかし、今まで、高い表面硬度と高い耐衝撃性を併せ有し、かつ透明性にも優れた高レベルの樹脂材料というのは提案されていないというのが実情である。
本発明の目的は、高い表面硬度と高い耐衝撃性と高度の透明性全てを併せ有するポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、それぞれ特定の構造単位と特定の分子量を有する2種のポリカーボネート樹脂を特定割合で含有し、特定のデュポン衝撃強度と硬度を有するポリカーボネート樹脂組成物が、高い表面硬度と耐衝撃性、さらに高度透明性を併せ有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及びこれを成形してなる以下の成形品を提供する。
[1]下記一般式(1)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が20,000〜35,000のポリカーボネート樹脂(A)及び下記一般式(2)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が16,000〜28,000のポリカーボネート樹脂(B)を、(A)/(B)の質量比で80/20〜20/80の割合で含有し、ASTM D2794に従って測定した25℃におけるデュポン衝撃強度が10J以上、JIS K5600に従って測定した鉛筆硬度がF以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(一般式(1)中、Rはメチル基、Rは水素原子またはメチル基を示し、Xは、
を示し、R及びRは水素原子またはメチル基を示し、ZはCと結合して炭素数6〜12の置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を示す。)
(一般式(2)のXは、前記一般式(1)と同義である。)
[2]厚み2mmの成形品についてJIS K7136に従って測定したヘイズ値が2%以下であることを特徴とする上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]前記一般式(1)におけるRがメチル基、Rが水素原子であり、前記一般式(1)及び(2)におけるXがイソプロピリデン基であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]さらに、リン系安定剤及び/またはヒンダードフェノール系安定剤を、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]さらに、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系またはマロン酸エステル系の紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対し、0.05〜1質量部含有することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]さらに、離型剤として脂肪酸エステルを、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対し、0.05〜1量部含有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]離型剤が、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸ステアレート及びステアリン酸モノグリセリドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[6]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]ポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量%中、10質量%以上がフレーク状の粉末であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる表示装置用部材または表示装置用カバー。
[10]上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる保護具。
[11]上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる車載用部品。
[12]上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる単層または多層シート。
本発明によれば、今までになかった、高い表面硬度と高い耐衝撃性と高度の透明性全てを併せ有するポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
<発明の概要>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記一般式(1)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が20,000〜35,000のポリカーボネート樹脂(A)及び前記一般式(2)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が16,000〜28,000のポリカーボネート樹脂(B)を、(A)/(B)の質量比で80/20〜20/80の割合で含有し、ASTM D2794に従って測定した25℃におけるデュポン衝撃強度が10J以上であり、かつJIS K5600に従って測定した鉛筆硬度がF以上であることを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
また、本願明細書において「〜」とは、特に断りがない限り、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明において使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂である。
(一般式(1)中、Rはメチル基、Rは水素原子またはメチル基を示し、Xは、
を示し、R及びRは水素原子またはメチル基を示し、ZはCと結合して炭素数6〜12の置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を示す。)
上記一般式(1)において、Rはメチル基であり、Rは水素原子またはメチル基であるが、Rは特には水素原子であることが好ましい。
また、Xは、
である場合、R及びRの両方がメチル基であるイソプロピリデン基であることが好ましく、また、Xが、
のとき、Zは、上記式(1)中の2個のフェニル基と結合する炭素Cと結合して、炭素数6〜12の二価の脂環式炭化水素基を形成するが、二価の脂環式炭素水素基としては、例えば、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基、シクロドデシリデン基等のシクロアルキリデン基が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体(好ましくは3,3,5−トリメチル置換体)、シクロドデシリデン基が好ましい。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)としての好ましい具体例としては、以下のi)〜iv)のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
i)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造単位を有するもの、即ちRがメチル基、Rが水素原子、X(または−CR−)がイソプロピリデン基である構造単位を有するもの、
ii)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造単位、即ちRがメチル基、Rがメチル基、Xがイソプロピリデン基である構造単位を有するもの、
iii)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン構造単位、即ちRがメチル基、Rが水素原子、X(または−C(=Z)−)がシクロヘキシリデン基である構造単位を有するもの、
iv)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン構造単位、即ちRがメチル基、Rが水素原子、X(または−C(=Z)−)がシクロドデシリデン基である構造単位を有するもの。
これらの中で、より好ましくは上記i)、ii)またはiii)、さらに好ましくは上記i)またはiii)、特には上記i)のポリカーボネート樹脂が好ましい。
これらポリカーボネート樹脂(A)は、それぞれ、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンをジヒドロキシ化合物として使用して製造することができる。
ポリカーボネート樹脂(A)は、前記一般式(1)の構造単位以外のカーボネート構造単位を有することもでき、例えば、前記一般式(2)の構造単位(即ち、ビスフェノール−A由来の構造単位)、あるいは後述するような他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有していてもよい。一般式(1)の構造単位以外の構造単位の共重合量は、通常60モル%以下であり、55モル%以下、また50モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下、さらには30モル%以下、特には20モル%以下であり、10モル%以下、なかで5モル%以下が最も好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)は、20,000〜35,000である。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、且つ機械的強度の大きい成形品が得られ、20,000を下回ると、耐衝撃性が悪化し、実使用上問題となり、35,000を超えると溶融粘度が増大し、射出成形または押出成形することが困難となる。ポリカーボネート樹脂(A)の好ましい分子量の下限は、22,000、より好ましくは23,000、さらに好ましくは24,000であり、上限は好ましくは33,000、より好ましくは32,500である。
ここで、粘度平均分子量(Mv)は、溶媒として塩化メチレンを使用し、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:η=1.23×10−40.83の式から算出される値を意味する。
ポリカーボネート樹脂(A)は、一種または2種以上を混合して使用してもよく、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して上記粘度平均分子量に調整してもよい。また、必要に応じ、粘度平均分子量が上記の好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。
<ポリカーボネート樹脂(B)>
本発明において使用するポリカーボネート樹脂(B)は、下記一般式(2)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂である。
(一般式(2)のXは、前記一般式(1)と同義である。)
式(2)で表されるポリカーボネート構造単位の好ましい具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、即ち、ビスフェノール−A由来のカーボネート構造単位である。
ポリカーボネート樹脂(B)は、前記一般式(2)の構造単位以外のカーボネート構造単位を有することもでき、他のジヒドロキシ化合物由来のカーボネート構造単位を有していてもよい。一般式(2)の構造単位以外の構造単位の共重合量は、通常50モル%未満が好ましく、より好ましくは40モル%以下、さらには30モル%以下、特には20モル%以下であり、10モル%以下、なかで5モル%以下が最も好ましい。
他のジヒドロキシ化合物としては、例えば以下のような芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−6−メチル−3−tert−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量(Mv)は、16,000〜28,000である。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、且つ機械的強度の大きい成形品が得られ、16,000を下回ると、耐衝撃性が著しく低下してしまうため、使用が困難となる場合があり、28,000を超えると溶融粘度が増大し、射出成形または押出成形が困難となる傾向にある。ポリカーボネート樹脂(B)の好ましい分子量の下限は、17,000、より好ましくは18,000であり、その上限は好ましくは27,000以下である。
なお、粘度平均分子量(Mv)の定義は、前記したとおりである。
ポリカーボネート樹脂(B)は、一種または2種以上を混合して使用してもよく、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して上記粘度平均分子量に調整してもよい。また、必要に応じ、粘度平均分子量が上記の好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。
<ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の製造方法>
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)及び(B)を製造する方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち特に好適なものについて、具体的に説明する。
・界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂(A)または(B)を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、前記各ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させてもよい。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、なかでも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、なかでも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、なかでも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族第三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、なかでも芳香族フェノールが好ましい。
このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂(A)または(B)を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、それぞれ前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、なかでも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が、熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、この範囲の条件で、ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1質量ppm以上であり、また、通常100質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下である。
<ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の割合>
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)の混合割合は、両者の質量比で、ポリカーボネート樹脂(A)/ポリカーボネート樹脂(B)=80/20〜20/80である。このような混合割合で用いることにより、高い表面硬度と耐衝撃性、さらに高度透明性を達成することができる。ポリカーボネート樹脂(A)の質量比が20を下回ると成形品の表面硬度が低下し、実製品としたときに表面が傷つき易くなってしまい、80を超えると成形品の耐衝撃性が低下し、実製品としたときに割れ易くなってしまう。
好ましい混合比は、ポリカーボネート樹脂(A)/ポリカーボネート樹脂(B)=80/20〜30/70である。
また、本発明においては、ポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量%中、10質量%以上がフレーク状の粉末であることが好ましい。フレーク状粉末の含有割合は好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。このような割合でフレーク状の粉末を含むことにより、後述の必要に応じて添加剤を配合する場合に、ポリカーボネート樹脂組成物製造時に添加剤成分が分級するのを防ぎ、未溶融物の発生や添加剤の凝集等を抑制し、難燃性、耐衝撃性、透明性に優れた成形品が得られやすい傾向にある。フレーク状粉末の平均粒径は、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましい。
フレーク状の粉末以外のポリカーボネート樹脂としては、ペレット状のものが好ましい。ペレット長さは好ましくは1〜5mm、より好ましくは2〜4mmであり、断面が楕円形の場合は長径が2〜3.5mm、短径が1〜2.5mm、断面が円形の場合は直径2〜3mmのものが好ましい。ペレットの長さや断面形状は、ポリカーボネート樹脂製造時のストランドカッターの刃の回転数、巻き取り速度、押出機の吐出量等により調整することができる。
<デュポン衝撃強度>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、デュポン衝撃強度が10J以上である。
ここで、デュポン衝撃強度は、ASTM D2794に従い、東洋精機製作所社製「デュポン衝撃強度測定機」を用いて、亀裂が生じたものを破壊として、10回試験を行い求められる、50%破壊エネルギーをいう。その際の撃芯半径は1/16インチ、錘は133gで、100×100×2mmの試験片を用いて、25℃で測定される。
デュポン衝撃強度が10J未満では、耐衝撃性が低く、当該樹脂組成物を用いた製品が市場で割れる、欠ける等の不具合を起こす危険性が非常に高い。特に、表示装置用部材、保護具、車載用部品、シート等の用途では、製品に衝撃がかかることが予想されるため、耐衝撃性の高い樹脂組成物を用いることが重要となる。中でも15J以上、特には20J以上であることが好ましい。
<鉛筆硬度>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、鉛筆硬度がF以上という極めて高い硬度を有する。
ここで、鉛筆硬度はJIS K5600−5−4に準拠して測定される。本発明では、上記と同じ100×100×2mmの試験片に対して、測定を行う。
鉛筆硬度がFより低いと、樹脂組成物を製品とした際の表面硬度が低く、製品使用中に表面が傷付きやすくなってしまう。中でもH以上、特には2H以上であることが好ましい。
<ヘイズ>
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、好ましくは、厚み2mmの成形品についてJIS K7136に従って測定したヘイズ値が2%以下という高い透明性を有する。ヘイズ値が2%より大きいと、特に、透明用途で透明性が不十分で視認性や加飾性に劣り、さらには1.5%以下、特には1.2%以下であることが好ましい。
前述したように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、粘度平均分子量(Mv)が20,000〜35,000のポリカーボネート樹脂(A)及びMvが16,000〜28,000のポリカーボネート樹脂(B)を組み合わせることにより、このような構成を有しない樹脂組成物と比較して、硬度と耐衝撃性と透明性の全てが良好なものとなり、デュポン衝撃強度が10J以上、鉛筆硬度がF以上という高い値を示すものとなる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物がこのような特性を発現する理由は明確ではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)に、芳香族ジヒドロキシ化合物の2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを原料モノマーとして使用して得られたポリカーボネート樹脂(「C−PC」と記す。)を用いる場合を例に挙げると、例えば、以下のように推測される。
すなわち、C−PCは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)を原料モノマーとして使用して得られたポリカーボネート樹脂(B)(「A−PC」と記す。)と極めて相溶性がよくヘイズ低下を起こさず、また20質量%程度の少量の添加で組成物の硬度の向上効果が顕著となり、さらにデュポン衝撃強度(落錘強度)は添加量が20質量%を超えると急激に向上する。硬度の向上は、C−PC等が、A−PCと比較して、成形体の表面部において偏在する傾向があり、表面硬度が高くなるのではないかと推測される。
<安定剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形時等における分子量の低下や透明性の悪化を防止するために、安定剤を含有することも好ましい。
安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリト−ルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、BASF社より「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
リン系安定剤及び/またはヒンダードフェノール系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.02質量部以上であり、また、1質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。安定剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、分子量低下や透明性悪化の改善効果が得られない場合があり、安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、逆に熱や水分に対して不安定となる傾向にある。
<紫外線吸収剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。特に、上記したリン系安定剤及び/またはフェノール系安定剤と併用することにより、耐候性がより向上しやすい傾向にある。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤またはマロン酸エステル系紫外線吸収剤がより好ましい。
特にポリカーボネート樹脂(A)の場合に、耐候性の向上効果がポリカーボネート樹脂(B)よりも良く、かつ色調の変化がより少ないことが認められた。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
マロン酸エステル系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類、特に2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類が挙げられ、このようなマロン酸エステル系紫外線吸収剤としては、具体的には例えば、クラリアントジャパン社製「PR−25」、BASF社製「B−CAP」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。
<離型剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含有することも好ましい。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸及びアルコールからなる脂肪酸エステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物及びポリシロキサン系シリコーンオイル等が挙げられ、この中でも特に、脂肪族カルボン酸及びアルコールからなる脂肪酸エステルがより好ましい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価若しくは3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、モンタン酸、テトラリアコンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪酸エステルを構成するアルコールとしては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール、又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸及びアルコールからなる脂肪酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリスチルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアレート、ベヘン酸ベヘネート、ベヘン酸ステアレート、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸ステアレート及びステアリン酸モノグリセリドから選ばれる少なくとも1種の離型剤を使用することがより好ましい。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、その上限は好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
<その他の添加剤>
本実施の形態が適用されるポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、他の種々の添加剤を配合することもできる。添加剤としては、例えば、着色剤、帯電防止剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、ワラストナイト、珪酸カルシウム、硼酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する際、ポリカーボネート樹脂(A)、(B)及び必要に応じて配合される上記添加剤等の混合方法は特に限定されず、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、(B)及び必要に応じて配合される上記添加剤等の各成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
<ポリカーボネート樹脂成形体>
上述した本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて、ポリカーボネート樹脂成形体が製造される。ポリカーボネート樹脂成形体の成形方法は特に限定されず、例えば、射出成形機、押出成形機等の従来公知の成形機を用いて成形する方法等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形体は、高い表面硬度と高い耐衝撃性を併せ有し、かつ透明性にも優れる成形体である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したように、高い表面硬度と耐衝撃性さらに高度の透明性を有する樹脂成形体が得られるので、例えば、表示装置用部材または表示装置用カバー、透明保護具、車載用透明部品、単層または多層シートとして、特に好適である。
表示装置用部材としては、例えば、各種表示(ディスプレイ)装置(液晶パネル、タッチパネル)の構成部材等、また表示装置用カバーとしては、これら各種表示装置或いは、多機能携帯、スマートホン、PDA、タブレット型端末、パソコン等々の保護カバーや前面パネル等が、また例えば、次世代電力計の表示部のカバー等も挙げられる。
透明保護具としては、例えば、ヘルメット等のフェイスカバー(フェイスガード)やシールド等が挙げられる。
また、車載用透明部品としては、例えば、グレージング、樹脂窓、ヘッドランプレンズ、カーナビ(カーオーディオ、カーAV等)の前面(外側)部材、筐体等、またコンソールボックス、センタークラスター、メータークラスターの前面部材等の自動車内装部品が挙げられる。
さらに、単層または多層の押出成形により単層または多層シートとして、硬度・耐衝撃性・透明性が求められる用途(液晶表示装置部材、透明シート、建材等)に好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ポリカーボネート樹脂(A)として、以下のポリカーボネート樹脂(C−PC−1)〜(C−PC−3を使用した。
(1)ポリカーボネート樹脂(C−PC−1)の製造:
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPC」と記す。)26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.66モル(5.71kg)を、撹拌機および溜出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積40リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(CsCO)を、BPC1モルに対し1.5×10−6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを溜出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を280℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに80分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の攪拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は300℃、攪拌動力は1.40kWであった。
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してカーボネート樹脂のペレットを得た。
得られたポリカーボネート樹脂(C−PC−1)の物性は以下の通りであった。
鉛筆硬度:2H
粘度平均分子量(Mv):32,000
(2)ポリカーボネート樹脂(C−PC−2)の製造:
BPC26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)を、撹拌機および溜出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(CsCO)を、BPC1モルに対し1.5×10−6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを溜出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を284℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに60分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の攪拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は289℃、攪拌動力は1.15kWであった。
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してカーボネート樹脂のペレットを得た。
得られたポリカーボネート樹脂(C−PC−2)の物性は以下の通りであった。
鉛筆硬度:2H
粘度平均分子量(Mv):28,000
(3)界面法によるポリカーボネート樹脂(C−PC−3)の製造:
BPC13.80kg/時、水酸化ナトリウム(NaOH)5.8kg/時及び水93.5kg/時を、ハイドロサルファイト0.017kg/時の存在下に、35℃で溶解した後、25℃に冷却した水相と5℃に冷却した塩化メチレン61.9kg/時の有機相とを、各々内径6mm、外径8mmのフッ素樹脂製配管に供給し、これに接続する内径6mm、長さ34mのフッ素樹脂製パイプリアクターにおいて、ここに別途導入される0℃に冷却した液化ホスゲン7.2kg/時と接触させた。
上記原料は、ホスゲンとパイプリアクター内を1.7m/秒の線速度にて20秒間流通する間に、ホスゲン化、オリゴマー化反応が行われる。このとき、反応温度は、断熱系で塔頂温度60℃に達した。反応物の温度は、次のオリゴマー化槽に入る前に35℃まで外部冷却を行い調節した。
オリゴマー化に際し、触媒としてトリエチルアミン5g/時(BPC1モルに対して0.9×10−3モル)、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール0.153kg/時を用い、これらは各々、オリゴマー化槽に導入した。
この様にして、パイプリアクターより得られるオリゴマー化された乳濁液を、さらに内容積50リットルの撹拌機付き反応槽に導き、窒素ガス(N)雰囲気下30℃で撹拌し、オリゴマー化することで、水相中に存在する未反応のBPCのナトリウム塩(BPC−Na)を消費させ、その後、水相と油相を静置分離し、オリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
上記オリゴマーの塩化メチレン溶液のうち、23kgを、内容積70リットルのファウドラー翼付き反応槽に仕込み、これに希釈用塩化メチレン10kgを追加し、さらに25質量%水酸化ナトリウム水溶液2.2kg、水6kg及びトリエチルアミン2.2g(BPC1モルに対して1.1×10−3モル)を加え、窒素ガス雰囲気下30℃で撹拌し、60分間重縮合反応を行ってポリカーボネート樹脂を得た。
次いで、塩化メチレン30kg及び水7kgを加え、20分間撹拌した後、撹拌を停止し、水相と有機相を分離した。分離した有機相に、0.1N塩酸20kgを加え15分間撹拌し、トリエチルアミン及び小量残存するアルカリ成分を抽出した後、撹拌を停止し、水相と有機相を分離した。
更に、分離した有機相に、純水20kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を停止し、水相と有機相を分離した。この操作を抽出排水中の塩素イオンが検出されなくなるまで(3回)繰り返した。得られた精製された有機相を、40℃温水中にフィードすることで粉化し、乾燥後、ポリカーボネート樹脂のフレーク状粉末を得た。
得られたポリカーボネート樹脂のフレークを2軸押出機に送入し、2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してポリカーボネート樹脂のペレットを得た。
得られたポリカーボネート樹脂(C−PC−3)の物性は以下の通りであった。
鉛筆硬度:2H
粘度平均分子量(Mv):30,000
[ポリカーボネート樹脂(B)]
ポリカーボネート樹脂(B)として、以下のポリカーボネート樹脂(A−PC−1)〜(A−PC−3)を使用した。
(1)A−PC−1:
ビスフェノール−Aを出発原料とし溶融法によるポリカーボネート樹脂
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「NOVAREX M7027BF」(ペレット状)
鉛筆硬度 2B
粘度平均分子量(Mv) 27,000
(2)A−PC−2:
ビスフェノール−Aを出発原料とし界面法によるポリカーボネート樹脂
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン S−3000」(フレーク状粉末)
鉛筆硬度 2B
粘度平均分子量(Mv) 21,000
(3)A−PC−3:
ビスフェノール−Aを出発原料とし界面法によるポリカーボネート樹脂
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン H−4000」(フレーク状粉末)
鉛筆硬度 2B
粘度平均分子量(Mv) 18,000
[メチルメタクリレート系樹脂]
・ポリメチルメタクリレート
三菱レイヨン社製、商品名「アクリペットMD001」
[その他添加剤]
[安定剤]
・リン系安定剤:
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
ADEKA社製、商品名「アデカスタブ2112」
・ヒンダートフェノール系安定剤:
ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
BASF社製、商品名「イルガノックス1010」
[離型剤]
・ペンタエリスリトールテトラステアレート(PTS)
コグニス社製、商品名「ロキシオールVPG861」
・ステアリン酸ステアレート(SS)
日油社製、商品名「ユニスターM9676」
・ステアリン酸モノグリセリド(モノグリセリド)
理研ビタミン社製、商品名「リケマールS−100A」
[紫外線吸収剤(UV剤)]
・ベンゾトリアゾール系UV剤
シプロ化成社製、商品名「シーソーブ709」
・トリアジン系UV剤
BASF社製、商品名「チヌビン1577」
・マロン酸エステル系UV剤
クラリアント社製、商品名「B−CAP」
(実施例1〜5)(比較例1〜9)
上記した各樹脂及び添加剤を表1および表2に示す組成(質量部)で配合混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30XCT」)により、バレル温度280℃で混練し、ポリカーボネート樹脂組成物を製造し、ペレットを得、80℃、5時間乾燥した後、以下の手順に従い、各種試験片を作成し、鉛筆硬度、ヘイズ及びデュポン衝撃強度を測定した。
実施例および比較例において行った各測定方法は、以下の通りである。
(イ)鉛筆硬度
ポリカーボネート樹脂組成物の鉛筆硬度は、上記ペレットを射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100DU」)を用い、シリンダー設定温度260〜280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpmの条件下にて、厚み2mm、縦100mm、横100mmのプレートを射出成形した。得られたプレートについて、JIS K5600−5−4に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用い、1,000g荷重にて鉛筆硬度を測定した。
(ロ)デュポン衝撃強度
ASTM D2794に従い、東洋精機製作所社製「デュポン衝撃強度測定機」を用いて、亀裂が生じたものを破壊として、10回試験を行い、50%破壊エネルギーを求めた。その際の撃芯半径は1/16インチ、錘は133gで、上記と同じ100×100×2mmの試験片を用いて、温度25℃で測定した。
(ハ)ヘイズ
得られたペレットを、住友重機械工業社製「SE−100DU」を用い、金型温度80℃、シリンダー設定温度300℃の条件下で射出成形を行い、長さ65mm、幅45mm、厚さ2mmの光学特性試験用試験片を得た。
JIS K−7136に準拠し、上記光学特性試験用試験片(厚み2mm)を用い、日本電色工業社製のNDH−2000型ヘイズメーターで、ヘイズを測定した。
結果を表1および表2に示す。
表1、表2に示した結果から、本発明の特定要件を全て満たすポリカーボネート樹脂組成物が、高い表面硬度と高い耐衝撃性を併せ有し、かつ透明性にも優れることが分かる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い表面硬度と高い耐衝撃性を併せ有し、かつ透明性にも優れるので、各種用途における成形体として使用でき、特に、表示装置用部材または表示装置用カバー、透明保護具、車載用透明部品、単層または多層シートに用いて好適であり、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が20,000〜32,500のポリカーボネート樹脂(A)及び下記一般式(2)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が16,000〜28,000のポリカーボネート樹脂(B)を、(A)/(B)の質量比で80/20〜20/80の割合で含有し、ASTM D2794に従って測定した25℃におけるデュポン衝撃強度が10J以上、JIS K5600に従って測定した鉛筆硬度がF以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    (一般式(1)中、Rはメチル基、Rは水素原子を示し、Xはイソプロピリデン基を示す。)
    (一般式(2)のXはイソプロピリデン基である。)
  2. 厚み2mmの成形品についてJIS K7136に従って測定したヘイズ値が2%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. さらに、リン系安定剤及び/またはヒンダードフェノール系安定剤を、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. さらに、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系またはマロン酸エステル系の紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対し、0.05〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. さらに、離型剤として脂肪酸エステルを、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び(B)の合計100質量部に対し、0.05〜1量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 離型剤が、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸ステアレート及びステアリン酸モノグリセリドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. ポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量%中、10質量%以上がフレーク状の粉末であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる表示装置用部材または表示装置用カバー。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる保護具。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる車載用部品。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる単層または多層シート。
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