JP6542602B2 - フィルム - Google Patents
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Description
その中でも特にカーナビ前面板用途に用いられる熱成形用フィルムとしては、主に次のような特性が求められる。第1には、外光の映り込みを防止するための防眩性に優れること。第2には、熱成形時において深絞り性に優れること。第3には、硬度が高く傷が付きにくいこと等が挙げられる。
したがって、フィルムの表面の凹凸により防眩性に優れ且つ、ギラツキを抑えられたフィルムの出現が求められていた。また、さらにフィルムの表面の凹凸が幅方向に均一でありながら成形性に優れるフィルムも求められていた。
そして、上記の特定の形状を効率的に製造する方法として、金属弾性賦型ロールを使用しフィルム状物を圧延加圧する際の圧力値とロール温度を特定の範囲とする製造方法も提供される。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
2.JIS K7374に従った像鮮明度(写像性)測定において、光学くし0.125mmの像鮮明度が0.5%以上60%以下の前記1に記載のフィルム。
3.ポリカーボネート樹脂が、主たる構成単位として下記一般式(1)で表される構造単位(A)を含有する変性ポリカーボネート樹脂を用いる前記1に記載のフィルム。
4. 前記一般式(1)で表される構造単位(A)と下記一般式(3)で表される構造単位(B)からなり、
全構成単位における構造単位(A)の割合が50〜100モル%からなるポリカーボネート樹脂を用いる前記3に記載のフィルム。
5.前記式(1)中のR1およびR2が、オルソ位のメチル基である前記3または4に記載のフィルム。
6.前記1〜5のいずれかに記載のフィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した熱可塑性樹脂を前記金型内に射出して得られる加飾成形体の製造方法。
7.熱可塑性樹脂を、押出機のTダイスからフィルム状に溶融押出し、該フィルム状物を金属弾性賦型ロールで、圧延荷重を1〜6MPaの範囲に挟時保持加圧し、複数個の冷却ロールで冷却した後、複数個の転送ロールにより移送して前記1記載のフィルムを得る製造方法。
8.金属弾性賦型ロールが、ベルト式の押圧成形ロールである前記7に記載のフィルムの製造方法。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂等の板状に加工できるものであって、ガラス転移温度Tg が常温以上のものが該当する。
上記の熱可塑性樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が好ましく用いられ、さらにポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂がより好ましく用いられる。
また、JIS K5600に準拠して測定した鉛筆硬度は、F以上が好ましく、2H以上がより好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
下記式(1)および/または下記式(3)のカーボネート単位は、ポリカーボネート全体のカーボネート単位中、30〜100モル%が好ましく、50〜100モル%がより好ましく、70〜100モル%がさらに好ましい。
下記式(1)および下記式(3)は、夫々ホモポリマーまたは、共重合体であることが好ましい。
具体的な二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが好ましく用いられる。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、0.001〜1.5モル%、好ましくは0.005〜1.2モル%、特に好ましくは0.01〜1.0モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法は、界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマー固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献及び特許公報などで良く知られている方法が用いられる。
粘度平均分子量が1×104未満のポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×104を超えるポリカーボネート樹脂では、フィルムの外観が悪化する問題がある。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明に用いられるアクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの重合体を主体とするものである。アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチルのホモ重合体、あるいはメタクリル酸メチルが好ましく用いられ、その含有量は、好ましくは、50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含む共重合体を挙げることが出来る。
他の共重合体の成分としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
本発明に用いられるアクリル樹脂の製造方法は、一般に乳化重合法、懸濁重合法、連続重合法のいずれかの重合方法により製造される。
一般に、ゴム粒子を加えると透明性が低下する傾向にあり、本発明に用いるアクリル樹脂は、できるだけ透明性の高いゴム粒子を用いることが好ましい。好ましいゴム粒子として、アクリル系の架橋弾性重合体からなるコア層をメタクリル酸エステル樹脂で包んだコアシェル構造としたもの、また中心部のメタクリル酸エステル樹脂をアクリル系の架橋弾性重合体で包み、更にその外側をメタクリル酸エステル樹脂で被覆した3層構造としたもの等が挙げられる。
さらに、アクリル系樹脂に、効果が損なわれない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、着色剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を加えても良い。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン/ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂等があげられる。中でも、ポリエチレンテレアタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂が好ましい。これらの樹脂は1種であってもよく、また2種以上混合してもよい。
また上記熱可塑性樹脂以外の他の熱可塑性樹脂も使用することができる。かかる熱可塑性樹脂以外の他の熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、および各種熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン系、塩化ビニル系、フッ素系[フッ素ゴム]、アイオノマー樹脂、塩素化ポリエチレン、シリコーン系等)などが挙げられる。更にIPN(Interpenetrating Polymer Networks=相互貫通網目構造)技術を使ったアクリルゴムとシリコンゴムの複合ゴム例えば、三菱レイヨン(株)商品名メタブレンS−2001等がある。これらポリエステル樹脂以外の他の熱可塑性樹脂は、1種または2種以上用いることができる。また、本発明のフィルムの特性を損なわない範囲で、難燃剤(臭素化ビスフェノール、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノールAのカーボネートオリゴマー、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、赤リンなど)、難燃助剤(アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモンなど)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンなど)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系化合物など)、帯電防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、着色剤等を用いることができる。
フィルム表面への賦型方法としては、溶融した樹脂を表面賦型したロールやベルトに密着させてフィルム成形を行う。このときのロールやベルトの本数や配置、材質を適切に選択・配置することで厚みムラが小さいフィルムを得ることができる。さらに、冷えて固まる前の溶融した樹脂に、ロールやベルトで狭圧するため、フィルムの表面外観を良くすることが出来る。例えば、金属弾性賦型ロールとしては、軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置され、溶融樹脂に接触する円筒形の金属製薄膜とを備えており、これら軸ロールと金属製薄膜との間に水や油などの温度制御された流体が封入されたものや、ゴムロールの表面に金属ベルトを巻いたものが例として挙げられる。中でも、2本以上のロールに金属ベルトを巻いたベルト式金属弾性賦型ロールは、溶融樹脂をより円弧上の広い面で狭圧することで、表面外観が良好なフィルムを得ることができる。
回転する第2冷却ロール5の外周面で循環する成型ベルト4Aは、供給された溶融合成樹脂材料を第2冷却ロール5の回転と共に第2冷却ロール5に対して圧着状態で押圧し、設定された圧着力、クリアランスに対応した肉厚に成型させる。
成型ベルト支持ロール4B相互間の調整による成型ベルト4Aのテンションの調整は、第2冷却ロール5に対するクッション性を発揮させ、溶融合成樹脂材料の供給ムラその他に対しての押圧力の逃げを調整し、成型する合成樹脂シートの肉厚設定の精度を向上させる。
前記製造方法において、使用する熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとした場合、成型ベルト支持ロール4Bのロール温度はTg−80〜Tg−10℃の範囲に調整することが好ましく、Tg−60〜Tg−10℃の範囲に調整することがより好ましい。
本発明の単層フィルムは、従来公知の方法による溶融製膜法により製造される事が好ましい。上記溶融押出しに使用される押出機は、樹脂を供給するホッパー部、樹脂を溶融するシリンダ部、樹脂をシリンダ内にかみ込み溶融樹脂を移動させるスクリュー、溶融樹脂中の異物を除去するためのフィルターおよび溶融樹脂を押し出すダイを有することが好ましい。ホッパー内の空気(酸素)による樹脂の熱劣化の促進を防ぐため、ホッパー内の雰囲気を熱窒素ガスで置換するか、熱窒素ガスを流通させる方法やホッパーを真空状態にする事で無酸素状態にする事も好ましく採用される。
単層フィルムに加えて、本発明においては、積層フィルムも使用出来る。
本発明の積層フィルムは、従来公知の方法により製造することが出来る。例えば各層を予め別々に製膜しておきラミネートする、あるいは熱圧着プレスする方法、予め製膜した一方の層のフィルムを基材として、その片面あるいは両面にコーティングしてもう一方の層を形成させる方法、それぞれの樹脂層を共押出法により積層製膜する方法等が挙げられる。中でも経済性、生産安定性等から共押出法による製造がもっとも好ましい。
本発明のフィルムは、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、加飾塗装、ARコート、ハードコート、撥水・撥油コート、親水コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、電磁波吸収コート、発熱コート、帯電防止コート、制電コート、導電コート、並びにメタライジング(メッキ、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、溶射など)などの各種の表面処理を行うことができる。殊に賦型フィルムは必要に応じて、片面または/および両面に、例えばUVカット機能、帯電防止性能、IRカット性能、電磁波カット性能を有する層(透明導電層)を積層させた積層体であってもよい。
(1)凹凸の十点平均粗さRz
フィルム表面の凹凸の十点平均粗さRzの測定方法は、キーエンス製VK−9710レーザ顕微鏡を使って測定する。専用の解析ソフトVK Analyzerに記載されるJIS B0601−2001に準拠し、フィルム表面の測定面積を200μm×200μmとしたときの面粗さを計測する。
Rzが10μmより大きいと、表面反射が強くフィルムが白濁(ヘイズが高くなる)するため、視認性に乏しくなる。またRzが2μmより小さいと、外光の映り込みが強くなり、外光の映り込み(AG機能)が乏しくなるため、Rzが2〜10μmの範囲内が最適である。より好ましくは、Rzが4〜8μmである。
フィルム表面の凹凸の平均間隔Rsmの測定方法は、キーエンス製VK−9710レーザ顕微鏡を使って測定する。専用の解析ソフトVK Analyzerに記載されるJIS B0601‐2001に準拠し、フィルム表面の測定基準長さを200μmとしたときの線粗さを計測する。
Rsmが80μmより大きいと、ディスプレイ前面板として使用した時に、凹凸面とは反対の面からの透過光(LCDの映像)が、凹凸形状面を透過するときに、その凹凸形状がマイクロレンズの役割をして、表示される画像を乱す状態「ギラツキ」が強くなりやすい。またRsmが10μmより小さいと「ギラツキ」は弱くなるが、フィルムに直接凹凸を転写させる技術的には困難な領域になるため、微粒子を塗布する手法が用いられることが多い。これらを考慮して、Rsmは、10〜80μmであり、、好ましくは、10〜60μm、より好ましくは10〜40μmである。Rsmの調整方法としては、成形ベルト表面の凹凸形状を10〜80μmの範囲で加工することが好ましいが、成形時の転写率をコントロールすることで、ある程度Rsmの調整が可能である。例えば、転写率を低くすれば凹凸が不均一に転写されるため、Rsmが大きくなる傾向にあるが、転写率を高くすると凹凸が全面に均一に転写されるため、Rsmが小さくなる傾向にある。
フィルムのぎらつき性と防眩性の判断基準の一つとして像鮮明度を測定する。写像性測定器ICM−1T(スガ試験機株式会社製)を用い、光学くし0.125mmにおける透過の像鮮明度を測定する。像鮮明度の値が0.5%未満だと表示装置の映像のギラツキが強く視認性が著しく低下し、また60%を超えると、防眩性に乏しくなるため、好ましくは、0.5%以上60%以下であり、より好ましくは0.5%以上40%以下、さらに好ましくは0.5%以上20%以下、特に、好ましくは0.5%以上10%以下である。
フィルムの防眩性の判断基準の一つとして変角光度計を測定する。変角光度計GC500L(日本電色株式会社製)を用い、専用の白色反射板(標準板)で標準合わせを行った後、投光角度45度の受光角度45度の全反射測定を行ったときの最大反射光量を求める。値が15,000より大きいと光の映り込み(反射)が強くなるため、好ましくは、15,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは5,000以下である。
実施例及び比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、アンリツ(株)製の電子マイクロ膜厚計により測定した。厚みはフィルム幅方向における中央部の値である。フィルム幅方向とは製膜時のフィルム流れ方向に対して垂直な方向を表す。
フィルムの幅方向における各測定位置の厚みの測定を行った。測定はフィルム幅700mmに対し、幅方向にそって25mm間隔毎に計28点で行い平均値を求めた。
実施例、比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、JIS B−0601に準じてキーエンス製VK−9710レーザ顕微鏡を使って表面粗さRzの測定を行った。測定はフィルム幅方向における各測定位置の表面粗さRzの測定を行った。測定はフィルム幅700mmに対し、幅方向にそって25mm間隔毎に計28点で行い平均値を求めた。また防眩性について、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、各フィルム上に映った蛍光灯の反射像のぼけの程度を目視で評価を行った。
◎:表面粗さRzが4〜8μmの範囲であり、蛍光灯の反射像が十分にぼけている。
○:表面粗さRzが2〜10μmの範囲であり、蛍光灯の反射像がぼけている。
△:表面粗さRzが2より小さい範囲であり、蛍光灯の反射像のぼけが十分でない。
×:表面粗さRzが2より小さい範囲であり、蛍光灯の反射像がほとんどぼけていない。
実施例、比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、JIS B−0601に準じてキーエンス製VK−9710レーザ顕微鏡を使って凹凸の平均間隔Rsmの測定を行った。測定はフィルム幅方向における各測定位置の表面粗さRsmの測定を行った。測定はフィルム幅700mmに対し、幅方向にそって25mm間隔毎に計28点で行い平均値を求めた。またギラツキについて、133ppi(133pixels/inch)に模したセル上、距離1mmの位置にのせ、ギラツキ(防眩性フィルムの表面凸部が起因の輝度バラツキ)の程度を目視で評価を行った。
◎:凹凸の平均間隔Rsmが10〜40μmの範囲であり、ギラツキが見られない。
○:凹凸の平均間隔Rsmが10〜80μmの範囲であり、ほとんどギラツキが見られない。
△:凹凸の平均間隔Rsmが80より大きい範囲であり、すこしギラツキが見られる。
×:凹凸の平均間隔Rsmが80より大きい範囲であり、かなりギラツキが見られる。
実施例、比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、写像性測定器ICM−1T(スガ試験機株式会社製)を用い、光学くし0.125mmにおける透過の像鮮明度を測定した。
実施例、比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、
変角光度計GC500L(日本電色株式会社製)を用い、専用の白色反射板(標準板)で標準合わせを行った後、投光角度45度、受光角度45度の全反射測定を行ったときの最大反射光量を求めた。
JIS K5600に基づき、雰囲気温度23℃の恒温室内で80mm×60mmに切
り出したフィルムの表面に対して、鉛筆を45度の角度を保ちつつ750gの荷重をかけた状態で線を引き、表面状態を目視にて評価した。カーナビ前面板用途では、鉛筆硬度がFより小さい場合、手で触れた時に傷がつきやすいため、F以上が好ましく、2H以上がより好ましい。
実施例、比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、フィルム幅方向(TD)700mm、押出方向(MD)500mmのサイズのサンプルを使用し、投光器により白板に映ったダイラインを目視で評価を行った。水平白板とフィルムの距離は14cmとした。
○:ダイラインがみえない。
△:機能に影響を与える実害がないレベルの薄いダイラインがみえる。
×:濃いダイラインがみえる。
実施例、比較例で得られた厚み0.3mmまたは厚み0.8mmのフィルムにおいて、フィルム幅方向(TD)700mm、押出方向(MD)500mmのサイズのサンプルを使用し、投光器により白板に映った横スジを目視で評価を行った。
◎:横スジがみえない。
○:機能に影響を与える実害がないレベルの薄い横スジがみえる。
×:濃い横スジがみえる。
真空成型法により、コーナーエッジの曲率半径が0.5mmの溝を有する直方体の金型にフィルムを転写させ、角部分まで転写されているかどうかをR面測定器で測定することで評価した。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が1.5mm以下でフィルムにマイクロクラックが発生していない場合は◎、フィルムの曲率半径が1.5mm以下で機能に影響を与える実害がないレベルのマイクロクラックが発生している場合は○、曲率半径が1.5mmを超えてフィルムにマイクロクラックが発生しない場合は△、機能に影響を与える実害があるレベルのクラックが発生している場合は×とした。
[製造例1]
帝人(株)製 商品名:パンライトL−1225L 粘度平均分子量19,900Tg145℃の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)を用いた。
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液3845部およびイオン交換水18182部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン3984部およびハイドロサルファイト8.37部を溶解した後、塩化メチレン10567部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液897部およびp−tert−ブチルフェノール69.93部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
アクリル樹脂は、三菱レイヨン製 商品名:アクリペットVH001 Tg110℃(A−3)を用いた。
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液3845部およびイオン交換水18182部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン1992部およびビスフェノールA2993部、ハイドロサルファイト8.37部を溶解した後、塩化メチレン10567部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液897部およびp−tert−ブチルフェノール93.2部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
[実施例1]
製造例1で得られたA−1の樹脂に、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.05%を加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いて、ペレット化した後、ベント付きTダイ押出機により、押出機温度230〜330℃、ダイス温度230〜330℃で溶融押し出したフィルムをベルト式金属製弾性賦型ロール(表面粗さRzは平均8.0μm)と金属ロールで圧延荷重2MPaで狭圧冷却した後、エッジトリミングして巻取幅700mm、厚み305μmのフィルムを溶融押出しにて得た。
実施例1の樹脂をA−2に変更し、成形ベルト、冷却第2ロールの温度を変更した以外は、実施例1と同様な方法で厚み305μmのフィルムを得た。
実施例1の樹脂をA−3に変更し、成形ベルト、冷却第2ロールの温度を変更した以外は、実施例1と同様な方法で厚み305μmのフィルムを得た。
実施例1の樹脂をA−4に変更し、成形ベルト、冷却第2ロールの温度を変更した以外は、実施例1と同様な方法で厚み305μmのフィルムを得た。
ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.05%を加えた樹脂A−1および樹脂A−3を、それぞれベント付きφ30mm単軸押出機を用いて、ペレット化した後、ベント付きTダイ押出機により、押出機温度230〜330℃、ダイス温度230〜330℃で、フィードブロック法にて2層に積層したフィルムをベルト式金属製弾性賦型ロール(表面粗さRzは平均8.0μm)と金属ロールで圧延荷重2MPaで狭圧冷却した後、エッジトリミングして巻取幅700mm、厚み305μm(樹脂A−1層:255μm、樹脂A−2層:50μm)のフィルムを得た。但し、A−2樹脂側に賦型転写を行った。
実施例1の圧延荷重を4MPa、成形ベルト温度を105℃に変更した以外は実施例1と同様な方法で厚み295μmのフィルムを得た。実施例1よりも賦型形状の転写率が高くなり、Rzが大きくなったことで防眩性が非常に優れ、またRsmが小さくなったことでギラツキ性もなく非常に良好であることが分かった。さらに横スジも見えなかった。
実施例4の圧延荷重を4MPa、成形ベルト温度を80℃に変更した以外は実施例4と同様な方法で厚み298μmのフィルムを得た。実施例4よりも賦型形状の転写率が高くなったことで、Rzが大きくなり防眩性が非常に優れ、またRsmが小さくなったことでギラツキ性もなく非常に良好であることが分かった。さらに横スジも見えなかった。
実施例1の圧延荷重8MPa、成形ベルト温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様な方法で厚み307μmのフィルムを得た。実施例1よりも圧延荷重が過剰で転写率が強いため、防眩性とギラツキ性は優れているが、横スジが強く外観が悪い結果となった。
圧延荷重の比較として、圧延荷重0.8MPaの条件で挟圧した。、その結果、転写率が低くなり、Rzが小さくなったことで防眩性が劣り、またRsmが大きくなったことでギラツキ性が非常に強くなることが分かった。さらにフィルムに濃いダイライン(縦スジ)が見える結果であった。
実施例1の圧延荷重を3MPaに変更し、フィルム厚みを0.8mmに変更した以外は実施例1と同様な方法でフィルムを得た。横スジが濃く、熱成形性に劣る結果となった。
樹脂A−1を使って、表面が鏡面のフィルムを得た後に、スチレン系微粒子をアルコール/ケトン混合溶媒に混合してフィルム表面に塗布して乾燥させた。ギラツキ性がなく非常に優れているが、防眩性が乏しく、また熱成形時にフィルムコーナエッジ部分にクラックが発生する結果となった。
2 ダイ
3 溶融状態の樹脂フィルム
4A 成形ベルト
4B 成型ベルト支持ロール
5 第2冷却ロール
6 第3冷却ロール
7 引取りロール
Claims (8)
- ポリカーボネート系樹脂、あるいはアクリル系樹脂を用い、JIS K5600に準拠して測定した鉛筆硬度がF以上である熱可塑性樹脂からなるフィルムで少なくとも一面に凹凸があり、JIS B0601に準拠した十点平均粗さRzが2〜10μmの範囲で、且つ、JIS B0601に準拠した凹凸平均間隔Rsmが10〜80μmの範囲を特徴とする、フィルム厚みが0.03〜0.5mmの範囲にある単層または積層フィルム。
- JISK7374に従った像鮮明度(写像性)測定において、光学くし0.125mmの像鮮明度が0.5%以上60%以下の請求項1に記載のフィルム。
- ポリカーボネート樹脂が、主たる構成単位として下記一般式(1)で表される構造単位(A)を含有する変性ポリカーボネート樹脂を用いる請求項1に記載のフィルム。
- 前記一般式(1)で表される構造単位(A)と下記一般式(3)で表される構造単位(B)からなり、
全構成単位における構造単位(A)の割合が50〜100モル%からなる変性ポリカーボネート樹脂を用いる請求項3に記載のフィルム。 - 前記式(1)中のR1およびR2が、オルソ位のメチル基であることを特徴とする請求項3または4に記載のフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した熱可塑性樹脂を前記金型内に射出して得られる加飾成形体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂を、押出機のTダイスからフィルム状に溶融押出し、該フィルム状物を金属弾性賦型ロールで圧延荷重を1〜6MPaの範囲に挟時保持加圧し、複数個の冷却ロールで冷却した後、複数個の転送ロールにより移送して請求項1記載のフィルムを得る製造方法。
- 金属弾性賦型ロールが、ベルト式の押圧成形ロールであることを特徴する請求項7に記載のフィルムの製造方法。
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