JP3590297B2 - 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents

難燃性塩化ビニル系樹脂成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性塩化ビニル系樹脂成形体に関し、更に詳しくは、FM規格 (ファクトリー・ミューチアル・リサーチ・コーポレーションの定める難燃性の評価基準)を満足する難燃性塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂は成形性が良く、機械的強度が高く、安価であって、耐薬品性が良好であるため、工業用材料、特に耐食工業用材料として半導体製造装置をはじめ、あらゆる分野に広く利用されている。
【0003】
しかし、塩化ビニル樹脂は塩素を多量に含むので、難燃性を有する反面、耐熱性が悪く、200℃以上に長時間接すると熱分解を起こし、有機物による発煙を生じると同時に、塩素ガスや塩化水素ガスなどの腐食性ガスを発生する。そのため、この塩化ビニル樹脂の成形体を使用している装置に火災が発生すると、該樹脂の分解による煙とガスが発生する。
【0004】
これを防止するため、従来からリン系難燃剤やハロゲン系難燃剤、或は、水酸化マグネシウム等の含水化合物を塩化ビニル樹脂に添加して、その難燃性を向上させていた。しかし、このように難燃性を向上させた塩化ビニル樹脂の成形体であっても、半導体製造装置等に使用すると、火災時に発生する煙や腐食性ガスにより製造施設内の空気清浄度が低下して、製造装置類、機器類、半導体部品などが汚染されたり侵されたりする恐れがあった。
【0005】
かかる事情から、一般に難燃性を有すると言われている塩化ビニル樹脂であっても、近年、火災時の難燃性と発煙の抑制と腐食性ガス発生の抑制が要求されるようになり、この要求は保険組織で特に強く、北米を根拠地とする産業相互保険組織であるファクトリー・ミューチアル・システムを構成しているファクトリー・ミューチアル・リサーチ・コーポレーション(Factory Mutual Research Corporation) の定める評価基準が有効に利用されている。
【0006】
この評価基準は、Class Number4910として挙げられているクリーンルーム材料の難燃性テスト(FMRC Clean Room Materials Flammability Test、以下FM規格という)に基づく難燃性を示す難燃指数FPIが6以下、発煙性を示す発煙指数SDIが0.4以下というものであり、更に好ましくは腐食性ガス発生を示す腐食指数CDIも1.1以下というものであって、これらを同時に満足することが要求されている。
【0007】
上記の要求に対し、塩化ビニル樹脂成形体の難燃指数FPIを6以下にすることは、難燃剤の添加により比較的容易に達成できるが、発煙指数SDI、好ましくは腐食指数CDIをも同時に満足する塩化ビニル樹脂成形体を得ることは容易でなく、例えば、本出願人が先に出願した特願平9−365319号に係る難燃性塩化ビニル樹脂成形体など、ごく一部の成形体がFPI,SDI,CDIの各基準を同時に満足するに過ぎない。けれども、かかる成形体は強度、耐薬品性、耐食性などがあまり良くないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、FM規格によるFPI、SDI、CDIの各基準を全て満足し、実用的強度、耐薬品性、耐食性をも備えた難燃性塩化ビニル系樹脂成形体を開発することを、解決課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、従来から顔料等として少量配合されている酸化チタンは、これを特定の割合で塩化ビニル系樹脂に含有させると難燃剤として極めて有効に作用するという予想外の事実を見出すと共に、塩化ビニル系樹脂成形体の白色度、光沢度、比熱、金属鉛の含有量などが難燃性に大きい影響を与えるという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の請求項1に係る難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、表面がアルミナで被覆された加熱減量が0.1〜5.0%である酸化チタンを5〜50重量部含有させると共に、鉛系安定剤を金属鉛の量に換算して2〜15重量部となるように添加した塩化ビニル系樹脂成形体であって、その白色度が60〜95であり、光沢度(JIS K−7105)が60〜99であり、比熱が0.90〜1.15J/g・Kであることを特徴とし、
本発明の請求項2に係る難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、モリブデン化合物を含有させたことを特徴とするものである。
【0012】
これらの難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、後述する実施例のデータに示されるように、FM規格の燃焼指数FPIが6以下、発煙指数SDIが0.4以下、腐食指数CDIが1.1以下であって、各基準を全て満足しており、強度や耐薬品性なども良好である。本発明の成形体が上記のように優れた難燃性と、良好な強度、耐薬品性などを有する理由については、後で詳しく説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、塩化ビニル系樹脂に必須成分として酸化チタンと鉛系安定剤(金属鉛)を含んだ基本的な態様の成形体Aと、更に任意成分として特定種の配合剤を含んだ態様の成形体Bとに大別される。
【0014】
基本的な成形体Aは、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンを5〜50重量部含有させると共に、鉛系安定剤を金属鉛の量に換算して2〜15重量部となるように添加したものであり、その白色度が60〜95、JIS K−7105による光沢度(測定角度20°)が60〜99、比熱が0.90〜1.15J/g・Kの成形体である。なお、この成形体Aには、成形に必要な熱安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤などが適量配合される。
【0015】
上記の成形体Aは、酸化チタンや鉛系安定剤を含有させた分だけ、有機物である塩化ビニル系樹脂の量が減少し、しかも、酸化チタンや鉛系安定剤(金属鉛)が難燃性の向上に極めて有効に作用するため、難燃性が顕著に向上して発煙量やガス発生量が減少する。
【0016】
酸化チタンは白色度や熱伝導率が高く、1200〜1300℃まで分解しない無機粒子であり、このような酸化チタンを塩化ビニル系樹脂に含有させると、何故に難燃性が向上し発煙量やガス発生量が減少するのか、その理由(作用)については明らかでないが、一応次のように考えられる。
【0017】
一般に、塩化ビニル系樹脂成形体に外部から過度の熱が加わると、塩化ビニル系樹脂中の塩素が熱により離脱して難燃作用を発揮すると共に、塩素の離脱した樹脂が熱分解して燃焼に至る。この過程において酸化チタンが存在すると、該酸化チタンは1200〜1300℃の高温まで分解することなく、その高い白色度によって外部からの熱を遮断する働き(熱遮断作用)をすると共に、塩素離脱後の樹脂の熱分解及び燃焼の段階では、高い熱伝導率によって該樹脂をより速く炭化させる働き(炭化促進作用)をするため、塩化ビニル系樹脂成形体の難燃性が向上し、発煙量やガス発生量が減少すると考えられる。また、酸化チタンの含有により、有機物である塩化ビニル系樹脂の量が減少することも、難燃性向上の一因となっている。
【0018】
このような酸化チタンは、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5〜50重量部の割合で含有させる必要がある。含有量が5重量部より少なくなると、後述の実験データから判るように燃焼指数FPIが6以下、発煙指数SDIが0.4以下、腐食指数CDIが1.1以下である難燃性塩化ビニル系樹脂成形体Aを得ることが困難となり、酸化チタンの含有量が50重量部より多くなると、成形体Aの機械的強度や成形性が悪くなると共に、耐薬品性や耐食性が低下し、工業用材料として実用し難くなる。酸化チタンのより好ましい含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して8〜30重量部の範囲内であり、このように酸化チタンの含有量が比較的少ない成形体Aは、耐薬品性、機械的強度、曲げ加工性、着色性などが良好である。
【0019】
酸化チタンとしては、0.1〜0.5μm程度の平均粒径を有する粉体が好ましく使用される。このような酸化チタンの粉体は、塩化ビニル系樹脂との混練性が良く、均一な分散状態で含有させることができるからである。特に、表面をアルミナで被覆した酸化チタンの粉体は好適であり、このような被覆粉体を含有させると、燃焼時に酸化チタンとアルミナの相乗作用によって塩化ビニル系樹脂の炭化が更に促進されると共に、アルミナによって煙やガス等が吸着されるため、燃焼指数FPI、発煙指数SDI、腐食指数CDIの全ての値が小さい成形体Aを得ることが可能になる。
【0020】
一方、鉛系安定剤は塩化ビニル系樹脂の成形の際の熱安定剤として作用する。そして、塩化ビニル系樹脂の熱分解によっても金属鉛として残り、該金属鉛の良好な熱伝導率により炭化促進作用をなして発煙量やガス発生量を減少させる。また、金属鉛として残るので、有機物である塩化ビニル系樹脂の量を減少させて難燃性を向上させる。鉛系安定剤の量が少なくなると、成形体Aの成形時の熱安定性が不足するし、また、炭化促進作用が低下して難燃性の向上が見込めない。一方、鉛系安定剤の量が多すぎると、成形時に混練が困難になるし、得られた成形体Aの耐薬品性も悪くなる。
【0021】
この鉛系安定剤は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、金属鉛の量に換算して2〜15重量部となるように添加することが必要である。金属鉛の量が2重量部より少なくなるように鉛系安定剤を添加すると、成形体Aの成形中に熱分解を生じて成形体Aを成形できず、また、他の熱安定剤との併用で成形体Aを成形しても、燃焼指数FPIが上昇して6を越えることとなる。金属鉛の量が15重量部より多くなるように鉛系安定剤を添加すると、成形体Aの成形時に混練が充分に行い難く、得られる成形体Aの耐薬品性等も悪くなる。鉛系安定剤の好ましい添加量は、金属鉛の量に換算して2〜8重量部の範囲である。
【0022】
鉛系安定剤としては、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、二塩基性フタール酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛等が使用されるが、そのなかでも、金属鉛含有量が多い三塩基性硫酸鉛(Pb:79%)、二塩基性亜硫酸鉛(Pb:80%)が好ましく用いられる。
【0023】
この成形体Aを構成する塩化ビニル系樹脂としては、(a)塩素化度が約56%の一般の塩化ビニル樹脂、(b)塩素化度が58%以上、73%以下の後塩素化塩化ビニル樹脂、(c)これらの塩化ビニル樹脂を混合した樹脂、(d)これらの塩化ビニル樹脂に酢酸ビニル樹脂やアクリル樹脂等を混合した樹脂、(e)塩化ビニルと酢酸ビニルやエチレン等との共重合樹脂などが使用される。なお、(c)や(d)や(e)の樹脂は、その平均塩素化度が50%以上、73%以下となるように混合したり、共重合したものが使用される。
【0024】
(a)の一般の塩化ビニル樹脂は、耐薬品性に優れた成形体Aを得る場合に特に有効であり、(b)の後塩素化塩化ビニル樹脂は、酸化チタンによる炭化促進作用が大きいので難燃性に優れた成形体Aを得る場合に特に有効であり、(c)の混合樹脂は、耐薬品性と難燃性のバランスが良い成形体Aを得る場合に特に有効であり、(d)の混合樹脂や(e)の共重合樹脂は、成形性や曲げ加工性(伸び)などの物性を改善した成形体Aを得る場合に特に有効である。
【0025】
塩化ビニル系樹脂の塩素化度と酸化チタンによる炭化促進作用は相関関係があり、塩化ビニル系樹脂の塩素化度が高くなるほど、酸化チタンによる炭化促進作用は強くなる。従って、酸化チタンを含有する難燃性に優れた成形体Aを得るためには、塩化ビニル系樹脂として、塩素化度が58%以上、73%以下のものを使用することが望ましい。塩素化度が58%より低い塩化ビニル系樹脂は、酸化チタンによる炭化促進作用がそれほど顕著でないため、優れた難燃性を付与するためには酸化チタンの含有量を増加させる必要があり、一方、塩素化度が73%より高い塩化ビニル系樹脂は成形体の製造が難しく、熱安定性、成形性、曲げ加工性なども悪いので、成形体Aの原料樹脂としては不適当である。塩化ビニル系樹脂のより好ましい塩素化度は62〜66%である。
【0026】
塩素化度が58%以上、73%以下の塩化ビニル系樹脂としては、上記(b)の後塩素化塩化ビニル樹脂や、この後塩素化塩化ビニル樹脂に一般の塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂などの一種又は二種以上を平均塩素化度が58%以上、73%以下となるように混合した樹脂が使用される。
【0027】
このような塩素化度が58%以上、73%以下の塩化ビニル系樹脂を使用する場合は、酸化チタンによる炭化促進作用が大きいので、酸化チタンの含有量の下限を更に下げて、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し4〜30重量部の含有量としても、FPI,SDI,CDIの各基準を同時に満足する難燃性塩化ビニル系樹脂成形体Aを得ることができる。尚、この場合の酸化チタンの更に好ましい含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して8〜20重量部である。
【0028】
この成形体Aの白色度は、CIE(国際照明委員会)によって制定されたCIE1931標準表色素の白色度を表わし、具体的には日本電色工業(株)製の色差計Z−Σ90によって求めた値である。この白色度は、既述したように60〜95の範囲にあることが必要である。白色度が60未満では、火災時の熱反射が少ないため、燃焼指数FPIが上昇して6を越えることとなる。逆に、白色度を95より高くしようとすると、白色顔料(酸化チタン)を極端に多くする必要があり、成形体Aの機械的強度や成形性が悪くなる。より好ましい白色度は、75〜90である。
【0029】
また、この成形体AのJIS K−7105による光沢度(測定角度20°)は、既述したように60〜99の範囲にあることが必要である。光沢度が60未満では、火災時の熱反射が少ないため、燃焼指数FPIが上昇して6を越える場合が多くなる。より好ましい光沢度は70〜99である。
【0030】
更に、この成形体Aの比熱は0.90〜1.15J/g・Kの範囲にあることが必要である。成形体Aの比熱が0.90J/g・Kより小さくなるほど酸化チタンや鉛系安定剤を多量に含有させると、成形体Aの耐薬品性、耐食性、成形性、曲げ加工性などが低下し、逆に、比熱が1.15J/g・Kより高くなると、熱移動が遅くなりすぎて炭化が促進され難くなるため、燃焼指数FPIが上昇して6を越える場合が多くなる。より好ましい比熱は1.00〜1.12J/g・Kである。
【0031】
また、この成形体Aに用いる酸化チタンの加熱減量は、既述したように0.1〜5%の範囲にあることが必要である。このような酸化チタンを成形体Aに配合して均一に分散させると、燃焼時には吸着水が放出され、成形体Aを発泡させたり、一時的に湿潤状態を呈する。酸化チタンの加熱減量が0.1%未満では、吸着水が僅かで燃焼時の発泡が少なく、分解時の塩素ガスの滞溜が悪いため、炭化した塩化ビニル系樹脂内への塩素ガスの吸着が下がってCDIを高め、逆に、加熱減量が5%を越えると、燃焼時の塩素ガスの湿度が高くなって腐食作用が強くなるため、腐食指数CDIが上昇して1.1を越える場合が多くなる。より好ましい加熱減量の範囲は0.5〜2.5%である。
【0032】
この成形体Aの厚さについては制限がなく、用途などを考慮して適宜決定すればよいが、通常、3〜15mm程度の厚さにすると、十分な実用的強度を付与することができる。
【0033】
以上のような難燃性塩化ビニル系樹脂成形体Aは、酸化チタンと鉛系安定剤と他の添加剤(錫系熱安定剤、有機系熱安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤等)を配合した塩化ビニル系樹脂組成物を調製し、これを溶融押出成形、カレンダープレス、射出成形、その他の公知の成形手段で、平板、パイプ、丸棒、溶接棒、アングル等の異形品など、所望の形状に成形することによって得られるものであり、そのまま、或は、二次加工して、各種の用途、特に半導体製造装置などに好適に使用される。
【0034】
次に、任意成分として特定種の配合剤を含む成形体Bは、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンを5〜50重量部含有させると共に、鉛系安定剤を金属鉛の量に換算して2〜15重量部となるように添加し、更に、酸化チタンと配合剤との合計含有量が60重量部以下となるように、配合剤として塩素捕獲化合物、無機質助剤、難燃助剤の少なくとも一種又は二種以上を含有させたものであって、その白色度が60〜95、JIS K−7105による光沢度(測定角度20°)が60〜99、比熱が0.90〜1.15J/g・Kの成形体である。なお、この成形体Bにも、鉛系以外の熱安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤などが適量配合される。
【0035】
この難燃性塩化ビニル系樹脂成形体Bは、含有させる配合剤の組合わせによって7種類の成形体、即ち、配合剤として塩素捕獲化合物を含有させた成形体B 、配合剤として無機質助剤を含有させた成形体B 、配合剤として塩素捕獲化合物と無機質助剤を含有させた成形体B 、配合剤として難燃助剤を含有させた成形体B 、配合剤として塩素捕獲化合物と難燃助剤を含有させた成形体B 、配合剤として無機質助剤と難燃剤を含有させた成形体B 、配合剤として塩素捕獲化合物と無機質助剤と難燃助剤を含有させた成形体B に分かれる。この中で主なものは成形体B 、B 、B 、B であるので、これらについて以下に説明する。
【0036】
まず、成形体B は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンと鉛系安定剤を前記の割合で含有させると共に、酸化チタンと配合剤との合計含有量が60重量部以下となるように、配合剤として塩素捕獲化合物を含有させものである。
【0037】
このように配合剤として塩素捕獲化合物を更に含有させると、燃焼時に塩化ビニル系樹脂から離脱する塩素が塩素捕獲化合物によって捕獲されるため、塩素ガスや塩化水素ガス等の腐食性ガスの発生量が一層減少して、腐食指数CDIの小さな成形体B となる。
【0038】
塩素捕獲化合物としては炭酸塩が好適であり、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムのいずれか単独又はこれらの混合物が好ましく使用される。この中でも、炭酸カルシウムは耐薬品性が他のものに比べて良好であり、特に好ましく用いられる。これらの炭酸塩は、燃焼時に塩化ビニル系樹脂から離脱する塩素と反応し、塩化カルシウムなどの塩化物として塩素の大部分を捕獲して腐食性ガスの発生量を低減させることができるものであり、特に、平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下の炭酸塩の粉体は、比表面積が大きく塩素と反応しやすいので極めて好適に使用される。尚、上記の炭酸塩の他に、錫化合物、ゼオライト、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、リチウム化合物なども使用できる。
【0039】
塩素捕獲化合物は、上記のごとく、酸化チタンとの合計含有量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して60重量部以下となるように含有させる必要があり、具体的には合計含有量が60重量部以下となるように塩素捕獲化合物を5〜30重量部の範囲内で含有させることが好ましい。合計含有量が60重量部を越えると、成形性が悪くなるだけでなく、脆弱化して実用的な強度を有する成形体B を得ることが困難になり、また、塩素捕獲化合物の含有量が5重量部より少なくなると、塩素の捕獲が不充分になって腐食指数CDIを顕著に低減させることが難しくなる。塩素捕獲化合物の更に好ましい含有量は7〜20重量部、酸化チタンの更に好ましい含有量は5〜25重量部であり、両者の更に好ましい合計含有量は12〜40重量部である。
【0040】
次に、成形体B は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンと鉛系安定剤を前記の割合で含有させると共に、酸化チタンと配合剤との合計含有量が60重量部以下となるように、配合剤として無機質助剤を含有させものである。
【0041】
無機質助剤としては、酸化チタンと相乗して炭化促進作用を高め難燃性を顕著に向上させることができるシリカ、アルミナ、珪酸アルミニウム、タルクのいずれか一種又は二種以上が好ましく使用される。このうち、アルミナや珪酸アルミニウムは塩素捕獲作用も発揮できるものである。
【0042】
このように配合剤として無機質助剤を更に含有させると、有機物である塩化ビニル系樹脂の占める割合がかなり少なくなることに加えて、酸化チタンと無機質助剤により相乗的に炭化促進作用が高められて難燃性が顕著に向上するため、特に燃焼指数FPIや発煙指数SDIの小さな成形体B となる。
【0043】
無機質助剤は、上述のごとく、酸化チタンとの合計含有量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して60重量部以下となるように含有させる必要があり、具体的には、合計含有量が60重量部以下となるように無機質助剤を2〜30重量部の範囲内で含有させることが好ましい。合計含有量が60重量部を越えると、成形性が悪くなるだけでなく、脆弱化して実用的な強度を有する成形体B を得ることが困難になり、また、無機質助剤が2重量部より少なくなると、酸化チタンと無機質助剤による相乗的な炭化促進作用が顕著でなくなるため、燃焼指数FPIや発煙指数SDIを大幅に低減させることが難しくなる。無機質助剤の更に好ましい含有量は2〜15重量部、酸化チタンの更に好ましい含有量は5〜25重量部であり、これらの更に好ましい合計含有量は7〜40重量部である。
【0044】
次に、成形体B は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンと鉛系安定剤を前記の割合で含有させると共に、酸化チタンと配合剤との合計含有量が60重量部以下となるように、配合剤として塩素捕獲化合物と無機質助剤を更に含有させものであり、具体的には、塩素捕獲化合物を5〜30重量部、無機質助剤を2〜30重量部含有させることが好ましい。なお、塩素捕獲化合物や無機質助剤は、前述の成形体B,Bに用いたものと同じものが使用される。
【0045】
このように、配合剤として塩素捕獲化合物と無機質助剤を更に含有させると、燃焼時に塩化ビニル系樹脂から離脱する塩素が塩素捕獲化合物によって捕獲されると共に、酸化チタンと無機質助剤により相乗的に炭化促進作用が高められて難燃性が顕著に向上するため、燃焼指数FPI、発煙指数SDI、腐食指数CDIの全ての基準を余裕をもって満足する成形体B が得られる。しかも、酸化チタンと塩素捕獲化合物と無機質助剤との合計含有量が60重量部以下であるため、成形性の低下や成形体B の機械的強度の低下を必要限度内に押さえることができる。塩素捕獲化合物の好ましい含有量は7〜20重量部、無機質助剤の好ましい含有量は2〜15重量部、酸化チタンの好ましい含有量は5〜25重量部であり、これらの好ましい合計含有量は15〜40重量部である。
【0046】
次に、成形体B は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンと鉛系安定剤を前記の割合で含有させると共に、酸化チタンと配合剤との合計含有量が60重量部以下となるように、配合剤として難燃助剤を含有させものである。
【0047】
難燃助剤としては、酸化チタンと相乗して炭化促進作用を高めることができる亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン化合物が選択使用され、これらは単独で又は二種以上混合して塩化ビニル系樹脂に含有される。亜鉛化合物としては、錫酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛やラウリン酸亜鉛等の亜鉛石鹸である有機系亜鉛などが用いられる。また、モリブデン化合物としては、酸化モリブデン、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、オクタモリブデン酸アンモンなどが用いられ、リン化合物としては、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、ポリリン酸塩、赤リンなどが用いられる。これらの各化合物のうち、錫酸亜鉛は耐熱性、耐薬品性が他より優れ、モリブデン酸カルシウム亜鉛やモリブデン酸亜鉛は耐薬品性、取り扱い性が他より優れていて有用である。また、リン酸エステルは、成形体B の腐食指数CDIを低下させるのに有効である。
【0048】
難燃助剤として上記の亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン酸化合物の一種又は二種以上を更に含有させると、燃焼時に難燃助剤が酸化チタンの炭化促進作用を相乗的に高める働きをするため、難燃性が顕著に向上してFPI、SDI、CDIの全ての値が小さい難燃性に優れた成形体B となる。
【0049】
酸化チタンの含有量は、既述したように塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5〜50重量部の範囲であるが、この形成体B のように難燃助剤を併用する場合は、難燃性の向上が顕著であるため、酸化チタンの含有量の下限を4重量部まで下げても、FM規格の各基準を満足する成形体を得ることができる場合が多い。また、難燃助剤は、酸化チタンとの合計含有量が60重量部以下となるように、具体的には1〜10重量部の範囲内で含有させることが好ましく、このように含有量が少なくても、難燃助剤は酸化チタンと相乗して難燃性を充分に高めることができる。酸化チタンの好ましい含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5〜25重量部、難燃助剤の好ましい含有量は3〜7重量部であり、これらの好ましい合計含有量は8〜30重量部である。このように合計含有量の少ない成形体B は、成形性、耐薬品性、耐食性が良好であり、機械的強度も大きい。
【0050】
尚、塩化ビニル系樹脂は、前述の成形体B,B,B の場合と同様に、塩素化度が58%以上、73%以下のものが好ましく使用されるが、この成形体B では難燃助剤を含有させて難燃性を向上させているため、塩素化度が50%以上、58%未満の塩化ビニル系樹脂を使用してもFM規格の各基準を充分満足する成形体B を得ることが可能であり、このように塩素化度の高くない樹脂を用いたものは耐薬品性が良好で、コストも安価である。
【0051】
上述した成形体B,B,B,Bはいずれも、酸化チタンと、鉛系安定剤と、配合剤として塩素捕獲化合物、無機質助剤、難燃助剤の一種又は二種と、他の添加剤(鉛系以外の熱安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤等)とを配合した塩化ビニル系樹脂組成物を調製し、前述した成形体Aの場合と同様に、溶融押出成形、カレンダープレス、射出成形、その他の公知の成形手段で所望の単層形状に成形することによって製造されるものであり、このような成形体は、そのまま、或は、二次加工して、各種の用途、特に半導体製造装置などに好適に使用される。
【0052】
本発明の主な実施形態としては以上説明したような成形体A,B,B,B,Bが挙げられるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、例えば、これらの成形体A,B,B,B,Bの片面又は両面に、酸化チタン、鉛系安定剤、配合剤などの含有量が少ないか又は全く含まない塩化ビニル系樹脂の表面層を積層一体化してもよい。但し、表面層を積層一体化する場合は、全体として、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、酸化チタンが5〜50重量部となるように、鉛系安定剤が金属鉛の量に換算して2〜15重量部となるように、酸化チタンと配合剤との合計含有量が60重量部以下となるように、それぞれの含有量を調節することが必要であると共に、その白色度が60〜95となるように、光沢度(JIS K−7105)が60〜99となるように、比熱が0.90〜1.15J/g・Kとなるように構成する必要があることは言うまでもない。
【0053】
次に、本発明の更に具体的な実施例と比較例を説明する。
【0054】
[実施例1]
塩素化度65%の後塩素化塩化ビニル樹脂100重量部に対し、鉛系安定剤(金属鉛の含有率:79重量%)を8重量部、滑剤を2重量部、加工助剤を5重量部、表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下、加熱減量:1.0%)を10重量部配合して均一に混練し、厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの難燃性塩化ビニル樹脂板を得た。
【0055】
この難燃性塩化ビニル樹脂板について、白色度、JIS K−7105による光沢度(測定角度:20°)、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、加熱減量(%)を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。
【0056】
なお、白色度は日本電色工業(株)製の色差計Z−Σ90を用いて測定したものであり、金属鉛の量は鉛系安定剤中の金属鉛の含有率と鉛系安定剤の配合量から算出したものであり、比熱は、リガク製LF/TCM−FA8510B型装置を使用してレーザーフラッシュ法により温度16℃、10−2torrの減圧雰囲気中で測定したものであり、酸化チタンの加熱減量はJIS K−5116に準拠して求めたものである。
【0057】
更に、この難燃性塩化ビニル樹脂板について、Class Number 4910に掲げる難燃性テストを行って難燃指数FPI、発煙指数SDI、腐食指数CDIを求めると共に、その機械的強度(アイゾット衝撃強さ、引張り強度、伸び率)と耐薬品性(97%硫酸、35%硫酸、28%アンモニア水)を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。なお、機械的強度は夫々JIS K−6745に基づいて測定したものであり、耐薬品性は各薬液に23℃で7日間浸漬後の外観変色を観察し、◎を変色なし、○を僅かに変色あり、△を変色あり、×を著しい変色あり、として表示したものである。
【0058】
[実施例2]
市販の塩化ビニル樹脂(塩素化度56.8%)100重量部に対して、鉛系安定剤(金属鉛の含有率:79重量%)を4重量部、滑剤2重量部、加工助剤4重量部を添加し、均一に混合して基本組成物を調製した。この基本組成物110重量部に対し、実施例1で用いた表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を15重量部、配合剤の塩素捕獲化合物として炭酸カルシウムを20重量部配合し、均一に混練して厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの難燃性塩化ビニル樹脂板を得た。
【0059】
この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。
【0060】
[実施例3]
実施例2で調製した基本組成物110重量部に対して、実施例1で用いた表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を15重量部、配合剤の無機質助剤としてタルクを20重量部配合し、均一に混練して厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの難燃性塩化ビニル樹脂板を得た。
【0061】
この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。
【0062】
[実施例4]
塩素化度65%の後塩素化塩化ビニル樹脂100重量部に対し、鉛系安定剤(金属鉛の含有率:79重量%)を8重量部、滑剤を2重量部、加工助剤を5重量部、実施例1で用いた表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を15重量部、配合剤の難燃助剤として錫酸亜鉛を5重量部配合して均一に混練し、厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの難燃性塩化ビニル樹脂板を得た。
【0063】
この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。
【0064】
[実施例5]
塩素化度56.8%の塩化ビニル樹脂100重量部に対し、鉛系安定剤(金属鉛の含有率:79重量%)を4重量部、滑剤を2重量部、加工助剤を5重量部、実施例1で用いた表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を10重量部、配合剤の難燃助剤として錫酸亜鉛を5重量部とリン酸エステルを5重量部配合して均一に混練し、厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの難燃性塩化ビニル樹脂板を得た。
【0065】
この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。
【0066】
[比較例1]
実施例2で調製した基本組成物110重量部に対して、実施例1で用いた表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を4重量部配合し、均一に混練して厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの塩化ビニル樹脂板を得た。
【0067】
この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。
【0068】
[比較例2]
酸化チタンの配合量を55重量部に変更した以外は比較例1と同様にして、厚さ5mmの塩化ビニル樹脂板を得た。そして、この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、金属鉛の量(重量部)、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。
【0069】
[比較例3]
塩素化度56.8%の塩化ビニル樹脂100重量部に対し、錫系安定剤を4重量部、滑剤を1重量部、加工助剤を6重量部、実施例1で用いた表面がアルミナで被覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を10重量部配合して均一に混練し、厚さ0.5mmのカレンダーシートを作製した。そして、このカレンダーシートを10枚重ねてプレスすることにより、厚さ5mmの塩化ビニル樹脂板を得た。
【0070】
この樹脂板について、実施例1と同様に、白色度、光沢度、比熱(J/g・K)、FPI、SDI、CDI、機械的強度、耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1に併せて示した。尚、この樹脂板の金属錫の量は1.2重量部であった。
【0071】
【表1】
Figure 0003590297
【0072】
表1に示すように、実施例1〜5の難燃性塩化ビニル樹脂板は、燃焼指数FPIが1.9以下、発煙指数SDIが0.09以下、腐食指数CDIが0.8以下であり、FM規格の基準を余裕をもって満足する優れた難燃性を有することが判る。特に、塩素化度の高い後塩素化塩化ビニル樹脂を用いた金属鉛量の多い実施例1,4の樹脂板は、燃焼指数FPIや発煙指数SDIが低く、酸化チタン及び金属鉛による炭化促進作用が顕著であることが判る。また、実施例1〜5の難燃性塩化ビニル樹脂板は、強度や耐薬品性も良好である。
【0073】
これに対し、酸化チタンの含有量が少なすぎる比較例1の塩化ビニル樹脂板は、強度や耐薬品性は良好であるが、比熱が1.16(J/g・K)で熱伝導性が悪く炭化が促進されにくいため、FPIとCDIが基準値を越え、難燃性が不充分である。そして、酸化チタンの含有量が多すぎる比較例2の塩化ビニル樹脂板は、FM規格を満足する難燃性を有するけれども、強度(特に耐衝撃強度)や耐薬品性に劣っており、伸び率も悪く、実用しにくいものであることが判る。また鉛系安定剤でなくて錫系安定剤を含む比較例3の塩化ビニル樹脂板は、錫系安定剤中の金属錫が難燃性テスト中に揮散して樹脂板中に残らないため、金属錫による炭化促進助剤作用が発揮されず、難燃性が不充分となり、FPI,SDI,CDIの全てを満足できないものとなる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、難燃性が大幅に向上し発煙量及び腐食性ガスの発生量が減少するため、FM規格に基づく燃焼指数FPI、発煙指数SDI、更には腐食指数CDIまでも全て満足することができ、しかも、脆弱化することなく充分な実用強度、成形性、曲げ加工性などを備え、耐薬品性や耐食性も維持できるといった顕著な効果を奏する。

Claims (2)

  1. 塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、表面がアルミナで被覆された加熱減量が0.1〜5.0%である酸化チタンを5〜50重量部含有させると共に、鉛系安定剤を金属鉛の量に換算して2〜15重量部となるように添加した塩化ビニル系樹脂成形体であって、その白色度が60〜95であり、光沢度(JIS K−7105)が60〜99であり、比熱が0.90〜1.15J/g・Kであることを特徴とする難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. モリブデン化合物を含有させた請求項1に記載の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
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