JP5198024B2 - 塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は塩化ビニル系樹脂成形体に関し、特に、難燃性、溶接性などを改善した塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
塩化ビニル樹脂は、機械的強度を有し、耐蝕性に優れ、安価で、成形性に富む樹脂であるため、その成形体は各種用途に使用されている。また、塩素を多量に含有するため、他の樹脂に比べて難燃性に優れ、自己消火性樹脂としても知られている。
しかし、塩化ビニル樹脂の成形体を半導体製造装置や液晶製造装置の一部として使用すると、火災が発生した場合に、熱によって成形体が発煙しながら熱分解し、塩素ガスや塩化水素ガスなどの腐食性ガスを発生するため、この腐食性ガスが上記装置に悪影響を及ぼすという問題があった。また、600℃以上の高温では燃焼を継続し、他の装置への着火源となることから、最近では、更に難燃性を向上させた塩化ビニル樹脂成形体が求められるようになってきた。
このような事情から、本出願人は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、平均粒径が0.05〜0.5μmの水酸化マグネシウム等の水和化合物を1〜20質量部混合して溶融成形してなる塩化ビニル樹脂成形体を既に提案した(特許文献1)。この塩化ビニル樹脂成形体は難燃性及び透光性に優れたものであるが、まだ、以下のような解決すべき問題が残されていた。
特開2004−123962号公報
即ち、特許文献1の塩化ビニル樹脂成形体は、水和化合物として水酸化マグネシウムを配合するため、耐薬品性に劣るという問題があった。また、難燃性を向上させるために水酸化マグネシウムを多量に配合させた塩化ビニル樹脂成形体は、溶接性に劣り、溶接速度が遅くなるという問題もあった。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、優れた難燃性を有し、しかも、良好な耐薬品性と溶接性を有する塩化ビニル系樹脂成形体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る塩化ビニル系樹脂成形体は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、平均粒径が0.5〜15.0μmで1%脱水温度が240〜270℃である水酸化アルミニウムを1.5〜6.0質量部、塩素化ポリエチレンを2.0〜24.0質量部、水酸化アルミニウム以外の無機充填剤である炭酸カルシウム又は酸化チタンを0.5〜10.0質量部配合して形成され、成形体中の塩素含有率が55質量%未満であることを特徴とするものである。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、難燃剤として平均粒径が0.5〜15.0μmで1%脱水温度が240〜270℃である水酸化アルミニウムを1.5〜6.0質量部を配合し、無機充填剤である炭酸カルシウム又は酸化チタンの配合量を0.5〜10.0質量部に抑えた上で、補強剤として塩素化ポリエチレンを2.0〜24.0質量部配合して成形し、成形体中の塩素含有率を55質量%未満としたため、難燃性を低下させることなく耐衝撃性を大幅に向上させることが可能となり、また、耐薬品性も良好にすることができると共に、後述の表1の実験データに示されるように、最大発煙速度が小さくて最大発煙量が少ない難燃性と、優れたシャルピー衝撃値を有する成形体が得られるようになる。そして、塩化ビニル系樹脂として、塩化ビニル樹脂を用いた成形体、或いは、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂を用い且つ該混合樹脂に含まれる塩素化塩化ビニル樹脂の割合を少なくした成形体は、加工性、特に溶接性が良好であり、溶接速度が向上する。
特に、平均粒径が0.5〜15.0μmで1%脱水温度が240〜270℃である水酸化アルミニウム分散性が良いため、塩化ビニル系樹脂中に水酸化アルミニウムを均一に分散させることができ、しかも、塩化ビニル系樹脂の成形温度では水酸化アルミニウムからの脱水(水分放出)が起こらないので、脱水による気泡が成形体に生じ難く、外観の良好な成形体が得られるようになり、成形時の脱水による難燃性の低下も防止できるようになる。そして、成形体中の塩素含有率が55質量%未満であるため、耐薬品性や加工性(溶接性など)の大幅な低下も防止できるようになる。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、前記のように、塩化ビニル系樹脂に対して、水酸化アルミニウム、塩素化ポリエチレン、水酸化アルミニウム以外の無機充填剤がそれぞれ特定の割合で配合されたものであり、各種の添加剤や顔料なども必要に応じて適量配合されている。
原料の塩化ビニル系樹脂としては、一般の塩化ビニル樹脂(塩素化度:56.8%、重合度:500〜1800、好ましくは800〜1300)、塩素化塩化ビニル樹脂(塩素化度:57〜70%、好ましくは60〜65%、重合度:400〜1000、好ましくは500〜800)、塩化ビニルにエチレンや酢酸ビニルを共重合させた共重合樹脂などが、単独で、又は、適宜混合して使用される。
一般の塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂を混合して使用する場合は、一般の塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合比を質量比で70〜95:30〜5とすることが好ましい。このような混合比にすると、一般の塩化ビニル樹脂に起因する耐薬品性及び加工性と、塩素化塩化ビニル樹脂に起因する難燃性を兼ね備えた成形体を得ることができるが、塩素化塩化ビニル樹脂の混合比が30を上回る場合は、成形体の耐薬品性や加工性(特に溶接性)が低下するようになり、また、塩素化塩化ビニル樹脂の混合比が5を下回る場合は、塩素化塩化ビニル樹脂を混合することによる難燃性の向上効果が得られなくなるので、いずれの場合も好ましくない。
塩化ビニル系樹脂に配合される水酸化アルミニウムは、加熱により脱水され、放出する水分で成形体に難燃性を付与する難燃剤であって、0.5〜15.0μmの平均粒径(レーザー回折・散乱法で測定した値)を有する水酸化アルミニウムが好ましく使用される。この水酸化アルミニウムを用いると、水酸化マグネシウムに比べて耐薬品性が良好な成形体を得ることができる。特に、1%脱水温度が240〜270℃である耐熱性の水酸化アルミニウムは極めて好ましく使用される。このような耐熱性の水酸化アルミニウムとしては、水熱処理でベーマイトを複合させた水酸化アルミニウムが挙げられる。尚、1%脱水温度は、100℃での水酸化アルミニウムの質量を100%とし、1%質量減に到達した温度を脱水温度として、熱重量(TG)分析機で、雰囲気ガスとして大気を用い10℃/分で昇温させながら測定したものである。
平均粒径が0.5〜15.0μmの水酸化アルミニウムは分散性が良いため、塩化ビニル系樹脂に均一に分散させて配合することが容易であり、特に、上記の耐熱性の水酸化アルミニウムは、塩化ビニル系樹脂の成形温度(通常の押出し成形や射出成形やプレス成形では金型最高温度180〜210℃)では脱水(水分放出)が起こらないので、脱水による気泡が成形体に生じ難く、外観の良好な成形体を得ることができ、しかも、通常の水酸化アルミニウムのように成形時に一部が脱水して難燃性の低下を招く心配も解消される。
水酸化アルミニウムの配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して1.5〜6.0質量部とする必要があり、1.5質量部より少なくなると、目標とする難燃性(ISO‐5660に準じて測定した最大発熱速度:180kW/m以下、最大発煙量:10.0/m以下)を有する成形体を得ることが難しくなる。一方、6.0質量部より多くなると、難燃性は一層向上するが、成形体の耐衝撃性や溶接性が低下する傾向が強くなる。水酸化アルミニウムの更に好ましい配合量は、2.0〜4.0質量部である。
塩素化ポリエチレンは、塩化ビニル系樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる強化剤として配合されるものであって、市販の塩素化度が20〜40%程度の塩素化ポリエチレンが使用される。このように塩素を多く含む塩素化ポリエチレンは、かなり多量に配合しても成形体の難燃性を低下させることが殆どなく、塩化ビニル系樹脂と充分に相溶して耐衝撃性を向上させることができるが、他のABS、MBSなどの耐衝撃改良剤は、成形体の難燃性を大幅に低下させるので、使用できない。
塩素化ポリエチレンの配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して2.0〜24質量部とする必要があり、2.0質量部より少ない場合は、目標とする耐衝撃性(23℃におけるシャルピー衝撃値:4.0kJ/m)を有する成形体を得ることが難しくなる。一方、24質量部より多くなると、耐衝撃性は更に向上するけれども、成形体の難燃性が徐々に低下するようになる。塩素化ポリエチレンの好ましい配合量は5.0〜20.0質量部、更に好ましい配合量は12.0〜17.0質量部である。
塩化ビニル系樹脂に配合する水酸化アルミニウム以外の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどが使用される。炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムを問わず使用でき、単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。これらの炭酸カルシウムは、凝集を防止し、塩化ビニル系樹脂への分散性を良くする観点から、脂肪酸、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸アルキルエステル、ワックスなどの表面処理剤で表面処理されたものを使用することが好ましい。炭酸カルシウムの平均粒径は0.1〜5.0μmであることが好ましく、特に、0.1〜1.0μmの平均粒径を有する炭酸カルシウムは極めて好ましく使用される。また、酸化チタンは難燃剤としても有効なものであって、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmのルチル型やアナターゼ型のものが単独で又は混合して使用され、表面をシリカやアルミナで被覆したものも好ましく使用される。
無機充填剤の配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.5〜10.0質量部とすることが必要であって、10.0質量部より多い場合は、目標とする耐衝撃性を有する成形体を得ることが難しくなり、0.5質量部より少ない場合は、無機充填剤による難燃効果や加工性向上効果を期待し難くなる。無機充填剤の好ましい配合量は、1.0〜2.0質量部である。
塩化ビニル系樹脂に添加される他の添加剤としては、安定剤、滑剤、加工助剤などが挙げられる。安定剤としては、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマーなどの有機錫系安定剤や、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛などの鉛系安定剤が使用される。
また、上記の滑剤としては内部滑剤や外部滑剤がいずれも使用される。内部滑剤は、成形時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で添加されるものであって、例えば、フタル酸エステル、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアマイドなどが単独で、又は、2種以上混合して使用される。また、外部滑剤は、成形時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で添加されるものであって、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックスなどが単独で、又は、2種以上混合して使用される。
また、上記の加工助剤としては、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸アルキル共重合体などが使用される。
上記の安定剤、滑剤、加工助剤の添加量については特に制限されないが、その合計添加量が塩化ビニル系樹脂100質量部に対して3〜9質量部となるように適量ずつ添加することが好ましい。
上記の塩化ビニル系樹脂成形体は、成形体中の塩素含有率が55質量%以上になると、耐薬品性や加工性が大幅に低下するので、成形体中の塩素含有率が55質量%未満、好ましくは52〜45質量%、更に好ましくは51〜47質量%となるように、塩化ビニル系樹脂の種類や塩素化度、水酸化アルミニウムの配合量、塩素化ポリエチレンの塩素化度や配合量、無機充填剤の配合量、添加剤の添加量などを調整することが重要である。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、上記のように、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、水酸化アルミニウムの配合量を1.5〜6.0質量部として、満足な難燃性を維持できる範囲内で出来る限り少なく抑え、無機充填剤の配合量も0.5〜10.0質量部と出来る限り少なく抑えた上で、補強剤として難燃性を低下させにくい塩素化ポリエチレンを2.0〜24.0質量部と充分に配合したため、難燃性が低下することなく耐衝撃性が大幅に向上した塩化ビニル系樹脂成形体を得ることが可能となったものであり、一般の塩化ビニルを用いた成形体や、塩化ビニル系樹脂に含まれる塩素化塩化ビニル樹脂の割合が5〜30質量部と少ない成形体や、塩素化塩化ビニル樹脂を含まない成形体は、溶接性も良好である。そして、1%脱水温度が240〜270℃である水酸化アルミニウムを配合した成形体は、成形時に水酸化アルミニウムからの脱水が起こらないので、脱水による気泡が成形体に生じ難く、外観の良好な成形体を得ることが可能となり、成形時の脱水による難燃性の低下も生じなくなる。
次に、本発明の更に具体的な実施例と比較例について説明する。
[実施例1〜9]
下記の表1に示す9種類の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて押出成形を行い、厚み3mmのシートに成形し、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板を作製した。なお、この押出成形の際の押出金型の先端温度は、約200℃に設定した。
実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板の表面を肉眼で観察したところ、これらの樹脂板はいずれも耐熱性の水酸化アルミニウムを配合しているため気泡が見られず、表面肌の美しい樹脂板であった。
次に、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板について、最大発熱速度、最大発煙量、シャルピー衝撃値を測定した。その結果を下記の表1に示す。尚、最大発熱速度と最大発煙量は、ISO−5660に準拠して50kW/mの輻射加熱条件で加熱、燃焼させて測定したものであり、シャルピー衝撃値は、JIS K7111−1に準拠して、試験片の分類JIS K7111−1/1eAでそれぞれを23℃と0℃にて24時間、状態調整を行った後、測定したものである。
また、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板について溶接速度を測定した。その結果、溶接速度が300秒/m以下の樹脂板については、表1において「〇」で示し、溶接速度がそれよりも遅い樹脂板については「×」で示した。尚、溶接速度は、厚さ3mmの樹脂板の端面に45度の面取りを行い、2枚の樹脂板の面取りした端部同士を突き合わせて、ホットジェットガンから230℃の熱風を突き合わせ部分と溶接棒に吹きつけて溶接し、1m当たりの溶接速度を測定したものである。
[比較例1〜5]
比較のために、下記の表2に示す5種類の塩化ビニル系樹脂組成物を調製し、実施例1〜9と同様にして厚さ3mmの比較例1〜5の塩化ビニル系樹脂板を作製した。これらの樹脂板について、実施例1〜9と同様にして、最大発熱速度、最大発煙量、シャルピー衝撃値、溶接速度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0005198024
Figure 0005198024
表1を見ると、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板はいずれも、最大発熱速度が目標値の180kW/m以下であり、最大発煙量も目標値の13/m以下と少なく、優れた難燃性を備えている。しかし、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板の中でも、塩素化ポリエチレンの含有量が最も多く成形体中の塩素含有率が最も低い実施例6の塩化ビニル系樹脂板は、最大発熱速度及び最大発煙量が最大であり、実施例1〜9の中では難燃性が最低となっている。そして、表2を見ると、塩素化ポリエチレンを上限値(24質量部)を越えて25質量部配合した比較例3の塩化ビニル系樹脂板は、最大発熱速度が240kW/mで、目標値(180kW/m以下)を越えており、最大発煙量も15/mで、目標値(13/m以下)を越えており、難燃性に劣っている。このことから、難燃性を低下させないためには、塩素化ポリエチレンの配合量を多くとも24質量部以下とする必要のあることが分かる。
また、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板の中で、塩素化ポリエチレンの含有量が最も多く成形体中の塩素含有率が最も低い実施例6の塩化ビニル系樹脂板は、23℃及び0℃のシャルピー衝撃値が最大であるのに対し、塩素化ポリエチレンの含有量が最も少なく成形体中の塩素含有率が最も高い実施例7の塩化ビニル系樹脂板は、23℃及び0℃におけるシャルピー衝撃値が最低であり、更に、塩素化ポリエチレンを下限値(2質量部)を下回って1質量部配合した比較例4の塩化ビニル系樹脂成形体は、23℃及び0℃のシャルピー衝撃値が目標値(4.0kJ/mと2.0kJ/m)を下回って2.0kJ/mと1.4kJ/mである。このことから、塩素化ポリエチレンは耐衝撃性を向上させるのに極めて有効であり、シャルピー衝撃値の目標値を達成するためには少なくとも2質量部配合する必要のあることが分かる。
また、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板の中で、塩素化塩化ビニル樹脂を含まない実施例1の塩化ビニル系樹脂板は、実施例6の塩化ビニル樹脂板に次いで最大発熱速度と最大発煙量が大きい。そして、塩素化塩化ビニル樹脂を50質量部含んだ成形体中の塩素含有率が51%の実施例9の塩化ビニル系樹脂板は、実施例1〜9及び比較例1〜5の全ての塩化ビニル系樹脂板の中で、最大発熱速度が100kW/mと最も遅く、最大発煙量も5/mと最小である。このことから、塩素化塩化ビニル樹脂は、難燃性の向上に極めて有効であることが分かる。また、塩素化塩化ビニル樹脂を20質量部含んだ成形体中の塩素含有率が49%の実施例3の塩化ビニル系樹脂板は、成形体中の塩素含有率が50%である実施例7の塩化ビニル系樹脂板に次いで最大発熱速度が遅く、最大発煙量は実施例7の塩化ビニル系樹脂板と同じである。
けれども、塩素化塩化ビニル樹脂を含まない実施例1の塩化ビニル系樹脂板や、塩素化塩化ビニル樹脂を10質量部又は20質量部含んだ実施例2〜8及び比較例1〜5の塩化ビニル系樹脂板は、いずれも溶接速度が300秒/m以下で、評価が「〇」であるのに対し、塩素化塩化ビニル樹脂を50質量部含んだ実施例9の塩化ビニル系樹脂板は、溶接速度が300秒/mを越えるため評価が「×」である。このことから、塩素化塩化ビニル樹脂は、加工性、特に、溶接性を低下させる原因となるものであり、溶接性を重視する場合には、その配合量は多くても30質量部までにすべきであることが分かる。
また、実施例1〜9の塩化ビニル系樹脂板は、いずれも最大発熱速度及び最大発煙量が目標値以下で、優れた難燃性を有しているが、耐熱性の水酸化アルミニウムを下限値(1.5質量部)を下回って1質量部配合した比較例2の塩化ビニル系樹脂板は、最大発熱速度が目標値(180kW/m以下)を越えて198kW/mであり、最大発煙量も目標値(10.0/m以下)の上限であって、充分な難燃性を備えていない。一方、耐熱性の水酸化アルミニウムを上限値(6.0質量部)を越えて7質量部配合した比較例1の塩化ビニル系樹脂板は、耐熱性の水酸化アルミニウムと無機充填剤の炭酸カルシウムとの合計含有量が、実施例1〜9及び比較例1〜5の全ての塩化ビニル系樹脂板の中で最も多く、成形体中の塩素含有率が最も低いため、最大発熱速度が205kW/mと全ての塩化ビニル系樹脂板の中で最大となっており、最大発煙量も目標値(10.0/m以下)を越える11/mであって、難燃性に劣っている。このことから、耐熱性の水酸化アルミニウムは、少なくとも1.5質量部以上配合すると難燃性を向上させることはできるが、6質量部を越えて多量に配合しても、無機充填剤との合計配合量が多くなり過ぎると、却って難燃性を低下させることが分かる。
また、無機充填剤として、炭酸カルシウムに代えて酸化チタンを配合した実施例8の塩化ビニル系樹脂板は、最大発熱速度が145kW/m、最大発煙量が8/mで、優れた難燃性を有するが、無機充填剤を含まない比較例5の塩化ビニル系樹脂は、最大発熱速度が目標値を越える200kW/mであり、最大発煙量も目標値を越える11/mであって、難燃性に劣っている。このことから、酸化チタンは炭酸カルシウムと同様に難燃性向上に有効な無機充填剤であり、無機充填剤を配合しなければ難燃性を向上させ難いことが分かる。

Claims (1)

  1. 塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、平均粒径が0.5〜15.0μmで1%脱水温度が240〜270℃である水酸化アルミニウムを1.5〜6.0質量部、塩素化ポリエチレンを2.0〜24.0質量部、水酸化アルミニウム以外の無機充填剤である炭酸カルシウム又は酸化チタンを0.5〜10.0質量部配合して形成され、成形体中の塩素含有率が55質量%未満であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
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