JP2006515036A - 耐風雨性にすぐれた難燃性ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の難燃性ポリプロピレン樹脂組成物に含まれるポリプロピレン樹脂(A)としては、結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー又は結晶性コポリマー、及び、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、4−メチルペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンからなるグループから選ばれた少なくとも一つの化合物を使用することができる。結晶性ポリプロピレン・ホモポリマーを使用することが好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)のメルトフロー・インデックスは、好ましくは4〜40g/10分であり、より好ましくは5〜30g/10分である。ポリプロピレン樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物の全重量に対して、37〜67重量%の範囲であり、好ましくは45〜65重量%の範囲である。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー5.9kg、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、滴下防止剤として粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)20g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
ULサブジェクト746C(アンダーライツ・ラボラトリーズ・インコーポレーション)に記載されている「電気部品用のプラスチック材料の耐環境性試験」の中の耐風雨性試験の条件のもとで、ASTM2565タイプA標準法にもとづいて、試験片をキセノン・アークUVに被曝させた(UV被曝量:0.35W/m2(340nm)、黒板温度63℃、水スプレー式)。熱湯に浸す処理は、試験片を70℃の浴槽の中に7日間入れて置くことによって行なった。その後、試験片の火炎抑制効果および機械的性質を測定した。
試験片の火炎抑制効果は、ULサブジェクト94(アンダーライターズ・ラボラトリーズ・インコーポレーション)に記載されている「機械部品用プラスチック材料の可燃性試験」の中の垂直可燃性試験(V0)によって評価した。ここで使用した試験片は、厚さが1/32インチ(約0.8mm)であった。試験片の引っ張り衝撃強度およびその保持は、引っ張り衝撃装置(東洋精機、日本国)を用いて、ASTM D−1822標準法にしたがって行なった。ここで使用した試験片(Sタイプ)は、厚さが1/32インチ(約0.8mm)であった。
−f1は、可燃性V−0クラスおよびUV被曝試験の中で70%以上、および熱湯に浸す試験の中で50%以上の引っ張り衝撃強度の保持をあらわす。
−f2は、可燃性V−0クラスおよびUV被曝試験の中で70%以上、または熱湯に浸す試験の中で50%以上の引っ張り衝撃強度の保持をあらわす。
−火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度の保持がf1またはf2に該当しないものは、その等級を“X”であらわした。
火炎抑制剤として、ビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)を下の表1に示す量だけ加えた以外は、実施例1の方法を繰り返して適用した。結果を表1に示す。
表1に示す実施例1〜4の結果を比較例1および2の結果と比較すると、指定された量の滴下防止剤および架橋剤に火炎防止剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)を適当量加えた場合には、V−0クラスの可燃性が維持され、引っ張り衝撃強度が高く保持されることがわかった。さらに、熱湯に浸したても、V−0クラスの可燃性が維持され、引っ張り衝撃強度が高く保持された。したがって、該樹脂組成物は、UL746Cに指定されているf1等級に属するすぐれた耐環境性を示した。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー6.1kg、高融点ハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)500g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、滴下防止剤として粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)20g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
火炎抑制添加剤として、三酸化アンチモンを下の表1に示す量だけ加えた以外は、実施例5の方法を繰り返して適用した。結果を表1に示す。
表1に示す実施例5および6の結果を比較例3および4の結果と比較すると、あらかじめ定められた量以上の火炎抑制添加剤を添加した場合にのみ、UVに被曝させまた熱湯に浸したときでも火炎抑制効果にすぐれまたそれが維持されるものが得られたことがわかる。火炎抑制添加剤として三酸化アンチモンを14重量%を越えて添加しても、火炎抑制効果は、改善されなかった。他方、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモンを4%未満しか添加しなかった場合には、物理的性質の保持が低劣で、f1等級に属する耐環境性は得られなかった。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー6.4kg、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)500g、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、滴下防止剤として粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)10g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
無機充填剤としてのタルク(KCM 6300、コッホ)およびポリプロピレン樹脂の量を表1に示すように変えた以外は、例7の方法を繰り返して適用した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、無機充填剤としてのタルクは、火炎抑制効果に大きく影響した。タルクの含有量が、2重量%を下回る場合には、ULサブジェクト94に指定されているV−0クラスの可燃性に属する火炎抑制効果は得られなかった。一方、含有量が22重量%を超える場合には、引っ張り衝撃強度の保持が低劣であった。したがって、f1等級に属する物理的性質の維持しまた火炎抑制効果を得るためには、有機充填剤の含有量は、3〜20重量%の範囲内でなければならない。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー5.9kg、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)200g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、滴下防止剤として粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)20g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)を表2に示すように変えた以外は、実施例10の方法を繰り返して適用した。
実施例11および比較例7および8で生成したペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
表2に示すデータから明らかなように、UV吸収剤を添加すると、UVに被曝させたときでも機械的性質の中の引っ張り衝撃強度が高度に保持され、したがって、UL736Cに指定されているf1等級に属する耐環境性が得られる改善が見られた。UV吸収剤を2重量%を超える量添加した場合、UV吸収性は、良好であったが、成形製品の表面のブルーミングのために、成形製品の外観が悪くなった。したがって、添加するUV吸収剤の量は、0.15〜2重量%の範囲が好ましいことが明らかとなった。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー5.9kg、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)200g、滴下防止剤として粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)20g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
HALSをベースにしたUV安定剤の種類および含有量を表2に示すように変えまた架橋剤としてのPETAを添加しなかった以外は、実施例12の方法を繰り返して適用した。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、さまざまなHALSをベースにしたUV安定剤を用いまた架橋剤を用いなくとも、のぞむ火炎抑制効果(1/32インチ(約0.8mm))が得られた。ただし、キセノン・アークのUVに長時間被曝させたときには、機械的引っ張り衝撃強度の保持が低落するため、f1等級に属する耐環境性は得られなかった。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー5.9kg、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)10g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)20g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
架橋剤の含有量を表2に示すように変えた以外は、実施例14の方法を繰り返して適用した。結果を表2に示す。
架橋剤の種類を表3aに示すように変えた以外は、実施例14の方法を繰り返して適用した。結果を表3bに示す。
表2から明らかなように、架橋剤を適当な量だけ添加すると、機械的性質を高度に保持する成形製品を製造することができた。しかし、架橋剤を0.08重量%を下回る量添加した場合には、長期的にUVに被曝させると、機械的性質の保持は、低劣となり、したがって、f1等級に属する耐環境性を得ることができなかった。一方、架橋剤を3.5重量%を超える量添加した場合には、火炎抑制効果が悪く、したがって、ULサブジェクト94に指定されているV−0クラスの可燃性に属する火炎抑制効果は得られなかった。
表3bから明らかなように、すべてのペンタエリトリトールをベースにした架橋剤は、機械的性質を高度に保持するのに役立ち、火炎抑制効果および耐環境性を改善した。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー5.9kg、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてビスペンタブロモ・フェノキシ・エタン(S−8010,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(7AJ、デュポン)50g、架橋剤(A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム10g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)10g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表3bに示す。
粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマーの含有量を表3aに示すように変えた以外は、実施例14の方法を繰り返して適用した。結果を表3bに示す。
表3bから明らかなように、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマーの添加量が0.15重量%を下回る場合は、滴下防止効果は、認められず、したがって、燃焼させると滴下が発生した。したがって、ULサブジェクト94に指定されているV−0クラスの可燃性に属する火炎抑制効果は得られなかった。他方、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマーの添加量が2.5重量%を超える場合は、樹脂の流動性がかなり低下し、しかも滴下防止効果の改善はのぞめなかった。したがって、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマーの量を適当にすることによって、長期間UVに被曝させても、f1等級に属する火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度が確実に得ることができる。
ポリプロピレン樹脂として、メルトフロー・インデックス(2.16kgの負荷のもとで、230℃で10分間の溶融流量)8g/10分を示す結晶性ポリプロピレン・ホモポリマー5.9kg、高融点ハロゲンをベースとする火炎抑制剤としてエチレン・ビス(テトラブロモ・フタルイミド)(BT−93,アルベマール・コーポレーション)2.4kg、火炎抑制添加剤として三酸化アンチモン(Sb203,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国)700g、無機充填剤としてタルク(KCM 6300、コッホ)1.0kg、UV吸収剤(チヌヴィン326、チバ・ガイギー)50g、HALSをベースにしたUV安定剤(チムアブゾーバー 944FD,チバ・ガイギー)50g、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー(テフロン 800J、デュポン)50g、架橋剤(3−MM−T、日本ケミカル、日本国)50g、ステアリン酸カルシウム20g、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバ・ガイギー)20g、その他の添加剤として酸化防止剤(イルガフォス168、チバ・ガイギー)20gを、ヘンシェル・ミキサーに詰め、混合物を3分間攪拌した。得られた混合物を、双スクリュー押出機(直径:30mm)へ送り、190℃で押し出して、ペレットを生成した。このようにして生成されたペレットを、100℃で3時間乾燥させ、つぎに、シリンダー最高温度を200℃に設定した射出成形機を用いて成形し、試験片を製造した。これらの試験片を用いて、火炎抑制効果および引っ張り衝撃強度を測定した。結果を表3bに示す。
高融点の火炎抑制剤の種類を表3aに示すように変え、あるいは高融点の火炎抑制剤の代わりに低融点の火炎抑制剤を使用した以外は、実施例22の方法を繰り返して適用した。結果を表3bに示す。
表3bから明らかなように、高融点のハロゲンをベースとする火炎抑制剤、粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマー、および架橋剤を含む組成物は、すぐれた初期火炎抑制効果を示し、UVに被曝させまた熱湯に浸した前後において、物理的特性は高く保持された。それに対して、低融点ハロゲンをベースとする火炎抑制剤を含む火炎抑制樹脂組成物は、UVに被曝させまた熱湯に浸した後の火炎抑制効果は、低劣であった。具体的には、低融点ハロゲンをベースとする火炎抑制剤を含む火炎抑制樹脂組成物は、UVに被曝させまた熱湯に浸した前後で、物理的性質の保持は、70%以下であり、また、熱湯に浸した後、火炎抑制効果を保持することはできなかった。したがって、これらの組成物は、QMTO2の部門で定義されているような、人工クリスマス・ツリー用の電球のソケットの物理的性質を規制しまた物理的性質および火炎抑制効果を高度に保持することを求めた要件を満たすことができない。
成分(A):ポリプロピレン樹脂[HJ400、サムスン・ゼネラル・ケミカルズ・カンパニー]
成分(B)−1:高融点ハロゲン火炎抑制剤、ビスペンタブロモ・フェノキシエタン[S−8010,アルベマール・コーポレーション、米国]
成分(B)−2:高融点ハロゲン火炎抑制剤、デカブロモジフェニールエーテル[S−102E,アルベマール・コーポレーション、米国]
成分(B)−3:高融点ハロゲン火炎抑制剤
成分(B)−4:低融点ハロゲン火炎抑制剤、テトラブロモ・ビスフェノール・A−ビス(2,3―ジブロモプロピルエーテル)[PE68、グレート・レーク、米国]
成分(B)−5:低融点ハロゲン火炎抑制剤、テトラブロモ・ビスフェノール・Sタイプ[ノンネン51、三菱化学、日本国]
成分(C):三酸化アンチモン[SW,イルスン・アンチモニー・カンパニー・リミテッド、韓国]
成分(D):無機充填剤、タルク[KCM 6300、コッホ]
成分(E)−1:UV吸収剤[チヌヴィン326、チバ・ガイギー]
成分(E)−2:HALSベースのUV安定剤[チムアブゾーバー944FD,チバ・ガイギー]
成分(F):粒状テトラフルオロエチレン・ポリマー[テフロン 800J、デュポン]
成分(G)−1:架橋剤、ペンタエリトリトール・トリアクリレート1[A−TMM−3L、日本ケミカル、日本国]
成分(G)−2:架橋剤、ペンタエリトリトール・テトラアクリレート1[A−TMM−L、日本ケミカル、日本国]
成分(G)−3:架橋剤、ペンタエリトリトール・トリ(3−メルカプトプロピオネート)[PET−3−MP、ブルノ・ボック・ケミカル・ドイツ国]
成分(G)−4: 架橋剤、トリメチロールプロパントリアクリレート[A−TMPTMA、日本ケミカル、日本国]
Claims (8)
- 難燃性ポリプロピレン樹脂組成物であって、
(A)メルトフロー・インデックスが4〜40g/10分のポリプロピレン樹脂37〜67重量%と;
(B)ハロゲン・ベースの高融点火炎抑制剤17〜29重量%と;
(C)白色粉末状の酸化アンチモン4〜14重量%と;
(D)無機充填剤2〜22重量%と;
(E)UV安定剤0.35〜4.0重量%と;
(F)粒状テトラフルオロエチレン・ポリマー0.15〜2.5重量%と;
(G)架橋剤0.08〜3.5重量%と
からなる難燃性ポリプロピレン樹脂組成物。 - 前記ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレン・ホモポリマーまたは結晶性コポリマーである、請求項1に記載の組成物。
- 前記ハロゲン・ベースの高融点火炎抑制剤が、デカブロモジフェニール・エーテル、エチレン-ビス(テトラブロモ・フタルイミド)、ビスペンタブロモ・フェノキシエタン、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記酸化アンチモンが、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記無機充填剤が、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記UV安定剤が、分子量2000以上のUV吸収剤とHALSをベースにした安定剤との組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
- 前記粒子状テトラフルオロエチレン・ポリマーのフッ素含有量が、65〜76重量%である、請求項1に記載の組成物。
- 前記架橋剤が、トリアリル・イソシアヌレート、(ジ)エチレングリコール・ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン・トリ(メタ)アクリレートまたはペンタエリトリトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレート、ペンタエリトリトール・トリアクリレート、ペンタエリトリトール・テトラアクリレート、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
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