JPH11158737A - 炭素繊維フェルトの製造方法 - Google Patents
炭素繊維フェルトの製造方法Info
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Abstract
を有する炭素繊維フェルトを、低コストで生産性良く製
造する方法を提供することを目的とする。。 【解決手段】 有機系耐炎繊維または有機系耐炎繊維と
炭素繊維からなり、厚み方向に実質的に均質な構造を有
する前駆体フェルト状物を、最高温度1100〜150
0℃、および1100℃以上の温度領域での処理時間2
〜360分の条件で炭素化処理を施して比抵抗値を0.
5Ω・cm以下とすることを特徴とする炭素繊維フェル
トの製造方法。
Description
トの製造方法に関し、特に二次電池用として電力貯蔵な
どに利用されるナトリウム−硫黄電池の陽極材料用途に
好適な炭素繊維フェルトの製造方法に関するものであ
る。
余剰電力を蓄電し、昼間に放出するために蓄電池として
充放電効率の高いナトリウム−硫黄電池が研究されてい
る。このナトリウム−硫黄電池においては、陽極室内に
陽極物質としての硫黄が含浸された炭素繊維フェルトが
収容されている。そして放電時にはこのフェルトの繊維
上でナトリウムと硫黄が反応して多硫化ナトリウムを生
成し、充電時には多硫化ナトリウムの酸化還元反応によ
りナトリウムと硫黄を生成する。
用いられる炭素繊維フェルトの比抵抗値はできるだけ低
いことが好ましい。炭素繊維フェルトの比抵抗値はフェ
ルトを構成する炭素繊維そのものの比抵抗値とフェルト
単位体積あたりの炭素繊維の本数あるいは嵩密度によっ
て規定されると考えられる。
リロニトリル系繊維などの有機系耐炎繊維またはポリア
クリロニトリル系有機系耐炎繊維と石油ピッチ系、石炭
ピッチ系の炭素繊維から構成される前駆体フェルト状物
を不活性雰囲気中で炭素化処理して得られる。
ば特開平2−139464号公報には、最高炭素化温度
1800℃以上で5分間処理することが開示されてい
る。また、特開平3−219566号公報には耐炎繊維
の不織布をセルロース系の織物で補強し、最高炭素化温
度2000℃での焼成を行うことが示されている。同様
に特開平7−326384号公報、特開平8−6423
6号公報でも2000℃で炭素化処理することが示され
ている。
2000℃前後で焼成する理由は、炭素化温度を高め、
炭素繊維の黒鉛構造をより発達させ、炭素繊維フェルト
の比抵抗値を低減させるためと考えられる。2000℃
前後の焼成温度では、すでに炭素繊維フェルトを構成す
る炭素繊維の黒鉛構造が十分発達し、炭素化温度を上昇
させることによる比抵抗値低下が飽和領域になっている
と推定される。
℃以上にすると、炭素化収率が低下し、生産性が悪くな
り、また炭素化炉の価格も高くなる問題がある。
させる別の手段として、前駆体フェルトを構成する繊維
の嵩密度を上げることも考えられる。しかしながら、前
駆体繊維の量を増すとそれだけ製造コストが上昇し、ま
た炭素繊維フェルトの嵩密度を増すと、ナトリウム−硫
黄電池の陽極を形成する際の炭素繊維フェルトへの硫黄
の含浸性が悪化する場合がある。
電池の充放電効率を向上させるためにフェルトの厚み方
向に構成繊維が異なる炭素繊維を多層構造とした炭素繊
維フェルトが開示されている。しかし、この製造方法
は、複雑であり製造コストの面からも実用的には必ずし
も十分ではない。
繊維フェルトの製造方法においては、フェルトの比抵抗
と炭素化収率、さらには経済性とを同時に満足するもの
は全く知られていなかった。
に鑑みてなされたものであり、電極材料として十分に低
い比抵抗を有する炭素繊維フェルトを、低コストで生産
性良く製造する方法を提供することを目的とする。
維または有機系耐炎繊維と炭素繊維からなり、厚み方向
に実質的に均質な構造を有する前駆体フェルト状物を、
最高温度1100〜1500℃、および1100℃以上
の温度領域での処理時間2〜360分の条件で炭素化処
理を施して比抵抗値を0.5Ω・cm以下とすることを
特徴とする炭素繊維フェルトの製造方法に関する。
0℃以上とすることにより炭素繊維の黒鉛構造が形成さ
れ、電極材料として用いるのに十分に比抵抗値の低い炭
素繊維フェルトが得られる。また、炭素化温度の最高温
度が1500℃を超えると、炭素繊維フェルトを構成す
る炭素繊維の比抵抗値は徐々に低下して行くが、炭素繊
維の炭素化収率が低下していくため、炭素繊維フェルト
としての比抵抗値は1500℃で炭素化したときよりも
高くなる場合がある。従って、1500℃以下とするこ
とにより、十分に低い抵抗値と共に、高い炭素化収率で
炭素繊維へ転換することができる。
時間は、2分以上とすることにより、黒鉛構造が十分に
形成される。また、360分を超えると炭素化収率が低
下し、炭素繊維フェルトとしての比抵抗値が上昇する
が、360分以下とすることで十分に低い抵抗値と共
に、高い炭素化収率で炭素繊維へ転換することができ
る。この処理時間は、好ましくは5〜180分である。
2000℃前後とした場合に比べ、炭素繊維フェルトを
構成する炭素繊維そのものの比抵抗値は上昇するが、炭
素化温度を低くした分炭素化収率が上昇するため、炭素
繊維フェルトとしての比抵抗値は2000℃で炭素化し
た場合に比べ同等以下に低くすることができる。同時
に、2000℃で炭素化する場合に比べ炭素化温度を低
減した分焼成コストを下げることが可能である。
分な0.5Ω・cm以下の比抵抗と、実用的な生産性で
ある50%を超える炭素化収率、さらには経済性とを同
時に満足することができる。
的に均質な構造を有する前駆体フェルト状物とは、厚み
方向に層構造等が形成されていないことを意味し、特に
構成繊維が耐炎繊維と炭素繊維からなる混合繊維を用い
る場合などは、その繊維の混合状態がフェルトの厚み方
向で均質であることを意味する。このような前駆体フェ
ルトは適当な長さに切断した繊維を混合し、スライバー
状にしてウエッブを作成しニードルパンチングを施すな
ど、公知の方法で作成することができる。
としては、本発明の炭素化処理によって炭素繊維に転換
できるものであればどのようなものでもよい。このよう
な有機系耐炎繊維は、通常の炭素繊維の製造方法におい
て、炭素化処理に先立って行われる耐炎化処理を施され
た繊維であり、有機繊維を酸化性雰囲気下で例えば20
0〜300℃程度で加熱処理して得られる。
トリル系繊維、セルロース系繊維、フェノール樹脂系繊
維、ポリビニールアルコール系繊維などを耐炎化処理し
て得られた耐炎繊維が挙げられる。これらの有機系耐炎
繊維の中でも、ポリアクリロニトリル系繊維を原料とす
る耐炎繊維が、炭素化後の繊維の機械的な強度が優れて
いる点から好ましい。このPAN系耐炎繊維は公知の方
法で製造できる。
て用いられる炭素繊維も特に限定されず、ポリアクリロ
ニトリル系、セルロース系、フェノール樹脂系、石油ピ
ッチ系、石炭ピッチ系などの炭素繊維を用いることがで
きる。この中でも、石油ピッチまたは石炭ピッチを原料
とする炭素繊維が、比抵抗率が低い点から好ましい。
機系耐炎繊維と炭素繊維の混合繊維を用いる場合、その
混合比率は炭素化後の炭素繊維フェルトの物性に大きく
影響する。NAS電池用の陽極導電体として用いる場合
は前述のごとく、嵩密度、比抵抗、機械的強度やフェル
トの圧縮弾性をその炭素化条件とともに適切に選ぶ必要
があり、本発明者らの検討では、有機耐炎繊維を70w
t%以上、炭素繊維を30wt%以下の割合で混合させ
ることが好ましい。
る。
を用いて、炭素繊維フェルト2を銅板(作動電極1と対
向電極3)に挟み、フェルトを圧縮しながら電気抵抗値
を測定する。電気抵抗値はフェルトを圧縮することによ
って減少するが、ある厚みより薄くなると一定となる。
一定となったときの電気抵抗値と、マイクロメータ4で
測定したそのときの試料厚みを用い、下式により比抵抗
値を算出する。
×試料断面積(cm2)÷試料厚み(cm) [炭素化収率]前駆体フェルトの重量を測定する。炭素
化処理した後、炭素繊維フェルトの重量を測定する。下
式により炭素化収率を算出する。
量(g)÷前駆体フェルトの重量(g)×100 [フェルトの嵩密度]フェルトの寸法(幅、長さ、厚
み)および重量を測定し、下式により算出した。
(g)÷フェルトの体積(cm3) [参考例](アクリロニトリル系耐炎繊維の製造例) アクリロニトリルを96モル%含有し、共重合成分とし
てメタクリル酸2モル%、アクリル酸メチル2モル%を
含有する単糸繊度2.0デニール、構成フィラメント数
300000本の繊維を準備し、空気雰囲気中220〜
260℃で熱処理して密度1.40g/cm3の耐炎繊
維を作製した後、捲縮処理を施し切断長50mmのステ
ープルファイバーを得た。
トリル系耐炎繊維のステープルファイバーを用い、公知
の方法でウエッブを作製し、これを積層しニードルパン
チングして、厚さ30mm、嵩密度0.13g/cm3
の前駆体フェルトを作製した。
中で室温より1400℃まで10℃/minで昇温し、
1400℃で一時間保持した後、600℃まで10℃/
minで降温し、以降室温まで自然冷却させた。
び炭素化収率の測定結果を、以下の実施例および比較例
の結果と共に表1に示す。
前駆体フェルトを、窒素雰囲気中で1600℃まで10
℃/minで昇温し、1600℃で一時間保持した以外
は実施例1と同様に処理して炭素繊維フェルトを得た。
前駆体フェルトを、窒素雰囲気中で1000℃まで10
℃/minで昇温し、1000℃で一時間保持した以外
は実施例1と同様に処理して炭素繊維フェルトを得た。
前駆体フェルトを、窒素雰囲気中で1500℃まで10
℃/minで昇温し、1500℃で六時間保持した以外
は実施例1と同様に処理して炭素繊維フェルトを得た。
トリル系耐炎繊維のステープルファイバーと、石炭ピッ
チを原料として製造されたピッチ系汎用炭素繊維ドナカ
ーボS(ドナック社製:商品名)のステープルファイバ
ーを、重量比率としてポリアクリロニトリル系耐炎繊維
80wt%、ドナカーボS20wt%で混合し、ウエッ
ブを作製し、これを積層しニードルパンチングして、厚
さ15mm、嵩密度0.15g/cm3の前駆体フェル
トを作製した。
中で室温より1300℃まで10℃/minで昇温し、
1300℃で一時間保持した後、600℃まで10℃/
minで降温し、以降室温まで自然冷却させて炭素繊維
フェルトを得た。
前駆体フェルトを、窒素雰囲気中で1800℃まで10
℃/minで昇温し、1800℃で一時間保持した以外
は実施例2と同様に処理して炭素繊維フェルトを得た。
ロニトリル系耐炎繊維およびドナカーボSのステープル
ファイバーを、重量比率でそれぞれ90wt%および1
0wt%混合した後ウエッブを作製し、これを積層しニ
ードルパンチングして、厚さ23mm、嵩密度0.15
g/cm3の前駆体フェルトを作製した。
中で室温より1500℃まで10℃/minで昇温し、
1500℃で一時間保持した後、600℃まで10℃/
minで降温し、以降室温まで自然冷却させて炭素繊維
フェルトを得た。
前駆体フェルトを、窒素雰囲気中で2000℃まで10
℃/minで昇温し、2000℃で一時間保持した以外
は実施例3と同様に処理して炭素繊維フェルトを得た。
ロニトリル系耐炎繊維およびドナカーボSのステープル
ファイバーを準備し、これらを比率でそれぞれ70wt
%および30wt%混合した後ウエッブを作製し、これ
を積層しニードルパンチングして、厚さ10mm、嵩密
度0.15g/cm3の前駆体フェルトを作製した。
中で室温より1100℃まで10℃/minで昇温し、
1100℃で30分保持した後、600℃まで10℃/
minで降温し、以降室温まで自然冷却させて炭素繊維
フェルトを得た。
前駆体フェルトを、1100℃で1分保持した以外は実
施例4と同様に処理して炭素繊維フェルトを得た。
低い比抵抗を有する炭素繊維フェルトを、低コストで生
産性良く製造する方法を提供することができる。
した図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 有機系耐炎繊維または有機系耐炎繊維と
炭素繊維からなり、厚み方向に実質的に均質な構造を有
する前駆体フェルト状物を、最高温度1100〜150
0℃、および1100℃以上の温度領域での処理時間2
〜360分の条件で炭素化処理を施して比抵抗値を0.
5Ω・cm以下とすることを特徴とする炭素繊維フェル
トの製造方法。 - 【請求項2】 前記有機系耐炎繊維が、ポリアクリロニ
トリル系繊維を耐炎化処理して得られた繊維であること
を特徴とする請求項1記載の炭素繊維フェルトの製造方
法。 - 【請求項3】 前記炭素繊維が、石油ピッチまたは石炭
ピッチ系の炭素繊維であることを特徴とする請求項1記
載の炭素繊維フェルトの製造方法。 - 【請求項4】 前駆体フェルト状物の構成繊維として、
有機耐炎繊維を70〜100wt%、炭素繊維を0〜3
0wt%含有することを特徴とする請求項1に記載の炭
素繊維フェルトの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
法で製造された炭素繊維フェルト。 - 【請求項6】 請求項5記載の炭素繊維フェルトを陽極
材料として用いたナトリウム−硫黄電池。
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---|---|---|---|
JP32321797A JP4037943B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 炭素繊維フェルトの製造方法 |
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-
1997
- 1997-11-25 JP JP32321797A patent/JP4037943B2/ja not_active Expired - Lifetime
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