JPH10112319A - リチウム二次電池用炭素材およびその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用炭素材およびその製造方法

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JPH10112319A
JPH10112319A JP8281747A JP28174796A JPH10112319A JP H10112319 A JPH10112319 A JP H10112319A JP 8281747 A JP8281747 A JP 8281747A JP 28174796 A JP28174796 A JP 28174796A JP H10112319 A JPH10112319 A JP H10112319A
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carbon material
pitch
fiber
secondary battery
lithium secondary
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Hisafumi Kawamura
村 寿 文 河
Tomimori Hosotsubo
坪 富 守 細
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PETOCA KK
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明は、ピッチを紡糸して得たピッチ
繊維を不融化して不融化繊維とし、この不融化繊維を、
機械的な荷重をかけながら昇温して成形体とし、次いで
得られた成形体を炭化(黒鉛化)するリチウム二次電池
用炭素材の製造方法に関する。 【効果】 この方法では、粉砕工程及びバインダーの使
用を回避して容易に高性能なリチウム二次電池用炭素材
を製造することができる。また、得られた炭素材は、ピ
ッチ系炭素繊維のバインダを含まない成形物であり、嵩
密度が0.5 g/cm3 以上1.1 g/cm3 以下の多孔状の成形体
を炭化(黒鉛化)したものであって、大充放電容量を有
し、かつ充放電サイクル特性及び負荷特性に優れたリチ
ウム二次電池を製造可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は新規なリチウム二次電池用
炭素材に関し、更に詳しくは、ピッチを原料とした炭素
材であって、充放電容量が大きく、且つ充放電サイクル
特性に優れたリチウム二次電池を製造可能とする炭素
材、及びその炭素材の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に、アルカリ金属、例えばリ
チウムを負極活物質として用いた二次電池は、高エネル
ギー密度及び高起電力である他、非水電解液を用いると
作動温度範囲を広くでき、長期保存性を向上させること
が可能であり、さらには軽量小型である等の多くの利点
を有している。
【0003】従って、このような非水電解液リチウム二
次電池は、携帯用電子機器電源をはじめとして、電気自
動車、電力貯蔵用などの高性能電池としての実用化が期
待されている。
【0004】しかし、現状の試作電池はリチウム二次電
池が期待されている上記特性を充分に実現しておらず、
充放電容量、サイクル寿命、エネルギー密度などにおい
て不十分であった。
【0005】その理由の一つは、二次電池に用いられる
負極にあった。例えば、リチウム二次電池の負極は、充
電時その表面にリチウムが析出し、針状のデンドライト
を形成する傾向があり、このデンドライトが正・負極間
の短絡を起こし易くするため、サイクル寿命が短く、安
全性が低いという傾向があった。
【0006】また、リチウムは反応性が非常に高く、負
極表面付近での電解液の分解反応を起こさせるため、こ
の分解反応によって負極表面が変成されて反復使用によ
る電池容量の低下が発生する恐れがあった。
【0007】従来より、このようなリチウム二次電池に
おける問題点を解決するために、種々の負極材が検討さ
れ、炭素材からなるリチウム二次電池用負極が注目され
てきている。
【0008】炭素材を用いた負極では、充電時に生成す
るリチウムイオンが、炭素材内部の黒鉛層間に取り込ま
れ(インターカレーション)、いわゆる層間化合物を形
成してデンドライトの生成を阻止することが可能とな
る。
【0009】リチウム二次電池の負極に用いる炭素材と
して、天然黒鉛などの天然材料の使用に加えて、メソフ
ェーズピッチ系炭素繊維、コークスなどの石炭系および
石油系炭素材あるいは高分子化合物系炭素材などの様々
な人工材料の使用が提案されている。
【0010】このような炭素材を用いた負極は、従来、
適当な粒径となるよう粉砕された炭素材をバインダーと
混合し成形して製造するのが一般的である(特開平4−
79170号公報、特開平4−82156号公報および
特開平4−82157号公報参照)。
【0011】しかしながら、このような負極の製造方法
では、炭素材の粉砕工程を必要とする他、成形時にバイ
ンダーを必要とするため単位重量当りの電池容量が低下
する等の問題があった。
【0012】さらに、粉砕された炭素材、特に炭素繊維
は、その破断面において電解液に対して活性な面が露出
し、充放電時にここで電解液の分解が起こる可能性があ
る。したがって、従来より、粉砕した後に、得られた粉
砕物を熱処理等により表面酸化するなど様々な処置が必
要であった。
【0013】また、炭素材を用いた負極として、各種炭
素材を粉砕して得た炭素粉末と、バインダーとを混合し
て成形し、これを焼成してなるもの(特開平5−101
818号公報参照)、或いは炭素繊維をそのまま用い、
バインダーを含浸させて成形し、次いでこれを焼成して
なるもの(特開平7−22022号公報参照)も提案さ
れている。
【0014】しかしながら、前者の負極にあっては、粉
砕後の活性面露出による欠点は回避されるものの、粉砕
工程を必要とし、成型時にバインダーを用いなければな
らなず、また高い充放電容量も得られなかった。後者の
負極では、粉砕工程を必要としないものの、成型時にや
はりバインダーを必要としていた。
【0015】さらに、特開平5−283062号には、
炭素粉末および炭素フィルムを交互に積層してなる負極
が開示されている。そして、この負極は、炭化・黒鉛化
した炭素フィルムに、バインダーとともに炭素粉末を付
着させ、これをホットプレスにより積層して製造されて
いる。またこの文献には、これら2種の原料の複合化
が、不融化前の粘着性を有する原料フィルムに炭素粉末
を付着させてから不融化し、これをホットプレスするこ
とにより積層して行なわれ得ることが示唆されている。
【0016】しかしながら、このような負極は、複数種
の炭素材を必須とし、各々の製造工程を必要とする他、
積層複合化工程が複雑であるという問題があった。ま
た、前者の負極製造方法では、バインダーを必要とする
点で他の従来法と全く同じであり、後者の負極製造方法
では、バインダーの使用はまぬがれるものの、高度に複
合化された積層体を炭化・黒鉛化する必要があり、これ
ら工程の条件設定が困難であるため、元来複雑な製造操
作が更に複雑化するという欠点があった。
【0017】以上説明したように、従来の炭素材を用い
た負極では、炭素材を所望の形状に賦形するために、炭
素材粉砕工程およびバインダー使用の両方、あるいは少
なくとも後者を行なう必要があった。
【0018】さらに、炭素材を負極として用いたリチウ
ム二次電池では、充電時のインターカレーションおよび
放電時のデインターカレーションの繰り返しにより黒鉛
層構造が破壊される傾向があり、これに起因するサイク
ル劣化の防止が課題となっている。
【0019】したがって、充放電容量が大きく、サイク
ル劣化が少ないリチウム二次電池を提供することがで
き、かつ容易に製造可能なリチウム二次電池用炭素材の
開発が望まれている。
【0020】
【発明の目的】本発明は、上記した従来技術に伴う問題
点を解決しようとするものであり、充放電容量が大き
く、充放電サイクル特性及び負荷特性に優れたリチウム
二次電池を製造可能とし、かつ粉砕工程およびバインダ
ーの使用を行なわずに容易に製造できるリチウム二次電
池用炭素材の製造方法、およびその炭素材を提供するこ
とを目的としている。
【0021】
【発明の概要】本発明に係るリチウム二次電池用炭素材
の製造方法は、ピッチを紡糸して得たピッチ繊維を不融
化して不融化繊維とし、この不融化繊維を、機械的な荷
重をかけながら昇温して成形体とし、次いで得られた成
形体を炭化および/または黒鉛化することを特徴として
いる。
【0022】本発明に係るリチウム二次電池用炭素材の
製造方法では、前記不融化繊維の成形は、負荷荷重25
0kg/cm2 以下、温度200〜700℃の条件で行
なわれることが望ましい。
【0023】また、本発明に係るリチウム二次電池用炭
素材は、上述の方法で調製され、嵩密度が0.5g/c
3 以上1.1g/cm3 以下である成形体を炭化およ
び/または黒鉛化することを特徴としている。
【0024】さらに、別の観点から、本発明に係るリチ
ウム二次電池用炭素材は、マット状をなすピッチ系炭素
繊維の各々が任意の方向に延在して絡み合い、かつ接触
部分で焼結されてなることを特徴としている。
【0025】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るリチウム二次
電池用炭素材およびその製造方法を、具体的に説明す
る。
【0026】本発明に係るリチウム二次電池用炭素材の
製造方法では、ピッチを紡糸して得たピッチ繊維を不融
化し、得られた不融化繊維を荷重を加えて成形した後、
炭化および/または黒鉛化して炭素材としている。
【0027】本発明の製造方法において、原料として用
いられるピッチは、紡糸によって所望の形状のピッチ繊
維とすることができれば、特にその性状を限定されるも
のではなく、例えば石油系ピッチ、石炭系ピッチまたは
合成ピッチのいずれを用いても良く、さらには光学的に
等方性であっても異方性であっても良い。このようなピ
ッチとしては、例えば、原油蒸留残渣油、ナフサ分解残
渣油、エチレンボトム油、石炭液化油、コールタール、
芳香族系有機物、ナフタレン、キノリンなどに濾過、精
製、蒸留、水添、接触分解、触媒重合などの処理工程を
施して調製したものなどを例示できる。
【0028】これらピッチからピッチ繊維を製造するた
めの紡糸方法としては、溶融紡糸法、遠心紡糸法、渦流
紡糸法、メルトブロー法等、従来公知の何れを用いても
よい。これらの内、所望のピッチ繊維を連続して多量に
製造でき、コスト上有利であるという観点から、メルト
ブロー法が好ましい。
【0029】メルトブロー法では、紡糸孔から押し出さ
れたピッチが、紡糸されながら吹きちぎられて連続的に
製造されるため、これをステンレス製金網上に、裏側か
ら吸引しながら捕集することにより、ピッチ繊維はマッ
ト状となる。
【0030】このようにして得られたピッチ繊維は、不
融化処理され、不融化ピッチ繊維とされる。このピッチ
繊維の不融化処理は、常法に従って行うことができる。
例えば、不融化処理は、ピッチ繊維を、昇温速度1〜5
℃/分、処理温度200〜400℃、好ましくは250
〜350℃で酸化することにより行われる。この際の雰
囲気ガスとしては、酸素リッチ空気、空気などを例示で
き、このような雰囲気ガスには、さらに塩素ガス、酸化
窒素ガスなどを一部混入しても良い。
【0031】なお、このような不融化処理において、不
融化ピッチ繊維の不融化収率は、102%〜120%、
好ましくは105%〜115%とするとが望ましい。不
融化収率が120%以上であると、後の成形工程での成
形性が悪く、炭化或いは黒鉛化工程での収率が低下する
傾向がある。また、不融化収率が102%未満である
と、繊維形状を保持しなくなることがある。
【0032】本発明に係るリチウム二次電池用炭素材の
製造方法では、このようにして得られた不融化ピッチ繊
維に荷重をくわえて成形した不融化ピッチ繊維成形体を
炭化・黒鉛化する。なお不融化ピッチ繊維には、必要に
応じこの成形工程に先立って、軽度炭化処理を施しても
よい。
【0033】このような成形前の軽度炭化処理は、例え
ば、窒素ガスなどの不活性ガス中、昇温速度1〜20℃
/分、処理温度500℃以下、好ましくは300〜40
0℃以下でおこなわれる。
【0034】本発明では、このような不融化ピッチ繊維
に機械的な荷重をかけながら昇温して成形体としてい
る。最終製品である炭素材の嵩密度は、成形時の負荷荷
重の増加に伴って上昇するため、炭化黒鉛化の温度を加
味し、成形型への繊維充填量と負荷荷重の大きさを調製
することにより、所望の嵩密度を有する炭素材を得るこ
とができる。
【0035】二次電池用に用いる炭素材は、一般的には
密度が高いほうが単位容積当りの充放電容量を向上させ
る上で有利である。しかしながら、本発明においては繊
維間に存在する空隙の効果のためか、負荷荷重を大きく
して高嵩密度の成形体とすると、これを炭化又は黒鉛化
して得た炭素材の負荷特性が低下する傾向がある。また
後述する繊維破壊、マクロポア減少等との関連もあり、
成形温度、成形荷重などの条件は、成形体が所望の嵩密
度、特に0.5g/cm3 以上1.1g/cm3 以下、
好ましくは0.7以上1.0以下の嵩密度となるよう、
原料性状を含め総合的に勘案して決定すればよい。
【0036】例えば、不融化ピッチ繊維成形体は、不融
化ピッチ繊維を、負荷荷重250kg/cm2 以下、好
ましくは100〜200kg/cm2 を加えながら、温
度200〜700℃、好ましくは400〜500℃で加
熱して、シート状あるいはボタン状などの所望形状に成
形することによって製造することができる。
【0037】負荷荷重が250kg/cm2 を越える場
合、繊維の破壊が生じ、繊維形態が保持できなくなり、
また不融化ピッチ繊維成形体中に存在する100Å以
上、特に500〜1000Åのマクロポアの数が著しく
減少する傾向がある。このようなマクロポアが減少した
不融化ピッチ繊維成形体は、炭化あるいは黒鉛化時に割
れが生じる場合がある。また、不融化ピッチ繊維成形体
中のマクロポアは、炭化・黒鉛化後も残存してリチウム
イオンの拡散を容易とするため、最終製品である炭素材
の負荷特性の向上にも寄与する。
【0038】また負荷荷重が100kg/cm2 未満で
ある場合、成型される炭素材の嵩密度が低くなりすぎ、
例えば0.5g/cm3 未満となるため、所望の負極特
性が得られなくなることがある。
【0039】さらに、成形温度が200℃未満では、成
形時にバインダー的役割を果たしていると考えられる繊
維中の揮発成分の揮発が不充分となり、繊維間の接着不
良が起き易く、また成形型との離型性も悪くなる場合が
ある。また、700℃を越える場合には、成形性の向上
に差はないものの、熱ロスが増加する傾向がある。
【0040】本発明では、このようにして得られた不融
化ピッチ繊維成形体は、不活性ガス中、或いは酸化性ガ
スの非存在下で加熱処理することにより、炭化あるいは
更に黒鉛化して炭素材とされる。この時の昇温速度およ
び加熱温度は、加熱時に繊維の破損がなく、所望の内部
組織、黒鉛含有量および硬度等が得られるよう適宜選択
できる。
【0041】したがって、本発明では、炭化および黒鉛
化処理において、昇温速度および加熱温度等には特に限
定されないが、例えば、不融化ピッチ繊維成形体の炭化
処理は、通常、繊維成形体を、不活性ガス雰囲気下、あ
るいは酸性ガス非存在下、昇温速度1〜50℃/分、好
ましくは5〜20℃/分、温度500〜1500℃、好
ましくは600〜1300℃にて加熱処理して行なうこ
とができる。
【0042】不融化ピッチ繊維成形体の黒鉛化処理は、
通常、繊維成形体を、不活性ガス雰囲気下、あるいは酸
性ガス非存在下、昇温速度10〜500℃/分、好まし
くは50〜200℃/分、温度2000〜3200℃、
好ましくは2500〜3000℃にて加熱処理して行な
うことができる。
【0043】なお、炭化・黒鉛化された炭素材の嵩密度
は、熱処理温度の上昇と共に成形体の収縮が生じるため
か、成形体の嵩密度に対して、上述の炭化温度では1.
0〜1.2倍とあまり変化しないが、上述の黒鉛化温度
では、成形体の成形条件とその後の黒鉛化温度にもよる
が、1.4〜2.0倍と大幅に高くなる。
【0044】このため本発明の黒鉛化した炭素材をリチ
ウム二次電池に使用すると容積当たりの電池容量の増加
も期待できる。また、繊維成形体は、炭素化・黒鉛化処
理時に塩素等を不純物と反応させ、不純物をハロゲン化
物として系外に取り除く方法、すなわち、高純度化処理
によって炭化・黒鉛化することにより、高純度の炭素繊
維とすることもできる。
【0045】本発明では、不融化ピッチ繊維を加圧・加
熱成形し、次いでこれらを炭化および/または黒鉛化し
て炭素材としているため、比較的に簡易に二次電池用炭
素材が製造できる利点を有する。
【0046】このようにして製造された炭素材は、即ち
本発明に係るリチウム二次電池用炭素材は、炭素繊維成
形体であり、ここで、図1および図2を参照して、本発
明に係る炭素材の構造を更に詳しく説明する。
【0047】図1は、実施例1で製造された炭素材の上
面を写した走査型電子顕微鏡(SEM)写真(500
倍)であり、図2はその側面を写したSEM写真(50
0倍)である。図1および図2に示すように、本発明に
係る炭素材は、炭化あるいは黒鉛化して得られた炭素繊
維が各々任意の方向に延在して絡み合あい、かつ各々の
接触点において焼結した多孔状の成形体であり、通常の
炭素材よりも比較的に低密度であるが比表面積が大きい
という特徴を有する。
【0048】したがって、この炭素材を負極とした場合
に、負極と電解液との接触面積が大きく、すなわちリチ
ウムイオンを取り込み得る部分の表面積が多いため、利
用効率が高く、大きな充電容量を確保することが可能と
なる。また、負極と電解液との接触面積が大きいことに
より、充分に大きな負荷特性を期待することが可能とな
る。
【0049】本発明に係る炭素材からなる負極材は、成
形体製造時に所望の負極形状を付与し、あるいは炭化・
黒鉛化後に所望の負極形状に切削して製造される。この
負極材は、リチウム塩を溶解した電解液および正極材と
ともに用いてリチウム二次電池とすることができる。
【0050】このような負極材には、従来の電池と同様
に集電体を設けることができる。負極集電体としては、
電極、電解液等の電気化学的に不活性な導体、例えば
銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼などの金属を板、
箔、棒の形態で使用できる。
【0051】このような集電体は、集電体となる金属を
装入した金型を用いて不融化繊維を加熱成形し、これら
を炭化および/または黒鉛化して負極材に固着すること
ができる。また、炭素材を金属で機械的に挟持してもよ
く、金属との接触面にのみバインダー(導電性接着剤)
を用いて炭素材に接着することも可能である。
【0052】このような負極材を用いたリチウム二次電
池用電解液の溶媒は特に限定されないが、非プロトン性
の誘電率が大きい有機溶媒が好ましい。このような有機
溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチ
レンカーボネート、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、ジオキソラン、4-メチル-ジオキソラ
ン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、メチルエ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート等を挙げるこ
とができる。これらの溶媒は単独あるいは適宜混合して
用いることが可能である。
【0053】電解液を構成する電解質としては、安定な
アニオンを生成するリチウム塩、例えば、過塩素酸リチ
ウム、ホウフッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウ
ム、六フッ化アンチモン酸リチウム及び六フッ化リン酸
リチウム(LiPF6)等が好適である。
【0054】このようなリチウムイオン二次電池の正極
としては、例えば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバ
ルト、五酸化バナジウム等の金属酸化物や、リチウムマ
ンガン酸化物(LiMn24)、リチウムコバルト酸化
物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiN
iO2)等のリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モ
リブデン等の遷移金属のカルコゲン化合物;及びポリア
セチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール等の導電
性を有する共役系高分子物質等を用いることができる。
【0055】また、これらの正極と負極との間には電解
液が満たされるが、通常、電解液を含浸させた合成繊維
製又はガラス繊維製の不織布及び織布、ポリオレフィン
系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレンの不織布等の
セパレータが設けられる。
【0056】本発明の炭素材からなる負極は、上述の電
解液、正極およびセパレータと、ガスケット、封口板、
ケース等の他の電池構成要素とを用い、常法に従って円
筒型、角型或いはボタン型等の形態のリチウムイオン二
次電池に組立てられる。
【0057】
【発明の効果】本発明に係るリチウム二次電池用炭素材
の製造方法によれば、ピッチを紡糸して得たピッチ繊維
を不融化して不融化繊維とし、この不融化繊維に機械的
な荷重をかけながら昇温して成形体とした後、これを炭
化・黒鉛化して炭素材を製造しているため、粉砕工程お
よびバインダーの使用を回避して容易に高性能なリチウ
ム二次電池用炭素材を製造することができる。
【0058】また、このような方法で得られた本発明に
係るリチウム二次電池用炭素材は、ピッチ系炭素繊維が
任意の方向に延在して絡み合い、かつ各々の接触点にお
いて焼結した、嵩密度が0.5g/cm3 以上1.1g
/cm3 以下の多孔状成形物を炭化および/または黒鉛
化したものであるため、充放電容量が大きく、且つ充放
電サイクル特性及び負荷特性に優れたリチウム二次電池
を提供できる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、それらは本発明の範囲を制限するもので
はない。
【0060】
【実施例1】 ピッチ繊維の製造 石油の接触分解残油を熱処理して製造した比重1.2、
軟化点260℃、芳香族炭化水素分率faが0.5の光
学的等方性ピッチを、幅2mmのスリットの中に直径
0.2mmの紡糸孔が一列に1,000個有する口金を
用いて紡糸し、メルトブロー法によってピッチ繊維を製
造した。この際、ピッチの吐出量は1000g/分、ピ
ッチ温度は330℃、加熱空気温度は340℃であっ
た。紡糸されたピッチ繊維を、捕集部分が35メッシュ
のステンレス製金網で構成されたベルトの背面から吸引
してベルト上に捕集し、マット状のピッチ繊維を得た。 ピッチ繊維の不融化 得られたマット状ピッチ繊維を、空気流中、300℃ま
で昇温して空気酸化し、不融化繊維を得た。この際、酸
素含有率は112%であり、不融化率は、110%であ
った。 不融化繊維の成形 不融化繊維をSUS製加圧成形機に充填し、負荷荷重2
00kg/cm2 で機械的に加圧した後、この荷重を維
持しながら、昇温速度10℃/分で450℃まで昇温し
て加熱し、不融化繊維成形体を得た。得られた成形体の
嵩密度は0.9g/cm3 であった。 不融化繊維成形体の炭化 不融化繊維成形体を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度20
℃/分で1000℃まで昇温し、1時間加熱して炭化
し、炭素材を得た。
【0061】得られた炭素材は、嵩密度0.9g/cm
3 とはほとんど変化がなく、また比表面積1.5m2
gであった。また、炭素材の上面および側面を、走査型
電子顕微鏡(SEM)によって観察した。得られた写真
を図1および図2に示す。 充放電容量特性の測定 次いで、この炭素材から切削した試料〔縦10mm、横
10mm、厚さ0.2mm〕を作用極とし、縦15m
m、横15mm、厚さ1mmの金属リチウムを参照極お
よび対極とする3極セルを作成し、これをポテンショス
タットに接続し、下記条件で充放電容量特性を測定し
た。なお、電解液は、エチレンカーボネート(EC)お
よびジメチルカーボネート(DMC)を体積比1/1で
混合した混合炭酸エステル溶媒に、電解質として過塩素
酸リチウム(LiClO4)を1モルの濃度で溶解させ
て調製した。
【0062】得られた結果を、表1に示す。
【0063】
【実施例2】不融化繊維の成形において、負荷荷重を1
50kg/cm2 とした以外は、実施例1と同様にして
炭素材を製造した。
【0064】得られた炭素材は、嵩密度0.6g/cm
3 、比表面積1.6m2/gであった。この炭素材の充
放電容量特性を、実施例1と同様にして測定した。
【0065】得られた結果を、表1に示す。
【0066】
【実施例3】不融化繊維の成形において、負荷荷重を2
50kg/cm2 とした以外は、実施例1と同様にして
炭素材を製造した。
【0067】得られた炭素材は、嵩密度1.1g/cm
3 、比表面積1.4m2/gであった。この炭素材の充
放電容量特性を、実施例1と同様にして測定した。
【0068】得られた結果を、表1に示す。
【0069】
【参考例1】不融化繊維の成形において、負荷荷重を7
0kg/cm2 とした以外は、実施例1と同様にして炭
素材を製造した。
【0070】得られた炭素材は、嵩密度0.4g/cm
3 、比表面積1.4m2/gであった。この炭素材の充
放電容量特性を、実施例1と同様にして測定した。
【0071】得られた結果を、表1に示す。
【0072】
【参考例2】不融化繊維の成形において、負荷荷重を3
00kg/cm2 とした以外は、実施例1と同様にして
炭素材を製造した。
【0073】得られた炭素材は、嵩密度1.2g/cm
3 、比表面積0.8m2/gであった。しかしながら、
SEMで観察すると、繊維の一部に割れが生じており、
また空隙もほどんと見られなかった。
【0074】
【実施例4】 ピッチ繊維の製造 石油の接触分解残油を熱処理して製造した比重1.3、
軟化点280℃、芳香族炭化水素分率faが0.6の光
学的異方性ピッチを、幅2mmのスリットの中に直径
0.2mmの紡糸孔が一列に1,000個有する口金を
用いて紡糸し、メルトブロー法によってピッチ繊維を製
造した。この際、ピッチの吐出量は1000g/分、ピ
ッチ温度は340℃、加熱空気温度は350℃であっ
た。紡糸されたピッチ繊維を、捕集部分が35メッシュ
のステンレス製金網で構成されたベルトの背面から吸引
してベルト上に捕集し、マット状のピッチ繊維を得た。 ピッチ繊維の不融化 得られたマット状ピッチ繊維を、空気流中、300℃ま
で昇温して空気酸化し、不融化繊維を得た。この際、酸
素含有率は113%であり、不融化率は、110%であ
った。 不融化繊維の成形 不融化繊維をSUS製加圧成形機に充填し、負荷荷重2
00kg/cm2 で機械的に加圧した後、この荷重を維
持しながら、昇温速度10℃/分で500℃まで昇温し
て加熱し、不融化繊維成形体を得た。得られた成形体の
嵩密度は1.0g/cm3 であった。 不融化繊維成形体の黒鉛化 不融化繊維成形体を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度30
℃/分で3000℃まで昇温し、1時間加熱して黒鉛化
し、炭素材を得た。
【0075】得られた炭素材は、嵩密度1.6g/cm
3 、比表面積1.5m2/gであった。 充放電容量特性の測定 次いで、実施例1と同様にして、この炭素材の充放電容
量特性を測定した。
【0076】得られた結果を、表1に示す。
【0077】
【比較例1】実施例1と同様にして製造した不融化繊維
を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度20℃/分で1000
℃まで昇温し、1時間加熱して炭化し、炭素材を得た。
【0078】得られた炭素材をクロスフローミルで粉砕
し平均粒径20μmの炭素繊維ミルドを調製した。この
ミルド化炭素繊維0.02gを0.002gのポリテト
ラフルオロエチレンと混練して成形し、電極シート〔縦
1mm、横1mm、厚さ0.2mm〕を作製した。得ら
れた電極シートは、嵩密度1.3g/cm3 、比表面積
0.4m2/gであった。
【0079】このシートを作用極とした以外は、実施例
1と同様の3極セルを作成し、充放電容量特性を測定し
た。得られた結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で得られた炭素材上面の走
査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】 図2は、図1の炭素材の側面を示すSEM写
真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチを紡糸して得たピッチ繊維を不融
    化して不融化繊維とし、 この不融化繊維を、機械的な荷重をかけながら昇温して
    成形体とし、次いで得られた成形体を炭化および/また
    は黒鉛化することを特徴とするリチウム二次電池用炭素
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記不融化繊維の成形が、負荷荷重25
    0kg/cm2 以下、温度200〜700℃の条件で行
    なわれることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次
    電池用炭素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の炭素材製造方法によ
    って得られ、嵩密度が0.5g/cm3 以上1.1g/
    cm3 以下である成形体を炭化および/または黒鉛化す
    ることを特徴とするリチウム二次電池用炭素材。
  4. 【請求項4】 ピッチ系炭素繊維の各々が任意の方向に
    延在して絡み合い、かつ接触部分で焼結されてなること
    を特徴とする請求項3記載のリチウム二次電池用炭素
    材。
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