JP3402656B2 - 非水電解液電池 - Google Patents

非水電解液電池

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JP3402656B2
JP3402656B2 JP09188093A JP9188093A JP3402656B2 JP 3402656 B2 JP3402656 B2 JP 3402656B2 JP 09188093 A JP09188093 A JP 09188093A JP 9188093 A JP9188093 A JP 9188093A JP 3402656 B2 JP3402656 B2 JP 3402656B2
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negative electrode
aqueous electrolyte
electrolyte battery
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非水電解液電池に関す
る。詳細には、本発明は非水電解液電池における負極の
改良に係るものであって、充放電容量が大きく、充放電
サイクル特性が良好で且つ貯蔵安定性に優れた電池を提
供するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は理論上最も高い起動
力を持ち、理論エネルギー密度が大きいことにより、ポ
ータブル電子機器用電源をはじめとして、電気自動車や
電力貯蔵用などの高性能電池としてその実用化が期待さ
れている。しかし、現在発表されている試作電池は、リ
チウム二次電池が本来有する特性を充分に生かし切って
いるとはいえず、寿命、性能、エネルギー密度とも充分
でないものが多い。その最も大きな理由の一つは負極の
性能にあると考えられている。
【0003】リチウム二次電池の負極の実用上の問題点
としては、 負極である金属リチウムの反応性が非常に高いことに
より負極表面が溶媒と反応して変性されるために、反復
使用によって電池容量の低下が起こり、サイクル寿命が
短縮化していく点、および 充電時にリチウムカチオンの還元により生成する金属
リチウムが針状のデンドライトとなり易く、それが正・
負極間の絶縁層(セパレーター)を破壊することによっ
て短絡が生じ易くなり、サイクル寿命、安定性の点で問
題がある点、 の2点が指摘されている。
【0004】上記の問題点を解決するための負極活物質
として、生成する金属リチウムまたはリチウムイオンを
自らの層間に取り込むインターカレーション化合物の利
用が検討されている。そのようなインターカレーション
化合物のうちで、現在最も低い負極反応電位を示す化合
物が黒鉛をホストとするLi−GIC(Graphite Inter
calation Compound)である。そして、現在、例えば熱
分解炭素、炭素繊維、コークスなどの種々の炭素材料に
ついてホスト材料としての使用が試みられている。
【0005】ところが、一般に炭素材料は多結晶体であ
って、(i)結晶子の大きさと形状、(ii)結晶子の面の状
態および(iii)結晶子のコンフォメーションが、炭素材
料の種類によって異なることが示唆されている。そし
て、炭素材料の種類の違いを越えて、それらの3つの要
件と電極性能の相関関係について論じることは難しく、
その開発指針も明らかではなく、サイクル寿命、反応電
位および放電容量のすべてを満足するリチウム二次電池
用の負極は開発されていない。また、ピッチコークスな
どの天然物をリチウム二次電池用負極に用いる提案もな
されているが、安定な性能を再現性よく実現するに至っ
ていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
のような問題を解決して、安定性が高く、高サイクル寿
命、高電圧、大容量のアルカリ金属電池を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者らが研究を行った結果、炭素材料の結晶性がそ
の負極特性に大きく関係することを見いだして、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は、有機非水系
極性溶媒にアルカリ金属塩を電解質として溶解した非水
系電解液を用いる非水電解液電池において、負極にX線
回折強度曲線の(002)面の回折ピークにおける黒鉛
的結晶構造パラメーターIp(002)/Io(002)が
0.7〜0.95の範囲にあり、且つX線回折強度曲線の
(10)面の回折ピークにおける黒鉛的結晶構造パラメー
ターIp(10)/Io(10)が0.6以下である炭素材
料を用いたことを特徴とする非水電解液電池である。
【0008】本発明において、上記の「黒鉛的結晶構造
パラメーターIp(002)/Io(002)」の求め方を
以下に図1を参照して説明する。図1では、100%メ
ソフェーズピッチを原料として溶融紡糸を行った後に3
00℃で不融化し、1000℃で炭化処理を行って得ら
れた炭素繊維の場合を例にとって説明するものである
が、それ以外の炭素材料の場合も同様にして該Ip(0
02)/Io(002)を求めることができる。図1にお
いて、実線で表した曲線Iは該炭素繊維(炭素材料)の
(002)面における実際のX線回折強度曲線(CuK
α線)を示したものであり、またその縦軸はX線回折強
度を、横軸は回折角(2θ)を表す。
【0009】一方、上記の実測曲線Iの両すそに接線L
を引き、実測曲線Iと接線Lとの差をベースライン上に
書き直すことによって点線で表される曲線IIを得る。曲
線IIにおける最大のX線回折強度値であるピーク強度I
p(002)の値を図1のグラフから求め、該Ip(00
2)を示す回折角2θ、さらには該回折角2θにおける
実測曲線Iの強度から空気の散乱強度を差し引いて、実
測曲線Iにおける最大X線回折強度であるピーク強度の
値Io(002)を求め、それらのIp(002)およびI
o(002)から、黒鉛的結晶構造パラメーターIp(0
02)/Io(002)を求める。
【0010】上記において、空気の散乱強度としては、
試料のない状態で同一条件で走査して得られた時の値を
採用する。上記のIp(002)は黒鉛的な結晶性構造に
起因するX線回折ピーク強度であり、Io(002)から
Ip(002)を差し引いた{Io(002)−Ip(00
2)}は非晶性構造に起因するX線散乱強度に相当す
る。
【0011】一般に、X線回折ピーク強度は、結晶子の
結晶サイズおよび結晶化度が大きいほど大きくなり、結
晶の発達の程度を示す。特に、結晶サイズはX線回折ピ
ークのシャープさにより定量される。結晶化度は一般に
(全結晶散乱強度/全散乱強度)により表され、X線照
射体積中の結晶の体積分率を意味する。しかし、炭素材
料の場合、結晶部分と非晶部分とは構造的に明確には分
かれておらず、炭素材料を一つの集合組織としてとら
え、集合組織の黒鉛的結晶性領域からの干渉性散乱がI
pであり、非晶性領域からの非干渉性散乱が(Io−I
p)である。
【0012】また、上記の「X線回折強度曲線パラメー
ターIp(10)/Io(10)」も、上記と同様に、図1
における炭素繊維(炭素材料)の(10)面での実際の
X線回折強度曲線(CuKα線)から、X線回折強度のピ
ーク値であるIp(10)を求め、さらにIo(10)を求
めて得ることができる。その場合に、図1におけるよう
な曲線において、黒鉛結晶の(10)面に相当する炭素
材料のX線回折ピークの高さも同様に芳香族縮合環に起
因する(10)結晶面における結晶化度を示し、半値幅
は(10)結晶面における結晶子の大きさを示してい
る。
【0013】ちなみに、上記本発明における「X線回折
強度曲線の(10)面の回折ピーク」とは、X線回折強
度曲線の(100)面と(101)面との両方を含めた回折
ピークを意味する。その理由は、(10)面からの回折ピ
ークは2θにおいて41°〜46°の範囲の領域に現れ
るが、通常、この回折ピークを(100)面からの回折
ピークと(101)面からの回折ピークに分離すること
が困難であるので、本発明では両者を含めて(10)面
の回折ピークとして扱うものとする。
【0014】(002)面のX線回折ピークと(10)面の
X線回折ピークの各々から測定される結晶化度と結晶子
の大きさとの間には互いに明確な相関関係が成立してい
るわけではないが、一般にIp(002)/Io(002)
が大きくなれば、Ip(10)/Io(10)が大きくなる
傾向がある。
【0015】本発明で使用しているX線回折強度曲線か
らのパラメーターIp(002)/Io(002)および
Ip(10)/Io(10)は、いずれも黒鉛的結晶性構造
の発達度合を示すものであり、充分に発達した完全に近
い黒鉛結晶ではIp(002)/Io(002)は0.95
より大きく、またIp(10)/Io(10)も0.90以
上である。従来公知のリチウム塩を用いる非水電解液二
次電池で使用されている炭素材料は、Ip(002)/I
o(002)が0.7よりも大きく、且つIp(10)/I
o(10)が0.6よりも大きい。これに対して、本発
明の電池において使用する炭素材料は、Ip(002)
/Io(002)が0.7〜0.95の範囲にあり、且つ
Ip(10)/Io(10)が0.6以下であって、(1
0)結晶面においては結晶構造が未発達であるというこ
とができる。得られる電池の容量の大きさと充放電効率
の安定性の観点からは、Ip(002)/Io(002)が
0.75〜0.90の範囲内にあることが好ましい。
【0016】上記した2つのX線回折強度曲線パラメー
ターIp(002)/Io(002)とIp(10)/Io
(10)と共に、(002)面の面間隔[d(002)]およ
びC軸方向の結晶子の大きさ(Lc)も炭素材料の結晶構
造を示す重要なパラメーターであり、本発明で使用する
炭素材料は、得られる電池の容量の大きさと充放電効率
の安定性の観点から、その(002)面の面間隔[d(0
02)]が3.40Å以上で且つC軸方向の結晶子の大
きさ[Lc(002)]が100Å以下であるのが好まし
く、該面間隔[d(002)]が3.42Å〜3.70Å
の範囲で且つ[Lc(002)]が70Å以下、とりわけ
10Å〜70Åの範囲にあるのが特に好ましい。ここ
で、本発明における上記[Lc(002)]は、(00
2)面からのX線回折強度曲線の半値幅より測定した時
の値である。
【0017】C軸方向の結晶子の大きさ[Lc(00
2)]が10Å以下であると、リチウムなどのアルカリ
金属のインターカレーションが起こりにくい。本発明の
電池では、リチウムなどのアルカリ金属の吸蔵および放
出を容易に行うことのできる面間隔を有する上記した炭
素材料を負極に使用することにより、高サイクル寿命、
低い反応電圧、大容量のアルカリ金属電池を提供するこ
とができる。
【0018】従来公知のリチウム塩を用いる非水電解液
二次電池で使用されている炭素材料は、前述のとおりI
p(002)/Io(002)が0.7よりも大であるもの
が多いが、この場合の比表面積は通常10m2/g以下
である。
【0019】これに対して、本発明の二次電池において
使用する炭素材料はIp(002)/Io(002)が0.
7〜0.95、Ip(10)/Io(10)が0.6以下に
あって、C軸方向の結晶構造が良く発達し、しかも比表
面積が30m2/g以上であるものが好ましく、この炭
素材料は従来の負極用の炭素材料と比較して比表面積が
格段に大きいという特徴を有する、ここで、本発明でい
う比表面積とは、窒素を吸着ガスとしてBET法により
測定した値をいう。そして、本発明では炭素材料の比表
面積が30〜500m2/g、特に40〜300m2
g、更には100〜300m2/gであるのが、得られ
る電池の容量の大きさと出力の観点から好ましい。通
常、比表面積が500m2/gよりも大きいと、Ip(0
02)/Io(002)が0.7よりも小さくなり電極性
能が低下する。
【0020】本発明の電池の負極に使用する炭素材料
は、フラン樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ポ
リアクリロニトリル樹脂等の有機高分子化合物を焼成す
ることにより得られる炭素材料であっても、または石炭
系ピッチや石油系ピッチから得られる炭素材料であって
もよい。そのうちでも、本発明で用いる炭素材料は、メ
ソフェーズピッチから得られたものがよく、メソフェー
ズピッチを原料として使用すると、上記した結晶構造を
有する炭素材料を容易に得ることができる。
【0021】本発明において負極に使用する炭素材料の
形状は特に限定されないが、繊維状とするのが好まし
い。メソフェーズピッチを原料とした場合には、高配向
性の繊維状の炭素材料前駆体を得ることができ、これを
焼成することによって、上記した結晶構造を有する繊維
状の炭素材料を容易に得ることが可能である。
【0022】メソフェーズピッチは、例えば次の方法に
より得ることができる。すなわち、減圧軽油の熱接触分
解またはナフサの熱分解によって副生された残渣炭素物
質の石油系ピッチを360〜450℃の温度で常圧また
は加圧下で非酸化性気流下に撹拌加熱処理し、メソフェ
ーズを10〜50%含有するピッチを製造する。次い
で、これを非酸化性気流下で上記の加熱処理温度よりも
低い280〜350℃の温度に静置保持して上層の非メ
ソ層と下層のメソ層(両層は偏光顕微鏡で容易に確認可
能である)とに分離区分し、キノリン不溶分成分とキノ
リン可溶分成分のみによって構成されている100%メ
ソフェーズピッチを得る。
【0023】上記では石油系ピッチからメソフェーズピ
ッチを得る方法について説明したが、メソフェーズピッ
チ用原料としては石油系ピッチだけでなく、石炭系ピッ
チも使用することができるが、一般に、石油系ピッチを
使用して得たメソフェーズピッチを用いて炭素材料を製
造する方が、Ip(10)/Io(10)の値が小さくな
り、電極性能が向上するので好ましい。
【0024】メソフェーズピッチを原料として使用して
負極に使用する炭素材料を得るには、メソフェーズピッ
チの不融化および炭化を行う必要がある。メソフェーズ
ピッチの不融化方法としては、粉状に粉砕した後に25
0〜400℃の温度で酸素含有気体(空気など)に接触
させる方法、または250〜400℃の温度で紡糸した
後に250〜400℃の温度で酸素含有気体(空気な
ど)に接触させる方法を挙げることができ、本発明では
いずれの方法を採用してもよい。メソフェーズピッチの
不融化を行った後、800〜2500℃の温度に加熱し
て炭化処理を行うが、炭化処理は800〜1500℃の
温度で行うのが好ましい。炭化処理の温度が1500℃
を超えると、得られる炭素材料のIp(002)/Io
(002)が0.95より大きくなり易く、電極としての
性能が低下しがちである。特に好ましい炭化処理温度は
900〜1200℃である。
【0025】炭化処理を行っただけの炭素材料の比表面
積は通常10m2/g以下であるが、これに賦活処理を
施すことによりその比表面積を30m2/g以上にする
ことができる。賦活処理は、好ましくは800℃以上、
より好ましくは900℃以上の温度で、水蒸気、二酸化
炭素またはプロパンなどの燃焼ガスにさらすことにより
行う。その処理時間は通常5〜120分程度とするのが
よい。
【0026】本発明の電池で負極として用いる炭素材料
としては、繊維状の炭素材料が好ましいが、その際の炭
素繊維としては、横断面が円形で、繊維直径が5μm以
上、好ましくは5〜30μmであり、且つアスペクト比
が50以下、好ましくは1〜20のものを使用するのが
よい。メソフェーズピッチから断面円形の炭素繊維を製
造する場合は、その延伸処理工程でメソフェーズピッチ
が繊維の長さ方向に配向するため、それを不融化し炭化
することによって、リチウム等のアルカリ金属をインタ
ーカレートするのに好ましい高い結晶性を有する炭素材
料が得られる。アルカリ金属のインターカレートは、炭
素繊維の長さ方向の側面よりも横断面方向に起こり易い
ので、炭素繊維の繊維直径およびアスペクト比が重要に
なり、上記した繊維直径およびアスペクト比のもので
は、アルカリ金属が充分にインターカレートされる。
【0027】また、メソフェーズピッチから得られた炭
素繊維をアスペクト比が50以下になるまで粉砕した場
合には、賦活処理を施さなくても比表面積を30m2
g以上に上げることができる。メソフェーズピッチから
得られた炭素繊維の比表面積が炭素繊維を粉砕しただけ
で大幅に向上する理由は、炭素繊維の高次構造が例えば
ラジアル構造等の結晶の弱い部分を有する構造となるこ
とから、この部分が粉砕時に微細な亀裂を形成すること
によるものと推定される。比表面積の増大によって、ア
ルカリ金属のインターカレートをより充分に行うことが
可能となる。
【0028】本発明で使用する負極では、電気伝導性を
向上させるためにNi、Cu、Ti等の金属や、ステン
レス鋼等の合金、グラファイト等からなる高導電性物質
の粉末または繊維を上記炭素材料と混合して複合化する
のが好ましく、それらのうちでも特にグラファイトの混
合が導電性の向上の点から好ましい。その場合に使用す
るグラファイトとしては、負極の放電における電位平坦
性を得る上で、面間隔[d(002)]が3.35Å〜
3.38Åの高導電性のものを、全炭素体重量に対して
3〜50%混合するのが好ましく、5〜40%混合する
のがより好ましい。また、グラファイトの平均粒径は3
0μm以下であるのが好ましく、20μm以下がより好
ましい。グラファイトの混合割合および平均粒径が上記
の範囲から外れると、電極の導電性が不充分となり易
く、更にシート状電極への加工が難しくなる。このよう
にして導電化された負極を用いた電池は、高効率放電に
対しても電圧降下が小さく、放電容量が大きく、且つサ
イクル寿命の長い優れた性能を有する。
【0029】本発明における負極は、ペレット状電極ま
たはシート状電極のいずれでもよいが、負極の利用率、
電池への加工性等を考慮すると、シート状電極とするの
が好ましい。シート状電極に加工する際に特に塗工法を
用いる場合は、炭素繊維のアスペクト比が50以下であ
るのが好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が
更に好ましい。炭素繊維のアスペクト比が50よりも大
きいと塗工液中への炭素繊維の分散性が不良になる。
【0030】また、負極の炭素材料を含む活物質層の厚
さは20〜500μmが好ましく、50〜300μmが
より好ましい。該活物質層の厚さが20μmよりも小さ
いと、集電体を含むため負極のエネルギー密度が小さ
く、しかも均一な電極を作製するのが困難になり易い。
一方、該活物質層の厚さが500μmよりも大きいと、
負極の利用効率およびフレキシビリティーが低下する。
【0031】炭素材料層を有するシート状負極は、上記
で得られた炭素材料に適当な結着剤を混合し、これを集
電体に塗布、接着、圧着等の操作を施すことにより製造
することができる。その際の結着剤としては、テフロ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポ
リエチレンテレフタレート等を使用することができ、中
でもテフロン、ポリフッ化ビニリデンが好ましく、ポリ
フッ化ビニリデンが特に好ましい。ポリフッ化ビニリデ
ンを結着剤に用いる場合は、N−メチルピロリドン等の
溶媒にポリフッ化ビニリデンを溶解した溶液に上記炭素
材料を分散させて塗工液を調製し、これを集電体に塗布
し乾燥することによってシート状負極を作製することが
できる。その際の乾燥温度としては140〜400℃が
好ましく、170〜300℃がより好ましい。乾燥温度
が140℃よりも低いと、シート状負極の自己保持性が
充分でなくサイクル特性が低下し、一方400℃よりも
高いとポリフッ化ビニリデンの分解を生じて、やはりサ
イクル特性が低下する。
【0032】また、集電体としては、ニッケル、銅、チ
タン等の金属やステンレス鋼等の合金等からなる導電性
のホイル、金網、パンチングメタル、エキスパンドメタ
ル等を挙げることができる。負極に用いる集電体を粗面
化しておくと、活物質層と集電体との密着性が高くな
り、それによって負極の内部抵抗の低減、サイクル寿命
の向上を図ることができ、好ましい。本発明で使用する
負極は、コイン型、円筒型、ガム型、シート型電池への
加工が可能であり、特にシート型二次電池で使用すると
その優れた性能を充分に発揮することができる。
【0033】また、本発明の電池では、正極材料として
は、リチウムなどのアルカリ金属電池、とりわけアルカ
リ金属二次電池において一般的に用いうることが知られ
ている電極活物質であればいずれも使用できる。正極材
料としては、例えば遷移金属カルコゲン化合物、導電性
高分子、炭素体およびこれらの複合体を挙げることがで
きる。遷移金属カルコゲン化合物の具体例としては、V
25、TiO2、Cr38、MnO2、MnO3、CoO2、N
iO2等の酸化物、TiS2、FeS等の硫化物、LiとM
n、Ni、Coとの複合酸化物等を挙げることができ
る。また、導電性高分子の具体例としては、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、
ポリアズレン、ポリジフェニルベンジジン、ポリビニル
ピリジン、更にはポリ3−アルキルチオフェン等の誘導
体等を挙げることができる。これらの正極材料のうち、
特に電位平坦性の高い材料を使用するのが好ましい。
【0034】本発明の電池のうち、特に二次電池のサイ
クル寿命は、組合わされる正極活物質と負極活物質(炭
素体)のバランスに大きく影響される。正極活物質と負
極活物質(炭素体)の放電容量比(正極の放電容量/負
極の放電容量)が1以上の時にサイクル寿命の長い二次
電池を得ることができ、該放電容量比が1.2以上、更
には1.5以上の時に二次電池のサイクル寿命を一層長
いものにすることができる。
【0035】本発明の電池で使用する電解質は特に限定
されないが、リチウムなどのアルカリ金属イオンと陰イ
オンとの塩を挙げることができ、その際の陰イオンとし
ては例えばClO4 -、BF4 -、SbF6 -、AsF6 -、PF6
-、CF3SO3 -、SCN-等を挙げることができ、特に
PF6 -およびBF4 -が負極の放電容量、サイクル寿命お
よび安全性の点で好ましい。
【0036】本発明の電池では電解液として有機非水系
極性溶媒を使用するが、有機非水系極性溶媒としては非
プロトン性で且つ高誘電率のものが好ましい。その具体
例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、
ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホル
ムアミド、1,2−ジメトキエタン、メチルジグライ
ム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチ
ルグライム、エチルジグライム、ブチルジグライム等の
グライム類等を挙げることができる。それらのうちで
も、プロピレンカーボネートまたはエチレンカーボネー
トと1,2−ジメトキシエタン等の低粘度溶媒とを組合
わせると、負極の充放電効率を90%以上の高い値にす
ることができる。
【0037】電解液中における電解質の濃度は、使用す
る正極、電解質および有機非水系極性溶媒の種類などに
よって異なるので一概に規定することはできないが、通
常、0.001〜10モル/リットルの範囲とするのが
よく、0.1〜7モル/リットルがより好ましく、2〜
5モル/リットルが更に好ましい。本発明で使用する負
極では、電解質濃度を従来のリチウム電池で用いられて
いる1モル/リットル程度の濃度よりも高濃度領域にす
ることが好ましく、その場合には充放電効率を90%以
上と高くすることができる。なお、電解質や溶媒中に酸
素や水などが含まれると電池の性能を低下させる場合が
あるので、常法に従って電解質や溶媒を充分に精製して
おくのがよい。
【0038】本発明の電池では必要に応じてセパレータ
ーを用いることができる。その際のセパレーターとして
は、電解質溶液のイオン移動に対して低抵抗であり、且
つ溶液保持性に優れたものを使用するのがよい。そのよ
うなセパレーターの例としては、ガラス繊維フィルタ
ー、ポリエステル、テフロン、ポリフロン、ポリプロピ
レン等の高分子繊維からなる不織布フィルター、ガラス
繊維とそれらの高分子繊維とを混用した不織布フィルタ
ーなどを挙げることができる。
【0039】また、本発明の電池では、上記した電解液
やセパレーターの代わりに固体電解質を用いてもよい。
本発明で使用し得る無機系の固体電解質の例としては、
AgCl、AgBr、AgI、LiI、RbAg45、R
bAg44CN等を挙げることができる。また、有機系
の固体電解質の例としては、ポリエチレンオキサイド、
ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リアクリルアミドなどの重合体マトリックス中に上記し
た電解質塩を溶解させた複合体;それらのゲル架橋体;
低分子量ポリエチレンオキサイド、クラウンエーテルな
どのイオン解離基を重合体分子主鎖にグラフトさせた高
分子の固体電解質;高分子重合体に非水電解液を含有さ
せたゲル状固体電解質などを挙げることができる。その
うちでも、ゲル状高分子固体電解質は負極内部へ含浸で
き、均一な複合が可能であり、電極と固体電解質との界
面抵抗を低くすることができるので好ましい。このよう
にして得られる本発明で使用する負極は、ガス発生が全
くなく、ゲル状高分子電解質中においても、電解液中と
変わらず機能し、放電容量が大きく、しかも高いサイク
ル寿命を有している。
【0040】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はそれにより限定されない。
【0041】《参考例 1》[炭素材料の製造] 減圧軽油の熱接触分解(FCC)で副生される残渣炭素
物質の石油ピッチ(初留404℃、終留560℃)の留
分にリサイクル低級炭化水素ガスを送入しながら加熱温
度400℃で2時間加熱処理し、これを320℃で10
時間加熱してそこに含まれるメソフェーズを熟成した。
次いで、熱接触分解用触媒の微小な無機質固形物を含有
するメソフェーズピッチを上記の熟成物から分離して精
製した後、温度400℃で6時間加熱処理してメソフェ
ーズを45.2%含有するピッチをつくり、これを熟成
処理した後、粘度の差によって100%メソフェーズピ
ッチを分取した(温度308℃においてメソフェーズピ
ッチの粘度は108ポイズであり、非メソフェーズピッ
チの粘度は10ポイズである)。
【0042】上記で得た100%メソフェーズピッチを
紡糸温度303℃で溶融紡糸し、このフィラメント原糸
を300℃で不融化した後、1000℃で炭化処理し
た。その結果繊維直径10μmの横断面形状が円形の炭
素繊維を得た。また、その横断面はラジアル構造を有し
ていた。更に、その比表面積を(株)湯浅アイオニクス
社製のモノソープ型比表面積測定装置を用いて窒素を吸
着ガスとするBET法により測定したところ、8m2
gであった。
【0043】上記で得た炭素繊維のX線回折強度曲線を
測定した。その際の測定条件は、45kV、40mA、
CuKα線(λ=1.5418Å)、サンプリング幅=
0.020deg、走査速度=4.000deg/分、
発散スリット=1.00deg、散乱スリット=1.0
0deg、受光スリット=0.30mmとした。得られ
た炭素繊維は、2θ=25.14°において回折ピーク
を有していた。2θより計算した面間隔[d(002)]
は3.54Åであった。(002)面からのX線回折強
度曲線の半値幅より測定したC軸方向の結晶子の大きさ
は15Åであった。黒鉛的結晶構造パラメーターIp
(002)/Io(002)は0.85であり、Ip(10)
/Io(10)は0.4であった。また、得られた炭素繊
維の一部をボールミルで粉砕して、平均繊維長が300
μm(アスペクト比30)の粉砕物を得た。この粉砕さ
れた炭素繊維の比表面積を(株)湯浅アイオニクス社製
のモノソープ型比表面積測定装置を用いて窒素を吸着ガ
スとするBET方により測定したところ、45m2/g
であった。
【0044】《参考例 2》[炭素材料の製造] 参考例1で得られた粉砕前の炭素繊維の一部をプロパン
燃焼ガス中で980℃で30分間賦活処理した。賦活し
た炭素繊維の収率は94%であった。賦活処理後の炭素
繊維の比表面積を参考例1におけるのと同様にして測定
したところ、38m2/gであった。この炭素繊維をボ
ールミルで粉砕し、平均繊維長が50μm(アスペクト
比5)の粉砕物を得た。この粉砕物の比表面積を同様に
して測定したところ95m2/gであった。
【0045】《実施例 1》上記の参考例1で得た炭素
繊維の粉砕物とテフロン粉末を重量比9:1の割合で混
合して、この混合物を2t/cm2の圧力下に200メ
ッシュのSUS304金網に圧着して、リチウム二次電
池用負極を作製した。これを作用極として用い、リチウ
ムを対極および参照極として使用し、プロピレンカーボ
ネートと1,2−ジメトキシエタンとの7:3混合液
(体積比)を溶媒とする3.5M LiBF4溶液を電解液
として用いて、負極活物質の放電容量を測定した。放電
容量の測定は、定電位で5時間充電を行った後に、0.
2mA/cm2の定電流で2.5Vまで放電を行い測定
した。その結果得られた各充電電位における放電容量を
下記の表1に示す。
【0046】《実施例 2》上記参考例1において、紡
糸条件を変えることにより繊維直径20μmで横断面形
状が円形の炭素繊維を得た。この炭素繊維の横断面はラ
ジアル構造であった。得られた炭素繊維をボールミルで
粉砕して、平均繊維長が100μm(アスペクト比5)
の粉砕物を得た。この粉砕された炭素繊維の比表面積を
参考例1と同様にして測定したところ、比表面積は68
2/gであった。この粉砕物を使用して実施例1と同
様にして二次電池負極を作製し、その放電容量を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0047】《実施例 3》実施例1で使用したのと同
じ炭素繊維の粉砕物とテフロン粉末を重量比9:1の割
合で混合して、この混合物を2t/cm2の圧力下に2
00メッシュのSUS304金網に圧着して、リチウム
二次電池用負極を作製した。これを作用極として用い、
リチウムを対極および参照極として使用し、プロピレン
カーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの7:3混
合液(体積比)を溶媒とする3.5M LiClO4溶液を電
解液として用いて、負極活物質の放電容量を実施例1に
おけるのと同様にして測定した。その結果を表1に示
す。
【0048】《実施例 4》電解液として、プロピレン
カーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの7:3混
合液(体積比)を溶媒とする3.5M LiClO4溶液を用
いた以外は実施例2と全く同様にして負極の作製および
放電容量の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0049】《実施例 5》炭素繊維を得る際の炭化温
度を900℃にした外は参考例1と同様にして炭素繊維
を製造したところ、表1に示すIp(002)/Io(0
02)およびIp(10)/Io(10)の値を有する炭素
繊維の粉砕物を得た。なお、粉砕前の炭素繊維の直径は
10μmであり、その横断面はラジアル構造を有してい
た。また粉砕後の炭素繊維の平均繊維長は300μm
(アスペクト比30)であった。この粉砕物を用いて実
施例1と同様にして二次電池用負極の作製および放電容
量の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0050】《実施例 6》上記の参考例2で得た賦活
処理した炭素繊維の粉砕物とテフロン粉末を重量比9:
1の割合で混合して、この混合物を2t/cm2の圧力
下に200メッシュのSUS304金網に圧着して、リ
チウム二次電池用負極を作製した。これを作用極として
用い、リチウムを対極および参照極として使用し、プロ
ピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの
7:3混合液(体積比)を溶媒とする3.5M LiBF4
溶液を電解液として用いて、負極活物質の放電容量を測
定した。放電容量の測定は、負極の定電位で5時間充電
を行った後に、0.2mA/cm2の定電流で2.5V
まで放電を行い測定した。その結果得られた各充電電位
における放電容量を下記の表1に示す。
【0051】《実施例 7》賦活処理時間を60分とし
た以外は参考例2と全く同様にして、比表面積が125
2/gの賦活処理および粉砕された炭素繊維を得た。
この炭素繊維を用いて実施例6と同様にして二次電池負
極を作製し、その放電容量を測定した。その結果を表1
に示す。
【0052】《実施例 8》実施例6で使用したのと同
じ賦活処理された炭素繊維の粉砕物とテフロン粉末を重
量比9:1の割合で混合して、この混合物を2t/cm
2の圧力下に200メッシュのSUS304金網に圧着
して、リチウム二次電池用負極を作製した。これを作用
極として用い、リチウムを対極および参照極として使用
し、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタ
ンとの7:3混合液(体積比)を溶媒とする3.5M Li
ClO4溶液を電解液として用いて、負極活物質の放電容
量を実施例1におけるのと同様にして測定した。その結
果を表1に示す。
【0053】《実施例 9》電解液として、プロピレン
カーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの7:3混
合液(体積比)を溶媒とする3.5M LiClO4溶液を用
いた以外は実施例7と全く同様にして負極の作製および
放電容量の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0054】《実施例 10》賦活処理温度を1000
℃とし、賦活処理時間を90分とした以外は参考例2と
同様にして、比表面積が220m2/gの賦活処理され
た炭素繊維を得た。この炭素繊維を用いて実施例6と同
様にして負極の作製および放電容量の測定を行った。そ
の結果を表1に示す。
【0055】《比較例 1》実施例1で使用したものと
同じ炭素繊維粉砕物[Ip(002)/Io(002)=
0.85、Ip(10)/Io(10)=0.40、d(0
02)=3.54Å、Lc(002)=15Å、比表面積
=45m2/g]を1500℃の炭化温度で再度熱処置
に付した。この炭素繊維の比表面積は8m2/gであ
り、炭化温度を上げることにより比表面積が減少した。
この炭素繊維を用いて実施例1と同様にして二次電池用
負極の作製および放電容量の測定を行った。その結果を
表1に示す。
【0056】《比較例 2》コールタールを150℃に
加温した状態で濾紙を使用して加圧濾過して、コールタ
ール中の一次キノリン可溶分を除去して精製タールを
得、これを減圧蒸留して低沸点成分を除去した。その結
果得られたピッチ500gを1リットル容量のオートク
レーブに仕込み、10リットル/分の割合で空気を吹き
込みながら350℃で2時間加熱処理して、非メソピッ
チを得た(軟化点298℃)。上記で得た非メソピッチ
を340℃の温度で溶融紡糸した後、290℃で不融化
処理を行った。この不融化繊維を粉砕した。次いで、1
500℃で炭化処理をして繊維直径10μmおよびアス
ペクト比30の炭素繊維を得た。この炭素繊維のIp
(002)/Io(002)およびIp(10)/Io(1
0)の値は表1に示すとおりであった。この炭素繊維を
使用して、実施例1と同様にして二次電池用負極を作製
し、電解質としてLiClO4を使用した以外は実施例1
と全く同様にして放電容量を測定した。その結果を表1
に示す。
【0057】《比較例 3》炭素繊維の炭化処理温度を
2000℃とした以外は比較例2と同様にして非メソフ
ェーズピッチからなる炭素繊維を製造したところ、下記
の表1に示すIp(002)/Io(002)およびIp
(10)/Io(10)の値を有する炭素繊維が得られた。
この炭素繊維を使用して比較例2と全く同様にして二次
電池用負極の作製および放電容量の測定を行った。その
結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】《実施例 11》LiCoO2と20%のグ
ラファイトおよび10%のテフロンからなる混合物を2
00メッシュのSUS304金網に圧力2t/cm2
プレスして正極とした。負極として実施例3で作製した
負極を使用し、電解液としてプロピレンカーボネートと
1,2−ジメトキシエタンとの7:3混合液(体積比)を
溶媒とする3MLiClO4溶液を用いて、2016タイ
プのコイン型二次電池を作製した。なお、セパレーター
には微多孔質ポリプロピレンを使用した。3〜4Vの電
圧範囲で0.5mAで充放電を行って放電容量を測定し
たところ、放電容量は15.4mAhであり、良好なサ
イクル特性を示した。
【0060】《実施例 12》ポリアニリンと20%の
グラファイトからなる混合物を200メッシュのSUS
304金網に2t/cm2の圧力下にプレスして正極を
作製し、この正極を使用した以外は実施例11と全く同
様にして2016タイプのコイン型二次電池を作製し
た。2〜3.6Vの電圧範囲で0.5mAで充放電を行っ
て放電容量を測定したところ、放電容量は6.0mAh
であり、良好なサイクル特性を示した。
【0061】《実施例 13》電解二酸化マンガンと炭
酸リチウムのモル比7:1.5の混合物を400℃で焼
成したものと、20%のグラファイトおよび10%のテ
フロンからなる混合物を200メッシュのSUS304
金網に2t/cm2の圧力下にプレスして正極を作製し
た。そして、この正極を使用した以外は実施例11と全
く同様にして2016タイプのコイン型二次電池を作製
した。2〜3.6Vの電圧範囲で0.5mAで充放電を行
って放電容量を測定したところ、放電容量は17.9m
Ahであり、良好なサイクル特性を示した。
【0062】《実施例 14》実施例1で用いたものと
同じ炭素繊維の粉砕物を2500℃で焼成することによ
りグラファイト粉末を得た。このグラファイトの比抵抗
は6×10-4Ω・cmであり、d(002)は3.37
Åであった。実施例1で得られた炭素繊維の比抵抗が1
×10-2Ω・cmであることを考慮すると、導電性が大
幅に向上していた。このものを導電性向上剤として混合
して負極を作製した。すなわち、このグラファイトと実
施例1で用いた炭素繊維とテフロン粉末を2:7:1の
重量比で混合し、実施例1と同様にして負極を作製し
た。電解液としてエチレンカーボネートと1,2−ジメ
トキシエタンとの1:1混合液(体積比)を溶媒とする2
MLiPF6溶液を用いる以外は実施例11と同様にして
2016タイプのコイン型二次電池を作製した。3〜4
Vの電圧範囲で0.5mAで充放電を行って放電容量を
測定したところ、放電容量は16.5mAhであり、放
電電流1mAでの放電容量は16.0mAhであった。
この二次電池は良好なサイクル特性を示した。
【0063】《実施例 15》実施例14で作製した負
極を用い、電解液としてプロピレンカーボネートと1,
2−ジメトキシエタンとの6:4混合液(体積比)を溶媒
とする3.5M LiBF4溶液を用いる以外は実施例1
2と同様にして2016タイプのコイン型二次電池を作
製した。2〜3.6Vの電圧範囲で0.5mAで充放電
を行って放電容量を測定したところ、放電容量は7.0
mAhであり、放電電流1mAでの放電容量は6.7m
Ahであった。この二次電池は良好なサイクル特性を示
した。
【0064】《実施例 16》参考例1において、紡糸
条件を変えることにより繊維直径8μmの炭素繊維を得
た。この炭素繊維を自動乳鉢で粉砕して平均繊維長が3
2μmの粉砕物を得た(アスペクト比4)。この炭素繊
維のIp(002)/Io(002)は0.85であり、I
p(10)/Io(10)は0.4であった。またd(00
2)は3.54Å、C軸方向の結晶子の大きさは15
Å、比表面積は69m2/gであった。
【0065】上記の炭素繊維の粉砕物とポリフッ化ビニ
リデンとN−メチルピロリドンを9:1:9の重量割合
で混合、撹拌して塗工液を調製した。この塗工液をエメ
リー紙により粗面化した厚さ18μmの銅ホイルの片面
に塗布し、200℃の温度で乾燥して5cm×5cmの
負極を作製した。1M アニリンおよび1M HBF4
の水溶液からSUS304ホイルを電極として1mA/
cm2の定電流で電解重合法により5cm×5cmのポ
リアニリン正極を作製した。メトキシポリエチレングリ
コールモノアクリレート(新中村化学社製「AM−90
G」)を75g、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート(新中村化学社製「9G」)を25g、LiBF4
を20g、プロピレンカーボネートを100g、2,2
−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.4g
混合して均一な溶液とした。この溶液を正極、負極およ
び微多孔性ポリプロピレンセパレーターに充分含浸さ
せ、各電池要素をガラス板で挟み、超高圧水銀灯を照射
して高分子固体電解質を複合化した。各電池要素を貼合
わせて、0.5mm×5.4cm×5.4cmのシート
型二次電池を作製した。なお、外装材にはアルミニウム
/変性ポリプロピレンラミネートフイルムを用いた。2
〜3.7Vの電圧範囲で1mAで充放電を行って放電容
量を測定したところ、放電容量は16.1mAhであ
り、この二次電池のサイクル寿命は500回以上であっ
た。
【0066】《実施例 17》LiCoO2と20%のグ
ラファイトおよび10%のテフロンからなる混合物を2
00メッシュのSUS304金網に圧力2t/cm2
プレスして正極とした。負極として実施例6で作製した
負極を使用し、電解液としてプロピレンカーボネートと
1,2−ジメトキシエタンとの7:3混合液(体積比)を
溶媒とする3MLiClO4溶液を用いて、2016タイ
プのコイン型二次電池を作製した。なお、セパレーター
には微多孔質ポリプロピレンを使用した。2〜3.6V
の電圧範囲で0.5mAで充放電を行って放電容量を測
定したところ、放電容量は22.3mAhであり、良好
なサイクル特性を示した。
【0067】《実施例 18》ポリアニリンと20%の
グラファイトからなる混合物を200メッシュのSUS
304金網に2t/cm2の圧力下にプレスして正極を
作製し、この正極を使用した以外は実施例17と全く同
様にして2016タイプのコイン型二次電池を作製し
た。2〜3.6Vの電圧範囲で0.5mAで充放電を行っ
て放電容量を測定したところ、放電容量は8.5mAh
であり、良好なサイクル特性を示した。
【0068】《実施例 19》電解二酸化マンガンと炭
酸リチウムのモル比7:1.5の混合物を400℃で焼
成したものと、20%のグラファイトおよび10%のテ
フロンからなる混合物を200メッシュのSUS304
金網に2t/cm2の圧力下にプレスして正極を作製し
た。そして、この正極を使用した以外は実施例17と全
く同様にして2016タイプのコイン型二次電池を作製
した。2〜3.6Vの電圧範囲で0.5mAで充放電を行
って放電容量を測定したところ、放電容量は25.3m
Ahであり、良好なサイクル特性を示した。
【0069】《比較例 4》石炭系ニードルコークス
(新日鉄化学社製「LPC−U」)を粉砕して、平均粒
径30μmの粉末を得た。ニードルコークスのd(00
2)は3.46Å、Lc(002)は45Å、Ip(0
02)/Io(002)は0.96、Ip(10)/Io(1
0)は0.3、比表面積は4m2/gであった。このニー
ドルコークス粉砕物を用いる以外は実施例16と同様に
してシート型二次電池を作製した。2〜3.7Vの電圧
範囲で1mAで充放電を行って放電容量を測定したとこ
ろ、放電容量は13.7mAhであり、またこの二次電
池のサイクル寿命は25回であった。
【0070】
【発明の効果】本発明では、有機非水系極性溶媒にアル
カリ金属塩を電解質として溶解した非水系電解液を用い
る電池において、負極にX線回折強度曲線の(002)面
の回折ピークにおける黒鉛的結晶構造パラメーターIp
(002)/Io(002)が0.7〜0.95の範囲にあ
り、且つX線回折強度曲線の(10)面の回折ピークに
おける黒鉛的結晶構造パラメーターIp(10)/Io
(10)が0.6以下である炭素材料を用いたことによ
り、自己放電性が少なく、充放電容量が大きく、充放電
サイクル特性が良好で、しかも急速充放電性に優れるこ
とから、とりわけ二次電池として有用な非水電解液電池
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素材料のX線回折強度曲線、並びに該曲線か
らのIp(002)/Io(002)、およびIp(10)/
Io(10)の値の求め方を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 修志 岡山県岡山市西大寺東二丁目5番16号 (56)参考文献 特開 平4−280068(JP,A) 特開 平5−121097(JP,A) 特開 平1−160814(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/00 - 4/62

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機非水系極性溶媒にアルカリ金属塩を
    電解質として溶解した非水系電解液を用いる非水電解液
    電池において、負極にX線回折強度曲線の(002)面
    の回折ピークにおける黒鉛的結晶構造パラメーターIp
    (002)/Io(002)が0.7〜0.95の範囲に
    あり、且つX線回折強度曲線の(10)面の回折ピークに
    おける黒鉛的結晶構造パラメーターIp(10)/Io
    (10)が0.6以下である炭素材料を用いたことを特徴
    とする非水電解液電池。
  2. 【請求項2】 炭素材料が、(002)面の面間隔[d
    (002)]が3.42Å〜3.70Åの範囲にあり、且
    つC軸方向の結晶子の大きさ[Lc(002)]が10Å
    〜70Åの範囲にある炭素材料である請求項1に記載の
    非水電解液電池。
  3. 【請求項3】 比表面積が30m2/g以上である炭素
    材料を用いた請求項1または請求項2に記載の非水電解
    液電池。
  4. 【請求項4】 炭素材料がメソフェーズピッチ由来の炭
    素材料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水
    電解液電池。
  5. 【請求項5】 炭素材料が繊維状炭素材料である請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  6. 【請求項6】 繊維状炭素材料が繊維直径5μm以上で
    アスペクト比が50以下の繊維状炭素材料である請求項
    5に記載の非水電解液電池。
  7. 【請求項7】 有機非水系極性溶媒中のアルカリ金属塩
    の濃度が2〜5モル/リットルである請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の非水電解液電池。
  8. 【請求項8】 負極に、X線回折強度曲線の(002)
    面の回折ピークにおける黒鉛的結晶構造パラメーターI
    p(002)/Io(002)が0.7〜0.95の範囲
    にあり、且つX線回折強度曲線の(10)面の回折ピーク
    における黒鉛的結晶構造パラメーターIp(10)/Io
    (10)が0.6以下である炭素材料とグラファイトとの
    混合物を用いた請求項1〜7のいずれか1項に記載の非
    水電解液電池。
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