JPH11151769A - 化粧材及びその製造方法 - Google Patents

化粧材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11151769A
JPH11151769A JP33371097A JP33371097A JPH11151769A JP H11151769 A JPH11151769 A JP H11151769A JP 33371097 A JP33371097 A JP 33371097A JP 33371097 A JP33371097 A JP 33371097A JP H11151769 A JPH11151769 A JP H11151769A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer
layer
solid particles
base material
unevenness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33371097A
Other languages
English (en)
Inventor
Hachiro Kamikawa
八郎 上川
Masaru Okamoto
優 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP33371097A priority Critical patent/JPH11151769A/ja
Publication of JPH11151769A publication Critical patent/JPH11151769A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Finishing Walls (AREA)
  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 現実の凹凸以上に視覚的に強調されて感じら
れる凹凸により、薄くても肉厚感、重厚感等が得られる
化粧材とその製造方法を提供する。 【解決手段】 使用時に表面の凹凸によって発生する陰
影による濃淡の領域に、その濃淡と同調した濃淡に表面
を成らしめる装飾層で装飾された構成とする。化粧材の
基材の表面を装飾層で装飾するには、装飾層を含む転写
層と支持体とからなる転写シートの転写で行う。転写圧
印加は弾性体ローラの押圧や、転写シートの支持体側に
多数の固体粒子を衝突させて得られる固体粒子の衝突圧
による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材等に用いる化粧材であって、特に、現実の凹凸以上
に視覚的に強調されて感じられる凹凸により、薄くても
肉厚感、重厚感等が得られる化粧材とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、壁装材、特にサイディング等の外
壁材の高級化志向において、その化粧材の基材の厚みが
増し、より深い凹凸のデザインが好まれる傾向がある。
そして、従来この様な化粧材を製造するには、基材表面
に所望の形状、深さの凹凸を形成し、その表面の装飾
は、グラビア印刷等の通常の印刷手段では深い凹凸基材
面に対しては不可能な為に、塗装等によっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、基材表面の
凹凸が深くなれば、装飾は塗装でしか出来ない為、単純
な意匠表現に限定された。しかも、基材の厚みが増せ
ば、壁装材が重くなり施工性が悪くなるので、施工性を
良くする為には、基材には中空構造や比重の軽い材料の
使用等が必要であった。従って、深い凹凸があり、且つ
塗装では出来ない様な印刷によってのみ可能な絵柄等に
よる意匠表現を伴った化粧材は、従来は得ることが出来
なかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の化粧材では、使用時に表面の凹凸によ
って発生する陰影による濃淡の領域が、該濃淡と同調し
た濃淡に表面を成らしめる装飾層で装飾された構成の化
粧材とした。この結果、化粧材に於ける凹凸が、基材の
現実の凹凸以上に強調されて感じられる為、基材本来の
厚み以上に強調された肉厚感や重厚感等が得られる。ま
た、基材の厚みを、視覚される凹凸感から予想される厚
みに比べて薄くでき、軽量化が可能となり施工性も向上
する。
【0005】そして、本発明の化粧材の製造方法の第1
の方法では、支持体と少なくとも装飾層を含む転写層と
からなる転写シートを用いて、転写圧印加を弾性体ロー
ラの押圧で行って転写することで、凹凸表面を有する基
材の凹凸表面に、化粧材になった時の使用時に表面の凹
凸によって発生する陰影による濃淡の領域に、該濃淡と
同調した濃淡に表面を成らしめる装飾層を転写する方法
とした。上記化粧材が得られる本製造方法では、化粧材
に於ける凹凸が、基材の現実の凹凸以上に強調されて感
じられる為、基材の現実の凹凸は浅くても済むので、視
覚から感じられる深さの凹凸が不可能となる弾性体ロー
ラによる転写法でも、凹凸を強調する装飾層の転写が可
能となる。従って、装飾層を平易な弾性体ローラによる
転写法でも転写できる。しかも、転写シートを用いるの
で、印刷柄による意匠表現も同時にできる。
【0006】また、本発明の化粧材の製造方法の第2の
方法では、支持体と少なくとも装飾層を含む転写層とか
らなる転写シートを用いて、転写圧印加を転写シートの
支持体側へ衝突させる固体粒子の衝突圧によって行って
転写することで、凹凸表面を有する基材の凹凸表面に、
化粧材になった時の使用時に表面の凹凸によって発生す
る陰影による濃淡の領域に、該濃淡と同調した濃淡に表
面を成らしめる装飾層を転写する方法とした。その結
果、上記化粧材の製造方法に対して、基材の凹凸が更に
深い化粧材でも製造が可能となる。より深い凹凸によっ
て更に肉厚感、重厚感に富んだ高意匠な化粧材を得る事
ができる。また、転写シートを用いるので、印刷柄によ
る意匠表現も同時にできる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧材及びその製
造方法の実施の形態を説明する。
【0008】先ず、図1は本発明の化粧材を概念的に説
明する概念図である。図1(A)は本発明の化粧材Dの
表面の凹凸の一例を示す断面図であり、また、該化粧材
Dに対して日光や人工光等の光源Lの照明により、表面
の凹凸で発生する陰影による濃淡及びその位置を示す。
また、図1(B)は化粧材Dを正面から見た平面図で化
粧材は装飾層によって、図1(A)の陰影による濃淡の
領域に、該濃淡と同調した濃淡に表面がなっている様子
を示す。つまり、図1(A)の陰影による濃淡及びその
位置と、共に(濃淡及び位置が)同調した濃淡に表面が
なっている様子を示す。また、図1(C)は、図1
(A)の陰影による濃淡と図1(B)の装飾層による濃
淡とで得られる濃淡を、位置座標xを図面上下方向とし
た時の光学反射濃度D(x)の位置による変化で示す。
【0009】図1(A)で示す様に、化粧材Dは使用時
には、何らかの光源により照明されて、適宜装飾された
その表面により所望の意匠感等を表現する。そして、化
粧材の表面に凹凸があると、その凹凸によって照明光が
届きにくい部分には影が発生する。そして、通常は直接
光が届かない部分が最も暗くなる。また、照明光が斜め
に当たる部分も幾分暗く見える。これらの結果、暗く見
える暗部1と、明るく見える明部2とが発生する。暗部
1と明部2とによる濃淡は、濃度の高低とその位置とに
より濃淡パターン3となる。つまり、濃淡パターン3
は、化粧材の使用時に表面の凹凸によって発生する陰影
による濃淡が、位置の関数として変化することによって
得られるパターンである。濃淡パターンの濃淡は、凹凸
が深いほど、また凹凸形状が角張っている(角部の曲率
が大)ほど、明暗差が大きく、影の輪郭はハッキリと見
える。そして、人は、立体物の立体形状を視覚認識する
ときは、この濃淡パターンにより行っている。そこで、
本発明の化粧材では、この視覚認識プロセスを利用し
て、照明で発生する凹凸による濃淡パターンに重ねて、
同じ様な濃淡パターンを装飾層により化粧材表面に与え
て、これら現実及び人工の両方の濃淡パターンをダブら
せることによって、現実の凹凸をその凹凸以上に視覚的
に強調されて感じられる様にしたものである。
【0010】図1(B)は、装飾層によって化粧材の表
面に付与された濃淡が、濃い部分の暗部1aと淡い部分
の明部2aからなる濃淡パターン3aからなっている事
を示す。装飾層は弾性体ローラによる転写や、固体粒子
衝突圧による転写で基材の凹凸表面に形成する。装飾層
の濃淡パターン3aは図1(A)の現実の濃淡パターン
3に対応したパターンであり、現実の濃淡パターン3の
濃淡及びその位置と同一又は類似のパターンである。図
1(A)に於ける現実の暗部1となる面には装飾層の暗
部1aが濃淡(濃い薄い)及び位置的に同調し、現実の
明部2となる面には装飾層の明部2aが濃淡及び位置的
に同調する様にしてある。装飾層の濃淡パターン3a
は、概念図である図1では凹凸が図面上下方向にのみ滑
らかな波形状の凹凸を想定しているので、直線状に図面
横方向に縞状の模様となる。ちなみに、凹凸の陰影と装
飾層によって得られる化粧材表面の濃淡パターン3aと
の両方の複合によって得られる光学反射濃度D(x)、
及び凹凸の陰影のみによって得られる光学的反射濃度D
a(x)は図面上下方向で、図1(C)の様になる。暗
部1aでは光学反射濃度D(x)、Da(x)はともに
大きく、明部2aでは光学反射濃度D(x)、Da
(x)はともに小さい。そして、光学反射濃度Da
(x)〔図1(C)の破線〕と光学反射濃度D(x)
〔図1(C)の実線〕とを比較すれば分かる様に、光学
反射濃度D(x)は光学反射濃度Da(x)よりも、陰
影の暗部の光学反射濃度は高くなる。
【0011】装飾層に於いては基本的には、暗部1aは
暗色として、明部2aは明色に配色する。例えば明色は
化粧材本来の色相、明度、彩度にして、暗色は明色の明
度のみ、或いは明度と彩度の両方を低下させ、色相は明
色に合わせると良い。或いは、明色は、チントカラー
(tint color)として元の色に白を加えた色
とし、暗色としてはシェードカラー(shade co
lor)として元の色に黒を加えた色とする。或いは、
暗部には暗い色相を明部には明るい色相を用いても良
い。或いはまた、以上のことに加えて、暗部の光沢度を
低く、明部の光沢度をより高くすると、陰影の視覚的凹
凸を強調する効果が更に高まる。なお、装飾層は濃淡パ
ターンのみを有し、その他のパターン(柄)が無くとも
良いが(無地柄、ベタ、透明、濃淡パターンに応じて層
自身の有り無しがある等)、通常は、石材や木材等の質
感やその他の意匠表現をする為の柄を有する。従って、
装飾層の濃淡パターンは、この様な柄(意匠パターン)
の配色を、暗部1aでは暗色に明部2aでは明色にして
得られるパターンとなる。つまり、この場合、装飾層全
体としての模様は、現実の凹凸を強調する為の純粋な濃
淡パターンと、意匠パターンとが掛け合わさったパター
ンとなる。
【0012】なお、図1(B)では、化粧材の表面の凹
凸は、滑らかな波の形状の為、装飾層の濃淡パターン3
aは、暗部1aと明部2aとの境界は明確な輪郭が無い
様にした(光学反射濃度が滑らかな波形状)。この様
に、暗から明への、又は明から暗への光学反射濃度Dの
変化は、基本的には、実際の陰影による濃淡に近似させ
るが、一般に位置の連続関数とする濃度勾配にすること
が好ましい。しかし、現実の凹凸の角が鋭角形状等で
は、実際の陰影による濃淡にも明と暗の境界が明確な場
合もあり、この様な場合には明確にしても良い。また、
表面の凹凸で発生する陰影による濃淡の中で最も暗い部
分に対応した、、装飾層の暗部を、最も暗くするのが理
想的であるが、装飾層では全体として暗部と明部が分か
れている様な濃淡でも相応の効果は得られのでかまわな
い。また、化粧材の使用時に表面の凹凸によって発生す
る陰影は、外壁材であれば、季節、時間等により日光の
位置が変化する。この様に光源の位置は必ずしも厳密に
一定しないのが普通であろうし、従って、陰影の濃淡及
びその位置も微妙に変化する。しかし、通常の場合は殆
ど、凸部の影となる所や凹んだ所はやはり影が出来る事
からも分かる様に、一次近似的には、光源の取り得る位
置によって得られる数々の陰影の包括的な陰影を装飾層
の濃淡の対象にすれば良い。また、最も有り得る光源の
位置による陰影を対象とすれば良い。或いはまた、光源
の取り得る位置が種々変化しても、常に陰影であり続け
る領域が存在する場合は、その領域を対象とすれば良
い。
【0013】以上の説明では、単純化の為に、暗黙の内
に装飾層の下の基材は見えず、化粧材表面として見える
模様(外観)は、装飾層のみによる場合とした。しか
し、一般に化粧材表面の装飾は、下の基材の色も活かし
て、基材色と装飾層との両方で最終的な表面装飾を行う
事もある。基材色を活かせれば、その分、多色刷りの装
飾層では色数を減らせ経済的だからである。この場合、
装飾層は一部が透明であるか、一部が層として欠落して
基材自体が露出している。従って、本発明の化粧材に於
いて、この様に基材色を一部流用する場合の装飾層は、
極端な場合、基材色が暗色でその色をそのまま暗部の全
領域で活かすならば、装飾層としては明色の明部のみ
が、陰影による明部に同調した位置に有り暗部は全く無
い層となる。また、明暗がこの逆の場合もあり得る。も
ちろん、基材色を暗部又は明部に於いてその領域の全面
で流用せずに、基材色が部分的に見える様に基材色の一
部を活かす場合もあり得る。つまり、本発明に於いて、
凹凸によって発生する陰影による濃淡の領域について、
該濃淡と同調した濃淡に表面を成らしめる装飾層とは、
基材が装飾層で完全に隠蔽され装飾層のみによって化粧
材表面の外観が、現実の陰影による濃淡に同調した濃淡
となる場合と、基材が装飾層で完全には隠蔽されず装飾
層と基材との両方によって作りだされる化粧材表面の外
観が、現実の陰影による濃淡に同調した濃淡となる場合
とがある。また、装飾層の前記濃淡パターン3aは、暗
部と明部の両方が有る場合だけでなく、基材色を活かす
事で結果として暗部と明部とになる、暗部だけのパター
ン、明部だけのパターンの意味も含む。
【0014】以上の様に、本発明の化粧材では、使用時
に表面の凹凸によって発生する陰影による濃淡の領域
を、該濃淡と同調した濃淡の表面に装飾層で成らしめ
る。これら現実及び人工の両方の濃淡による表面の濃淡
により、陰影の濃い部分の表面は装飾層により表面の濃
淡を(濃い部分ではなく)淡い部分に対して相対的によ
り濃い部分とし、陰影の淡い部分の表面は装飾層により
表面の濃淡を濃い部分に対して相対的により淡い部分と
し、陰影による濃淡の濃い淡いの位置的パターンに装飾
層によって得られる表面の濃淡の濃い淡いの位置的パタ
ーンを一致させる。この結果、凹凸が現実の凹凸以上に
強調されて感じられる視覚効果が得られる。そして、本
発明の化粧材の製造方法では、この様な視覚効果を付与
する装飾層を、弾性体ローラによる転写や、固体粒子衝
突圧による転写によって形成する。特に後者は、前者で
は不可能な表面凹凸が深い場合でも凹凸の奥まで転写が
できるので、深い凹凸で肉厚感や重厚感に富んだ化粧材
を容易に得られる。
【0015】以下、更に本発明の化粧材及びその製造方
法を詳述する。
【0016】〔基材〕基材の材質は任意であり、例え
ば、板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメ
ント板、スラグセメント板、ALC(軽量気泡コンクリ
ート)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)板、パ
ルプセメント板等の非陶磁器窯業系板、木材単板や木材
合板、パーティクルボード、集成材、木質中密度繊維板
(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウム、銅等
の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、ポリプロ
ピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品等
でも良い。また、基材表面の(装飾層による濃淡を同調
させる対象となる陰影を発生させる)凹凸の形状も特に
限定されず、図1で例示した様な滑らかな波形状、或い
はU字型に窪んだ溝状の凹部で構成される凹凸形状等と
任意である。特に、固体粒子衝突圧を用いる転写では、
弾性体ローラによる転写では不可能な深い凹部や切り立
った凹部にも転写できるからである。表面の凹凸は二次
元的凹凸でも三次元的凹凸でも良い。二次元的凹凸の例
としては、サネ部分が直線状溝となった羽目板、断面が
図1〜図4の如き波板等の表面凹凸がある。また、三次
元的凹凸の例としては、煉瓦やタイルを二次元配列させ
てなる縦横に目地溝が走る表面凹凸がある。なお、これ
ら凹凸よりも小さい凹凸が表面に有っても良い。この小
凹凸に対しては、装飾層による濃淡は対応させずに、そ
のまま現実の凹凸を活かせば良い。なお、基材の表面を
凹凸にするには、プレス加工、エンボス加工、押し出し
加工、切削加工、成形加工等の加工法を用いることがで
きる。
【0017】また、基材の形状は、平板、曲面板、棒状
体、立体物等と任意である。従って、装飾層の形成面は
(凹凸を含めた)包絡面形状が、平面、曲面、断面が一
方向に例えば円弧状に湾曲した1方向にのみ凹凸がある
二次元的凹凸面、或いは縦及び横方向の両方等と2方向
に凹凸がある三次元的凹凸面でも良い。特に、固体粒子
衝突圧による転写の場合は、これら非平面でも転写でき
るからである。なお、これらの基材表面には、予め、転
写層を接着させる接着剤との接着を補助する為の易接着
プライマー、或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封
じるシーラー剤を塗工しておいても良い。易接着プライ
マー、或いはシーラー剤としては、イソシアネート、2
液硬化ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢
酸ビニル樹脂等の樹脂を塗工し形成する。
【0018】〔装飾層の形成〕本発明の化粧材の製造方
法にて、上述した装飾層を基材の凹凸を有する表面に形
成するには、下記の如く塗装でも可能ではあるが、より
好ましくは、後述する、転写圧印加を弾性体ローラの押
圧で行う転写法や、転写圧印加を固体粒子衝突圧を利用
して行う転写法が良い。
【0019】図2の概念図で、塗装法の一例として、表
面に凹凸の有る基材Bに、暗部1aと明部2aとの濃淡
パータン3aが有る装飾層4を形成する方法を示してお
く。同図では、各々の凹凸に対応する装飾層の複数の暗
部1a及び明部2aに対して、それぞれ複数の塗装ノズ
ル5a及び5bが受持つ。そして、塗装ノズル5aから
は暗色の塗料aを暗部1aとなるべき基材部分に吹き付
けて塗装し、塗装ノズル5bからは明色の塗料bを明部
2aとなるべき基材部分に吹き付けて塗装する。暗部と
明部との塗装は同時でも良いし、別々でも良い。装飾層
4における暗部1aと明部2aとの境界は吹き付け塗装
によりボカシが自然と入る。明確な輪郭が必要ならば、
マスクボードを間に介して暗部と明部とを分けて塗装す
れば良い。
【0020】但し、この様な塗装方法では、凹凸で発生
する陰影による濃淡パターンの形状が複雑な場合等、常
に対応できるものではない。しかし、印刷によって複雑
な濃淡パータンでも形成できる転写シートを用いて転写
形成すれば、このような問題は解決する。また、転写で
は、基材に直接接触して印刷する場合では不可能な凹凸
面へも装飾層を形成できる。転写は、転写圧印加を弾性
体ローラによる押圧で行う転写法であるローラ転写法な
らば、平易な転写装置で容易に装飾層の転写ができる。
特に、転写圧印加に固体粒子衝突圧を利用する転写法で
は、弾性体ローラでは不可能な基材凹凸形状にでも転写
できる新規な優れた方法となる。この方法については、
以下、転写シート、弾性体ローラによるローラ転写法を
一通り説明した後に、詳述する。
【0021】(転写シート)転写シートSは、図3や図
4の様に、支持体6と転写層7とから成り転写層は少な
くとも前述した装飾層4から成る。
【0022】上記支持体には、基材の転写すべき被転写
面が一方向のみの滑らかな凹凸による二次元的凹凸表面
(図1参照)ならば条件次第では、延伸性が無い紙等も
良い。しかし、通常は、凸部から凹部にかけての暗部等
となる斜面に転写したり、或いは凹部の中央部の最も凹
んだ部分にまで転写したりすることになるので、少なく
とも転写時には延伸性の有る支持体を用いることが好ま
しい。延伸性の有る支持体としては、従来公知の熱可塑
性樹脂フィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜も使用
できる。熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等の転写
層形成時には延伸性が殆どなく、転写時には、加熱によ
り充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状を
保持し続け、弾性による形状の復元を生じない転写シー
トとして、従来公知の通常の転写シート同様に容易に、
本発明で用い得る転写シートは用意出来る。支持体の具
体例としては、延伸性の点で、従来多用されている2軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムでも、転写す
べき被転写面の表面凹凸形状次第で、加熱条件、転写圧
条件等の設定によって、必要充分な延伸性を発現させる
ことができる。もちろん、被転写面が平面ならば、延伸
性を発現させずに使用できる。ただ、より低温・低圧で
延伸性が発現し易い好ましい支持体としては、例えば、
エチレン・テレフタレート・イソフタレート共重合体ポ
リエステル、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性
ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル
樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴム、合成ゴム、オ
レフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性
エラストマー等を単体又は混合物で、単層又は異種の複
層とした樹脂フィルムを用いることがてきる。これら樹
脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が好ましい。例え
ば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑性エラストマー
フィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃焼時に塩酸ガス
を発生せず環境対策的にも好ましい支持体の一つであ
る。支持体の厚さは、通常20〜200μmである。
【0023】なお、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けて
も良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。また、支持体には、転
写層側の面に凹凸模様を設ければ、転写後の転写層表面
に砂目、梨地、木目等の凹凸模様を賦形できる。凹凸模
様は、特に基材面に前述した強調する陰影を発生させる
凹凸以外には小凹凸等がなく平面的な場合に効果的であ
る。凹凸模様は、エンボス加工、サンドブラスト加工、
賦形層(離型層)による盛り上げ印刷加工等の公知の方
法で形成する。
【0024】転写層は少なくとも装飾層から構成し、更
に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層の構成要素とする
こともある。接着剤層を有する構成では、転写の際に転
写シート又は基材の片方又は両方に接着剤を施すことを
省略できる。前述した様に基材上の装飾層は塗装でも形
成は一応可能であり、従って、転写シート上の装飾層は
塗工形成した層でも構わないが、塗工では難しい濃淡パ
ターンに対応できる点、塗工では出来ない柄等による意
匠感を付与できる点等で、印刷法を利用して形成した層
が好ましい。つまり、転写シートの装飾層は、グラビア
印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来
公知の方法、材料で形成すれば良い。装飾層は前述の濃
淡パターンを少なくと有する。濃淡パターンは、通常、
印刷による印刷層として形成する。また、該濃淡パター
ン以外に絵柄等が有ってもよい。装飾層の絵柄や層構成
は、用途に合わせたものとすれば良い。絵柄も印刷形成
する場合は、絵柄層と専ら濃淡パターンの濃淡パターン
層とに分離した層とすることも濃淡パターンや絵柄次第
では可能だが、絵柄自体に濃淡を付けて濃淡パターンを
絵柄に内在した絵柄層としても良い。また、濃淡パター
ンは印刷で形成して、これにアルミニウム、クロム、
金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは
全面に形成した金属薄膜層等を絵柄層として重ねた複層
構成の装飾層でも良い。また、金属薄膜層は濃淡パター
ンに利用することもできる。なお、絵柄としては、用途
に合わせて、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調
模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面
ベタ等を用いる。なお、濃淡パターンや絵柄を付与する
印刷層用のインキは、バインダー等からなるビヒクル、
顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤か
らなる。バインダーには、アクリル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系
樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂等の単体又はこれ
らを含む混合物を用いる。着色剤の顔料としては、チタ
ン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔
料、アニリンブラック、キナクリドン、イソインドリノ
ン、フタロシアニンブルー等の有機顔料を用いる。
【0025】なお、化粧材表面を濃淡に成らしめる装飾
層を転写層として有する転写シートを、化粧材表面に形
成すべき濃淡パターンとして、陰影による濃淡及び位置
に、ともに同調させて基材上に形成するには、基材と転
写シートとの位置関係を人為的又は機械的に調整して位
置合わせ(見当合わせ)して所望の位置関係とした上で
転写すれば良い。また、剥離層を、支持体乃至は離型層
と装飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写後の
装飾層の表面保護の為等に、これら層間に設けるのは、
従来公知の転写シートと同様である。剥離層には、例え
ば、上記絵柄層用等のインキのバインダーに用いる樹脂
等が用いられる。なお、この剥離層は転写時に装飾層と
共に被転写基材側に転写され、装飾層の表面を被覆す
る。また、基材表面と転写シートとの間に抱き込まれて
残留する空気を抜き易くする為に、必要に応じて転写シ
ート全面に転写シート全層を貫通する小孔を多数穿設し
ても良い。
【0026】転写層を基材に接着させる為の接着剤は、
転写シートの転写層を構成する接着剤層としてや、基材
上の接着剤層として、事前に、又は転写の直前にインラ
イン塗工やオフライン塗工で施す。基材に施す場合に
は、転写シート転写層の接着剤層を省略できる。接着剤
は、用途、要求物性等により適宜選択すれば良い。接着
剤としては、例えば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶
融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿気硬化型ホットメ
ルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着
剤、水性接着剤、或いは粘着剤による感圧型接着剤等の
各種接着剤を使用できる。前記感熱型接着剤としては、
熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱硬化性樹脂を用い
た熱硬化型のいずれでも良い。また、接着剤は溶剤希釈
又は無溶剤、或いは常温で液体又は固体のいずれでも良
く、適宜使い分ける。接着剤の具体例としては、例えば
感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性
ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ダイマ
ー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得られるポリ
アミド樹脂等の従来公知の接着剤を使用できる。また、
例えば熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、尿素
樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂等を使用できる。なお、接着剤の塗
布量は、接着剤の組成、基材の種類及び表面状態で異な
るが、通常10〜200g/m2 (固形分)程度であ
る。
【0027】(ローラ転写法)転写圧印加に弾性体ロー
ラを用いる所謂ローラ転写法は、特公昭60−5987
6号公報、特開平5−270199号公報、特開平5−
139097号公報等にも記載されるように、転写ロー
ラとして弾性体ローラを用いる転写方法である。図3
は、ローラ転写法の説明図である。基材Bに対して、支
持体6と転写層7(装飾層4を含む)とからなる転写シ
ートSを、転写層側を基材側に向けて、支持体側から弾
性体ローラRで押圧して転写圧を印加して、転写層が基
材に接着後、支持体を剥離することで、転写層を基材に
転写する。転写ローラに使用する弾性体ローラRとして
は、通常、鉄等の剛体の回転軸芯R1の表面周囲を軟質
の弾性体R2で被覆したローラを用いる。弾性体R2と
しては、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、天然
ゴム等のゴムを用いる。特に、耐熱性、耐久性、弾性等
の点からシリコーンゴムが好ましい。また特に、基材の
転写すべき被転写面の凹凸形状が大きい場合は、弾性体
として、JIS規格のゴム硬度が60°以下のものを使
用することが、転写シートを凹凸面に追従成形させる為
に好ましい。弾性体ローラの直径は、通常5〜20cm
程度である。また、通常、弾性体ローラは内部や外部の
加熱源により加熱して加熱ローラとしても用いる。
【0028】(固体粒子衝突圧による転写法)新規な転
写方法である固体粒子衝突圧による転写法は、三次元形
状等の特に大きな凹凸表面の場合にも転写可能な方法で
ある。この方法は、凹凸表面を有する基材の凹凸表面側
に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側を
対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧を利用して、基材の凹凸表面への転写シ
ートの圧接を行い、転写層が基材に接着後、転写シート
の支持体を剥離除去することで、転写層を基材に転写す
る曲面転写方法の一種と言える。すなわち、図4の概念
図で示す如く、支持体6と転写層7(装飾層4を含む)
とからなる転写シートSの支持体側から、噴出器10か
ら噴出させた多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧
を転写圧として印加して、転写シートを基材の表面形状
に追従させ成形するとともに転写シートを、基材表面の
うち少なくとも転写すべき被転写面に押圧して圧着させ
る。転写シートは固体粒子衝突圧によって基材に押圧さ
れ、凹部の内部にまでも追従、成形される。その後、支
持体のみ剥離除去すれば転写が完了する。この転写法
は、ローラ転写法等では不可能な大きな三次元形状等の
表面凹凸の基材にも転写できる方法である。例えば、基
材の凹凸が大きい(深い)場合、凸部の高さが同一でな
く被転写面の包絡面形状が平面的で無い場合、転写を希
望する被転写面の形状が、湾曲している等とローラ転写
法では不可能な三次元形状等の場合は、この転写圧印加
を固体粒子衝突圧によって行う転写法ならば適用可能で
ある。特に、凹凸の凹部の底面や凹部の側面(凸部から
凹部に至る面とも言える)等は一般に陰影の濃淡が濃い
暗部となり、深い凹凸において、その暗色を装飾層自体
の色で形成する場合は、固体粒子衝突圧による転写法は
好適である。
【0029】固体粒子:固体粒子Pとしては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、アル
ミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、コ
ランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、
亜鉛等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂
ビーズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレ
タン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビー
ズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等、或
いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複
合粒子等を使用することができる。なお、液体の水を固
体粒子加速流体に使う場合は、固体粒子には、水で錆や
腐食しないステンレスビーズや、ガラスビーズ、セラミ
ックビーズ、樹脂ビーズ等の非金属が好ましい。形状は
球形状が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗
片状、無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体
粒子の粒径としては、通常10〜1000μm程度であ
る。
【0030】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、基材を加
熱しておいても良い。また、固体粒子は、接着後の冷却
促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の固体粒
子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。また、固
体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却固体粒
子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた後、冷却
固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。また、他
の加熱方法で転写シートや基材、接着剤等の加熱を要す
るものを充分に加熱しておき、これに冷却固体粒子を用
いて、転写シートの成形と接着及び冷却を殆ど同時に行
うこともできる。固体粒子を加熱又は冷却するには、固
体粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンクに貯蔵する場合
は、貯蔵中に加熱又は冷却しておけば良い。また、固体
粒子が輸送管を通過中に加熱又は冷却しても良い。
【0031】固体粒子の衝突圧による転写圧印加:固体
粒子を転写シートに衝突させて衝突圧による転写圧を印
加し、転写シートを基材に押圧するには、固体粒子を噴
出する噴出器から、多数の固体粒子を連続して転写シー
トに向かって噴出させて、転写シートに衝突圧を印加す
る。多数の固体粒子は固体粒子群として転写シートに衝
突する。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを
用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹
出ノズルは固体粒子加速流体として高速の流体流で固体
粒子を搬送し加速する。羽根車や吹出ノズルには、サン
ドブラスト或いはショットブラスト、ショットピーニン
グ等とブラスト分野にて使用されているものを流用でき
る。例えば羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズル
には加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装
置等である。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固
体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮
空気に混合しておいた固体粒子を、空気と共に噴出す
る。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる
負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウ
ェットブラスト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出
する。また、噴出器には、吹出ノズルや羽根車以外に
も、重力による自由落下を利用して固体粒子を加速する
方法、磁性体粒子を磁場によって加速する方法等を採用
することも可能である。なお、羽根車、重力、磁場を用
いた噴出器の場合は、真空中で固体粒子を転写シートに
向かって噴出させる事も可能である。
【0032】噴出器/羽根車:図5〜図8に、噴出器の
粒子加速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示
す。これらは、ブラスト分野にて使用されている遠心式
ブラスト装置に該当する。図面では、羽根車812は、
複数の羽根813がその両側を2枚の側面板814で固
定され、且つ回転中心部は羽根813が無い中空部81
5となっている。更に、この中空部815内に方向制御
器816を内在する。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図7参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。
【0033】なお、固体粒子の噴出方向は、図5〜図6
では略鉛直下方であるが、図9(B)の様に水平方向、
或いは斜下方(図示略)等としても良い。図8(A)及
び図8(B)に方向制御器816の開口部817の向き
の設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御
の概念図を示す(図8(A)、(B)では方向制御器は
それぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向制
御器816は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさ
を調整することで、固体粒子の噴出量を調整することも
できる。なお、図6に於いては、回転軸819は側面板
814の外側のみで中空部815にまで貫通していない
構成となっているが、この他、中空部の直径より細い回
転軸を該中空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通
り抜け用の開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身
を中空部とする構成などでも良い(図示略)。羽根81
3の形は、図5〜図8の様な長方形の平板(直方体)が
代表的であるが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロ
ペラ等のプロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、
目的に応じて選択する。又、羽根の数は複数枚、通常最
大10枚程度の範囲から選択する。羽根車の形状、枚
数、回転速度、及び固体粒子の質量や供給速度と供給方
向、方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせに
より、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速
度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0034】また、図9は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。固体粒子の噴出方向は鉛
直下方(図示略)、水平方向(図9)、或いは斜下方
(図示略)等が可能である。
【0035】また、上記した羽根車812、812a等
の羽根車には、更に必要に応じ、固体粒子の噴出取出部
分のみ開口させ、それ以外の羽根車周囲を被覆する噴出
ガイド(不図示)を備える事で、固体粒子の噴出方向を
揃えたりする固体粒子噴出方向制御を行うこともでき
る。噴出ガイドの開口部の形状は、例えば、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等である。噴
出ガイドは、単一開口部を有するものでも良いし、或い
は内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたものでも良
い。
【0036】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重
量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0037】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等から適宜選択すれば良い。固体粒子は羽根
に接触して加速されるので、羽根には、耐摩耗性のよい
高クロム鋳鋼、セラミックを用いると良い。
【0038】噴出器/吹出ノズル:図10に吹出ノズル
を用いた噴出器840の一例の概念図を示す。なお、同
図に示す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を
用い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴
出する形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840
は、固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘
導室841内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、
ノズル開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出す
る吹出ノズル部844からなる。圧縮機又は送風機(不
図示)から適宜加圧タンク(不図示)を経て送られる流
体Fを、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経
てノズル844のノズル開口部843から噴出する際
に、噴出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流
の作用で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流
に導き混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノ
ズル844のノズル開口部843から流体流と共に噴出
するものである。なお、吹出ノズルには、固体粒子加速
流体として液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場
合は、例えばポンプ(不図示、流体が液体の場合)によ
り、流体と固体粒子とを加圧タンク(不図示)に混合貯
蔵しておき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部か
ら噴出するもの等が使用される。
【0039】ノズル開口部の形状は、中空の円柱状、多
角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の形状のものを用
いる。吹出ノズルは、単一開口部を有するものでも良い
し、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたも
のでも良い。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜100k
g/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常
1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度
である。誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セラミ
ック、スチール、チタン、チタン合金等から固体粒子、
流体の種類によって適宜選択すれば良い。流体が液体の
場合は、錆、溶解、腐食等を生じない材料を選ぶ。例え
ば流体が水ならば、ステンレス鋼、チタン、チタン合
金、合成樹脂、セラミックを用いる。但し、表面に防水
加工すれば、スチール等でも良い。なお、固体粒子は噴
出器内壁に接触して通過するので、固体粒子に金属ビー
ズや無機粒子を用いる場合には粒子が硬質であるので、
耐摩耗性のよいセラミックを用いると良い。固体粒子に
樹脂ビーズを用いる場合には金属粒子に比べれは軟質で
あるので、ステンレス鋼でも良い。
【0040】流体Fは、固体粒子加速流体として、固体
粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流体と共に
固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場合(吹出
ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速する固体
粒子加速流体である。流体には気体、液体ともに利用可
能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用いる。気体
としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、窒素等で
も良い。液体としては、必ずしも限定されないが、不燃
性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容易性、等
から水は好ましい材料の一つである。この他、フロン、
グリセリン、シリコーン油等の不燃性の液体も使用でき
る。液体を(気体もそうであるが)転写シートに固体粒
子と共に衝突させることができる。当然の事ならがら、
液体は気体よりも密度が高い為、気体よりも液体の方
が、流体流で固体粒子を加速する場合に加速し易く、し
かも液体が転写シートに衝突する場合に、気体と等速度
の衝突でも、衝突圧は気体に比べてより大きく且つ実用
性のある衝突圧が得られる。(また、固体粒子との密度
差も少ないので固体粒子の搬送もし易い。)従って、液
体の場合は、転写圧として固体粒子の衝突圧以外に、液
体の衝突圧も利用でき、その分より大きな転写圧を印加
でき、その結果、転写シートを基材の表面凹凸へ追従さ
せ成形する成形効果により大きなものが得られる。ま
た、衝突圧印加時の加熱又は冷却手段として流体を用い
る場合、気体よりも液体の方が比熱が大きいので、より
大きな加熱又は冷却効果が得られる。また、液体が水の
様な電気伝導体の場合は、気体の場合に比べて静電気帯
電に対する防爆対策もより容易となる。
【0041】衝突圧印加形態:噴出器は、1個のみの使
用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求す
る面積が大きい場合には複数用いて、転写シートに衝突
する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にすると
良い。基材を搬送しながら衝突圧を与える場合は、例え
ば、転写シート及び基材の送り方向に直交して幅方向に
一直線状に複数列を配置して、幅方向に直線状で幅広の
帯状形状の衝突領域とする。或いは、図11(A)の噴
出器10の配置は千鳥格子状の配置であり、図11
(B)は一列配置だが、幅方向中央部は送り方向の上流
側で衝突する様にした配置である。図11(B)の配置
では、転写シートの基材への衝突圧による圧接は幅方向
中央部から始まり、順次、幅方向両端部に向かって圧接
されて行く。この様にすると、幅方向中央部に空気を抱
き込んだまま、転写シートが基材に密着することを防止
できる。図11の様に噴出器を幅方向に複数個配列する
場合には、個々の噴出器の加圧領域が互いに一部重複
し、全幅にわたってもれなく加圧できる様に配列するこ
とが好ましい。図11(B)にそのような配列の一例を
示す。該図に於いて、点線部分が(有効)加圧領域を示
す。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴出器は、
転写シート及び基材の送り方向に向かって2列以上配置
する多段配置が好ましい。
【0042】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。図12は、転写シートの搬送
方向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方
向両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布
の設定例である。この設定は、圧が高い所(同図では中
央部)から低い所(同図では両側部)に向かって順次段
階的に圧接が進行することを助ける。但し、図12の如
き圧力分布とする場合、基材上に於ける衝突圧は、所望
の凹凸面への転写が完全に行えて、なお且つ圧過剰によ
る転写シートの歪み、基材の変形、破損等の生じない適
正圧力範囲内に全て納まる様に調整する。なお、転写ロ
ーラに弾性体ローラを用いるローラ転写法では、転写ロ
ーラの中央部直径を太めとすれば、圧力的には中央部は
強くできるが、中央部と両端部とで円周長が異なってし
まい、接触して圧印加され転写シートの送りを均一に出
来ない。衝突圧の調整は、噴出器から転写シートに衝突
する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突する固体粒
子数、投射量、及び1粒子の質量を制御することで調整
する。これらのうち、固体粒子の速度を調整するには、
例えば羽根車を用いる噴出器の場合は、羽根車の回転
数、羽根車の直径等で調整する。また、吹出ノズルを用
いる噴出器の場合は、バルブの開閉量、バルブに連結す
る固体粒子を搬送する管の内径の大小、圧力調整器(レ
ギュレータ)等を用いて噴出器直前の流体圧(流体単
体、又は流体と固体粒子との混合物)の調整により、噴
出する固体粒子及び流体流の速度を制御することで調整
する。
【0043】噴出器の基材に対する配置方法:羽根車を
用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向は、原理的
に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がらず、該回転
軸に直交方向に広がる傾向がある。一方、吹出ノズルの
場合は、噴出する固体粒子の広がりは、羽根車による噴
出器の場合よりも広がりが少なく、且つ広がっても通常
はどの方向にも均一で等方的である。このような噴出器
の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば良い。しか
し、一つの噴出器で所望の衝突領域の大きさに出来ない
時は、噴出器を複数用いれば良い。この様に、複数の噴
出器を基材の被転写面に対して配置する場合は、各噴出
器は基材に平行にし、且つ各噴出器の噴出方向が基材の
法線方向になる様な配置が基本である。この様な平行配
置は、基材の被転写面の包絡面に垂直に固体粒子を衝突
させ、基本的に衝突圧を最大に有効利用できるからであ
る。従って、基材を搬送しながら衝突圧を与える場合
は、例えば、図13の様に、基材Bの被転写面の包絡面
(の搬送方向に直角の断面形状)が円型になる円筒状の
凸曲面であれば、複数の噴出器10を用意し各噴出器が
主とし受け持つ個別の衝突面(凸曲面の接平面)に対し
て、略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを
近接する基材面の包絡面の法線方向にして配置すると良
い。この様に噴出器の配置は、対象とする基材の凹凸形
状に合わせて、噴出器の噴出方向を固体粒子がなるべく
垂直に衝突する様に合わせると良い。ただ、噴出器の向
きは、転写シート支持体側面に対して必ずしも垂直にす
る必要はない。また、噴出器は多めに設けておき、製造
する基材によっては、一部の噴出器は停止させても良
い。
【0044】固体粒子衝突圧による実際的な転写圧の与
え方:また、実際に固体粒子を用いて転写する際は、固
体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用
するのが好ましい。そこで、固体粒子衝突圧による転写
圧を押圧する衝突空間を周囲空間と隔離するチャンバ
(隔離室)内で、固体粒子を転写シートに衝突させて転
写圧を加える等すると良い。支持体の剥離は、転写層が
基材に密着し、支持体が破れたりせずに剥離可能な状態
になれば、固体粒子衝突圧の解除直後でも良いし、間を
置いてからでも良い。また、チャンバの中でも外でも良
い。なお、固体粒子衝突圧による転写シートの基材への
押圧は、枚葉の転写シートを枚葉の基材上に載置して、
両者を一体として搬送させつつ、固定の噴出器で固体粒
子衝突圧を連続印加する形態、或いは、固体粒子衝突圧
印加時のみ両者を固定して、噴出器のみ移動させる形
態、或いは、転写シートは連続帯状の形態で、基材の搬
送速度と等速度で移送して、位置固定の噴出器で衝突圧
を印加する形態等の任意の形態で構わない。また、基材
の被転写面(の包絡面)は水平でその垂直方向上方から
固体粒子を衝突させて衝突圧を加える以外に、被転写面
を垂直や傾斜状態として、或いは被転写面を下側に向け
て下方から衝突圧を加えてもよい。また衝突圧印加前
に、弾性体ローラによる転写シートの基材への押圧を予
備的に行う等しても良い。
【0045】また、好ましくは、熱可塑性樹脂の支持体
からなる転写シートの場合は赤外線輻射ヒータ等で予め
加熱軟化させ、基材が熱容量の大きい場合は予め予熱
し、感熱型の接着剤層は加熱活性化させた状態で固体粒
子を転写シートに衝突させる様にする。固体粒子衝突圧
による転写法の場合でも、ローラ転写法同様に、転写圧
押圧時や、その前に転写シートや基材(及びそれらに形
成された接着剤層)等を適宜加熱することができる。例
えば、衝突圧押圧前では、転写シートは赤外線輻射加熱
やローラ加熱等の任意の加熱手段で加熱すれば良く、基
材も赤外線輻射加熱等の任意の加熱手段で加熱すれば良
い。衝突圧押圧時の加熱は、固体粒子に加熱固体粒子を
用いたり、吹出ノズルによる噴出器では、その固体粒子
加速流体も加熱流体を用いることができる。もちろん、
衝突圧の押圧前及び押圧中の加熱、或いは押圧中のみの
加熱でも良く適宜使い分ける。但し、熱風加熱は衝突空
間を隔離するチャンバ内で行うと内部に気体を流入しチ
ャンバ圧力バランスに影響するので、チャンバ外で行う
方が好ましい。
【0046】接着剤が熱融着型の場合は、転写シートが
基材に密着後に接着剤を強制冷却すれば、凹部内部にま
で追従、成形された転写シートの固着化を促進して、転
写シートに復元力がある場合に圧解放後、転写シートが
元の形状に戻ることを防止し、転写シート(の支持体)
の剥離除去をより早くできるので、転写抜け防止や生産
速度向上が図れる。この為には、衝突圧印加中に、衝突
圧を開放しないまま冷却固体粒子を用いたり、或いは固
体粒子加速流体を用いる場合は冷却流体を用いたり、衝
突圧印加後に、風冷等の他の冷却手段を用いて接着剤層
を冷却すると良い。基材の熱容量が大の場合は、冷却固
体粒子及び冷却流体以外にも、低温流体の吹き付け、基
材搬送用の置き台或いはローラやベルトコンベア等の冷
却により、基材を裏面から冷却できる。或いは、チャン
バ内でのこれら冷却の後にチャンバ外で、或いはチャン
バ内では冷却せずにチャンバ外のみで、表や裏からの冷
風吹き付け等で冷却しても良い。なお、冷風吹付け時の
風を利用して、支持体上(特に溝状凹部内)に残留した
固体粒子を吹き飛ばして除去することも出来る。
【0047】〔化粧材の用途〕本発明で得られる化粧材
は、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等
の外装材、壁面、天井、床等の建築内装材、窓枠、扉、
手摺、敷居、鴨居等の建具、箪笥等の家具の表面材、テ
レビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネット、或いは
自動車、電車等の車両内装材、航空機や船舶等の内装材
等の各種分野で用いられ得る。なお、化粧材の形状は、
平板、曲面板、棒状体、立体物等と任意である。
【0048】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0049】(実施例1)先ず、基材Bとして、その凹
凸表面の凹凸形状が図3の様な滑らかな波形状の二次元
的凹凸表面で、厚さが12mmのケイ酸カルシウム板を
用意した。凹凸形状の大きさは、凸部と凸部との周期的
間隔が20mm、凸部での厚さが12mm、凹部での厚
さが10mmで凹凸の高低差が2mmの凹凸である。そ
して、該凹凸面にアクリルウレタン樹脂によるシーラー
塗装、アクリルウレタン樹脂による白色の下塗り塗装、
更に接着剤塗工を予め行った。接着剤はポリアミド系樹
脂からなる無溶剤のホットメルト型の感熱溶融型接着剤
を30g/m2 溶融塗工した。そして、この基材で、波
形状の凹凸が水平に走る様に設置する本発明の化粧材を
以下の如く製造した。転写シートSとしては、厚さ10
0μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィル
ムからなる支持体の片面に、転写層の装飾層として、前
記凸部と凸部との周期的間隔に同調する様な間隔の濃淡
パターンとした花崗岩の石目調の絵柄をグラビア印刷で
多色印刷したものを用意した。絵柄インキのバインダー
の樹脂には、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体との8:2(重量比)の混合物を、また、着色顔
料としては、弁柄、イソインドリノン、カーボンブラッ
ク、チタン白等を混合して用いた。写真製版時の花崗岩
の板表面を撮影したフィルムに、周期が20mmで図1
(B)の如く濃淡の連続グラデーションが繰り返す画像
を有するフィルムを重ねて露光して原稿フィルムを作製
することで、濃淡パターンの暗部となる部分の柄は明
度、彩度を低くして暗色に、明部となる部分の柄は明度
を高くして明色に配色した柄とした。
【0050】そして、前記基材の凹凸表面に上記転写シ
ートを用いて、装飾層を転写した。転写圧印加は、弾性
体ローラの押圧で行うローラ転写法によった。弾性体ロ
ーラは鉄芯の表面をシリコーンゴムで被覆したJISゴ
ム硬度60度のもので、加熱ローラとして用いた。得ら
れた化粧材は、図3の様に、凹凸表面の凸部から凹部に
かけての一方の斜面(凸部の図面右側斜面:化粧材使用
時に凹凸で発生する陰影による濃淡の濃い部分)には暗
色に配色した柄が転写された。また、凸部から凹部にか
けての他方(凸部の図面左側斜面:化粧材使用時に凹凸
で発生する陰影による濃淡の淡い部分)の斜面には明色
に配色した柄が転写された。その結果、化粧材に於ける
凹凸が、基材の現実の凹凸以上に強調されて感じられる
化粧材となり、基材本来の厚み以上に強調された肉厚
感、重厚感等が得られた。また、視覚される凹凸感から
予想される基材厚みに比較して、基材厚みも薄くでき、
軽量化により施工性の向上にも寄与できた。なお、更に
この化粧材の表面全面に、0.5重量%のベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニリデンのエ
マルション塗料を乾燥時厚さ50μmに塗布して、透明
保護層を形成して、透明保護層付きの化粧材とした。
【0051】(実施例2)実施例1において、転写工程
の転写圧印加を固体粒子衝突圧に変更した。またこれに
伴い、基材には、凹凸の形状が実施例1と類似の凸部と
凸部との周期的間隔が20mmの波形状であるが、凸部
での厚さが18mm、凹部での厚さが12mmで凹凸の
高低差が6mmで、基材の厚さを18mmとしたケイ酸
カルシウム板を用意した。そして実施例2同様に、シー
ラー塗装、下塗り塗装の上に接着剤塗工を予め行った。
転写は、予熱しておいた基材上に転写シートを載置し
て、転写シート上からも加熱して、転写シートの加熱軟
化と接着剤の加熱活性化を行った後、噴出器から噴出す
る固体粒子にさらして衝突圧を加えた。噴出器には図5
〜図7の様な羽根車を用いた噴出器を用い、固体粒子と
して平均粒径0.4mmの球形の亜鉛球を用いた。噴出
器の羽根車の回転数は3600〔rpm〕、固体粒子の
噴出速度は35〔m/s〕であった。転写シートSは固
体粒子Pの衝突圧によって凹凸の凹部及び凸部の全面に
押圧、圧接した。そして、転写シートの支持体6を剥離
すると、装飾層4からなる転写層7は凹凸表面全面に転
写された。得られた化粧材は、実施例1同様に、図4の
様に、凹凸表面の凸部から凹部にかけての一方の斜面
(凸部の図面右側斜面:化粧材使用時に凹凸で発生する
陰影による濃淡の濃い部分)には暗色に配色した柄が転
写された。また、凸部から凹部にかけての他方(凸部の
図面左側斜面:化粧材使用時に凹凸で発生する陰影によ
る濃淡の淡い部分)の斜面には明色に配色した柄が転写
された。その結果、実施例1に比べてより深い化粧材の
凹凸が、基材の現実の凹凸以上に強調されて感じられる
化粧材となり、基材本来の厚み以上に強調された優れた
重厚感等が得られた。また、視覚される凹凸感から予想
される基材厚みに比較して、基材厚みも薄くでき軽量化
により施工性の向上にも寄与できた。なお、更に、この
化粧材に実施例1同様に透明保護層を形成して、透明保
護層付きの化粧材とした。
【0052】
【発明の効果】本発明の化粧材によれば、化粧材に於
ける凹凸が、基材の現実の凹凸以上に強調されて感じら
れる為、基材本来の厚み以上に強調された肉厚感や重厚
感等が得られる。また、基材の厚みを、視覚される凹凸
感から予想される厚みに比べて薄くでき、軽量化が可能
となり施工性も向上する。 本発明の化粧材の製造方法として、転写圧印加を弾性
体ローラの押圧で行う場合は、平易な転写装置で容易に
凹凸を強調できる装飾層の転写ができる。 更に、転写工程の転写圧印加を固体粒子衝突圧によっ
て行う場合は、より深い凹凸でも、その凹部内部も含め
て全面に、凹凸を強調できる装飾層を転写することも出
来る。例えば、基材の凹凸が大きい(深い)場合、凸部
の高さが同一でなく被転写面の包絡面形状が平面的で無
い場合、転写を希望する被転写面の形状が、湾曲してい
る等とローラ転写法では不可能な三次元形状等の場合に
も転写できる。その結果、従来の転写方法では不可能な
形状の凹凸表面へも装飾層を転写でき、より深い凹凸を
強調できる。また、固体粒子衝突圧による転写法では、
化粧材の全体の(包絡面)形状は、平板状の板材以外に
も、瓦の様に全体として(包絡面形状が)波うち形状の
もの、或いは凸又は凹に湾曲した形状のもの、或いは窓
枠、サッシ等と、二次元的凹凸や三次元的凹凸も可能と
なる。また、弾性体ローラの場合にあり得る、基材の凹
凸によるローラ等部品の損耗も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材を説明する概念図。
【図2】陰影に同調した濃淡を基材に付ける一方法であ
る塗装法を説明する概念図。
【図3】本発明による化粧材の製造方法として、転写圧
印加に弾性体ローラを用いる転写法で、凹凸を強調でき
る装飾層を形成する方法を説明する概念図。
【図4】本発明による化粧材の製造方法として、転写圧
印加に固体粒子衝突圧を用いる転写法で、凹凸を強調で
きる装飾層を転写する方法を説明する概念図。
【図5】羽根車を用いた噴出器の一例を説明する概念図
(正面図)。
【図6】図5の羽根車部分の斜視図。
【図7】図5の羽根車内部を説明する概念図。
【図8】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図9】羽根車を用いた噴出器の別の一例を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図10】吹出ノズルによる噴出器の一例を説明する概
念図。
【図11】噴出器の各種配置例を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図12】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図13】噴出器の向きの一例を示す流れ方向からみた
側面図。
【符号の説明】
1 (陰影による)暗部 1a (装飾層による)暗部 2 (陰影による)明部 2a (装飾層による)明部 3 (陰影による)濃淡パターン 3a (装飾層による)濃淡パターン 4 装飾層 5、5a、5b 塗装ノズル 6 支持体 7 転写層 8 ガイドローラ 9 剥離ローラ 10 噴出器 11 基材搬送装置 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 基材 D 化粧材 F 流体 L 光源 P 固体粒子 R 弾性体ローラ R1 回転軸芯 R2 弾性体 S 転写シート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用時に表面の凹凸によって発生する陰
    影による濃淡の領域が、該濃淡と同調した濃淡に表面を
    成らしめる装飾層で装飾された化粧材。
  2. 【請求項2】 支持体と少なくとも装飾層を含む転写層
    とからなる転写シートを用いて、転写圧印加を弾性体ロ
    ーラの押圧で行って転写することで、凹凸表面を有する
    基材の凹凸表面に、化粧材になった時の使用時に表面の
    凹凸によって発生する陰影による濃淡の領域に、該濃淡
    と同調した濃淡に表面を成らしめる装飾層を転写する、
    化粧材の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体と少なくとも装飾層を含む転写層
    とからなる転写シートを用いて、転写圧印加を転写シー
    トの支持体側へ衝突させる固体粒子の衝突圧によって行
    って転写することで、凹凸表面を有する基材の凹凸表面
    に、化粧材になった時の使用時に表面の凹凸によって発
    生する陰影による濃淡の領域に、該濃淡と同調した濃淡
    に表面を成らしめる装飾層を転写する、化粧材の製造方
    法。
JP33371097A 1997-11-19 1997-11-19 化粧材及びその製造方法 Pending JPH11151769A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33371097A JPH11151769A (ja) 1997-11-19 1997-11-19 化粧材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33371097A JPH11151769A (ja) 1997-11-19 1997-11-19 化粧材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11151769A true JPH11151769A (ja) 1999-06-08

Family

ID=18269109

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33371097A Pending JPH11151769A (ja) 1997-11-19 1997-11-19 化粧材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11151769A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004210326A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Toyo Seikan Kaisha Ltd 多面体壁を有する金属缶
JP2006090061A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Matsushita Electric Works Ltd 化粧パネル
CN100382898C (zh) * 2006-04-29 2008-04-23 江苏海陆装饰有限公司 亚光凹凸花纹彩色钢板的连续化生产方法
JP2013204336A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Kmew Co Ltd 建築板
JP2014226822A (ja) * 2013-05-20 2014-12-08 セーレン株式会社 インクジェットプリント物
JP2017105187A (ja) * 2015-12-02 2017-06-15 壽工業株式会社 凹凸化粧板及びその製造方法
JP2017155540A (ja) * 2016-03-04 2017-09-07 日新製鋼株式会社 建築板
JP2018142523A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 パナソニックIpマネジメント株式会社 ドアの照明構造、及びドア
KR20200025835A (ko) * 2018-08-31 2020-03-10 (주)엘지하우시스 인테리어 시트

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004210326A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Toyo Seikan Kaisha Ltd 多面体壁を有する金属缶
JP2006090061A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Matsushita Electric Works Ltd 化粧パネル
CN100382898C (zh) * 2006-04-29 2008-04-23 江苏海陆装饰有限公司 亚光凹凸花纹彩色钢板的连续化生产方法
JP2013204336A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Kmew Co Ltd 建築板
JP2014226822A (ja) * 2013-05-20 2014-12-08 セーレン株式会社 インクジェットプリント物
JP2017105187A (ja) * 2015-12-02 2017-06-15 壽工業株式会社 凹凸化粧板及びその製造方法
JP2017155540A (ja) * 2016-03-04 2017-09-07 日新製鋼株式会社 建築板
JP2018142523A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 パナソニックIpマネジメント株式会社 ドアの照明構造、及びドア
KR20200025835A (ko) * 2018-08-31 2020-03-10 (주)엘지하우시스 인테리어 시트

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11151769A (ja) 化粧材及びその製造方法
JP4372864B2 (ja) 転写シート及びそれを用いた化粧材の製造方法
JP2000185383A (ja) 転写シート、それを用いた転写方法、及び化粧材
JPH11235805A (ja) 溝状部を有する凹凸化粧材及びその製造方法
JPH11128829A (ja) 化粧材の製造方法
JPH10324095A (ja) 化粧材の製造方法
JPH11268123A (ja) 凹凸化粧材の製造方法
JPH11115394A (ja) 部分転写方法
JP2000158892A (ja) 転写シート、それを用いた化粧材の製造方法、及び化粧材
JPH1158661A (ja) 化粧材及びその製造方法
JPH11170792A (ja) 転写方法
JP3827854B2 (ja) 後塗装用転写シートとそれを用いた化粧材の製造方法
JPH11348494A (ja) 曲面転写方法
JPH1120397A (ja) 凹凸基材用の転写シート及びそれを用いた曲面転写方法
JP2000280340A (ja) 曲面転写方法
JPH11321064A (ja) 溝付き化粧板の製造方法
JPH11309999A (ja) 曲面転写方法及び固体粒子噴出装置
JP2001080295A (ja) 転写シート、及び化粧材の製造方法
JP2001039093A (ja) 曲面転写方法
JPH10329493A (ja) 曲面転写方法
JP2001018594A (ja) 曲面転写方法
JP2000263995A (ja) 転写方法
JP2000006589A (ja) 曲面転写方法及び曲面転写装置
JPH10297191A (ja) 凹凸表面への転写装飾方法
JPH11227396A (ja) 化粧材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020521