JP2000006589A - 曲面転写方法及び曲面転写装置 - Google Patents

曲面転写方法及び曲面転写装置

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JP2000006589A
JP2000006589A JP17988598A JP17988598A JP2000006589A JP 2000006589 A JP2000006589 A JP 2000006589A JP 17988598 A JP17988598 A JP 17988598A JP 17988598 A JP17988598 A JP 17988598A JP 2000006589 A JP2000006589 A JP 2000006589A
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Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面を持つ化粧材等の転写物を
効率良く製造する。 【解決手段】 被転写基材Bの凹凸面側に、支持体1と
転写層2とからなる転写シートSの転写層側を対向さ
せ、羽根車を用いた噴出器3から噴出させた多数の固体
粒子Pを転写シートの支持体側に衝突させ、その衝突圧
で転写シートを被転写基材に圧接後、支持体を剥離して
化粧材D等の転写物を得る。この際、転写シートは、加
熱ローラ4等で予熱してから衝突圧を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等に用いる特に凹凸装飾面を有す
る化粧材等の転写物を製造する為の曲面転写方法及び曲
面転写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材面に直刷り法、ラミネート
法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板等が種
々の用途で使用されている。この場合、装飾面が平面な
らば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に対しては
格別の工夫を行っている。例えば、表面凹凸がエンボス
形状等の三次元的凹凸(すなわち、半球面の様に2方向
に曲率を有する形状)の場合に適用できる曲面装飾技術
が、特開平5−139097号公報に提案されている。
すなわち、同号公報は、ローラ転写法の一種であり、転
写シートの支持体として熱可塑性樹脂フィルムを用い、
該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着剤層を順次設け
た構成の転写シートを、凹凸表面を有する被転写基材上
に設置し、支持体の裏面からゴム硬度60°以下のゴム
製の熱ローラで押圧して、絵柄を転写して化粧板とす
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様なローラ転写法による従来方法では、基本的に回転す
る熱ローラのゴムによる弾性変形を利用して、転写シー
トを表面凹凸に追従させる為に、浅いエンボス形状等は
良いとしても、大きな表面凹凸には適用できず、転写シ
ートの凹凸追従性が悪い。また、転写速度も上げられず
生産性も悪い。その上、被転写基材の凹凸の隅角部によ
って軟質のゴムローラが損耗し易い。また、全体として
平板状の基材に限定されるといった問題があった。
【0004】この様なこともあって、本出願人は、既に
特開平9−315095号公報に開示された如く、転写
圧として固体粒子衝突圧を利用した曲面転写方法を提案
した。すなわち、凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表
面側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層
側を対向させ、該転写シートの支持体側に、吹出ノズル
から噴出させた固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用
して、被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行
い、転写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持体
を剥離除去することで、転写層を被転写基材に転写する
転写方法である。
【0005】ところが、上記固体粒子衝突圧を利用する
曲面転写方法は、従来の曲面転写方法では不可能であっ
た深い表面凹凸形状等にも適用できる極めて優れた転写
法であるが故に、被転写面の表面凹凸の凹部内部にま
で、転写シートを衝突圧で追従させる事が重要である。
すなわち、十分な凹凸追従性を有する転写シート、十分
な凹凸追従性が得られる転写シートの十分な加熱、十分
な衝突圧等を確保する事である。ところが、上記吹出ノ
ズルで固体粒子の加速し噴出させる場合、スポット的に
も衝突圧を与えるられる点では良いのだが、ノズル一個
で広い衝突圧印加領域を確保出ず、また衝突圧印加領域
の面積を広げると今度は大きな衝突圧は容易に得にく
く、しかも、固体粒子の加速に空気等の流体を使用する
為に、空気加圧の為のエネルギー消費の問題や、転写シ
ートに衝突した流体が加熱された転写シート等の温度を
低下させたり、衝突空間を周囲と隔離するチャンバの負
圧維持に影響する等の欠点があった。従って、転写シー
トの凹凸追従性、その温度維持、十分な衝突圧と広い衝
突圧印加面積の両立等の点で、より優れた固体粒子の加
速方法が望まれた。
【0006】そこで、本発明の課題は、広面積で大きな
三次元的凹凸表面にも転写でき、表面装飾性に優れた化
粧材等の転写物が得られる上、生産性が高く、且つ転写
圧の押圧に特殊形状の治具を必要とせず、ゴムローラ等
部品の損耗による交換の必要の無い、曲面転写方法及び
曲面転写装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の曲面転写方法では、支持体と転写層と
からなる転写シートを被転写基材へ押圧して圧接する手
段として、転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧を利用する。すなわち、凹凸表面を有す
る被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とからな
る転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支
持体側に、回転する羽根車によって加速された固体粒子
を衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹凸
表面への転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材
に接着後、転写シートの支持体を剥離除去することで、
転写層を被転写基材に転写する様にした。この際、衝突
圧を与えて転写シートを被転写基材に圧接する前に、転
写シートを予熱しておくようにした。この結果、転写シ
ートは予熱されて伸び易くなり凹凸追従性が向上する。
また、また、固体粒子は羽根車で加速するので、吹出ノ
ズルによる加速に対して、十分な大きさの衝突圧を広い
面積にわたって得易い上に、予熱された転写シート等が
空気等の固体粒子加速流体の衝突によって衝突圧印加中
に冷やされ難い。従って、効率的に転写シートを表面凹
凸形状に追従させて圧接でき、生産性も優れる。
【0008】また、本発明の曲面転写装置は、上記曲面
転写方法を実施する為に使用する装置において、少なく
とも、固体粒子を回転する羽根車によって加速して噴出
する固体粒子噴出手段と、転写シートを回転する加熱ロ
ーラに接触させて予熱するシート予熱手段と、被転写基
材を少なくとも固体粒子噴出手段に対向する位置まで搬
送する基材搬送手段と、転写シートを固体粒子噴出手段
と被転写基材との間に位置させるシート供給手段と、を
備えた構成の装置とした。この様な構成によって、上記
曲面転写方法を実施できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面転写方法及び
曲面転写装置について、実施の形態を説明する。
【0010】〔概要〕図1は本発明の一形態を示す概念
図である。すなわち、同図では包絡面形状が平板状の被
転写基材Bは、その被転写面である凹凸表面を水平且つ
上方に向けて、基材搬送手段としての基材搬送装置11
により、図面左から右に水平に搬送されて、固体粒子P
を羽根車で加速して噴出する固体粒子噴出手段である噴
出器3に対向する位置に供給される。基材搬送装置は例
えば駆動ローラ列、コンベアベルト等からなる。一方、
支持体1と転写層2とからなる転写シートSも、被転写
基材と噴出器3との間に位置させ且つ転写層側を下方に
位置する被転写基材の凹凸表面側に対向する様にして供
給される。この際、転写シートSは、同図では巻出ロー
ルR1から連続帯状で巻き出され、固体粒子Pの衝突圧
を受ける前の搬送中に、転写シート搬送速度と同じ周速
度で回転する加熱ローラ4のローラ面に接触して予熱さ
れる。
【0011】そして、噴出器3から噴出させた多数の固
体粒子Pを、被転写基材Bの凹凸表面側に転写層側を対
向させた状態の転写シートの支持体側に、衝突させる。
なお、図中、符号Pを付けた点線矢印が、多数の固体粒
子Pが噴出器3から被転写基材Bに対向させた転写シー
トSに向かって進む様子を概念的に表す。その結果、固
体粒子の衝突圧により、被転写基材の凹凸表面へ転写シ
ートは圧接され、転写シートの転写層が被転写基材の凹
凸表面に接着する。この際、本発明では、転写シート
は、衝突圧を受ける時には既に予熱されている為に、転
写シートは加熱より伸び易くなり凹凸追従性が向上して
いる為に、表面凹凸に転写シートを速やかに追従させて
転写する事が可能となる。また、転写シートに熱で接着
力が発現する接着剤が施されている場合には、転写シー
トの転写層を速やかに接着する事が可能となる。しか
も、固体粒子には羽根車で加速された固体粒子を用いて
いる為、予熱した転写シートを強い気流で冷やさずに十
分な衝突圧を与える事も可能となり、転写シートの予熱
で得られる上記効果を活かして、転写シートを速やかに
表面凹凸に追従させ、生産性良く転写する事が可能とな
る。
【0012】そして、転写層が被転写基材に接着した
後、手作業或いは剥離ローラ等によって、転写シートの
支持体1を剥離除去し、適宜巻取ロールR2で巻き取る
等すれば、転写層2が被転写基材Bの凹凸表面に転写さ
れた化粧材D等の転写物が得られる。
【0013】なお、もちろんだが、転写シートの予熱の
みでは、転写シートの加熱軟化や接着剤の加熱活性化等
の転写に必要な所望の熱が得られない場合は、被転写基
材の予熱、転写シートや被転写基材の衝突圧印加中の加
熱等を併用しても良い。特に、被転写基材の厚みが厚か
ったり熱容量が大きい場合や、熱で活性化する接着剤が
被転写基材側に施されている場合である。予熱された転
写シートが被転写基材に接近或いは接触した時に、被転
写基材の温度が低ければ被転写基材に熱を奪われ、転写
シートの温度が低下し、所望の温度を維持できない場合
である。なお、転写シートの予熱は、予熱した被転写基
材に対して該基材よりも低温の転写シートが接触して、
被転写基材やその上に施された接着剤の温度低下を防ぐ
効果もある。ちなみに、図1の概念図では、転写シート
Sは加熱ローラ4による予熱の前に、熱風や赤外線輻射
や誘電加熱等による非接触加熱等による加熱装置5でも
予熱する形態の一例でもある。また、本発明に於いて
は、加熱ローラは用いずに非接触型の加熱装置5のみを
用いて予熱を行うことも出来る。但し、加熱ローラによ
る予熱では、転写シートの搬送速度と等速度で回転しな
がら転写シートに接触してそれを保持する様に加熱でき
るので、熱風加熱等の他の加熱手段に比べて、加熱で伸
び易くなる転写シートが自重で垂下して変形するのを防
げる利点があり、好適である。
【0014】以下、さらに本発明を詳述する。
【0015】〔被転写基材〕先ず、本発明における被転
写基材は、被転写面が凹凸表面であり、特にその凹凸が
深い凹凸の被転写基材が好適である。また、固体粒子衝
突圧を転写シートや離型性シートの凹凸表面への押圧に
利用するので、凹凸表面が深い上に更に三次元的凹凸の
被転写基材も好適である。なお、凹凸表面を構成する各
面は、平面のみから、曲面のみから、或いは平面と曲面
の組み合わせと任意である。従って、本発明の被転写基
材上の曲面とは、断面が下駄の歯形の様に複数の平面の
みから構成される曲面を持たない凹凸面も意味する。ま
た、本発明でいう曲率とは、立方体の辺或いは頂点の周
辺の様に角張っている曲率無限大(曲率半径=0)の場
合も包含する。
【0016】また、大柄な凹凸に重畳して微細な凹凸を
有する凹凸表面の被転写基材、或いは凹凸表面の凹部底
部や凹部内側面に転写すべき面を有する被転写基材も可
能である。前記大柄な凹凸と微細な凹凸とは、例えば図
8の要部拡大斜視図に示す如く、被転写基材の凹凸が大
柄な凹部(溝状凹部)401と大柄な凸部(平坦状凸
部)402とからなる大柄な凹凸とその大柄な凸部40
2上にある微細な凹凸403とからなるもので、大柄の
凹凸形状は段差が1〜10mm、凹部の幅が1〜10m
m、凸部の幅が5mm以上のもので構成されるものであ
り、微細な凹凸形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形
状よりも小さく、具体的には段差が0.1〜5mm程
度、凹部の幅及び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な
凹凸形状の凸部の幅の1/2未満程度である。大柄な凹
凸と微細な凹凸との組み合わせの凹凸から成り、且つ三
次元的な表面凹凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例とし
ては、例えば、大柄な凹凸として目地、溝等を有するタ
イル、煉瓦、石等の二次元配列模様を有し、その上に微
細な凹凸としてスタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装
面の凹凸模様、花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板
等の石材表面の凹凸等を有する石目調凹凸模様、或いは
大柄な凹凸模様として目地、溝、簓、サネ(実)等を有
する羽目板模様、浮造木目板模様を有し、その上に微細
凹凸として導管溝、浮出した年輪、ヘアライン等を有す
る木目調の凹凸模様が挙げられる。
【0017】被転写基材の材質には特に限定は無い。例
えば、無機系、金属系、木質系、プラスチック系等の基
材を使用できる。具体的には、ケイ酸カルシウム、押し
出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コン
クリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パ
ルプセメント等の非陶磁器窯業系材料、杉、松、樫、ラ
ワン、チーク等の各種樹木の木材単板や木材合板、パー
ティクルボード、集成材、木質中密度繊維板(MDF)
等の木質材料、また、鉄、アルミニウム、銅等の金属材
料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミ
ックス等の無機質材料、ポリプロピレン、ABS樹脂、
フェノール樹脂等の樹脂材料等である。また、被転写基
材の形状は、平板や屈曲した板、柱状物、成形品等の立
体物等と任意である。例えば、被転写基材は全体として
(包絡面形状が)平板状の板材の他、断面が円弧状に凸
又は凹に1方向に湾曲した二次元的凹凸を有する基材等
でも良い。なお、被転写基材表面を所望の凹凸とするに
は、プレス加工、エンボス加工、押し出し加工、切削加
工、成形加工等によれば良い。
【0018】また、これらの被転写基材表面には、予
め、接着剤との接着を補助する為の易接着プライマー、
或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じるシーラー
剤を塗工しておいても良い。易接着プライマー、或いは
シーラー剤としては、イソシアネート、2液硬化ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂
等の樹脂を塗工し形成する。
【0019】〔転写シート〕転写シートSは支持体1と
転写移行する転写層2とからなる。転写層は通常は少な
くとも装飾層から構成される。また、接着剤を、転写層
の一部となる接着剤層として、転写シートに施しておい
ても良い。また、転写シートには、被転写基材表面と転
写シートとの間に抱き込まれて残留する空気を抜き易く
する為に、必要に応じて転写シート全面に転写シート全
層を貫通する小孔を多数穿設しても良い。小孔の直径は
0.1〜0.5mm程度、小孔の数密度(面密度)は1
〜100個/cm2 程度である。
【0020】(支持体)本発明では支持体には、少なく
とも転写時には伸びるシートを用いる。この伸びる性質
により、転写シートを被転写基材の凹凸表面に追従、成
形させる凹凸追従性を確保できる。なぜならば、転写シ
ート全体の凹凸追従性(成形性)は、大部分支持体の凹
凸追従性で決定されるからである。従って、支持体は、
従来公知の熱可塑性樹脂フィルムの他に、常温でも延び
るゴム膜も使用できる。特に、熱可塑性樹脂フィルムの
場合は、装飾層等の転写層形成時には延伸性が殆どなく
印刷時等のテンションで延びず、転写時には加熱により
充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状を保
持し続け、弾性による形状の復元を生じない転写シート
を得る。その為、転写シートを予熱する本発明に好適な
ものである。
【0021】支持体の具体例としては、延伸性の点で、
従来多用されている2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突
圧条件等の設定によって、必要充分な延伸性を発現させ
ることができるので曲面転写は可能である。ただ、より
低温・低圧で延伸性が発現し易い好ましい支持体として
は、例えば、エチレン・テレフタレート・イソフタレー
ト共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体
等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重
合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴ
ム、合成ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウ
レタン系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、
単層又は異種の複層とした樹脂フィルムを用いることが
てきる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が
好ましい。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑
性エラストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃
焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持
体の一つである。支持体の厚さは、通常20〜200μ
mである。
【0022】なお、支持体には必要に応じ、転写層側に
転写層との剥離性を向上させる為、支持体の構成要素と
して離型層を設けても良い。この離型層は支持体を剥離
時に、支持体の一部として転写層から剥離除去される。
離型層としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹
脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、ワックス等の単体又はこれらを含む混合物が用いら
れる。なお、ワックス単体の場合には、離型層は一部又
は全部が、転写層側に残る事もある。また、剥離性の調
整の為に、支持体の転写層側の面にコロナ放電処理、オ
ゾン処理等を行っても良い。
【0023】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様に、シルクスクリー
ン印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を構
成要素として有する支持体とする方法等がある。なお、
賦形層は上記離型層の機能を有する。
【0024】(転写層)転写層は通常は少なくとも装飾
層から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層
の構成要素とすることもある。接着剤層を有する構成で
は、転写の際に転写シート又は被転写基材の片方又は両
方に接着剤を施すことを省略できる。装飾層はグラビア
印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来
公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミニ
ウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用い
て部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用
途に合わせたものを用いる。絵柄としては、被転写基材
の表面凹凸に合わせて、木目模様、石目模様、布目模
様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何
学模様、全面ベタ等を用いる。なお、絵柄層用インキ
は、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着
色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。バインダ
ーには、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、フッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を
用いる。着色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブ
ラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラ
ック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニ
ンブルー等の有機顔料を用いる。
【0025】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と装
飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写後の装飾
層の表面保護の為等に、これら層間に設けるのは、従来
公知の転写シートと同様である。剥離層には、例えば、
上記絵柄層用インキのバインダーに用いる樹脂等が用い
られる。なお、この剥離層は転写時に装飾層と共に被転
写基材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。
【0026】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前又は転写の直前に、オンライン塗工やイン
ライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写シ
ート転写層の接着剤層を省略できる。用いる接着剤は用
途や物性等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、感熱
型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメルト
接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化型接
着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或いは粘
着剤による感圧型接着剤等が挙げられる。感熱型接着剤
としては、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱硬化性
樹脂を用いた熱硬化型とがある。また、接着剤は溶剤希
釈又は無溶剤、或いは常温で液体又は固体のいずれでも
良く、適宜使い分ける。また、粘着性を呈する感圧型の
粘着剤以外の接着剤では、接着剤層の単層のみで転写層
とすることができる。接着剤層中に顔料等の着色剤を添
加すれば、全面ベタのインク層からなる装飾層ともいえ
る。
【0027】例えば感熱溶融型接着剤には、ポリ酢酸ビ
ニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル
樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹
脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得
られるポリアミド樹脂等が用いられる。また、熱硬化型
接着剤には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が
用いられる。
【0028】なお、上記各種接着剤において、その樹脂
中には更に必要に応じ、各種添加剤を添加する事もでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に
添加すると良い。)等である。
【0029】接着剤は、グラビアロールコート、ロール
コート、スプレーコート、フローコート等の従来公知の
溶液塗工手段により転写シートとなるシートや被転写基
材に施す。被転写基材にはホットメルト接着剤をアプリ
ケータ等による熔融塗工(溶融塗工)手段も適用でき
る。接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基材の種
類及び表面状態で異なるが、通常10〜200g/m2
(固形分)程度である。
【0030】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物の形態で施す。塗工法
としては、従来公知の塗工法であるグラビアロールコー
ト等による溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工
(溶融塗工)法により施せば良い。また、特に凹凸表面
の被転写基材に対しては、軟質ゴムロールやスポンジロ
ール等のロールを使用したロールコート、カーテンフロ
ーコート、スプレーコート、熔融塗工等の塗工法が良
い。熔融塗工(ホットメルト型接着剤として使用)する
場合は無溶剤なので、転写直前の塗工でも、溶剤乾燥が
不要なので、後述する固体粒子を衝突させる為のチャン
バ内に溶剤が充満し溶剤分による爆発の危険性も無く、
安全且つ高速生産できる。電離放射線硬化型接着剤など
も熔融塗工で施すことができる。なお、接着剤の塗布量
は、接着剤の組成、被転写基材の種類及び表面状態で異
なるが、通常10〜200g/m2 (固形分)程度であ
る。
【0031】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0032】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱
型接着剤を用い、接着剤を活性化して熱融着させる為に
加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、
或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。
接着剤の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行
う。加熱するのは、接着剤が施された側の材料、接着剤
が施されていない側の材料、或いはこれら両方の材料を
加熱しても、いずれでも良い。但し、本発明に於いて
は、いずれの場合でも転写シートの予熱は行われる為、
予熱の熱を接着剤の加熱に利用することが好ましい。ま
た、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒
子加速用の流体を加熱流体として用いても良い。一方、
転写シートが被転写基材の表面形状に追従し、成形さ
れ、接着剤が十分活性化すれば、冷風等の冷却手段で接
着剤の冷却を促進しても良い。冷風は、転写シート側や
被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手段として、
冷却固体粒子、冷却流体も用いることもできる。冷却促
進は、被転写基材の凹凸表面の凹部内部にまで追従成形
された転写シートが衝突圧開放後に復元力がある場合に
戻るのも防止する。
【0033】〔固体粒子〕固体粒子としては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、アル
ミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、コ
ランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、
亜鉛等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂
ビーズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレ
タン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビー
ズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等、或
いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複
合粒子等を使用することができる。形状は球形状が好ま
しいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、無定
形、その他の形状のものでも用い得る。固体粒子の粒径
としては、通常10〜1000μm程度である。
【0034】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいても良い。また、加熱固体粒子は既に
予熱された転写シート、被転写基材等の温度維持にも使
用できる。一方、固体粒子は、接着後の冷却促進目的
で、接着時の接着剤の温度よりも低温の固体粒子を、冷
却固体粒子として用いる事もできる。また、固体粒子は
その一部又は全部を加熱固体粒子、冷却固体粒子として
用いたり、加熱固体粒子を衝突させた後、冷却固体粒子
を衝突させる等と、併用しても良い。また、他の加熱方
法で転写シートや被転写基材、接着剤等の加熱を要する
ものを充分に加熱しておき、これに冷却固体粒子を用い
て、転写シートの成形と接着及び冷却を殆ど同時に行う
こともできる。固体粒子を加熱又は冷却するには、固体
粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンクに貯蔵する場合
は、タンク内(図11参照)やタンク外壁の設けた、電
熱ヒータ、加熱蒸気、冷媒等による加熱手段、冷却手段
で行えば良い。また、固体粒子輸送管の外壁にこれら手
段を設けて、輸送管にて加熱又は冷却しても良い。
【0035】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段としての噴出器から、多数の固体粒子を連続
して転写シートに向かって噴出させて、転写シートに衝
突圧を印加する。多数の固体粒子は固体粒子群として転
写シートに衝突する。噴出器としては、本発明では、羽
根車を固体粒子の加速手段として用いる。羽根車はその
回転により固体粒子を加速する。羽根車には、サンドブ
ラスト或いはショットブラスト、ショットピーニング等
とブラスト分野にて使用されているものを流用できる。
例えば遠心式ブラスト装置である。遠心式ブラスト装置
は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。
【0036】(羽根車と吹出ノズルの比較)羽根車によ
る噴出器は、固体粒子の噴出方向が原理的に羽根車回転
軸に平行方向にはあまり広がらず、該回転軸に直交方向
に広がる傾向がある。従って、転写シート及び被転写基
材を搬送しながら衝突させる場合、その幅の寸法次第で
は、一つの噴出器でも全幅に衝突圧を与えられる利点が
ある。これに対して、前述した特開平9−315095
号公報で開示された様式では吹出ノズルが用いられてい
る。この吹出ノズルとしては、羽根車同様にブラスト分
野にて加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト
装置として使用されている吹出ノズルを使用できる。し
かし、吹出ノズルは噴出する固体粒子の広がりは通常は
どの方向にも均一で等方的ではあるが、羽根車による噴
出器の場合よりも広がりが少ない。また、無理に衝突圧
印加領域を広げると、今度は圧力が低下してしまう。従
って、スポット的に衝突圧を印加したい場合には好適だ
が、同じ面積の衝突圧印加領域に対してより多くの噴出
器を使用する必要がある。
【0037】更に、羽根車では、固体粒子の加速を回転
する羽根車の羽根に固体粒子を衝突させて加速するのに
対して、吹出ノズルは空気等の固体粒子加速流体の高速
流で加速する為に、どうしても高圧且つ多量の流体を使
用する事になる。その結果、十分な衝突圧を得にくい上
に、加圧ポンプ等の加圧設備のエネルギー消費も大き
い。しかも、固体粒子加速流体である空気等も固体粒子
と共に転写シートに衝突する為、既に加熱された転写シ
ート等の熱を奪い、転写シートの凹凸追従性等を低下さ
せる事もある。もちろん、固体粒子加速流体自体も加熱
して使用すれば良いのだが加熱装置が必要となる上に、
固体粒子加速流体は噴出後に放散する為、固体粒子と異
なり、回収再利用するにしても熱の利用効率が悪いとい
った欠点もある。また、吹出ノズルでは、固体粒子の加
速を気体(或いは液体)を固体粒子加速流体として使用
するので、固体粒子の周囲空間への漏出防止の為にチャ
ンバ内で衝突させる場合、チャンバ内に流体も流入する
事になる。チャンバ内は固体粒子漏出防止の為に負圧と
するのが好ましいが、固体粒子加速流体の使用はチャン
バ内圧力バランスに影響するで、例えば気体はその分排
気する必要がある。また、吹出ノズルでは固体粒子加速
流体(或いは固体粒子との混合系として)を加圧してお
く必要がある。従って、装置的にも、吹出ノズルでは固
体粒子加速流体(或いは固体粒子との混合系として)の
加圧設備や、その流入量を考慮した排気設備も必要とな
る。
【0038】以上の如く、噴出器に吹出ノズルに代えて
羽根車を用いた場合には、衝突圧印加領域を一つの噴出
器で広くできる点、流体加圧のエネルギー消費が無い
点、大きな衝突圧が容易に得られる点、加熱された転写
シート等の温度低下を容易に防げる点、チャンバの負圧
維持が容易な点等の利点が得られ、効率的且つ生産性良
く転写できる。
【0039】〔噴出器:羽根車〕図2〜図4に、噴出器
の粒子加速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示
す。これらは、ブラスト分野にて使用されている遠心式
ブラスト装置に該当する。図面では、羽根車812は、
複数の羽根813がその両側を2枚の側面板814で固
定され、且つ回転中心部は羽根813が無い中空部81
5となっている。更に、この中空部815内に方向制御
器816を内在する。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図4参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。
【0040】なお、固体粒子の噴出方向は、図2〜図3
では略鉛直下方であるが、図6(B)の様に水平方向、
或いは斜下方(図示略)等としても良い。図5(A)及
び図5(B)に方向制御器816の開口部817の向き
の設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御
の概念図を示す(図5(A)、(B)では方向制御器は
それぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向制
御器816は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさ
を調整することで、固体粒子の噴出量を調整することも
できる。なお、図3に於いては、回転軸819は側面板
814の外側のみで中空部815にまで貫通していない
構成となっているが、この他、中空部の直径より細い回
転軸を該中空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通
り抜け用の開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身
を中空部とする構成などでも良い(図示略)。羽根81
3の形は、図2〜図5の様な長方形の平板(直方体)が
代表的であるが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロ
ペラ等のプロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、
目的に応じて選択する。又、羽根の数は複数枚、通常最
大10枚程度までの範囲から選択する。羽根車の形状、
枚数、回転速度、及び固体粒子の質量や供給速度と供給
方向、方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせ
により、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出
速度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0041】また、図6は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。固体粒子の噴出方向は鉛
直下方(図示略)、水平方向(図6)、或いは斜下方
(図示略)等が可能である。
【0042】また、上記した羽根車812、812a等
の羽根車には、更に必要に応じ、固体粒子の噴出取出部
分のみ開口させ、それ以外の羽根車周囲を被覆する噴出
ガイド(不図示)を備える事で、固体粒子の噴出方向を
揃えたりする固体粒子噴出方向制御を行うこともでき
る。噴出ガイドの開口部の形状は、例えば、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等である。噴
出ガイドは、単一開口部を有するものでも良い。
【0043】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重
量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0044】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等から適宜選択すれば良い。固体粒子は羽根
に接触して加速されるので、羽根には、耐摩耗性のよい
高クロム鋳鋼、セラミックを用いると良い。
【0045】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、1個のみの
使用でも従来の吹出ノズル方式の場合に比べて衝突圧印
加領域の面積を十分広くとることが可能だが、要求する
面積が更に大きい場合には複数用いて、転写シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。被転写基材を搬送しながら衝突圧を与える場合
は、例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向に直
交して幅方向に一直線状に複数列を配置して、幅方向に
直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或いは、図
7(A)の噴出器32の配置は千鳥格子状の配置であ
り、図7(B)は一列配置だが、幅方向中央部は送り方
向の上流側で衝突する様にした配置である。図7(B)
の配置では、転写シートの被転写基材への衝突圧による
圧接は幅方向中央部から始まり、順次、幅方向両端部に
向かって圧接されて行く。この様にすると、幅方向中央
部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写基材に
密着することを防止できる。図7の様に噴出器を幅方向
に複数個配列する場合には、個々の噴出器の加圧領域が
互いに一部重複し、全幅にわたってもれなく加圧できる
様に配列することが好ましい。図7(B)にそのような
配列の一例を示す。該図に於いて、点線部分が(有効)
加圧領域を示す。
【0046】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。例えば、転写シートの搬送方
向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方向
両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布に
設定する。この設定は、図7(B)の配置と同様に、中
央部から両側部に向かって順次段階的に圧接を進行さ
せ、内部に空気を抱き込むのを防ぐ。もちろん、衝突圧
は転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シートの歪
み、被転写基材の変形、破損等の生じない圧以下の適正
圧力範囲内とする。衝突圧の調整は、噴出器から転写シ
ートに衝突する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突
する固体粒子数、投射量、及び1粒子の質量を制御する
ことで調整する。これらのうち、固体粒子の速度を調整
するには、羽根車を用いる噴出器では、羽根車の回転
数、羽根車の直径等で調整する。
【0047】〔噴出器の被転写基材に対する配置方法〕
羽根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向
は、原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がら
ず、該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。このよう
な噴出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば良
い。しかし、一つの噴出器で所望の衝突領域の大きさに
出来ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様に、
複数の噴出器を被転写基材の被転写面に対して配置する
場合は、固体粒子がなるべく垂直に衝突する様に、各噴
出器は被転写基材に平行にし、且つ各噴出器の噴出方向
が被転写基材の法線方向になる様な配置が基本である。
垂直衝突時に、衝突圧は最大に有効利用できるからであ
る。例えば、被転写基材を搬送しながら衝突圧を与える
場合で、被転写基材の被転写面の包絡面(の搬送方向に
直角の断面形状)が円型になる円筒状の凸曲面の場合で
あれば、各噴出器が主として受け持つ個別の衝突面(凸
曲面の接平面)に対して、略垂直に固体粒子が衝突する
様に、噴出器の向きを近接する被転写基材面の包絡面法
線方向にして配置すると良い。ただ、噴出器の向きは、
転写シート支持体側面に対して必ずしも垂直にする必要
はない。また、噴出器は多めに設けておき、製造する被
転写基材によっては、一部の噴出器は停止させても良
い。
【0048】〔固体粒子の衝突方向〕固体粒子は、被転
写基材の被転写面の包絡面に対して、垂直に衝突させる
垂直衝突が基本的である。つまり、噴出器の固体粒子噴
出方向を前記包絡面に対して垂直とする。しかし、固体
粒子を被転写基材の被転写面の包絡面に対して角度をも
って斜めから衝突させても良い。つまり、噴出器の固体
粒子噴出方向を前記包絡面に対して斜めとする。或い
は、複数の噴出器を用いて垂直衝突と斜め衝突とを併用
しても良い。また、斜め衝突は異なる方向からの複数の
斜め衝突を組み合わせても良い。斜め衝突は、被転写面
の凸部から凹部に至る斜面(特に垂直衝突では衝突圧を
与えにくい垂直面)に対しても、固体粒子の運動エネル
ギーの衝突圧への利用効率を向上させる為である。包絡
面に水平な面に対する衝突圧の利用効率は多少犠牲なる
が、凹凸の被転写面全体でみれば、衝突圧が過少となる
部分を解消して、平均的に十分な衝突圧を加える事が可
能となる。この様な斜め衝突は、被転写面に於ける垂直
面の有無等の凹凸形状次第で採用する(図9参照)。
【0049】〔固体粒子衝突圧の実際的な利用法〕ま
た、実際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は
周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが
好ましい。つまり、この為には、固体粒子衝突圧による
転写圧を押圧する衝突空間を周囲空間と隔離するチャン
バ(隔離室)内で、固体粒子を転写シートに衝突させて
転写圧を加える(図9参照)等すると良い。支持体の剥
離は、チャンバ外でも良い。また、噴出させた固体粒子
は回収する。
【0050】〔転写シート、被転写基材、接着剤等の加
熱〕転写圧に固体粒子衝突圧を用いる場合でも、転写ロ
ーラに弾性体ローラを用いる従来公知の転写方法と同様
に、接着剤活性化、或いは転写シート延伸性向上等に、
転写圧押圧中やその前に、転写シート、被転写基材等を
適宜加熱することができる。特に本発明では、少なくと
も転写シートは、少なくとも加熱ローラ等で予熱する。
【0051】(衝突圧印加前の転写シートの予熱)本発
明の曲面転写装置では、転写シートは、衝突圧印加前
に、シート予熱手段である回転する加熱ローラによって
予熱する。この為、通常は転写シートは連続帯状で搬送
しながら加熱ローラで予熱する。加熱ローラ自体の加熱
源は、例えばローラ内を中空にして熱水等の加熱媒体を
流通させたり、誘導加熱等を利用する。加熱ローラは必
要に応じ複数本使用する。もちろん、加熱ローラの予熱
では不十分の場合等では、他の加熱手段も併用して転写
シートを予熱しても良い(図1参照)。他の加熱手段と
しては、例えば、ヒータ加熱、誘電加熱、熱風加熱、赤
外線輻射加熱等の任意の従来公知の加熱手段で良い。他
の加熱手段を併用する場合、加熱ローラによる予熱との
前後関係は特に限定は無い(図1参照)。但し通常は、
加熱ローラによる予熱は、加熱され伸びやすくなる転写
シートを、ドラム面に保持する様にして加熱できるの
で、最終的な予熱に用いる方が、伸び易くなった転写シ
ートの搬送は容易である。もっとも、加熱ローラによる
予熱の後に、転写シートが被転写基材上に乗せられる等
して、転写シートと被転写基材とを一体的に搬送する場
合には、転写シートは被転写基材で完全では無いが保持
された状態にも出来るので、この場合は、加熱ローラの
後に更なる予熱を行う事も楽である。
【0052】(衝突圧印加前の被転写基材、接着剤の予
熱)転写シート同様に、被転写基材や接着剤も、転写シ
ートの延伸性向上、接着活性化等の為に、必要に応じ衝
突圧印加前に予熱すると良い。被転写基材(及びその上
の接着剤層)の予熱も、転写シート同様に従来公知の任
意の加熱手段で加熱すれば良い。例えば誘導加熱や誘電
加熱は基材内部から加熱できるが、一方、ヒータ加熱、
赤外線加熱、熱風加熱(図9参照)は、凹凸表面側から
の加熱が効率的である。また、被転写基材は裏面側から
も加熱してもよい。裏面側からの加熱は、熱容量の大き
い基材を速やかに加熱したりする場合に有効である。な
お、この裏側面からの加熱は、後述する衝突圧印加中の
加熱として、転写シートや接着剤が衝突圧の印加完了ま
で冷えることを防止して所定の温度に保つ場合にも有効
である。裏面側からの加熱方法は、基材搬送装置に加熱
手段を持たせたり、或いは被転写基材を基材置き台に載
置して搬送する場合は、その基材置き台の加熱による。
基材搬送装置の加熱手段としては、基材搬送に駆動回転
ローラ列を用いる場合は加熱ローラやローラ間にヒータ
等の熱源を配置する。加熱ローラは、例えばローラ内を
中空にして熱水等の加熱媒体を流通させたり、誘導加熱
を利用する。また、被転写基材をゴムベルトに載置して
搬送する場合は、ゴムとしてシリコーンゴム等の耐熱性
ゴムを用い、これを、誘電加熱、赤外線加熱する等の方
法が有る。また、基材置き台の加熱は、それを搬送する
基材搬送装置によって加熱したり、基材置き台を載置す
る台(搬送せず静置で衝突圧印加する)を加熱台として
加熱したり、基材置き台に電熱ヒータ等の加熱手段を設
けても良い。
【0053】(衝突圧印加中の転写シート、被転写基材
等の加熱)衝突圧印加中の加熱は、転写シート、被転写
基材及び接着剤は、通常はこれらを区別せずに一体的に
加熱する。衝突圧印加中の加熱は、転写シート、被転写
基材、接着剤等を十分な温度まで予熱しておく場合は、
それらが衝突圧の印加完了まで冷えることを防止して所
定の温度に保つ為に行う。また、それら温度を十分な温
度まで予熱しない場合には、更に加熱して十分な温度に
する為に行う。衝突圧印加中の加熱は、固体粒子に加熱
固体粒子を用いたり、噴出器の間隙に分散してヒータ等
の熱源を設けることができる。また、上記した如く、被
転写基材の裏側面からの加熱も有効である。
【0054】(予熱と加熱の使い方とチャンバ使用時の
留意点)転写シート、被転写基材、接着剤等の予熱及び
加熱は、もちろん、衝突圧の印加前の予熱のみ、印加前
の予熱と印加中の加熱、或いは印加中の加熱のみでも良
く適宜使い分ける。但し、衝突空間となるチャンバ内で
の熱風加熱(予熱も含む)は、内部に気体を流入しチャ
ンバ内圧力バランスに影響するので、該チャンバ外で行
う方が好ましい。それは、空気を該チャンバ内に入れる
ことになり、固体粒子漏出防止の為のチャンバ内の負圧
の維持を邪魔し、また、固体粒子の流れを攪乱したり、
チャンバから噴出器を通過してホッパに気体を逆流させ
たり、固体粒子を気体と共に真空ポンプで吸引して回収
する場合はその負荷増にもなるからである。どうして
も、チャンバ内で熱風加熱を行う必要がある場合は、図
9の如く、固体粒子の噴出と衝突を行う衝突室と、熱風
加熱を行う室とを隔壁で仕切り、個別に室内の吸排気を
行う様にすることが好ましい。
【0055】チャンバ使用時の転写シートや被転写基材
の加熱(予熱も含む)は、チャンバの外部又は内部、或
いは外部及び内部で行えば良い。外部及び内部の加熱
(図9参照)では、充分な予熱が必要な場合でも、チャ
ンバ内搬送路長は短くして(つまりチャンバ内容積は小
さくして)必要な加熱をすることができる。チャンバの
内容積を小さくした方が、固体粒子の飛散、回収等を考
慮した取扱上は有利だからである。チャンバの内部で加
熱する利点は、衝突圧印加の直前まで、或いは衝突圧印
加中までも、加熱できることであり、特に熱容量が大き
い被転写基材をその被転写面近傍のみ効果的に予熱しよ
うとする場合等である。
【0056】〔接着剤の強制冷却〕また、接着剤が熱融
着型の場合は、転写シートが被転写基材に密着後に接着
剤を強制冷却すれば、凹部内部にまで追従、成形された
転写シートの固着化を促進して、転写シートに復元力が
ある場合に圧解放後、転写シートが元の形状に戻ること
を防止し、転写シート(の支持体)の剥離除去をより早
くできるので、転写抜け防止や生産速度向上が図れる。
この為には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま
冷却固体粒子を用いたり、或いは衝突圧印加後に、風冷
等の他の冷却手段(図9、図14参照)を用いて接着剤
層を冷却すると良い。被転写基材の熱容量が大の場合
は、冷却固体粒子、低温流体の吹き付け、基材搬送用の
ローラやベルトコンベア或いは基材置き台等の冷却によ
り、被転写基材を裏面から冷却できる。或いは、チャン
バ内でこれら冷却の後にチャンバ外で、或いはチャンバ
内では冷却せずにチャンバ外のみで、表や裏からの冷風
吹き付け等で冷却しても良い。なお、これは転写シート
の冷却にも言える。また、同様の事が離型性シートの押
圧時に接着剤が加熱される場合にも言える。すなわち、
離型性シート押圧時には、浮いた転写層は被転写基材に
接触するだけで無く、接着して固定されなければなら
い。この為には、離型性シート押圧時に接着剤が活性化
しており、また離型性シート剥離時は、接着が完了して
いる必要がある為である。
【0057】〔支持体の剥離〕なお、支持体を剥離する
タイミングは、衝突圧の解除以降、支持体が剥離時応力
で切断や塑性変形をし無い程度に冷却し、接着剤層が冷
却や一部進行した硬化反応で固化し転写シートが被転写
基材に固着した時点以降に行えば良い。
【0058】〔チャンバ使用での一形態〕前述した如
く、固体粒子はチャンバ内で衝突させて飛散防止する事
が好ましい。そこで次に、チャンバを使用して連続的に
転写する場合の本発明の曲面転写方法及び曲面転写装置
の一形態の概念図を示す図9に従い、本発明を更に詳述
する。
【0059】同図の装置は、板状で包絡面形状が平板状
の凹凸表面を有する被転写基材Bに、固体粒子衝突圧に
より、連続帯状の転写シートSから装飾層等を転写する
装置である。同図装置では、被転写基材Bは基材搬送装
置11で搬送し、転写シートSは巻出ロール12から巻
き出して加熱ローラ21で予熱後、被転写基材に対向さ
せ、そして、被転写基材及び転写シートを一体的に搬送
して、噴出器32a及び32bから噴出させた固体粒子
Pの衝突圧を与えた後、剥離ローラ14で転写シートの
支持体を剥離する。
【0060】固体粒子Pは、固体粒子噴出手段としての
一対の噴出器32a及び32bから噴出させる。各噴出
器32a及び32bは羽根車利用のもので、チャンバ3
3b内で、固体粒子Pを被転写基材Bの上方に位置する
転写シートSに向かって噴出させて衝突させ、衝突圧を
転写圧として与える。
【0061】同図の各噴出器32a及び32bは、単独
の衝突圧印加領域で搬送される被転写基材の幅方向全域
をカバーする様にしてあり、従って、転写シート及び被
転写基材は搬送されるにつれて、噴出器32aによる衝
突圧に引き続き、噴出器32bによる衝突圧を全幅で受
ける様になっている。しかも、一対の噴出器32a及び
32bから噴出した主たる固体粒子は、被転写基材(の
被転写面の包絡面)に対して垂直に衝突させずに前後左
右から斜めに衝突させる様にしてある。すなわち、同図
の如く、基材搬送方向に於いては各噴出器の羽根車の回
転軸を基材搬送方向に平行な面内で水平から互いに逆傾
斜方向に傾けて、互いに上流側と下流側との前後から斜
めに衝突させる。一方、基材搬送方向に直交する幅方向
に於いては、図10(図5も参照)の如く、噴出器32
a及び32bのそれぞれの羽根車の回転方向を互いに逆
回転として、互いに幅方向の一方の側と他方の側との左
右から斜めに衝突させる。
【0062】被転写基材Bは、基材搬送手段としての基
材搬送装置11で搬送する。基材搬送装置11は、少な
くともチャンバ通過部分は無限軌道式のコンベアベルト
からなり、被転写基材Bを、その被転写面を水平上向き
にして水平方向に搬送する。なお、基材搬送手段として
は駆動回転ローラ列等を用いても良い。また、基材搬送
手段としは、被転写基材を少なくとも噴出器に対向する
位置(同図ではチャンバ33内部の噴出器32a及び3
2bの真下)まで搬送する手段であれば良いが、同図装
置では、その後、更に剥離ローラ14まで被転写基材を
搬送する。
【0063】転写シートSは、巻出ロール12から巻き
出して、転写シートの搬送速度と同じ値の周速度で回転
する加熱ローラ21で予熱後、ガイドローラ、仮固定ロ
ーラ13を経た後は、被転写基材Bに仮固定された状態
で一体となって、衝突圧を受ける位置まで搬送される。
そして、衝突圧印加後は、転写シートSの支持体を剥離
ローラ14で剥離し巻取ロール15で巻き取る。同図装
置では、巻出ロール12、ガイドローラ、仮固定ローラ
13等がシート供給手段である。なお、同図装置のシー
ト供給手段は、衝突圧印加後の転写シートをチャンバか
ら排出し、支持体を剥離ローラ14で剥離除去して巻取
ロール15で巻き取る事も行う。なお、同図の場合とは
異なるが、転写シートの形態が、加熱ローラで予熱され
る時は連続帯状で、衝突圧にさらされる時は枚葉である
場合では、シート供給手段は、例えば、被転写基材は基
材搬送装置で搬送される基材置き台に載置して、その基
材置き台に連続帯状の転写シートを位置固定した後、枚
葉に分断して衝突圧にさらす事などになるので、転写シ
ートを分断したり、基材置き台に位置固定するシートク
ランプ等もシート供給手段の構成要素となる。
【0064】そして、シート予熱手段である加熱ローラ
21は、中空のローラ内部に熱水、水蒸気、加熱オイル
等の熱媒体を内部に流通させて加熱ローラとしたり、或
いは誘導加熱や誘電加熱を利用して金属又は樹脂製のロ
ーラを加熱ローラとする。加熱ローラは、転写シート搬
送速度と同じ周速度で回転し、そのローラ面に接触した
転写シートを予熱する。転写シートは、通常はその支持
体側で加熱ローラに接触させる。なお、ローラ表面には
必要に応じシリコーンゴム等の耐熱性のゴムを被覆して
も良い。
【0065】なお、チャンバは、基材搬送装置11の上
部側に於いて転写シート及び被転写基材の出入口を除い
て別室に区画したチャンバ33a〜33cを、転写シー
ト及び被転写基材の入口側からこの順に備え、また、基
材搬送装置11の下部側に於いて前記チャンバ33a〜
33cに対応する基材搬送装置下側の共通空間としてチ
ャンバ33dを備える。チャンバ33dは基材搬送装置
のコンベアベルトの幅方向両側部分で上側の33a〜3
3cと連結している。なお、チャンバ33aは加熱室
(チャンバと言うよりは乾燥炉だが後述の如く固体粒子
流出防止にも寄与している)であり、また、チャンバ3
3bは衝突室であり、チャンバ33cは後処理室(冷却
・固体粒子除去)室であり、下方のチャンバ33dは共
通空間であるが固体粒子回収室とも言える。そして、チ
ャンバは、固体粒子を周囲の作業雰囲気中に漏らさない
ようにするのが第1目的であり、この為、特に衝突室で
あるチャンバ33bは、転写シート及び被転写基材の出
入口で連結するチャンバ33a及び33cよりも、気圧
を低く(負圧)する。チャンバ33aでは熱風吹付ノズ
ル22から熱風が吹き出しており、また、チャンバ33
cでは冷風吹付ノズル24から冷風が吹き出している結
果、相対的にチャンバ33bはチャンバ33a及び33
cよりも低圧にできる。なお、チャンバ33cも、除去
ローラ35による固体粒子除去で固体粒子が内部に飛び
交うが、チャンバ33cはその内部下流側で外部に通じ
る出口に近い部分に、冷風吹付ノズル24を設けてある
ので、出口からの固体粒子漏出は防げる。なお、衝突室
となるチャンバ33b内は、固体粒子のチャンバからホ
ッパへの逆流防止の為に、好ましくは外部より低圧にす
ると良い。このチャンバの圧力調整は、例えば排風機
(図示せず)をチャンバに適宜接続して内部気体を外部
を排気すると良い。
【0066】そして、同図の装置では、転写は次の様に
して行う。
【0067】先ず、被転写基材Bは、基材搬送装置のコ
ンベアベルト上に載置して一枚ずつ搬送する。なお、被
転写基材Bは、オフライン又はインラインで、必要に応
じて、接着剤塗工や下地塗装等を適宜行う。接着剤は全
面或いは凸部のみ等と所望の部分に塗工する。なお、塗
工する接着剤等に溶剤分がある場合は、蒸発成分はチャ
ンバの防爆対策の観点から揮発乾燥させてからチャンバ
内に搬送する。
【0068】一方、転写シートSは、巻出ロール12か
ら巻き出して、先ず、加熱ローラ21で予熱する。その
後、転写シートはガイドローラを経て、表面がゴム製の
弾性体ローラからなる仮固定ローラ13で、被転写基材
に対して軽く押圧して被転写基材に仮固定する。仮固定
は、転写シートが被転写基材の凸部等の一部に固着する
のみで凹部内部等には接触しなくとも良い。なお、転写
時に接着剤を転写シートに施す場合は、転写シートが巻
出ロール12から加熱ローラ21に至る間に、接着剤塗
工装置(図示せず)を設けて接着剤を塗工する。溶剤乾
燥を要す場合は、仮固定ローラ13に至るまでの間に乾
燥装置(図示せず)を設けて乾燥する。
【0069】そして、仮固定された転写シートSと一体
となって被転写基材Bは、先ず加熱室であるチャンバ3
3a内に搬送され、そこで、熱風吹付ノズル22から吹
き出す熱風Ahによって、転写シート、被転写基材〔及
び接着剤(層)〕が加熱される。その結果、転写シート
は加熱されて軟化し、衝突圧印加時に延伸され易くな
る。また、接着剤も加熱されて活性化する。
【0070】一方、固体粒子Pには、ホッパ31内で粒
子加熱装置23によって加熱された粒子を使用する。粒
子加熱装置23は、図11に示す如く、ホッパ内部に設
けた導管231に設けた吹出孔232から熱風Ahを吹
き出して、固体粒子を加熱する。そして、固体粒子はホ
ッパ31から羽根車利用の一対の噴出器32a及び32
bに供給され、衝突室であるチャンバ33b内で転写シ
ートSに向かって噴出される。そして、転写シートは、
噴出器から噴出する固体粒子の衝突にさらされる。被転
写基材の幅方向全幅が一つの噴出器による衝突圧印加領
域でカバーされ、転写シートは最初に噴出器32aから
の固体粒子の衝突圧を受け、引き続き噴出器32bから
の衝突角度を変えた衝突圧を受ける。そして、被転写基
材及び転写シートが搬送されるにつれて、長手方向の全
領域が順次衝突圧にさらされて行く。その結果、転写シ
ートは、固体粒子衝突圧で被転写基材に押圧され、被転
写基材の凹凸表面の凹部内へも転写シートは延ばされて
変形することで、被転写基材の凹凸表面形状に追従して
成形されて、加熱熔融し活性化している接着剤により転
写層が被転写基材に密着する。そして、転写シートが転
写すべき凹凸表面に密着した被転写基材は、後処理室で
ある次のチャンバ33cに搬送される。
【0071】また、固体粒子衝突時は、固体粒子の裏回
り防止も行う。裏回り防止は、転写シートに衝突後に跳
ね返った固体粒子や、その他部分で跳ね返る等した固体
粒子が、転写シート転写層側、或いは被転写基材の側面
や裏側面等にまで裏回り防ぐ為である。転写シートと被
転写基材間の隙間に固体粒子が入り込めばそこだけ転写
されない転写抜けとなったり、転写層側や被転写基材側
面等に接着剤(層)が露出していれば固体粒子が付着し
たりする。付着は、固体粒子の再利用効率を低下させ、
また、被転写基材への付着は転写物の品質低下となる。
そこで、同図装置では、図12に示す如く、転写シート
Sは被転写基材Bの横幅よりも広幅として、その両端
を、一対のエンドレスベルトからなる裏回り防止ベルト
34で、支持体側から基材搬送装置11のコンベアベル
ト面に押圧しながら搬送する。裏回り防止ベルト34
は、転写シートを両側で押さえて基材搬送装置11の搬
送速度と同一速度で回転する。その結果、被転写基材の
左右の側面は転写シートで包み込む様に覆われて保護さ
れ、前後の側面は連続帯状の転写シートで保護され、被
転写基材の裏側面はコンベアベルトによって保護され
る。なお、裏回り防止ベルト34による転写シートの押
さえは、チャンバ33a内で開始され、チャンバ33c
内の除去ローラ35と冷風吹出ノズル23との間で終了
する様にしてある。
【0072】一方、転写シートへの衝突に供された後の
固体粒子は、その一部は基材搬送装置11のコンベアベ
ルト両端部を迂回して、下部のチャンバ33dに落下す
る。また、残りの部分は転写シート支持体上に載置され
たまま下流側に移送されて、次のチャンバ33cに入
る。そして、先ず、ブラシを用いた除去ローラ35で、
固体粒子を転写シート上から除去する。除去ローラ35
は図13の如く、幅方向中央部を境にして、左右逆螺旋
となる様に植毛したブラシの毛351を設けたローラで
ある。回転している螺旋により、固体粒子は中央部から
転写シート両端部に向かって掃き集められ落下する。
【0073】その後、スリット状の冷風吹付ノズル24
から転写シート及び被転写基材上に向かって、冷風Ac
として室温の空気を吹き付け、被転写基材及び転写シー
トを、転写シートの支持体が剥離可能な温度にまで冷却
させる。冷風吹付ノズル24は、図14の如くV字型
で、吹き付ける冷風が、転写シート幅方向中央部から両
端部に近づくにつれて下流側で当たる様にしてある。こ
れは、冷却と同時に、転写シート上にまだ残留している
固体粒子を、中央部から両端部に向かって吹き飛ばして
除去する為である。また、この冷風Acは接着剤が冷却
固化して初期接着力を発現するまでの間、転写シートを
被転写基材に押圧し続け、転写シートの浮きを防止する
機能も有する。
【0074】チャンバ33dに落ちた固体粒子は、その
斜面を成す底面を擦り落ちる等して集積され、回収され
る。回収した固体粒子は、元のホッパ31にまで搬送し
再使用する。コンベア等で連続搬送する事で衝突圧印加
と同時平行で循環再利用もできる。
【0075】そして、密着した被転写基材と転写シート
とが、冷風吹付ノズル24で強制冷却されてまた残りの
吹き飛ばせる固体粒子も除去されてチャンバ33cから
排出されて外部空間に出た後、転写シート(の支持体)
を、剥離ローラ14により被転写基材から剥離除去す
る。その結果、転写シートの転写層として装飾層等が被
転写基材の凹凸表面に転写形成された、化粧材D等の転
写物が得られる。一方、剥離ローラ14通過後の転写シ
ートS(の支持体)は、再度、第2除去ローラ36によ
って付着した固体粒子を除去した後、転写シートの支持
体を巻取ロール15に回収する。第2除去ローラ36
は、図15の如く、幅方向中央部を境にして、左右逆螺
旋となるプラスチック製でヘラ状の螺旋羽根361を有
するローラである。回転させた螺旋羽根により、支持体
に入り込んだり静電気等で付着した固体粒子を、浮き立
たせて除去する。支持体を資源として再利用する為に
は、固体粒子は異物となるからである。
【0076】なお、接着剤等に電離放射線硬化性樹脂を
用い硬化させる場合は、噴出器と剥離ローラ間に、水銀
灯(紫外線光源)等の電離放射線照射装置を設けて、硬
化させる。
【0077】〔その他〕以上、本発明の曲面転写方法及
び装置を説明して来たが、本発明は上記説明に限定され
るものではない。例えば、図9の装置による曲面転写の
説明では、転写シートの被転写基材への圧接は、連続帯
状の転写シート及び枚葉の被転写基材を用い、両者を一
体的に搬送移動させつつ、固定の噴出器で固体粒子衝突
圧を連続印加する形態であったが、転写シートの被転写
基材への圧接は、その時だけ転写シート及び被転写基材
を停止させて、基材一個ごとに間欠的に行っても構わな
い(これらに対して例えば噴出器を移動させる)。ま
た、被転写基材及び転写シートともに枚葉の形態で、噴
出器に対向する位置に供給する形態でも構わない(加熱
ローラで予熱時は転写シートは連続帯状とし、その後、
分断する)。また、噴出器の固体粒子噴出方向と転写シ
ート及び被転写基材との位置関係は、両者ともに水平面
内に載置し、その上方から鉛直方向に真下に固体粒子を
噴き出す位置関係に限定されない。転写シート支持体側
面と噴出方向が垂直関係を維持したとしても、転写シー
トの載置又は搬送方向は、水平面内以外にも、斜面内、
鉛直面内(図6(B))等があり、また転写シートが水
平面内でも、支持体側が下側、すなわち、下から上に固
体粒子を噴出させ衝突させても良い。また、チャンバ内
は窒素等の不活性ガスを充満させて、接着剤等に電離放
射線硬化性樹脂を用いる場合に、空気中の酸素、水蒸気
等が該樹脂の硬化を阻害するのを防止しても良い。
【0078】〔転写物の用途〕本発明で得られる化粧材
等の転写物の用途は、転写された装飾面が凹凸面、特に
三次元形状等の凹凸表面の物品であるような各種用途に
用いられ得る。例えば、化粧材として、サイディング等
の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、天
井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居
等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機等
の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、
電車、航空機、船舶等の乗物内装材等の各種分野で用い
られ得る。化粧材は化粧板等として利用される。なお、
化粧材も含めて転写物の形状は、平板、曲面板、棒状
体、立体物等と任意である。
【0079】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
物の表面に、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に透
明保護層を塗装する等しても良い。この様な透明保護層
は、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフ
ッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、
シリコーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上等を
バインダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリアゾ
ール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダ
ードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、着色顔料、
体質顔料、シリカ、球状α−アルミナ等の粒子からなる
減摩剤、ワックス等の滑剤等を添加した塗料を用いる。
また、外装用途では、無機系塗料を用いることもでき
る。塗工はスプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロー
ルやスポンジロールを使用したロールコート等で行う。
透明保護層の膜厚は1〜100μm程度である。
【0080】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。先
ず、三次元的表面凹凸を有する被転写基材Bとして図8
の要部拡大斜視図に例示する様な、大柄な凹凸として深
さ2mm、開口幅7mmの目地の溝状凹部401と、煉
瓦積み模様の平坦状凸部402とを有し、微細な凹凸と
して平坦状凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲に
分布する梨地調の微細凹凸403を有する、大柄な凹凸
と微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を有する厚
さ12mmのケイ酸カルシウム板を用意した。そして、
該凹凸面に下地塗装及び下塗り塗装、更にその上の接着
剤塗工をオフラインで行った。なお、接着剤は、ウレタ
ン樹脂系の接着剤をスプレー塗装した。また、転写シー
トSは支持体に厚さ100μmのポリプロピレン系熱可
塑性エラスマトーフィルムの片面に、転写層となる装飾
層として該凹凸面形状と位置同調したセメントの目地を
有する煉瓦調の絵柄を順次グラビア印刷したものを用意
した。絵柄インキのバインダーの樹脂としては、アクリ
ル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8:2
(重量比)の混合物を、また、着色顔料としては、弁
柄、イソインドリノン、カーボンブラック、チタン白を
用いた。
【0081】次に、図9に示す様な装置で、図2〜図4
の様な羽根車を用いた噴出器を使用し、上記被転写基材
Bを、その凹凸面を上にしてコンベアベルトからなる基
材搬送装置11上に載置して搬送した。そして、巻出ロ
ール12から巻き出した転写シートSを加熱ローラ21
で予熱し、支持体表面温度を100℃にした後、ゴムロ
ーラからなる仮固定ローラ13で被転写基材に押圧して
仮固定して、チャンバ内に被転写基材と一体として供給
した。最初のチャンバ33a内で、熱風吹付ノズル22
からの120℃の熱風Ahで、転写シートの予熱、接着
剤の活性化、被転写基材の加熱を行った。また、チャン
バ33a内から、被転写基材よりも広幅とした転写シー
トの両端部を一対の裏回り防止ベルト34で押圧しなが
ら、転写シート及び被転写基材を搬送した(図12参
照)。なお、裏回り防止ベルトは、次のチャンバ33b
内の除去ローラ35と冷風吹付ノズル24との間まで転
写シートを押圧する。
【0082】次いで、固体粒子Pとして平均粒径0.4
mmの球形状の亜鉛球を、互いに逆回転する噴出器32
a及び32bから噴出させて、転写シートの支持体側に
前後左右方向から衝突させ、転写シートを被転写基材に
圧接した。各噴出器の羽根車の回転数は3600〔rp
m〕、固体粒子の噴出速度は35〔m/s〕であった。
そして、転写シートは目地の凹部内にまで延ばされて熱
融着し、チャンバ33bの次のチャンバ33cに於い
て、除去ローラ35のブラシで転写シート上に残留した
固体粒子を転写シート両端部に向かってかき集めて、下
のチャンバ33dに落とした。次いで、冷風吹付ノズル
24で10℃の冷風Acを吹き付けて、接着剤を冷却し
て接着温度以下に冷却固化させると共に、転写シート上
にまだ残留している固体粒子を吹き飛ばして、転写シー
ト両端部からチャンバ33dに落とした。次いで、被転
写基材及び転写シートがチャンバ33cから外部に出た
後、剥離ローラ14で転写シートの支持体を剥がし取
り、転写物として化粧材Dを得た。なお、剥離後の転写
シートの支持体(S)は図15の如き第2除去ローラ3
5で一部残留した固体粒子を除去してから巻取ローラ1
5で巻き取って回収した。化粧材は表面凹凸に追従して
絵柄が転写されていた。また、噴出器には羽根車を用い
た為、吹出ノズルに対してより少ない噴出器の使用で広
幅且つ十分な衝突圧を印加でき、しかも転写シートを予
熱してあるので、凹凸表面への完全な転写シートの追従
と速やかな初期接着による生産性への寄与ができた。更
に、この化粧材の転写層の表面に、0.5重量%のベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む2液硬化型フッ素
樹脂系塗料を乾燥時厚さ10μmに塗布して、透明保護
層を形成して、40℃雰囲気中で3日間養生硬化させ
て、透明保護層付きの化粧材を得た。なお、2液硬化型
フッ素樹脂系塗料としては、分子中に水酸基を有するフ
ッ化炭化水素プレポリマーの主剤と、ヘキサメチレンジ
イソシアネートからなる架橋剤とからなるものである。
【0083】
【発明の効果】本発明の曲面転写方法及び装置では、
転写シートの押圧には、固体粒子衝突圧を利用するの
で、被転写面の表面凹凸形状は、目地溝の有るタイル貼
りや煉瓦積凹凸等の三次元的凹凸も可能である上に、深
い凹凸形状も可能である。また、凹凸表面の全体の(包
絡面)形状は、平板状の板材以外にも、瓦の様に全体と
して波うち形状のもの、或いは凸又は凹に湾曲した形状
にも適用できる。また、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部
内(底部や凸部と底部の連結部分である側面)にも転写
できる。しかも、大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹
凸模様(例えば、ヘアライン、梨地、砂目等)が有る場
合でも、その微細凹凸の凹部内まで転写できる。また、
ゴムローラで加圧する従来のローラ転写法の様に、被転
写基材の凹凸部によるローラ等部品の損耗も無い。 以上の結果、化粧材等の転写物に於いては、従来に無
く極めて意匠性に優れたものが得られる。
【0084】更に、固体粒子を加速し噴出する噴出器
には、吹出ノズルでは無く羽根車を利用するので、十分
な衝突圧を保持したままで衝突圧印加領域を一つの噴出
器で広くできる点、流体加圧の為のエネルギー消費が不
要な点、大きな衝突圧が容易に得られる点、加熱された
転写シート等の温度低下を容易に防げる点、チャンバの
負圧維持が容易な点等の利点が得られ、効率的且つ生産
性良く転写できる。 また、転写シートは加熱ローラ等で予熱しておくの
で、衝突圧印加前に転写シートの凹凸追従性向上や接着
剤の活性化等を十分な状態にしておく事が出来るので、
上記羽根車による固体粒子の衝突圧の利点を有効に活か
して、効率的且つ生産性良く転写できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曲面転写方法及び装置をその一形態で
説明する概念図。
【図2】羽根車を用いた噴出器の一形態を説明する概念
図(正面図)。
【図3】図2の羽根車部分の斜視図。
【図4】図2の羽根車内部を説明する概念図。
【図5】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図6】羽根車を用いた噴出器の別の形態を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図7】噴出器の各種配置形態を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図8】被転写基材の三次元的表面凹凸の一例を示す要
部拡大斜視図。
【図9】本発明の曲面転写方法を実施し得る曲面転写装
置の一例を示す概念図。
【図10】一対の噴出器の各羽根車を逆回転させる概念
図(斜視図)。
【図11】ホッパに於ける粒子加熱装置の概念図。
【図12】裏回り防止ベルトの概念図(側面図)。
【図13】除去ローラを説明する概念図。
【図14】冷風吹付ノズルを概説する斜視図。
【図15】第2除去ローラを概説する斜視図。
【符号の説明】
1 支持体 2 転写層 3 噴出器 4 加熱ローラ 5 シート予熱用の加熱装置 11 基材搬送装置 12 巻出ロール 13 仮固定ローラ 14 剥離ローラ 15 巻取ロール 21 加熱ローラ 22 熱風吹付ノズル(加熱装置) 23 粒子加熱装置 24 冷風吹付ノズル(冷却装置) 31 ホッパ 32、32a、32b 噴出器 33a〜33d チャンバ 34 裏回り防止ベルト 35 除去ローラ(回転ブラシ) 36 第2除去ローラ(回転ブラシ) 231 導管 232 吹出孔 351 ブラシの毛 361 螺旋羽根 401 大柄な凹部(溝状凹部) 402 大柄な凸部(平坦状凸部) 403 微細な凹凸 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 Ac 冷風 Ah 熱風 B 被転写基材 D 化粧材(転写物) P 固体粒子 R1 巻出ロール R2 巻取ロール S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H113 AA01 AA04 AA05 BA22 BB23 BC13 FA03 FA28 FA29 3B005 EB05 EB07 EC11 FA02 FA03 FA04 FA08 FA12 FA17 FA18 FB23 FB42 FC02Z FC04Z FC08Z FC09Z FC12Z FE05 FE22 FF01 FF04 FF06 FF08 FF09 FG01X FG01Y FG02X FG02Z FG03X FG03Y FG03Z FG04X FG04Z FG05Z FG06X FG06Z FG07Z FG08X FG08Z FG09X FG09Y FG09Z FG10Y FG11X GA03 GA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹凸表面へ
    の転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着
    後、転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層
    を被転写基材に転写する曲面転写方法において、 転写シートに衝突させる為の固体粒子の加速を回転する
    羽根車によって行い、且つ転写シートを予熱した後、固
    体粒子を該転写シートに衝突させる、曲面転写方法。
  2. 【請求項2】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、転写シートを被転写基材
    の凹凸表面に圧接して転写する方法を実施する為に使用
    される装置において、少なくとも、 固体粒子を回転する羽根車によって加速して噴出する固
    体粒子噴出手段と、 転写シートを回転する加熱ローラに接触させて予熱する
    シート予熱手段と、 被転写基材を少なくとも固体粒子噴出手段に対向する位
    置まで搬送する基材搬送手段と、 転写シートを固体粒子噴出手段と被転写基材との間に位
    置させるシート供給手段と、を備えた、曲面転写装置。
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