JPH10272896A - 曲面転写方法 - Google Patents

曲面転写方法

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JPH10272896A
JPH10272896A JP9287697A JP9287697A JPH10272896A JP H10272896 A JPH10272896 A JP H10272896A JP 9287697 A JP9287697 A JP 9287697A JP 9287697 A JP9287697 A JP 9287697A JP H10272896 A JPH10272896 A JP H10272896A
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JP
Japan
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transfer
substrate
sheet
transferred
transfer sheet
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JP9287697A
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English (en)
Inventor
Masaru Okamoto
優 岡本
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面を持つ化粧材を効率良く製
造する。 【解決手段】 被転写基材Bの凹凸面側に、支持体と転
写層とからなる転写シートSの転写層側を対向させ、噴
出器32から噴出させた亜鉛の固体粒子Pを転写シート
の支持体側に衝突させ、その衝突圧で転写シートを被転
写基材に圧接後、支持体を剥離して化粧材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等の化粧板について、特に装飾さ
れた凹凸表面を有する化粧板の製造方法及び製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧板の基材面に直刷り法、ラミ
ネート法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板
が種々の用途で使用されている。この場合、基材の表面
が平面ならば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に
対しては格別の工夫により絵柄装飾を施している。例え
ば、窓枠、面縁材等の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸
〔円柱の様に一方向(母線、或いは高さ方向に直行する
方向)にのみ曲率を有する形状〕の場合に適用できる曲
面装飾技術の一つが、特公昭61−5895号公報に提
案されている。すなわち、同号公報の技術はラミネート
法による表面装飾法であり、片面に接着剤を塗布した表
装シートを供給し、一方基材を表装シートの供給速度と
同調した速度で水平に搬送し、併設した多数の押え治具
にて表装シートの端部が貼着されない状態を維持しつつ
表装シートの接着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に
段階的に押圧し、表装シートを基材面に加熱貼着するも
のである。なお、この方法はラッピング加工法と言われ
ている。また、表面凹凸がエンボス形状等の三次元的凹
凸(すなわち、半球面の様に2方向に曲率を有する形
状)の場合に適用できる曲面装飾技術としては、例えば
特開平5−139097号公報に提案されている。すな
わち、同号公報の技術は転写法による表面装飾法であ
り、転写シートの支持体として熱可塑性樹脂フィルムを
用い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次
設けた構成の転写シートを、凹凸表面を有する基材上に
設置し、支持体の裏面からゴム硬度60°以下のゴム製
の熱ローラで押圧して、絵柄を転写することによって化
粧板を得るものである。また、支持体と剥離層間に転写
時の熱で発泡する発泡層を設け、この発泡も利用して基
材の凹凸表面に追従させようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に開
示の技術では、二次元的曲面までしか対応できず、ま
た、特開平5−139097号公報が提案する技術で
は、三次元的曲面も対応できるが、基本的に回転する熱
ローラのゴムによる弾性変形を利用して表面凹凸に追従
させる為に、浅いエンボス形状は良いとしても大きな表
面凹凸には適用できない。その上、被転写基材の凹凸の
隅角部によって軟質のゴムローラが損耗し易い。また、
転写シートに発泡層を設ける構成では、転写シートが複
雑高価になり過ぎる。また、全体として平板状の基材に
限定されるといった問題があった。
【0004】そこで、本発明は、大きな三次元的凹凸表
面にも転写でき表面装飾性に優れた化粧材が得られ、且
つ特殊形状の治具を必要とせず、ゴムローラ等部品の損
耗による交換の必要の無い、曲面転写方法を提供するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の曲面転写方法では、支持体と転写層と
からなる転写シートを被転写基材へ押圧して圧接する手
段として、転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧を利用した。すなわち、凹凸表面を有す
る被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とからな
る転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支
持体側に亜鉛の固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用
して、被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行
い、転写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持体
を剥離除去することで、転写層を被転写基材に転写する
様にした。亜鉛の固体粒子は衝突時の衝撃が穏やかで、
脆い被転写基材でも、破損し無い。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面転写方法の実
施の形態を説明する。
【0007】〔被転写基材〕先ず、本発明の被転写基材
Bとしては、被転写面が平坦な平面でももちろん適用で
きるが、本発明が真価を発揮するのは被転写面が凹凸表
面であり、特にその凹凸が三次元的である被転写基材で
ある。従来の回転接触する押さえ治具(前述の特公昭6
1−5895号公報)や、ゴム製の転写ローラ(前述の
特開平5−139097号公報参照)では、その回転軸
による方向性を本質的に有しているために、適用できる
表面凹凸形状が制約される。即ち前者では、1軸方向に
のみ曲率を有する二次元的凹凸に限定され、また、後者
では2軸方向に曲率を有する三次元的凹凸への転写が可
能でもその三次元形状は任意の方向に均質に適用できな
い。例えば、木目導管柄の長手方向は、転写シートの送
り方向に平行にしないと、導管凹部には旨く転写できな
い。しかも、後者は基材形状は平板状に事実上限定さ
れ、それ以外は基材形状毎にその都度合わせた特殊形状
の転写ローラとでもしない限り不可能である。ところ
が、本発明では、後述の様に、流体的に振る舞うことが
できる固体粒子群の衝突圧を利用するため、表面凹凸の
三次元的形状に対して圧力印加領域の面的な方向性を本
質的に持たない。(この方向性とは、圧力が印加される
被転写基材上のポイントの時間的位置変化の方向のこと
である。)従って、転写シートや被転写基材の送り方向
に凹凸がある形状を持つ被転写基材でも構わない。すな
わち、送り方向のみ又は幅方向のみ等と一方向にのみ凹
凸がある二次元的凹凸、送り方向及び幅方向の両方等と
2方向に凹凸がある三次元的凹凸にも適用できることを
意味する。なお、固体粒子群の衝突圧が方向性を持たな
い点は、枚葉の転写シートを被転写基材上に載置し一つ
ずつ圧接密着する様に、固体粒子を噴出する噴出器を移
動、又は噴出器固定で転写シートと被転写基材とを移動
させて、衝突圧が印加される領域が移動していく様子を
考えれば、容易に理解できる。
【0008】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、円弧状に凸又は凹に送
り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有する基材
でも良く、またその湾曲面にさらに細かい三次元的な表
面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転写基材
の円弧状等の二次元的な凹凸に対して、それを例えば幅
方向として、或いは送り方向として転写するかは作業性
等を考慮して任意にできる。また、大柄な凹凸に重畳し
て微細な凹凸を有する凹凸表面の被転写基材、或いは凹
凸表面の凹部底部や凹部内側面に転写すべき面を有する
被転写基材も可能である。前記大柄な凹凸と微細な凹凸
とは、例えば図11(B)の如く被転写基材の凹凸が大
柄な凹凸401、402とその凸部402上にある微細
な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状は段差
が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部の幅が
5mm以上のもので構成されるものであり、微細な凹凸
形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小さ
く、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及
び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸部
の幅の1/2未満程度である。大柄な凹凸と微細な凹凸
との組み合わせの凹凸から成り、且つ三次元的な表面凹
凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例としては、例えば、
大柄な凹凸として目地、溝等を有するタイル、煉瓦、石
等の二次元配列模様を有し、その上に微細な凹凸として
スタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、
花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材表面の
凹凸等の石目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様として
目地、溝、簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造木目板
模様を有し、その上に微細凹凸として導管溝、ヘアライ
ン等を有する凹凸模様が挙げられる。なお、凹凸面を構
成する各面は、平面のみから、曲面のみらか、或いは平
面と曲面の組み合わせと任意である。従って、本発明の
被転写基材上の曲面とは、断面が下駄の歯形の様に複数
の平面のみから構成される曲面を持たない凹凸面も意味
する。また、本発明でいう曲率とは、立方体の辺或いは
頂点の周辺の様に角張っている曲率無限大(曲率半径=
0)の場合も包含する。なお、被転写基材表面を所望の
凹凸とするには、プレス加工、エンボス加工、押し出し
加工、切削加工、成形加工等によれば良い。
【0009】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、ALC(軽量発泡コンクリート)板、GRC(硝子
繊維強化コンクリート)板等の非陶磁器窯業系板、木材
単板や木材合板、パーティクルボード、或いは木質中密
度繊維板(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウ
ム、銅等の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、
ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂
成形品等でも良い。なお、後述の様に固体粒子加速流体
として液体を用い、該液体と共に固体粒子を噴出させる
場合は、該液体に対して不溶性且つ非吸収性の物が好ま
しい。例えば金属板、樹脂成形品、陶磁器やガラス等の
セラミックス等である。また、本発明で固体粒子として
亜鉛からなる固体粒子を用いているので、ケイ酸カルシ
ウム板、押し出しセメント板、ALC板、GRC板等の
非陶磁器窯業系板、陶磁器やガラス等のセラミックス等
の衝撃力に脆いものでも、被転写基材にひび割れ等の基
材破損無しに十分な衝突圧を印加して、深い凹凸にも転
写できる。また、これらの被転写基材表面には、予め、
接着剤との接着を補助する為の易接着プライマー、或い
は表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じるシーラー剤を
塗工しておいても良い。易接着プライマー、或いはシー
ラー剤としては、イソシアネート、2液硬化ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の
樹脂を塗工し形成する。
【0010】〔転写シート〕転写シートSは支持体と転
写移行する転写層とからなる。転写層は少なくとも装飾
層からなる。また、接着剤を、転写層の一部となる接着
剤層として、転写シートに形成しておいても良い。なお
液体を固体粒子加速流体に用い、液体と共に固体粒子を
噴出する場合は、支持体や転写層には、該液体に対して
不溶性の物を用いる。例えば、液体が水であれば、水溶
性樹脂等を除けば、一般の転写シートとして使用してい
る材料から下記に従い適宜選択使用すれば良い。
【0011】(支持体)上記支持体には、被転写基材が
二次元的凹凸表面であれば、延伸性が無い紙(但し、固
体粒子加速流体が液体の場合は、該液体に対して不溶性
のものを選ぶ)等も可能だが、本発明が真価を発揮する
三次元的凹凸表面に適用する為には、少なくとも転写時
には延伸性の有る支持体を用いる。延伸性により固体粒
子の衝突圧印加時に、被転写基材表面の凹部内部まで転
写シートを追従させて密着し転写することができる。転
写シート全体の延伸性は、主に支持体の延伸性に支配さ
れる。従って、支持体には、従来公知の熱可塑性樹脂フ
ィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜も使用できる。
熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等の転写層形成時
には延伸性が殆どなく、転写時には、加熱により充分な
延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状を保持し続
け、弾性による形状の復元を生じない転写シートとし
て、従来公知の通常の転写シート同様に容易に、本発明
で用い得る転写シートは用意出来る。支持体の具体例と
しては、延伸性の点で、従来多用されている2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムでも、表面凹凸形状
次第で、加熱条件、衝突圧条件等の設定によって、必要
充分な延伸性を発現させることができるので曲面転写は
可能だが、低温、低圧でより延伸性が発現し易いもの例
えば、ポリブチレンテレフタレート、又はテレフタレー
トイソフタレート共重合体等の共重合体ポリエステル系
フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィ
ルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィン
系フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ナイロンフ
ィルム等の低延伸又は無延伸のフィルム、天然ゴム、合
成ゴム、ウレタンエラストマー、オレフィン系エラスト
マー等のゴム(エラストマー)フィルムも好ましい支持
体である。支持体の厚さは、通常20〜100μmであ
る。
【0012】なお、固体粒子加速流体に液体を用いる場
合には、転写時に接する液体に対して、膨潤はするが不
溶である樹脂フィルムを使用する事も可能である。この
様な膨潤性且つ不溶性樹脂フィルムの例としては、液体
として水又は水溶液を用いる場合には、特開昭54−1
50208号公報、特公昭61−3276号公報等に開
示される様な、ポリビニルアルコール系フィルムであっ
て、平均重合度300〜3000、鹸化度65〜97m
ol%、厚さ20〜100μmのフィルムが代表的なも
のである。また、支持体には必要に応じ、その転写層側
に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けても
良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転写
層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シリ
コーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン
樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれ
らを含む混合物が用いられる。
【0013】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様に、シルクスクリー
ン印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有
する支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離
型層の機能を有する。
【0014】(転写層)転写層は少なくとも装飾層から
構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層の構成
要素とすることもある。接着剤層を有する構成では、転
写の際に転写シート又は被転写基材の片方又は両方に接
着剤を施すことを省略できる。装飾層はグラビア印刷、
シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の
方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミニウム、
クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分
的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合
わせたものを用いる。絵柄としては、被転写基材の表面
凹凸に合わせて、木目模様、石目模様、布目模様、タイ
ル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、
全面ベタ等を用いる。なお、絵柄層用インキは、バイン
ダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これ
に適宜加える各種添加剤からなる。バンイダーには、ア
クリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエ
ステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着
色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料を用いる。また、剥離層を、支持体乃至は離
型層と装飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写
後の装飾層の表面保護の為等に、これら層間に設けるの
は、従来公知の転写シートと同様である。なお、この剥
離層は転写時に装飾層と共に被転写基材側に転写され、
装飾層の表面を被覆する。また、転写時に転写シートと
被転写基材との間に残留する空気を排除し易くする手段
として、必要に応じて転写シート全層を貫通する小孔を
多数転写シートに穿設しても良い。
【0015】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前又は転写の直前に、オンライン塗工やオフ
ライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写シ
ート転写層の接着剤層を省略できる。用いる接着剤は、
用途、要求物性等により適宜選択すれば良いが、固体粒
子加速流体に液体を用いる場合には、該液体に対して不
溶性の物を選択する。用いる接着剤としては、例えば、
感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメ
ルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化
型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或い
は粘着剤による感圧型接着剤等の各種接着剤を使用でき
る。なお、水を固体粒子加速流体に用いる場合は、湿気
硬化型の接着剤や水性接着剤は避ける。上記感熱型接着
剤としては、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱硬化
性樹脂を用いた熱硬化型とのいずれの接着剤も使用でき
る。但し、短時間で接着が完了するという点からは、熱
融着型(感熱溶融型接着剤)が好ましい。また、接着剤
は溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温で液体又は固体のい
ずれでも良く、適宜使い分ける。また、粘着性を呈する
感圧型の粘着剤以外の接着剤では、接着剤層の単層のみ
で転写層とすることができる。接着剤層中に顔料等の着
色剤を添加すれば、全面ベタのインク層からなる装飾層
ともいえる。
【0016】感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹
脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得
られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用いるこ
とができる。熱硬化型接着剤としては、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることがてきる。
【0017】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱
溶融型接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着
剤は、自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行す
るので、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気
硬化型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶
融型接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の
水分で架橋・硬化反応が徐徐に進行する為に、最終的に
クリープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな
接着力が得られる。但し、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させる為、湿気を含む空気中に転写後
の化粧板を放置して養生する。養生の再の好ましい雰囲
気条件は、大体、相対湿度50%RH以上、気温10℃
以上である。温度・相対湿度とも高い方が、より短時間
で硬化が完了する。標準的な硬化完了時間は、通常の場
合、20℃、60%RHの雰囲気中で10時間程度であ
る。
【0018】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、室温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応
して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起
こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマ
ーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウ
レタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を
有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等である。
適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用すること
で、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中にウレタ
ン結合ある場合は、このウレタン結合とも末端イソシア
ネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、こ
のアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0019】ポリイソシアネートプレポリマーの具体例
としては、例えば、ポリオールに過剰のポリイソシアネ
ートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、
且つ分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格
の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−
14287号公報に開示されている様な、ポリイソシア
ネートに、ポリエステルポリオールと、ポリブタジエン
骨格を有するポリオールとを任意の順序で加え付加反応
させて得られた、ポリエステル骨格とポリブタジエン骨
格とがウレタン結合により結合された構造を有し且つ分
子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレ
ポリマー、或いは、特開平2−305882号公報に開
示されている様な、ポリカーボネート系ポリオールとポ
リイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以
上のイシソアネート基を有するポリカーボネート系ウレ
タンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上の
イシソアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレ
ポリマー等が挙げられる。
【0020】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤として
は、上記各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、
各種物性を調整する為に、上記必須反応成分に更に、必
要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填
剤等の各種副材料添加することもできる。これらの副材
料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチ
ックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エ
チルアクリレート(EAA)等の熱可塑性樹脂、テルペ
ン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の
粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色
顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤
等である。
【0021】電離放射線硬化型接着剤として用いる得る
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な
組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不
飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポ
リマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマ
ーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が
好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマ
ーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0022】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート等が使用できる。分子量としては、通常250
〜100,000程度のものが用いられる。ラジカル重
合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モ
ノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマー
として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレ
ポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、
脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等の
ビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオール
としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレー
ト、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の
ポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオー
ルとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリ
ルアルコールを付加したもの等がある。
【0023】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。また、カチオン重合性官能基を有す
る樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。なお、電離放射線としては、接着剤中の分子
を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子
が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子
線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用
いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラ
ックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用され
る。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波
長域が主として用いられる。電子線源としては、コック
クロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器
型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜
1000keV、好ましくは、100〜300keVの
エネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0024】上記電離放射線硬化性樹脂に、更に必要に
応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性
樹脂を添加することもできる。なお、希釈溶剤は添加せ
ずに用いれば、ホットメルト接着剤となる。
【0025】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、曲面転写装置に紫外線や電子線を照射する電離
放射線照射装置を組み込むことができる。照射は、衝突
圧印加中、印加後、或いは印加中及び印加後に行う。
【0026】また、接着剤に用いる上記各種樹脂に更
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に
添加すると良い。)等である。
【0027】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せば良い。希釈溶剤を添加せずに用いれ
ば、溶剤乾燥は不要である。例えば、感熱溶融型接着剤
は、それぞれ無溶剤のホットメルト接着剤として使用で
きる。また、電離放射線硬化型接着剤なども無溶剤で施
すことができる。ホットメルト型接着剤として使用する
場合は無溶剤なので、転写直前の塗工でも溶剤乾燥が不
要で、高速生産できる。なお、接着剤の塗布量は、接着
剤の組成、被転写基材の種類及び表面状態で異なるが、
通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0028】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0029】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤を用い、
接着剤を活性化して熱融着させる為に加熱するタイミン
グは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印加
前及び印加中などのいずれでも良い。接着剤の加熱は転
写シートや被転写基材を加熱して行う。接着剤が施され
た材料(転写シートや被転写基材)を加熱しても良く、
接着剤が施されていない側の材料を加熱しても良く、或
いはこれら両方の材料を加熱しても良い。また、衝突圧
印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒子加速用の
流体を加熱流体として用いても良い。一方、転写シート
が被転写基材の表面形状に追従し、成形され、接着剤が
十分活性化すれば、冷風等の冷却手段で接着剤の冷却を
促進しても良い。冷風は、転写シート側や被転写基材側
から吹き付ける。また、冷却手段として、冷却固体粒
子、冷却流体も用いることもできる。冷却促進は、被転
写基材の凹凸表面の凹部内部にまで追従成形された転写
シートが衝突圧開放後に復元力がある場合に戻るのも防
止する。(以下、次の文書ファイルに続く)
【0030】〔固体粒子〕固体粒子Pとしては、亜鉛の
粒子を用いる。固体粒子としての亜鉛粒子は、密度は高
いが鉄や炭素鋼等の他の金属粒子に比べて軟らかいの
で、粒子1個当たりに及ぼす力積は同じでも衝撃力のピ
ーク値を少なくし、比較的低いピーク値の衝突圧を比較
的広い面積に比較的長時間にわたって充分に印加できる
ため、無機質等からなる脆い被転写基材でも転写圧印加
時に基材破損しにくい。形状は球形状が支持体に衝突時
に固体粒子が支持体に突き刺さったり、支持体を破断す
ることが最も起こりにくく好ましい。但し、その他の形
状、例えば、回転楕円体、多面体、鱗片状、無定形等で
も、衝突圧の印加には使用可能である。亜鉛の固体粒子
の粒径としては、直径で0.1〜1.0mmの範囲、中
でも通常の場合0.3〜0.4mm前後が良好である。
小さ過ぎると衝突圧が不足し、また粉塵爆発を起こし易
くなる。また、大き過ぎると被転写面の小凹凸形状への
転写シートの追従性が低下し、また衝突圧が大きくなり
過ぎ、転写シートの破断や被転写基材の変形、ひび割
れ、破断等の基材破壊が起こり易い。また、亜鉛の固体
粒子の硬度は、ビッカース硬さ(JIS Z 224
0)で、40HV前後のものが、必要十分な衝突圧の付
与の点で好ましい。あまりに硬すぎると、被転写基材の
衝撃強度にもよるが、衝突圧が大きい時に被転写基材の
基材破損が起こり易くなる。また、亜鉛としては純粋な
亜鉛でも良いが、硬度や比重、弾性定数、弾性限度等が
大きく変わらない範囲で、錫や鉛等を混ぜ合金化したも
のでも良い。
【0031】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいても良い。また、固体粒子は、接着後
の冷却促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の
固体粒子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。ま
た、固体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却
固体粒子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた
後、冷却固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。
また、他の加熱方法で転写シートや被転写基材、接着剤
等の加熱を要するものを充分に加熱しておき、これに冷
却固体粒子を用いて、転写シートの成形と接着及び冷却
を殆ど同時に行うこともできる。固体粒子を冷却又は冷
却するには、固体粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンク
に貯蔵する場合は、タンク内やタンク外壁の設けた、電
熱ヒータ、加熱蒸気、冷媒等により加熱手段、冷却手段
で行えば良い。また、固体粒子輸送管の外壁にこれら手
段を設けて、輸送管にて加熱又は冷却しても良い。或い
は、固体粒子の加速に流体を用いる場合では、冷却又は
加熱した流体を用いて、該流体からの熱伝導で固体粒子
を冷却又は加熱することもできる。その場合、流体も転
写シートに衝突させることで、流体も固体と共に加熱又
は冷却手段とすることができる。或いは、前記流体が液
体で該液体と共に固体粒子を貯蔵するタンクを用いる場
合では、貯蔵中に固体粒子及び液体を冷却、加熱しても
良い。
【0032】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段から固体粒子を転写シートに向かって噴出さ
せて、転写シートに衝突圧を印加する。固体粒子噴出手
段としては、粒子加速器として例えば、回転する羽根車
を用いた噴出器や、吹出ノズルを用いた噴出器を用い
る。羽根車による噴出器は、羽根車の回転により固体粒
子を加速し噴出するものである。吹出ノズルによる噴出
器は、固体粒子加速流体を用いて、固体粒子を高速の該
流体の流体流で加速、搬送させて該流体と共に噴出する
ものである。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト
或いはショットブラスト、ショットピーニング等とブラ
スト分野にて使用されているものを流用できる。例えば
羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式
や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等であ
る。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を
加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混
合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式
ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固
体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラ
スト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。ま
た、固体粒子噴出手段としては、吹出ノズルや羽根車以
外にも、重力による自由落下を利用して固体粒子を加速
する方法、磁性体粒子を磁場によって加速する方法等を
採用することも可能である。なお、羽根車、重力、磁場
を用いた固体粒子噴出手段の場合は、真空中で固体粒子
を転写シートに向かって噴出させる事も可能である。
【0033】〔羽根車〕図1〜図4に、噴出器の粒子加
速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示す。これ
らは、ブラスチング分野にて使用されている遠心式ブラ
スト装置に該当する。図面では、羽根車812は、複数
の羽根813がその両側を2枚の側面板814で固定さ
れ、且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815と
なっている。更に、この中空部815内に方向制御器8
16を内在する。方向制御器816は、外周の一部が円
周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車
812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立し
て回動自在となっている。実際に羽根車を使用する際に
は、開口部を適宜の方向に固定しておく。更に、この方
向制御器の内部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯
と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散布器818とし
て内在する(図3参照)。散布器818は外側の羽根車
812と共に回転する。そして、前記側面板814の回
転中心には回転軸819が固定され、回転軸819は、
軸受820で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源
(図示略)によって駆動回転され、羽根車812が回転
する。また回転軸819は、羽根813を間に有する2
枚の側面板814間には貫通しておらず、軸無しの空間
を形成している。そして、散布器818の内部に固体粒
子Pがホッパ等から輸送管を通って供給される。通常、
固体粒子は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給
する。散布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車
で外側に飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器
816の開口部817によって許された方向にのみ放出
され、外側の羽根車812の羽根813と羽根813と
の間に供給される。そして、羽根813に衝突し、羽根
車812の回転力で加速され、羽根車から噴出する。
【0034】なお、固体粒子の噴出方向は、図1〜図2
の様に略鉛直下方であるが、水平方向、或いは斜下方
(図示略)等としても良い。図4(A)及び図4(B)
に方向制御器816の開口部817の向きの設定より固
体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御の概念図を示
す(図4(A)、(B)では方向制御器はそれぞれ図示
の位置で固定されている)。なお、方向制御器816
は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさを調整する
ことで、固体粒子の噴出量を調整することもできる。な
お、図2に於いては、回転軸819は側面板814の外
側のみで中空部815にまで貫通していない構成となっ
ているが、この他、中空部の直径より細い回転軸を該中
空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通り抜け用の
開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身を中空部と
する構成などでも良い(図示略)。羽根813の形は、
図1〜図4の様な長方形の平板(直方体)が代表的であ
るが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロペラ等のプ
ロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、目的に応じ
て選択する。又、羽根の数は2枚〜10枚の範囲から通
常は選択する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固
体粒子の質量や供給速度と供給方向、方向制御器の開口
部サイズ及び向きの組み合わせにより、加速された固体
粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密度、噴出拡
散角等を調整する。
【0035】また、図5は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。固体粒子の噴出方向は鉛
直下方(図示略)、水平方向(図5)、或いは斜下方
(図示略)等が可能である。また、上記した羽根車81
2、812a等の羽根車には、更に、更に必要に応じ、
固体粒子の噴出取出部分のみ開口させ、それ以外の羽根
車周囲を被覆する噴出ガイド(不図示)を備える事で、
固体粒子の噴出方向を揃えたり、固体粒子噴出方向制御
をすることもできる。噴出ガイドの開口部の形状は、例
えば、中空の円柱状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚
尾状等である。噴出ガイドは、単一開口部を有するもの
でも良いし、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画
されたものでも良い。
【0036】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0037】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等から適宜選択すれば良い。固体粒子は羽根
に接触して加速されるので、羽根には、耐摩耗性のよい
高クロム鋳鋼、セラミックを用いると良い。
【0038】〔吹出ノズル〕固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図6に吹出ノズルを用い
た噴出器840の一例の概念図を示す。なお、同図に示
す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用い、
固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する
形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840は、固
体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室8
41内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、ノズル
開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出する吹出
ノズル部844からなる。圧縮機又は送風機(不図示)
から適宜加圧タンク(不図示)を経て送られる流体F
を、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴
出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用
で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き
混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル8
44のノズル開口部843から流体流と共に噴出するも
のである。なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体と
して液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合は、
例えばポンプ(不図示、流体が液体の場合)により、流
体と固体粒子とを加圧タンク(不図示)に混合貯蔵して
おき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部から噴出
するもの等が使用される。
【0039】ノズル開口部の形状は、中空の円柱状、多
角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の形状のものを用
いる。吹出ノズルは、単一開口部を有するものでも良い
し、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたも
のでも良い。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜100k
g/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常
1〜80m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度
である。誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セラミ
ック、スチール、チタン、チタン合金等から流体の種類
によって適宜選択すれば良い。なお、固体粒子は噴出器
内壁を通過するので、固体粒子に金属ビーズや無機粒子
を用いる場合には粒子が硬質であるので、耐摩耗性のよ
いセラミックを用いると良い。流体が液体の場合は、
錆、溶解、腐食等を生じない材料を選ぶ。例えば流体が
水ならば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、合成樹
脂、セラミックを用いる。但し、表面に防水加工すれ
ば、スチール等でも良い。
【0040】〔流体〕流体Fは、固体粒子加速流体とし
て、固体粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流
体と共に固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場
合(吹出ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速
する固体粒子加速流体である。流体には気体、液体とも
に利用可能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用い
る。気体としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、
窒素等でも良い。液体としては、必ずしも限定されない
が、不燃性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容
易性、等から水は好ましい材料の一つである。この他、
フロン、グリセリン、シリコン油等の不燃性の液体も使
用できる。液体を(気体もそうであるが)転写シートに
固体粒子と共に衝突させることができる。当然の事なら
がら、液体は気体よりも密度が高い為、気体よりも液体
の方が、流体流で固体粒子を加速する場合に加速し易
く、しかも液体が転写シートに衝突する場合に、気体と
等速度の衝突でも、衝突圧は気体に比べてより大きく且
つ実用性のある衝突圧が得られる。(また、固体粒子と
の密度差も少ないので固体粒子の搬送もし易い。)従っ
て、液体の場合は、転写圧として固体粒子の衝突圧以外
に、液体の衝突圧も利用でき、その分より大きな転写圧
を印加でき、その結果、転写シートを被転写基材の表面
凹凸形状へ追従させ成形する成形効果により大きなもの
が得られる。また、衝突圧印加時の加熱又は冷却手段と
して流体を用いる場合、気体よりも液体の方が比熱が大
きいので、より大きな加熱又は冷却効果が得られる。ま
た、液体が水の様な電気伝導体の場合は、気体の場合に
比べて静電気帯電に対する防爆対策もより容易となる。
【0041】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、1個のみの
使用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて、転写シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向
に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置して、幅方
向に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或い
は、図7(A)の噴出器32の配置は千鳥格子状の配置
であり、図7(B)は一列配置だが、幅方向中央部は送
り方向の上流側で衝突する様にした配置である。図7
(B)の配置では、転写シートの被転写基材への衝突圧
による圧接は幅方向中央部から始まり、順次、幅方向両
端部に向かって圧接されて行く。この様にすると、幅方
向中央部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写
基材に密着することを防止できる。図7の様に噴出器を
幅方向に複数個配列する場合には、個々の噴出器の加圧
領域が互いに一部重複し、全幅にわたってもれなく加圧
できる様に配列することが好ましい。図7(B)にその
ような配列の一例を示す。該図に於いて、点線部分が加
圧領域を示す。また、衝突圧印加時間を長くするには、
噴出器は、転写シート及び被転写基材の送り方向に向か
って2列以上配置する多段配置が好ましい。
【0042】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。図8は、転写シートの搬送方
向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方向
両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布の
設定例である。この設定は、圧が高い所(同図では中央
部)から低い所(同図では両側部)に向かって順次段階
的に圧接が進行することを助ける。但し、図8の如き圧
力分布とする場合、被転写基材上に於ける衝突圧は、所
望の凹凸面への転写が完全に行えて、なお且つ圧過剰に
よる転写シートの歪み、被転写基材の変形、破損等の生
じない適正圧力範囲内に全て納まる様に調整する。な
お、ゴム製転写ローラによる曲面転写方法では、転写ロ
ーラの中央部直径を太めとすれば、圧力的には中央部は
強くできるが、中央部と両端部とで円周長が異なってし
まい、接触して圧印加され転写シートの送りを均一に出
来ない。衝突圧の調整は、噴出器から転写シートに衝突
する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突する固体粒
子数、及び1粒子の質量を制御することで調整する。こ
れらのうち、固体粒子の速度を調整するには、例えば羽
根車を用いる噴出器の場合は、羽根車の回転数、羽根車
の直径等で調整する。また、吹出ノズルを用いる噴出器
の場合は、バルブの開閉量、バルブに連結する固体粒子
を搬送する管の内径の大小、圧力調整器(レギュレー
タ)等を用いて噴出器直前の流体圧(流体単体、又は流
体と固体粒子との混合物)の調整により、噴出する固体
粒子及び流体流の速度を制御することで調整する。
【0043】〔噴出器の被転写基材に対する配置方法〕
羽根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向
は、原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がら
ず、該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。一方、吹
出ノズルの場合は、噴出する固体粒子の広がりは、羽根
車による噴出器の場合よりも広がりが少なく、且つ広が
っても通常はどの方向にも均一で等方的である。このよ
うな噴出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば
良い。しかし、一つ噴出器で所望の衝突領域の大きさに
出来ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様に、
複数の噴出器を被転写基材の被転写面に対して配置する
場合は、各噴出器は被転写基材に平行にし、且つ各噴出
器の噴出方向が被転写基材の法線方向になる様な配置が
基本である。この様な平行配置は、被転写基材の被転写
面の包絡面に垂直に固体粒子を衝突させ、基本的に衝突
圧を最大に有効利用できるからである。従って、例え
ば、図9の様に、被転写基材Bの被転写面の包絡面(の
搬送方向に直角の断面形状)が円型になる円筒状の凸曲
面であれば、複数の噴出器32を用意し各噴出器が主と
し受け持つ個別の衝突面(凸曲面の接平面)に対して、
略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを近接
する被転写基材面の包絡面の法線方向にして配置すると
良い。この様に噴出器の配置は、対象とする被転写基材
の凹凸形状に合わせて、噴出器の噴出方向を固体粒子が
なるべく垂直に衝突する様に合わせると良い。ただ、噴
出器の向きは、転写シート支持体側面に対して必ずしも
垂直にする必要はない。また、噴出器は多めに設けてお
き、製造する被転写基材によっては、一部の噴出器は停
止させても良い。
【0044】〔チャンバ使用での連続転写の一形態〕と
ころで、固体粒子を実際に使用する場合、固体粒子を周
囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好
ましい。そこで、次に、本発明の曲面転写方法の一形態
として、チャンバを使用して固体粒子の飛散防止及び循
環再利用をしながら連続転写を行う曲面転写装置の一形
態の概念図を示す図10に従い、本発明を更に詳述す
る。
【0045】同図の装置は、長尺の転写シートSを用
い、凹凸表面を有する平板状の被転写基材Bに、装飾層
等を順次連続的に転写する装置である。同図装置は、被
転写基材Bを搬送する基材搬送装置10と、転写シート
Sを供給するシート供給装置20と、チャンバ33内に
おいて固体粒子Pを噴出器32から噴出して、転写シー
トの支持体側に衝突させて衝突圧を順次印加し、転写シ
ートを被転写基材に押圧する衝突圧印加部30を備え
る。噴出器32は、例えば前記した羽根車利用のもので
ある。チャンバ33は、転写シート及び被転写基材の出
入口を除いて、衝突圧にさらされる転写シート及び被転
写基材、噴出器の少なくとも開口部を外部から覆い、固
体粒子を外部の作業雰囲気中に漏らさないようにしてい
る。この為、チャンバー内部は、好ましくは外部よりも
気圧を低く(負圧)する。更に同図装置は、転写シート
を加熱するシート加熱装置40をチャンバ内の噴出器上
流側に、被転写基材を加熱する基材加熱装置41をチャ
ンバ外上流側に、被転写基材に接着剤の塗工や下地塗装
等を適宜行う基材塗工装置50を基材加熱装置の上流側
に、剥離ローラ60をチャンバ外下流側に、チャンバ下
流側で剥離ローラ上流側に風冷による冷却装置70を備
え、更に、転写シートと被転写基材との予備的密着を促
進する吸引排気装置90等も備えた装置となっている。
【0046】先ず、同図の装置では、板状の被転写基材
Bを、搬送用駆動回転ローラ列や無限軌道式のコンベア
ベルト等から成る基材搬送装置10で一枚ずつ搬送し、
基材塗工装置50により接着剤を全面或いは凸部のみ等
と所望の部分に塗工する。もしも、接着剤に溶剤分があ
る場合は、次の基材加熱装置41で被転写基材及び接着
剤を加熱すると共に、蒸発成分を揮発乾燥させる。な
お、基材塗工装置50及び基材加熱装置41を複数連結
して、接着剤塗工前に、下塗り塗装や下塗り塗装前のシ
ーラ塗装等を転写と同時に連続的に行っても良い。そし
て、被転写基材Bは、加熱装置41で加熱された後、衝
突圧印加部30のチャンバ33内に搬送、供給される。
【0047】転写シートSは、シート送出装置21、シ
ート支持装置22、シート排出装置23等からなるシー
ト供給装置20により張力が加えられ、シート送出装置
21にセットされた供給ロールから巻き出され、ガイド
ローラを経て衝突圧印加部30のチャンバ33内に入
る。なお、転写時に接着剤を転写シートに施す場合は、
転写シートがシート送出装置21から衝突圧印加部30
に供給される間に、接着剤塗工装置(図示せず)で接着
剤を塗工し、更に溶剤乾燥を要す場合は、乾燥装置(図
示せず)乾燥後に、衝突圧印加部に供給する。
【0048】さらに、転写シートSはチャンバ33内に
入ったところで図10(B)の如く、幅方向両端をシー
ト支持装置22で挟持されつつ(図10(A)では図示
略)、その転写層側の面を搬送される被転写基材B側に
向ける様に対向して被転写基材Bの上方を僅かに空間を
開けて(衝突圧等を作用させない何もしない状態の場
合)、搬送される被転写基材Bと平行に等速度で移送さ
れ、衝突圧を受けて被転写基材Bに接触させるまでの
間、両者の間隙を維持しながら搬送される。シート支持
装置22は、被転写基材の横幅よりも広幅とした転写シ
ートの両端を表裏両面から挟持しながら転写シートの移
送に合わせて回転するベルト等から成る。ここでは被転
写基材は包絡面が略平板状なので、シート支持装置によ
る上記間隙にて、衝突圧による転写シートの被転写基材
への完全な接触は、幅方向中央部では時間的に先に幅方
向の両端近傍は遅れて行われる様にしてある。これは、
被転写基材と転写シート間(特にその中央部付近)に空
気を残して密着しない様にするための策の一つである。
なお、転写シートを被転写基材の近傍を等速度で移送す
る際に、被転写基材に対して僅かに離すか又は接触状態
として移送するかは、被転写基材の表面凹凸の形状、被
転写基材の予熱温度と、転写シートの熱変形性、固体粒
子の衝突圧、接着剤の活性化温度等を適宜勘案して選択
する。そして、シート支持装置で挟持搬送されて衝突圧
の印加を受けるまでに、ヒータ加熱、赤外線加熱、誘電
加熱、誘導加熱、熱風加熱等によるシート加熱装置40
で、転写シートは加熱されて軟化し、衝突圧印加時に延
伸され易くなる。なお、同図ではシート加熱装置はチャ
ンバ内に設けてあるので、熱風加熱の場合は、風量は少
なくした方が良い。それは、空気をチャンバ内に入れる
ことになり、後述する様な、チャンバ内の負圧の維持を
邪魔し、また、固体粒子を攪拌するからである。なお、
基材加熱装置で加熱されて衝突圧印加部に供給される被
転写基材によっても、転写シートは間接的に加熱され
る。シート加熱装置による加熱は、転写シートの予熱不
要時は省略できる。
【0049】一方、亜鉛の固体粒子Pはホッパ31から
チャンバ33内にある噴出器32に供給され、そこで図
1〜図4の様な羽根車によって加速されてチャンバ33
内で転写シートSに向かって噴出する。そして、転写シ
ートは、噴出器から噴出する固体粒子の衝突にさらされ
る。衝突時の固体粒子の運動量の単位時間当たりの変化
分が、転写シートを被転写基材へ押し付ける衝突圧とな
る。ここでは、被転写基材は包絡面が略平板状なので、
固体粒子は転写シートの支持体側に概ね垂直に衝突させ
る分を主体成分とし、被転写基材及び転写シートが搬送
される全幅を衝突領域とする。そして、被転写基材及び
転写シートが搬送されるにつれて、長手方向の全領域が
順次衝突圧にさらされて行く。なお、シート支持装置
は、固体粒子が、転写シートの幅方向両端から回り込ん
で、転写シートと被転写基材間に流入する事も防止す
る。そして、転写シートは、固体粒子衝突圧で被転写基
材に押圧され、被転写基材の凹凸表面の凹部内へも転写
シートは延ばされて変形することで、被転写基材の凹凸
表面形状に追従して成形されて、活性化している接着剤
により転写層が被転写基材に密着する。転写シートが密
着した被転写基材は、衝突圧開放前から転写シートがチ
ャンバ外に出るまでの間に放冷等により冷却する。
【0050】なお ここでは被転写基材Bは略平板状
で、シート支持装置22によって、転写シートSは被転
写基材に対して空隙を開けて搬送され、衝突圧による転
写シートの被転写基材への完全な接触は、幅方向中央部
では時間的に先に幅方向の両端近傍は遅れて行われる様
にしてある。これは、被転写基材に転写シートが接触す
る際に、被転写基材と転写シート間(特にその中央部付
近)に空気を残して密着しない様にするための策の一つ
である。
【0051】一方、転写シートへの衝突に供された後の
固体粒子は、シート支持装置22の側面を迂回して、チ
ャンバの下部に集まり、そこからドレン管34で吸引さ
れ元のホッパ31に収集される。また、固体粒子の回収
搬送用としてチャンバ中の空気も、固体粒子と共にドレ
ン管34で吸引され、ホッパ上部の気流と固体粒子の分
離装置35に搬送される。該分離装置35では図示の如
く、気流で搬送されて来た固体粒子は水平方向に装置空
洞内に放出され、気体に対して密度の大きい固体粒子は
自重で下方に落下し、気体はそのまま水平に流れて、フ
ィルターで気流と共に移動しようとする残余の固体粒子
を濾過した上で、真空ポンプ36で系外に排出される。
この様にして固体粒子が、転写シート及び被転写基材が
出入りするチャンバ出入口開口部から、空気と共に周囲
に流出しない様にする。また、固体粒子のチャンバ系外
への流出防止、及び固体粒子のチャンバからホッパへの
逆流防止には、チャンバ内を外部より低圧にすると良
い。このチャンバの圧力調整は、前記真空ポンプ36の
排気量、更に排風機(図示せず)をチャンバに適宜接続
してその排気量等によるチャンバ外に流出する気体量
と、噴出器から固体粒子と共にチャンバ内に入る気体量
(特に、気体を固体粒子加速流体として用いる吹出ノズ
ル等の噴出器の場合)、更に送風機(図示せず)をチャ
ンバに適宜接続してチャンバ内に入れる気体量(特に、
羽根車による噴出器の場合)等とのバランスを調整する
事で行う。
【0052】そして、密着した被転写基材と転写シート
とは、チャンバの外部下流側にある冷却装置70で冷風
吹き付けにより強制冷却した後、転写シート(の支持
体)を、剥離ローラ60により被転写基材から剥離除去
する。その結果、転写シートの転写層として装飾層等が
被転写基材の凹凸表面に転写形成された、化粧材Dが得
られる。一方、剥離ローラ通過後の転写シート(の支持
体)は、シート排出装置23に排出ロールとして巻き取
る。
【0053】なお、液体を固体粒子加速流体に用いた吹
出ノズルを噴出器とする場合は、冷却装置とは別にその
上又は下流に、或いは冷却装置自身と兼用で、乾燥機を
設けて、例えば室温又は温風の空気を吹きつけで、液体
を乾燥、又は吹き飛ばして除去する。また、接着剤等に
電離放射線硬化性樹脂を用い硬化させる場合は、噴出器
と剥離ローラ間に、水銀灯(紫外線光源)等の電離放射
線照射装置を設けて、硬化させる。
【0054】〔チャンバ使用時の接着剤等の加熱方法〕
以上、本発明の一形態として、チャンバ内で固体粒子を
衝突させる一例を説明したが、チャンバ使用時に於け
る、接着剤活性化、或いは転写シート延伸性向上等の為
の加熱方法を更に説明する。
【0055】転写シートの加熱手段は任意であり、衝突
圧印加前の加熱では、例えばヒータ加熱、赤外線加熱、
誘電加熱、誘導加熱、熱風加熱等を用いる。図10の装
置は、衝突圧印加前の加熱を、加熱後は冷却されない様
に噴出器直前で行うべくチャンバ内にシート加熱装置4
0を設けた例である。ただ、チャンバ内で加熱しその手
段に熱風加熱を用い場合は(後述する被転写基材の加熱
でも同様だが)、吹き付け風量は少なくした方が良い。
それは、空気をチャンバ内に入れることになり、固体粒
子加速用に空気を用いる場合も含めて、固体粒子回収用
の真空ポンプの負荷増になるからである。また、シート
加熱は図10に例示の様にチャンバ33内で行う以外
に、加熱による転写シートの伸びが転写シート搬送に支
障を来さない様にすれば、チャンバの外部、或いはチャ
ンバの内部及び外部の両方で行っても良い。また、加熱
は転写シートの裏面側、表面側、表裏両面のいずれから
行っても良い。なお、シート加熱は、シート支持装置に
よって幅方向両端を支持されてから行うのが好ましい。
その前では、シートが送り方向に伸びたり、下方に垂下
して、移送に支障を来し易い。次に、衝突圧印加中の加
熱手段では、加熱固体粒子、固体粒子加速用流体を用い
る場合はその加熱流体も使用できる。また、噴出器の間
隙に分散して熱源を設けて加熱しても良い。もちろん、
衝突圧の印加中及び印加前の加熱を併用できるし、衝突
圧印加中の加熱のみの場合もある。
【0056】また、被転写基材に接着剤塗工やシーラ塗
装を施し、基材加熱装置41等で溶剤分を加熱乾燥する
のであれば、そこで被転写基材は加熱され、また、加熱
された被転写基材から間接的に転写シートもある程度加
熱できる。従って、転写シートの加熱も必要な場合で
も、被転写基材からの間接的加熱や、固体粒子や固体粒
子加速流体による加熱で充分な場合には、転写シート専
用のシート加熱装置は省略することもできる。
【0057】次に、被転写基材の加熱は、衝突圧印加
前、或いは衝突圧印加中、或いは衝突圧印加前及び印加
中のいずれでも良い。被転写基材を加熱することで、転
写シートを熱して延伸性向上を図る場合に、熱せられた
転写シート温度が低下するのを防止できる。また、被転
写基材側から転写シートを加熱することもできる。被転
写基材の加熱は、チャンバの外部又は内部、或いは外部
及び内部で行えば良い。外部及び内部の加熱では、充分
な予熱が必要な場合でも、長い搬送距離を使って加熱す
ることができる。長い基材加熱装置をチャンバの内部に
設ける為に、チャンバ自身の内容積が大きくなるなら
ば、基材加熱装置の一部又は全部をチャンバの外部に設
けて、チャンバの内容積を小さくした方が、固体粒子の
飛散、回収等を考慮した取扱上は有利だからである。チ
ャンバの内部で加熱する利点は、衝突圧印加の直前ま
で、或いは衝突圧印加中までも、加熱できることであ
り、特に熱容量が大きい被転写基材をその被転写面近傍
のみ効果的に予熱しようとする場合等である。なお、上
流側に配置した基材塗工装置による塗装や接着剤を乾燥
すべく、溶剤分や水分を蒸発させる役割も持たせた基材
加熱装置の場合は、チャンバ内部に配置するのは好まし
くない。チャンバ内に充満した蒸発した溶剤や水分の排
気手段が必要となり、また溶剤の場合は防爆対策を考慮
する必要も生じる。このような目的の基材加熱装置は、
チャンバの外部に配置するか、内部に配置したとして
も、外部に蒸発用の基材加熱装置(乾燥炉)を別に配置
することが好ましい。もちろん、下塗り塗装は別ライン
で行う形態とすれば、基材加熱装置を乾燥装置と兼用す
る必要はない。被転写基材の加熱手段としては、誘導加
熱や誘電加熱は基材内部から加熱できるが、一方、ヒー
タ加熱、赤外線加熱、熱風加熱は、凹凸表面側からの加
熱が効率的である。また、被転写基材は裏面側からも加
熱してもよい。チャンバの開口部に被転写基材が搬送さ
れた後に、衝突圧印加直前又は印加中まで加熱するなら
ば、基材裏面側からの加熱は、装置スペース的にも好ま
しい。衝突圧印加中加熱は、衝突圧印加部上流側での加
熱に加えて、噴出器の間隙に分散して熱源を設けてもよ
い(転写シートを通しての加熱となる)。
【0058】〔接着剤の強制冷却〕また、接着剤が熱融
着型の場合は、転写シートが被転写基材に密着後に接着
剤を強制冷却すれば、凹部内部にまで追従、成形された
転写シートの固着化を促進して、転写シートに復元力が
ある場合に圧解放後、転写シートが元の形状に戻ること
を防止し、転写シート(の支持体)の剥離除去をより早
くできるので、転写抜け防止や生産速度向上が図れる。
この為には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま
冷却固体粒子を用いたり、或いは固体粒子加速流体を用
いる場合は冷却流体を用いたり、衝突圧印加後に、風冷
等の他の冷却手段を用いて接着剤層を冷却すると良い。
被転写基材の熱容量が大の場合は、冷却固体粒子及び冷
却流体以外にも、低温流体の吹き付け、基材搬送用のロ
ーラやベルトコンベア等の冷却により、被転写基材を裏
面から冷却できる。或いは、チャンバ内でのこれら冷却
の後にチャンバ外で、或いはチャンバ内では冷却せずに
チャンバ外のみで、表や裏からの冷風吹き付け等で冷却
しても良い。
【0059】〔空気抜き〕また、衝突圧印加前に、転写
層や被転写基材上の接着剤層等となる接着剤が加熱され
たとしても活性状態とならないならば、或いは活性状態
になる前の時間的過程が使えるならば、被転写基材と転
写シートとの非粘着の接触を行えるので、転写シートを
被転写基材の凹凸表面に接触させて、転写シートと被転
写基材間の空隙の空気を強制的に抜き取る、「空気抜
き」をすると良い。空気抜きで、転写シートと被転写基
材間の空気が転写時に残留する「エア噛み」、更にはそ
れに起因する転写抜けを防げる。空気抜きは、例えば図
10の装置では、吸引排気ノズル91及び真空ポンプ9
2等からなる吸引排気装置90で行う。吸引排気ノズル
91は、転写シートの転写層側で、且つ搬送される被転
写基材の搬送方向に沿う両辺に隣接する両側に(図10
(B)参照)、被転写基材の搬送方向に沿って設け、転
写シートと被転写基材間の空気を、真空ポンプ92で吸
引し排気すれば良い。吸引排気ノズル91の開口部外周
は例えばブラシで囲いブラシ先端を被転写基材及び転写
シートに接触させれば、それらの搬送に支障なく空気抜
きできる。また、空気抜きは衝突圧印加中まで行うのが
良い。なお、空気抜きと転写シートの予熱とのタイミン
グは、転写シートが予熱されて軟化する速度、軟化の度
合いにもより、どちらを先に開始しても良いが、両方を
同時に開始しても良い。空気抜きは、被転写基材の被転
写面が例えば岩肌調やスタッコ調等の凹凸面の場合は効
果的である。
【0060】〔その他〕以上、本発明の曲面転写方法を
説明して来たが、本発明は上記説明に限定されるもので
はない。例えば、図10の装置による曲面転写方法の説
明では、転写シートの被転写基材への圧接は、長尺帯状
の転写シート及び枚葉の被転写基材を用い、両者を一体
的に搬送移動させつつ、固定の噴出器で固体粒子衝突圧
を連続印加する形態であったが、転写シートの被転写基
材への圧接は、その時だけ転写シート及び被転写基材を
停止させて、基材一個ごとに間欠的に行っても構わない
(これらに対して例えば噴出器を移動させる)。また、
被転写基材及び転写シートともに枚葉の形態で供給する
形態でも構わない。また、噴出器の固体粒子噴出方向と
転写シート及び被転写基材との位置関係は、両者ともに
水平面内に載置し、その上方から鉛直方向に真下に固体
粒子を噴き出す位置関係に限定されない。転写シート支
持体側面と噴出方向が垂直関係を維持したとしても、転
写シートの載置又は搬送方向は、水平面内以外にも、斜
面内、鉛直面内(図5(B))等があり、また転写シー
トが水平面内でも、支持体側が下側、すなわち、下から
上に固体粒子を噴出させ衝突させても良い。もちろん、
転写シート支持体面に対して角度をもって固体粒子を噴
出しても良い。また、衝突圧印加前に、弾性体ローラに
よる転写シートの被転写基材への押圧を予備的に行って
も良い。また、チャンバ内は窒素等の不活性ガスを充満
させて、転写層の下地塗膜層等に(硬化前の)電離放射
線硬化性樹脂を用いる場合に、空気中の酸素、水蒸気等
が該樹脂の硬化を阻害するのを防止しても良い。
【0061】〔化粧材〕本発明で得られる化粧材は、外
壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、壁面、天井等
の建築内装材、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、
箪笥等の家具の表面材、弱電・OA機器のキャビネッ
ト、或いは自動車等の車両内装材等の各種分野で用いら
れ得る。なお、転写後の化粧材の表面に、更に透明保護
層を塗装する等しても良い。この様な透明保護層として
は、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の
フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹
脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上
等をバインダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリ
アゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒ
ンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、着色顔
料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。塗工は
スプレー塗装、フローコート等を用いる。透明保護層の
膜厚は1〜100μm程度である。
【0062】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。先
ず、三次元的表面凹凸を有する被転写基材Bとして図1
1(A)の平面図及び図11(B)の要部斜視図に例示
する様な、大柄な凹凸として深さ1mm、開口幅5mm
の目地の溝状凹部401と、煉瓦積み模様の平坦凸部4
02とを有し、微細な凹凸として平坦凸部上に深さが
0.1〜0.5mmの範囲に分布する梨地調の微細凹凸
403を有する、大柄な凹凸と微細な凹凸とが重畳した
三次元的表面凹凸を有する厚さ12mmのケイ酸カルシ
ウム板を用意した。そして、該凹凸面に下地塗装及び下
塗り塗装をオフラインで別の装置で行った。また、転写
シートSは支持体に厚さ100μmのポリプロピレン系
熱可塑性エラストマーフィルムの片面に、転写層となる
装飾層として該凹凸面形状と位置同調したセメントの目
地を有する煉瓦調の絵柄を順次グラビア印刷したものを
用意した。絵柄インキのバインダーの樹脂としては、ア
クリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8:
2(重量比)の混合物を、また、着色顔料としては、弁
柄、イソインドリノン、カーボンブラック、チタン白を
用いた。
【0063】次に、図10に示す様な装置で、噴出器に
は図1〜図4の様な羽根車を用いた噴出器を使用し、上
記被転写基材Bを、その凹凸面を上にして搬送用ローラ
列からなる基材搬送装置10上に載置して搬送し、基材
塗工装置50にて、ポリアミド系樹脂からなる無溶剤の
ホットメルト型の感熱溶融型接着剤を30g/m2 溶融
塗工後、基材加熱装置41で接着剤及び被転写基材を加
熱して、衝突圧印加部30に供給した。一方転写シート
Sも、シート供給装置20により、その支持体側を上に
して、しかも絵柄の目地部と被転写基材の目地状の溝状
凹部とが位置合わせ(見当合わせ)される様にして衝突
圧印加部に供給した。被転写基材Bが衝突圧印加部のチ
ャンバ33に入ったところで、転写シートを被転写基材
に接近させた。そして、1対のエンドレスベルト状のシ
ート支持装置22で転写シートの幅方向両端を表裏で挟
持した。その状態で、転写シートの支持体側から電熱線
ヒータによる輻射熱を用いたシート加熱装置40で、転
写シートの予熱、接着剤の活性化、被転写基材の加熱を
行った。
【0064】次いで、固体粒子Pとしてビッカース硬度
40HV、平均粒径0.4mmの球形の亜鉛球を、噴出
器32から噴出させて転写シートの支持体側に衝突さ
せ、転写シートを被転写基材に圧接した。噴出器の羽根
車の回転数は3600〔rpm〕、固体粒子の噴出速度
は40〔m/s〕であった。そして、転写シートが目地
の凹部内にまで延ばされて熱融着し、チャンバから外部
に出た直後に冷却装置70で冷風を吹き付けて、接着剤
を冷却して接着温度以下に冷却した後、転写シートの支
持体を剥離ローラ60で剥がし取り、化粧材Dを得た。
化粧材は表面凹凸に追従して絵柄が転写されていた。ま
た、被転写基材のひび割れや破損等の基材破壊も起きな
かった。更に、この化粧材の転写層の表面に、2重量%
のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化
ビニリデンのエマルション塗料を乾燥時厚さ10μmに
塗布して、透明保護層を形成して、透明保護層付きの化
粧材を得た。
【0065】
【発明の効果】 本発明によれば、大きな三次元的凹凸表面が装飾され
た化粧材が容易に得られる。もちろん、窓枠、サッシ等
の二次元的凹凸も可能であり、平板状の板材以外にも、
瓦の様に全体として(包絡面形状が)波うち形状のも
の、或いは凸又は凹に湾曲した形状のものでも容易に得
られる。 また、衝突させる固体粒子として亜鉛粒子を用いてい
るために、転写シートの破断や被転写基材の変形、ひび
割れ、破断等の基材破壊が起こり易い。その結果、必要
十分な衝突圧を加えられる。特に、無機質からなる脆い
被転写基材でも基材破損することなく、転写できる。 また、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部内(底部や凸部
と底部の連結部分である側面)も転写できる。また、大
柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸模様(例えば、ヘ
アライン、梨地等)が有る場合でも、その微細凹凸の凹
部内にまで、転写にて装飾できる。 また、従来のゴムローラ押圧方式の様に、被転写基材
の凹凸部によるローラ等部品の損耗も無い。 以上の結果、従来に無く極めて意匠性に優れた化粧材
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】羽根車を用いた噴出器の一形態を説明する概念
図(正面図)。
【図2】図2の羽根車部分の斜視図。
【図3】図2の羽根車内部を説明する概念図。
【図4】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図5】羽根車を用いた噴出器の別の形態を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図6】吹出ノズルによる噴出器の一形態を説明する概
念図。
【図7】噴出器の各種配置形態を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図8】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図9】噴出器の向き一形態を示す流れ方向からみた側
面図。
【図10】本発明の曲面転写方法を実施し得る曲面転写
装置の一形態の概念図で、(A)は基材搬送方向の側面
から見た図で、(B)は(A)の装置の噴出器部分を基
材搬送方向から見た概略装置図。
【図11】被転写基材の三次元表面凹凸の一例を示す説
明図であり、(A)は平面図、(B)は要部斜視図。
【符号の説明】
10 基材搬送装置(基材搬送手段) 20 シート供給装置(シート供給手段) 21 シート送出装置 22 シート支持装置 23 シート排出装置 24 シート支持台 30 衝突圧印加部(衝突圧印加手段) 31 ホッパ 32 噴出器(固体粒子噴出手段) 33 チャンバ 34 ドレン管 35 分離装置 36 真空ポンプ 40 シート加熱装置 41 基材加熱装置 50 基材塗工装置 60 剥離ローラ(剥離手段) 70 冷却装置 90 吸引排気装置(吸引排気手段) 91 吸引排気ノズル 92 真空ポンプ 401 溝状凹部 402 平坦凸部 403 微細凹凸 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹凸表面へ
    の転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着
    後、転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層
    を被転写基材に転写する曲面転写方法であって、 亜鉛の固体粒子を衝突させて衝突圧を印加する、曲面転
    写方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

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