JPH11170793A - 転写方法 - Google Patents

転写方法

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JPH11170793A
JPH11170793A JP35202197A JP35202197A JPH11170793A JP H11170793 A JPH11170793 A JP H11170793A JP 35202197 A JP35202197 A JP 35202197A JP 35202197 A JP35202197 A JP 35202197A JP H11170793 A JPH11170793 A JP H11170793A
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transferred
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sheet
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JP35202197A
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Inventor
Masaru Okamoto
優 岡本
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面を持つ化粧材等の転写製品
を得る際に、バリやブリッジが発生しても解消する。 【解決手段】 支持体1と転写層2とからなる転写シー
トSを用いて、転写層を被転写基材Bに転写する際に、
転写シートを被転写基材に圧接する圧接工程、次いで、
支持体を剥離する剥離工程の後に、被転写基材の被転写
面を上に向けて、被転写基材上でバリやブリッジとなっ
ている転写層を加熱し軟化させて垂下させ被転写基材に
密着させて解消する転写層加熱工程を設ける。なお、転
写層を貫通する小孔が多数穿設された転写シートを用い
れば、ブリッジ部分の転写層と被転写基材間内の空気が
逃げ易い。転写圧は、ゴムローラ圧等でも良いが、表面
凹凸が大の場合は、転写シートの支持体側に多数の固体
粒子を衝突させて得られる衝突圧を利用すると良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等に用いる特に凹凸装飾面を有す
る化粧材等の転写製品を製造するに適した転写方法に関
する。特に、支持体剥離後に、被転写基材から浮いてい
る転写層であるバリやブリッジを、容易に解消できる転
写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転写法は、図1(A)の概念図に例示す
る如く、支持体1と転写層2とからなる転写シートS
を、転写圧により被転写基材Bに押圧して圧接する圧接
工程の後、支持体1のみを剥離する剥離工程を経て、転
写層2のみを被転写基材Bに密着させる全転写工程が完
了する。ところが、被転写基材の被転写面の隅角部分
や、凹凸表面の被転写面ではその凹部において、転写層
2の一部が被転写基材には密着していない、浮いた様な
状態となる転写不良が発生する事がある。図1(A)に
例示する如く、バリ3は、被転写基材の被転写面の隅角
部分や、凹凸表面の被転写面ではその凹部において発生
し、転写層の一方の端は被転写基材に密着しているが、
他方の端が自由端になったものである。また、ブリッジ
4は、凹凸表面の凹部において発生し、転写層の両端乃
至は周囲が被転写基材に密着しているが、中央が被転写
基材に密着せず浮いたものである。
【0003】一方、化粧板等の製造において、凹凸表面
を有する基材に対する装飾法としては、従来、転写法を
含めて次の様な方法があった。例えば、窓枠、面縁材等
の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸〔円柱の様に一方向
(母線、或いは高さ方向に直交する方向)にのみ曲率を
有する形状〕の場合に適用できる曲面装飾技術の一つ
が、特公昭61−5895号公報に提案されている。す
なわち、同号公報の技術はラミネート法による表面装飾
法であり、片面に接着剤を塗布した表装シートを供給
し、一方基材を表装シートの供給速度と同調した速度で
水平に搬送し、併設した多数の押え治具にて表装シート
の端部が貼着されない状態を維持しつつ表装シートの接
着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に段階的に押圧
し、表装シートを基材面に加熱貼着するものである。な
お、この方法はラッピング加工法と言われている。ま
た、表面凹凸がエンボス形状等の三次元的凹凸(すなわ
ち、半球面の様に2方向に曲率を有する形状)の場合に
適用できる曲面装飾技術としては、例えば特開平5−1
39097号公報に提案されている。すなわち、同号公
報の技術は転写法による表面装飾法であり、転写シート
の支持体として熱可塑性樹脂フィルムを用い、該支持体
上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次設けた構成の転
写シートを、凹凸表面を有する基材上に設置し、支持体
の裏面からゴム硬度60°以下のゴム製の熱ローラで押
圧して、絵柄を転写することによって化粧板を得るもの
である。また、支持体と剥離層間に転写時の熱で発泡す
る発泡層を設け、この発泡も利用して基材の凹凸表面に
追従させようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図1(A)
で説明した転写不良のうち、バリ3は被転写面の外側で
あるので、容認できない場合は擦り取る等して取り除け
ば良い。一方、ブリッジ4は深刻な転写不良である。そ
れは、ブリッジは一見しただけでは発見できず、ブリッ
ジとなっている転写層が脱落すると、被転写基材が露出
し、転写抜けとなるからである。従って、凹凸表面の被
転写基材に転写する場合には、ブリッジは特に注意すべ
き転写不良である。
【0005】一方、化粧材等の転写製品を製造する為の
転写技術としても、装飾面は凹凸表面で、しかも従来の
転写法では不可能な様な、より深く、より複雑な形状に
転写可能な技術が求められている。しかしながら、上記
の様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に
開示の技術を応用する転写法では、二次元的曲面までし
か対応できず、また、特開平5−139097号公報が
提案する技術では、三次元的曲面も対応できるが、基本
的に回転する熱ローラのゴムによる弾性変形を利用して
表面凹凸に追従させる為に、浅いエンボス形状は良いと
しても大きな表面凹凸には適用できない。その上、被転
写基材の凹凸の隅角部によって軟質のゴムローラが損耗
し易い。また、転写シートに発泡層を設ける構成では、
転写シートが複雑高価になり過ぎる。また、全体として
平板状の基材に限定されるといった問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の転写方法では、支持体と転写層とから
なる転写シートを用いて、転写層を被転写基材に転写す
る転写方法において、転写シートを被転写基材に圧接す
る圧接工程、次いで、支持体を剥離する剥離工程の後
に、被転写基材の被転写面を上に向けて、被転写基材上
でバリやブリッジとなっている転写層を加熱し軟化させ
て垂下させ被転写基材に密着させる転写層加熱工程を設
ける様にした。また、第2の発明は上記発明において、
転写シートとして、少なくとも転写層を貫通する小孔が
多数穿設されている転写シートを用いる転写方法とし
た。その結果、ブリッジ部分で転写層と被転写基材間の
空気を小孔から逃がして、ブリッジとなっている転写層
が容易に垂下して被転写基材に密着できる様にした。ま
た、被転写基材の被転写面が凹凸表面の場合には、転写
圧の押圧方法は従来のゴム製転写ローラ等でも良いが、
第3の発明では、上記第1又は第2の発明において、そ
の圧接工程の転写圧として、被転写基材の凹凸表面側に
転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支持
体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を転写圧として
利用する転写方法とした。この結果、被転写基材の表面
凹凸が大きい場合にまでも、ブリッジの発生を抑えつ
つ、且つ発生したとしても解消させて、その凹部内部も
含めて転写できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の転写方法の実施の
形態を説明する。
【0008】〔支持体剥離後の転写層加熱工程〕図1
(A)は、支持体の剥離工程と、支持体剥離後のバリと
ブリッジを概念的に説明する断面図であり、図1(B)
は、本発明によって、転写層加熱工程の後に、これらバ
リやブリッジが解消した状態を概念的に説明する断面図
である。図1(B)の如く、本発明では転写シートSを
被転写基材Bに圧接する圧接工程、支持体1を剥離する
剥離工程の後に、被転写基材Bの被転写面を上に向け
て、被転写基材B上の転写層2を加熱し軟化させて垂下
させる転写層加熱工程を経る事で、バリ3やブリッジ4
となっている転写層2を被転写基材Bに密着させてしま
う。その結果、支持体剥離後に、たとえバリやブリッジ
が発生していたとしても、それらを解消して、転写層が
確実に被転写基材に密着した、転写製品として化粧材D
等が得られる。この様な本発明の転写方法が特に効果的
なのは、例えば転写製品が化粧材で言えば、被転写基材
の被転写面が例えば岩肌調やスタッコ調等の凹凸表面
や、目地やサネ等となる溝状凹部の有る凹凸表面の場合
等である。
【0009】なお、転写層が加熱軟化して垂下する為に
は転写層は熱によって柔軟になる熱可塑性である事が必
要である。従って、転写層は好ましくは、転写層の層厚
の主体を熱可塑性樹脂から構成すると良い。この場合、
転写層の加熱温度は、例えば、転写層のビカット軟化温
度≦転写層の加熱温度<転写層の融点又は熔融温度とす
ると良い。この様にすれば、転写層はその絵柄等の形状
を維持したまま溶けて流れ落ちることなく、層としての
形状を維持したままの軟らかい状態として垂下させる事
が出来る。また、転写層の層厚の主体が硬化性樹脂から
なる場合でも、完全硬化前で加熱軟化して垂下できる程
度の熱可塑性を呈する状態であれば良い。要は、転写層
全体として加熱により軟化し垂下すれば良い。従って、
転写層はその層の一部として、金属薄膜層等があっても
構わない。
【0010】なお、当然であるが、垂下した転写層が被
転写基材に接触し密着する為には、被転写基材側に接着
剤が施されていな場合は、転写層は接着性を有する。こ
の為には、単層(例えば装飾層)又は複層(例えば装飾
層と接着剤層)からなる転写層は、被転写基材に接する
側は、熱可塑性樹脂等により熱融着性等の接着性を呈す
る。これは、従来公知の通常の転写法と同様である。も
ちろん、被転写基材側に接着剤が施されていれば、転写
層の接着性は無くとも良い。
【0011】(転写層の加熱方法)被転写基材上の転写
層を加熱する方法は、特に限定されない。例えば、(転
写層側からの)温風吹き付け加熱は、風圧も利用できる
ので好ましい。風圧は転写層を垂下させる力として、ま
た垂下して被転写基材に接触した後は更に被転写基材に
押圧する力(転写圧)として利用でき、より確実に被転
写基材に密着させる事が出来るからである。もちろん、
(転写層側からの)赤外線輻射加熱、誘電加熱等の他の
加熱方法でも良い。但し、既に支持体の剥離後の為に、
転写層には接触せずに加熱できる上記の様な温風吹き付
け加熱、赤外線輻射加熱、誘電加熱等の非接触加熱の方
が、薄い転写層を破壊しない点で、ローラ加熱等の接触
加熱よりも好ましい。なお、被転写基材の裏面側からの
加熱でも転写層に対して非接触加熱できるが、被転写基
材が薄く熱容量が少ない場合でないと、熱が被転写基材
に奪われ効率的で無い。従って、転写層の加熱は転写層
側から行うのが好ましい。
【0012】〔転写層の小孔〕特に、ブリッジでは、転
写層によって被転写基材の凹部が完全に覆われてしま
い、転写層と被転写基材間の空隙が密閉空間となり易
い。すると、転写層をいくら加熱して軟化させても、該
密閉空間内の空気の逃げ道が無い為に、軟化した転写層
は下に落ちて垂下できず、被転写基材に接触もできない
(なお、被転写基材が多孔質の場合には被転写基材内部
を通して空気を逃がす事もできる)。この為には、転写
層に空気の逃げ道となる小孔を設けておくと良い。もち
ろん、小孔は、転写層が目的とする装飾等に影響しない
程度の直径、数、領域に設けると良い。ブリッジ発生場
所が特定され当該部分に転写シートを見当合わせして転
写できるならば、転写シート上の小孔を設ける領域は、
ブリッジ発生場所に合わせた特定の領域のみとする事も
可能である。例えば、目地やサネ等となる溝状凹部の有
る被転写基材に見当合わせして転写するならば、転写シ
ートは該溝状凹部に該当する部分にのみ設けると良い。
もちろん、小孔は転写シートの全面に設けておいても良
い。こうすれば、例えばスタッコ調等の凹凸において、
転写シートと被転写基材との見当合わせ(位置合わせ)
の有無に拘らず、小孔による空気抜きの効果が得られ
る。小孔は少なくとも転写層を貫通するが、転写シート
の全層を貫通する、つまり、転写層及び支持体を貫通し
て良い。もちろん、支持体に穿設された小孔は、支持体
剥離後に行う空気抜きの点からは無意味である。しか
し、転写シートの圧接工程の段階で、ブリッジの発生の
程度を軽減する効果が有る上、転写シートの製造工程に
於いても、小孔穿設時に、支持体上に転写層を形成した
後に、支持体もろとも転写層と共に小孔を穿設してしま
うのには都合が良い。もちろん、小孔を穿設する際に転
写層側から針状物を進入させて、転写層を貫通し支持体
の厚みの一部にまで進入するが、支持体は貫通しない程
度に小孔を穿設しても良い。支持体が厚かったり、穿設
時に支持体が固い場合等には、この様に転写層全層を貫
通させない方が穿設は効率的である。なお、小孔を穿設
するには、針等の針状物による物理的穿設や、レーザー
ビーム等による熱的穿設によれば良い。例えば針の場合
は、外周面に放射状に突き出す多数の針を有するローラ
で穿設する。なお、小孔の大きさは、円形の場合に直径
が0.1〜1.0mm程度、小孔の数密度(面密度)は
1〜100個/cm2 程度とする。例えば、直径0.5
mmの円形の小孔を4〜16個/cm2 の数密度で、転
写シート全面或いは所望の部分のみに穿設しておく。
【0013】以下、本発明を更に詳述する。
【0014】〔被転写基材〕被転写基材としては、被転
写面が平坦な平面でももちろん適用できるが、転写圧に
固体粒子衝突圧を用いる場合には、被転写面が凹凸表面
であり、特にその凹凸が三次元的である被転写基材に真
価を発揮する。従来の回転接触する押さえ治具(前述の
特公昭61−5895号公報)や、ゴム製の転写ローラ
(前述の特開平5−139097号公報参照)では、そ
の回転軸による方向性を本質的に有しているために、適
用できる表面凹凸形状が制約される。即ち前者では、1
軸方向にのみ曲率を有する二次元的凹凸に限定され、ま
た、後者では2軸方向に曲率を有する三次元的凹凸への
転写が可能でもその三次元形状は任意の方向に均質に適
用できない。例えば、木目導管柄の長手方向は、転写シ
ートの送り方向に平行にしないと、導管凹部には旨く転
写できない。しかも、後者は基材形状は平板状に事実上
限定され、それ以外は基材形状毎にその都度合わせた特
殊形状の転写ローラとでもしない限り不可能である。と
ころが、流体的に振る舞うことができる固体粒子群の衝
突圧を利用すると、表面凹凸の三次元的形状に対して圧
力印加領域の面的な方向性を本質的に持たない。(この
方向性とは、圧力が印加される被転写基材上のポイント
の時間的位置変化の方向のことである。)従って、転写
シートや被転写基材の送り方向(転写圧印加方向)に凹
凸がある形状を持つ被転写基材でも構わない。すなわ
ち、送り方向のみ又は幅方向のみ等と一方向にのみ凹凸
がある二次元的凹凸、送り方向及び幅方向の両方等と2
方向に凹凸がある三次元的凹凸にも適用できることを意
味する。なお、固体粒子群の衝突圧が方向性を持たない
点は、枚葉の転写シートを被転写基材上に載置し一つず
つ圧接密着する様に、固体粒子を噴出する噴出器を移
動、又は噴出器固定で転写シートと被転写基材とを移動
させて、衝突圧が印加される領域が移動していく様子を
考えれば、容易に理解できる。
【0015】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、断面が円弧状に凸又は
凹に送り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有す
る基材でも良く、またその湾曲面にさらに細かい三次元
的な表面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転
写基材の円弧状等の二次元的な凹凸に対して、それを例
えば幅方向として、或いは送り方向として転写するかは
作業性等を考慮して任意にできる。また、大柄な凹凸に
重畳して微細な凹凸を有する凹凸表面の被転写基材、或
いは凹凸表面の凹部底部や凹部内側面に転写すべき面を
有する被転写基材も可能である。前記大柄な凹凸と微細
な凹凸とは、例えば図12の如く被転写基材の凹凸が大
柄な凹凸401、402とその凸部402上にある微細
な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状は段差
が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部の幅が
5mm以上のもので構成されるものであり、微細な凹凸
形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小さ
く、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及
び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸部
の幅の1/2未満程度である。大柄な凹凸と微細な凹凸
との組み合わせの凹凸から成り、且つ三次元的な表面凹
凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例としては、例えば、
大柄な凹凸として目地、溝等を有するタイル、煉瓦、石
等の二次元配列模様を有し、その上に微細な凹凸として
スタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、
花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材表面の
凹凸等の石目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様として
目地、溝、簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造木目板
模様を有し、その上に微細凹凸として導管溝、浮出した
年輪、ヘアライン等を有する木目調の凹凸模様が挙げら
れる。なお、凹凸面を構成する各面は、平面のみから、
曲面のみらか、或いは平面と曲面の組み合わせと任意で
ある。従って、本発明の被転写基材上の曲面とは、断面
が下駄の歯形の様に複数の平面のみから構成される曲面
を持たない凹凸面も意味する。また、本発明でいう曲率
とは、立方体の辺或いは頂点の周辺の様に角張っている
曲率無限大(曲率半径=0)の場合も包含する。なお、
被転写基材表面を所望の凹凸とするには、プレス加工、
エンボス加工、押し出し加工、切削加工、成形加工等に
よれば良い。
【0016】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、スラグセメント板、ALC(軽量気泡コンクリー
ト)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)板、パル
プセメント板等の非陶磁器窯業系板、木材単板や木材合
板、パーティクルボード、集成材、木質中密度繊維板
(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウム、銅等
の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、ポリプロ
ピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品等
でも良い。また、これらの被転写基材表面には、予め、
接着剤との接着を補助する為の易接着プライマー、或い
は表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じるシーラー剤を
塗工しておいても良い。易接着プライマー、或いはシー
ラー剤としては、イソシアネート、2液硬化ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の
樹脂を塗工し形成する。
【0017】〔転写シート〕図1の如く、転写シートS
は支持体1と転写移行する転写層2とからなる。転写層
は少なくとも装飾層からなる。また、接着剤を、転写層
の一部となる接着剤層として、転写シートに形成してお
いても良い。なお、転写圧に固体粒子衝突圧を利用し、
且つ液体を固体粒子加速流体として用いて、液体と共に
固体粒子を噴出する場合は、支持体や転写層には、該液
体に対して不溶性の物を用いる。例えば、液体が水であ
れば、水溶性樹脂等を除けば、一般の転写シートとして
使用している材料から下記に従い適宜選択使用すれば良
い。
【0018】(支持体)上記支持体には、被転写基材の
転写すべき被転写面が平面的表面であったり、或いは二
次元的凹凸表面までであれば、延伸性が無い紙(但し、
固体粒子加速流体が液体の場合は、該液体に対して不溶
性のものを選ぶ)等でも良い。しかし、被転写面が凹凸
表面を成し、その凹部内部にまで転写したり、被転写面
が非平面の三次元的凹凸表面の場合は、少なくとも転写
時には延伸性の有る支持体を用いる。(この様な場合の
転写は、特に固体粒子衝突圧による転写が好ましい。)
転写シート全体の延伸性は、主に支持体の延伸性に支配
される。延伸性のある支持体としては、従来公知の熱可
塑性樹脂フィルムの他に、室温でも延伸するゴム膜も使
用できる。熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等の転
写層形成時には延伸性が殆どなく、転写時には、加熱に
より充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状
を保持し続け、弾性による形状の復元を生じない転写シ
ートとして、従来公知の通常の転写シート同様に容易
に、本発明で用い得る転写シートは用意出来る。支持体
の具体例としては、延伸性の点で、従来多用されている
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムでも、表
面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突圧条件等の設定によ
って、必要充分な延伸性を発現させることができる。も
ちろん、被転写面が平面ならば、延伸性を発現させずに
使用できる。ただ、より低温・低圧で延伸性が発現し易
い好ましい支持体としては、例えば、エチレン・テレフ
タレート・イソフタレート共重合体ポリエステル、ポリ
ブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹
脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体等のポ
リオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴム、合成
ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系
熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、単層又は
異種の複層とした樹脂フィルムを用いることがてきる。
これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が好まし
い。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑性エラ
ストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃焼時に
塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持体の一
つである。支持体の厚さは、通常20〜200μmであ
る。
【0019】なお、転写圧に固体粒子衝突圧を用い、且
つ固体粒子加速流体として液体を用いる場合には、転写
時に接する液体に対して、膨潤はするが不溶である樹脂
フィルムも使用できる。この様な膨潤性且つ不溶性樹脂
フィルムの例としては、液体として水又は水溶液を用い
る場合には、特開昭54−150208号公報、特公昭
61−3276号公報等に開示される様な、ポリビニル
アルコール系フィルムであって、平均重合度300〜3
000、鹸化度65〜97mol%、厚さ20〜200
μmのフィルムが代表的なものである。
【0020】また、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けて
も良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。
【0021】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様に、シルクスクリー
ン印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有
する支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離
型層の機能を有する。
【0022】(転写層)転写層は少なくとも装飾層から
構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層の構成
要素とすることもある。接着剤層を有する構成では、転
写の際に転写シート又は被転写基材の片方又は両方に接
着剤を施すことを省略できる。また、前述した如く、ブ
リッジ部分において、被転写基材と転写層間の空気を抜
き易くする為に、必要に応じて少なくとも転写層を貫通
する小孔を多数穿設しておいても良い。装飾層はグラビ
ア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従
来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミ
ニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用
いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、
用途に合わせたものを用いる。なお、金属薄膜層の場合
は、本発明では転写層が加熱軟化する事が必要な為に、
通常は転写層が金属薄膜層のみから構成される事は無
く、接着剤層や装飾層等の他の加熱軟化する層との組み
合わせとなる。絵柄としては、被転写基材の表面凹凸に
合わせて、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模
様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベ
タ等を用いる。なお、絵柄層用インキは、バインダー等
からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜
加える各種添加剤からなる。バインダーには、アクリル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル
樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹
脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着色剤の
顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄
鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリド
ン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機
顔料を用いる。また、剥離層を、支持体乃至は離型層と
装飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写後の装
飾層の表面保護の為等に、これら層間に設けるのは、従
来公知の転写シートと同様である。剥離層には、例え
ば、上記絵柄層用インキのバインダーに用いる樹脂等が
用いられる。なお、この剥離層は転写時に装飾層と共に
被転写基材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。
【0023】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前に、又は転写の直前にインライン塗工やオ
フライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写
シート転写層の接着剤層を省略できる。用いる接着剤
は、用途、要求物性等により適宜選択すれば良いが、固
体粒子加速流体に液体を用いる場合には、該液体に対し
て不溶性の物を選択する。用いる接着剤としては、例え
ば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホッ
トメルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤、2液
硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性接着剤、
或いは粘着剤による感圧型接着剤等の各種接着剤を使用
できる。なお、接着剤を転写層の一部として設けておく
場合は、前述した如く、接着剤には感熱型接着剤や或い
は硬化型接着剤でも加熱軟化するものを選び、加熱して
軟化しないものは避ける。また水を固体粒子加速流体に
用いる場合は、湿気硬化型の接着剤や水性接着剤は避け
る。上記感熱型接着剤としては、熱可塑性樹脂を用いた
熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのいずれ
の接着剤も使用できる。但し、短時間で接着が完了する
という点からは、熱融着型(感熱溶融型接着剤)が好ま
しい。また、接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温
で液体又は固体のいずれでも良く、適宜使い分ける。ま
た、粘着性を呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤では、
接着剤層の単層のみで転写層とすることができる。接着
剤層中に顔料等の着色剤を添加すれば、全面ベタのイン
ク層からなる装飾層ともいえる。
【0024】感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹
脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得
られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用いるこ
とができる。熱硬化型接着剤としては、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることがてきる。
【0025】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱
溶融型接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着
剤は、自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行す
るので、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気
硬化型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶
融型接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の
水分で架橋・硬化反応が徐徐に進行する為に、最終的に
クリープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな
接着力が得られる。但し、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させる為、湿気を含む空気中に転写後
の化粧材等の転写製品を放置して養生する。養生の際の
好ましい雰囲気条件は、大体、相対湿度50%RH以
上、気温10℃以上である。温度・相対湿度とも高い方
が、より短時間で硬化が完了する。標準的な硬化完了時
間は、通常の場合、20℃、60%RHの雰囲気中で1
0時間程度である。
【0026】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応
して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起
こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマ
ーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウ
レタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を
有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等である。
適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用すること
で、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中にウレタ
ン結合ある場合は、このウレタン結合とも末端イソシア
ネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、こ
のアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0027】ポリイソシアネートプレポリマーの具体例
としては、例えば、ポリオールに過剰のポリイソシアネ
ートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、
且つ分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格
の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−
14287号公報に開示されている様な、ポリイソシア
ネートに、ポリエステルポリオールと、ポリブタジエン
骨格を有するポリオールとを任意の順序で加え付加反応
させて得られた、ポリエステル骨格とポリブタジエン骨
格とがウレタン結合により結合された構造を有し且つ分
子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレ
ポリマー、或いは、特開平2−305882号公報に開
示されている様な、ポリカーボネート系ポリオールとポ
リイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以
上のイシソアネート基を有するポリカーボネート系ウレ
タンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上の
イシソアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレ
ポリマー等が挙げられる。
【0028】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤として
は、上記各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、
各種物性を調整する為に、上記必須反応成分に更に、必
要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填
剤等の各種副材料添加することもできる。これらの副材
料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチ
ックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エ
チルアクリレート(EAA)等の熱可塑性樹脂、テルペ
ン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の
粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色
顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤
等である。
【0029】電離放射線硬化型接着剤として用いる得る
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な
組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不
飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポ
リマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマ
ーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が
好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマ
ーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0030】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート等が使用できる。分子量としては、通常250
〜100,000程度のものが用いられる。ラジカル重
合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モ
ノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマー
として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレ
ポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、
脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等の
ビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオール
としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレー
ト、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の
ポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオー
ルとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリ
ルアルコールを付加したもの等がある。
【0031】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。また、カチオン重合性官能基を有す
る樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。なお、電離放射線としては、接着剤中の分子
を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子
が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子
線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用
いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラ
ックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用され
る。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波
長域が主として用いられる。電子線源としては、コック
クロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器
型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜
1000keV、好ましくは、100〜300keVの
エネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0032】上記電離放射線硬化性樹脂に、更に必要に
応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性
樹脂を添加することもできる。なお、希釈溶剤は添加せ
ずに用いれば、ホットメルト接着剤となる。
【0033】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、照射は、衝突圧印加中、印加後、或いは印加中
及び印加後に行う。
【0034】また、接着剤に用いる上記各種樹脂に、更
に必要に応じ、各種添加剤を添加する事もできる。これ
らの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料
(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソトロピック付
与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場合、接着剤
が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に添加すると
良い。)等である。
【0035】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せば良い。また、特に凹凸表面の被転写
基材に対しては、軟質ゴムロールやスポンジロール等の
ロールを使用したロールコート、カーテンフローコー
ト、スプレーコート、熔融塗工等の塗工法が良い。希釈
溶剤を添加せずに用いれば、溶剤乾燥は不要である。例
えば、感熱溶融型接着剤は、それぞれ無溶剤のホットメ
ルト接着剤として使用できる。また、電離放射線硬化型
接着剤なども無溶剤で施すことができる。ホットメルト
型接着剤として使用する場合は無溶剤なので、転写直前
の塗工でも溶剤乾燥が不要で、高速生産できる。なお、
接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基材の種類及
び表面状態で異なるが、通常10〜200g/m2 (固
形分)程度である。
【0036】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0037】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱
型接着剤を用い、接着剤を活性化して熱融着させる為に
加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、
或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。
接着剤の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行
う。接着剤が施された材料(転写シートや被転写基材)
を加熱しても良く、接着剤が施されていない側の材料を
加熱しても良く、或いはこれら両方の材料を加熱しても
良い。また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子
や、固体粒子加速用の流体を加熱流体として用いても良
い。一方、転写シートが被転写基材の表面形状に追従
し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風等の冷
却手段で接着剤の冷却を促進しても良い。冷風は、転写
シート側や被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手
段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いることもでき
る。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹部内部にま
で追従成形された転写シートが衝突圧開放後に復元力が
ある場合に戻るのも防止する。 (以下、次の文書ファイルに続く)
【0038】〔転写圧の押圧方法〕本発明の転写方法で
は、圧接工程における転写圧の押圧方法としては、特に
限定されず、被転写面の表面凹凸等の被転写基材形状等
により、従来公知の転写法のなかから適宜な方法を選択
使用しても良い。例えば、特公昭60−59876号
公報、特開平5−139097号公報に記載されるよう
に、転写シートを、転写層を被転写体側に向けて、支持
体側から転写ローラとなる弾性体ローラとしてゴムロー
ラで加圧し、転写層が被転写体に圧着後、支持体を剥離
する、所謂ローラ転写法、特公昭56−45768号
公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公
報(真空プレス法)等に記載されるように、成形品等の
立体形状物品の表面に転写シートを、間に必要に応じ適
宜接着剤を介して対向又は載置し、立体形状物品側から
の真空吸引による圧力差により転写シートの転写層を立
体形状物品の表面に転写する、所謂真空成形積層法を利
用した転写方法(真空成形転写法)、等である。
【0039】〔固体粒子衝突圧による転写法〕また、転
写圧自体が新規な転写法として、転写圧に固体粒子の
衝突圧を利用する転写法がある。この転写法は、ローラ
転写法、真空成形転写法等では不可能な大きな三次元形
状等の表面凹凸を有する被転写基材にも転写可能な方法
である。この転写法は、固体粒子を噴出器から噴出させ
て転写シート支持体側に衝突させる。噴出器から固体粒
子を噴出させるには、羽根車等で加速して噴出させた
り、気体や液体等の流体(固体粒子加速流体)と共に噴
出させる。つまり、この転写法は、凹凸表面を有する被
転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とからなる転
写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体
側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、被転
写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行い、転写層
が被転写基材に接着後、転写シートの支持体を剥離除去
することで、転写層を被転写基材に転写するものであ
り、曲面転写方法の一種と言える。特に、本発明の転写
方法では、ブリッジが発生しても容易に解消でき、ブリ
ッジ発生原因となる表面凹凸を有する被転写基材に対し
ても転写不良無く転写できる為に、この特性を最大限に
活かせる凹凸表面への転写が可能なの固体粒子衝突圧
による転写法は好適な転写法である。なお、前記や
の従来の転写法でも、発生したブリッジを後から解消さ
せるので、表面凹凸形状次第では、従来ではブリッジに
より不可能となっていた表面凹凸形状の形状制限を緩和
できる。しかし、基本的にはブリッジやバリは最初から
起こさない方が望ましく、この点で転写法自体が優れた
凹凸追従性を有し、従ってブリッジ発生もより起きにく
い、固体粒子衝突圧による転写法を利用して転写した上
で、ブリッジ解消を狙うべきである。
【0040】以下、固体粒子衝突圧による転写法につい
て詳述する。
【0041】(固体粒子)固体粒子としては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、アル
ミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、コ
ランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、
亜鉛等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂
ビーズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレ
タン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビー
ズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等、或
いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複
合粒子等を使用することができる。なお、液体の水を固
体粒子加速流体に使う場合は、固体粒子には、水で錆や
腐食しないステンレスビーズや、ガラスビーズ、セラミ
ックビーズ、樹脂ビーズ等の非金属が好ましい。形状は
球形状が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗
片状、無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体
粒子の粒径としては、通常10〜1000μm程度であ
る。
【0042】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいても良い。また、固体粒子は、接着後
の冷却促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の
固体粒子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。ま
た、固体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却
固体粒子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた
後、冷却固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。
また、他の加熱方法で転写シートや被転写基材、接着剤
等の加熱を要するものを充分に加熱しておき、これに冷
却固体粒子を用いて、転写シートの成形と接着及び冷却
を殆ど同時に行うこともできる。固体粒子を加熱又は冷
却するには、固体粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンク
に貯蔵する場合は、貯蔵中に加熱又は冷却しておけば良
い。また、固体粒子が輸送管を通過中に加熱又は冷却し
ても良い。
【0043】(固体粒子による衝突圧印加)固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段としての噴出器から、多数の固体粒子を連続
して転写シートに向かって噴出させて、転写シートに衝
突圧を印加する。多数の固体粒子は固体粒子群として転
写シートに衝突する。噴出器には、代表的には羽根車や
吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固体粒子
を加速し、吹出ノズルは固体粒子加速流体として高速の
流体流で固体粒子を搬送し加速する。羽根車や吹出ノズ
ルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、ショ
ットピーニング等とブラスト分野にて使用されているも
のを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装
置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェ
ットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根
車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラス
ト装置は、圧縮空気に混合しておいた固体粒子を、空気
と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高
速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に
噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と
混合して噴出する。また、噴出器には、吹出ノズルや羽
根車以外にも、重力による自由落下を利用して固体粒子
を加速する方法、磁性体粒子を磁場によって加速する方
法等を採用することも可能である。なお、羽根車、重
力、磁場を用いた噴出器の場合は、真空中で固体粒子を
転写シートに向かって噴出させる事も可能である。
【0044】(羽根車)図2〜図5に、噴出器の粒子加
速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示す。これ
らは、ブラスト分野にて使用されている遠心式ブラスト
装置に該当する。図面では、羽根車812は、複数の羽
根813がその両側を2枚の側面板814で固定され、
且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815となっ
ている。更に、この中空部815内に方向制御器816
を内在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方
向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車81
2の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回
動自在となっている。羽根車使用時は、方向制御器の開
口部を適宜の方向に向くように固定して、固体粒子の噴
出方向を調整する。更に、この方向制御器の内部に、内
部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう
一つの羽根車が散布器818として内在する(図4参
照)。散布器818は外側の羽根車812と共に回転す
る。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸8
19が固定され、回転軸819は、軸受820で回転自
在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって
駆動回転され、羽根車812が回転する。また回転軸8
19は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間
には貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。そ
して、散布器818の内部に固体粒子Pがホッパ等から
輸送管を通って供給される。通常、固体粒子は、羽根車
の上方(直上又は斜上方)から供給する。散布器内に供
給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。
飛び散った固体粒子は、方向制御器816の開口部81
7によって許された方向にのみ放出され、外側の羽根車
812の羽根813と羽根813との間に供給される。
そして、羽根813に衝突し、羽根車812の回転力で
加速され、羽根車から噴出する。
【0045】なお、固体粒子の噴出方向は、図2〜図3
では略鉛直下方であるが、図6(B)の様に水平方向、
或いは斜下方(図示略)等としても良い。図5(A)及
び図5(B)に方向制御器816の開口部817の向き
の設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御
の概念図を示す(図5(A)、(B)では方向制御器は
それぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向制
御器816は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさ
を調整することで、固体粒子の噴出量を調整することも
できる。なお、図3に於いては、回転軸819は側面板
814の外側のみで中空部815にまで貫通していない
構成となっているが、この他、中空部の直径より細い回
転軸を該中空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通
り抜け用の開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身
を中空部とする構成などでも良い(図示略)。羽根81
3の形は、図2〜図5の様な長方形の平板(直方体)が
代表的であるが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロ
ペラ等のプロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、
目的に応じて選択する。又、羽根の数は複数枚、通常最
大10枚程度までの範囲から選択する。羽根車の形状、
枚数、回転速度、及び固体粒子の質量や供給速度と供給
方向、方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせ
により、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出
速度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0046】また、図6は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。固体粒子の噴出方向は鉛
直下方(図示略)、水平方向(図6)、或いは斜下方
(図示略)等が可能である。
【0047】また、上記した羽根車812、812a等
の羽根車には、更に必要に応じ、固体粒子の噴出取出部
分のみ開口させ、それ以外の羽根車周囲を被覆する噴出
ガイド(不図示)を備える事で、固体粒子の噴出方向を
揃えたりする固体粒子噴出方向制御を行うこともでき
る。噴出ガイドの開口部の形状は、例えば、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等である。噴
出ガイドは、単一開口部を有するものでも良いし、或い
は内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたものでも良
い。
【0048】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重
量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0049】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等から適宜選択すれば良い。固体粒子は羽根
に接触して加速されるので、羽根には、耐摩耗性のよい
高クロム鋳鋼、セラミックを用いると良い。
【0050】(吹出ノズル)固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図7に吹出ノズルを用い
た噴出器840の一例の概念図を示す。なお、同図に示
す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用い、
固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する
形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840は、固
体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室8
41内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、ノズル
開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出する吹出
ノズル部844からなる。圧縮機又は送風機(不図示)
から適宜加圧タンク(不図示)を経て送られる流体F
を、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴
出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用
で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き
混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル8
44のノズル開口部843から流体流と共に噴出するも
のである。なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体と
して液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合は、
例えばポンプ(不図示、流体が液体の場合)により、流
体と固体粒子とを加圧タンク(不図示)に混合貯蔵して
おき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部から噴出
するもの等が使用される。
【0051】ノズル開口部の形状は、中空の円柱状、多
角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の形状のものを用
いる。吹出ノズルは、単一開口部を有するものでも良い
し、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたも
のでも良い。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜100k
g/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常
1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度
である。誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セラミ
ック、スチール、チタン、チタン合金等から固体粒子、
流体の種類によって適宜選択すれば良い。流体が液体の
場合は、錆、溶解、腐食等を生じない材料を選ぶ。例え
ば流体が水ならば、ステンレス鋼、チタン、チタン合
金、合成樹脂、セラミックを用いる。但し、表面に防水
加工すれば、スチール等でも良い。なお、固体粒子は噴
出器内壁に接触して通過するので、固体粒子に金属ビー
ズや無機粒子を用いる場合には粒子が硬質であるので、
耐摩耗性のよいセラミックを用いると良い。固体粒子に
樹脂ビーズを用いる場合には金属粒子に比べれは軟質で
あるので、ステンレス鋼でも良い。
【0052】(流体)流体Fは、固体粒子加速流体とし
て、固体粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流
体と共に固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場
合(吹出ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速
する固体粒子加速流体である。流体には気体、液体とも
に利用可能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用い
る。気体としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、
窒素等でも良い。液体としては、必ずしも限定されない
が、不燃性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容
易性、等から水は好ましい材料の一つである。この他、
フロン、グリセリン、シリコーン油等の不燃性の液体も
使用できる。液体を(気体もそうであるが)転写シート
に固体粒子と共に衝突させることができる。当然の事な
らがら、液体は気体よりも密度が高い為、気体よりも液
体の方が、流体流で固体粒子を加速する場合に加速し易
く、しかも液体が転写シートに衝突する場合に、気体と
等速度の衝突でも、衝突圧は気体に比べてより大きく且
つ実用性のある衝突圧が得られる。(また、固体粒子と
の密度差も少ないので固体粒子の搬送もし易い。)従っ
て、液体の場合は、転写圧として固体粒子の衝突圧以外
に、液体の衝突圧も利用でき、その分より大きな転写圧
を印加でき、その結果、転写シートを被転写基材の表面
凹凸形状へ追従させ成形する成形効果により大きなもの
が得られる。また、衝突圧印加時の加熱又は冷却手段と
して流体を用いる場合、気体よりも液体の方が比熱が大
きいので、より大きな加熱又は冷却効果が得られる。ま
た、液体が水の様な電気伝導体の場合は、気体の場合に
比べて静電気帯電に対する防爆対策もより容易となる。
【0053】(衝突圧印加形態)噴出器は、1個のみの
使用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて、転写シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。被転写基材を搬送しながら衝突圧を与える場合
は、例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向に直
交して幅方向に一直線状に複数列を配置して、幅方向に
直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或いは、図
8(A)の噴出器32の配置は千鳥格子状の配置であ
り、図8(B)は一列配置だが、幅方向中央部は送り方
向の上流側で衝突する様にした配置である。図8(B)
の配置では、転写シートの被転写基材への衝突圧による
圧接は幅方向中央部から始まり、順次、幅方向両端部に
向かって圧接されて行く。この様にすると、幅方向中央
部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写基材に
密着することを防止できる。図8の様に噴出器を幅方向
に複数個配列する場合には、個々の噴出器の加圧領域が
互いに一部重複し、全幅にわたってもれなく加圧できる
様に配列することが好ましい。図8(B)にそのような
配列の一例を示す。該図に於いて、点線部分が(有効)
加圧領域を示す。また、衝突圧印加時間を長くするに
は、噴出器は、転写シート及び被転写基材の送り方向に
向かって2列以上配置する多段配置が好ましい。
【0054】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。図9は、転写シートの搬送方
向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方向
両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布の
設定例である。この設定は、圧が高い所(同図では中央
部)から低い所(同図では両側部)に向かって順次段階
的に圧接が進行することを助ける。但し、図9の如き圧
力分布とする場合、被転写基材上に於ける衝突圧は、所
望の凹凸面への転写が完全に行えて、なお且つ圧過剰に
よる転写シートの歪み、被転写基材の変形、破損等の生
じない適正圧力範囲内に全て納まる様に調整する。な
お、ゴム製転写ローラによる曲面転写方法では、転写ロ
ーラの中央部直径を太めとすれば、圧力的には中央部は
強くできるが、中央部と両端部とで円周長が異なってし
まい、接触して圧印加され転写シートの送りを均一に出
来ない。衝突圧の調整は、噴出器から転写シートに衝突
する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突する固体粒
子数、投射量、及び1粒子の質量を制御することで調整
する。これらのうち、固体粒子の速度を調整するには、
例えば羽根車を用いる噴出器の場合は、羽根車の回転
数、羽根車の直径等で調整する。また、吹出ノズルを用
いる噴出器の場合は、バルブの開閉量、バルブに連結す
る固体粒子を搬送する管の内径の大小、圧力調整器(レ
ギュレータ)等を用いて噴出器直前の流体圧(流体単
体、又は流体と固体粒子との混合物)の調整により、噴
出する固体粒子及び流体流の速度を制御することで調整
する。
【0055】(噴出器の被転写基材に対する配置方法)
羽根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向
は、原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がら
ず、該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。一方、吹
出ノズルの場合は、噴出する固体粒子の広がりは、羽根
車による噴出器の場合よりも広がりが少なく、且つ広が
っても通常はどの方向にも均一で等方的である。このよ
うな噴出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば
良い。しかし、一つの噴出器で所望の衝突領域の大きさ
に出来ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様
に、複数の噴出器を被転写基材の被転写面に対して配置
する場合は、各噴出器は被転写基材に平行にし、且つ各
噴出器の噴出方向が被転写基材の法線方向になる様な配
置が基本である。この様な平行配置は、被転写基材の被
転写面の包絡面に垂直に固体粒子を衝突させ、基本的に
衝突圧を最大に有効利用できるからである。従って、被
転写基材を搬送しながら衝突圧を与える場合は、例え
ば、図10の様に、被転写基材Bの被転写面の包絡面
(の搬送方向に直角の断面形状)が円型になる円筒状の
凸曲面であれば、複数の噴出器32を用意し各噴出器が
主として受け持つ個別の衝突面(凸曲面の接平面)に対
して、略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向き
を近接する被転写基材面の包絡面の法線方向にして配置
すると良い。この様に噴出器の配置は、対象とする被転
写基材の凹凸形状に合わせて、噴出器の噴出方向を固体
粒子がなるべく垂直に衝突する様に合わせると良い。た
だ、噴出器の向きは、転写シート支持体側面に対して必
ずしも垂直にする必要はない。また、噴出器は多めに設
けておき、製造する被転写基材によっては、一部の噴出
器は停止させても良い。
【0056】(固体粒子の実際的な使用法)また、実際
に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の雰
囲気中に飛散させずに使用するのが好ましい。この為に
は、固体粒子衝突圧による転写圧を押圧する圧接工程を
行う衝突空間を周囲空間と隔離するチャンバ(隔離室)
内で、固体粒子を転写シートに衝突させて転写圧を加え
る(後述図11参照)等すると良い。支持体の剥離を行
う剥離工程や、転写層加熱工程は、チャンバ外でも良
い。
【0057】(転写シート、被転写基材、接着剤等の加
熱)転写圧に固体粒子衝突圧を用いる場合でも、転写ロ
ーラに弾性体ローラを用いる従来公知の転写方法と同様
に、接着剤活性化、或いは転写シート延伸性向上等に、
転写圧押圧中やその前に、転写シート、被転写基材等を
適宜加熱することができる。例えば、衝突圧印加前で
は、転写シートは、ヒータ加熱、誘電加熱、熱風加熱、
ローラ加熱(連続帯状の場合)、赤外線輻射加熱等の任
意の従来公知の加熱手段で加熱すれば良く、被転写基材
(及びその上の接着剤層)も転写シート同様に従来公知
の任意の加熱手段で加熱すれば良い。例えば誘導加熱や
誘電加熱は基材内部から加熱できるが、一方、ヒータ加
熱、赤外線加熱、熱風加熱は、凹凸表面側からの加熱が
効率的である。また、被転写基材は裏面側からも加熱し
てもよい。裏面側からの加熱は、熱容量の大きい基材を
速やかに加熱したり、或いは、衝突圧印加中の加熱とし
て、転写シートや接着剤が衝突圧の印加完了まで冷える
ことを防止して所定の温度に保つ場合に有効である。裏
面側からの加熱方法は、基材搬送装置に加熱手段を持た
せたり、或いは被転写基材を基材置き台に載置して搬送
する場合は、その基材置き台の加熱による。基材搬送装
置の加熱手段としては、基材搬送に駆動回転ローラ列を
用いる場合は加熱ローラやローラ間にヒータ等の熱源を
配置する。加熱ローラは、例えばローラ内を中空にして
熱水等の加熱媒体を流通させたり、誘導加熱を利用す
る。また、基材搬送装置にゴムベルトを用いる場合は、
ゴムとしてシリコーンゴム等の耐熱性ゴムを用い、これ
を、誘電加熱、赤外線加熱する等の方法が有る。また、
基材置き台の加熱は、それを搬送する基材搬送装置によ
って加熱したり、基材置き台を載置する台(搬送せず静
置で衝突圧印加する)を加熱台として加熱したり、基材
置き台に電熱ヒータ等の加熱手段を設けても良い。ま
た、衝突圧印加中の加熱は、固体粒子に加熱固体粒子を
用いたり、噴出器の間隙に分散してヒータ等の熱源を設
けたり、吹出ノズルによる噴出器では、その固体粒子加
速流体も加熱流体を用いることができる。もちろん、衝
突圧の押圧前及び押圧中の加熱、或いは押圧中のみの加
熱でも良く適宜使い分ける。但し、熱風加熱は、衝突空
間を周囲と隔離するチャンバ内で行うと内部に気体を流
入しチャンバ内圧力バランスに影響するので、チャンバ
外で行う方が好ましい。それは、空気をチャンバ内に入
れることになり、固体粒子加速用に空気を用いる場合も
含めて、固体粒子回収用の真空ポンプ36(図11参
照)の負荷増にもなり、固体粒子漏出防止の為のチャン
バ内の負圧の維持を邪魔し、また、固体粒子を攪拌する
からである。また固体粒子の流れを攪乱することになる
からである。
【0058】チャンバ使用時の衝突圧印加中や印加前の
加熱は、チャンバの外部又は内部、或いは外部及び内部
で行えば良い。外部及び内部の加熱では、充分な予熱が
必要な場合でも、被転写基材を搬送する場合は長い搬送
距離を使って加熱することができる。また、長い基材加
熱装置をチャンバの内部に設ける為に、チャンバ自身の
内容積が大きくなるならば、基材加熱装置の一部又は全
部をチャンバの外部に設けて、チャンバの内容積を小さ
くした方が、固体粒子の飛散、回収等を考慮した取扱上
は有利だからである。チャンバの内部で加熱する利点
は、衝突圧印加の直前まで、或いは衝突圧印加中まで
も、加熱できることであり、特に熱容量が大きい被転写
基材をその被転写面近傍のみ効果的に予熱しようとする
場合等である。
【0059】(接着剤の強制冷却)接着剤が熱融着型の
場合は、転写シートが被転写基材に密着後に接着剤を強
制冷却すれば、凹部内部にまで追従、成形された転写シ
ートの固着化を促進して、転写シートに復元力がある場
合に圧解放後、転写シートが元の形状に戻ることを防止
し、転写シート(の支持体)の剥離除去をより早くでき
るので、転写抜け防止や生産速度向上が図れる。この為
には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま冷却固
体粒子を用いたり、或いは固体粒子加速流体を用いる場
合は冷却流体を用いたり、衝突圧印加後に、風冷等の他
の冷却手段を用いて接着剤層を冷却すると良い。被転写
基材の熱容量が大の場合は、冷却固体粒子及び冷却流体
以外にも、低温流体の吹き付け、基材搬送用のローラや
ベルトコンベア或いは基材置き台等の冷却により、被転
写基材を裏面から冷却できる。或いは、チャンバ内での
これら冷却の後にチャンバ外で、或いはチャンバ内では
冷却せずにチャンバ外のみで、表や裏からの冷風吹き付
け等で冷却しても良い。なお、これは転写シートの冷却
にも言える。
【0060】(支持体の剥離)なお、支持体を剥離する
タイミングは、衝突圧の解除以降、支持体が剥離時応力
で切断や塑性変形をし無い程度に冷却し、接着剤層が冷
却や硬化反応で固化し転写シートが被転写基材に固着し
た時点以降に行えば良い。なお、本発明の転写方法で
は、この支持体の剥離工程の後に、更に被転写基材上の
転写層を加熱する転写層加熱工程がある。また、剥離工
程後に行う転写層加熱工程に於ける加熱は、チャンバ内
でおこなっても良いが(従って、剥離工程もチャンバ
内)、通常は、剥離工程はチャンバ外となるので、チャ
ンバ外となる(図11参照)。
【0061】(空気抜き)また、衝突圧印加前に、転写
層や被転写基材上の接着剤層等となる接着剤が加熱され
たとしても活性状態とならないならば、或いは活性状態
になる前の時間的過程が使えるならば、被転写基材と転
写シートとの非粘着の接触を行えるので、転写シートを
被転写基材の凹凸表面に接触させて、転写シートと被転
写基材間の空隙の空気を強制的に抜き取る、「空気抜
き」をすると良い。空気抜きで、転写シートと被転写基
材間の空気が転写時に残留する「エア噛み」、更にはそ
れに起因する転写抜けを抑制できる。本発明では、支持
体剥離後に被転写面を上に向けて転写層を加熱軟化させ
る事で、転写層のブリッジによる転写抜けを解消させる
が、この空気抜きを併用する事によって、ブリッジの発
生自体を抑制し、転写抜けをより確実に防止できる効果
が得られる。空気抜きは、例えば図11の装置では、吸
引排気ノズル91及び真空ポンプ92等からなる吸引排
気装置90で行う。吸引排気ノズル91は、転写シート
の転写層側で、且つ搬送される被転写基材の搬送方向に
沿う両辺に隣接する両側に(図11(B)参照)、被転
写基材の搬送方向に沿って設け、転写シートと被転写基
材間の空気を、真空ポンプ92で吸引し排気すれば良
い。吸引排気ノズル91の開口部外周は例えばブラシで
囲いブラシ先端を被転写基材及び転写シートに接触させ
れば、それらの搬送に支障なく空気抜きできる。また、
空気抜きは衝突圧印加中まで行うのが良い。なお、空気
抜きと転写シートの予熱とのタイミングは、転写シート
が予熱されて軟化する速度、軟化の度合いにもより、ど
ちらを先に開始しても良いが、両方を同時に開始しても
良い。空気抜きは、被転写基材の被転写面が例えば岩肌
調やスタッコ調等の凹凸面の場合は効果的である。
【0062】(チャンバ使用での一形態)前述した如
く、固体粒子はチャンバ内で衝突させて飛散防止する事
が好ましいが、更に固体粒子は循環再利用する事が実際
的であり好ましい。そこで、次に、本発明の転写方法の
一形態として、凹凸表面へも転写できる固体粒子衝突圧
を利用する曲面転写方法について、チャンバを使用し且
つ固体粒子を循環再利用しながら連続的に転写する場合
の曲面転写装置の一例の概念図を示す図11に従い、本
発明を更に詳述する。
【0063】同図の装置は、連続帯状の転写シートSを
用い、包絡面形状が平板状の凹凸表面を有する被転写基
材Bに、装飾層等を転写する装置である。そして更に支
持体剥離後は、被転写基材の上方に設けた赤外線輻射加
熱等からなる転写層加熱装置80で転写層を加熱軟化さ
せてバリやブリッジを解消する転写層加熱工程もインラ
インで実施できる転写装置でもある。同図では、固体粒
子Pは、固体粒子噴出手段である噴出器32から、衝突
圧印加部30のチャンバ33内において噴出させて、衝
突圧を与える。噴出器32は、例えば前述の羽根車利用
のものである。衝突圧印加部30は、固体粒子を貯蔵し
噴出器32に供給するホッパ31、噴出器32、チャン
バ33、衝突圧の固体粒子のホッパまでの帰還路である
ドレン管34、固体粒子を気体と分離する分離装置3
5、回収固体粒子の搬送気体を吸引排気する真空ポンプ
36等を備える。チャンバ33は、転写シート及び被転
写基材の出入口を除いて、衝突圧にさらされる転写シー
ト及び被転写基材、噴出器の少なくとも開口部を外部か
ら覆い、固体粒子を外部の作業雰囲気中に漏らさないよ
うにしている。この為、チャンバ内部は好ましくは外部
よりも気圧を低く(負圧)する。
【0064】そして、転写は次の様にして行う。先ず、
板状の被転写基材Bは、駆動回転ローラ列、無限軌道式
のコンベアベルト等から成る基材搬送装置10で一枚ず
つ搬送する。被転写基材Bは、先ず必要に応じて、接着
剤塗工や下地塗装等を適宜行う基材塗工装置50によ
り、接着剤を全面或いは凸部のみ等と所望の部分に塗工
する。もしも、基材塗工装置で塗工する接着剤等に溶剤
分がある場合は、次の基材加熱装置41で被転写基材及
び接着剤を加熱すると共に、蒸発成分はチャンバの防爆
対策の観点から揮発乾燥させてからチャンバ33内に搬
送する。そして、被転写基材Bは、加熱装置41で加熱
された後、衝突圧印加部30のチャンバ33内に搬送、
供給される。
【0065】一方、転写シートSは、シート送出装置2
1、シート支持装置22、シート排出装置23等からな
るシート供給装置20により搬送する。先ず、転写シー
トSは、シート送出装置21にセットされた供給ロール
から巻き出され、ガイドローラを経て衝突圧印加部30
のチャンバ33内に入る。なお、転写時に接着剤を転写
シートに施す場合は、転写シートがシート送出装置21
から衝突圧印加部30に供給される間に、接着剤塗工装
置(図示せず)で接着剤を塗工し、更に溶剤乾燥を要す
場合は、乾燥装置(図示せず)乾燥後に、衝突圧印加部
に供給する。
【0066】さらに、転写シートSはチャンバ33内に
入ったところで図11(B)に示す如く、幅方向両端を
シート支持装置22で挟持されつつ(図11(A)では
図示略)、その転写層側の面を搬送される被転写基材B
側に向ける様に対向して被転写基材Bの上方を僅かに空
間を開けて(衝突圧等を作用させない何もしない状態の
場合)、搬送される被転写基材Bと平行に等速度で移送
され、衝突圧を受けて被転写基材Bに接触させるまでの
間、両者の間隙を維持しながら搬送される。シート支持
装置22は、被転写基材の横幅よりも広幅とした転写シ
ートの両端を表裏両面から挟持しながら転写シートの移
送に合わせて回転するベルト等から成る。ここでは被転
写基材は包絡面が略平板状なので、シート支持装置によ
る上記間隙にて、衝突圧による転写シートの被転写基材
への完全な接触は、幅方向中央部では時間的に先に幅方
向の両端近傍は遅れて行われる様にしてある。これは、
被転写基材と転写シート間(特にその中央部付近)に空
気を残して密着しない様にするための策の一つである。
なお、転写シートを被転写基材の近傍を等速度で移送す
る際に、被転写基材に対して僅かに離すか又は接触状態
として移送するかは、被転写基材の表面凹凸の形状、被
転写基材の予熱温度と、転写シートの熱変形性、固体粒
子の衝突圧、接着剤の活性化温度等を適宜勘案して選択
する。そして、シート支持装置で挟持搬送されて衝突圧
の印加を受けるまでに、ヒータ加熱、赤外線加熱、誘電
加熱、誘導加熱、熱風加熱等によるシート加熱装置40
で、転写シートは加熱されて軟化し、衝突圧印加時に延
伸され易くなる。なお、基材加熱装置で加熱されて衝突
圧印加部に供給される被転写基材によっても、転写シー
トは間接的に加熱される。シート加熱装置による加熱
は、転写シートの予熱不要時は省略できる。
【0067】一方、固体粒子Pはホッパ31からチャン
バ33内にある噴出器32に供給され、そこで図2〜図
4の様な羽根車によって加速されてチャンバ33内で転
写シートSに向かって噴出する。そして、転写シート
は、噴出器から噴出する固体粒子の衝突にさらされる。
ここでは、被転写基材は包絡面が略平板状なので、固体
粒子は転写シートの支持体側に概ね垂直に衝突させる分
を主体成分とし、被転写基材及び転写シートが搬送され
る全幅を衝突領域とする。そして、被転写基材及び転写
シートが搬送されるにつれて、長手方向の全領域が順次
衝突圧にさらされて行く。なお、シート支持装置は、固
体粒子が、転写シートの幅方向両端から回り込んで、転
写シートと被転写基材間に流入する事も防止する。そし
て、転写シートは、固体粒子衝突圧で被転写基材に押圧
され、被転写基材の凹凸表面の凹部内へも転写シートは
延ばされて変形することで、被転写基材の凹凸表面形状
に追従して成形されて、活性化している接着剤により転
写層が被転写基材に密着する。そして、転写シートが密
着した被転写基材は、チャンバ33から排出され、次の
第2チャンバ71に搬送される。
【0068】一方、転写シートへの衝突に供された後の
固体粒子は、その一部はシート支持装置22の側面を迂
回して、チャンバ33の下部に落下する。また、残りの
部分は転写シート支持体上に載置されたまま下流側に移
送された後、チャンバ33とは基材搬送装置10の上部
のみ別室に区画された第2チャンバ71に入る。そし
て、そこでは、スリットノズル状の除去装置(兼冷却装
置)70から転写シート及び被転写基材上に向かって空
気を吹き付け、転写シート上に残留する固体粒子を転写
シート端部から第2チャンバ71下部に吹き落とす。ま
た、除去装置70から吹き出す空気には室温の空気を使
い、その空気を冷風として、固体粒子除去と同時に、被
転写基材及び転写シートを、転写シートの支持体が剥離
可能な温度にまで冷却させる。従って、除去装置は転写
シートや接着剤、被転写基材等の冷却装置の役割も果た
す。チャンバの下部に集まった固体粒子は、そこからド
レン管34で吸引され元のホッパ31に収集される。ま
た、固体粒子の回収搬送用としてチャンバ中の空気も、
固体粒子と共にドレン管34で吸引され、ホッパ上部の
気流と固体粒子の分離装置35に搬送される。該分離装
置35では図示の如く、気流で搬送されて来た固体粒子
は水平方向に装置空洞内に放出され、気体に対して密度
の大きい固体粒子は自重で下方に落下し、気体はそのま
ま水平に流れて、フィルターで気流と共に移動しようと
する残余の固体粒子を濾過した上で、真空ポンプ36で
系外に排出される。この様にして固体粒子が、転写シー
ト及び被転写基材が出入りするチャンバ出入口開口部か
ら、空気と共に周囲に流出しない様にする。また、固体
粒子のチャンバ系外への流出防止、及び固体粒子のチャ
ンバからホッパへの逆流防止には、チャンバ内を外部よ
り低圧にすると良い。このチャンバの圧力調整は、前記
真空ポンプ36の排気量、更に気体を吹き出す除去装置
(兼冷却装置)からチャンバ内に入る気体量、及び排風
機(図示せず)をチャンバに適宜接続してその排気量等
によるチャンバ外に流出する気体量と、噴出器から固体
粒子と共にチャンバ内に入る気体量(特に、気体を固体
粒子加速流体として用いる吹出ノズル等の噴出器の場
合)、更に送風機(図示せず)をチャンバに適宜接続し
てチャンバ内に入れる気体量(特に、羽根車による噴出
器の場合)等とのバランスを調整する事で行う。
【0069】そして、密着した被転写基材と転写シート
とが、除去装置70で固体粒子除去と強制冷却されて第
2チャンバ71を出た後、転写シート(の支持体)を、
剥離ローラ60により被転写基材から剥離除去する。剥
離ローラ通過後の転写シート(の支持体)は、シート排
出装置23に排出ロールとして巻き取る。
【0070】そして、本発明では、バリやブリッジ等の
転写不良を確実に解消する為に、この支持体剥離後の被
転写基材に一応密着した転写層を加熱し軟化させる。図
の装置では、転写層の加熱は、被転写基材の上方に設置
した転写層加熱装置80で行う。転写層加熱装置80
は、赤外線輻射加熱、誘電加熱、熱風加熱等の非接触加
熱手段による。そして、バリやブリッジとなった転写層
が加熱されて軟化して、垂れ下がり被転写基材に密着
し、これら転写不良が有った場合でも解消してしまう。
以上の結果、転写シートの転写層として装飾層等が被転
写基材の凹凸表面に転写形成され、且つ転写不良として
バリやブリッジが無い転写製品として化粧材D等が得ら
れる。
【0071】なお、上記シート加熱装置40、基材加熱
装置41、除去装置(兼冷却装置)70、吸引排気装置
90等は必要に応じて適宜使用すると良い。
【0072】〔その他〕以上、本発明の転写方法を、転
写圧の押圧方法では曲面転写も可能な曲面転写方法を主
体に説明して来たが、本発明は上記説明に限定されるも
のではない。例えば、固体粒子衝突圧による転写方法と
して図11の装置による曲面転写方法の説明では、転写
シートの被転写基材への圧接は、連続帯状の転写シート
及び枚葉の被転写基材を用い、両者を一体的に搬送移動
させつつ、固定の噴出器で固体粒子衝突圧を連続印加す
る形態であったが、転写シートの被転写基材への圧接
は、その時だけ転写シート及び被転写基材を停止させ
て、基材一個ごとに間欠的に行っても構わない(これら
に対して例えば噴出器を移動させる)。同様に、支持体
剥離後の転写層加熱工程でも、被転写基材を停止或いは
静止して行っても良い。また、被転写基材及び転写シー
トともに枚葉の形態で供給する形態でも構わない。ま
た、噴出器の固体粒子噴出方向と転写シート及び被転写
基材との位置関係は、両者ともに水平面内に載置し、そ
の上方から鉛直方向に真下に固体粒子を噴き出す位置関
係に限定されない。転写シート支持体側面と噴出方向が
垂直関係を維持したとしても、転写シートの載置又は搬
送方向は、水平面内以外にも、斜面内、鉛直面内(図6
(B))等があり、また転写シートが水平面内でも、支
持体側が下側、すなわち、下から上に固体粒子を噴出さ
せ衝突させても良い。もちろん、転写シート支持体面に
対して角度をもって固体粒子を噴出しても良い。また、
衝突圧印加前に、弾性体ローラによる転写シートの被転
写基材への押圧を予備的に行っても良い。また、チャン
バ内は窒素等の不活性ガスを充満させて、接着剤等に電
離放射線硬化性樹脂を用いる場合に、空気中の酸素、水
蒸気等が該樹脂の硬化を阻害するのを防止しても良い。
【0073】〔転写製品の用途〕本発明で得られる化粧
材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、
特に三次元形状等の凹凸表面の物品であるような各種用
途に用いられ得る。例えば、化粧材として、サイディン
グ等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、
天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨
居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機
等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動
車、電車等の車両内装材、航空機や船舶等の内装材等の
各種分野で用いられ得る。化粧材は化粧板等として利用
される。なお、化粧材も含めて転写製品の形状は、平
板、曲面板、棒状体、立体物等と任意である。
【0074】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面に、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に
透明保護層を塗装する等しても良い。この様な透明保護
層としては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリ
デン等のフッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアク
リル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2
種以上等をバインダーとし、これに必要に応じて、ベン
ゾトリアゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、
着色顔料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。
また、外装用途では、無機系塗料を用いることもでき
る。塗工はスプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロー
ルやスポンジロールを使用したロールコート等で行う。
透明保護層の膜厚は1〜100μm程度である。
【0075】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0076】(実施例1)先ず、三次元的表面凹凸を有
する被転写基材Bとして図12(A)の平面図及び図1
2(B)の要部斜視図に例示する様な、大柄な凹凸とし
て深さ1mm、開口幅5mmの目地の溝状凹部401
と、煉瓦積み模様の平坦凸部402とを有し、微細な凹
凸として平坦凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲
に分布する梨地調の微細凹凸403を有する、大柄な凹
凸と微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を有する
厚さ12mmのケイ酸カルシウム板を用意した。そし
て、該凹凸面に下地塗装及び下塗り塗装をオフラインで
別の装置で行った。また、転写シートSは支持体に厚さ
100μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフ
ィルムの片面に、転写層となる装飾層として煉瓦模様の
絵柄を全面にグラビア印刷し、更にその上に接着剤層と
して、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮合で得られ
るポリアミド系樹脂からなる接着剤を厚み30μmにグ
ラビア塗工したものを用意した。絵柄インキのバインダ
ーの樹脂としては、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体との8:2(重量比)の混合物を、また、
着色顔料としては、弁柄、イソインドリノン、カーボン
ブラック、チタン白を用いた。
【0077】そして、ローラ転写法によって、上記被転
写基材の平坦凸部に対してのみ上記転写シートを用い
て、転写層を転写した。転写ローラは、鉄芯の表面をシ
リコーンゴムで被覆したJISゴム硬度60度の軟質ゴ
ムローラからなる弾性体ローラを加熱ローラとして用い
た。そして、転写ローラ通過と同時に支持体を剥離後、
被転写基材をその被転写面を上に向けて、上方から赤外
線輻射加熱によって、被転写基材上の転写層を加熱し軟
化させた。その結果、バリやブリッジが発生している場
合でも、その部分の転写層を落し込み被転写基材に密着
させた。そして、転写製品として得られた化粧材は、表
面凹凸の平坦凸部のみ絵柄が転写され且つ平坦凸部の外
周部でのバリや、平坦凸部内の微細凹凸の凹部でのブリ
ッジが無いものとなった。更に、この化粧材の転写層の
表面に、0.5重量%のベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤を含むポリフッ化ビニリデンのエマルション塗料を
乾燥時厚さ10μmに塗布して、透明保護層を形成し
て、透明保護層付きの化粧材を得た。
【0078】(実施例2)実施例1において、転写圧の
押圧方法をローラ圧から固体粒子衝突圧に変更して転写
した。被転写基材は実施例1と同じものを用いた。ま
た、転写シートは、実施例1の転写シートの煉瓦模様の
絵柄に代えて、被転写基材の凹凸面形状と位置同調した
目地部が余白となった煉瓦積み模様の絵柄とし、接着剤
層は省略したものを用いた。そして転写は、図11に示
す様な曲面転写装置で行った。噴出器には図2〜図4の
様な羽根車を用いた噴出器を使用し、上記被転写基材B
を、その凹凸面を上にして搬送用ローラ列からなる基材
搬送装置10上に載置して搬送し、基材塗工装置50に
て、ポリアミド系樹脂からなる無溶剤のホットメルト型
の感熱溶融型接着剤を30g/m2 溶融塗工後、基材加
熱装置41で接着剤及び被転写基材を加熱して、衝突圧
印加部30に供給した。一方転写シートSも、シート供
給装置20により、その支持体側を上にして、しかも絵
柄の目地部と被転写基材の目地状の溝状凹部とが位置合
わせ(見当合わせ)される様にして衝突圧印加部に供給
した。被転写基材Bが衝突圧印加部のチャンバ33に入
ったところで、転写シートを被転写基材に接近させた。
そして、1対のエンドレスベルト状のシート支持装置2
2で転写シートの幅方向両端を表裏で挟持した。その状
態で、転写シートの支持体側から電熱線ヒータによる赤
外線輻射加熱によるシート加熱装置40で、転写シート
の予熱、接着剤の活性化、被転写基材の加熱を行った。
【0079】次いで、固体粒子Pとして平均粒径0.4
mmの球形状の亜鉛球を、噴出器32から噴出させて転
写シートの支持体側に衝突させて、転写シートを被転写
基材に圧接した。噴出器の羽根車の回転数は3600
〔rpm〕、固体粒子の噴出速度は35〔m/s〕であ
った。そして、転写シートが目地の凹部内にまで延ばさ
れて熱融着し、チャンバ33から続いてその下流側に設
けた第2チャンバ71内に於いて除去装置(兼冷却装
置)70で冷風を吹き付けて、接着剤を冷却してその接
着温度以下に冷却すると共に、転写シート上に残留した
固体粒子を転写シート端部からチャンバ下部に向かって
落として除去した後、チャンバ71外下流にて、転写シ
ートの支持体を剥離ローラ60で剥がし取った。更にこ
の後、電熱線ヒータによる赤外線輻射加熱の転写層加熱
装置80により、被転写基材上の転写層を転写層側から
非接触加熱して軟化させた。その結果、バリやブリッジ
が発生している場合でも、その部分の転写層を落し込み
被転写基材に密着させて、転写製品として化粧材Dを得
た。転写圧に固体粒子衝突圧を用いた為に、化粧材は平
坦凸部以外に目地部の溝状凹部内も含めて、被転写基材
の表面凹凸に追従して絵柄が転写されていた。しかも、
平坦凸部の外周部でのバリや、平坦凸部内の微細凹凸の
凹部でのブリッジが無いものとなった。なお、この化粧
材には更に実施例1同様に透明保護層を形成し、透明保
護層付きの化粧材とした。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、支持体剥離後に、被
転写基材上の転写層の一部がバリやブリッジとなって被
転写基材から浮いている転写不良があっても、バリやブ
リッジとなっている転写層を被転写基材に密着させて解
消できる。 更に、転写シートとして、少なくとも転写層を貫通す
る小孔が多数穿設されているものを用いる事で、ブリッ
ジ部分の転写層と被転写基材間の空気を小孔から逃がし
て、ブリッジとなっている転写層を加熱軟化した時に容
易に垂下させて被転写基材に密着させる事ができる。
【0081】更に、被転写基材の基材面が凹凸表面の
場合には、転写圧として固体粒子衝突圧を用いることに
よって、大きな三次元的凹凸表面が、転写層で装飾され
た化粧材等の転写製品が容易にバリやブリッジ無しで得
られる曲面転写法を実現できる。もちろん、窓枠、サッ
シ等の二次元的凹凸も可能であり、平板状の板材以外に
も、瓦の様に全体として(包絡面形状が)波うち形状の
もの、或いは凸又は凹に湾曲した形状のものでも容易に
得られる。しかも、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部内
(底部や凸部と底部の連結部分である側面)も転写でき
る。また、大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸模様
(例えば、ヘアライン、梨地等)が有る場合でも、その
微細凹凸の凹部内にまで、転写にて装飾できる。また、
従来のゴムローラ押圧方式の様に、被転写基材の凹凸部
によるローラ等部品の損耗も無い。以上の結果、従来に
無く極めて意匠性に優れた化粧材等の転写製品が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写方法を概説する概念図。(A)は
剥離工程、(B)は転写層加熱工程。
【図2】羽根車を用いた噴出器の一形態を説明する概念
図(正面図)。
【図3】図2の羽根車部分の斜視図。
【図4】図2の羽根車内部を説明する概念図。
【図5】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図6】羽根車を用いた噴出器の別の形態を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図7】吹出ノズルによる噴出器の一形態を説明する概
念図。
【図8】噴出器の各種配置形態を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図9】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図10】噴出器の向きの一形態を示す流れ方向からみ
た側面図。
【図11】本発明の転写方法を実施し得る曲面転写装置
の一例の概念図で、(A)は基材搬送方向の側面から見
た図で、(B)は(A)の装置の噴出器部分を基材搬送
方向から見た概略装置図。
【図12】被転写基材の三次元表面凹凸の一例を示す説
明図であり、(A)は平面図、(B)は要部拡大斜視
図。
【符号の説明】
1 支持体 2 転写層 3 バリ 4 ブリッジ 10 基材搬送装置 20 シート供給装置 21 シート送出装置 22 シート支持装置 23 シート排出装置 30 衝突圧印加部 31 ホッパ 32 噴出器 33 チャンバ 34 ドレン管 35 分離装置 36 真空ポンプ 40 シート加熱装置 41 基材加熱装置 50 基材塗工装置 60 剥離ローラ 70 除去装置(兼冷却装置) 71 第2チャンバ 80 転写層加熱装置 90 吸引排気装置 91 吸引排気ノズル 92 真空ポンプ 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル 401 溝状凹部 402 平坦凸部 403 微細凹凸 B 被転写基材 D 化粧材(転写製品) F 流体 P 固体粒子 S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と転写層とからなる転写シートを
    用い、転写層を被転写基材に転写する転写方法におい
    て、転写シートを被転写基材に圧接する圧接工程、次い
    で、支持体を剥離する剥離工程の後に、被転写基材の被
    転写面を上に向けて、被転写基材上でバリやブリッジと
    なっている転写層を加熱し軟化させて垂下させ被転写基
    材に密着させる転写層加熱工程を経る、転写方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも転写層を貫通する小孔が多数
    穿設されている転写シートを用い、ブリッジ部分で転写
    層と被転写基材間の空気を該小孔から逃がして、ブリッ
    ジとなっている転写層を被転写基材に密着させる、請求
    項1記載の転写方法。
  3. 【請求項3】 被転写基材には被転写面が凹凸表面を有
    する被転写基材を用い、圧接工程の転写圧には、被転写
    基材の凹凸表面側に転写シートの転写層側を対向させ、
    該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突させ、その衝
    突圧を転写圧として利用する、請求項1又は2記載の転
    写方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005106156A1 (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Yoshino Gypsum Co., Ltd. ボード建材、ボード建材製造方法及びボード建材施工方法
JP2014105451A (ja) * 2012-11-26 2014-06-09 Brownie:Kk 積層材製造システム及び方法,積層材
US8926778B2 (en) 2012-07-02 2015-01-06 Samsung Display Co., Ltd. Manufacturing apparatus and method of organic light emitting diode display

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