JPH1158661A - 化粧材及びその製造方法 - Google Patents

化粧材及びその製造方法

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JPH1158661A
JPH1158661A JP9237883A JP23788397A JPH1158661A JP H1158661 A JPH1158661 A JP H1158661A JP 9237883 A JP9237883 A JP 9237883A JP 23788397 A JP23788397 A JP 23788397A JP H1158661 A JPH1158661 A JP H1158661A
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JP9237883A
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Masaru Okamoto
優 岡本
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天面部と溝状凹部とを有する化粧材の溝状凹
部について、その側壁面まで装飾された化粧材を製造す
る。 【解決手段】 化粧材は、その溝状凹部1が天面部2か
ら垂直乃至は略垂直に落ち込んだ側壁面11と、斜面を
含む底面12とから成り、少なくとも天面部から側壁面
にかけて装飾層を有する。化粧材の製造方法は、溝状凹
部と天面部とからなる凹凸表面を有する被転写基材の凹
凸表面側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転
写層側を対向させ、支持体側に多数の固体粒子Pを衝突
させ、その衝突圧で、被転写基材への転写シートの圧接
を行い、転写層が被転写基材に接着後、支持体を剥離す
ることで転写する際に、溝状凹部底面の斜面で反射した
固体粒子を側壁面に衝突させて側壁面にも衝突圧を加え
て転写する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具等に用いる化粧材であって、目地等となる溝
状凹部を含む凹凸表面を有する化粧材と、その製造方法
に関する。特に、溝状凹部の側壁面も装飾された化粧材
と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基材表面を印刷で装飾してタイル貼模様
や煉瓦積模様等と、目地等の溝状凹部を有する化粧材を
作るには、溝状凹部はタイルや煉瓦等となる天面部と区
別して装飾することで、真実味を帯びたリアルな意匠表
現が可能となる。ところで、基材にはもともと溝状凹部
が無い基材を使い、これに印刷によるパターンで溝状凹
部に見立てた柄と天面部の柄を形成して化粧材とする方
法もあるが、これでは現実の窪んだ溝状凹部では無く仮
想的な溝状凹部であり、絵柄による仮想的溝状凹部と天
面部とは、面一となる上に質感も基本的には同一で、こ
れでは意匠感に優れた化粧材は得られない。リアルな溝
状凹部を備え意匠感に優れた化粧材とするには、最初か
ら基材に溝状凹部が有る物を用いる事が必要である。目
地等の溝状凹部を有する化粧材は、印刷による装飾効果
の上に、更に該溝状凹部による凹凸感等によって、極め
てリアルな意匠性の高い装飾効果が得られる。溝状凹部
は装飾せずにそのまま残して目地等としても良いが、溝
状凹部内も装飾を施した目地等とすればより高意匠とな
る。
【0003】そこで、従来、目地等となる溝状凹部と天
面部とを含む表面凹凸を有する被転写基材に対して、そ
の天面部のみに装飾を施して化粧材とする場合ならば、
特公昭60−59876号公報、特開平5−2701
99号公報等に開示されるような、天面部上にのみ選択
的に転写層を転写する転写方法があった。即ち、被転写
基材の溝状凹部と、溝状凹部以外の部分である天面部と
の凹凸差を利用して、全面一様な装飾層を転写層として
有する転写シートを被転写基材上に載置し、JISゴム
硬度が70°以上の硬質ゴム製の熱ローラで押圧するこ
とによって、天面部のみに転写シートを接触させて、天
面部のみに転写する方法である。
【0004】また、溝状凹部以外の部分である天面部
は、タイル貼模様等の場合には平面が多いが、煉瓦積模
様等の場合には天面部にもかなりの凹凸がある。従っ
て、溝状凹部と天面部とを含む表面凹凸を有する有る化
粧材を、天面部も含めて高意匠とするには、この天面部
となる部分が凹凸表面を成す基材に対しても、該天面部
の凹凸表面を印刷で装飾出来なければならない。ところ
で、従来一般に、表面凹凸を有する被転写基材への転写
による曲面装飾技術としては、例えば特開平5−13
9097号公報に提案された転写技術がある。すなわ
ち、同号公報では、支持体として熱可塑性樹脂フィルム
を用い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順
次設けた構成の転写シートを、凹凸表面を有する被転写
基材上に設置し、支持体の裏面から転写ローラとしてJ
ISゴム硬度60°以下のゴム製の熱ローラで被転写基
材に押圧して、絵柄を転写するものである。また、表面
凹凸が小さければ、グラビアオフセット印刷による方
法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の転写方法を採用した化粧材の製造方法では、加圧する
ゴムローラが硬度が高い事を利用するものであり、天面
部のみが転写で装飾され、溝状凹部内までは装飾できな
い。しかも、天面部のみの装飾においても、天面部に例
えば煉瓦模様等で大きな表面凹凸がある場合には、その
表面凹凸の凹部内が装飾されないことがあった。また、
化粧材の製造方法に上記の転写方法を採用した場合で
は、軟質のゴムローラを利用する為に、十分に転写圧を
加えれば天面部の凹凸と共に、溝状凹部の内部にまでも
装飾層を転写できるが、天面部の凹凸は微細凹凸に限定
され、また溝状凹部も浅い溝状凹部に限定された。特に
のグラビアオフセット印刷を採用する場合は尚更であ
る。この様に、上記及びの転写方法は、いずれも基
本的に回転する熱ローラのゴムによる弾性変形を利用し
て、天面部や溝状凹部からなる表面凹凸に追従させる為
に、浅い1方向に走行する凹凸ならば良いとしても、大
きな凹凸、特に2方向に走る溝状凹部からなる三次元的
凹凸には適用できない。その上、被転写基材の凹凸の隅
角部によって軟質のゴムローラが損耗し易いといった問
題があった。また、上記の印刷方法も、ブランケット
というゴムの弾性変形を利用する点では、及びと同
様な欠点があり、しかも表面凹凸は浅いものしか対応で
きない。しかも、これら、及びの印刷装飾方法
は、いずれも被転写面の上方から印圧を加える為に、深
い溝状凹部の垂直な側壁面に対しては十分な印圧を加え
らず、側壁面では柄抜け、転写不良等を起こし易く装飾
が困難であった。以上の様に結局のところ、天面部の他
に更に溝状凹部の側壁面までも完全に装飾することがで
きる満足できる印刷方法が従来は無かった。従って、天
面部の他に溝状凹部の特に側壁面をも印刷装飾した化粧
材は得られなかった。なお、水圧転写法もあるが、吸水
性の基材や大きな基材は不向きであった。そこで、本発
明の課題は、天面部の他に溝状凹部、特に側壁面をも印
刷装飾した化粧材と、その溝状凹部が深くても確実に印
刷装飾できる化粧材の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明の化粧材は、天面部と溝状凹部とを有する化粧材
であって、該溝状凹部は天面部から垂直乃至は略垂直に
落ち込んだ側壁面、及び斜面を含む底面とから成り、少
なくとも該天面部から該側壁面にかけて装飾層を有する
構成とした。
【0007】そして、本発明の化粧材の製造方法では、
上記の様な溝状凹部まで装飾された化粧材の製造方法と
して、少なくとも溝状凹部と天面部とを含む凹凸表面を
有する被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とか
らなる転写シートの転写層側を対向させ、該転写シート
の支持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用し
て、被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行
い、転写層が被転写基材に接着した後、転写シートの支
持体を剥離除去することで、少なくとも前記天面部から
側壁面にかけて、転写層を被転写基材に転写する化粧材
の製造方法であって、前記溝状凹部が天面部から垂直乃
至は略垂直に落ち込んだ側壁面と底面とから成り、且つ
該底面が斜面を有する被転写基材を使用する製造方法と
した。この結果、本発明の化粧材及びその製造方法で
は、化粧材の溝状凹部がその底面に斜面を有するので、
固体粒子衝突圧で転写圧を加える際に、被転写面の上方
から被転写基材に衝突させる固体粒子でも、溝状凹部底
面の斜面で反射して溝状凹部側壁面に衝突させることが
でき、側壁面にも確実に転写圧を加えて転写装飾でき
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧材及びその製
造方法の実施の形態を説明する。
【0009】図1は天面部と溝状凹部とを有する本発明
の化粧材と、その製造方法におて転写圧を加える為の固
体粒子の衝突の様子を説明する概念図である。図1
(A)は、天面部と溝状凹部とを有する従来の化粧材を
説明する斜視図であり、図1(B)はその断面図であ
り、これに対して図1(C)及び(D)が、本発明の化
粧材Dの溝状凹部1の形状的特徴を説明する断面図であ
る。従来は、図1(A)の如く、溝状凹部1と天面部2
とを有する化粧材であっても、その溝状凹部の底面は斜
面を持たず水平面であった。しかし、本発明の化粧材D
では、図1(C)及び(D)の如く、溝状凹部1は天面
部2から垂直乃至は略垂直に落ち込んだ側壁面11と、
斜面を含む底面12とから成る。この結果、転写圧に固
体粒子衝突圧を利用する本発明の化粧材の製造方法にお
いて、固体粒子を、天面部の被転写面に対して垂直方向
から、つまり図面で上方から、転写シートに衝突させた
場合の固体粒子Pの振る舞いは次の様になる。先ず、従
来の溝状凹部の形状では、図1(B)の如く、上方から
来た固体粒子は溝状凹部の斜面で無い底面に垂直に衝突
し、そこで跳ね返って元の方向に戻るだけである。しか
し、本発明では、図1(C)及び(D)の如く、上方か
ら来た固体粒子であっても溝状凹部の斜面を含む底面に
対しては斜めに衝突することになるので、そこで跳ね返
って溝状凹部の側壁面に衝突して、側壁面に対して転写
圧を加えることができる。この結果、本発明では、底面
で反射する固体粒子を利用して側壁面に対しても転写圧
を加えられるので、基材平面に対して垂直又は略垂直の
側壁面へも転写抜け無しに安定した装飾が出来る事にな
る。
【0010】溝状凹部の底面が含む斜面の形状及び角度
は、図1(C)及び(D)の例に限定されるものではな
い。底面の斜面は、該斜面に衝突した固体粒子のその少
なくとも一部が側壁面に衝突する様に反射する形状及び
角度であれば良い。例えば、図2にその他の例を示す。
図2(A)及び(B)等は、底面が一つの斜面からなる
片斜面の形状である。これに対して、図2(C)と前述
の図1(C)、及び図2(D)と前述の図1(D)は、
底面が溝の中央部で出会う二つの斜面からなる両斜面の
形状である。図2(C)は底面が溝の中央部で出会って
凸部を形成する二つの斜面からなる両斜面の形状であ
り、図2(D)は底面が溝の中央部で出会って凹部を形
成する二つの斜面からなる両斜面の形状である。底面の
斜面形状は、図2(A)や図2(B)の如く片斜面とす
ると、底面で反射した固体粒子は、該斜面が面する側の
一方の側壁面に衝突する。したがって、溝状凹部の両側
の側壁面に対して固体粒子を衝突させるには、図2
(C)や図2(D)の様に、それぞれの側壁面に向いて
いる斜面を含む両斜面等の方がより好ましい。もっと
も、図2(E)及び(F)に示す如く、片斜面の底面で
あっても、固体粒子を衝突させる方向を元々基材平面に
対して斜めにして、固体粒子を直接側壁面に衝突させて
も良い。但し、固体粒子を元々斜めに衝突させるには、
被転写基材を傾けたり、或いは固体粒子を被転写基材及
び転写シートに向かって斜めに噴出させることが必要で
あり、この為の、固体粒子を衝突させる設備的な対応が
必要となる。また、深い溝状凹部の奥の方では難しい。
【0011】底面が含む斜面の角度は、基材平面に対し
て、つまり被転写基材の天面部2が成す(包絡面の)平
面に対して、例えば5〜30度程度とすると良い。角度
が小さすぎると、底面に衝突して反射した固体粒子は、
側壁面に衝突せずに溝状凹部の外部に出てしまう。ま
た、角度を大きくし過ぎると、その角度を出す為に必要
な溝状凹部の深さが深くなりすぎ、溝状凹部本来の意匠
感に影響を与える。なお、底面が含む斜面は、図1及び
図2の様に断面が直線、つまり平面の斜面以外に、断面
が曲線、つまり曲面の斜面でも良い。
【0012】溝状凹部内部の装飾は、天面部と同一の柄
で天面部から連続した柄による装飾でも良いが、溝状凹
部に対応した溝柄による装飾をすれば、立体的な溝状凹
部を活かしたより意匠感に優れた化粧材とすることがで
きる。なお、天面部は全面が装飾されてなくても良い。
図3は、溝柄による溝状凹部内部の各種装飾例を示す説
明図である。本発明の化粧材の製造方法では、図3
(A)の如く、溝状凹部1と天面部2とを有する被転写
基材Bを、支持体3と転写移行する転写層4とからなる
転写シートSによって、転写圧に固体粒子衝突圧を利用
して装飾する。転写シートの転写層4は少なくとも装飾
層5を有し、しかも同図の転写シートSの場合は、装飾
層5は前記溝状凹部1に対応する部分に溝柄5aが形成
された転写シートを用いる。装飾層の溝柄5a以外の部
分は、天面部に対応する天面柄5bが形成されている。
溝柄5aは専ら溝状凹部内を装飾する為の柄であり、溝
状凹部のパターンにほぼ一致したパターンを有する。ま
た、天面柄5bは、専ら天面部を装飾する柄である。な
お、転写層としては、必要に応じて接着剤層、剥離層等
を更に全面形成した構成でも良い。そして、転写は、転
写シートの溝柄と被転写基材の溝状凹部とが同調する様
に、被転写基材と転写シートとの位置関係を人為的又は
機械的に調整して位置合わせ(見当合わせ)して所望の
位置関係とした上で転写すれば良い。その結果、図3
(B)の如く、天面部2には装飾層5の天面柄5bが転
写され、且つ溝状凹部1内には装飾層の溝柄5aが転写
された化粧材Dが得られる。
【0013】ところで、被転写基材に転写された溝柄
は、図3(B)の如く、溝状凹部内に完全に納まり、天
面部には、はみ出さない方が美観上好ましい。図3
(E)は、転写が全体的に図面左方向にずれすぎて、溝
柄5aの一部が天面部にはみ出して転写された例であ
る。また、図3(E)は溝状凹部底面の図面右側の側壁
面は天面柄5bが転写され、溝状凹部底面の全面が溝柄
で装飾されなかった例でもある。但し、図3(E)の様
に位置ずれした場合でも、溝状凹部の現実の立体感とそ
れと位置同調した溝柄及び天面柄とにより、それなりの
意匠向上効果は得られる。なお、印刷誤差の為に溝状凹
部に溝柄が正確に位置合わせされない時でも、天面部に
溝柄がはみ出さずに転写できる様にする為には、転写後
の溝柄は、溝状凹部の底面及び両側壁面を完全に埋め尽
くす分の幅とせずに、ある程度狭い幅としておくと良
い。こうすれば、転写が多少ずれても、図3(C)や図
3(D)の様に、溝柄5aが天面部上にはみ出さずにす
ることができ、溝柄5aと天面柄5bとの接続部は溝状
凹部の側壁面内とすることができる。その結果、美観に
優れた装飾が得られる。溝状凹部の側壁面や側壁面と底
面との接続部等に、溝柄5aと天面柄5bとの接続部が
かかっても、目立ちにくいからである。また、溝状凹部
の側壁面は実物のタイル目地等の場合でも、少なくとも
その一部は実際に天面柄が連続した面となっているから
違和感は少ない。また、図3(C)や図3(D)の様
に、常に溝状凹部の底面全面に溝柄が転写されていれば
なおさらである。
【0014】以下、さらに本発明の化粧材及びその製造
方法を詳述する。
【0015】〔被転写基材〕化粧材の基材となる被転写
基材Bは、図2の如く、その被転写面に少なくとも溝状
凹部1と天面部2とを含む凹凸表面を有する基材であ
る。溝状凹部1以外の被転写面が天面部2である。溝状
凹部は、目地やサネ等と単位素材を組み合わせた時の継
ぎ目の部分となる溝状に凹んだ部分である。但し最終的
には装飾で化粧材とする為に、被転写基材に於いては実
際の継ぎ目である必要はない。継ぎ目は模倣しても良い
からである。従って、被転写基材の溝状凹部としては、
実際の継ぎ目による溝状凹部でも良いし、継ぎ目を模倣
する為の溝状凹部でも良い。
【0016】化粧材となった時の溝状凹部は、通常は、
例えばタイルや煉瓦等の複数の板状物乃至は塊状物等の
立体物からなる単位素材を、一次元方向(縦方向、横方
向等)、或いは二次元方向(縦方向及び横方向等)に配
列した構造に於ける継ぎ目部分の模倣箇所又はその実物
である。配列する単位素材は、全て合同な同一形状でも
良いし、或いは互いに異なった形状、寸法の物でも良
い。単位素材間の繋ぎ目が溝状凹部となる。もちろん、
溝状凹部はこの様な継ぎ目ではなく、デザイン上の観点
から設けた単なる溝状の凹みでも良い。図4の平面図
で、単位素材6の配列の各種例によって得られる溝状凹
部1の各種のパターンを示す。図4(A)の一次元配列
は、長方形の単位素材6を一次元方向(図では左右方
向)に並べた配列である。溝状凹部1は、通常直線状と
なる。一次元配列は例えばサイディングボード等であ
る。図4(B)の合同パターン配列は、単一形状の単位
素材6を、複数個、二次元方向(図では左右方向及び上
下方向)に並べた配列である。合同パターン配列は、例
えば煉瓦積みの配列である。図4(C)の非合同配列
は、形状や寸法が異なる少なくとも2種類の単位素材に
よる配列である。図4(C)は互いに形状が異なる単位
素材6a及6bの配列例である。非合同配列は、例えば
タイル貼の配列である。これらの単位素材6、6a及び
6bの上面が天面部となる。
【0017】図5は、被転写基材の構造例を示す斜視図
である。同図の被転写基材Bは、全体が一つの物からな
る一体構造の例である。同図で○印で示す部分が疑似的
に単位素材6に相当する部分であり、疑似的な継ぎ目が
溝状凹部1となる。疑似的な単位素材6の上面が天面部
2となる。もちろん、図示はしないが、被転写基材の構
造は、煉瓦やタイル等の単位素材の一部を、セメント等
の基材本体の中に埋め込んだ埋込構造等でも良い。な
お、被転写基材を単位素材や一体構造等でその面を凹凸
にするには、プレス加工、エンボス加工、押し出し加
工、切削加工、成形加工等の加工法を用いることができ
る。
【0018】被転写基材の天面部2の表面は平滑面でも
良いし、凹凸面でも良い。図6に天面部2が凹凸表面を
有する一例を斜視図で示す。天面部の表面凹凸は、例え
ば、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及
び凸部の幅が0.1mm〜5mm程度のものである。な
お、天面部2の大きさは、例えば一辺が15mm以上で
ある。また、溝状凹部の大きさは、例えば深さが1〜1
0mm、幅が1〜10mm程度である。溝状凹部を有
し、且つ天面部が凹凸表面を有する被転写基材の一例と
しては、前記溝状凹部と天面部とから大柄な凹凸が構成
され、天面部の表面凹凸が、段差及び幅共に大柄な凹凸
よりも小さい微細な凹凸を構成した、大柄な凹凸と微細
な凹凸との組み合わせの凹凸を有する被転写基材であ
る。この様な被転写基材による化粧材の凹凸模様の具体
例としては、例えばタイル、煉瓦、石等を単位素材とし
て、その単位素材の天面部上に微細な凹凸としてスタッ
コ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、花崗岩
の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材表面の凹凸等
の石目調凹凸模様、或いは木質板材を単位素材として、
その天面上の微細凹凸として導管溝、ヘアライン、浮き
出した年輪等を有する木目調の凹凸模様が挙げられる。
【0019】なお、被転写基材は全体として、その被転
写面の包絡面形状が平面である平板状の板材だけでな
く、被転写面の包絡面形状が成す断面が、円弧状に凸又
は凹に送り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有
する基材でも良い。なぜならば、本発明の化粧材の製造
方法では、固体粒子衝突圧を転写圧に利用する為に、従
来の様に適用できる被転写面の包絡面形状が制約されな
いからである。すなわち、従来のゴム製の転写ローラ
(例えば前述の特公昭60−59876号公報、特開平
5−270199号公報、特開平5−139097号公
報等)では、その回転軸による方向性を本質的に有して
いるために、適用できる包絡面形状は、平板状の平面に
事実上限定され、それ以外は基材形状毎にその都度合わ
せた特殊形状の転写ローラとでもしない限り不可能であ
る。また、被転写基材の表面凹凸は、固体粒子衝突圧に
よる転写では、多数の固体粒子群は流体的に振る舞うこ
とができるので、転写シートや被転写基材の送り方向の
み又は幅方向のみ等と1方向にのみ凹凸がある二次元的
凹凸以外に、送り方向及び幅方向の両方等と2方向に凹
凸がある三次元的凹凸でも良い。
【0020】被転写基材の素材は、煉瓦、石、石膏、セ
メント(ALC、GRC、パルプセメント、スラグセメ
ント等)、セラミックス(陶磁器、ガラス等)、金属
(鉄、アルミニウム、銅等)、ケイ酸カルシウム、木材
(単板、合板、MDF等繊維板、パーチクルボード
等)、樹脂(ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、フェノ
ール樹脂、ABS樹脂等)等と任意である。これらを単
位素材や基材本体として用いる。なお、後述の様に固体
粒子加速流体として液体を用い、該液体と共に固体粒子
を噴出させる場合は、該液体に対して不溶性且つ非吸収
性の物が好ましい。例えば金属、樹脂、陶磁器やガラス
等のセラミックス等である。また、被転写基材表面に
は、予め、接着剤との接着を補助する為の易接着プライ
マー、或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じるシ
ーラー剤を塗工しておいても良い。易接着プライマー、
或いはシーラー剤としては、イソシアネート、2液硬化
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂等の樹脂を塗工し形成する。また、被転写基材の
素材自体の色彩や光沢等の外観が所望のものと異なる場
合は、所望の外観を与える着色塗料を、被転写基材の天
面部或いは天面部を含む全面に、塗工しておいても良
い。被転写基材表面に易接着プライマー或いはシーラー
剤を塗工する場合は、通常、この上に着色塗料を塗工す
る。
【0021】〔転写シート〕図3の様に、本発明の化粧
材の製造方法で用いる転写シートSは、支持体3と転写
移行する転写層4とからなる。転写層4は少なくとも装
飾層5からなる。なお装飾層5は、図3で示したよう
に、被転写基材Bの溝状凹部1に対応する部分には溝柄
5aを有し、溝柄5a以外の部分は天面部2用の天面柄
5bを有する層としても良い。また、転写シートの転写
層としては、装飾層の他に更に剥離層や接着剤層を、転
写層の一部となる層として、転写シートに形成しておい
ても良い。なお液体を固体粒子加速流体に用い、液体と
共に固体粒子を噴出する場合は、支持体や転写層には、
該液体に対して不溶性の物を用いる。例えば、液体が水
であれば、水溶性樹脂等を除けば、一般の転写シートと
して使用している材料から下記に従い適宜選択使用すれ
ば良い。
【0022】(支持体)上記支持体には、被転写基材の
表面凹凸が、溝状凹部のみからなり、しかもそれによる
凹凸が二次元的凹凸表面であれば、延伸性が無い紙(但
し、固体粒子加速流体が液体の場合は、該液体に対して
不溶性のものを選ぶ)等も可能だが、本発明の化粧材の
製造方法が真価を発揮する三次元的凹凸表面に適用する
為には、少なくとも転写時には延伸性の有る支持体を用
いる。延伸性により固体粒子の衝突圧印加時に、被転写
基材表面の凹部内部まで転写シートを追従させて密着さ
せて転写することができる。転写シート全体の延伸性
は、主に支持体の延伸性に支配される。従って、支持体
には、従来公知の熱可塑性樹脂フィルムの他に、常温で
も延伸するゴム膜も使用できる。熱可塑性樹脂フィルム
の場合、装飾層等の転写層形成時には延伸性が殆どな
く、転写時には、加熱により充分な延伸性を発現し、且
つ冷却後は変形した形状を保持し続け、弾性による形状
の復元を生じない転写シートとして、従来公知の通常の
転写シート同様に容易に、本発明で用い得る転写シート
は用意出来る。支持体の具体例としては、延伸性の点
で、従来多用されている2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、
衝突圧条件等の設定によって、必要充分な延伸性を発現
させることができるので曲面転写による化粧材の製造方
法は可能である。ただ、より低温・低圧で延伸性が発現
し易い好ましい支持体としては、例えば、エチレン・テ
レフタレート・イソフタレート共重合体ポリエステル、
ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル
樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペン
テン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリア
ミド樹脂、或いは天然ゴム、合成ゴム、オレフィン系熱
可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー
等を単体又は混合物で、単層又は異種の複層とした樹脂
フィルムを用いることがてきる。これら樹脂フィルムは
低延伸又は無延伸の物が好ましい。例えば、具体的には
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルムは、延
伸特性に優れ且つ廃棄燃焼時に塩酸ガスを発生せず環境
対策的にも好ましい支持体の一つである。支持体の厚さ
は、通常20〜200μmである。
【0023】なお、固体粒子加速流体に液体を用いる場
合には、転写時に接する液体に対して、膨潤はするが不
溶である樹脂フィルムを使用する事も可能である。この
様な膨潤性且つ不溶性樹脂フィルムの例としては、液体
として水又は水溶液を用いる場合には、特開昭54−1
50208号公報、特公昭61−3276号公報等に開
示される様な、ポリビニルアルコール系フィルムであっ
て、平均重合度300〜3000、鹸化度65〜97m
ol%、厚さ20〜200μmのフィルムが代表的なも
のである。
【0024】また、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けて
も良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。また、支持体には、転
写層側の面に凹凸模様を設ければ、転写後の転写層表面
に砂目、梨地、木目等の凹凸模様を賦形できる。凹凸模
様は、特に被転写基材の天面部に元々凹凸が無く平面的
な場合に効果的である。凹凸模様は、エンボス加工、サ
ンドブラスト加工、賦形層(離型層)による盛り上げ印
刷加工等の公知の方法で形成する。
【0025】(転写層:装飾層等)転写層は少なくと
も、装飾層から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等
も転写層の構成要素とすることもある。接着剤層を有す
る構成では、転写の際に転写シート又は被転写基材の片
方又は両方に接着剤を施すことを省略できる。なお、装
飾層は全面均一な柄の層でも良いが、前述した様に、溝
状凹部内にまで装飾される本発明の効果を活かすには、
装飾層は溝状凹部に対応する部分に溝柄を有し溝柄以外
の部分を天面部用の天面柄とする事がより好ましい。溝
柄は、例えば目地等となる所望の色彩、光沢及び模様等
を表現した溝状凹部に対応したパターンで形成された柄
である。天面柄は、例えば石目模様等となる所望の色
彩、光沢及び模様等を表現した、天面部用のパターンで
形成された柄である。天面柄は天面部の必要な部分を被
覆すれば良く必ずしも天面部の全面を覆う必要は無い。
装飾層は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフ
セット印刷等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷し
た絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公
知の蒸着法等を用いて部分的に形成、或いは溝柄とは別
途全面に形成した金属薄膜層等も利用することができ、
用途に合わせたものを用いる。絵柄としては、木目模
様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、
皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用いる。な
お、絵柄層用インキは、バインダー等からなるビヒク
ル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加
剤からなる。バインダーには、アクリル樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリビニ
ルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹
脂、フッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用い
る。着色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラッ
ク、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラッ
ク、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニン
ブルー等の有機顔料を用いる。また、剥離層を、支持体
乃至は離型層と装飾層との間の剥離性を調整する為、ま
た、転写後の装飾層の表面保護の為等に、これら層間に
設けるのは、従来公知の転写シートと同様である。剥離
層には、例えば、上記絵柄層用インキのバインダーに用
いる樹脂等が用いられる。なお、この剥離層は転写時に
装飾層と共に被転写基材側に転写され、装飾層の表面を
被覆する。また、転写時に転写シートと被転写基材との
間に残留する空気を排除し易くする手段として、必要に
応じて転写シート全層を貫通する小孔を多数転写シート
に穿設しても良い。小孔の直径は0.1〜0.5mm程
度、小孔の個数密度は、1〜100個/cm2 程度であ
る。小孔は、その存在が目立ち難く、且つ転写時に空気
が溜まりやすい溝柄部分に集中して穿設することが好ま
しい。小孔の穿設方法は、特公平4−24224号公報
等に記載の公知の方法に従えば良い。
【0026】(見当合わせマーク)転写シート装飾層の
溝柄を被転写基材の溝状凹部に位置合わせして、溝柄を
含む転写層の全絵柄を被転写基材に転写して、溝状凹部
内に溝柄を転写すれば、立体的な溝状凹部とそれに位置
同調した溝柄とで意匠感に優れた化粧材となる。この為
に、転写シートに見当合わせマークを設けておけば、被
転写基材の溝状凹部と転写シートの溝柄との機械的又は
人為的に行う位置合わせを、見当合わせマークを利用し
て容易に行うことができる。見当合わせマークは、通
常、装飾層の形成と同時に、装飾層形成用のインキ及び
版を用いて形成する。見当合わせマークと装飾層との位
置関係を高精度に設定できるからである。なお、見当合
わせマークは支持体に穿孔した孔でも良い。見当合わせ
マークの形状は、例えば十字トンボ形状、直角四辺形等
である。前者は目視認識用、後者は機械認識用等に良
い。見当合わせマークを設ける位置は、通常は、装飾層
のパターンの外部の周辺部だが、その目視認識や機械認
識による利用に支障が無ければ、装飾層のパターン内で
も良い。ポイント的な見当合わせマークの場合は、縦横
及び回転に対する位置合わせが出来る様に、最低限2つ
設けると良い。
【0027】〔接着剤〕転写層を被転写基材に接着させ
る為の接着剤は、転写シートの転写層を構成する接着剤
層としてや、被転写基材上の接着剤層として、事前にオ
フライン塗工で、又は転写の直前にインライン塗工やオ
フライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写
シート転写層の接着剤層を省略できる。用いる接着剤
は、用途、要求物性等により適宜選択すれば良いが、固
体粒子加速流体に液体を用いる場合には、該液体に対し
て不溶性の物を選択する。用いる接着剤としては、例え
ば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホッ
トメルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤、2液
硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性接着剤、
或いは粘着剤による感圧型接着剤等の各種接着剤を使用
できる。なお、水を固体粒子加速流体に用いる場合は、
湿気硬化型の接着剤や水性接着剤は避ける。上記感熱型
接着剤としては、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱
硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのいずれの接着剤も使用
できる。但し、短時間で接着が完了するという点から
は、熱融着型(感熱溶融型接着剤)が好ましい。また、
接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温で液体又は固
体のいずれでも良く、適宜使い分ける。また、粘着性を
呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤では、接着剤層の単
層のみで転写層とすることができる。接着剤層中に顔料
等の着色剤を添加すれば、全面ベタのインク層からなる
装飾層ともいえる。
【0028】感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン
樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により
得られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用いる
ことができる。熱硬化型接着剤としては、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ポリ
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることがてきる。
【0029】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱
溶融型接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着
剤は、自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行す
るので、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気
硬化型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶
融型接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の
水分で架橋・硬化反応が徐徐に進行する為に、最終的に
クリープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな
接着力が得られる。但し、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させる為、湿気を含む空気中に転写後
の化粧材を放置して養生する。養生の際の好ましい雰囲
気条件は、大体、相対湿度50%RH以上、気温10℃
以上である。温度・相対湿度とも高い方が、より短時間
で硬化が完了する。標準的な硬化完了時間は、通常の場
合、20℃、60%RHの雰囲気中で10時間程度であ
る。
【0030】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応
して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起
こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマ
ーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウ
レタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を
有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等である。
適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用すること
で、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中にウレタ
ン結合ある場合は、このウレタン結合とも末端イソシア
ネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、こ
のアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0031】ポリイソシアネートプレポリマーの具体例
としては、例えば、ポリオールに過剰のポリイソシアネ
ートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、
且つ分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格
の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−
14287号公報に開示されている様な、ポリイソシア
ネートに、ポリエステルポリオールと、ポリブタジエン
骨格を有するポリオールとを任意の順序で加え付加反応
させて得られた、ポリエステル骨格とポリブタジエン骨
格とがウレタン結合により結合された構造を有し且つ分
子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレ
ポリマー、或いは、特開平2−305882号公報に開
示されている様な、ポリカーボネート系ポリオールとポ
リイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以
上のイシソアネート基を有するポリカーボネート系ウレ
タンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上の
イシソアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレ
ポリマー等が挙げられる。
【0032】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤として
は、上記各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、
各種物性を調整する為に、上記必須反応成分に更に、必
要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填
剤等の各種副材料添加することもできる。これらの副材
料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチ
ックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エ
チルアクリレート(EAA)等の熱可塑性樹脂、テルペ
ン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の
粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色
顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤
等である。
【0033】電離放射線硬化型接着剤として用いる得る
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な
組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不
飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポ
リマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマ
ーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が
好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマ
ーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0034】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート等が使用できる。分子量としては、通常250
〜100,000程度のものが用いられる。ラジカル重
合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モ
ノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマー
として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレ
ポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、
脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等の
ビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオール
としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレー
ト、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の
ポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオー
ルとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリ
ルアルコールを付加したもの等がある。
【0035】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。また、カチオン重合性官能基を有す
る樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。なお、電離放射線としては、接着剤中の分子
を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子
が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子
線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用
いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラ
ックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用され
る。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波
長域が主として用いられる。電子線源としては、コック
クロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器
型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜
1000keV、好ましくは、100〜300keVの
エネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0036】上記電離放射線硬化性樹脂に、更に必要に
応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性
樹脂を添加することもできる。なお、希釈溶剤は添加せ
ずに用いれば、ホットメルト接着剤となる。
【0037】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、照射は、衝突圧印加中、印加後、或いは印加中
及び印加後に行う。
【0038】また、接着剤に用いる上記各種樹脂に更
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に
添加すると良い。)等である。
【0039】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せば良い。また、特に凹凸表面の被転写
基材に対しては、軟質ゴムロールやスポンジロール等の
ロールを使用したロールコート、カーテンフローコー
ト、スプレーコート、熔融塗工等の塗工法が良い。希釈
溶剤を添加せずに用いれば、溶剤乾燥は不要である。例
えば、感熱溶融型接着剤は、それぞれ無溶剤のホットメ
ルト接着剤として使用できる。また、電離放射線硬化型
接着剤なども無溶剤で施すことができる。ホットメルト
型接着剤として使用する場合は無溶剤なので、転写直前
の塗工でも溶剤乾燥が不要で、高速生産できる。なお、
接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基材の種類及
び表面状態で異なるが、通常10〜200g/m2 (固
形分)程度である。
【0040】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0041】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱
型接着剤を用い、接着剤を活性化して熱融着させる為に
加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、
或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。
接着剤の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行
う。接着剤が施された材料(転写シートや被転写基材)
を加熱しても良く、接着剤が施されていない側の材料を
加熱しても良く、或いはこれら両方の材料を加熱しても
良い。また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子
や、固体粒子加速流体を加熱流体として用いても良い。
なお、これらの接着剤に対する加熱のタイミングや方法
は、転写シートを加熱軟化する場合にも同様な事が言え
る。一方、転写シートが被転写基材の表面形状に追従
し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風等の冷
却手段で接着剤の冷却を促進しても良い。冷風は、転写
シート側や被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手
段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いることもでき
る。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹部内部にま
で追従成形された転写シートが衝突圧開放後に復元力が
ある場合に戻るのも防止する。
【0042】〔固体粒子〕固体粒子Pとしては、ガラス
ビーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、ア
ルミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、
コランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、
亜鉛等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂
ビーズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレ
タン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビー
ズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等、或
いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複
合粒子等を使用することができる。なお、液体の水を固
体粒子加速流体に使う場合は、固体粒子には、水で錆や
腐食しないステンレスビーズや、ガラスビーズ、セラミ
ックビーズ、樹脂ビーズ等の非金属が好ましい。形状は
球形状が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗
片状、無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体
粒子の粒径としては、通常10〜1000μm程度であ
る。
【0043】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいても良い。また、固体粒子は、接着後
の冷却促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の
固体粒子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。ま
た、固体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却
固体粒子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた
後、冷却固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。
また、他の加熱方法で転写シートや被転写基材、接着剤
等の加熱を要するものを充分に加熱しておき、これに冷
却固体粒子を用いて、転写シートの成形と接着及び冷却
を殆ど同時に行うこともできる。固体粒子を加熱又は冷
却するには、固体粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンク
に貯蔵する場合は、貯蔵中に加熱又は冷却しておけば良
い。また、固体粒子が輸送管を通過中に加熱又は冷却し
ても良い。
【0044】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する噴出器
から固体粒子を転写シートに向かって噴出させて、転写
シートに衝突圧を印加する。噴出器には、代表的には羽
根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固
体粒子を加速し、吹出ノズルは固体粒子加速流体として
高速の流体流で固体粒子を搬送し加速する。羽根車や吹
出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラス
ト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用され
ているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラ
スト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装
置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装
置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧
式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいた固体粒子
を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。また、噴出器には、吹出ノ
ズルや羽根車以外にも、重力による自由落下を利用して
固体粒子を加速する方法、磁性体粒子を磁場によって加
速する方法等を採用することも可能である。なお、羽根
車、重力、磁場を用いた噴出器の場合は、真空中で固体
粒子を転写シートに向かって噴出させる事も可能であ
る。
【0045】〔噴出器:羽根車〕図7〜図10に、噴出
器の粒子加速器として用い得る羽根車の一例の概念図を
示す。これらは、ブラスチング分野にて使用されている
遠心式ブラスト装置に該当する。図面では、羽根車81
2は、複数の羽根813がその両側を2枚の側面板81
4で固定され、且つ回転中心部は羽根813が無い中空
部815となっている。更に、この中空部815内に方
向制御器816を内在する。方向制御器816は、外周
の一部が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒
状で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車
とは独立して回動自在となっている。羽根車使用時は、
方向制御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して
おく。更に、この方向制御器の内部に、内部中空で羽根
車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車
が散布器818として内在する(図9参照)。散布器8
18は外側の羽根車812と共に回転する。そして、前
記側面板814の回転中心には回転軸819が固定さ
れ、回転軸819は、軸受820で回転自在に軸支され
電動機等の回転動力源(図示略)によって駆動回転さ
れ、羽根車812が回転する。また回転軸819は、羽
根813を間に有する2枚の側面板814間には貫通し
ておらず、軸無しの空間を形成している。そして、固体
粒子Pをホッパ等から散布器818の内部に供給する。
すると、固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散り、
方向制御器816の開口部817によって許された方向
にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根813と羽
根813との間に供給される。そして、固体粒子は羽根
813と衝突し、羽根車812の回転力で加速されて、
羽根車から噴出するというものである。
【0046】なお、固体粒子の噴出方向は、図7〜図8
では略鉛直下方であるが、図11(B)の様に水平方
向、或いは斜下方(図示略)等としても良い。図10
(A)及び図10(B)に方向制御器816の開口部8
17の向きの設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴
出方向制御の概念図を示す(図10(A)、(B)では
方向制御器はそれぞれ図示の位置で固定されている)。
なお、方向制御器816は、その開口部の円周方向、幅
方向の大きさを調整することで、固体粒子の噴出量を調
整することもできる。なお、図8に於いては、回転軸8
19は側面板814の外側のみで中空部815にまで貫
通していない構成となっているが、この他、中空部の直
径より細い回転軸を該中空部にまで貫通させたり、外周
に固体粒子通り抜け用の開口部を設けた中空筒状の回転
軸の内部自身を中空部とする構成などでも良い(図示
略)。羽根813の形は、図7〜図10の様な長方形の
平板(直方体)が代表的であるが、この他、湾曲曲面
板、スクリュープロペラ等のプロペラ形等を用いる事も
可能であり、用途、目的に応じて選択する。又、羽根の
数は2枚〜10枚の範囲から通常は選択する。羽根車の
形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の質量や供給速度
と供給方向、方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み
合わせにより、加速された固体粒子の噴出(吹出)方
向、噴出速度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0047】また、図11は、羽根車の別の一例を示す
概念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状
の羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固
定された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上
方(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板81
4aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制
もする。固体粒子の噴出方向は鉛直下方(図示略)、水
平方向(図11)、或いは斜下方(図示略)等が可能で
ある。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。
【0048】また、上記した羽根車812、812a等
の羽根車には、更に必要に応じ、固体粒子の噴出取出部
分のみ開口させ、それ以外の羽根車周囲を被覆する噴出
ガイド(不図示)を備える事で、固体粒子の噴出方向を
揃えたりする固体粒子噴出方向制御を行うこともでき
る。噴出ガイドの開口部の形状は、例えば、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等である。噴
出ガイドは、単一開口部を有するものでも良いし、或い
は内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたものでも良
い。
【0049】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子総重量)
は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0050】〔噴出器:吹出ノズル〕次に、図12は吹
出ノズルを用いた噴出器の一例を示す概念図である。同
図の噴出器840は固体粒子加速流体として空気等の気
体を用い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合し
て噴出する形態の噴出器の一例である。噴出器840
は、固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘
導室内に流体を噴出する内部ノズル842と、ノズル開
口部843から固体粒子及び流体を噴出する吹出ノズル
部844からなる。圧縮機等からの加圧状態の流体F
を、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴
出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用
で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き
混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル8
44のノズル開口部843から流体流と共に噴出するも
のである。なお、固体粒子加速流体に液体を用いる吹出
ノズル等もある。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜10
0kg/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では
通常1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒
程度である。
【0051】流体Fは、固体粒子加速流体として、固体
粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流体と共に
固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場合(吹出
ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速する固体
粒子加速流体である。流体には気体、液体ともに利用可
能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用いる。気体
としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、窒素等で
も良い。液体としては、必ずしも限定されないが、不燃
性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容易性、等
から水は好ましい材料の一つである。この他、フロン、
グリセリン、シリコン油等の不燃性の液体も使用でき
る。液体を(気体もそうであるが)転写シートに固体粒
子と共に衝突させることができる。当然の事ならがら、
液体は気体よりも密度が高い為、気体よりも液体の方
が、流体流で固体粒子を加速する場合に加速し易く、し
かも液体が転写シートに衝突する場合に、気体と等速度
の衝突でも、衝突圧は気体に比べてより大きく且つ実用
性のある衝突圧が得られる。(また、固体粒子との密度
差も少ないので固体粒子の搬送もし易い。)従って、液
体の場合は、転写圧として固体粒子の衝突圧以外に、液
体の衝突圧も利用でき、その分より大きな転写圧を印加
でき、その結果、転写シートを被転写基材の表面凹凸形
状へ追従させ成形する成形効果により大きなものが得ら
れる。また、衝突圧印加時の加熱又は冷却手段として流
体を用いる場合、気体よりも液体の方が比熱が大きいの
で、より大きな加熱又は冷却効果が得られる。また、液
体が水の様な電気伝導体の場合は、気体の場合に比べて
静電気帯電に対する防爆対策もより容易となる。
【0052】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、1個のみの
使用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて、転写シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向
に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置して、幅方
向に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或い
は、図13(A)の噴出器32の配置は千鳥格子状の配
置であり、図13(B)は一列配置だが、幅方向中央部
は送り方向の上流側で衝突する様にした配置である。図
13(B)の配置では、転写シートの被転写基材への衝
突圧による圧接は幅方向中央部から始まり、順次、幅方
向両端部に向かって圧接されて行く。この様にすると、
幅方向中央部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被
転写基材に密着することを防止できる。図13の様に噴
出器を幅方向に複数個配列する場合には、個々の噴出器
の加圧領域が互いに一部重複し、全幅にわたってもれな
く加圧できる様に配列することが好ましい。図13
(B)にそのような配列の一例を示す。該図に於いて、
点線部分が加圧領域を示す。また、衝突圧印加時間を長
くするには、噴出器は、転写シート及び被転写基材の送
り方向に向かって2列以上配置する多段配置が好まし
い。
【0053】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。図14は、転写シートの搬送
方向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方
向両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布
の設定例である。この設定は、圧が高い所(同図では中
央部)から低い所(同図では両側部)に向かって順次段
階的に圧接が進行することを助ける。但し、図14の如
き圧力分布とする場合、被転写基材上に於ける衝突圧
は、所望の凹凸面への転写が完全に行えて、なお且つ圧
過剰による転写シートの歪み、被転写基材の変形、破損
等の生じない適正圧力範囲内に全て納まる様に調整す
る。なお、ゴム製転写ローラによる曲面転写方法では、
転写ローラの中央部直径を太めとすれば、圧力的には中
央部は強くできるが、中央部と両端部とで円周長が異な
ってしまい、接触して圧印加され転写シートの送りを均
一に出来ない。衝突圧の調整は、噴出器から転写シート
に衝突する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突する
固体粒子数、投射量、及び1粒子の質量を制御すること
で調整する。これらのうち、固体粒子の速度を調整する
には、例えば羽根車を用いる噴出器の場合は、羽根車の
回転数、羽根車の直径等で調整する。また、吹出ノズル
を用いる噴出器の場合は、バルブの開閉量、バルブに連
結する固体粒子を搬送する管の内径の大小、圧力調整器
(レギュレータ)等を用いて噴出器直前の流体圧(流体
単体、又は流体と固体粒子との混合物)の調整により、
噴出する固体粒子及び流体流の速度を制御することで調
整する。
【0054】〔噴出器の被転写基材に対する配置方法〕
羽根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向
は、原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がら
ず、該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。一方、吹
出ノズルの場合は、噴出する固体粒子の広がりは、羽根
車による噴出器の場合よりも広がりが少なく、且つ広が
っても通常はどの方向にも均一で等方的である。このよ
うな噴出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば
良い。しかし、一つの噴出器で所望の衝突領域の大きさ
に出来ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様
に、複数の噴出器を被転写基材の被転写面に対して配置
する場合は、各噴出器は被転写基材に平行にし、且つ各
噴出器の噴出方向が被転写基材の法線方向になる様な配
置が基本である。この様な平行配置は、被転写基材の被
転写面の包絡面に垂直に固体粒子を衝突させ、基本的に
衝突圧を最大に有効利用できるからである。従って、例
えば、図15の様に、被転写基材Bの被転写面の包絡面
(の搬送方向に直角の断面形状)が円型になる円筒状の
凸曲面であれば、複数の噴出器8を用意し各噴出器が主
とし受け持つ個別の衝突面(凸曲面の接平面)に対し
て、略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを
近接する被転写基材面の包絡面の法線方向にして配置す
ると良い。この様に噴出器の配置は、対象とする被転写
基材の凹凸形状に合わせて、噴出器の噴出方向を固体粒
子がなるべく垂直に衝突する様に合わせると良い。た
だ、噴出器の向きは、転写シート支持体側面に対して必
ずしも垂直にする必要はない。また、噴出器は多めに設
けておき、製造する被転写基材によっては、一部の噴出
器は停止させても良い。
【0055】〔噴出器の実際の使い方〕また、実際に固
体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の雰囲気
中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好ましい。そ
こで、固体粒子衝突圧による転写圧を押圧する衝突空間
を周囲空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を転写シ
ートに衝突させて転写圧を加える等すると良い。支持体
の剥離は、チャンバ外でも良い。なお、固体粒子衝突圧
による転写シートの被転写基材への押圧は、枚葉の転写
シートを枚葉の被転写基材上に載置して、両者を一体と
して搬送させつつ、固定の噴出器で固体粒子衝突圧を連
続印加する形態、或いは、固体粒子衝突圧印加時のみ両
者を固定して、噴出器のみ移動させる形態、或いは、転
写シートは連続帯状の形態で、被転写基材の搬送速度と
等速度で移送して、位置固定の噴出器で衝突圧を印加す
る形態等の任意の形態で構わない。また、被転写基材の
被転写面は水平でその垂直方向上方から固体粒子を衝突
させて衝突圧を加える以外に、被転写面を垂直や傾斜状
態として、或いは被転写面を下側に向けて下方から衝突
圧を加えてもよい。また衝突圧印加前に、弾性体ローラ
による転写シートの被転写基材への押圧を予備的に行う
等しても良い。
【0056】〔転写シート、被転写基材、接着剤等の加
熱〕転写圧押圧に固体粒子衝突圧を用いる場合でも、従
来の弾性体ローラを用いる転写方法と同様に、転写圧押
圧時や、その前に転写シート、被転写基材等を適宜加熱
することができる。例えば、衝突圧押圧前では、転写シ
ートは、赤外線輻射加熱やローラ加熱等の任意の加熱手
段で加熱すれば良く、被転写基材(及びその上の接着剤
層)も赤外線輻射加熱等の任意の加熱手段で加熱すれば
良い。衝突圧押圧時の加熱は、固体粒子に加熱固体粒子
を用いたり、吹出ノズルによる噴出器では、その固体粒
子加速流体も加熱流体を用いることができる。もちろ
ん、衝突圧の押圧前及び押圧中の加熱、或いは押圧中の
みの加熱でも良く適宜使い分ける。但し、熱風加熱は衝
突空間を隔離するチャンバ内で行うと内部に気体を流入
しチャンバ圧力バランスに影響するので、チャンバ外で
行う方が好ましい。
【0057】〔接着剤の強制冷却〕接着剤が熱融着型の
場合は、転写シートが被転写基材に密着後に接着剤を強
制冷却すれば、凹部内部にまで追従、成形された転写シ
ートの固着化を促進して、転写シートに復元力がある場
合に圧解放後、転写シートが元の形状に戻ることを防止
し、転写シート(の支持体)の剥離除去をより早くでき
るので、転写抜け防止や生産速度向上が図れる。この為
には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま冷却固
体粒子を用いたり、或いは固体粒子加速流体を用いる場
合は冷却流体を用いたり、衝突圧印加後に、風冷等の他
の冷却手段を用いて接着剤層を冷却すると良い。被転写
基材の熱容量が大の場合は、冷却固体粒子及び冷却流体
以外にも、低温流体の吹き付け、基材搬送用の置き台或
いはローラやベルトコンベア等の冷却により、被転写基
材を裏面から冷却できる。或いは、チャンバ内でのこれ
ら冷却の後にチャンバ外で、或いはチャンバ内では冷却
せずにチャンバ外のみで、表や裏からの冷風吹き付け等
で冷却しても良い。なお、冷風吹付け時の風を利用し
て、支持体上(特に溝状凹部内)に残留した固体粒子を
吹き飛ばして除去することも出来る。
【0058】〔支持体の剥離〕なお、支持体を剥離する
タイミングは、衝突圧の解除以降、支持体が剥離時応力
で切断や塑性変形をし無い程度に冷却し、接着剤層が冷
却や硬化反応で固化し転写シートが被転写基材に固着し
た時点以降に行えば良い。
【0059】〔化粧材の用途〕本発明で得られる化粧材
は、外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、壁面、
天井、床等の建築内装材、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居
等の建具、箪笥等の家具の表面材、テレビ受像機等の弱
電・OA機器のキャビネット、或いは自動車等の車両内
装材、航空機や船舶等の内装材等の各種分野で用いられ
得る。
【0060】〔後加工〕なお、転写後の化粧材の表面
に、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に透明保護層
を塗装する等しても良い。この様な透明保護層として
は、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の
フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹
脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上
等をバインダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリ
アゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒ
ンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、着色顔
料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。また、
外装用途では、無機系塗料を用いることもできる。塗工
はスプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロールやスポ
ンジロールを使用したロールコート等を用いる。透明保
護層の膜厚は1〜100μm程度である。
【0061】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0062】先ず、溝状凹部を有し三次元的表面凹凸を
有する被転写基材Bとして図6の要部斜視図に例示する
様な、大柄な凹凸として垂直な側壁面と中央が凹形状と
なる2斜面を含む底面から成る最大深さ5mm、開口幅
6mmの目地溝なる溝状凹部1と、天面部2とを有し、
微細な凹凸として天面部上に深さが0.1〜0.5mm
の範囲に分布する梨地調の微細凹凸を有する、大柄な凹
凸と微細な凹凸とが重畳した煉瓦積み模様となる三次元
的表面凹凸を有する厚さ12mmのケイ酸カルシウム板
を用意した。そして、被転写基材の凹凸表面に下地塗
装、下塗り塗装、接着剤塗工を予め行った。接着剤はポ
リアミド系樹脂からなる無溶剤のホットメルト型の感熱
溶融型接着剤を30g/m2 溶融塗工した。また、転写
シートSには、厚さ100μmのポリプロピレン系熱可
塑性エラストマーフィルムからなる支持体の片面に、転
写層となる装飾層として前記溝状凹部のパターンと位置
同調したセメントの目地を表現した溝柄と茶褐色の煉瓦
の天面柄とを有する煉瓦調の絵柄を順次グラビア印刷し
たものを用意した。溝柄の幅は、位置合わせ誤差等を考
慮して溝状凹部の開口幅6mmよりも若干小さい4mm
として、溝柄は溝状凹部のパターンに正確に位置合わせ
された時に、溝柄が溝状凹部の中央に位置する様な位置
に形成した。また、十字線からなる見当合わせマーク
を、装飾層と同時に、装飾層用の絵柄インキで、連続帯
状の転写シートの幅方向の片側の隅に形成した。なお、
絵柄インキのバインダーの樹脂としては、アクリル樹脂
と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8:2(重量
比)の混合物を、また、着色顔料としては、弁柄、イソ
インドリノン、カーボンブラック、チタン白を用いた。
【0063】そして、被転写基材上に転写シートSを目
視で位置合わせして載置して、転写シートの加熱軟化と
接着剤の加熱活性化を行った後、噴出器から噴出する固
体粒子にさらして衝突圧を加えた。噴出器には図7〜図
10の様な羽根車を用いた噴出器を用い、固体粒子Pと
して平均粒径0.4mmの球形の亜鉛球を、転写シート
の支持体側に衝突させた。噴出器の羽根車の回転数は3
600〔rpm〕、固体粒子の噴出速度は35〔m/
s〕であった。そして、転写シートが被転写基材に押圧
されてその凹凸表面に追従成形されて密着し、冷却した
後、支持体を剥離して、転写シートの転写層を転写し
た。その結果、転写シートが目地となる溝状凹部の凹部
内にまで延ばされて熱融着し、冷却後、転写シートの支
持体を被転写基材から剥離除去して化粧材Dを得た。化
粧材は天面部他に溝状凹部も含めて、被転写基材の表面
凹凸に追従して絵柄が転写されていた。天面部の凹凸に
はその微細な凹部も含めて装飾層の天面柄が転写され、
また、溝状凹部には装飾層の溝柄が溝状凹部に位置合わ
せされて、溝状凹部の側壁面及び底面にまで転写されて
いた。更に、この化粧材の転写層の表面に、2重量%の
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビ
ニリデンのエマルション塗料を乾燥時厚さ50μmに塗
布して、透明保護層を形成して、透明保護層付きの化粧
材とした。
【0064】
【発明の効果】 本発明の化粧材によれば、天面部の装飾の他に、目地
等となる溝状凹部の特に側壁面という垂直側面も装飾さ
れているので、溝状凹部の現実の立体形状による意匠感
と共に優れた意匠表現ができる化粧材となる。例えば、
壁用として、本物の石材を積み上げた意匠感に、より近
い印象を与え得る化粧材とできる。 本発明の化粧材の製造方法によれば、転写圧に固体粒
子衝突圧を利用するので、上記化粧材が容易に得られ
る。つまり、側壁面も転写で装飾できる。しかも、その
溝状凹部が深くても転写で装飾できる。また、必要なら
ば溝状凹部の底面も転写で装飾できる。 また、固体粒子衝突圧による転写圧の為に、化粧材の
形状は、もちろん、窓枠、サッシ等の二次元的凹凸も可
能であり、平板状の板材以外にも、瓦の様に全体として
(包絡面形状が)波うち形状のもの、或いは凸又は凹に
湾曲した形状のものでも容易に得られる。しかも、天面
部等の大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸模様(例
えば、ヘアライン、梨地等)が有る場合でも、その微細
凹凸の凹部内にまで、転写にて装飾できる。また、従来
のゴムローラ押圧方式の様に、被転写基材の凹凸部によ
るローラ等部品の損耗も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材及びその製造方法を従来と対比
して説明する概念図。
【図2】溝状凹部の底面が含む斜面の各種例と固体粒子
の衝突の様子を示す概念図。
【図3】溝状凹部内を溝柄で装飾した場合の各種例を示
す断面図。
【図4】溝状凹部の配列の各種例を示す平面図。
【図5】溝状凹部を有する被転写基材の構造例を示す斜
視図。
【図6】被転写基材にて天面部も凹凸表面を有する一例
を示す斜視図。
【図7】羽根車を用いた噴出器の一例を説明する概念図
(正面図)。
【図8】図7の羽根車部分の斜視図。
【図9】図7の羽根車内部を説明する概念図。
【図10】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図11】羽根車を用いた噴出器の別の一例を説明する
概念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図12】吹出ノズルによる噴出器の一例を説明する概
念図。
【図13】噴出器の各種配置例を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図14】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図15】噴出器の向きの一例を示す流れ方向からみた
側面図。
【符号の説明】
1 溝状凹部 2 天面部 3 支持体 4 転写層 5 装飾層 5a 溝柄 5b 天面柄 6、6a、6b 単位素材 8 噴出器 11 側壁面 12 底面 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B41F 16/00 B41F 16/00 B44C 1/17 B44C 1/17 M

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天面部と溝状凹部とを有する化粧材であ
    って、該溝状凹部は天面部から垂直乃至は略垂直に落ち
    込んだ側壁面、及び斜面を含む底面とから成り、少なく
    とも該天面部から該側壁面にかけて装飾層を有する化粧
    材。
  2. 【請求項2】 少なくとも溝状凹部と天面部とを含む凹
    凸表面を有する被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転
    写層とからなる転写シートの転写層側を対向させ、該転
    写シートの支持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧
    を利用して、被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧
    接を行い、転写層が被転写基材に接着した後、転写シー
    トの支持体を剥離除去することで、少なくとも前記天面
    部から側壁面にかけて、転写層を被転写基材に転写する
    化粧材の製造方法であって、前記溝状凹部が天面部から
    垂直乃至は略垂直に落ち込んだ側壁面と底面とから成
    り、且つ該底面が斜面を有する被転写基材を使用する、
    化粧材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016078236A (ja) * 2014-10-09 2016-05-16 豊田合成株式会社 加飾フィルム
JP2019198973A (ja) * 2018-05-14 2019-11-21 Dic株式会社 化粧板の製造方法
CN110593531A (zh) * 2019-10-27 2019-12-20 陈锐 一种辅助贴砖机器人的瓷砖粘接剂涂抹机

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