JPH11129699A - 曲面転写方法及び曲面転写装置 - Google Patents

曲面転写方法及び曲面転写装置

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JPH11129699A
JPH11129699A JP30959297A JP30959297A JPH11129699A JP H11129699 A JPH11129699 A JP H11129699A JP 30959297 A JP30959297 A JP 30959297A JP 30959297 A JP30959297 A JP 30959297A JP H11129699 A JPH11129699 A JP H11129699A
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JP
Japan
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substrate
solid particles
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transferred
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JP30959297A
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Reiko Suga
玲子 菅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面に対し転写シートで確実に
転写して、化粧材等の転写製品を効率良く製造する。 【解決手段】 被転写基材Bの凹凸面1側に、支持体と
転写層とからなる転写シートSの転写層側を対向させ、
噴出器4から噴出させた固体粒子Pを転写シートの支持
体側に衝突させ、その衝突圧で転写シートを被転写基材
に圧接後、支持体を剥離する。さらにこの際、被転写基
材の凹凸表面が成す包絡面Eについて、少なくとも転写
シートを介して衝突圧が被転写基材に加えられている部
分では、その部分の包絡面を下向き又は鉛直にする。そ
の結果、衝突後の固体粒子は下方に落下し転写シート上
に残存し堆積しない為、後続の固体粒子の衝突を効果的
に衝突圧として利用できると共に、衝突後の固体粒子を
確実に回収できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等に用いる特に凹凸装飾面を有す
る化粧材等の転写製品を製造する為の曲面転写方法及び
曲面転写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧板の基材面に直刷り法、ラミ
ネート法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板
が種々の用途で使用されている。この場合、基材の表面
が平面ならば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に
対しては格別の工夫により絵柄装飾を施している。例え
ば、窓枠、面縁材等の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸
〔円柱の様に一方向(母線、或いは高さ方向に直交する
方向)にのみ曲率を有する形状〕の場合に適用できる曲
面装飾技術の一つが、特公昭61−5895号公報に提
案されている。すなわち、同号公報の技術はラミネート
法による表面装飾法であり、片面に接着剤を塗布した表
装シートを供給し、一方基材を表装シートの供給速度と
同調した速度で水平に搬送し、併設した多数の押え治具
にて表装シートの端部が貼着されない状態を維持しつつ
表装シートの接着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に
段階的に押圧し、表装シートを基材面に加熱貼着するも
のである。なお、この方法はラッピング加工法と言われ
ている。また、表面凹凸がエンボス形状等の三次元的凹
凸(すなわち、半球面の様に2方向に曲率を有する形
状)の場合に適用できる曲面装飾技術としては、例えば
特開平5−139097号公報に提案されている。すな
わち、同号公報の技術は転写法による表面装飾法であ
り、転写シートの支持体として熱可塑性樹脂フィルムを
用い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次
設けた構成の転写シートを、凹凸表面を有する基材上に
設置し、支持体の裏面からゴム硬度60°以下のゴム製
の熱ローラで押圧して、絵柄を転写することによって化
粧板を得るものである。また、支持体と剥離層間に転写
時の熱で発泡する発泡層を設け、この発泡も利用して基
材の凹凸表面に追従させようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に開
示の技術では、二次元的曲面までしか対応できず、ま
た、特開平5−139097号公報が提案する技術で
は、三次元的曲面も対応できるが、基本的に回転する熱
ローラのゴムによる弾性変形を利用して表面凹凸に追従
させる為に、浅いエンボス形状は良いとしても大きな表
面凹凸には適用できない。その上、被転写基材の凹凸の
隅角部によって軟質のゴムローラが損耗し易い。また、
転写シートに発泡層を設ける構成では、転写シートが複
雑高価になり過ぎる。また、全体として平板状の基材に
限定されるといった問題があった。
【0004】そこで、本発明は、大きな三次元的凹凸表
面にも転写でき表面装飾性に優れた化粧材等の転写製品
が得られ、且つ転写圧の押圧に特殊形状の治具を必要と
せず、ゴムローラ等部品の損耗による交換の必要の無
い、曲面転写方法及び装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の曲面転写方法では、支持体と転写層と
からなる転写シートを被転写基材へ押圧して圧接する手
段として、転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧を利用した。すなわち、凹凸表面を有す
る被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とからな
る転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支
持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、
被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行い、転
写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持体を剥離
除去することで、転写層を被転写基材に転写する様にし
た。しかも、少なくとも固体粒子の衝突圧を加えるとき
は、被転写基材の凹凸表面が成す包絡面のうち、少なく
とも転写シートを介して衝突圧が被転写基材に加えられ
ている部分においては、当該部分の前記包絡面を上向き
とせず、つまり下向き又は鉛直にして、被転写基材への
転写シートの圧接を行う様にした。その結果、転写シー
トに衝突した後の固体粒子は、重力により自重で下方に
落下するので転写シート上に堆積すること無く、後続の
固体粒子の衝突による衝突圧押圧効果を妨げず、効果的
に衝突圧による転写圧を加えることができる。更に衝突
後の固体粒子を確実に回収する事が可能となる。また、
本発明の曲面転写装置は、上記曲面転写方法を実施する
為に使用する装置であり、少なくとも、被転写基材の凹
凸表面が成す包絡面のうち、少なくとも転写シートを介
して衝突圧が被転写基材に加えられている部分において
は、当該部分の前記包絡面を下向き又は鉛直にして被転
写基材を支持する基材支持手段と、被転写基材の包絡面
が下向き又は鉛直の上記凹凸表面側に、転写シートの転
写層側を対向させる様に、転写シートを支持する転写シ
ート支持手段と、固体粒子を噴出する固体粒子噴出手段
とを備えた構成の装置とした。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面転写方法及び
装置の実施の形態を説明する。先ず、図1は本発明の一
形態を示す概念図である。同図では被転写基材Bは全体
が平板形状で、その凹凸表面1が成す包絡面Eは平面で
ある。そして、被転写基材Bは、被転写基材を支持する
基材支持手段2である基材支持具によって、その凹凸表
面(が成す包絡面)を下向きに且つ水平にして、被転写
基材を基材支持具の下側に保持する様にして空中に支持
される。また、支持体と転写層とからなる転写シートS
は、転写シート支持手段3である転写シート支持具によ
って、転写層側を被転写基材Bの凹凸表面側に対向する
様に、つまり、転写層側を上向きにして、被転写基材B
の下方の空間に支持する。転写シート支持具3は、例え
ば同図の如く、転写シートSをその端部で基材支持具3
に押圧挟持して支持する。そして、固体粒子Pは、固体
粒子噴出手段である噴出器4から、転写シートSに向け
て(図面では鉛直方向略上方に)噴出される。なお、図
1中の矢印は固体粒子の飛跡を表す。この結果、噴出器
4から噴出した多数の固体粒子Pは、転写シートの支持
体側に衝突し、転写シートを被転写基材に押圧して圧接
する。転写シートに衝突後の固体粒子は、跳ね返り、ま
た重力の作用によって自重で速やかに下方に落下する。
従って、固体粒子が衝突する転写シートの支持体面は、
固体粒子が融着でもしないかぎり、常に露出しており、
続いて衝突する後続の固体粒子は転写シートの支持体面
に直接に衝突させることができる。その結果、固体粒子
衝突時の運動量の変化分を、損失無く、衝突圧として転
写圧に有効利用でき、且つ衝突後の固体粒子を確実に回
収できる。
【0007】これに対して、被転写基材の凹凸表面が上
向きだと、衝突済みの固体粒子が転写シート上に残存し
堆積して固体粒子が層(固体粒子層)となった場合、衝
突する固体粒子の運動量の変化分(衝突エネルギー)が
そこで一部吸収されてしまう。従って、後続して衝突す
る固体粒子の運動量変化分を効果的に衝突圧として転写
圧に利用できず、衝突圧によって転写圧を押圧する衝突
圧押圧効果を妨げてしまう。その上、転写シート上に残
留した固体粒子の回収も特別な手段を講じない限り不可
能である。しかし、本発明では、被転写基材の凹凸表面
(の包絡面)は上向きとせずに、下向き又は鉛直とする
ので、この様な衝突圧押圧効果の阻害等の不都合は起き
ない。そして、転写層が被転写基材に接着した後、手作
業で或いは剥離ローラ等で機械的に、転写シートの支持
体を剥離除去すれば、転写層が被転写基材の凹凸表面に
転写された化粧材等の転写製品が得られる。
【0008】以上の様に、本発明では、転写圧に固体粒
子の衝突圧という新規な手段を利用る事によって、従来
では不可能であった様な特に深い凹凸表面や三次元凹凸
表面にまでも転写できる様になり、しかも、衝突後の固
体粒子が転写シート上に堆積して、それが後続の固体粒
子の衝突による衝突圧を弱めない様にする事で、衝突圧
による転写圧を効率的に利用できる様にした。もしも、
平板板状の被転写基材について、その凹凸表面が成す包
絡面を水平に且つ上向きにして、被転写基材上に転写シ
ートを位置させて、固体粒子を転写シート支持体側に上
方から衝突させたとすれば、衝突後の固体粒子は転写シ
ートの支持体上に堆積する可能性がある。転写シートに
衝突後の固体粒子は、そこで跳ね返ったり、多数の固体
粒子が一群となって空中を進行する事によって発生する
気流と共に転写シート上を横方向に流れて転写シートの
端部等を経て周囲に飛散したり、噴出器から気体等の流
体流と共に固体粒子を噴出させる場合(吹出ノズル)
は、該流体流によって周囲に飛散したりする。そして、
障害物がなければ、固体粒子は重力によって下方に落下
するはずである。しかし、被転写基材の凹凸表面の深さ
等の凹凸形状や、被転写基材の大きさ及び形状、固体粒
子の衝突速度、噴出器の種類等によっては、跳ね返りや
気流等によって、衝突後の固体粒子の全てが周囲に飛散
せずに、一部は転写シート上に残る。そして、固体粒子
の堆積数が増えて厚くなれば、個々の固体粒子が独立の
固体粒子層として堆積することになる。その層厚が薄け
れば、固体粒子層上に後続の固体粒子が衝突しても、そ
の衝突エネルギーは、衝突圧としてほぼそのまま転写シ
ートに転写圧として加える事ができる。しかし、層厚が
厚くなると、固体粒子の固体粒子層への衝突は、固体粒
子層を成す個々の固体粒子を周囲に飛び散らしたり、飛
び散らないまでも固体粒子層内部での個々の固体粒子が
占める位置を変化、移動させたりするエネルギーとして
使用される事になる。従って、衝突した固体粒子の運動
量の変化分(衝突エネルギー)は、これらの分だけ固体
粒子層で吸収され、衝突圧として転写シートを被転写基
材に押圧する為の転写圧に有効に利用される度合いが減
少することになる。
【0009】従って、転写シート上に固体粒子が残存し
堆積させない為には、転写シートの支持体側の面を上向
きにしなければ完璧である。つまり、固体粒子を衝突さ
せるべき部分の被転写基材の凹凸表面の包絡面を、上向
きにしなければ良い。(上向きでも水平上向きとせず
に、斜め上向きとすれば、衝突後の固体粒子を自重によ
り転写シート上を滑り落とさせる事も場合により可能で
はあるが、表面凹凸の凹部等が障害となって一部堆積す
る可能性が残る。)この為には、該包絡面を下向きとす
るか、又は鉛直(真横を向かせる)とすれば良いことに
なる。図1は該包絡面Eが真下を向いた例であった。図
2の概念図で該包絡面の設定例と、これに関連して固体
粒子の衝突方向を説明する。図2(A)は前記包絡面が
下向きであるが斜め下向きの形態である。この様に、下
向きとは真下を向いてなくとも良い。そして、図2
(B)は前記包絡面が鉛直の形態である。また、図2
(C)は、図1同様に、前記包絡面が真下を向いた形態
であるが、図1の様に固体粒子を(主として)真下から
真上に垂直に衝突させずに、斜めに衝突させた例であ
る。この様に、被転写基材の凹凸表面が成す包絡面に対
する固体粒子の衝突方向は、必ずしも該包絡面に対して
垂直にする必要は無く、斜めでも良い。図2(A)、
(B)及び(C)は全て包絡面に対して斜めとした例で
ある。特に図2(B)は、固体粒子を鉛直方向に対して
は、斜め上から斜め下に向けて被転写基材に衝突させる
例を明示してある。つまり、被転写基材の凹凸表面が成
す包絡面は下向き又は鉛直とするが、該被転写基材に対
向させる転写シートの支持体側に衝突させる固体粒子
は、下から上に向かって衝突させる事は必ずしも必要で
はなく、転写シートの支持体に衝突できる方向であれば
良い。つまり、斜め下方向、真横(水平)方向、斜め上
方向等である。なお、固体粒子の衝突方向を図1の如く
該包絡面Eを水平とし、固体粒子を真下から鉛直上方に
衝突させる様にした場合は、衝突後の固体粒子の落下効
率が最も高く、且つ衝突圧も最も有効に印加できる。し
かし、その代わり、入射固体粒子と落下固体粒子とが高
い確率で衝突する為、入射固体粒子が散乱され固体粒子
の利用効率は悪くなる。一方、図2の如く固体粒子の入
射方向と反射方向とを斜交させると、入射固体粒子と反
射固体粒子との干渉散乱の確率は低減し固体粒子の利用
効率は高くなる。その代わり、衝突圧か、衝突後固体粒
子の落下の効率のいずれかは低下する。
【0010】なお、下向き又は鉛直とする被転写基材の
凹凸表面が成す包絡面は、転写すべき被転写面の全面に
ついて、全面の包絡面が全て下向き又は鉛直とする必要
はない。被転写基材が平板板状ならばそうできるが、例
えば被転写基材が三角柱で該三角柱を横にしてその3側
面全てに転写する場合、3側面同時に衝突圧を加えるこ
とはできるが、3側面の包絡面全てを下向き又は鉛直と
する事は不可能である。しかし、2側面ならば同時に下
向きが可能である。この様な場合には、好ましくは下向
きとした2側面について衝突圧を加え、その後、残りの
1側面を下向き又は鉛直にして衝突圧を加える。もっと
も、残りの1側面は上向きのままで、他の下向きの2側
面と同時に衝突圧を加える事も、本発明の一形態であ
る。以上の例示からも分かる様に、下向き又は鉛直とす
る被転写基材の凹凸表面が成す包絡面は、少なくとも衝
突圧を加えられている部分についての包絡面であれば良
く、転写不要部分、これから加える部分又は既に衝突圧
を加えた部分については問わない。なお、衝突圧は直接
には転写シートに加えら、被転写基材には転写シートを
介して加えられる。本発明が、包絡面の空間的配置を特
定するに当たり、衝突圧を加える基準を転写シートにで
は無く被転写基材とするのは、特に包絡面が平面で無い
場合等では、転写シートは最初から常に被転写基材の包
絡面に沿って配置するとは限らないからであ。最終的に
固体粒子堆積を阻止するのは、転写シートが追従・成形
された後の被転写基材の凹凸表面だからである。
【0011】以下、さらに本発明を詳述する。
【0012】〔被転写基材〕先ず、本発明の被転写基材
Bとしては、被転写面が平坦な平面でももちろん適用で
きるが、本発明が真価を発揮するのは被転写面が凹凸表
面であり、特にその凹凸が三次元的である被転写基材で
ある。従来の回転接触する押さえ治具(前述の特公昭6
1−5895号公報)や、ゴム製の転写ローラ(前述の
特開平5−139097号公報参照)では、その回転軸
による方向性を本質的に有しているために、適用できる
表面凹凸形状が制約される。即ち前者では、1軸方向に
のみ曲率を有する二次元的凹凸に限定され、また、後者
では2軸方向に曲率を有する三次元的凹凸への転写が可
能でもその三次元形状は任意の方向に均質に適用できな
い。例えば、木目導管柄の長手方向は、転写シートの送
り方向に平行にしないと、導管凹部には旨く転写できな
い。しかも、後者は基材形状は平板状に事実上限定さ
れ、それ以外は基材形状毎にその都度合わせた特殊形状
の転写ローラとでもしない限り不可能である。ところ
が、本発明では、後述の様に、流体的に振る舞うことが
できる固体粒子群の衝突圧を利用するため、表面凹凸の
三次元的形状に対して圧力印加領域の面的な方向性を本
質的に持たない。(この方向性とは、圧力が印加される
被転写基材上のポイントの時間的位置変化の方向のこと
である。)従って、転写シートや被転写基材の送り方向
(転写圧印加方向)に凹凸がある形状を持つ被転写基材
でも構わない。すなわち、送り方向のみ又は幅方向のみ
等と一方向にのみ凹凸がある二次元的凹凸、送り方向及
び幅方向の両方等と2方向に凹凸がある三次元的凹凸に
も適用できることを意味する。なお、固体粒子群の衝突
圧が方向性を持たない点は、枚葉の転写シートを被転写
基材上に載置し一つずつ圧接密着する様に、固体粒子を
噴出する噴出器を移動、又は噴出器固定で転写シートと
被転写基材とを移動させて、衝突圧が印加される領域が
移動していく様子を考えれば、容易に理解できる。
【0013】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、断面が円弧状に凸又は
凹に送り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有す
る基材でも良く、またその湾曲面にさらに細かい三次元
的な表面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転
写基材の円弧状等の二次元的な凹凸に対して、それを例
えば幅方向として、或いは送り方向として転写するかは
作業性等を考慮して任意にできる。また、大柄な凹凸に
重畳して微細な凹凸を有する凹凸表面の被転写基材、或
いは凹凸表面の凹部底部や凹部内側面に転写すべき面を
有する被転写基材も可能である。前記大柄な凹凸と微細
な凹凸とは、例えば図14(B)の如く被転写基材の凹
凸が大柄な凹凸401、402とその凸部402上にあ
る微細な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状
は段差が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部
の幅が5mm以上のもので構成されるものであり、微細
な凹凸形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも
小さく、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の
幅及び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の
凸部の幅の1/2未満程度である。大柄な凹凸と微細な
凹凸との組み合わせの凹凸から成り、且つ三次元的な表
面凹凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例としては、例え
ば、大柄な凹凸として目地、溝等を有するタイル、煉
瓦、石等の二次元配列模様を有し、その上に微細な凹凸
としてスタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸
模様、花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材
表面の凹凸等の石目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様
として目地、溝、簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造
木目板模様を有し、その上に微細凹凸として導管溝、浮
出した年輪、ヘアライン等を有する木目調の凹凸模様が
挙げられる。なお、凹凸面を構成する各面は、平面のみ
から、曲面のみらか、或いは平面と曲面の組み合わせと
任意である。従って、本発明の被転写基材上の曲面と
は、断面が下駄の歯形の様に複数の平面のみから構成さ
れる曲面を持たない凹凸面も意味する。また、本発明で
いう曲率とは、立方体の辺或いは頂点の周辺の様に角張
っている曲率無限大(曲率半径=0)の場合も包含す
る。なお、被転写基材表面を所望の凹凸とするには、プ
レス加工、エンボス加工、押し出し加工、切削加工、成
形加工等によれば良い。
【0014】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、スラグセメント板、ALC(軽量気泡コンクリー
ト)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)板、パル
プセメント板等の非陶磁器窯業系板、木材単板や木材合
板、パーティクルボード、集成材、木質中密度繊維板
(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウム、銅等
の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、ポリプロ
ピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品等
でも良い。なお、後述の様に固体粒子加速流体として液
体を用い、該液体と共に固体粒子を噴出させる場合は、
該液体に対して不溶性且つ非吸収性の物が好ましい。例
えば金属板、樹脂成形品、陶磁器やガラス等のセラミッ
クス等である。また、これらの被転写基材表面には、予
め、接着剤との接着を補助する為の易接着プライマー、
或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じるシーラー
剤を塗工しておいても良い。易接着プライマー、或いは
シーラー剤としては、イソシアネート、2液硬化ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂
等の樹脂を塗工し形成する。
【0015】〔転写シート〕転写シートSは支持体と転
写移行する転写層とからなる。転写層は少なくとも装飾
層からなる。また、接着剤を、転写層の一部となる接着
剤層として、転写シートに形成しておいても良い。なお
液体を固体粒子加速流体に用い、液体と共に固体粒子を
噴出する場合は、支持体や転写層には、該液体に対して
不溶性の物を用いる。例えば、液体が水であれば、水溶
性樹脂等を除けば、一般の転写シートとして使用してい
る材料から下記に従い適宜選択使用すれば良い。
【0016】(支持体)上記支持体には、被転写基材が
二次元的凹凸表面であれば、延伸性が無い紙(但し、固
体粒子加速流体が液体の場合は、該液体に対して不溶性
のものを選ぶ)等も可能だが、本発明が真価を発揮する
三次元的凹凸表面に適用する為には、少なくとも転写時
には延伸性の有る支持体を用いる。延伸性により固体粒
子の衝突圧印加時に、被転写基材表面の凹部内部まで転
写シートを追従させて密着し転写することができる。転
写シート全体の延伸性は、主に支持体の延伸性に支配さ
れる。従って、支持体には、従来公知の熱可塑性樹脂フ
ィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜も使用できる。
熱可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等の転写層形成時
には延伸性が殆どなく、転写時には、加熱により充分な
延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状を保持し続
け、弾性による形状の復元を生じない転写シートとし
て、従来公知の通常の転写シート同様に容易に、本発明
で用い得る転写シートは用意出来る。支持体の具体例と
しては、延伸性の点で、従来多用されている2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムでも、表面凹凸形状
次第で、加熱条件、衝突圧条件等の設定によって、必要
充分な延伸性を発現させることができるので曲面転写は
可能である。ただ、より低温・低圧で延伸性が発現し易
い好ましい支持体としては、例えば、エチレン・テレフ
タレート・イソフタレート共重合体ポリエステル、ポリ
ブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹
脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共
重合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴ
ム、合成ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウ
レタン系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、
単層又は異種の複層とした樹脂フィルムを用いることが
てきる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が
好ましい。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑
性エラストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃
焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持
体の一つである。支持体の厚さは、通常20〜200μ
mである。
【0017】なお、固体粒子加速流体に液体を用いる場
合には、転写時に接する液体に対して、膨潤はするが不
溶である樹脂フィルムを使用する事も可能である。この
様な膨潤性且つ不溶性樹脂フィルムの例としては、液体
として水又は水溶液を用いる場合には、特開昭54−1
50208号公報、特公昭61−3276号公報等に開
示される様な、ポリビニルアルコール系フィルムであっ
て、平均重合度300〜3000、鹸化度65〜97m
ol%、厚さ20〜200μmのフィルムが代表的なも
のである。また、支持体には必要に応じ、その転写層側
に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けても
良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転写
層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シリ
コーン樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキド樹脂、尿素
樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれらを含
む混合物が用いられる。また、シリコーン、フッ素樹
脂、ポリエステル、ポリエチレン等を添加剤として加え
て剥離強度を調整することも有る。離型層の厚さは、
0.01〜5μm程度である。
【0018】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化ウレタン、シリコーン樹脂、メラ
ミン樹脂、紫外線又は電子線で架橋する多官能アクリレ
ート又はメタクリレートのモノマー又はプレポリマー等
からなる)を用いて所望の凹凸模様に、シルクスクリー
ン印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有
する支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離
型層の機能を有する。
【0019】(転写層)転写層は少なくとも装飾層から
構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層の構成
要素とすることもある。接着剤層を有する構成では、転
写の際に転写シート又は被転写基材の片方又は両方に接
着剤を施すことを省略できる。装飾層はグラビア印刷、
シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の
方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミニウム、
クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分
的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合
わせたものを用いる。絵柄としては、被転写基材の表面
凹凸に合わせて、木目模様、石目模様、布目模様、タイ
ル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、
全面ベタ等を用いる。なお、絵柄層用インキは、バイン
ダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これ
に適宜加える各種添加剤からなる。バインダーには、ア
クリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエ
ステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着
色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料を用いる。また、剥離層を、支持体乃至は離
型層と装飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写
後の装飾層の表面保護の為等に、これら層間に設けるの
は、従来公知の転写シートと同様である。なお、この剥
離層は転写時に装飾層と共に被転写基材側に転写され、
装飾層の表面を被覆する。剥離層には、例えば、上記絵
柄層用インキのバインダーに用いる樹脂、例えば、アク
リル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が用いられる。
特に、表面の耐擦傷性、耐薬品性、耐汚染性を要する場
合は、熱硬化性樹脂、又は電離放射線硬化性樹脂が通常
よく用いられる。剥離層の厚みは、通常0.1〜10μ
mである。また、被転写基材表面と転写シートとの間に
抱き込まれて残留する空気を抜き易くする為に、必要に
応じて転写シート全面に転写シート全層を貫通する小孔
を多数穿設しても良い。
【0020】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前に、又は転写の直前にインライン塗工やオ
フライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写
シート転写層の接着剤層を省略できる。用いる接着剤
は、用途、要求物性等により適宜選択すれば良いが、固
体粒子加速流体に液体を用いる場合には、該液体に対し
て不溶性の物を選択する。用いる接着剤としては、例え
ば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホッ
トメルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤、2液
硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性接着剤、
或いは粘着剤による感圧型接着剤等の各種接着剤を使用
できる。なお、水を固体粒子加速流体に用いる場合は、
湿気硬化型の接着剤や水性接着剤は避ける。上記感熱型
接着剤としては、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱
硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのいずれの接着剤も使用
できる。但し、短時間で接着が完了するという点から
は、熱融着型(感熱溶融型接着剤)が好ましい。また、
接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温で液体又は固
体のいずれでも良く、適宜使い分ける。また、粘着性を
呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤では、接着剤層の単
層のみで転写層とすることができる。接着剤層中に顔料
等の着色剤を添加すれば、全面ベタのインク層からなる
装飾層ともいえる。
【0021】感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹
脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得
られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用いるこ
とができる。熱硬化型接着剤としては、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることがてきる。ま
た、熱硬化型ウレタン樹脂としては、例えば、イソシア
ネートと、該イソシアネートと反応する水酸基等の活性
水素含有化合物とを含有し、室温では固体で且つ熱可塑
性のウレタン未硬化物からなるポリウレタン系接着剤等
を用いることができる。この場合のイソシアネートとし
ては、2価以上の脂肪族又は芳香族或いは脂環式のイソ
シアネートを用いる。
【0022】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱
溶融型接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着
剤は、自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行す
るので、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気
硬化型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶
融型接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の
水分で架橋・硬化反応が徐徐に進行する為に、最終的に
クリープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな
接着力が得られる。但し、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させる為、湿気を含む空気中に転写後
の化粧材を放置して養生する。養生の際の好ましい雰囲
気条件は、大体、相対湿度50%RH以上、気温10℃
以上である。温度・相対湿度とも高い方が、より短時間
で硬化が完了する。標準的な硬化完了時間は、通常の場
合、20℃、60%RHの雰囲気中で10時間程度であ
る。
【0023】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応
して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起
こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマ
ーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウ
レタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を
有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等である。
適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用すること
で、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中にウレタ
ン結合ある場合は、このウレタン結合とも末端イソシア
ネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、こ
のアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0024】ポリイソシアネートプレポリマーの具体例
としては、例えば、ポリオールに過剰のポリイソシアネ
ートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、
且つ分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格
の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−
14287号公報に開示されている様な、ポリイソシア
ネートに、ポリエステルポリオールと、ポリブタジエン
骨格を有するポリオールとを任意の順序で加え付加反応
させて得られた、ポリエステル骨格とポリブタジエン骨
格とがウレタン結合により結合された構造を有し且つ分
子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレ
ポリマー、或いは、特開平2−305882号公報に開
示されている様な、ポリカーボネート系ポリオールとポ
リイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以
上のイシソアネート基を有するポリカーボネート系ウレ
タンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上の
イシソアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレ
ポリマー等が挙げられる。
【0025】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤として
は、上記各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、
各種物性を調整する為に、上記必須反応成分に更に、必
要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填
剤等の各種副材料添加することもできる。これらの副材
料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチ
ックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エ
チルアクリレート(EAA)等の熱可塑性樹脂、テルペ
ン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の
粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色
顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤
等である。
【0026】電離放射線硬化型接着剤として用いる得る
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な
組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不
飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポ
リマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマ
ーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が
好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマ
ーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0027】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート等が使用できる。分子量としては、通常250
〜100,000程度のものが用いられる。ラジカル重
合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モ
ノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマー
として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレ
ポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、
脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等の
ビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオール
としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレー
ト、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の
ポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオー
ルとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリ
ルアルコールを付加したもの等がある。
【0028】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。また、カチオン重合性官能基を有す
る樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。なお、電離放射線としては、接着剤中の分子
を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子
が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子
線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用
いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラ
ックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用され
る。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波
長域が主として用いられる。電子線源としては、コック
クロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器
型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜
1000keV、好ましくは、100〜300keVの
エネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0029】上記電離放射線硬化性樹脂に、更に必要に
応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性
樹脂を添加することもできる。なお、希釈溶剤は添加せ
ずに用いれば、ホットメルト接着剤となる。
【0030】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、曲面転写装置に紫外線や電子線を照射する電離
放射線照射装置を組み込むことができる。照射は、衝突
圧印加中、印加後、或いは印加中及び印加後に行う。
【0031】また、接着剤に用いる上記各種樹脂に、更
に必要に応じ、各種添加剤を添加する事もできる。これ
らの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料
(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソトロピック付
与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場合、接着剤
が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に添加すると
良い。)等である。
【0032】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せば良い。また、特に凹凸表面の被転写
基材に対しては、軟質ゴムロールやスポンジロール等の
ロールを使用したロールコート、カーテンフローコー
ト、スプレーコート、熔融塗工等の塗工法が良い。希釈
溶剤を添加せずに用いれば、溶剤乾燥は不要である。例
えば、感熱溶融型接着剤は、それぞれ無溶剤のホットメ
ルト接着剤として使用できる。また、電離放射線硬化型
接着剤なども無溶剤で施すことができる。ホットメルト
型接着剤として使用する場合は無溶剤なので、転写直前
の塗工でも溶剤乾燥が不要で、高速生産できる。なお、
接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基材の種類及
び表面状態で異なるが、通常10〜200g/m2 (固
形分)程度である。
【0033】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0034】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱
型接着剤を用い、接着剤を活性化して熱融着させる為に
加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、
或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。
接着剤の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行
う。接着剤が施された材料(転写シートや被転写基材)
を加熱しても良く、接着剤が施されていない側の材料を
加熱しても良く、或いはこれら両方の材料を加熱しても
良い。また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子
や、固体粒子加速用の流体を加熱流体として用いても良
い。一方、転写シートが被転写基材の表面形状に追従
し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風等の冷
却手段で接着剤の冷却を促進しても良い。冷風は、転写
シート側や被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手
段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いることもでき
る。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹部内部にま
で追従成形された転写シートが衝突圧開放後に復元力が
ある場合に戻るのも防止する。(以下、次の文書ファイ
ルに続く)
【0035】〔固体粒子〕固体粒子Pとしては、ガラス
ビーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、ア
ルミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、
コランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、
亜鉛等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂
ビーズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレ
タン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビー
ズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等、或
いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複
合粒子等を使用することができる。なお、液体の水を固
体粒子加速流体に使う場合は、固体粒子には、水で錆や
腐食しないステンレスビーズや、ガラスビーズ、セラミ
ックビーズ、樹脂ビーズ等の非金属が好ましい。形状は
球形状が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗
片状、無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体
粒子の粒径としては、通常10〜1000μm程度であ
る。
【0036】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいても良い。また、固体粒子は、接着後
の冷却促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の
固体粒子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。ま
た、固体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却
固体粒子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた
後、冷却固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。
また、他の加熱方法で転写シートや被転写基材、接着剤
等の加熱を要するものを充分に加熱しておき、これに冷
却固体粒子を用いて、転写シートの成形と接着及び冷却
を殆ど同時に行うこともできる。固体粒子を加熱又は冷
却するには、固体粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンク
に貯蔵する場合は、タンク内やタンク外壁の設けた、電
熱ヒータ、加熱蒸気、冷媒等による加熱手段、冷却手段
で行えば良い。また、固体粒子輸送管の外壁にこれら手
段を設けて、輸送管にて加熱又は冷却しても良い。或い
は、固体粒子の加速に流体を用いる場合では、冷却又は
加熱した流体を用いて、該流体からの熱伝導で固体粒子
を冷却又は加熱することもできる。その場合、流体も転
写シートに衝突させることで、流体も固体と共に加熱又
は冷却手段とすることができる。或いは、前記流体が液
体で該液体と共に固体粒子を貯蔵するタンクを用いる場
合では、貯蔵中に固体粒子及び液体を冷却、加熱しても
良い。
【0037】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する噴出器
から、多数の固体粒子を連続して転写シートに向かって
噴出させて、転写シートに衝突圧を印加する。多数の固
体粒子は固体粒子群として転写シートに衝突する。衝突
時の(多数の)固体粒子の単位時間・単位面積当たりの
運動量の変化分が、転写シートを被転写基材へ押し付け
る衝突圧となる。特に、本発明では衝突させるべき転写
シート上に以前に衝突させた固体粒子が堆積しないの
で、前述した如く、前記運動量の変化分は損失無く有効
に衝突圧として転写圧に利用することができる。噴出器
には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。羽根車
はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズルは固体
粒子加速流体として高速の流体流で固体粒子を搬送し加
速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或い
はショットブラスト、ショットピーニング等とブラスト
分野にて使用されているものを流用できる。例えば羽根
車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸
引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠
心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し
噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合して
おいた固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式ブラス
ト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子
を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装
置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。また、噴出
器には、吹出ノズルや羽根車以外にも、重力による自由
落下を利用して固体粒子を加速する方法(図2(B)の
如く斜上方から衝突させる場合)、磁性体粒子を磁場に
よって加速する方法等を採用することも可能である。な
お、羽根車、重力、磁場を用いた噴出器の場合は、真空
中で固体粒子を転写シートに向かって噴出させる事も可
能である。
【0038】〔羽根車〕図3〜図5に、噴出器の粒子加
速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示す。これ
らは、ブラスト分野にて使用されている遠心式ブラスト
装置に該当する。図面では、羽根車812は、複数の羽
根813がその両側を2枚の側面板814で固定され、
且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815となっ
ている。更に、この中空部815内に方向制御器816
を内在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方
向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車81
2の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回
動自在となっている。羽根車使用時は、方向制御器の開
口部を適宜の方向に向くように固定して、固体粒子の噴
出方向を調整する。更に、この方向制御器の内部に、内
部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう
一つの羽根車が散布器818として内在する(図5参
照)。散布器818は外側の羽根車812と共に回転す
る。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸8
19が固定され、回転軸819は、軸受820で回転自
在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって
駆動回転され、羽根車812が回転する。また回転軸8
19は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間
には貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。そ
して、散布器818の内部に固体粒子Pがホッパ等から
輸送管を通って供給される。通常、固体粒子は、羽根車
の上方(直上又は斜上方)から供給する。散布器内に供
給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。
飛び散った固体粒子は、方向制御器816の開口部81
7によって許された方向にのみ放出され、外側の羽根車
812の羽根813と羽根813との間に供給される。
そして、羽根813に衝突し、羽根車812の回転力で
加速され、羽根車から噴出する。
【0039】なお、固体粒子の噴出方向は、図3〜図4
では斜下方であるが、真上や斜上方等の上方向、或いは
図7(B)の様に水平方向等としても良い。図6(A)
及び図6(B)は方向制御器816の開口部817の向
きの設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制
御の概念図である(図6(A)、(B)では方向制御器
はそれぞれ図示の位置で固定されている)。図6は、固
体粒子を主に斜下方へ噴出させる場合であるが、この様
に方向制御器を調整して、固体粒子を真上や斜上方等の
上方向に噴出させることもできる。なお、方向制御器8
16は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさを調整
することで、固体粒子の噴出量を調整することもでき
る。なお、図4に於いては、回転軸819は側面板81
4の外側のみで中空部815にまで貫通していない構成
となっているが、この他、中空部の直径より細い回転軸
を該中空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通り抜
け用の開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身を中
空部とする構成などでも良い(図示略)。羽根813の
形は、図3〜図6の様な長方形の平板(直方体)が代表
的であるが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロペラ
等のプロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、目的
に応じて選択する。又、羽根の数は2枚〜10枚の範囲
から通常は選択する。羽根車の形状、枚数、回転速度、
及び固体粒子の質量や供給速度と供給方向、方向制御器
の開口部サイズ及び向きの組み合わせにより、加速され
た固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密度、
噴出拡散角等を調整する。
【0040】また、図7は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。この場合の固体粒子の噴
出方向は水平方向(図7)、或いは斜下方(図示略)等
が可能である。
【0041】また、上記した羽根車812、812a等
の羽根車には、更に必要に応じ、固体粒子の噴出取出部
分のみ開口させ、それ以外の羽根車周囲を被覆する噴出
ガイド(不図示)を備える事で、固体粒子の噴出方向を
揃えたりする固体粒子噴出方向制御をすることもでき
る。噴出ガイドの開口部の形状は、例えば、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等である。噴
出ガイドは、単一開口部を有するものでも良いし、或い
は内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたものでも良
い。
【0042】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重
量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0043】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等から適宜選択すれば良い。固体粒子は羽根
に接触して加速されるので、羽根には、耐摩耗性のよい
高クロム鋳鋼、セラミックを用いると良い。
【0044】〔吹出ノズル〕固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図8に吹出ノズルを用い
た噴出器840の一例の概念図を示す。なお、同図に示
す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用い、
固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する
形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840は、固
体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室8
41内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、ノズル
開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出する吹出
ノズル部844からなる。圧縮機又は送風機(不図示)
から適宜加圧タンク(不図示)を経て送られる流体F
を、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴
出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用
で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き
混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル8
44のノズル開口部843から流体流と共に噴出するも
のである。なお、固体粒子の噴出方向は図8の概念図で
は図面下向きに図示してあるが、もちろん、吹出ノズル
を上向きとすれば、上方に噴出する。吹出方向は任意で
ある。なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体として
液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合は、例え
ばポンプ(不図示、流体が液体の場合)により、流体と
固体粒子とを加圧タンク(不図示)に混合貯蔵してお
き、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部から噴出す
るもの等が使用される。
【0045】ノズル開口部の形状は、中空の円柱状、多
角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の形状のものを用
いる。吹出ノズルは、単一開口部を有するものでも良い
し、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたも
のでも良い。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜100k
g/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常
1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度
である。誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セラミ
ック、スチール、チタン、チタン合金等から流体の種類
によって適宜選択すれば良い。なお、固体粒子は噴出器
内壁を通過するので、固体粒子に金属ビーズや無機粒子
を用いる場合には粒子が硬質であるので、耐摩耗性のよ
いセラミックを用いると良い。流体が液体の場合は、
錆、溶解、腐食等を生じない材料を選ぶ。例えば流体が
水ならば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、合成樹
脂、セラミックを用いる。但し、表面に防水加工すれ
ば、スチール等でも良い。
【0046】〔流体〕流体Fは、固体粒子加速流体とし
て、固体粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流
体と共に固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場
合(吹出ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速
する固体粒子加速流体である。流体には気体、液体とも
に利用可能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用い
る。気体としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、
窒素等でも良い。液体としては、必ずしも限定されない
が、不燃性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容
易性、等から水は好ましい材料の一つである。この他、
フロン、グリセリン、シリコーン油等の不燃性の液体も
使用できる。液体を(気体もそうであるが)転写シート
に固体粒子と共に衝突させることができる。当然の事な
らがら、液体は気体よりも密度が高い為、気体よりも液
体の方が、流体流で固体粒子を加速する場合に加速し易
く、しかも液体が転写シートに衝突する場合に、気体と
等速度の衝突でも、衝突圧は気体に比べてより大きく且
つ実用性のある衝突圧が得られる。(また、固体粒子と
の密度差も少ないので固体粒子の搬送もし易い。)従っ
て、液体の場合は、転写圧として固体粒子の衝突圧以外
に、液体の衝突圧も利用でき、その分より大きな転写圧
を印加でき、その結果、転写シートを被転写基材の表面
凹凸形状へ追従させ成形する成形効果により大きなもの
が得られる。また、衝突圧印加時の加熱又は冷却手段と
して流体を用いる場合、気体よりも液体の方が比熱が大
きいので、より大きな加熱又は冷却効果が得られる。ま
た、液体が水の様な電気伝導体の場合は、気体の場合に
比べて静電気帯電に対する防爆対策もより容易となる。
【0047】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、1個のみの
使用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて、転写シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。被転写基材を搬送しながら衝突圧を与える場合
は、例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向に直
交して幅方向に一直線状に複数列を配置して、幅方向に
直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或いは、図
9(A)の噴出器4の配置は千鳥格子状の配置であり、
図9(B)は一列配置だが、幅方向中央部は送り方向の
上流側で衝突する様にした配置である。図9(B)の配
置では、転写シートの被転写基材への衝突圧による圧接
は幅方向中央部から始まり、順次、幅方向両端部に向か
って圧接されて行く。この様にすると、幅方向中央部に
空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写基材に密着
することを防止できる。図9の様に噴出器を幅方向に複
数個配列する場合には、個々の噴出器の加圧領域が互い
に一部重複し、全幅にわたってもれなく加圧できる様に
配列することが好ましい。図9(B)にそのような配列
の一例を示す。該図に於いて、点線部分が(有効)加圧
領域を示す。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴
出器は、転写シート及び被転写基材の送り方向に向かっ
て2列以上配置する多段配置が好ましい。
【0048】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。図10は、転写シートの搬送
方向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方
向両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布
の設定例である。この設定は、圧が高い所(同図では中
央部)から低い所(同図では両側部)に向かって順次段
階的に圧接が進行することを助ける。但し、図10の如
き圧力分布とする場合、被転写基材上に於ける衝突圧
は、所望の凹凸面への転写が完全に行えて、なお且つ圧
過剰による転写シートの歪み、被転写基材の変形、破損
等の生じない適正圧力範囲内に全て納まる様に調整す
る。なお、ゴム製転写ローラによる曲面転写方法では、
転写ローラの中央部直径を太めとすれば、圧力的には中
央部は強くできるが、中央部と両端部とで円周長が異な
ってしまい、接触して圧印加され転写シートの送りを均
一に出来ない。衝突圧の調整は、噴出器から転写シート
に衝突する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突する
固体粒子数、投射量、及び1粒子の質量を制御すること
で調整する。これらのうち、固体粒子の速度を調整する
には、例えば羽根車を用いる噴出器の場合は、羽根車の
回転数、羽根車の直径等で調整する。また、吹出ノズル
を用いる噴出器の場合は、バルブの開閉量、バルブに連
結する固体粒子を搬送する管の内径の大小、圧力調整器
(レギュレータ)等を用いて噴出器直前の流体圧(流体
単体、又は流体と固体粒子との混合物)の調整により、
噴出する固体粒子及び流体流の速度を制御することで調
整する。
【0049】〔噴出器の被転写基材に対する配置方法〕
羽根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向
は、原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がら
ず、該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。一方、吹
出ノズルの場合は、噴出する固体粒子の広がりは、羽根
車による噴出器の場合よりも広がりが少なく、且つ広が
っても通常はどの方向にも均一で等方的である。このよ
うな噴出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば
良い。しかし、一つ噴出器で所望の衝突領域の大きさに
出来ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様に、
複数の噴出器を被転写基材の被転写面に対して配置する
場合は、各噴出器は被転写基材に平行にし、且つ各噴出
器の噴出方向が被転写基材の法線方向になる様な配置が
基本である。この様な平行配置は、被転写基材の被転写
面の包絡面に垂直に固体粒子を衝突させ、基本的に衝突
圧を最大に有効利用できるからである。従って、被転写
基材を搬送しながら衝突圧を与える場合、例えば、図1
1の様に、被転写基材Bの被転写面の包絡面1(の搬送
方向に直角の断面形状)が円型になる円筒状の凸曲面で
あれば、複数の噴出器4を用意し各噴出器が主とし受け
持つ個別の衝突面(凸曲面の接平面)に対して、略垂直
に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを近接する被
転写基材面の包絡面の法線方向にして配置すると良い。
この様に噴出器の配置は、対象とする被転写基材の凹凸
形状に合わせて、噴出器の噴出方向を固体粒子がなるべ
く垂直に衝突する様に合わせると良い。ただ、噴出器の
向きは、転写シート支持体側面に対して必ずしも垂直に
する必要はない。また、噴出器は多めに設けておき、製
造する被転写基材によっては、一部の噴出器は停止させ
ても良い。
【0050】〔噴出器の実際の使用法〕また、実際に固
体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の雰囲気
中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好ましい。こ
の為には、固体粒子衝突圧による転写圧を押圧する衝突
空間を周囲空間と隔離するチャンバ(隔離室)内で、固
体粒子を転写シートに衝突させて転写圧を加える等する
と良い(図13参照)。支持体の剥離は、チャンバ外で
も良い。
【0051】〔転写シート、被転写基材、接着剤等の加
熱〕転写圧に固体粒子衝突圧を用いる場合でも、転写ロ
ーラに弾性体ローラを用いる従来公知の転写方法と同様
に、転写圧押圧時やその前に、転写シート、被転写基材
等を適宜加熱することができる。例えば、衝突圧押圧前
では、転写シートは、ヒータ加熱、誘電加熱、熱風加
熱、ローラ加熱(連続帯状の場合)、赤外線輻射加熱等
の任意の従来公知の加熱手段で加熱すれば良く、被転写
基材(及びその被転写面に施した接着剤層)も転写シー
ト同様に従来公知の任意の加熱手段で加熱すれば良い。
例えば誘導加熱や誘電加熱は基材内部から加熱できる
が、一方、ヒータ加熱、赤外線加熱、熱風加熱は、凹凸
表面側からの加熱が効率的である。また、被転写基材は
裏面側からも加熱してもよい。裏面側からの加熱は、例
えば被転写基材裏面を露出できる中空部を有する基材支
持具を用いれば良い。また、衝突圧押圧時の加熱は、固
体粒子に加熱固体粒子を用いたり、噴出器の間隙に分散
してヒータ等の熱源を設けたり、吹出ノズルによる噴出
器では、その固体粒子加速流体も加熱流体を用いること
ができる。もちろん、衝突圧の押圧前及び押圧中の加
熱、或いは押圧中のみの加熱でも良く適宜使い分ける。
但し、熱風加熱は、衝突空間を周囲と隔離するチャンバ
内で行うと内部に気体を流入しチャンバ内圧力バランス
に影響するので、チャンバ外で行う方が好ましい。それ
は、空気をチャンバ内に入れることになり、固体粒子加
速用に空気を用いる場合も含めて、衝突と同時に使用済
み固体粒子を気流によりチャンバ内から吸引して回収す
る場合に、回収用の真空ポンプの負荷増にもなり、また
固体粒子の流れを攪乱することになるからである。
【0052】〔接着剤の強制冷却〕接着剤が熱融着型の
場合は、転写シートが被転写基材に密着後に接着剤を強
制冷却すれば、凹部内部にまで追従、成形された転写シ
ートの固着化を促進して、転写シートに復元力がある場
合に圧解放後、転写シートが元の形状に戻ることを防止
し、転写シート(の支持体)の剥離除去をより早くでき
るので、転写抜け防止や生産速度向上が図れる。この為
には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま冷却固
体粒子を用いたり、或いは固体粒子加速流体を用いる場
合は冷却流体を用いたり、衝突圧印加後に、風冷等の他
の冷却手段を用いて接着剤層を冷却すると良い。被転写
基材の熱容量が大の場合は、冷却固体粒子及び冷却流体
以外にも、低温流体の吹き付け、基材支持具等の基材支
持手段側からの冷却や、露出させた被転写基材裏面への
冷風吹付等により、被転写基材を裏面から冷却できる。
或いは、チャンバ内でのこれら冷却の後にチャンバ外
で、或いはチャンバ内では冷却せずにチャンバ外のみ
で、表や裏からの冷風吹き付け等で冷却しても良い。な
お、これは転写シートの冷却にも言える。
【0053】〔支持体の剥離〕なお、支持体を剥離する
タイミングは、衝突圧の解除以降、支持体が剥離時応力
で切断や塑性変形をし無い程度に冷却し、接着剤層が冷
却や硬化反応で固化し転写シートが被転写基材に固着し
た時点以降に行えば良い。
【0054】〔曲面転写装置〕本発明の曲面転写装置と
しては、少なくとも基材搬送手段、転写シート支持手
段、固体粒子噴出手段を備えた構成の装置であれば良
く、例えば、被転写基材を搬送しながら連続帯状の転写
シートを連続供給して連続的に衝突圧で押圧した後、引
き続き剥離ローラ等で機械的に転写シート支持体を連続
的に剥離する連続生産する形態でも良い。或いは、被転
写基材に枚葉の転写シートをバッチ式で衝突圧で押圧し
た後、手作業又は剥離ローラ等で機械的に転写シート支
持体を剥離する形態等でも良い。或いは、基材支持具で
支持した被転写基材に対して、枚葉の転写シートを転写
シート支持具で基材支持具に対して固定して、基材支持
具と転写シート支持具とを一体として搬送或いは持ち運
びしても良い。この場合、衝突圧を加える時は停止して
加えても良いし、搬送しながら連続的に加えても良い。
被転写基材を搬送処理すれば、被転写基材や転写シート
を予熱する為の加熱ゾーンと、衝突圧を加える為の衝突
圧印加ゾーンとを区別して設ける事もできる。
【0055】基材支持手段は基材支持具等として図1の
概念図で示した様に、被転写基材の凹凸表面が成す包絡
面を下向き又は鉛直に支持できれば良く、被転写基材は
その裏面や側面等の転写しない面で保持すれば良い。保
持面が、上向きとなる裏面であれば吸盤や仮固定ネジ等
で保持し、側面であれば、対向する平行な両側面で被転
写基材を押圧する等で保持すれば良い。或いは磁性体の
場合であれば、電磁石で吸引することも可能である。ま
た、図12(A)に示す様に、被転写基材の被転写面の
周縁部に転写しない非転写部5が延設されている形状な
らば、例えば図12(B)の様に、対向する辺の非転写
部5を表裏から挟持して被転写基材を保持する様な、基
材支持手段(基材支持具)2aでも良い。なお、同図の
転写シート支持手段3であるクランプ等の転写シート支
持具は、転写シートをその端部で基材支持具に対して支
持する。或いは、基材支持手段(基材支持具)は、額縁
状の枠体として、枠上に被転写基材を載置等保持すれ
ば、枠体中央の開口部に被転写面を露出させることがで
きる。なお、包絡面を鉛直とする場合で被転写基材が平
板状であれば、基材支持手段は、単に被転写基材を垂直
に立てるだけでも良い。バッチ式で衝突圧を加える装置
であれば、基材支持手段はその都度手作業で装置にセッ
トできるもので良い。転写シート支持手段も同様であ
る。例えば、額縁状の中空長方形の基材支持手段で被転
写基材をその周囲で支持し、この基材支持手段に対して
枚葉の転写シートを同じく額縁状の中空長方形の転写シ
ート支持手段で、転写シートの周囲を固定すれば良い。
更に、被転写基材を固体粒子噴出手段まで搬送して、そ
のまま搬送しながら又は一時停止させて、衝突圧を加え
るのであれば、被転写基材は、それを保持した上記の様
な基材支持手段を、搬送する基材搬送手段で搬送すれば
良い。基材搬送手段は、例えば、幅方向両側に設けたガ
イドレールと搬送チェーンによって、カイドレールで基
材搬送手段を支持して、搬送チェーンによって基材搬送
手段を移動搬送する。或いは、基材支持手段と基材搬送
手段とは一体のものでも良い。転写シート支持手段は、
転写シートが枚葉であれば、その全周囲或いは任意の端
部で基材支持手段に対して転写シートを固定する事で、
転写シートを支持すれば良い(図1、図12参照)。ま
た、転写シートが連続帯状であれば、被転写基材の搬送
と同一方向、同一速度で転写シートを搬送すれば良い。
この際、その幅方向両端部を表裏から挟持しながら搬送
しても良い。
【0056】図13の概念図で、チャンバ6内で衝突圧
を加える様子を示しておく。同図は、バッチ式の装置で
あれば箱型のチャンバ6上方の開口部に被転写基材Bを
載置する形態の装置を概念的に示し、また、被転写基材
を搬送しながら衝突圧を順次加える装置であれば、固体
粒子を衝突させる部分であるチャンバ6上方の被転写基
材Bは搬送移動している装置を概念的に示す。これらで
は、被転写基材自身をチャンバの隔壁の一部として利用
する形態であるが、もちろん被転写基材そのものをチャ
ンバ内に入れてしまう形態でも良い。いずれにせよ、被
転写基材Bは基材支持手段2によって支持され、転写シ
ートSは、転写シート支持手段3によって支持される。
固体粒子Pは、固体粒子噴出手段4である噴出器から転
写シートの支持体側に噴出される(図面破線矢印は固体
粒子の飛跡を表す)。衝突後の固体粒子は跳ね返り、ま
た自重でチャンバ6の下部に集積する。集積した固体粒
子は、衝突圧印加後に回収して再利用しても良く、或い
は衝突圧印加と同時平行して回収して循環再利用する様
にしても良い。
【0057】〔その他〕なお、被転写基材を搬送しなが
ら連続的に衝突圧を加える装置とする場合は、衝突圧印
加と同時にオンラインで、その上流側に基材塗工装置を
配置して、下塗り塗装や接着剤塗工等を行っても良い。
塗工時は被転写基材の被転写面は通常は上向きで行い、
基材支持手段により衝突圧印加時までに向きを下向きに
変える。この場合、被転写基材への塗装や接着剤を乾燥
すべく、溶剤分や水分を蒸発させる役割も持たせた加熱
装置は、チャンバ内部に配置するのは好ましくない。チ
ャンバ内に充満した蒸発した溶剤や水分の排気手段が必
要となり、また溶剤の場合は防爆対策を考慮する必要も
生じる。このような目的の加熱装置は、チャンバの外部
に配置するか、内部に配置したとしても、外部に蒸発用
の加熱装置(乾燥炉)を別に配置することが好ましい。
もちろん、下塗り塗装は別ラインで行う形態とすれば、
加熱装置を乾燥装置と兼用する必要はない。また、チャ
ンバ内は窒素、アルゴン、炭酸ガス、フロンガス等の不
活性ガスを充満させて、接着剤等に電離放射線硬化性樹
脂を用いる場合に、空気中の酸素、水蒸気等が該樹脂の
硬化を阻害するのを防止しても良い。また、衝突圧印加
前に、弾性体ローラによる転写シートの被転写基材への
押圧を予備的に行っても良い。
【0058】〔転写製品の用途〕本発明で得られる化粧
材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、
特に三次元的凹凸表面の物品であるような各種用途に用
いられ得る。例えば、化粧材として、外壁、塀、屋根、
門扉、破風板等の外装、壁面、天井、床等の建築物の内
装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化
粧、箪笥等の家具やデレビ受像機等の弱電・OA機器の
キャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両内装
材、航空機や船舶等の内装材等の各種分野で用いられ得
る。化粧材は化粧板等として利用される。なお、化粧材
も含めて転写製品の形状は、平板、曲面板、棒状体、立
体物等と任意である。
【0059】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面に、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に
透明保護層を塗装する等しても良い。この様な透明保護
層は、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、硬化型ウ
レタン樹脂等と熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射
線硬化性樹脂等の各種樹脂からなる塗料で塗工形成す
る。また、必要に応じて、ベンゾトリアゾール、超微粒
子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系
ラジカル捕捉剤等の光安定剤、着色顔料、体質顔料、滑
剤等を添加した塗料を用いる。塗料は、溶剤系、水系、
無溶剤系等を適宜使い分ける。また、外装用途では、無
機系塗料を用いることもできる。塗工はスプレー塗装、
フローコート、軟質ゴムロールやスポンジロールを使用
したロールコート等で行う。透明保護層の膜厚は1〜1
00μm程度である。
【0060】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0061】(実施例)先ず、三次元的表面凹凸を有す
る被転写基材Bとして図14(A)の平面図及び図14
(B)の要部斜視図に例示する様な、大柄な凹凸として
深さ1.5mm、開口幅5mmの目地の溝状凹部401
と、煉瓦積み模様の平坦凸部402とを有し、微細な凹
凸として平坦凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲
に分布する梨地調の微細凹凸403を有する、大柄な凹
凸と微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を有する
厚さ18mmのケイ酸カルシウム板を用意した。そし
て、被転写基材の凹凸表面にウレタン樹脂系の下地塗
装、下塗り塗装を予め行った。また、転写シートSは支
持体に厚さ100μmのポリプロピレン系熱可塑性エラ
ストマーフィルムの片面に、転写層となる装飾層として
煉瓦調の絵柄を順次グラビア印刷し、更に装飾層の上に
接着剤層をナイフコータにて塗工形成したものを用意し
た。絵柄インキのバインダーの樹脂としては、アクリル
樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8:2(重
量比)の混合物を、また、着色顔料としては、弁柄、イ
ソインドリノン、カーボンブラック、チタン白を用い
た。また、接着剤には2液硬化型アクリルポリオール系
接着剤を用いた。
【0062】次に、図3〜図5の如き羽根車の噴出器を
用いチャンバ内で衝突圧を加える曲面転写装置で、転写
シートの被転写基材への圧接を行った。上記被転写基材
の凹凸表面を下向きにして枠状の基材支持具に保持固定
し、この基材支持具に対して、上記で得た枚葉の転写シ
ートを枠状の転写シート支持具で、その転写層側を被転
写基材側を向くように固定して転写シートを支持した。
そして、この状態で、被転写基材の裏側(上側)と転写
シートの支持体側(下側)からの上下両方から赤外線輻
射加熱により加熱して転写シートの加熱軟化、接着剤の
活性化、被転写基材の予熱を行った。その後、図13の
如く基材支持具及び転写シート支持具により、被転写基
材が上側、転写シートが下側となる様にチャンバに取り
付けた。そして、噴出器から平均粒径0.4mmの球形
の亜鉛球を固体粒子として、噴出速度35〔m/s〕で
転写シート支持体に向かって斜上方に噴出させた。投射
密度は80kg/m2 であった。そして、転写シートは
衝突圧により被転写基材に押圧され圧接した。転写シー
トが被転写基材に密着後、チャンバから取り外した。室
温(25℃)で放置して冷却後、転写シートの支持体を
被転写基材から剥離除去して転写製品として化粧材を得
た。固体粒子は転写シート支持体上に残存せず、固体粒
子の衝突による運動量変化を効率的に衝突圧として転写
圧に利用できた結果、転写シートは、表面凹凸の凹部内
部にまで完全に追従して絵柄が転写されていた。また、
更に、この化粧材の転写層の表面に、0.5重量%のベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニ
リデンのエマルション塗料を乾燥時厚さ10μmに塗布
して、透明保護層を形成して、透明保護層付きの化粧材
を得た。
【0063】(比較例)実施例1において用いた、被転
写基材及び転写シートを用いて、被転写基材の被転写面
を天地逆にして、固体粒子は上から衝突させる形態のチ
ャンバ内で衝突圧を押圧した。噴出器の種類及び固体粒
子、噴出速度、投射密度は実施例と同一である。その結
果、衝突後の固体粒子が転写シート支持体上に残存、堆
積し、表面凹凸の深い所では十分に固体粒子の衝突圧が
加えられなかったため、一部に絵柄が転写されない転写
抜けが認められた。また、衝突圧印加後に転写シート支
持体上に残存した固体粒子を、ブラシやエアーで除去す
る作業が必要であった。
【0064】
【発明の効果】 本発明によれば、転写製品として例えば大きな三次元
的凹凸表面が装飾された化粧材が容易に得られる。もち
ろん、窓枠、サッシ等の二次元的凹凸も可能であり、平
板状の板材以外にも、瓦の様に全体として(包絡面形状
が)波うち形状のもの、或いは凸又は凹に湾曲した形状
のものでも容易に得られる。 しかも、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部内(底部や凸
部と底部の連結部分である側面)も転写できる。また、
大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸模様(例えば、
ヘアライン、梨地等)が有る場合でも、その微細凹凸の
凹部内にまで、転写にて装飾できる。 更に、衝突圧を加える際に、被転写基材の凹凸表面が
成す包絡面を下向き又は鉛直にするので、転写シートに
衝突後の固体粒子が転写シート上に堆積せず、後続の固
体粒子の衝突による運動量変化を効率的に衝突圧として
転写圧に利用できる。その結果、被転写基材が複雑な表
面凹凸形状でも、その凹部内部にまで、転写シートをよ
り完全に追従・成形させて転写できる。また、転写シー
ト上に衝突後の固体粒子が堆積しないので、堆積した固
体粒子を吹き飛ばして除去する等の衝突圧押圧後の後処
理の必要が無く、作業性も優れる。その上、一度衝突さ
せた後の固体粒子を確実に回収し、再利用できる。 また、従来のゴムローラ押圧方式の様に、被転写基材
の凹凸部によるローラ等部品の損耗も無い。 以上の結果、従来に無く極めて意匠性に優れた化粧材
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於いて、被転写基材の凹凸表面が成す
包絡面を下向きにして、固体粒子の衝突圧を加える様子
を説明する概念図。
【図2】被転写基材の凹凸表面が成す包絡面の設定例
と、固体粒子の衝突させる方向例を説明する概念図。
【図3】羽根車を用いた噴出器の一形態を説明する概念
図(正面図)。
【図4】図3の羽根車部分の斜視図。
【図5】図3の羽根車内部を説明する概念図。
【図6】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図7】羽根車を用いた噴出器の別の形態を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図8】吹出ノズルによる噴出器の一形態を説明する概
念図。
【図9】噴出器の各種配置形態を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図10】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図11】噴出器の向きの一形態を示す流れ方向からみ
た側面図。
【図12】被転写基材を支持する基材支持手段の他の形
態を説明する概念図。
【図13】衝突圧をチャンバ内で加える様子を示す概念
図。
【図14】被転写基材の三次元表面凹凸の一例を示す説
明図であり、(A)は平面図、(B)は要部斜視図。
【符号の説明】
1 被転写基材の凹凸表面 2 基材支持手段(基材支持具) 3 転写シート支持手段(転写シート支持具) 4 噴出器(固体粒子噴出手段) 5 非転写部 6 チャンバ 401 溝状凹部 402 平坦凸部 403 微細凹凸 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 被転写基材 D 化粧材(転写製品) E 凹凸表面の包絡面 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹凸表面へ
    の転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着
    後、転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層
    を被転写基材に転写する曲面転写方法であって、 被転写基材の凹凸表面が成す包絡面のうち、少なくとも
    転写シートを介して衝突圧が被転写基材に加えられてい
    る部分においては、当該部分の前記包絡面を下向き又は
    鉛直にして、被転写基材への転写シートの圧接を行う、
    曲面転写方法。
  2. 【請求項2】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、転写シートを被転写基材
    の凹凸表面に圧接して転写する曲面転写方法を実施する
    為に使用される装置であって、少なくとも、 被転写基材の凹凸表面が成す包絡面のうち、少なくとも
    転写シートを介して衝突圧が被転写基材に加えられてい
    る部分においては、当該部分の前記包絡面を下向き又は
    鉛直にして被転写基材を支持する基材支持手段と、 被転写基材の包絡面が下向き又は鉛直の上記凹凸表面側
    に、転写シートの転写層側を対向させる様に、転写シー
    トを支持する転写シート支持手段と、 固体粒子を噴出する固体粒子噴出手段とを備え、 被転写基材の凹凸表面が成す包絡面のうち、少なくとも
    転写シートを介して衝突圧が被転写基材に加えられてい
    る部分においては、当該部分の前記包絡面を下向き又は
    鉛直にして、被転写基材への転写シートの圧接を行う、
    曲面転写装置。
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