JP2000280340A

JP2000280340A - 曲面転写方法

Info

Publication number: JP2000280340A
Application number: JP8755799A
Authority: JP
Inventors: Hirohisa Yoshikawa; 浩久吉川
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 1999-03-30
Filing date: 1999-03-30
Publication date: 2000-10-10

Abstract

(57)【要約】【課題】固体粒子衝突圧を転写圧に用いた曲面転写方
法にて、小さい凹部内までも転写圧を十分に与え、且つ
衝突衝撃による基材破損等も無い様にする。【解決手段】使用する固体粒子Ｐとして、粒径が互い
に異なる２種類以上の固体粒子の混合体を使用して、そ
のうちの小さい粒径の固体粒子が被転写基材Ｂの凹部１
内にも入り込んで転写圧を与えられる様にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等に用いる凹凸装飾面を有する化
粧材等の転写製品を製造する為の曲面転写方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から、転写法で被転写基材を装飾し
た化粧板等の転写製品が各種用途で使用されている。こ
の場合、装飾面が平面ならば転写は容易だが、装飾面が
凹凸形状の凹凸表面に対しては格別の工夫を行ってい
た。例えば、三次元的凹凸形状（すなわち、半球面の様
に２方向に曲率を有する形状）の被転写面への曲面転写
方法が、特開平５−１３９０９７号公報に提案されてい
る。すなわち、同号公報は、ローラ転写法の一種であ
り、熱可塑性樹脂フィルムからなる支持体シートに、転
写層として剥離層、絵柄層及び接着剤層を順次設けた構
成の転写シートを、表面に凹凸形状を有する被転写基材
上に設置し、支持体シートの裏面から、ゴム硬度６０°
以下としたゴム製の熱ローラで押圧する事で、凹凸表面
に絵柄を転写して化粧板とする。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様なローラ転写法による従来方法では、基本的に回転す
る熱ローラのゴムによる弾性変形を利用して、転写シー
トを表面凹凸形状に追従させる為に、浅いエンボス形状
等は良いとしても、大きな表面凹凸形状には適用でき
ず、転写シートの凹凸追従性が悪い。また、転写速度も
上げられず生産性も悪い。その上、被転写基材の凹凸の
隅角部によって軟質のゴムローラが損耗し易い。また、
全体として平板状の基材に限定されるといった問題があ
った。

【０００４】この様なこともあって、本出願人は、既に
特許第２８４４５２４号等に開示された如く、転写圧と
して固体粒子衝突圧を利用した曲面転写方法を提案し
た。すなわち、図３の概念図で示す如く、表面が凹凸形
状の凹凸表面を有する被転写基材Ｂの凹凸表面側に、支
持体シートと転写層とからなる転写シートＳの転写層側
を対向させ、該転写シートの支持体シート側に多数の固
体粒子Ｐを衝突させ、その衝突圧を転写圧として利用し
て、被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行こ
とで、被転写基材の凹凸表面への転写を行う方法であ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記固体粒
子衝突圧を利用する曲面転写方法は、従来の曲面転写方
法では不可能であった深い三次元的凹凸形状等にも適用
できる極めて優れた転写法ではあるが、転写圧の押圧に
固体粒子と言う粒状物を用いているが故に、使用する固
体粒子の粒径次第では、（間口の）小さい凹部の中にま
で固体粒子が入り込めず、その為、固体粒子衝突圧を微
小凹部の中まで転写圧として与えられない事があった。
そうかといって、粒径が十分に小さい固体粒子を使え
ば、（間口の）小さい凹部の中にまで固体粒子を入り込
ませる事はできるが、その分、固体粒子の質量が小さく
なって運動量が小さくなる為に、固体粒子衝突圧による
転写圧を全面にわたって十分に与え難くなる事があっ
た。それは、質量低下分を補う為に衝突速度を上げる
と、衝突衝撃が大きくなり、脆い被転写基材では基材破
損が起きる為に、速度を上げるにも限界があったからで
ある。

【０００６】そこで、本発明の課題は、固体粒子衝突圧
を転写圧に利用する場合でも、小さい凹部の中までも転
写圧を十分に与え、且つ衝突衝撃による基材破損等も起
こさない事ができる曲面転写方法を提供する事である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の曲面転写方法は、凹凸表面を有する被
転写基材の凹凸表面側に、支持体シートと転写層とから
なる転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの
支持体シート側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を転
写圧として利用して、被転写基材の凹凸表面への転写シ
ートの圧接を行うことで、被転写基材の凹凸表面への転
写を行う曲面転写方法において、使用する固体粒子が、
粒径が互いに異なる２種類以上の固体粒子の混合体から
なる様にした。この様に、粒径が互いに異なる２種類以
上の固体粒子の混合体を、固体粒子として使用すること
で、小さい凹部の中までも転写圧を十分に与えることが
でき、且つ衝突衝撃による基材破損等も起きさない事が
できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の曲面転写方法について、実施の形態を説明する。

【０００９】先ず、図１は、本発明の曲面転写方法に
て、被転写基材の被転写面の凹部内に固体粒子衝突圧を
与えられる固体粒子について、その粒径の大小関係を概
念的に説明する概念図である。すなわち、同図では、被
転写基材Ｂの被転写面には、開口幅Ｗが全て同じ複数の
凹部１がある。一方、固体粒子Ｐは完全な球形状である
とする。そして、図１中央部で示す如く、固体粒子の粒
径（球の半径）ｒが、２ｒ＞Ｗ、即ち粒径の２倍（直
径）が間口幅Ｗよりも大きい関係となる固体粒子Ｐは、
凹部１内に入り込めない。しかし、図１右側で示す如
く、固体粒子の粒径ｒが、２ｒ＜Ｗ、即ち粒径の２倍が
間口幅Ｗよりも小さい関係となる固体粒子Ｐは、凹部１
内に入り込める。従って、この場合には、凹部内にも固
体粒子衝突圧を転写圧として与えて、凹部内でも転写で
きる事になる。（なお、固体粒子の粒径は直径で表す
が、ここの理論的考察の部分だけは粒径に半径を使用す
る。）なお、２ｒ＝Ｗと同じ場合は、固体粒子は凹部内
に一応入る事は出来ると考えられるが、凹部両側の側面
と接触して、固体粒子の運動エネルギーは熱エネルギー
として消費され、転写圧への利用は確実では無い。ま
た、図１はあくまでも概念的なものであり、凹部の断面
形状等のその側面が斜面や曲面等が多いので、この点で
は、２ｒ＝Ｗであっても、転写圧は与えられる傾向とな
る。また、粒径ｒと開口幅Ｗとの関係は、厳密には転写
シートの厚みも考慮する必要がある。（上記各式で、Ｗ
をＷ−２ｄとすれば良い。ここでｄは転写シートの総厚
である。但し、ｄ≪Ｗ且つｄ≪ｒである場合は、ｄ＝０
と見做しても良い。）

【００１０】以上の様に、転写すべき被転写面の凹凸の
間口幅が小さい場合には、上記間口幅と粒径との関係を
満足する粒径の固体粒子をただ単に使用すれば良い事も
あり得る。しかし、固体粒子衝突圧は、転写シートに衝
突させる固体粒子の運動量が変換されたものである為
に、小さい粒径の固体粒子では、付与できる固体粒子衝
突圧それ自体も小さくする事になり、必要十分な転写圧
を被転写面全面にわたって付与できない事もある。

【００１１】それは、次の様に説明される。すなわち、
固体粒子の密度ρ＝一定として、粒径ｒの固体粒子を速
度Ｖで転写シートに衝突させると、転写シートを被転写
面の凹凸に追従させる圧力と相関する固体粒子の運動量
Ｐ（ｒ）は、下記〔式１〕で表すことができる。そし
て、粒径をａ倍のａｒにすると、その固体粒子の運動量
Ｐ（ａｒ）は、下記〔式２〕となる。

【００１２】

【数１】

【数２】

【００１３】そして、転写シートへの固体粒子の衝突
を、時間Δｔの間に、固体粒子の運動量が＋Ｐから−Ｐ
に変わる完全弾性衝突と見なすと（但し、運動量ベクト
ルの向きは衝突前後とも被転写面の法線方向を向いてい
るとする）、固体粒子の衝突（圧）力Ｆは、粒径ｒの場
合のＦ（ｒ）と、粒径ａｒの場合のＦ（ａｒ）とは、そ
れぞれ、下記〔式３〕と〔式４〕で表すことができる。

【００１４】

【数３】

【数４】

【００１５】すなわち、固体粒子の衝突（圧）力Ｆ
（ｒ）は、粒径ｒの３乗に比例して増大し、粒径ｒの変
化の影響度合いは大きい。これを概念的に図示したのが
図２（Ａ）である。Ｆ（ｒ）は、粒径ｒが小さくなって
小さくなれば、転写圧は小さくなり転写が不良の方向に
向かい、Ｆ（ｒ）が粒径ｒが大きくなって大きくなれ
ば、転写圧は大きくなり転写は良好な方向に向かう。

【００１６】一方、被転写基材の被転写面の凹部のう
ち、粒径ｒの固体粒子が、その凹部内部に入って行ける
最小の間口幅Ｗは、Ｗ（ｒ）＝２ｒ〔式５〕であり、粒
径がａ倍になるとＷ（ａｒ）＝２ａｒ＝ａＷ（ｒ）〔式
６〕となる。

【００１７】

【数５】

【数６】

【００１８】従って、間口幅Ｗと粒径ｒとの関係に於い
ては、Ｗ（ｒ）は、粒径ｒ（の１乗）に単純に比例して
増大するだけである。これを概念的に図示したのが図２
（Ｂ）である。固体粒子が入って行ける最小の間口幅Ｗ
（ｒ）は、粒径ｒが小さくなれば小さくなり、より狭い
間口幅の凹部内も転写が良好の方向に向かう。一方、粒
径ｒが大きくなれば最小の間口幅Ｗ（ｒ）は大きくな
り、より広い間口幅の凹部内でも転写は不良な方向に向
かう。但し、間口幅Ｗと粒径ｒとの関係は、粒径ｒ（の
１乗）に正比例するのみで、前記した固体粒子の衝突
（圧）力Ｆが、粒径ｒの３乗に正比例して影響される程
には影響度は大きくない。

【００１９】以上説明した様に、小さい粒径の固体粒子
は、被転写面の表面凹凸の細かい所に、転写シートを追
従させて転写させる事ができるが、質量が軽くなる為
に、同じ衝突（圧）力Ｆを与える為には、その分、速度
を上げる必要がある。しかし、速度を上げ過ぎると、例
えばセメント系の被転写基材等の脆い被転写基材の場合
には、表面凹凸が欠け落ちたり基材に亀裂が発生したり
する基材破損が起きる場合もある。一方、大きい粒径の
固体粒子は、質量が重くなる為に、同じ衝突（圧）力Ｆ
の場合、その分、速度は小さくても良いが、小さい凹部
内には入り込めず、転写シートを追従させ得る凹凸形状
に限界があった。

【００２０】以上の様に、固体粒子の粒径の大小は、
（Ａ）転写圧を与え得る最小の被転写面の凹凸と、
（Ｂ）固体粒子衝突圧による十分な転写圧の付与とに、
逆関係で相関していた。従って、対象となる被転写基材
の被転写面の凹凸形状次第では、これら（Ａ）及び
（Ｂ）の両方を満足させる事が難しいこともあった。

【００２１】そこで、本発明では、使用する固体粒子と
して、粒径が互いに異なる２種類以上の固体粒子の混合
体を用いる事にした。この様にすれば、粒径が小さい固
体粒子は、粒径が大きい固体粒子では何ら転写圧を与え
られなかった様な間口幅の小さい凹部内にも入り込んで
転写圧を与えられる上、粒径が大きい固体粒子によっ
て、衝突衝撃による基材破損を起こさずに、十分な転写
圧も与えられる事になった。なお、粒径が大きい固体粒
子はその粒径に比較して間口幅が小さい凹部内には入り
込めないが、該間口幅が小さい凹部以外の凹部やその他
の凸部等においてはなんら障害無く衝突して転写圧を与
えられる。また、粒径の大きい固体粒子は、間口幅が小
さい凹部内に入り込んだ粒径の小さい固体粒子（の上）
に更に衝突する（追突する）ことで、粒径の小さい固体
粒子のみではその質量が小さい為に十分な転写圧を該凹
部内に与えられない場合でも、粒径の大きい固体粒子に
よる衝突圧の伝達によって、十分な転写圧を与えること
ができる。

【００２２】ところで、固体粒子に、粒径が互いに異な
る２種類以上の固体粒子の混合体を用いるには、例え
ば、平均粒径が互いに異なる２種類の固体粒子を、適宜
配合で混ぜ合わせたものを使用すれば良い。例えば、固
体粒子として、平均粒径１．０ｍｍの金属ビーズと、平
均粒径０．４ｍｍの金属ビーズの混合体を用いる。

【００２３】なお、金属ビースの場合は、どちらかと言
うと粒度分布が狭いものを、その平均粒径毎のグレード
で入手できる為に、上記混合体としては、平均粒径と言
うよりは粒径が異なるビースを２種以上混ぜ合わせると
良い。また、粒度分布が広い状態で入手できる固体粒子
で、なお且つ粒度分布の範囲内に所望の小さい粒径の固
体粒子と大きい粒径の固体粒子を含んでおれば、特別の
調合無しに使用することもできる。また、例えば互いに
異なる粒径が、（平均粒径で）２種類のみの場合、その
混合体の粒度分布は、二つのピークが存在する事もある
し、ピークは一つしか存在しない事もある。それは、元
のそれぞれの固体粒子の粒度分布の広がり度合いによ
る。本発明で使用する混合体は、これらいずれも排除す
るものでは無い。

【００２４】また、もちろんだが、使用する混合体中の
固体粒子の複数の粒径は、転写すべき被転写面の凹凸形
状によって、適宜なものとすれば良い。なお、混合体と
は、粒径の異なる２種類以上の固体粒子を、その粒径毎
に時間的に区別して衝突させるのではなく、粒径の異な
る２種類以上の固体粒子を、時間的に区別せずに同時又
は略同時に転写シートに衝突させる様に使用することを
意味する。但し、これは、転写シートを基準にした固体
粒子の粒径の捉え方であって、固体粒子を噴出する噴出
器を基準にした捉え方では無い。すなわち、噴出器毎に
噴出する固体粒子の粒径を分けて噴出器を使用して、こ
れら噴出器から空中で混ざり合う様に同時に同じ部分の
転写シートに固体粒子を衝突させる様にしても良い。但
し、衝突後の固体粒子を回収再利用する時は、異なる粒
径の固体粒子が混ざり合ったものとなるので、噴出器毎
に粒径を分けずに使用した方が、装置的には容易であ
る。

【００２５】以下、さらに本発明の曲面転写方法につい
て詳述する。

【００２６】〔固体粒子〕上述した粒径が互いに異なる
２種類以上の固体粒子の混合体に使用する固体粒子とし
ては、セラミックビーズ、ガラスビーズ等の非金属無機
粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴ
ムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の
無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使
用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状
でも用い得る。例えば、金属亜鉛球は、基材への衝撃に
よる基材破壊が少ない点で好適な固体粒子である。な
お、粒径は通常１０〜１０００μｍ程度である。これら
の粒径の中から、被転写面の凹凸形状に応じて、少なく
とも２種類以上の粒径の固体粒子を選んで使用する。

【００２７】固体粒子は噴出器から転写シートに向かっ
て噴出させ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧
となる。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを
用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹
出ノズルは高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車
や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラ
スト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用さ
れているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブ
ラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装
置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装
置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧
式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子
を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。これらの中でも、羽根車
は、固体粒子の噴出量が多い点で効率的で好ましい噴出
器の一つである。

【００２８】図４及び図５は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車８１２は、複数の羽根８
１３がその両側を２枚の側面板８１４で固定され、且つ
回転中心部は羽根８１３が無い中空部８１５となってい
る。更に、この中空部８１５内に方向制御器８１６を内
在する（図５参照）。方向制御器８１６は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部８１７を有し中空筒状で羽
根車８１２の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する〔図６（Ａ）及び（Ｂ）参
照〕。更に、この方向制御器の内部に、内部中空で羽根
車８１２の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車
が散布器８１８として内在する（図５参照）。散布器８
１８は外側の羽根車８１２と共に回転する。そして、前
記側面板８１４の回転中心には回転軸８１９が固定さ
れ、回転軸８１９は、軸受８２０で回転自在に軸支され
電動機等の回転動力源（図示略）によって駆動回転さ
れ、羽根車８１２が回転する。また回転軸８１９は、羽
根８１３を間に有する２枚の側面板８１４間には貫通し
ておらず、軸無しの空間を形成している。そして、散布
器８１８の内部に固体粒子Ｐがホッパ等から輸送管を通
って供給される。通常、固体粒子は、羽根車の上方（直
上又は斜上方）から供給する。散布器内に供給された固
体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。飛び散った
固体粒子は、方向制御器８１６の開口部８１７によって
許された方向にのみ放出され、外側の羽根車８１２の羽
根８１３と羽根８１３との間に供給される。そして、羽
根８１３に衝突し、羽根車８１２の回転力で加速され、
羽根車から噴出する。羽根車８１２の寸法は、通常直径
５〜６０ｃｍ程度、羽根の幅は５〜２０ｃｍ程度、羽根
の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車の回転数は５
００〜５０００〔ｒｐｍ〕程度である。固体粒子の噴出
速度は１０〜５０〔ｍ／ｓ〕程度、投射密度（基材単位
面積当たりに衝突させる固体粒子の総重量）は１０〜１
５０〔ｋｇ／ｍ²〕程度である。

【００２９】〔固体粒子衝突圧〕ここで、本発明の曲面
転写方法で転写圧として利用する固体粒子衝突圧につい
て説明しておく。固体粒子衝突圧は、特開平９−３１５
０９５号公報（特許第２８４４５２４号）、特開平１０
−１９３８９３号公報等に開示された曲面転写方法で採
用された新規な転写圧押圧方法である。この転写圧押圧
方法は、弾性体ローラを用いる従来の汎用的転写方法で
は不可能な様な大きな凹凸表面に対しても転写できる優
れた方法である。

【００３０】すなわち、図３で概念的に示すが如く、被
転写基材Ｂの被転写面側に、支持体シートと転写層とか
らなる転写シートＳの転写層側を対向させ、該転写シー
トＳの支持体シート側に多数の固体粒子Ｐを衝突させ、
その衝突圧を利用して、被転写基材Ｂの被転写面へ転写
シートを追従させて圧接して密着させる。その後、転写
シートＳの支持体シートを剥離除去して転写層を被転写
基材Ｂへ移行させる等すれば、転写が完了するという方
法である。なお、固体粒子Ｐに付記した矢印は、固体粒
子の速度ベクトルを表す。

【００３１】なお、噴出器は、１個のみでは加圧領域を
所望の形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。ま
た、実際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は
周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが
好ましく、転写する空間を周囲空間と隔離するチャンバ
内で、固体粒子を転写シートに衝突させると良い。支持
体シートの剥離は、チャンバ外でも良い。

【００３２】また、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支
持体シートからなる転写シートは、赤外線輻射ヒータ等
で加熱軟化させて延伸性を付与し、被転写基材が熱容量
の大きい場合は予め予熱し、熱融着型の接着剤層として
作用させる層（場合によるが、絵柄層、接着剤層等）
は、加熱活性化させた状態で固体粒子を転写シートに衝
突させる様にする。なお、熱融着により転写する場合、
熱融着する層を活性化して熱融着させる為に加熱するタ
イミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突
圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。一方、転写
シートが被転写基材が凹凸表面の場合はその表面形状に
追従し、成形され、転写層が被転写基材に十分に接触す
れば、冷風等の冷却手段で熱融着した層の冷却を促進し
ても良い。冷風は、例えば、転写シート側や被転写基材
側から吹き付ける。

【００３３】〔被転写基材〕被転写基材Ｂとしては、被
転写面が凹凸表面であれば、特に制限は無い。例えば、
被転写基材の材質は、無機非金属系、金属系、木質系、
プラスチック系等である。具体的には、無機非金属系で
は、例えば、抄造セメント、押し出しセメント、スラグ
セメント、ＡＬＣ（軽量気泡コンクリート）、ＧＲＣ
（硝子繊維強化コンクリート）、パルプセメント、木片
セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、石
膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、
セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材料等
がある。また、金属系では、例えば、鉄、アルミニウ
ム、銅等の金属材料がある。また、木質系では、例え
ば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合
板、パーティクルボード、繊維板、集成材等がある。ま
た、プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、Ａ
ＢＳ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料がある。

【００３４】被転写基材の被転写面の表面凹凸形状は任
意である。例えば、その表面凹凸形状は、複数のタイル
や煉瓦を平面に配置した場合の目地、花崗岩の劈開面、
砂目等の石材表面の凹凸、木材羽目板、浮造木目等の木
材板表面凹凸、簓の無い下見張板の表面凹凸、リシン
調、スタッコ調等の吹付塗装面の凹凸等である。特に本
発明では、表面凹凸形状として、開口幅の比較的小さい
微小凹凸と開口幅の比較的大きい大柄な凹凸との両方を
有する被転写基材に対して有効である。この様な被転写
基材の表面凹凸形状の例としては、例えば、図３の断面
図に示す如くの、目地溝で縦横の区画されたタイル貼状
の大柄な凹凸１Ｌの凸部にのみ、微細な凹凸１Ｓとして
花崗岩劈開面凹凸、又は砂目凹凸を有するもの、木材羽
目板状の溝付凹凸からなる大柄な凹凸１Ｌの凸部上に微
細な凹凸１Ｓとして木目導管溝を有するもの等が代表的
である。

【００３５】また、被転写基材の形状は、平板や屈曲し
た板、柱状物、成形品等の立体物等と任意である。例え
ば、被転写基材は全体として（包絡面形状が）平板状の
板材の他、断面が円弧状に凸又は凹に１方向に湾曲した
二次元的凹凸を有する基材等でも良い。

【００３６】また、これらの被転写基材表面には、下地
処理として、必要に応じて予め、接着剤との接着を補助
する為の易接着プライマー、被転写基材がアルカリ性基
材の場合ではアルカリ成分の滲出を防ぐシーラー剤、或
いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じる目止剤等を
塗工法で形成しておいても良い。また、下地処理には下
地（被転写基材）色の調整用の下塗り塗料等もある。易
接着プライマー、シーラー剤、目止剤、或いは下塗り塗
料としては、イソシアネート、２液硬化ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂
を塗工し形成する。また、これらは、目的により１層又
は多層で用いる。

【００３７】〔転写シート〕使用する転写シートＳとし
ては、被転写基材の転写すべき被転写面に追従し転写で
きるものであれば、特に制限はなく、従来公知の各種構
成の転写シートを使用できる。転写シートＳは、支持体
シートに転写層が形成されたシートであり、支持体シー
トや転写層としては、例えば次の様なものが使用され
る。

【００３８】（支持体シート）支持体シートとしては、
被転写基材の被転写面が二次元的凹凸面（例えば円筒
面）の場合には、延伸性が無い紙や金属箔等でも、その
凹凸形状次第では、被転写面形状に転写シートを追従さ
せて沿わせる事が出来る場合もある。従って、この様な
場合には、紙や金属箔等でも良い。また、被転写面が三
次元的凹凸面の場合には、少なくとも転写時には延伸性
（伸びる性質）を有する支持体シートを用いる。延伸性
のある支持体シートとしては、熱可塑性樹脂シート（フ
ィルム）が代表的である。熱可塑性樹脂シートとして
は、従来一般的な転写方法で多用されている２軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム等でも凹凸形状、加
熱条件、衝突圧条件次第では使用可能である。ただ、よ
り低温・低圧で延伸性が発現し易い好ましい支持体シー
トとなり得る熱可塑性樹脂シートの樹脂としては、例え
ば、エチレン・テレフタレート・イソフタレート共重合
体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート等の熱可
塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−プロピレン−ブテン３元共重合体、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹
脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル樹脂、
ポリアミド樹脂、或いは天然ゴム、合成ゴム、ウレタン
系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、単層又
は異種の複層とした樹脂フィルム（シート）を用いるこ
とができる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の
物が好ましい。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱
可塑性エラストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃
棄燃焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい
支持体の一つである。支持体の厚さは、通常２０〜２０
０μｍである。

【００３９】なお、転写によって転写層を被転写基材側
に移行させる場合は、支持体シートには、転写層との離
型性を有するものを使用する。その際、支持体シートに
は必要に応じ、転写層側に転写層との離型性を向上させ
る為、支持体シートの構成要素として離型層を設けても
良い。この離型層は支持体シートを剥離時に、基材側に
移行した転写層に対して、支持体シートの一部として転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。

【００４０】（転写層）転写層は、転写で転写シートか
ら被転写基材側に移行させる場合には、通常は少なくと
も装飾層から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も
転写層の構成要素とすることもある。なお、転写層は機
能性層として、抗菌層、防黴層、導電層等の各種機能性
を有する層でも良い。また、転写層は、昇華転写の場合
の様に被転写基材側に移行せず、該転写層中の昇華性染
料等の転写移行物質のみが被転写基材側に移行すること
もある。転写層は従来公知の印刷法や塗装法、或いは手
描き等の任意の形成手段で形成する。また、接着剤層を
使用する場合、接着剤層は通常は基材側に設けて転写す
るが、転写層の一部として設けても良い。接着剤層を転
写層として設けた上で更に被転写基材側にも設けても良
い。

【００４１】（転写層：装飾層）装飾層は、例えば、グ
ラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、
グラビアオフセット印刷、インキジェットプリント等の
従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷等で形成した絵柄
層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸
着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層
等であり、用途に合わせたものを用いる。絵柄として
は、被転写基材の表面凹凸に合わせて、木目模様、石目
模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模
様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用いる。なお、絵
柄層用のインキ（又は塗液）は、一般的なインキ（又は
塗液）同様に、バインダー等からなるビヒクル、顔料や
染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からな
る。バインダーの樹脂には、アクリル樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース
系樹脂、ポリウレタン樹脂等の単体又はこれらを含む混
合物を用いる。着色剤としては、チタン白、カーボンブ
ラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラ
ック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニ
ンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉、二酸化チタ
ン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔料、或いはその他染料等
を用いる。

【００４２】（転写層：剥離層）また、剥離層を、支持
体シートと転写層との剥離性を調整する為、また、転写
後の転写層の表面保護等の為に、従来公知の転写シート
と同様に、転写層の支持体シート側に、必要に応じ適宜
設けても良い。剥離層には、例えば、上記絵柄層用イン
キのバインダーに用いる樹脂等が用いられる。なお、こ
の剥離層は転写時に装飾層と共に基材側に転写され、装
飾層の表面を被覆する。

【００４３】〔接着剤〕接着剤は、転写層を被転写基材
に接着して転写移行させる時に、被転写基材自体や転写
層自体に接着性が無い場合等に、必要に応じて使用す
る。接着剤は、転写シートの転写層を構成する接着剤層
としてや、被転写基材上の接着剤層として、事前に、又
は転写の直前に、塗工法等で施す。被転写基材に施す場
合には、転写シート転写層の接着剤層を省略できる。接
着剤は、用途、要求物性等により適宜選択すれば良く、
例えば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、
ホットメルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤、
２液硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性接着
剤、或いは粘着剤による感圧型接着剤等の各種接着剤を
使用できる。感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹
脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得
られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用いるこ
とができる。熱硬化型接着剤としては、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。接着
剤を、転写シート等のシートや被転写基材に施すには、
従来公知のロールコート等の塗工法等によれば良い。特
に凹凸表面の被転写基材に対しては、軟質ゴムロールや
スポンジロール等のロールを使用したロールコート、カ
ーテンフローコート、スプレーコート、熔融塗工等の塗
工法が良い。接着剤の塗布量は、通常１０〜２００ｇ／
ｍ²（固形分）程度である。

【００４４】〔転写製品の用途〕本発明で得られる化粧
材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、
特に三次元形状等の凹凸表面の物品であるような各種用
途に用いられ得る。例えば、化粧材として、サイディン
グ等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、
天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨
居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機
等の弱電・ＯＡ機器のキャビネットの表面化粧、自動
車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材等の各種分野で
用いられ得る。化粧材は化粧板等として利用される。な
お、化粧材も含めて転写製品の形状は、平板、曲面板、
棒状体、立体物等と任意である。

【００４５】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面には、必要に応じ適宜、耐久性、意匠感等を
付与する為に、更に透明保護層等の上塗り層を塗装法等
で形成しても良い。この様な上塗り層としては、例え
ば、ポリ４フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の
フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹
脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の１種又は２種以
上をバインダーの樹脂として、更に必要に応じて、ベン
ゾトリアゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、
着色顔料、体質顔料、シリカ、球状α−アルミナ、鱗片
状α−アルミナ等の粒子からなる減摩剤、ワックス等の
滑剤等を添加した塗料を用いる。塗装はスプレー塗装、
カーテンコート、軟質ゴムロールやスポンジロール等を
使用したロールコート等の公知の塗工法で行えば良い。
上塗り層の厚さは１〜１００μｍ程度である。

【００４６】

【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。

【００４７】〔実施例１〕先ず、転写シートとしては、
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーからなる厚さ８
０μｍの樹脂シートを支持体シートとして用い、その片
面に転写層として、バインダーの樹脂にアクリル系ウレ
タン樹脂を用い着色剤に無機顔料を用いた着色インキ
で、石目柄の絵柄層をグラビア印刷で形成し、転写シー
トとした。

【００４８】一方、被転写基材には、厚さ２０ｍｍの窯
業系（セメント系）の板材を用意した。この被転写基材
の被転写面は、開口幅が５ｍｍ〜０．５ｍｍの範囲に分
布する凹部を有する微細凹凸からなる石目状の表面凹凸
を有する。

【００４９】そして、上記被転写基材に、２液硬化型ウ
レタン系接着剤をスプレー塗装して、塗布量１５ｇ／ｍ
²（固形分基準）の未硬化の接着剤層を形成した。

【００５０】次いで、基材温度８０℃まで予熱した被転
写基材とその上に転写層側を被転写基材側に向ける様に
して載せた転写シートとを、ベルトコンベアで搬送しつ
つ、噴出器から固体粒子を転写シートに衝突させて衝突
圧を印加して、転写シートを被転写基材に圧接した。な
お、固体粒子には、亜鉛球からなる金属ビーズを、表１
の如く、粒径（但し、直径２ｒで表記する）が１．０
ｍｍ、０．６ｍｍ、０．４ｍｍのものを、それぞれ
が重量比で等しくなる様に混合した混合体を使用した。
これら各粒径の固体粒子はそれぞれ、粒度分布が殆ど無
く略単一の粒径のものである。また、固体粒子は５０℃
に加熱して使用した。また、固体粒子は図４〜図６で示
した如き羽根車を用いた噴出器で、噴出速度４０ｍ／秒
で、転写シートに衝突させた。また、投射量は７００ｋ
ｇ／分とした。なお、転写速度（位置固定の噴出器に対
する被転写基材の搬送速度）は１５ｍ／分とした。

【００５１】そして、固体粒子を衝突させた後、２５℃
の冷風で冷却して、熱融着による初期接着で転写シート
が被転写基材に接着した後、支持体シートを剥がし取っ
て、転写層のみを被転写基材側に移行させて、転写を完
了させた。その後、４０℃のオーブン中に３日間放置し
て養生して、接着剤層を完全硬化させて最終接着し、転
写製品の化粧板として外装サイディングを得た。性能評
価結果は、表１に実施例２及び比較例と共にまとめて示
す。

【００５２】なお、転写後の転写製品に対しては、オー
ブンで３日間養生前に、アクリルシリコーン系エマルシ
ョンを塗装して透明保護層を形成し、透明保護層付きの
化粧板とした。

【００５３】〔実施例２〕実施例１において、使用した
固体粒子の粒径について、１．０ｍｍ、０．４ｍｍ
のものを、それぞれが重量比で等しくなる様に混合した
混合体を使用した他は、噴出速度、投射量等は実施例１
と同様にして転写し転写製品を得ることを試みた。

【００５４】〔比較例１〕実施例１において、使用した
固体粒子の粒径について、１．０ｍｍのもの単体とし
た他は、噴出速度、投射量等は実施例１と同様にして転
写し転写製品を得ることを試みた。

【００５５】〔比較例２〕実施例１において、使用した
固体粒子の粒径について、０．４ｍｍのもの単体とし
た他は、噴出速度、投射量等は実施例１と同様にして転
写し転写製品を得ることを試みた。

【００５６】〔比較例３〕比較例２において、固体粒子
の噴出速度を４０ｍ／ｓから５０ｍ／ｓに変更した他
は、粒径、投射量等比較例２と同様にして転写し転写製
品を得ることを試みた。

【００５７】

【表１】

【００５８】〔性能評価〕性能評価は、転写層が確実に
被転写基材の被転写面の全面に密着し転写されているか
を、目視で判定した。

【００５９】その結果、固体粒子として、粒径が１．０
ｍｍ、０．６ｍｍ及び０．４ｍｍの金属ビーズの混合体
を使用した実施例１と、粒径が１．０ｍｍ及び０．４ｍ
ｍの金属ビーズの混合体を使用した実施例２とは、被転
写面の微細凹凸の間口幅が１ｍｍ以下の部分も含めて全
ての部分で確実に転写されており良好であった。

【００６０】しかし、実施例１で使用した固体粒子のう
ち粒径１．０ｍｍのもの単体を使用した比較例１では、
開口幅が１ｍｍ以下の凹部にて、固体粒子が入り込めな
い為に、転写層の浮きが認められた。

【００６１】また、実施例１で使用した固体粒子のうち
粒径０．４ｍｍのもの単体を使用した比較例２では、固
体粒子は細かい凹部にまで入り込める大きさだが、固体
粒子の運動エネルギー（１／２）ｍＶ²及び運動量ｍｖ
が小さくなった為に、固体粒子衝突圧による転写圧が低
下し、転写層の浮いている部分が被転写面の全面で多く
なった。

【００６２】これに対して、固体粒子の粒径はそのまま
で（０．４ｍｍ）、噴出速度を４０ｍ／ｓから５０ｍ／
ｓに上げた比較例３では、転写層の浮きが改善され良好
となったが、固体粒子の衝突時の衝撃が大きくなり、被
転写基材の表面凹凸が崩れ落ちる基材破損が発生し、全
体としては不良となった。

【００６３】

【発明の効果】本発明の曲面転写方法によれば、小さい
凹部の中までも転写圧を十分に与えることができ、且つ
衝突衝撃による基材破損等も起きさない。

【図面の簡単な説明】

【図１】固体粒子の粒径の大小と、被転写基材の被転写
面の凹部との関係を概念的に説明する概念図である。

【図２】固体粒子の粒径ｒと、衝突（圧）力Ｆｒ及び凹
部の間口幅Ｗとの関係を概念的に説明する概念図。

【図３】固体粒子衝突圧による曲面転写方法を概念的に
説明する概念図。

【図４】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明す
る斜視図。

【図５】図４の羽根車内部を説明する概念図。

【図６】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。

【符号の説明】

１凹部１Ｌ大柄な凹凸１Ｓ微細凹凸８１２羽根車８１３羽根８１４側面板８１５中空部８１６方向制御器８１７開口部８１８散布器８１９回転軸８２０軸受Ｂ基材Ｄ転写製品（化粧板等）Ｐ固体粒子Ｓ転写シート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考） // Ｂ２９Ｌ 9:00 Ｆターム(参考） 2H113 AA01 BA03 BA22 BB01 BB22 BB33 BC09 BC10 CA05 DA47 DA62 FA01 3B005 EA06 EB05 FA17 FA18 GA17 4F100 AE01 AK51 AT00A BA02 CA13 DD01A EC04B EH90 EJ16 EJ42 GB07 GB48 GB81 HB21 HB21B HB31 JL02 JL10 4F209 AD10 AF01 AF10 AG05 AH42 AH48 AH51 PA08 PB01 PC05 PG02 PN06 PQ09

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
側に、支持体シートと転写層とからなる転写シートの転
写層側を対向させ、該転写シートの支持体シート側に固
体粒子を衝突させ、その衝突圧を転写圧として利用し
て、被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行う
ことで、被転写基材の凹凸表面への転写を行う曲面転写
方法において、使用する固体粒子が、粒径が互いに異なる２種類以上の
固体粒子の混合体からなる、曲面転写方法。