JPH11115394A - 部分転写方法 - Google Patents

部分転写方法

Info

Publication number
JPH11115394A
JPH11115394A JP29963797A JP29963797A JPH11115394A JP H11115394 A JPH11115394 A JP H11115394A JP 29963797 A JP29963797 A JP 29963797A JP 29963797 A JP29963797 A JP 29963797A JP H11115394 A JPH11115394 A JP H11115394A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer
transferred
concave portion
layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29963797A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Ono
晴男 大野
Masaru Okamoto
優 岡本
Haruo Miyashita
治雄 宮下
Hirohisa Yoshikawa
浩久 吉川
Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP29963797A priority Critical patent/JPH11115394A/ja
Publication of JPH11115394A publication Critical patent/JPH11115394A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 凸部と凹部からなる凹凸表面の凸部への転写
と共に、凹部内部は任意部分のみ安定的に転写できる様
にする。 【解決手段】 被転写基材Bとして、その凹凸表面の凹
部1内は転写不要部のみ表面に微細凹凸3を有する基材
を用意して、この被転写基材の凹凸表面に、支持体と転
写層とからなる転写シートを圧着後、支持体を剥離する
ことで、凸部2への転写と共に、凹部内は少なくとも微
細凹凸部分には転写させない。凹部は例えば目地の溝状
凹部で、凹部は底面12を微細凹凸として側面11のみ
に転写させる。微細凹凸は転写層の被転写基材への密着
を阻害し、安定的な部分転写ができる。転写圧にはゴム
ローラ圧や、転写シートの支持体側に多数の固体粒子を
衝突させて得られる衝突圧等を利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば住宅の外装
材、内装材等に用いる特に凹凸装飾面を有する化粧材等
の転写製品を製造する為の部分転写方法に関する。例え
ば、凹凸表面の凹部がタイル貼り調凹凸模様の目地の溝
状凹部となる化粧材等の場合、その凹部内は底面等には
選択的に転写せずに、目地以外の凸部と、目地となる凹
部の側面等に転写できる部分転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】凹凸表面を有する基材の凹部以外の凸部
のみ等と凸部を主体に装飾するには、例えば、溝状凹部
からなる目地を凹部として有し、タイルや煉瓦部分とな
る部分を凸部として有するタイル貼り調や煉瓦積み調等
の化粧材の場合、従来は次の様な装飾方法等があった。 目地となる溝状凹部の凹部と、天面部に相当する凸部
とによる凹凸表面を有する基材の、凹部と凸部との高低
差を利用して、塗料(着色塗料以外にも透明塗料やその
下地用の接着剤等も)を、ロールコート等の凹部には塗
工出来ない塗工手段の特性を利用して、基材の凹部以外
の凸部のみに塗工する部分塗工方法。 目地となる溝状凹部の凹部と、天面部に相当する凸部
とによる凹凸表面を有する基材を被転写基材として用
い、特公昭60−59876号公報、特開平5−270
199号公報等に開示されるような部分転写方法で、凸
部となる天面部上にのみ選択的に転写する方法。すなわ
ち、転写シートには熱可塑性樹脂からなる支持体上に装
飾層を転写層として有するものを用い、被転写基材上に
載置した転写シートの上から、転写ローラとしてJIS
ゴム硬度が70°以上の硬質ゴム製のゴムローラで熱圧
を転写シートに加えて被転写基材に押圧して、凸部のみ
に転写シートを接触させて、凹部には転写せずに凸部の
みに転写層を転写する方法である。この方法は、凹部と
凸部との高低差と、ゴムローラの硬さが硬くて凹部内部
にまではローラが到達しない事を利用する部分転写方法
である。
【0003】また、天面部となる凸部上にも更に凹凸
(この凸部上の凹凸を、天面部等となる凸部と溝状凹部
等となる凹部との関係に於ける凹凸、及び凹部内部の微
細凹凸と区別する為に以下「小凹凸」と呼ぶ)が有り、
溝状凹部の凹部内部は転写せずに天面部の小凹凸の凹部
内部にまで転写できる方法としては、例えば特開平5−
139097号公報に提案された転写方法が利用でき
る。すなわち、支持体として熱可塑性樹脂フィルムを用
い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次設
けた構成の転写シートを、表面に凹凸を有する被転写基
材上に設置し、支持体の裏面から転写ローラとしてJI
Sゴム硬度60°以下のゴムローラで熱圧を転写シート
に加えて被転写基材に押圧し、凸部部分(天面部)の小
凹凸の凹部内部も含めて凸部のみに転写シートを接触さ
せて、凹部には転写せずに凸部のみに部分的に転写す
る。この方法は、凹部と凸部との比較的大きな高低差
と、凸部部分の小凹凸の比較的小さな高低差との、両高
低差の大小の違いと、ゴムローラの硬さが比較的柔らか
くて、凹部のなかでも天面部となる凸部に於ける比較的
小さな凹部はその内部にまではローラが到達できる事を
利用する部分転写方法となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の部分塗工方法では、単純な意匠表現しかできず、印刷
による絵柄等による高意匠な装飾は不可能であった。ま
た、上記の部分転写方法では、加圧するゴムローラの
硬度が硬い事と凹凸の高低差とを利用するものであるの
で、凸部が平坦な場合は良いとしても、凸部部分にも更
に小凹凸がある場合には、その小凹凸の凹部内部も含め
て凸部全面を転写する事が出来ない。
【0005】そして、上記の問題を解決できる前記
の(部分)転写方法は、加圧するゴムローラの硬度が柔
軟な事と、凹部と凸部との高低差と、凸部部分に有る小
凹凸の高低差の両高低差の大きさの違いを利用するもの
であるので、凹部と凸部との高低差はある程度大きくな
ければ安定的に凸部のみに転写できない。すなわち、図
13に示す如く、図13(A)の理想的な状態では、被
転写基材Bの溝状凹部等の凹部1内は転写させずに、天
面部等となる凸部2の部分のみに転写層7が転写され
る。つまり、図13(A)の理想的な状態は、凹部1と
凸部2との高低差が十分あり凹部1が深く、凹部1と凸
部2とによる凹凸の高低差と、凸部2内の小凹凸の高低
差との違いが十分に大きい為、転写部と非転写部との弁
別が可能である。しかし、特に凹部と凸部との高低差が
小さく凹部が浅い場合は、転写圧が過少や過大となる
と、図13(B)や図13(C)の状態となり転写不良
となる。すなわち、転写圧過大の場合は図13(B)の
如く、凸部2はその小凹凸の凹部内も含めて全面に転写
されるが、ゴムローラが大きく変形して、凹部1内部の
底面等にも不要な転写層が転写されてしまう。一方、転
写圧過少の場合は、図13(C)の如く凹部1内部は転
写を防ぐ事が出来るが、凸部2の小凹凸の凹部内部も転
写が必要にもかかわらず転写されず転写抜けと言う転写
不良が発生し、凸部を全面に転写出来ない。
【0006】この様に、少なくとも凹部1以外の部分、
つまり凸部2を主体に部分的に転写できる従来の部分転
写方法は、凸部が平坦である場合は良いとしても、その
凸部に更により小さな小凹凸がある場合には、凹部1の
深さがある程度深くないと転写が安定しなかった。
【0007】ところで、タイル貼り調模様の化粧材で、
本物のタイルと同様の外観を出す為には、図14の様
に、溝状凹部の目地となる凹部1は、その内部の側面1
1も天面部となる凸部2から連続した絵柄を転写層7で
形成して、且つ凹部の底面12は転写させずに、被転写
基材Bを露出するのが望ましい一つの形態である。凹部
側面はタイル等の側面が露出した部分だからである。し
かし、前述した様な従来の部分転写方法では、図15に
示す如く、安定的に転写しようとする、凹部内部は全く
転写させないか、凹部内部全部に転写するかのいずれか
であった。すなわち、転写圧大の場合、ゴムローラ硬度
が低い場合、或いは凹部が浅い場合は、図15(A)の
如く、凹部1内は側面11及び底面12とその全面に転
写層7が転写される。一方、転写圧小の場合、ゴムロー
ラ硬度が高い場合、或いは凹部が深い場合は、図15
(B)の如く、凹部1内は全く転写されない。従って、
図14の様に、凸部2の他に、凹部1内部の側面11部
分のみに転写層7を転写するなど、凹部内部の任意の部
分のみに選択的に転写する事は、従来は不可能であっ
た。従って、図14の様な、天面部となる凸部の他に溝
状凹部となる凹部の特に側面をも印刷装飾した化粧材等
は得られなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明の部分転写方法は、凹凸表面を有する被転写基材
の該凹凸表面の少なくとも凸部に転写層を転写する部分
転写方法において、凹凸表面の凹部内は転写不要部のみ
表面に微細凹凸を有する被転写基材を用意して、該被転
写基材の凹凸表面に、支持体と転写層とからなる転写シ
ートの転写層を圧着した後、転写シートの支持体を剥離
することで、微細凹凸を有する前記凹部内は少なくとも
該微細凹凸部分には転写層を転写させずに、前記凹凸表
面の少なくとも凸部に転写層を転写する方法とした。微
細凹凸は、転写層の被転写基材への密着を阻害し、凹部
の少なくとも微細凹凸部分は転写層を転写させいなで、
その他の凸部等に安定的に部分転写させる事ができる。
【0009】また、本発明の部分転写方法では、被転写
基材の前記凹部が溝状凹部であり該凹部内の微細凹凸が
該溝状凹部の底面部分のみにある被転写基材を用いる。
この結果、天面部等となる凸部の転写以外に、目地等と
なる溝状凹部の内部の側面は転写するが底面は転写させ
ない部分転写を安定的にできる。
【0010】また、本発明の部分転写方法では、上記の
様な部分転写方法に於いて、転写シートの転写層を被転
写基材に圧着させる為に与える転写圧の手段は任意であ
るが、その中でも特に、固体粒子の衝突圧を利用する転
写法がある。すなわち、被転写基材の凹凸表面側に、転
写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体
側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、転写
シートの転写層を被転写基材に圧着させる。固体粒子衝
突圧による転写では、衝突させる多数の固体粒子が流体
的に振る舞うので、凸部への転写と共に、例えば深い凹
部内の側面部分のみへも転写する部分転写でも、衝突圧
による転写圧によって凹部内部に転写シートを追従・成
形させて転写できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の部分転写方法の実
施の形態を説明する。
【0012】〔被転写基材〕本発明で用いる被転写基材
は、その凹凸表面の凹部内に微細凹凸を有する点に特徴
がある。
【0013】(凹部内の微細凹凸)図1は、凹部1と凸
部2とからなる凹凸表面を有する被転写基材Bについ
て、その凹凸表面の凹部1内に有る微細凹凸3の部分
と、得られる転写製品Wに於ける部分転写された転写層
7との対応関係を概念的に示す断面図である。図1(A
−1)、(B−1)及び(C−1)が転写前の被転写基
材Bを示し、図1(A−2)、(B−2)及び(C−
2)が転写後の被転写基材、つまり転写製品Wを示す。
図1(A−1)及び(A−2)は凹部1内部の全面、つ
まり側面11及び底面12の全てに微細凹凸3を有する
場合であり、転写層7は凸部2上のみに転写され、凹部
内は全く転写されない。図1(B−1)及び(B−2)
は凹部1内部の底面12のみ微細凹凸3をその全面に有
する場合であり、転写層は凸部2上と凹部1内部の側面
11に転写され、凹部内の底面には全く転写されない。
次に、図1(C−1)及び(C−2)は凹部1内部は底
面12と該底面から続く側面の下側略半分に微細凹凸3
を有し、側面の上半分には微細凹凸が無い場合であり、
転写層は凸部2上と、凹部1内部の側面11の微細凹凸
が無い上半分とに転写され、凹部内の底面と側面の下半
分には転写されない場合である。
【0014】微細凹凸の大きさは、転写圧により転写シ
ートが被転写基材に押圧される時に、転写層の表面の全
面が被転写基材に接触して、全面による密着が起こらな
い程度の凹凸であれば良い。転写層が微細凹凸の凸部で
のみ接触し、微細凹凸の凹部では接触しなければ、接触
面積が少なくなり転写層全体としては十分な密着力が得
られず、転写層の被転写基材への密着を阻害できる。こ
の結果、支持体剥離時は微細凹凸が有る部分の被転写基
材面に転写シートが接触していても、支持体と共に転写
層は剥離除去されて、微細凹凸部分は転写層を転写させ
ないでおける。この様に、微細凹凸は転写層の密着を阻
害させる為に使われるが、微細凹凸の大きさは、転写圧
で転写シートが微細凹凸に接触した場合に、微細凹凸ま
でには完全に追従変形できない様な大きさ、形状とする
と良い。また、微細凹凸が大きすぎれば、それは被転写
面全体としての形状の一部となってしまい、本来の形状
を変えてしまい、また外観も変えてしまう。なお、微細
凹凸への転写シートの追従性は、微細凹凸上の転写シー
トに加わる転写圧、押圧時の転写シートの加熱軟化度合
い、転写層の厚さ、中でも被転写基材に接触する側の層
(例えば接着剤層)の厚さと、その追従変形性(軟化度
合い等)も影響する。したがって、転写条件(熱、圧)
や転写シートの材料との兼ね合いもある。また、被転写
基材に接着剤層を形成後に転写する場合は、微細凹凸は
該接着剤層上の表面の微細凹凸として反映された凹凸が
機能する(また、接着剤層は微細凹凸が反映される様な
厚さで形成する)。なお、微細凹凸の具体的大きさは、
高低差が概して1mm以下の凹凸である。通常は高低差
を20μm以上、望ましくは50μm以上とする。高低
差は表面粗さとしてJIS−B−0601の十点平均粗
さRz等で評価したものである。但し、高低差は目地等
となる凹部の深さ(凸部と凹部との高低差)より十分に
小さい(大体1/10以下)。
【0015】(表面凹凸の形状)被転写基材の凹凸表面
を形成する表面凹凸は、微細凹凸を内部に有する凹部
と、凸部とからなるが、その表面凹凸の形状は特に限定
されず任意である。図2及び図3は、得られる転写製品
が化粧材の場合に、被転写基材Bの表面凹凸の各種例を
示す斜視図である。先ず、図2は凹部1が溝状凹部であ
り、且つその溝状凹部が目地の場合の各種例である。目
地とは、タイルや煉瓦等の板状物乃至は塊状物等の立体
物からなる単位素材を、一次元方向(縦方向、横方向
等)、或いは二次元方向(縦方向及び横方向等)に配列
した構造に於ける継ぎ目部分である。配列する単位素材
は、全て合同な同一形状でも良いし、或いは互いに異な
った形状、寸法の物でも良い。なお、化粧材に於いて目
地は、継ぎ目の実物でも良いが、継ぎ目の模倣部分でも
良い。すなわち、被転写基材は、その目地部分を実際に
単位素材を配列した時に出来る継ぎ目部分として有する
構造でも良いし、単位素材は使用せずに、単位素材に見
立てる部分が目地に見立てる部分と共に一体となった一
体構造の物でも良い。そして、図2(A)は、凹部1が
煉瓦積み調の目地の場合を示し、図2(B)は凹部1が
一直線の平行溝状の目地の場合を示し、図2(C)は凹
部1が亀甲型目地の場合を示す。これらの溝状凹部とな
る凹部1の大きさは、例えば深さ0.5〜10mm程
度、幅(間口)2〜20mm程度である。この様な溝状
凹部を作る単位素材(実物、模倣物、又は目地との一体
構造に於ける単位素材の模倣箇所)としては、例えば煉
瓦、タイル、羽目板、石垣等である。なお、凸部2の
面、つまり天面部等となる部分には、小凹凸が有っても
よい。この凸部2上の小凹凸は、凹部1と凸部2とによ
る凹凸よりは小さいが、凹部1内に有る微細凹凸3より
は大きい凹凸である。小凹凸は例えば深さが0.1〜5
mm程度、小凹凸の凹部の幅及び凸部の幅が0.1mm
〜5mm程度のものである。凸部上の小凹凸の具体例
は、例えばスタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の
凹凸模様、花崗岩の劈開面等の石材表面の石目調凹凸模
様、或いは木質板材を単位素材として、その天面上の導
管溝、ヘアライン、浮き出した年輪等である。なお、図
2(及び図3)では、凹部1内の微細凹凸の図示は省略
してある。また、凹部1に於ける側面は垂直面でも曲面
又は平面からなる斜面(例えば図14)でも良い。ま
た、底面も水平面でも良いし曲面又は平面斜面でも良
い。
【0016】次に、図3は、被転写基材Bの表面凹凸を
成す凹部1が、目地等の継ぎ目では無いその他の溝状凹
部や、溝状凹部以外の形状の場合の各種例である。図3
(A)及び(B)は、凹部1が文字、唐草模様、花柄模
様、ラーメンのどんぶり等に使われる雷文等の彫刻模様
による溝状凹部の凹部を成す場合である。また、図3
(C)は年輪の秋材部が浮き出した凸部2を成し、凸部
2と凸部2との間が凹んだ春材部の凹部1を成す木目模
様(浮造木目模様)で、凹部1が溝状凹部では無い場合
である。また、図3(D)も、凹部1が溝状凹部では無
い場合であり、トラバーチン大理石の石目模様等の場合
である。以上、図2及び図3で例示した、目地、彫刻模
様、レリーフ模様、天然凹凸模様、或いはその他の表面
凹凸等と、被転写基材の表面凹凸は任意である。
【0017】(全体形状)なお、被転写基材の形状は、
全体として、その凹凸表面を成す被転写面の包絡面形状
が平面である平板状の板材だけでなく、被転写面の包絡
面形状が成す断面が、円弧状に凸又は凹に送り方向(転
写圧印加方向)又は幅方向に湾曲した全体として二次元
的凹凸を有する基材でも良い。なぜならば、後述の真空
成形転写法や、特に転写圧に固体粒子衝突圧を利用する
場合の転写法では、従来のゴムローラによる転写の様に
適用できる被転写面の包絡面形状が制約されないからで
ある。すなわち、従来のゴム製の転写ローラ(例えば前
述の特公昭60−59876号公報、特開平5−270
199号公報、特開平5−139097号公報等)で
は、その回転軸による方向性を本質的に有しているため
に、適用できる包絡面形状は、平板状の平面に事実上限
定され、それ以外は基材形状毎にその都度合わせた特殊
形状の転写ローラとでもしない限り不可能である。ま
た、被転写基材の表面凹凸は、固体粒子衝突圧による転
写では、多数の固体粒子群は流体的に振る舞うことがで
きるので、転写シートや被転写基材の送り方向のみ又は
幅方向のみ等と1方向にのみ凹凸がある二次元的凹凸以
外に、送り方向及び幅方向の両方等と2方向に凹凸があ
る三次元的凹凸でも良い。
【0018】(材料)被転写基材の材料は、煉瓦、石、
石膏、セメント(ALC(軽量気泡コンクリート)、G
RC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、
スラグセメント等)、セラミックス(陶磁器、ガラス
等)、金属(鉄、アルミニウム、銅等)、ケイ酸カルシ
ウム、木材(単板、合板、集成材、MDF(木質中密度
繊維板)等繊維板、パーチクルボード等)、樹脂(ポリ
プロピレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ABS
樹脂等)等と任意である。
【0019】(凹部内の微細凹凸の形成法)被転写基材
の凹部内のうち転写を希望しない所望部分の表面を微細
凹凸とする方法は特に限定されないが、例えば次の様に
して微細凹凸を形成できる。
【0020】(A)微細凹凸の無い全面に微細凹凸を形
成後、不要部の微細凹凸を埋める(後述の図10参
照)。先ず、被転写面となる凹凸表面の全面に微細凹
凸が元々無く平滑な素材Aについて、その少なくとも凹
凸表面の全面に、微粒子の艶消剤(マット剤)を含む艶
消し塗料等の吹き付け塗装、浸漬塗装等の塗工法により
塗工する。この結果、凹凸表面の全面にマット層4によ
る微細凹凸3が形成される。次いで、凹部以外の部分
である凸部2に、艶有り塗料(例えばエナメルや、透明
塗料、或いは下地色となる着色塗料)を、凹部には塗工
できない塗工特性を有するロールコート等の塗工法によ
って、凸部にのみ塗工して凸部に平滑層5を形成する。
この結果、凸部では微細凹凸は埋め尽くされて消去す
る。この結果、凸部には微細凹凸が無く、凹部にはその
内部全面に微細凹凸が有る被転写基材Bが得られる。上
記艶消し塗料の艶消剤としては、シリカ、炭酸カルシウ
ム、沈降性硫酸バリウム、マイカ、カオリン等の公知の
ものの微粒子を使用できる。微粒子の粒径は、所望の表
面粗さと同程度のものを用いる。また、艶消し塗料は、
有機溶剤系、水系のどちらでも良い。艶消し塗料に用い
る樹脂(バインダー)は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
等と特に限定されないが、少なくとも転写シート押圧時
の熱で溶融や軟化して、接着性が発現しない程度の耐熱
性が有る物が好ましい。例えば、艶消し塗料の樹脂に熱
硬化性樹脂等の硬化性樹脂を使用し、転写シート押圧前
に有る程度以上、硬化反応を進行させて耐熱性を上げて
おく事で、微細凹凸による転写阻害効果に加えて、マッ
ト層の樹脂自身による接着性を低下させて転写性を低下
させる効果がある。なお、艶消し塗料の熱硬化性樹脂と
しては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミド樹
脂、エポキシ樹脂、ジイソシアネート等を使用した2液
ウレタン樹脂等がある。なお、素材表面が多孔質の場合
は、それを目止めし封じるシーラー剤の塗工や、或いは
易接着プライマー等の塗工を事前に行っておいても良
い。艶有り塗料としては、マット層の微細凹凸を埋める
か又は埋め尽くせて、塗工後の表面で下地の微細凹凸が
好ましくは全く残らないか或いは緩和できれば良く、そ
の樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等と特に
限定されない。樹脂は、転写シート押圧時の熱で溶融や
軟化して、接着性が発現する(極端な場合、転写層側に
溶融や軟化による接着性発現が無くそれ自身のみで転写
層と被転写基材とを接着する接着剤となる、或いは接着
剤自身)樹脂でも良い。艶有り塗料の樹脂は、耐久性等
の転写後の物性を考えると、熱可塑性樹脂よりも熱硬化
性樹脂の方が良いが、転写層との接着性の点で、硬化反
応の進行が少ない段階で転写シートを押圧する様にする
と良い。なお、艶有り塗料は、それによる平滑層が微細
凹凸を埋めるか又は埋め尽くせる厚さに塗工する。
【0021】(B)凹部及び凸部ともに平滑面の素材の
全面に、艶消し塗料を塗布し、しかる後、凸部の塗料の
みを、ゴムスキージ、ドクターブレード、スポンジロー
ラ、布等でかき取り除去する。これは、化粧材の分野で
所謂ワイピング法と言われている方法の応用である。か
き取り(又は拭き取り)は、通常は艶消し塗料の乾燥前
に行う。凹部内部のみ全面に艶消し塗料のマット層のに
よる微細凹凸が形成される。
【0022】(C)エンボス版の凸部(エンボス版を押
圧した基材の凹部に対応)の所望の部分のみ、微細凹凸
をサンドブラスト、腐食、マットメッキ等により形成
し、エンボス版の凹部(押圧した基材の凸部に対応)を
平滑に加工し、該エンボス版で基材を押圧(必要に応じ
て加熱も併用)して、基材表面に凹凸を賦形する。表面
凹凸が賦形された被転写基材となる。
【0023】(D)最初から凹部内部に微細凹凸が有る
状態で被転写基材を製造する。例えば、凹部内部となる
部分を微細凹凸とした成形型内にセメント等を流し込ん
で固めて、被転写基材とする。或いは、実物の無地のタ
イル等の単位素材をセメント等で固めて配列する等であ
る。
【0024】(E)上記(D)の最初から凹部内部に微
細凹凸が有る被転写基材に更に、前記(A)の操作を行
う。つまり、該被転写基材の全面に、艶消効果の有る艶
消し塗料を塗工した後、凸部に艶有り塗料をロールコー
ト等で塗工する。凹部の微細凹凸は最初からのものと、
艶消し塗料によるものとの相乗効果による凹凸とするこ
とも出来、より安定した転写阻害効果を得ることも出来
る。
【0025】なお、前記(A)で述べた艶有り塗料は、
微細凹凸を埋め尽くさない程度の厚さに全面に、フロー
コートやスプレーコート等で塗工することで、微細凹凸
とそうでない部分との表面凹凸形状をほぼ維持したま
ま、微細凹凸が無い凸部等の転写性を向上させて、微細
凹凸とそれ以外の部分との転写性の違いをより大きく
し、微細凹凸による部分転写をより安定化させる事もで
きる。つまり、転写層と接触させ転写層を密着させる凸
部等の表面材質がそれ自体で転写層との密着性に乏しい
場合に、表面材質を密着性の良いものに変更する。この
際、微細凹凸部も密着性の良いものに変わるが、微細凹
凸部はその凹凸によって転写阻害効果が維持される。も
ちろん、微細凹凸は、艶有り塗料の塗工後も、その凹凸
が残る程度の高低差(深さ)が必要である。なお、この
場合の艶有り塗料に代えて接着剤を用いれば、被転写基
材に接着剤層を形成しておく場合に該当し、被転写基材
上の接着剤層でも上記同様の事が言える。
【0026】〔転写シート〕転写シートSは、支持体6
と転写移行する転写層7とからなる。転写層は少なくと
も装飾層からなる。また、転写層は、装飾層のみでは密
着性が得られない場合は、転写面側に更に接着剤層を設
ける事もある。また、転写層は、更に剥離層を有する事
もある。転写シートは、被転写基材及びその転写すべき
被転写面の凹凸形状、転写製品の用途及び要求物性等に
応じて、絵柄印刷等がされたものを適宜使い分ければ良
い。
【0027】(支持体)上記支持体には、被転写基材の
転写すべき被転写面の包絡面が、全体として平面的の場
合(例えば高さ同一の平坦な凸部にのみ転写する場
合)、延伸性が無い紙等でも良い。しかし、凹部内部の
側面まで転写したり、凸部に更に小凹凸があったり、被
転写面が非平面の三次元的凹凸表面の場合は、少なくと
も転写時には延伸性の有る支持体を用いる。延伸性の有
る支持体としては、従来公知の熱可塑性樹脂フィルムの
他に、常温でも延伸するゴム膜も使用できる。熱可塑性
樹脂フィルムの場合、装飾層等の転写層形成時には延伸
性が殆どなく、転写時には、加熱により充分な延伸性を
発現し、且つ冷却後は変形した形状を保持し続け、弾性
による形状の復元を生じない転写シートとして、従来公
知の通常の転写シート同様に容易に、本発明で用い得る
転写シートは用意出来る。支持体の具体例としては、延
伸性の点で、従来多用されている2軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフィルムでも、転写すべき被転写面の表
面凹凸形状次第で、加熱条件、転写圧条件等の設定によ
って、必要充分な延伸性を発現させることができる。も
ちろん、被転写面が平面ならば、延伸性を発現させずに
使用できる。ただ、より低温・低圧で延伸性が発現し易
い好ましい支持体としては、例えば、エチレン・テレフ
タレート・イソフタレート共重合体ポリエステル、ポリ
ブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹
脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、或いは天然ゴム、合成ゴム、オレフィン系熱可
塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等
を単体又は混合物で、単層又は異種の複層とした樹脂フ
ィルムを用いることがてきる。これら樹脂フィルムは低
延伸又は無延伸の物が好ましい。例えば、具体的にはポ
リプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルムは、延伸
特性に優れ且つ廃棄燃焼時に塩酸ガスを発生せず環境対
策的にも好ましい支持体の一つである。支持体の厚さ
は、通常20〜200μmである。
【0028】なお、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けて
も良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。また、支持体には、転
写層側の面に凹凸模様を設ければ、転写後の転写層表面
に砂目、梨地、木目等の凹凸模様を賦形できる。凹凸模
様は、特に被転写基材の凸部等の被転写面に元々凹凸が
無く平面的な場合に効果的である。凹凸模様は、エンボ
ス加工、サンドブラスト加工、賦形層(離型層)による
盛り上げ印刷加工等の公知の方法で形成する。
【0029】(転写層:装飾層等)転写層は少なくとも
装飾層から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転
写層の構成要素とすることもある。接着剤層を有する構
成では、転写の際に転写シート又は被転写基材の片方又
は両方に接着剤を施すことを省略できる。装飾層は、グ
ラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等
の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、ア
ルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等
を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等も利
用することができ、用途に合わせたものを用いる。絵柄
としては、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模
様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベ
タ等を用いる。なお、絵柄層用インキは、バインダー等
からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜
加える各種添加剤からなる。バインダーには、アクリル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル
樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース
等のセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹
脂、フッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用い
る。着色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラッ
ク、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラッ
ク、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニン
ブルー等の有機顔料を用いる。また、剥離層を、支持体
乃至は離型層と装飾層との間の剥離性を調整する為、転
写後の装飾層の表面保護の為等に、これら層間に設ける
場合は、剥離層には、例えば、上記絵柄層用インキのバ
インダーに用いる樹脂等が用いられる。なお、この剥離
層は転写時に装飾層と共に被転写基材側に転写され、装
飾層の表面を被覆する。
【0030】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前に、又は転写の直前にインライン塗工やオ
フライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写
シート転写層の接着剤層を省略できる。接着剤は、用
途、要求物性等により適宜選択すれば良い。但し、接着
剤の塗布量を少なく抑えて、微細凹凸を殆ど埋めない様
にする場合、或いは接着剤を被転写基材上の微細凹凸以
外の部分のみに塗工出来る場合は、被転写基材側に塗工
することも可能である。なお、被転写基材面が多孔質で
塗布された接着剤がある程度吸収される場合は、その分
も見込んだ量を塗工する。この場合、接着剤はシーラー
剤の機能も担う。
【0031】接着剤としては、例えば、感熱型接着剤、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿
気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離
放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或いは粘着剤による
感圧型接着剤等の各種接着剤を使用できる。前記感熱型
接着剤としては、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱
硬化性樹脂を用いた熱硬化型のいずれでも良い。また、
接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温で液体又は固
体のいずれでも良く、適宜使い分ける。接着剤層中に顔
料等の着色剤を添加すれば、全面ベタのインク層からな
る装飾層ともいえる。接着剤の具体例としては、例えば
感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性
ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ダイマ
ー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得られるポリ
アミド樹脂等の従来公知の接着剤を使用できる。また、
例えば熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、尿素
樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂等を使用できる。
【0032】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物の形態で施す。塗工法
としては、従来公知の塗工法であるグラビアロールコー
ト等による溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工
(溶融塗工)法により施せば良い。なお、被転写基材の
特に凹凸表面に施す場合は、軟質ゴムロールやスポンジ
ロール等のロールを使用したロールコート、カーテンフ
ローコート、スプレーコート、熔融塗工等の塗工法が良
い。接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基材の種
類及びその微細凹凸や多孔質等の表面状態で異なるが、
被転写基材側に施す場合は、特に微細凹凸を埋めない様
にする。
【0033】〔転写圧の押圧手段〕本発明の部分転写方
法における転写圧の押圧手段は、特に限定されず、例え
ば下記の従来公知の転写法を採用できる。
【0034】特公昭60−59876号公報、特開平
5−270199号公報、特開平5−139097号公
報に記載されるように、転写シートを、転写層を被転写
基材側に向けて、支持体側から転写ローラとなる弾性体
ローラとしてゴムローラで加圧し、転写層が被転写基材
に圧着後、支持体を剥離する、所謂ローラ転写法、 特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、
特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記
載されるように、成形品等の立体形状物品の表面に転写
シートを対向又は載置し、立体形状物品側からの少なく
とも真空吸引、更に適宜転写シート側からの圧空押し付
け、による圧力差により転写シートの転写層を立体形状
物品の表面に転写する、所謂真空成形積層法を利用した
転写方法(真空成形転写法)等である。 また、転写圧の押圧手段自体が新規な転写法として、
転写圧に固体粒子の衝突圧を利用する転写法がある。こ
の転写法は、ローラ転写法、真空成形転写法等では不可
能な大きな三次元形状等の表面凹凸の被転写基材にも転
写可能であり、後で詳述する。特にこの転写法は、凹部
の底面は転写せずに凹部の側面へも部分的に転写できる
という本発明の部分転写方法の特性を活かして、深い凹
部でも適用できる転写方法である。 或いは、上記に対して、圧空により成形する圧空成
形法を応用して、転写圧を主に圧空で与える圧空成形転
写法とでも言うべき転写法によって良い。
【0035】(ローラ転写法)図4は、上記のローラ
転写法の説明図である。被転写基材Bに対して、支持体
6と転写層7とからなる転写シートSを、転写層側を被
転写基材側に向けて、支持体側から弾性体ローラRで加
圧して転写圧を押圧して、転写層が被転写基材に接着
後、支持体を剥離することで、転写層を被転写基材に転
写する。図面は、凹部内部の微細凹凸は底面のみに有る
場合で図示してある。転写ローラに使用する弾性体ロー
ラRとしては、通常、鉄等の剛体の回転軸芯R1の表面
周囲を軟質の弾性体R2で被覆したローラを用いる。弾
性体R2としては、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、
フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴ
ム、天然ゴム等のゴムを用いる。特に、耐熱性、耐久
性、弾性等の点からシリコーンゴムが好ましい。また特
に、被転写基材の転写すべき被転写面の凹凸形状が大き
い場合は、弾性体として、JIS規格のゴム硬度が60
°以下のものを使用することが、転写シートを凹凸面に
追従成形させる為に好ましい。弾性体ローラの直径は、
通常5〜20cm程度である。また、通常、弾性体ロー
ラは内部や外部の加熱源により加熱して加熱ローラとし
ても用いる。
【0036】(真空成形転写法)上記の真空成形転写
法とは、転写シートを転写層が被転写基材側に向く様に
して配置し、転写シートの表裏両側の気圧差を少なくと
も被転写基材側からの真空吸引によって発生させ、少な
くとも該気圧差によって転写シートを被転写基材に押圧
して密着させた後、転写シートの支持体を剥離して、被
転写基材に転写層を転写する転写方法である。図5は、
この真空成形積層法を利用した転写法の中でも、真空プ
レス法の説明図である。真空プレス法は、真空ラミネー
ト法と似ているが、転写シートの被転写基材への押圧に
空気圧以外に、弾性体膜としてゴム状弾性膜の収縮力
(収縮圧)も利用する点、転写シートの加熱をヒータに
より加熱されたゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異
なり、転写シートの均一加熱とより強い押圧力等に特徴
がある。
【0037】同図の概略構成図に示す真空プレス装置3
0は、上方には流体圧シリンダー等の上下動作手段33
により上下に移動可能な上室31があり、上室31に対
面して下方に下室41がある。上室31の内部には赤外
線輻射型のヒータ32が配置されている。また上室31
の下部開口面はゴム状弾性膜35にて全面が覆われてい
る。ゴム状弾性膜35には通常シリコーンゴム等が用い
られる。下室41はその上面が複数の排気孔43を有す
る置台42となっている。上室31及び下室41には、
それぞれ給排気ポート34、44があり、それぞれの内
部圧を独立に調整できる。真空プレス法では、先ず、上
室31が上方に移動して下室41と分離した状態で、被
転写基材Bを置台42に配置し、さらに転写シートSを
被転写基材Bの上から配置する。その際、転写シートS
の転写層側が被転写基材Bと向き合う様にする。接着剤
を転写シートや被転写基材の外表面に施しておく場合に
は、この段階の前までに塗布などしておく。また接着剤
が溶剤を含む場合は、この段階の前までに乾燥させてお
く。次いで、上室31を下方に移動し下室41に圧接
し、上室31及び下室41を密閉する。図5はこの状態
を示している。次に、下室41内を減圧し、上室31内
を加圧する。さらに、ヒータ32を用いてゴム状弾性膜
35を通して転写シートSを加熱軟化させ成形可能状態
とする。この結果、転写シートSは上室31と下室41
との圧力差及びゴム状弾性膜35の収縮圧により押圧さ
れて、被転写基材Bの外表面に沿って変形圧接され、転
写シートSが被転写基材Bへ密着していく。最後に、下
室41の減圧を解除するとともに上室31の加圧を解除
して両室を大気圧にし、上室31を上方に移動し上室3
1及び下室41を分離し、転写シートSが貼着した被転
写基材Bを取り出し、転写シートS(の支持体6)を剥
離することで、転写製品が得られる。なお、図示の簡略
化の為、図5では被転写基材Bの表面の凹凸は省略して
図示してある。
【0038】(固体粒子衝突圧による転写法)新規な転
写方法である固体粒子衝突圧による転写法は、被転写面
が三次元形状等の特に大きな凹凸表面の場合にも転写可
能な方法である。この方法は、図6に示す如く、支持体
6と転写層7とからなる転写シートSの支持体側から、
多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧によって転写
シートを被転写基材の表面形状に追従させ成形するとと
もに転写シートを、被転写基材表面のうち少なくとも転
写すべき被転写面に押圧して圧着させる。その後、支持
体のみ剥離除去することで転写が完了する。この結果、
化粧材等として転写層が微細凹凸以外の部分に転写され
た転写製品が得られるというものである。なお、固体粒
子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表
す。また、図面は、凹部内部の微細凹凸は底面のみに有
る場合で図示してある。
【0039】固体粒子Pとしては、ガラスビーズ等の無
機粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋
ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等
の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を
使用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形
状でも用い得る。粒径は通常10〜1000μm程度で
ある。固体粒子は噴出器から転写シートに向かって噴出
させ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧とな
る。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用い
る。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノ
ズルは高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹
出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラス
ト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用され
ているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラ
スト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装
置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装
置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧
式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子
を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。
【0040】図7及び図8は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。中空部内には方向制御器816を有する(図9参
照)。方向制御器は、外周の一部が円周方向に開口した
開口部817を有し中空筒状で羽根車812の回転軸芯
と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回動自在(開口
部の位相角が可変ということであり、回転しているわけ
ではない)となっている。使用時は、方向制御器の開口
部の向きの設定より固体粒子の噴出方向を調整する。更
に、方向制御器内には、内部中空で羽根車812と同一
回転軸芯のもう一つの羽根車が散布器818を有する
(図9参照)。散布器は外側の羽根車812と共に回転
する。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸
819が固定され、回転軸819は軸受820で回転自
在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって
駆動回転され、羽根車812が回転する。そして、固体
粒子Pをホッパ等から散布器818の内部に供給する。
すると、固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散り、
方向制御器816の開口部817によって許された方向
にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根813と羽
根813との間に供給される。そして、固体粒子は羽根
813と衝突し、羽根車812の回転力で加速されて、
羽根車から噴出するというものである。なお、羽根車8
12の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は
5〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転数は500〜5000〔rpm〕程度
である。そして、固体粒子の噴出速度は、10〜50
〔m/s〕程度、投射密度(被転写基材の単位面積当た
りに衝突させる固体粒子総重量)は10〜150〔kg
/m2 〕程度である。
【0041】なお、吹出ノズルを用いる噴出器は、気体
又は液体の流体により固体粒子を加速するものである。
通常、加速流体としては空気を用いる。流体圧は吹付圧
力で通常0.1〜100kg/cm2 程度である。流体
流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流で
は通常5〜80m/秒程度である。
【0042】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。例えば、
転写シート及び被転写基材の送り方向に直交して幅方向
に全幅を加圧領域とするには、幅方向に一直線状に複数
個を配置して、幅方向に直線状で幅広の帯状形状の加圧
領域とする。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴
出器は、例えば転写シート及び被転写基材の送り方向に
向かって2列以上配置する多段配置とする。複数個を配
列時は、個々の噴出器の隣接する加圧領域を互いに一部
重複させることが好ましい。なお、固体粒子の衝突圧
は、例えば転写シート送り方向に直交する幅方向の中央
部が最大で、幅方向両端部に近い程低下する山型圧力分
布等と、不均一に設定することもできる。この設定は、
中央部から両端部に向かって順次段階的に圧着を進行さ
せ、内部に空気を抱き込むことを防ぐ。もちろん、衝突
圧は転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シートの歪
み、被転写基材の変形、破損等の生じない圧以下の適正
圧力範囲内とする。また、複数の噴出器を用いる場合、
被転写基材の被転写面の包絡面(の搬送方向に直交する
断面形状)が例えば円型になる円筒状の凸曲面であれ
ば、各噴出器が主とし受け持つ個別の衝突面に対して、
略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを、近
接する被転写基材の包絡面法線方向をカバーする様に複
数配置することもできる。また、実際に固体粒子を用い
て転写する際は、固体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させ
ずに且つ循環再利用するのが好ましい。そこで、転写す
る空間を周囲空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を
転写シートに衝突させて転写圧を加える等すると良い。
支持体の剥離は、チャンバ外でも良い。支持体の剥離
は、転写層が被転写基材に密着し、支持体が破れたりせ
ずに剥離可能な状態になれば、固体粒子衝突圧の解除直
後でも良いし、間を置いてからでも良いからである。ま
た、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支持体からなる転
写シートは赤外線輻射ヒータ等で加熱軟化させ、被転写
基材が熱容量の大きい場合は予め予熱し、感熱型の接着
剤層は加熱活性化させた状態で固体粒子を転写シートに
衝突させる様にする。
【0043】〔転写製品の用途〕本発明で得られる化粧
材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、
特に三次元的凹凸表面の物品である様な各種用途に用い
られ得る。例えば、化粧材として、外壁、塀、屋根、門
扉、破風板等の外装、壁面、天井、床等の建築物の内
装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化
粧、箪笥等の家具やデレビ受像機等の弱電・OA機器の
キャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機等の車
両内装、船舶内装等に用いられる。化粧材は化粧板等と
して利用される。また、転写製品は、瓶、罐、箱、カッ
プ等の容器等にも用いられる。なお、化粧材も含めて転
写製品の形状は、平板、曲面板、棒状体、立体物等と任
意である。
【0044】〔後加工〕なお、転写後の化粧材等の転写
製品の表面に、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に
トップコート層として透明保護層等を塗装する等しても
良い。この様な透明保護層は、ポリフッ化ビニリデン等
のフッ素樹脂、硬化型ウレタン樹脂等と熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の各種樹脂から
なる塗料で塗工形成する。また、必要に応じて、ベンゾ
トリアゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、
着色顔料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。
塗料は、溶剤系、水系、無溶剤系等を適宜使い分ける。
また、外装用途では、無機系塗料を用いることもでき
る。塗工はスプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロー
ルやスポンジロールを使用したロールコート等を用い
る。透明保護層の膜厚は1〜100μm程度である。
【0045】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0046】(実施例1)図10を参照しながら説明す
る。先ず、図10(A)の如く(微細凹凸が未だ形成さ
れていない)目地の溝状凹部を成す凹部1と天面部を成
す凸部2とからなる凹凸表面を有し、外形が平板状のセ
メント板を素材Aとして、この素材の凹凸表面に次の様
にして凹部内部のみに微細凹凸3を形成して被転写基材
Bとした。溝状凹部の形状は、傾斜した斜面の両側面1
1と水平な底面12とからなる深さ2mm、開口部の間
口7mmで、被転写基材の表面凹凸は、溝状凹部が化粧
材とした時に目地となり、縦40mm、横100mmの
長方形で平坦な凸部がタイルに見立てた天面部となるタ
イル貼り模様の三次元的凹凸形状である〔以上図10
(A)参照〕。なお、凸部2上には、小凹凸として深さ
が0.5mmの唐草模様の彫刻模様〔図3(B)〕の凹
凸を有する。上記素材の凹凸表面の全面に、平均粒径1
5μmのシリカ粒子の艶消剤と2液硬化型ウレタン樹脂
からなる艶消し塗料(大日本塗料株式会社製、商品名
「Vセラン下刷りマット」)を吹き付け塗装で、100
g/m2 (固形分基準、以下同様)の厚さに全面に塗工
し、120℃10分間の加熱乾燥処理で半硬化塗膜とし
て、素材全面にマット層4による微細凹凸3を形成した
〔図10(B)参照〕。次いで、凹凸表面の凸部2にの
み、ロールコートによりアクリル樹脂からなる艶消剤を
含ま無い透明塗料(大日本インキ化学工業株式会社製、
商品名「アクリディクA−801P」)を、凸部2上の
み塗工して微細凹凸が埋め尽くされる(厚さ14g/m
2 )平滑層5を形成し、凹部内部全面にのみ微細凹凸3
を有する被転写基材Bを用意した〔図10(C)参
照〕。
【0047】転写シートSは、厚さ100μmのポリプ
ロピレン系熱可塑性エラストマーフィルムからなる支持
体の片面全面に、絵柄インキを順次グラビア印刷して、
全面がタイル調の絵柄の装飾層を形成し、次いでこの上
に更に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる接着剤
層をグラビア印刷で厚さ3μmに形成した。なお、絵柄
インキのバインダーの樹脂としては、アクリル樹脂と塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8:2(重量比)の
混合物を、また、着色顔料としては、フタロシアニンブ
ルー、イソインドリノン、カーボンブラック、チタン白
を用いた。
【0048】そして、ローラ転写法として加熱軟質ゴム
ローラによって、転写シートを被転写基材の主として凸
部面に対して押圧した。そして、支持体を剥離したとこ
ろ、装飾層及び接着剤層からなる転写層は凹部を除いた
凸部のみに転写されていた。転写シート押圧時に、転写
シートは多少凹部内部にまで入り込むが、内部の微細凹
凸の為に、転写層は被転写基材に密着せず、凹部内部は
転写されなかった。その結果、天面部となる凸部2の部
分のみ転写層7により装飾された化粧材Dが得られた
〔図10(D)参照〕。なお、更に、この化粧材の凹凸
表面の全面に、透明塗料(0.5重量%のベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニリデンのエ
マルション塗料)を乾燥時厚さ50μmにスプレーコー
トして、透明保護層8を形成して、透明保護層付きの化
粧材Dとした〔図10(E)参照〕。
【0049】(実施例2)実施例1で用いた被転写基材
の代わりに、最初から凹部のみ全面にJIS−B−06
01の十点平均粗さRzが30μmの微細凹凸がエンボ
スされて成る、平板状のセメント板を用意した〔図11
(A)参照〕。凹部内部の微細凹凸は図11(A)と逆
凹凸形状の型枠にセメントスラリーを流し込み、硬化さ
せた後、型枠から脱型することにより形成されたもので
ある。そして、被転写基材の凹凸表面の全面に2液硬化
型ウレタン樹脂の艶有りエナメル塗装を行って下塗り層
9を形成した〔図11(B)参照〕。下塗り層は凹部内
部の微細凹凸3が埋まらない程度の厚さ(10μm)と
した。そして、後は、実施例1と同一の転写シートを用
いて、実施例1同様にローラ転写法で部分転写して、凸
部にのみ転写層7を転写して化粧材Dを得た〔図11
(C)参照〕。実施例1同様に転写シート押圧時に、転
写シートは多少凹部内部にまで入り込むが、内部の微細
凹凸の為に、転写層は被転写基材に密着せず、凹部内部
は転写されなかった。その結果、凸部の天面部となる部
分のみ装飾された化粧材が得られた。なお、更に、この
化粧材に実施例1同様に透明保護層を形成して、透明保
護層付きの化粧材とした。
【0050】(実施例3)実施例1で用いた被転写基材
の代わりに、最初から凹部1の底面のみにJIS−B−
0601の十点平均粗さRzが30μmの微細凹凸3が
ある、平板状のセメント板を被転写基材Bとして用意し
た〔図12(A)参照〕。凹部内部の微細凹凸は図12
(A)と逆凹凸形状の型枠にセメントスラリーを流し込
み、硬化させた後、型枠から脱型することにより形成さ
れたものである。そして、実施例2同様に被転写基材の
凹部1及び凸部2からなる凹凸表面の全面に艶有りエナ
メル塗装を行って下塗り層9を形成した〔図12(B)
参照〕。下塗り層は凹部内部の微細凹凸が埋まらない程
度の厚さとした。そして、後は、支持体6と転写層7と
からなる実施例1と同一の転写シートSを用い、固体粒
子の衝突圧による転写方法によって部分転写した。転写
は、予熱しておいた被転写基材上に転写シートを載置し
て、転写シート上からも加熱して、転写シートの加熱軟
化と接着剤の加熱活性化を行った後、噴出器から噴出す
る固体粒子にさらして衝突圧を加えた。噴出器には図7
及び図8の様な羽根車を用いた噴出器を用い、固体粒子
として平均粒径0.4mmの球形の亜鉛球を用いた。噴
出器の羽根車の回転数は3600〔rpm〕、固体粒子
の噴出速度は35〔m/s〕であった。その結果、転写
シート押圧時には、転写シートSは固体粒子Pの衝突圧
によって凹部の底面にまで完全に到達し、凹部の側面と
底面とに接触した〔図12(C)参照〕。そして、転写
シートの支持体6を剥離すると、転写層7は凹部の底面
には密着せず(転写せず)、凹部の側面と凸部とに転写
された。〔図12(D)参照〕。その結果、凹部の底面
は残して、凸部の天面部となる部分と、凹部の側面の部
分とが装飾層7で装飾された化粧材Dが得られた。な
お、更に、この化粧材に実施例1同様に透明保護層を形
成して、透明保護層付きの化粧材とした。
【0051】
【発明の効果】本発明の部分転写方法によれば、凹凸
表面の凸部に転写しつつ、凹部内部は任意部分の部分転
写、全面非転写と、選択的に転写できる。例えば、凹部
側面は転写して凹部底面は転写しない事ができる。その
結果、例えば目地の溝状凹部となる凹部側面にまで凸部
である天面部の柄を連続して転写形成でき、より本物に
近いタイル貼り調模様の化粧材等が転写製品として容易
に得られる。従って、従来になく高意匠の化粧材等が容
易に得られる。 しかも、従来のローラ転写法による部分転写と異な
り、転写必要部と転写不要部の選択を転写圧の加え方に
よるのでは無く、微細凹凸の有り無しという形状要素に
よる事で、安定して部分転写が出来る。
【0052】また、固体粒子衝突圧を用いた転写法を
採用した場合は、凹部が深い場合でも、凹部内部を選択
的に転写できる。従って、深い目地の溝状凹部等にも対
応でき、より高意匠の化粧材等が容易に得られる。ま
た、必要ならば凹部の底面(の一部)にも安定的に転写
できる。 なお、固体粒子衝突圧を用いた転写法を採用した場合
は、被転写基材の形状は、窓枠、サッシ等の二次元的凹
凸も可能であり、平板状の板材以外にも、瓦の様に全体
として(包絡面形状が)波うち形状のもの、或いは凸又
は凹に湾曲した形状のものでも容易に転写できる。しか
も、凹部と凸部からなる凹凸表面の凸部上に、更に小さ
な小凹凸(例えば、ヘアライン、梨地、石目模様等)が
有る場合でも、前記凹部内は選択的に転写しつつ、凸上
の小凹凸の凹部内を安定的に転写できる。また、ゴムロ
ーラによる従来のローラ転写法の様に、被転写基材の凹
凸表面の隅角部によるローラ等の部品の損耗も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】被転写基材の凹凸表面の凹部内に有る微細凹凸
の位置と、部分転写された転写層との対応関係を概念的
に示す断面図。
【図2】被転写基材の表面凹凸を形成する凹部が、目地
の溝状凹部である各種例を示す斜視図。
【図3】被転写基材の表面凹凸を形成する凹部が、目地
以外の溝状凹部や、溝状凹部以外の形状である各種例を
示す斜視図。
【図4】本発明の部分転写方法の一形態としての、ロー
ラ転写法の説明図。
【図5】本発明の部分転写方法の他の形態として、真空
プレス法の説明図。
【図6】本発明の部分転写方法の他の形態としての、固
体粒子衝突圧を用いる転写法の説明図。
【図7】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明す
る側面図。
【図8】同上の斜視図。
【図9】図7の羽根車内部を説明する概念図。
【図10】本発明の部分転写方法として、微細凹凸の形
成から凹部内全面を非転写とする一形態(実施例1)の
流れを説明する断面図。
【図11】本発明の部分転写方法として、凹部内全面を
非転写とする一形態(実施例2)の流れを説明する断面
図。
【図12】本発明の部分転写方法として、凹部内の底面
のみを非転写とする一形態(実施例3)の流れを説明す
る断面図。
【図13】従来の部分転写方法における、凹凸表面への
転写の限界を説明する断面図。(A)は理想状態、
(B)及び(C)は実際に起こる転写不良状態。
【図14】化粧材で模倣すべき本物のタイル貼り模様の
一例を説明する断面図。
【図15】図14の構成を従来の部分転写方法は実現で
きず、その限界を説明する断面図。
【符号の説明】
1 凹部 2 凸部 3 微細凹凸 4 マット層 5 平滑層 6 支持体 7 転写層 8 透明保護層 9 下塗り層 11 側面 12 底面 30 真空プレス装置 31 上室 32 ヒータ 33 上下動作手段 34 給排気ポート 35 ゴム状弾性膜 41 下室 42 置台 43 排気孔 44 給排気ポート 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル A 素材 B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 R 弾性体ローラ R1 回転軸芯 R2 弾性体 S 転写シート W 転写製品(化粧材等)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 浩久 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 宮越 光豊 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の該凹凸表
    面の少なくとも凸部に転写層を転写する部分転写方法に
    おいて、 凹凸表面の凹部内は転写不要部のみ表面に微細凹凸を有
    する被転写基材を用意して、該被転写基材の凹凸表面
    に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層を圧
    着した後、転写シートの支持体を剥離することで、微細
    凹凸を有する前記凹部内は少なくとも該微細凹凸部分に
    は転写層を転写させずに、前記凹凸表面の少なくとも凸
    部に転写層を転写する部分転写方法。
  2. 【請求項2】 凹部が溝状凹部であり凹部内の微細凹凸
    が該溝状凹部の底面部分のみにある被転写基材を用い
    る、請求項1記載の部分転写方法。
  3. 【請求項3】 被転写基材の凹凸表面側に、転写シート
    の転写層側を対向させ、該転写シートの支持体側に固体
    粒子を衝突させ、その衝突圧を転写圧として利用して、
    転写シートの転写層を被転写基材に圧着させる、請求項
    1又は請求項2記載の部分転写方法。
JP29963797A 1997-10-17 1997-10-17 部分転写方法 Pending JPH11115394A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29963797A JPH11115394A (ja) 1997-10-17 1997-10-17 部分転写方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29963797A JPH11115394A (ja) 1997-10-17 1997-10-17 部分転写方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11115394A true JPH11115394A (ja) 1999-04-27

Family

ID=17875174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29963797A Pending JPH11115394A (ja) 1997-10-17 1997-10-17 部分転写方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11115394A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170081643A (ko) * 2014-11-05 2017-07-12 에베 그룹 에. 탈너 게엠베하 제품 기판을 코팅하기 위한 방법 및 장치
JP2019145809A (ja) * 2019-03-29 2019-08-29 エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー 製品基板をコーティングするための方法と装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170081643A (ko) * 2014-11-05 2017-07-12 에베 그룹 에. 탈너 게엠베하 제품 기판을 코팅하기 위한 방법 및 장치
JP2017535946A (ja) * 2014-11-05 2017-11-30 エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー 製品基板をコーティングするための方法と装置
US10395954B2 (en) 2014-11-05 2019-08-27 Ev Group E. Thallner Gmbh Method and device for coating a product substrate
JP2019145809A (ja) * 2019-03-29 2019-08-29 エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー 製品基板をコーティングするための方法と装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11151769A (ja) 化粧材及びその製造方法
JPH1148695A (ja) 転写シート及びそれを用いる曲面転写方法
JPH11115394A (ja) 部分転写方法
JP4074008B2 (ja) 化粧材及び転写シート
JP2000185383A (ja) 転写シート、それを用いた転写方法、及び化粧材
JPH11235805A (ja) 溝状部を有する凹凸化粧材及びその製造方法
JP2000103198A (ja) 転写シート及びそれを用いた化粧材の製造方法
JP2001080293A (ja) 転写シート、化粧材、及び化粧材の製造方法
JP2998483B2 (ja) 化粧板の製造方法
JP3827854B2 (ja) 後塗装用転写シートとそれを用いた化粧材の製造方法
JP2000158892A (ja) 転写シート、それを用いた化粧材の製造方法、及び化粧材
JP2000158895A (ja) 曲面転写方法及び化粧材
JP2000263995A (ja) 転写方法
JP2001129956A (ja) 化粧材の製造方法、及び化粧材
JP2000000944A (ja) 転写シート及びそれを用いる曲面転写方法
JPH11227389A (ja) 天面部のみに転写する凹凸化粧材の製造方法
JP2002166515A (ja) 化粧材及びその製造方法
JPH11128829A (ja) 化粧材の製造方法
JPH10324095A (ja) 化粧材の製造方法
JP4390951B2 (ja) 金属化粧板の転写による製造方法
JP2000280340A (ja) 曲面転写方法
JP2001080295A (ja) 転写シート、及び化粧材の製造方法
JP2000318111A (ja) 化粧材の製造方法
JP2001018594A (ja) 曲面転写方法
JPH1158661A (ja) 化粧材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030502