JP2000158892A - 転写シート、それを用いた化粧材の製造方法、及び化粧材 - Google Patents

転写シート、それを用いた化粧材の製造方法、及び化粧材

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JP2000158892A
JP2000158892A JP10336818A JP33681898A JP2000158892A JP 2000158892 A JP2000158892 A JP 2000158892A JP 10336818 A JP10336818 A JP 10336818A JP 33681898 A JP33681898 A JP 33681898A JP 2000158892 A JP2000158892 A JP 2000158892A
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Reiko Suga
玲子 菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に凹凸表面の被転写基材を転写で装飾し
て化粧材とする場合に、転写シート形成時の印刷適性
(バックトラップ)と、転写時の転写適性(剥離性、凹
凸追従性)を両立させる。 【解決手段】 転写シートSは、支持体シート1上のウ
レタン樹脂を用いた転写層2が、少なくとも、支持体シ
ートに接する剥離層等の第一転写層3と、支持体シート
に接しない装飾層等の第二転写層3からなり、転写層形
成時の温度で、第一転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率
を第二転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率よりも高くす
る。支持体シートの濡れ指数が35以下の時は、貯蔵弾
性率は前者を100×10-2GPa以上、後者は100
×10-2GPa未満が良い。化粧材は、この転写シート
を用いて固体粒子衝突圧を転写圧に利用する等して作
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材等の各種用途に用いる特に凹凸装飾面を有する化粧
材等の転写製品を製造する為の転写シートと、それを用
いた化粧材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、被転写面が三次元的な凹凸表面の
被転写基材を転写で装飾して化粧材とする場合、転写シ
ートには各種のものが使用されてきたが、転写層の密着
性等の点からウレタン樹脂は転写層の樹脂として好まし
い樹脂の一つであった。そして、装飾層等のバインダー
の樹脂等として転写層に使用するウレタン樹脂に対して
は、密着性や耐候性等の物性には注目して来たが、その
貯蔵弾性率については特に注目されて来なかった。更に
はそれを巧みに使い分けて組み合わせる事もなく使用し
て来た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして、凹凸表面に転
写する場合では、転写時に加熱された時に、転写シート
が表面凹凸に追従できる様な凹凸追従性が支持体シート
及び転写層に要求され、この為、転写層のウレタン樹脂
にも凹凸追従性が良い様に、ガラス転移温度、或いは軟
化温度の低い樹脂等の柔らかい樹脂が使用されて来た。
しかし、柔らかいウレタン樹脂では、転写層の印刷時の
バックトラップの問題が起きたり、巻き取った時にブロ
ッキングの問題等が起きたりし易かった。なお、バック
トラップとは、1色目の印刷層が2色目のインキを印刷
する時に、版胴側に取られて版胴に付着する事である。
特に被転写面が凹凸表面の場合で、それも転写圧に固体
粒子衝突圧を利用する転写方法(特開平9−31509
5号公報等参照)による様な、深い凹凸表面に転写する
場合に、これら問題は顕著であった。それは、凹凸表面
の表面形状に転写シートを一旦追従させて接着さた後
に、支持体シートを剥離する時は、平坦面への転写に比
べて、支持体シートが剥離しにくい為に、これを改善す
る目的で、支持体シートの転写層側面は濡れ性が低くい
シートを好ましくは使用する必要が有ったからである。
これは、濡れ指数(表面張力の値〔dyn/cm〕)を
低くすれば、一般に剥離が軽くなるからである。しか
し、支持体シートの濡れ性は、支持体シート上への転写
層を印刷(或いは塗工)する際の印刷(或いは塗工)適
性にも関係し、一般的に低濡れ指数だと、印刷(或いは
塗工)適性は低下してしまう為であった。
【0004】一方、上記バックトラップやブロッキング
の問題を解決すべく、硬めの樹脂を使用すれば、その目
的は達成できるが、今度は凹凸追従性が不足する事があ
った。つまり、転写加工時の温度(支持体シートの熱軟
化特性や使用する接着剤層の熱融着温度等から決める転
写シートを被転写基材に圧接する時の温度)が転写層の
樹脂の軟化温度Tspよりも低くなってしまう。その結
果、凹凸表面に転写シートが追従し成形される時に、転
写層がそれに追いて行けず、転写層に亀裂が発生する事
になる。この様に、従来は、印刷適性(バックトラップ
及びブロッキング)と、転写適性(剥離性、凹凸追従
性)とを両立する事は難しかった。
【0005】そこで、本発明は、印刷適性と転写適性を
両立とした転写シートを提供する事にある。また、この
転写シートを用いて製造する場合に特に適した化粧材の
製造方法を提供する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の転写シートでは、支持体シート上の転
写層として、ウレタン樹脂を用いた層を少なくとも有す
る転写シートにおいて、該転写層は少なくとも、支持体
シートに接する第一転写層と、支持体シートに接しない
第二転写層とからなり、転写層の形成時の温度に於い
て、第一転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が第二転写
層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率よりも高い構成とした。
この様に、転写層の内の支持体シートに接する層(第一
転写層)と、接しない層(第二転写層)との貯蔵弾性率
に大小を付け、且つ貯蔵弾性率を支持体シートに接する
層の方を大きくする事によって印刷(或いは塗工)適性
及び剥離性とを良好にし、支持体シートに接しない層
(第二転写層)の方を小さくする事によって、凹凸追従
性を良好として、結果として、これら全ての特性を満足
する転写シートが得られる様にした。
【0007】また、本発明の転写シートは、上記構成に
於いて、更に支持体シートの転写層形成面の濡れ指数が
35以下、第一転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が1
00×10-2GPa以上、及び、第二転写層のウレタン
樹脂の貯蔵弾性率が100×10-2GPa未満とする構
成した。この様にする事で、印刷(或いは塗工)適性、
転写適性(剥離性及び凹凸追従性)を容易に満足させる
事ができる。
【0008】また、本発明の化粧材の製造方法では、上
記いずれかの転写シートを用いて、被転写基材に転写し
て化粧材とする様にした。該転写シートを用いる事で、
容易に凹凸表面の化粧材を製造できる。
【0009】また、本発明の化粧材の製造方法は、上記
製造方法に於ける転写方法として、転写シートの支持体
シート側への固体粒子の衝突圧を転写圧として利用し
て、被転写基材の表面に転写層を転写する様にした。こ
の結果、被転写面がゴムローラを用いる従来から慣用的
であったローラ転写法等では不可能な様な、深い凹凸表
面でも転写抜け等生じさせずに確実に転写でき、より高
意匠の化粧材を容易に製造できる。
【0010】また、本発明の化粧材は、基材上に、少な
くとも、第二ウレタン樹脂層と第一ウレタン樹脂層とが
この順に積層してなり、第一ウレタン樹脂層のウレタン
樹脂の貯蔵弾性率が第二ウレタン樹脂層のウレタン樹脂
の貯蔵弾性率よりも高い構成とした。この様な構成は、
上記いずれかの化粧材の製造方法によって製造される場
合に特に好適な化粧材であり、基材を被転写基材とし
て、その上に各層を転写形成する場合に、転写層の亀裂
等の転写不良の無い化粧材が容易に得られる化粧材とな
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の転写シート、それ
を用いた化粧材の製造方法、及び化粧材について、実施
の形態を説明する。
【0012】転写シート 先ず、図1は、本発明の転写シートの形態例として2例
を示す断面図である。図1(A)の示す転写シートSの
層的構成は、支持体シート1上の転写層2として、支持
体シート1に接する第一転写層3と、支持体シートに接
しない第二転写層4とからなる。そして、転写層の形成
時の温度に於いて、第一転写層3が有するウレタン樹脂
の貯蔵弾性率が、第二転写層4が有するウレタン樹脂の
貯蔵弾性率よりも高くなっている。第一転写層3は、例
えば剥離層である。また、第二転写層4は、パターン状
や全面に形成される装飾層である。装飾層では、通常、
ウレタン樹脂は、着色剤を分散保持する為のバインダー
の樹脂として使用される。また、剥離層では充填剤を含
有させて該充填剤に対するバインダーの樹脂として使用
される事もあるが、無充填でウレタン樹脂単体で使用さ
れることもある。そして、好ましくは、支持体シート1
の転写層形成面の濡れ指数が35以下で、第一転写層3
のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が100×10-2GPa以
上で、且つ、第二転写層4のウレタン樹脂の貯蔵弾性率
が100×10-2GPa未満とすると、印刷(或いは塗
工)適性、転写適性の点で、より良好な結果が得られ
る。
【0013】また、図1(B)に示す転写シートSは、
図1(A)に対して更に、転写層2として、接着剤層5
(第三転写層)を第二転写層4の上に設けた例である。
なお、接着剤層は、第二転写層が接着剤層を兼用できた
り、被転写基材側に接着剤層を設けて転写する場合で
は、省略することもできる。
【0014】〔支持体シート〕支持体シート1は、転写
層と剥離性が有り、凹凸への形状追従性(凹凸追従性)
が有るものであれば、従来公知のもので良く特に限定は
ない。凹凸追従性は、少なくとも転写時には伸ばせる事
ができる支持体シートを用いれば良い。該支持体シート
としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン
系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、或いは、ウレタン系熱可塑性エラストマー等の
エラストマー等の熱可塑性樹脂からなるものが好まし
い。また、支持体シートは、好ましくは低延伸又は無延
伸の樹脂フィルム(シート)を用いる。また、支持体シ
ートはこれらの単層又は異種材料からなる複層構成とし
ても良い。なお、支持体シートの厚みは、通常は20〜
200μm程度である。
【0015】なお、支持体シートには必要に応じ、その
転写層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シ
ートの構成要素として離型層を設けても良い。この離型
層は支持体シートを剥離時に、支持体シートの一部とし
て転写層から剥離除去される。離型層としては、例え
ば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、
ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体
又はこれらを含む混合物が用いられる。
【0016】また、支持体シートの転写層側面は、濡れ
指数で35以下の濡れ性を示す事がが好ましい。濡れ指
数を35以下とする事によって、凹凸表面、特に図2の
如き三次元的凹凸表面に転写する場合でも、支持体シー
トを容易に剥離出来る軽い剥離力が得られる。濡れ指数
を35以下に低下させる必要がある場合には、上記離型
層を設けたりすれば良い。そして、転写層側面の濡れ指
数35以下の支持体シートを使用する場合に、転写層の
ウレタン樹脂の貯蔵弾性率を前記特定関係とする本発明
は、特に効果を奏する。
【0017】〔転写層〕転写層2は、ウレタン樹脂を用
いた層を少なくとも有する。本発明では、ウレタン樹脂
を用いた層を少なくとも2層、つまり第一転写層3と第
二転写層4とを有する。もちろんだが、転写層がこれら
以外のその他の層を有する場合には、該その他の層は、
ウレタン樹脂を用いた層でも良いが、ウレタン樹脂以外
の樹脂を用いた層でも良い。
【0018】そして、第一転写層3は、転写層2の内の
支持体シートに接する層である。第一転写層には、ウレ
タン樹脂が使用される。第一転写層は、後述する装飾層
の事も有るが、通常は剥離層となる。剥離層は、支持体
シートとの剥離性を最適化する為、転写後の転写層に表
面保護層として所望の物性(例えば、耐擦傷性、耐薬品
性、後塗装適性、塗装感等)を付与する為等に使用され
る。第一転写層には、本発明ではウレタン樹脂を使用
し、且つそのウレタン樹脂の貯蔵弾性率は、転写層を形
成時の温度に於いて、第二転写層のそれよりも大きくす
る。この結果、バックトラップを発生させずに、剥離性
も良好にできる。転写層形成時の温度とは、転写層を印
刷や塗工で形成する時の温度であり、室温である。該温
度は季節や作業環境にもよるが、大体15〜45℃、標
準的には25℃である。この第一転写層は、通常は全面
に形成するので、グラビア印刷等の公知の印刷方法で形
成しても良いが、グヒラアコート、ロールコート等の公
知の塗工方法で形成しても良い。剥離層等の第一転写層
は、剥離性の調整を主体とするならば、厚みは薄くても
良く(例えば0.1〜1μm)、第一転写層を高貯蔵弾
性率としても、転写層全体の凹凸追従性を低下させる事
はない。
【0019】第二転写層4は、第一転写層3が装飾層で
あれば、接着剤層や着色ベタ層の事もあるが、通常は、
第一転写層3が剥離層で第二転写層は装飾層となる。装
飾層の絵柄は任意だが、例えば木目柄、石目柄、天然皮
革の表面柄、布目柄、タイル貼り(二次元配列)柄、煉
瓦積層柄、抽象柄、文字柄、或いは、全面ベタ柄(着色
ベタ層)等である。通常装飾層は多色刷りの柄パターン
層と着色ベタ層等と複層から構成される。装飾層等で柄
パターン層は、通常は、印刷インキ層として、グラビア
印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビ
アオフセット印刷等の従来公知の印刷方法で形成すれば
良い。また、全面ベタ柄の場合には、塗工層として、グ
ラビアコート、ロールコート等の従来公知の塗工方法で
形成する事もできる。
【0020】ところで、本発明が注目するバックトラッ
プの問題は、第一転写層上へ更に第二転写層等と他の転
写層を形成する時に起きる問題であり、第二転写層等の
他の転写層が柄パターン層では、印刷形成する為に印刷
適性の問題となり、全ベタ層では塗工形成も出来る為
に、塗工適性の問題となる。しかし、これ以降は、塗工
適性の意味も含めてバックトラップを印刷適性の問題と
して記述する。
【0021】装飾層の印刷(又は塗工)で使用するイン
キ(又は塗液)は、一般的に、バインダー等からなるビ
ヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種
添加剤からなる。そして、本発明では、このバインダー
の樹脂に、ウレタン樹脂を使用する事になる。上記着色
剤は公知の物で良く、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料、二酸化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔
料、或いは、その他染料等を用いる。なお、支持体シー
トに接触しない装飾層としては、上記印刷や塗工による
ウレタン樹脂を含む層の他に、アルミニウム、クロム、
金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは
全面に形成した金属薄膜層等を併用しても良い。
【0022】この様に、支持体シートに接する側の第一
転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率を、第二転写層のウ
レタン樹脂のそれよりも大きくする大小関係は、特に支
持体シートの転写層側の濡れ指数が35以下の場合に、
前者の貯蔵弾性率は好ましくしは100×10-2GPa
以上とし、後者の貯蔵弾性率は好ましくは100×10
-2GPa未満、より好ましくは40×10-2GPa未満
とする事によって、本発明の効果が顕著に得られる。す
なわち、印刷適性としてのバックトラップ及びブロッキ
ングの問題解決と、転写適性としての適度な剥離性と凹
凸追従性が得られる。
【0023】なお、貯蔵弾性率とは、材料に正弦波的等
の周期的な応力を加えた時に得られる弾性率である。こ
の様な周期的応力で測定する複素弾性率(G* )には、
実数部分(G′)と虚数部分(G″)とがあるが、実数
部分が貯蔵弾性率である。虚数部分は損失弾性率であ
る。なお、損失弾性率は複素動的ヤング率等とも呼ばれ
る。そして、複素弾性率G* は、一般に、応力の周波数
ωの関数G* (ω)=G′(ω)+iG″(ω)とな
る。但し「i」は虚数単位である。ところで、ゴムロー
ラによるローラ転写法では、転写圧はただ単に一過性に
加わる力である。しかし、固体粒子衝突圧による転写圧
は、支持体シートに衝突させる多数の固体粒子によって
得られる、個々の固体粒子の衝突エネネギーを時間的に
集積した圧力と見なす事もできる。従って、転写圧は時
間的にはランダムだが多数回の応力を支持体シートが連
続して受ける様にして加えられので、転写層の凹凸追従
性の挙動は、弾性率の中でも周期的応力による貯蔵弾性
率と関係深いと考えられる。これが、本発明の様に貯蔵
弾性率で転写層を規定すると、好ましい結果が得られる
理由と推察される。また、従来配慮して来たガラス転移
温度や軟化温度では無く、転写時の挙動に関係深いと推
察される貯蔵弾性率により転写層を規定し且つ少なくと
もその大小関係で少なくとも2層構成とした事が、転写
適性(剥離性及び凹凸追従性)と印刷適性(バックトラ
ップ及びブロッキング)を両立できた理由と思われる。
なお、本発明に於いて、貯蔵弾性率の測定周波数ωは、
所望の転写層形成条件、転写条件に対して、印刷適性、
転写適性と相関の良い周波数を選べば良いが、通常は、
5〜200Hz程度である。
【0024】〔転写層に使用されるウレタン樹脂〕前記
第一転写層や上記第二転写層等として、転写層に使用さ
れる樹脂としては、本発明では前記特定の貯蔵弾性率関
係を持たせる様にした、少なくとも二種類のウレタン樹
脂を使用する。これら層に他の樹脂、例えば、アクリル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル
樹脂等の熱可塑性樹脂を使用した場合でも、貯蔵弾性率
を前記特定関係とする事によって、本発明の効果はある
程度得られるが、特にウレタン樹脂の場合が顕著で、そ
の効果が大きい。また、ウレタン樹脂は、転写後の転写
層密着性等の物性面でも優れる。
【0025】該ウレタン樹脂としては、ポリオールとイ
ソシアネートとの2液硬化型等で熱硬化等の硬化性樹脂
でも良い。但し、転写シートを被転写基材に圧接する前
で既に硬化が完了する等、熱可塑性が失われた状態であ
ると、転写層の凹凸追従性が低下するので好ましく無
い。また、後塗装で上塗り層を形成する場合でも、上塗
り層の密着性が低下する事もある。従って、硬化性樹脂
として使用する場合には、硬化が進行していても、転写
シートを被転写基材に圧接時点では、所望の凹凸追従性
が確保できる程度の半硬化、或いは未硬化状態で使用し
て、圧接後に完全硬化させる必要がある。
【0026】従って、該ウレタン樹脂としては、使い易
さの点で、熱可塑性ウレタン樹脂が好ましい。使用する
熱可塑性ウレタン樹脂は、貯蔵弾性率の大小を使い分け
られれば特に制限は無く、従来公知の樹脂から選択使用
しても良い。例えば、熱可塑性ウレタン樹脂としては、
ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン
樹脂、アクリル系ウレタン樹脂等を、単独使用又は混合
使用する。なお、熱可塑性ウレタン樹脂は、架橋構造を
持たないウレタン樹脂であり、通常その骨格構造は直線
状であるが、枝分かれした構造でも良い。また、水分等
で硬化せず経時的安定性が良好な点で、イソシアネート
基を持たない「飽和」熱可塑性ウレタン樹脂が好まし
い。
【0027】なお、上記熱可塑性ウレタン樹脂は、例え
ば、ジイソシアネートと高分子ジオール、更に必要に応
じ低分子ジオール等の活性水素含有基を有する活性水素
化合物を反応させて得られる。
【0028】上記ジイソシアネートとしては、芳香族
ジイソシアネート(例えば、4,4′−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシ
アネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或い
はp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネー
ト等)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−
ヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環式ジイソ
シアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水
素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等)が、単独使用又は2種以
上使用される。なお、良好な耐候性を与える点では、脂
肪族乃至は脂環式ジイソシアネートが好ましい。
【0029】上記高分子ジオール(ここでの高分子とは
低分子ジオールに対する対語で分子量1万未満も含む)
としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオー
ル等が、単独使用又は2種以上使用される。なお、本発
明では、耐候性、及び耐アルカリ性が優れていると言う
点に於いて、ポリエーテルジオールよりはポリエステル
ジオールの方が好ましい。
【0030】上記ポリエステルジオールとしては、低分
子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合
ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により得
られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオー
ル等がある。
【0031】また、前記低分子ジオールとしては、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、或いは、環状基を有
する低分子ジオール類として、ビス(ヒドロキメチル)
シクロヘキサン、m或いはp−キシレングリコール、ビ
ス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4−ビス(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−ジフェニルプロパン(ビスフェノ
ールAのエチレンオキシド付加物)等を、単独使用又は
これらに2種以上の混合物が使用される。
【0032】上記ジカルボン酸としては、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシル酸、グルタル酸、アゼライン酸、マ
レイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフ
タル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、等が
単独使用又は2種以上使用される。また、上記ラクトン
には、ε−カプロラクトン等が使用される。
【0033】そして、ポリエステルポリオールの具体例
としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジ
ペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペン
チルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポ
リブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレン
アジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジ
ペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケー
ト、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げら
れ、これらが単独使用又は2種以上使用される。
【0034】また、アクリル系ウレタン樹脂としては、
例えば、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソ
シアネートからなるウレタン部分と、側鎖と末端に水酸
基を有するアクリル部分とのブロック共重合体等を使用
できる。この様なアクリルとポリウレタンのブロック共
重合体、つまりポリウレタン−アクリルブロック共重合
体は、例えば、ポリカーボネートジオール、及び(ジ)
イソシアネートに更に、アゾジオールを付加反応させて
得られるポリウレタンアゾ高分子を、ラジカル重合開始
剤として使用して、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート
等〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又
はメタクリレートの意味〕等のアクリルモノマーをラジ
カル重合させれば得られる。
【0035】ウレタン樹脂の貯蔵弾性率の調整して、第
一転写層と第二転写層とで所望の大小関係とするには、
例えば、ウレタン樹脂におけるウレタン骨格部分の数を
増減すれば良い。ウレタン骨格部分が多いと高貯蔵弾性
率となり、逆に少ないと低貯蔵弾性率となる。ウレタン
骨格部分が多い(少ない)とは、ポリオール骨格部分が
短い(長い)と言う事である。また、同じ長さのポリオ
ール骨格でも、使用するポリオール自体の柔軟性を調整
する事でも、貯蔵弾性率を調整できる。ポリオールが芳
香族骨格を有すると貯蔵弾性率は高くなり、またポリオ
ールが脂肪族骨格を有すると貯蔵弾性率は低くなる傾向
にある。また、上記アクリル系ウレタン樹脂では、アク
リル部分の柔軟性やその鎖長を調整する。
【0036】なお、特に転写後に最表面層となる第一転
写層中には、表面強度、耐擦傷性、後塗装適性等の表面
物性の為に、必要に応じ適宜、体質顔料を含有させても
良い。体質顔料としては具体的には、硫酸バリウム、炭
酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、シリカ、アルミナ(α−アルミナ等)、タ
ルク、クレー等の無機質体質顔料からなる粒径0.1〜
10μm程度の粉末を使用すると良い。粉末の形状は、
球形、多角形、不定形、鱗片形等である。なかでも、後
塗装による塗装膜と第一転写層との(楔効果による)密
着性向上の点で、硫酸バリウムが好ましい。体質顔料の
添加量は、樹脂100重量部に対して5〜100重量部
の範囲で使用する。添加量が100重量部を超えると転
写適性(剥離性、凹凸追従性)が低下し、5重量部未満
では塗装膜との密着性向上効果が得られない。なお、こ
れら体質顔料を添加した場合は、本発明で注目する貯蔵
弾性率は、体質顔料添加後の物性である。通常、体質顔
料を添加すると、貯蔵弾性率は高くなる傾向がある。
【0037】接着剤 転写層を被転写基材に転写させる為の接着剤は、転写層
の一構成要素とする接着剤層としてや、被転写基材上の
接着剤層として設けておく事ができる。もちろん、これ
ら接着剤層無しの転写層と被転写基材とで、転写層を被
転写基材に転写できる場合には、接着剤層は省略する事
もできる。
【0038】接着剤層としては、従来公知の熱可塑性樹
脂、或いは硬化性樹脂等を、用途、要求物性等により適
宜選択使用すれば良い。例えば、酢酸ビニル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー、塩
素化ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂、或いは、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化
型等のウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等を1種又は2種
以上の混合物として用いる。接着剤層を、転写層として
形成する場合には、グラビアコート、ロールコート等の
塗工法やグラビア印刷等の印刷法、また凹凸基材の凹凸
表面上に形成するには、スプレーコート、カーテンコー
ト、ロールコート等の塗工法と、従来公知の形成法で形
成すれば良い。
【0039】被転写基材 被転写基材としては、被転写面が平面の物でも良いが、
被転写面が凹凸表面であり、特にその凹凸が深い凹凸の
被転写基材が好適である。特に、転写圧に固体粒子衝突
圧を利用して転写する場合では、ゴムローラを用いる従
来のローラ転写法では不可能な様な、表面凹凸が深い上
に更に三次元的凹凸の被転写基材も好適である。
【0040】また、大柄な凹凸に重畳して微細な凹凸を
有する凹凸表面の被転写基材、或いは凹凸表面の凹部底
部や凹部内側面に転写すべき面を有する被転写基材も可
能である。前記大柄な凹凸と微細な凹凸とは、例えば図
2の要部拡大斜視図に示す如く、被転写基材の凹凸が大
柄な凹部401と大柄な凸部402とからなる大柄な凹
凸と、その大柄な凸部402上にある微細な凹凸403
とからなるもので、大柄の凹凸形状は段差が1〜10m
m、凹部の幅が1〜10mm、凸部の幅が5mm以上の
もので構成されるものであり、微細な凹凸形状は、段差
及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小さく、具体的には
段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及び凸部の幅が
0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸部の幅の1/2
未満程度である。図2の如き被転写基材Bの場合、転写
対象領域としては、大柄な凹部401、大柄な凸部40
2及び微細な凹凸403の全領域か、大柄な凸部402
のみ(微細な凹凸403も含む)か、或いは、大柄な凸
部402及び大柄な凹部401の側面(E1〜E2の
間)のいずれかである。なお、E1は大柄な凸部と大柄
な凹部との境界線、E2は大柄な凹部内の側面と底面の
境界線である。
【0041】大柄な凹凸と微細な凹凸との組み合わせの
凹凸から成り、且つ三次元的な表面凹凸を持つ化粧材の
凹凸模様の具体例としては、例えば、大柄な凹凸として
目地、溝等を有するタイル、煉瓦、石等の二次元配列模
様を有し、その上に微細な凹凸としてスタッコ調、リシ
ン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、花崗岩の劈開面や
トラバーチン大理石板等の石材表面の凹凸等を有する石
目調凹凸模様を有するもの、或いは大柄な凹凸模様とし
て目地、溝、簓、サネ(実)等を有する羽目板模様、浮
造木目板模様を有し、その上に微細凹凸として導管溝、
浮出した年輪、ヘアライン等を有する木目調の凹凸模様
を有するものが挙げられる。
【0042】また、被転写基材の全体的な形状は、その
化粧面に転写できれば、平板や屈曲した板、柱状物、成
形品等の立体物等と任意である。例えば、被転写基材は
全体として(包絡面形状が)平板状の板材の他、断面が
円弧状に凸又は凹に1方向に湾曲した二次元的凹凸を有
する基材等でも良い。
【0043】被転写基材の材質には特に限定は無い。例
えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系
等である。具体的には、無機非金属系では、例えば、押
し出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コ
ンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、
パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、ケイ酸
カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材
料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミ
ックス等の無機質材料等がある。また、金属系では、例
えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料がある。ま
た、木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク
等がある。また、プラスチック系では、例えば、ポリプ
ロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が
ある。なお、被転写基材表面を所望の凹凸とするには、
プレス加工、エンボス加工、押し出し加工、切削加工、
成形加工等によれば良い。
【0044】また、これらの被転写基材表面には、下塗
り層として、予め、接着剤との接着を補助する為の易接
着プライマー、被転写基材がアルカリ性基材の場合にア
ルカリの滲出を防ぐシーラー剤、或いは表面の微凹凸や
多孔質を目止めし封じる目止剤を塗工しておいても良
い。例えば、セメント系の無機非金属系の被転写基材の
場合、被転写基材からのアルカリ成分の溶出の防止、及
び表面の凹凸を埋めて表面を平滑にし、転写層の転移性
向上によって柄抜け等を転写不良を防止して、高意匠感
の現出を目的として設けられる。また、下塗り層は着色
且つ不透明とする事で隠蔽性を持たせれば、被転写基材
に形成する装飾層等の転写層が被転写基材自体の色調の
影響を受けなくする事ができる。易接着プライマー、シ
ーラー剤、或いは目止剤等の下塗り層としては、イソシ
アネート、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂を塗工し形成す
る。
【0045】化粧材の製造方法 本発明の化粧材の製造方法では、前述本発明の転写シー
トを用いて、被転写基材に転写すれば良い。次に、採用
できる転写方法のついて説明する。
【0046】〔転写方法〕本発明の化粧材の製造方法に
て採用する転写方法としては、基本的には特に限定はな
い。例えば下記及び等の従来公知の転写方法を、被
転写基材、表面凹凸、用途等に応じて適宜採用すれば良
い。中でも、のローラ転写法は平易な転写方法であ
り、また弾性体ローラを軟質とすることで多少の表面凹
凸が有っても転写できる転写方法として好ましい。ま
た、の固体粒子衝突圧を転写圧に利用した転写法は、
平面はもちろん、従来は不可能であった大きな表面凹凸
にも転写できる転写方法法として好ましい。
【0047】特公昭60−59876号公報、特開平
5−270199号公報、特開平5−139097号公
報に記載されるように、転写シートを、転写層を被転写
基材側に向けて、支持体シート側から弾性体ローラで加
圧し、転写層が被転写基材に接着後、支持体シートを剥
離する、所謂ローラ転写法。 特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、
特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記
載されるように、成形品等の立体形状の被転写基材の表
面に転写シートを対向又は載置し、被転写基材側からの
少なくとも真空吸引、更に適宜転写シート側からの圧空
押し付け、による圧力差により転写シートの転写層を被
転写基材に転写する、所謂真空成形積層法を利用した転
写法(真空成形転写法)。 特開平9−315095号公報に開示された様に、転
写圧の押圧手段自体が新規な転写方法として、転写圧に
固体粒子衝突圧を利用した転写法。この転写法は、ロー
ラ転写法、真空成形転写法等では不可能な大きな三次元
形状等の表面凹凸の被転写基材にも転写可能であり、後
で詳述する。特にこの転写方法は、深い溝や凹凸の凹部
内部までも転写したい場合等の様にローラ転写法では不
可能な表面凹凸にも適用できる転写方法である。
【0048】〔ローラ転写法〕上記のローラ転写法自
体は慣用的な転写方法であり、ローラに軟質の物を用い
れば、ある程度の表面凹凸までならば適用できる平易な
方法である。使用する弾性体ローラとしては、通常、鉄
等の剛体の回転軸芯の表面周囲を軟質の弾性体で被覆し
たローラを用いる。弾性体としては、シリコーンゴム、
ネオプレンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、ブタジエンゴム、天然ゴム等のゴムを用いる。特
に、耐熱性、耐久性、弾性等の点からシリコーンゴムが
好ましい。また、弾性体として、JIS規格のゴム硬度
が60°以下のものを使用することが、転写シートを被
転写基材の凹凸表面に追従成形させる為に好ましい。弾
性体ローラの直径は、通常5〜20cm程度である。ま
た、通常、弾性体ローラは加熱ローラとしても用いる。
【0049】〔真空成形転写法〕上記の真空成形転写
法とは、転写シートを転写層が被転写基材側に向く様に
して配置し、転写シートの表裏両側の気圧差を少なくと
も被転写基材側からの真空吸引によって発生させ、少な
くとも該気圧差によって転写シートを被転写基材に押圧
して密着させた後、転写シートの支持体シートを剥離し
て、被転写基材に転写層を転写する転写方法である。通
常、転写シートの被転写基材側を減圧にして転写シート
表裏間の空気圧差を与える。また、更に転写シートの支
持体シート側からも加圧空気により加圧すれば、より大
きな空気圧差を与えられる。なお、真空プレス法は、転
写シートの被転写基材への押圧に空気圧以外に、弾性体
膜としてゴム状弾性膜の収縮力(収縮圧)も利用する
点、転写シートの加熱をヒータにより加熱されたゴム状
弾性膜を通して行う点等が若干異なり、転写シートの均
一加熱とより強い押圧力等に特徴がある。
【0050】〔固体粒子衝突圧を利用する転写法〕転写
圧の押圧手段が新規な転写方法である固体粒子衝突圧を
利用した転写法は、弾性体ローラによるローラ転写法で
は適用出来ない大きな表面凹凸を有する被転写基材に対
して好適てある。この方法は、被転写基材の被転写面側
に、転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの
支持体シート側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利
用して、被転写基材の被転写面への転写シートの圧接を
行い、転写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持
体シートを剥離除去することで、転写層を被転写基材に
転写する転写方法である。すなわち、図3の概念図で示
す如く、支持体シートと転写層とからなる転写シートS
の支持体シート側(図面上方)から、多数の固体粒子P
を衝突させ、その衝突圧によって転写シートを被転写基
材Bの表面形状に追従させ成形するとともに転写シート
を、被転写基材のうち少なくとも転写すべき被転写面に
押圧して圧着させる。その後、支持体シートのみ剥離除
去することで転写が完了する。なお、固体粒子Pに付記
した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表す。
【0051】固体粒子としては、ガラスビーズ等の無機
粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴ
ムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の
無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使
用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状
でも用い得る。粒径は通常10〜1000μm程度であ
る。固体粒子は噴出器から転写シートに向かって噴出さ
せ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧となる。
噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。
羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズル
は高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹出ノ
ズルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、シ
ョットピーニング等とブラスト分野にて使用されている
ものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装
置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェ
ットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根
車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラス
ト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子を、空気
と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高
速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に
噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と
混合して噴出する。
【0052】図5及び図6は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。更に、この中空部815内に方向制御器816を内
在する(図6参照)。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図6参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。羽根車81
2の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5
〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転数は500〜5000〔rpm〕程度
である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程
度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒
子の総重量)は10〜150〔kg/m2 〕程度であ
る。
【0053】次に、図7は吹出ノズルを用いた噴出器の
一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒
子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時
に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の
一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混
合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部
ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び
流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等
からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出
し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部84
3から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高
速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により
固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加
速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から
流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速
流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。流体圧は吹付
圧力で通常0.1〜10kg/cm2 程度である。流体
流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流で
は通常5〜80m/秒程度である。
【0054】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。例えば、
転写シート及び被転写基材の送り方向に直交して幅方向
に全幅を加圧領域とするには、幅方向に一直線状に複数
個を配置して、幅方向に直線状で幅広の帯状形状の加圧
領域とする。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴
出器は、例えば転写シート及び被転写基材の送り方向に
向かって2列以上配置する多段配置とする。複数個を配
列時は、個々の噴出器の隣接する加圧領域を互いに一部
重複させることが好ましい。なお、固体粒子の衝突圧
は、例えば転写シート送り方向に直交する幅方向の中央
部が最大で、幅方向両端部に近い程低下する山型圧力分
布等と、不均一に設定することもできる。この設定は、
中央部から両端部に向かって順次段階的に圧着を進行さ
せ、内部に空気を抱き込むことを防ぐ。もちろん、衝突
圧は転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シートの歪
み、被転写基材の変形、破損等の生じない圧以下の適正
圧力範囲内とする。
【0055】また、複数の噴出器を用いる場合、被転写
基材の被転写面の包絡面(の搬送方向に直交する断面形
状)が例えば円型になる円筒状の凸曲面であれば、各噴
出器が主とし受け持つ個別の衝突面に対して、略垂直に
固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを、近接する被
転写基材の包絡面法線方向をカバーする様に複数配置す
ることもできる。
【0056】また、実際に固体粒子を用いて転写する際
は、固体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環
再利用するのが好ましい。そこで、転写する空間を周囲
空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を転写シートに
衝突させて転写圧を加える等すると良い。支持体シート
の剥離は、チャンバ外でも良い。支持体シートの剥離
は、転写層が被転写基材に密着し、支持体シートが破れ
たりせずに剥離可能な状態になれば、固体粒子衝突圧の
解除直後でも良いし、間を置いてからでも良いからであ
る。
【0057】また、好ましくは、予め転写シートは赤外
線輻射ヒータ等で加熱軟化させて延伸性を付与し、被転
写基材が熱容量の大きい場合は予め予熱し、熱融着型の
接着剤層として作用させる層(場合によるが、第二転写
層、接着剤層等)は、加熱活性化させた状態で固体粒子
を転写シートに衝突させる様にする。なお、熱融着によ
り転写する場合、熱融着する層を活性化して熱融着させ
る為に加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印
加中、或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも
良い。加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行う。
また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体
粒子加速用の流体を加熱流体として用いても良い。一
方、転写シートが被転写基材が凹凸表面の表面形状に追
従し、成形され、転写層が被転写基材に十分に接触すれ
ば、冷風等の冷却手段で冷却を促進して、冷却固化によ
る熱接着を促進しても良い。冷風は、転写シート側や被
転写基材側から吹き付ける。また、冷却手段として、冷
却固体粒子、冷却流体も使用できる。冷却促進は、被転
写基材が凹凸表面の場合にその凹部内部にまで追従成形
された転写シートが衝突圧開放後に復元力がある場合に
戻るのも防止する。
【0058】〔後塗装〕なお、転写後の化粧材の表面
に、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に透明保護層
等の上塗り層を後塗装しても良い。上塗り層には、用
途、要求物性に応じたものを形成すれば良い。例えば、
ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素
樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリ
コーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以上等をバイ
ンダーとし、これに必要に応じて、ベンゾトリアゾー
ル、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダー
ドアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、シリカ、球状
α−アルミナ、鱗片状α−アルミナ等の粒子からなる減
摩剤、着色顔料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用
いて塗装する。塗工はスプレー塗装、カーテンコート、
軟質ゴムローラやスポンジローラを使用したロールコー
ト等の公知の塗工法で行えば良い。上塗り層の膜厚は1
〜100μm程度である。
【0059】化粧材 本発明の化粧材は、基材上に、少なくとも、第二ウレタ
ン樹脂層と第一ウレタン樹脂層とがこの順に積層してな
り、第一ウレタン樹脂層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が
第二ウレタン樹脂層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率よりも
高い構成とした化粧材である。この様な構成の本発明の
化粧材は、前述本発明の転写シートを用いた上記本発明
の製造方法によって、被転写基材とした基材に転写する
事で得る場合に特に適した化粧材である。第二ウレタン
樹脂層は例えば装飾層であり、第一ウレタン樹脂層は例
えば保護層や剥離層等である。本発明の化粧材の一形態
を、図4の断面図で例示する。同図の化粧材Dは、被転
写基材B上に、接着剤層5、第二転写層4、第一転写層
3がこの順に積層された構成の例である。この場合、第
二転写層4が上記第二ウレタン樹脂層に該当し、第一転
写層3が上記第一ウレタン樹脂層に該当する。第一転写
層や第二転写層は、前述本発明の転写シートを用いる事
によって転写形成できる。もちろん、第二転写層(第二
ウレタン樹脂層)及び第一転写層3(第一ウレタン樹脂
層)のウレタン樹脂、前述転写シートに於いて述べた特
定の貯蔵弾性率の規定を有する。すなわち、転写層を
(支持体シート上に)形成時の温度に於いて、第一転写
層(第一ウレタン樹脂層)のウレタン樹脂の貯蔵弾性率
が第二転写層(第二ウレタン樹脂層)のウレタン樹脂の
貯蔵弾性率よりも高く、好ましくは、第一転写層のウレ
タン樹脂の貯蔵弾性率が100×10-2GPa以上、且
つ、第二転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が100×
10-2GPa未満である構成である。例えば、第一転写
層は剥離層、第二転写層は装飾層の構成である。なお、
接着剤層5は転写シートの転写層として形成される事も
あるし、被転写基材側に施す形で形成される事もある
し、これら両方による事もある。もちろん、接着剤層5
は省略される事もある。また、本発明の化粧材では、同
図で最表面層となる第一転写層2の上に、更に上塗り層
(後述)を形成する事もある。そして、本発明の化粧材
では、その層構成に於ける貯蔵弾性率に前述した様な特
徴がある。そして、この様な構成とする事で、基材を被
転写基材として、その上に各層を転写形成する場合に、
転写層の亀裂や転写抜け等の転写不良が無い上に容易に
得られる化粧材となる。
【0060】化粧材の用途は特に制限は無い。例えば、
サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外
装、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手
摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具や
テレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの表面
化粧、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材等の
各種分野で用いられ得る。なお、化粧材の形状は、平板
以外にも、曲面板、棒状体、立体物等でも良い。平板や
曲面板では化粧板として用いられる。なかでも、本発明
では、装飾面が凹凸表面となる用途は好適である。
【0061】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0062】〔実施例1〕図1(A)の如き構成の転写
シートSを次の様にして作製した。支持体シート1上の
転写層2は、第一転写層3が剥離層、第二転写層4が単
色刷りの柄パターン層と着色ベタ層とからなる装飾層
で、接着剤層無しの構成である。支持体シート1として
は、厚さ100μmのポリプロピレン系熱可塑性エラス
トマーフィルムを用意した。この支持体シートの転写層
形成面は易接着処理は未処理で、濡れ指数は32以下で
あった。そして、転写層2として第一転写層3及び第二
転写層4を、グヒラア輪転印刷で形成した。印刷機の第
1ユニットの版にはスクリーン線数が54線/cmのベ
タ版を使用して透明な全ベタ層(剥離層)を印刷形成
し、次の第2ユニットでは着色された柄パターン層を全
面に印刷形成し、次の第3ユニットでは、スクリーン線
数が54線/cmのベタ版を使用して着色ベタ層を全面
に印刷形成した。装飾層は、被転写基材の目地溝状の大
柄な凹凸に対応した、石目模様の柄とした。なお、装飾
層の着色顔料には、無機顔料を使用した。形成した転写
層の内容は、表1及び表2に各実施例及び各比較例を纏
めて示す。表1は、使用したウレタン樹脂の内容を示
し、表2は表1中の樹脂番号を用いて各ユニットで使用
した樹脂を示す。また、各樹脂番号で示すウレタン樹脂
の貯蔵弾性率の25℃から80℃に於ける温度依存性を
図8に示す。ちなみに、実施例1で用いたウレタン樹脂
は、第1ユニット(剥離層)には樹脂番号4のアクリル
系ウレタン樹脂で貯蔵弾性率は25℃で126×10-2
GPa、第2ユニット及び第3ユニット(以上で装飾
層)には樹脂番号1のポリカーボネート系ウレタン樹脂
で貯蔵弾性率は25℃で12×10-2GPaである。な
お、貯蔵弾性率は、レオメトリック社製の商品名「バイ
ブロン」と言う測定機を用い、励振周波数5Hz、昇温
速度2℃/分にて測定した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】一方、被転写基材としては、図2に示す様
な、タイル貼り目地溝状で溝幅が10mmで溝深さが5
mmの大柄な凹部401と、該凹部401で区画された
大柄な凸部402とからなる大柄な凹凸と、その大柄な
凸部402上にあり最大の凹凸が山の底辺の長さ10m
m時の高低差が5mmである微細な凹凸403とからな
る表面凹凸を有する厚さ12mmの押し出しセメント板
を用意した。そして、この板材に予め、下塗り層とし
て、目止めの為のシーラー層(湿気硬化型ウレタン樹脂
系シーラー剤をスプレー塗装)と、下地色調整の為のベ
ースコート層(チタン白で着色したアクリルポリオール
と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる2
液硬化型ウレタン樹脂系塗料をスプレー塗装)を形成し
ておいた。また、被転写基材は、転写に先立ち、60℃
に予熱した後、下塗り層の上に、絵柄の転写抜けを防ぎ
確実に転写する様に、アクリルポリオールと1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネートからなる2液硬化型ウレ
タン樹脂系接着剤を、ロールコータにて5g/m2 (固
形分基準)塗布し、80℃のオーブンで90秒間加熱し
て乾燥させ、(完全硬化前とした)接着剤層を形成し
た。
【0066】そして、転写は、転写圧に固体粒子衝突圧
を利用する転写方法によって行った。被転写基材上の転
写すべき領域は、図2の大柄な凸部402上のみであ
り、微細な凹凸403の内部全てが対象である。なお、
固体粒子衝突圧による転写は、噴出器には図5及び図6
の様な羽根車を用いた噴出器を使用した。凹凸表面に転
写シートを載置した被転写基材をベルトコンベアで搬送
しつつ、噴出器からの固体粒子を転写シートに衝突させ
て衝突圧を印加した。なお、固体粒子としては50℃に
予熱された平均粒径0.4mmの球形の亜鉛球を用い、
固体粒子の噴出速度は35〔m/s〕とした。そして、
25℃の冷風で冷却して転写層が被転写基材に接着した
後、支持体シートを剥がし取り、化粧材を得た。
【0067】更に転写後、ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤を0.2重量%添加してなる2液硬化型フッ素系
ウレタン樹脂系塗料をスプレー塗装して厚さ10μmの
上塗り層を設けて、40℃雰囲気中で3日間養生し、接
着剤と上塗り層の架橋、硬化を完了させて、上塗り層付
きの化粧材とした。
【0068】〔実施例2〜4〕実施例2〜4では、剥離
層及び装飾層の樹脂を各々表2に示す如き樹脂に変更し
た他は、実施例1と同様にして転写シートを作製した。
そして、実施例1同様に化粧材を作製した。
【0069】〔比較例1〜7〕比較例1〜7では、剥離
層及び装飾層の樹脂を各々表2に示す如き樹脂に変更し
た他は、実施例1と同様にして転写シートを作製した。
そして、実施例1同様に化粧材を作製した。
【0070】〔性能評価〕各実施例及び各比較例につい
ての、印刷適性(バックトラップ、ブロッキング)、転
写適性(剥離性、微細な凹凸への凹凸追従性、大柄な凸
部と大柄な凹部との境界での転写層の分離性)に関する
性能評価結果を、表3に纏めて示す。なお、印刷適性と
してのバックトラップは、小型グラビア機で確認し評価
した。また、転写適性にて、転写シートの凹凸追従性
は、転写後の転写層の亀裂、浮き(エア噛み或いは転写
シートの成形不足による)、転写抜け(転写層が部分的
に被転写基材に転写していない現象)を目視にて確認し
評価した。各実施例では、印刷適性(バックトラップ及
びブロッキング)、転写適性(剥離性、微細な凹凸への
凹凸追従性、大柄な凸部と大柄な凹部との境界での転写
層の分離性)共に良好であったが、比較例では、これら
全てを満足するものは無かった。その結果、各実施例で
は、転写欠陥の無い高意匠の化粧材となった。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明の転写シートによれば、印刷適
性(バックトラップ、ブロッキング)と転写適性(剥離
性、微細な凹凸への凹凸追従性、大柄な凸部と大柄な凹
部との境界での転写層の分離性)とが両立した、凹凸表
面への転写に好適な転写シートとなる。特に、固体粒子
衝突圧を利用した転写方法で出来る様な、大きな凹凸表
面への転写にて効果的である。 本発明の化粧材の製造方法によれば、上記転写シート
を用いるので、転写不良も無く容易に凹凸表面の化粧材
が得られる。 更に、固体粒子衝突圧を転写圧に利用する転写方法を
採用すれば、ゴムローラ使用の従来のローラ転写法では
不可能な様な大きな凹凸表面にも転写でき、表面凹凸と
転写不良の無い転写により、従来に無く高意匠の化粧材
が得られる。 本発明の化粧材では、表面凹凸が大きくても基材を被
転写基材として、その上に各層を転写形成する場合に、
転写層の亀裂等の転写不良の無い容易に得られる化粧材
となる。この為、従来に無く高意匠の化粧材となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写シートの形態例を示す断面図。
【図2】被転写基材の一例を示す要部拡大斜視図。
【図3】本発明の化粧材の製造方法に於ける一つの転写
方法として、固体粒子衝突圧を利用した転写方法を説明
する概念図。
【図4】本発明の化粧材の一形態を示す断面図。
【図5】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明す
る斜視図。
【図6】図5の羽根車内部を説明する概念図。
【図7】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明
する断面図。
【図8】実施例及び比較例で用いた樹脂の貯蔵弾性率の
温度依存性
【符号の説明】
1 支持体シート 2 転写層 3 第一転写層(例えば剥離層) 4 第二転写層(例えば装飾層) 5 接着剤層 401 大柄な凹部 402 大柄な凸部 403 微細な凹凸 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 被転写基材 D 化粧材 E1 大柄凸部と大柄な凹部との境界線 E2 大柄凹部内の側面と底面の境界線 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B44C 3/02 B44C 3/02 A Fターム(参考) 3B005 EB01 FA08 FB03 FB23 FC09X FC09Z FD10X FD10Z FE11 GA17 4F100 AE01 AH02H AH03H AK07 AK51B AK51C AK51G AL09 AR00A AT00A BA03 BA05 BA07 BA10A BA10B BA10C BA13 CA07 CB02 DC28 EC042 EH461 EH462 EH611 EJ052 EJ082 EJ172 EJ421 EJ641 EJ912 GB08 GB90 HB00C HB11 HB21 HB31 JB04A JK07B JK07C JK14 JL01 JL14B YY00A YY00B YY00C 4F209 AA11C AA31C AA45C AC03 AD05 AD10 AF01 AF09 AG02 AG03 AG05 AH47 AH48 PA08 PB01 PC05 PC16 PG02 PG05 PG14 PH27 PN01 PN03 PN06 PQ09 PQ20 PW15 PW37

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体シート上に形成された転写層とし
    て、ウレタン樹脂を用いた層を少なくとも有する転写シ
    ートにおいて、 該転写層は少なくとも、支持体シートに接する第一転写
    層と、支持体シートに接しない第二転写層とからなり、
    転写層を形成時の温度に於いて、第一転写層のウレタン
    樹脂の貯蔵弾性率が第二転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾
    性率よりも高い、転写シート。
  2. 【請求項2】 支持体シートの転写層形成面の濡れ指数
    が35以下、剥離層からなる第一転写層のウレタン樹脂
    の貯蔵弾性率が100×10-2GPa以上、且つ、装飾
    層からなる第二転写層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が1
    00×10-2GPa未満である、請求項1記載の転写シ
    ート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の転写シートを用い
    て、被転写基材に転写して化粧材とする、化粧材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 転写方法として、転写シートの支持体シ
    ート側への固体粒子の衝突圧を転写圧として利用して、
    被転写基材の表面に転写層を転写する請求項3記載の化
    粧材の製造方法。
  5. 【請求項5】 基材上に、少なくとも、第二ウレタン樹
    脂層と第一ウレタン樹脂層とがこの順に積層してなり、
    第一ウレタン樹脂層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率が第二
    ウレタン樹脂層のウレタン樹脂の貯蔵弾性率よりも高
    い、化粧材。
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