JP3802290B2 - 成形用転写シート及び転写方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の床面、壁面、天井等の内装材、或いは外装材、家具、各種キャビネット等の表面化粧材料の製造に用いる転写シートに関する。特に、凹凸表面の転写に適した成形用の転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、三次元的形状の被転写面へ追従させ転写できる成形用転写シートでは、支持体シートの成形性を確保すべくポリオレフィン系樹脂シートを用いたもの等が試みられてきた。もちろん、支持体シートとしては塩化ビニル樹脂も使用可能ではあるが、そこを敢えてポリオレフィン系樹脂系樹脂シートを用いるのは、環境対応の点から塩素非含有で成形性も出せる上記の如き樹脂シートが好ましいからである。そして、ポリオレフィン系樹脂シートの場合、成形性を良くすると剥離性が悪くなる事があり、その為、これらを両立する為に、例えば、特開平10−217692号公報では、非晶質ポリオレフィン樹脂層の表裏を結晶質ポリプロピレン樹脂又は/及びエチレン系樹脂からなる樹脂層で挟んだ、異種の樹脂層からなる構成の支持体シートを用いた転写シートを提案している。中心部(内側)の非晶質ポリオレフィン系樹脂層は、剥離性は悪いが成形性は良い層となる。一方、表裏面(外側)の結晶質ポリプロピレン樹脂やエチレン系樹脂からなる樹脂層は、成形性は劣るが、剥離性が良く、また転写層形成に必要な表面性や耐溶剤性等の印刷適性も良い層となる。この様に、支持体シートを多層シートにして、成形性と剥離性を両立させた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平10−216792号公報提案の様な構成では、外側の結晶質ポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン等からなる樹脂層が支持体シート全体の成形性を妨げとなってしまう。それは、局所的な伸びの応力集中(ネッキング)、融点近傍での温度変化に対する流動性(塑性)の急峻な変化(加工領域の狭さ)を、中心層の非晶質ポリオレフィン樹脂層でカバーしきれなという問題があった。また、支持体シートを多層シートとすればコスト高になった。また、多層シートとした場合には、各層の熱膨張率、加熱収縮率、吸湿膨張率等の伸縮性の差によって、多層シートに反り、カールを生じてしまった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、支持体シートにポリオレフィン系樹脂を用いた成形用転写シートにおいて、支持体シートを多層シートとせずに成形性を確保した上で、成形性と剥離性等を両立させる事である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の成形用転写シートでは、図1の成形用転写シートSで例示する如く、支持体シート1上に転写層2を有する成形用の転写シートにおいて、該支持体シートがエチレン−プロピレンランダム共重合体を主成分とし、且つ該支持体シートの弾性率が200〜1500MPaである構成とした。
【0006】
この様に、支持体シートをエチレン−プロピレンランダム共重合体を主成分ととして、且つその弾性率を特定範囲内とする事で、良好な成形性と良好な剥離性とを単層でも十分に両立させる事ができる事を見いだした。また、箔切れ性も良好となる。
【0007】
また、本発明の成形用転写シートは、上記構成に於いて、転写層のうち少なくとも支持体シートに接する層が、熱可塑性アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂から選ばれた一種以上の樹脂を主成分とする構成とした。例えば、図1に例示の成形用転写シートSの場合で言えば、転写層2は支持体シート1側から剥離層3と装飾層4とからなり、少なくともこの剥離層3を上記特定樹脂を主成分とした層とする。
この様に、転写層をこれら特定樹脂で構成すると、上記した良好な成形性と良好な剥離性とを確実に両立できる。
【0008】
そして、本発明の転写方法は、上記いずれかの成形用転写シートを用い、固体粒子衝突圧による転写圧で転写する様にした。
この様に固体粒子衝突圧を転写圧に用いて転写することで、弾性体ローラを用いる転写方法では不可能な様な深い凹凸面でも転写抜け等の転写不良無しに確実に且つ容易に転写できる。その結果、高意匠の化粧材等の転写製品を容易に製造できる。
【0009】
また、本発明の転写方法は、上記いずれかの成形用転写シートを用い、弾性体ローラによる転写圧で転写する様にした。
この様に弾性体ローラによる転写圧で転写することで、比較的平坦に近い凹凸面に対して、容易に転写できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の成形用転写シートについて、実施の形態を説明する。
【0011】
なお、図1は本発明の成形用転写シートの形態例を例示する断面図、図2は固体粒子衝突圧による転写圧で転写する転写方法を説明する概念図、図3は弾性体ローラによる転写圧で転写する転写方法を説明する概念図、図4〜図6は固体粒子噴出に用いる噴出器の説明図、図7は成形性評価に用いた被転写体の凹凸形状を示す斜視図、図8は剥離強度の測定方法を説明する概念図である。
【0012】
〔支持体シート〕
支持体シート1としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体を主成分とし、なお且つ上記特定の弾性率を有する単層シートを用いる。この様にする事で、支持体シートの成形性と剥離性を両立させる事ができる。しかも、支持体シートを多層シートとしなくても、両立できる。したがって、2層構成の場合に起こり得る熱収縮率や伸び率等の違いによる、製造時、保存時、使用時等に於ける反りやカール発生も、本質的に防げる。
【0013】
エチレン−プロピレンランダム共重合体のエチレン含有率の大小によって、結晶化度が変化し、成形性、剥離性(剥離強度)を調整できるが、エチレン含有率は0(ゼロ)よりも大きく、10重量%以下とする。エチレン含有率は通常、3重量%程度が好ましい。
【0014】
弾性率は引張弾性率であり、JIS K 7127 が規定する引張試験方法に従って引張測定試験機にて測定すれば得られる。ちなみに、表1に示す弾性率は、幅10mm、測定間距離40mm、引張速度50mm/分、測定温度室温(23℃、湿度は50%RH)の条件で支持体シートを測定して得た値である。
そして、弾性率が200MPa未満であると剥離強度が強くなり剥離性が悪化し好ましくない。また、印刷後の成形用転写シートを巻き取った場合に、ブロッキング(印刷されたインキが上に重なったシート裏面に接着すること)を生じ、その点でも好ましくない。一方、弾性率が1500MPaを越えると剥離強度が弱くなり過ぎて剥離性が悪化し好ましくない。また、成形性も不足し、成形部分でネッキングによる支持体シート、更には転写層の絵柄に歪みや著しい場合には破れを生じ好ましくない。
【0015】
なお、弾性率は支持体シートを熱処理(例えば40〜60℃程度で1〜7日程度放置)後、室温まで冷却することで調整できる。これは、シートの結晶化度がこの様な熱処理で向上するからだと推測される。熱処理にて高温且つ長時間にする程、弾性率は上昇し、それとともに剥離強度は増大する。熱処理にて、入手した支持体シートの弾性率を調整する事で、剥離性を成形性と共に両立させる事ができる。
【0016】
また、弾性率の調整は、シートを1軸延伸又は2軸延伸したり、エチレン−プロピレンランダム共重合体の重合度、分子構造(エチレン含有率)、分子形状(側鎖)等によっても、調整できる。
【0017】
なお、剥離強度は、常温(20℃)下での剥離角θ=90°(図8参照)の剥離で、通常、50〜1000mN/25mm幅、好ましくは200〜500mN/25mm幅程度に収めるのが、箔バリ発生を防ぎ良好な箔切れ性を確保できる点で、好ましい。
【0018】
また、支持体シートの厚みは、用途に応じた厚みとすれば良く特に制限は無いが、支持体シートの強度と成形性とのバランスから、通常は50〜120μm程度とするのが良い。
なお、支持体シートは上記特定範囲の弾性率とすれば単層で、成形性及び剥離性を両立させる目的効果は得られるが、多層にしても良い。もちろん、単層の方が多層よりも低コストにできる。
【0019】
以上の様な複層構成の支持体シートは、従来公知のカレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出法等の成膜方法によって、シート(フィルム)として用意することができる。
【0020】
そして、以上の様な構成の支持体シートを用いる事で、支持体シートは塩化ビニル樹脂を使用せずに成形性や剥離性等を良好なものとして構成する事ができ、廃棄燃焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持体シートにもなる。
【0021】
また、支持体シートには、必要に応じて適宜、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤等の各種添加剤を添加しても良い。これらは公知の添加剤の中から適宜なものを使用すれば良い。また、物性調整の為に、副成分の範囲内で、上記以外のその他の樹脂を添加しても良い。
【0022】
また、支持体シートの表面には凹凸模様を設けても良い。例えば、絞模様等の凹凸模様を裏面(転写層に面しない側の支持体シート面)に設ければ、巻き取った場合の耐ブロッキング性や成形用転写シートの滑り性を向上できる。また、絞模様等の凹凸模様を表面(転写層に面する側の面)に設ければ(転写層形成面がポリオレフィン系樹脂でどちらかと言うと濡れ難い面に対して)、転写層を印刷や塗工等で形成するときに、そのインキや塗液の(印刷では版面からの)転移性を良好にすることもできる。これら耐ブロッキング性や転移性向上の機能付与の為の凹凸模様は、中心線平均粗さRa(JIS B 0601)で0.1〜5μm程度の凹凸形状が良好な結果を与える。なお、絞模様としては砂目や梨地等がある。0.1μm未満では凹凸模様を設けた効果が得られず、5μmを越えると逆に凹凸模様が目立ったり、凹部に転写層を印刷や塗工で形成できなかったりする。
【0023】
また、支持体シートの転写層側の面に設けた凹凸模様を、転写後の転写層表面に賦形して艶消し意匠な木目導管溝柄等の凹凸模様による意匠表現も可能となる。意匠表現に用いる凹凸模様としては、砂目、梨地等、ヘアライン、万線状溝、皮絞、布目表面テキスチュア、文字、幾何学模様等がある。
なお、前記機能付与やこの意匠表現に用いる凹凸模様は、熱プレスによるエンボス加工、ヘアライン加工、サンドブラスト加工等の公知の賦形方法で形成すれば良い。
【0024】
〔転写層〕
上記支持体シート1に積層する転写層2としては、基本的には特に制限は無く、従来公知の各種転写シートに於ける転写層の材料及び構成等を採用することができる。但し、上記した特定樹脂の支持体シートと組み合わせて、良好な剥離性を確実に得て、また成形性も確保する意味からは、転写層のうち少なくとも支持体シートに接する層は、熱可塑性アクリルウレタン樹脂、(熱可塑性)アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂から選ばれた一種以上の樹脂を主成分とした層とするのが、好ましい。
【0025】
転写層は、通常は少なくとも装飾層から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層の構成要素とすることもある。なお、転写層は機能性層として、抗菌層、防黴層、導電層等の各種機能性を有する層でも良い。
転写層は従来公知の印刷法や塗装法、或いは手描き等の任意の形成手段で形成する。
【0026】
装飾層は、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリント等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷等で形成した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用いる。絵柄としては、被転写体の表面凹凸に合わせて、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用いる。
【0027】
なお、絵柄層用のインキ(又は塗液)は、一般的なインキ(又は塗液)同様に、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。バインダーの樹脂には、熱可塑性アクリルウレタン樹脂等の熱可塑性ウレタン樹脂、(熱可塑性)アクリル樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。なかでも、特に絵柄層が支持体シートに接する場合では、熱可塑性アクリルウレタン樹脂、(熱可塑性)アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂のうちから1種又は2種以上の樹脂を使用するのが、剥離性及び成形性の点で好ましい。
なお、上記着色剤としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉、二酸化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔料、或いはその他染料等を用いる。
【0028】
また、剥離層を、支持体シートと転写層との剥離性を調整する為、また、転写後の転写層の表面保護等の為に、従来公知の転写シートと同様に、転写層の支持体シート側に、必要に応じ適宜設けても良い。なお、この剥離層は転写層の構成要素であり、転写時に装飾層と共に基材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。剥離層には、例えば、上記絵柄層用インキのバインダーに用いる樹脂等が用いられる。上記樹脂の中でも、特に剥離層は支持体シートに接する層として形成されるので、熱可塑性アクリルウレタン樹脂、(熱可塑性)アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂のうちから1種又は2種以上の樹脂を使用するのが、剥離性及び成形性の点で好ましい。
【0029】
〔接着剤〕
なお、接着剤を、成形用転写シートの転写層を構成する接着剤層としてや、被転写体上の接着剤層として、事前又は転写の直前に、オンライン塗工やオフライン塗工で必要に応じて施すことができる。被転写体に施す場合には、成形用転写シート側の接着剤層を省略できる。
用いる接着剤としては、例えば、接着方式としては、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着剤、2液硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、或いは粘着剤による感圧型接着剤等が挙げられる。感熱型接着剤としては、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化型とがある。また、接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温で液体又は固体のいずれでも良く、適宜使い分ける。また、粘着性を呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤では、接着剤層の単層のみで転写層とすることができる。
例えば熱溶融型接着剤には、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得られるポリアミド樹脂等が用いられる。また、熱硬化型接着剤には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0030】
接着剤は、グラビアロールコート、スプレーコート、フローコート等の従来公知の溶液塗工手段により成形用転写シートとなるシートや被転写体に施す。被転写体にはホットメルト接着剤をアプリケータ等による熔融塗工(溶融塗工)手段も適用できる。接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写体の種類及び表面状態で異なるが、通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0031】
〔転写方法〕
上述した本発明の転写シートは、例えば下記する▲1▼〜▲6▼等の従来公知の各種転写方法によって、被転写体に転写する事ができる。それらは、被転写体、被転写面の表面凹凸、用途等に応じて適宜選択すれば良い。
【0032】
なかでも、本発明の転写方法として採用する転写方法(転写圧押圧方法)は、▲1▼の弾性体ローラによる転写圧で転写する転写方法(ローラ転写方法)と、▲5▼の固体粒子衝突圧による転写圧で転写する転写方法である。弾性体ローラによれば、多少の表面凹凸が有っても平易に転写できる点で好適であり、また、固体粒子衝突圧によれば、弾性体ローラ等によっては、従来は不可能であった大きな表面凹凸にも容易に転写できる点で好ましい。
【0033】
▲1▼弾性体ローラによる転写方法(ローラ転写方法):特公昭60−59876号公報、特開平5−270199号公報、特開平5−139097号公報等に記載されているように、転写シートを、転写層を被転写体側に向けて、支持体シート側から弾性体ローラで加圧し、転写層が被転写体に接着後、支持体シートを剥離する、所謂ローラ転写方法。なお、弾性体ローラには、通常、鉄芯の周囲をシリコーンゴム等で被覆した物が使用され、外部又は内部のヒータで加熱して使用する。
【0034】
▲2▼真空成形転写方法:特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、立体形状の被転写体上に転写シートを対向又は載置し、少なくとも被転写体側からの真空吸引による圧力差により転写シートの転写層を被転写体に転写する、所謂真空成形積層法を利用した転写方法。
【0035】
▲3▼射出成形同時絵付け転写方法:特開平6−315950号公報に記載されるように、転写シートをその転写層側が射出樹脂側を向く様にして、射出成形の雌雄両金型間に配置した後、加熱溶融等により流動状態の樹脂を型内に射出充填し、被転写体である樹脂成型品の成形と同時にその被転写体表面に転写シートから転写層を転写させる転写方法。
【0036】
▲4▼ラッピング転写方法:特公昭61−5895号公報、特開平5−330013号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状の被転写体の長軸方向に、転写シートを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被転写体を構成する複数の側面に順次転写シートを加圧接着して転写層を転写してゆく、所謂ラッピング加工方法による転写方法。
【0037】
▲5▼固体粒子衝突圧による転写方法:特許第2844524号公報、特開平10−193893号公報等に開示された転写圧押圧手段が新規な転写方法である。図2はこの転写方法を概念的示す概念図である。この転写方法は図2の如く、被転写体Bの被転写面(表面)側に、支持体シートと転写層とからなる転写シートSの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体シート側に多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写体の被転写面への転写シートの圧接を行う。そして、転写層が被転写体に接着後、転写シートの支持体シートを剥離除去すれば、転写層による被転写体への転写が完了する。なお、固体粒子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表す。
【0038】
▲6▼その他、BMC(Bulk Molding Compound) 成形法、SMC(Sheet Molding Compound)成形法、ハンドレイアップ成形法等のFRP(Fiber Reinforced Plastics) における各種成形法、或いは、RIM(Reaction Injection Molding)、マッチドモールド成形法等の成形と同時に行う転写方法、等がある。
【0039】
なお、上記▲1▼、▲2▼、▲4▼及び▲5▼は既に形状を有する被転写体に転写する方法であり、▲3▼及び▲6▼は、樹脂成形品として被転写体の形状発現と同時に転写する方法である。また、上記▲3▼の方法では、樹脂の成形型、又は別の型により転写シートを予備成形した後に、樹脂を射出成形して成形と同時に転写する方法もある。これと同様に、▲6▼に列記の方法においても、転写シートの成形は樹脂成形と同時の場合と、樹脂成形の前に予備成形する場合がある。なお、ハンドレイアップ法では、転写シートの成形は予備成形となる。
【0040】
次に、本発明の転写方法にて特に採用する、▲1▼の弾性体ローラによる転写方法と、▲5▼の固体粒子衝突圧の転写圧で転写する転写方法について、更に説明しておく。
【0041】
〔弾性体ローラによる転写方法〕
この転写方法(すなわち、ローラ転写方法)は、表面凹凸が比較的小さいか平坦な被転写体に対しては、平易に転写できる点で好適である。図3は、ローラ転写方法を概念的に説明する概念図である。転写シートSを、転写層を被転写体B側に向けて、支持体シート側から弾性体ローラRで加圧して転写圧を与え、転写層が被転写体に接着後、支持体シートを剥離する。
使用する弾性体ローラRとしては、通常、鉄等の剛体の軸芯R1の周囲を弾性体R2で被覆したローラを用いる。弾性体R2としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、バイトンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム等を用いる。弾性体ローラのゴム硬度は、被転写体表面の凹凸形状の凹部まで転写シートを追従させるには、ゴム硬度を65°以下とすると良い。ローラの直径は、通常、5〜20cm程度である。また、通常、弾性体ローラは内部の電熱ヒータや外部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源により加熱して加熱ローラとしても使用する。
【0042】
〔固体粒子衝突圧による転写方法〕
転写圧に固体粒子衝突圧を用いるという転写圧押圧手段が新規なこの転写方法では、ローラ転写方法等の旧来の転写方法では不可能な様な大きな凹凸面にも転写出来る様になる。また、それが故に、本発明の成形用転写シートの如く、成形性と剥離性の両立等の解決すべき課題が出て来る事になる。また、特にこの転写方法は、その成形性により凹凸表面へも転写できると言う前述した本発明の成形用転写シートの特性を活かせる転写方法の一つである。
【0043】
そして、固体粒子Pとしては、セラミックビーズ、ガラスビーズ等の非金属無機粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状でも用い得る。例えば、金属亜鉛球は、基材への衝撃による基材破壊が少ない点で好適な固体粒子である。なお、粒径は通常10〜1000μm程度である。
【0044】
固体粒子は噴出器から成形用転写シートに向かって噴出させ、成形用転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧となる。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズルは高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用されているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。これらの中でも、羽根車は、固体粒子の噴出量が多い点で効率的で好ましい噴出器の一つである。
【0045】
図4及び図5は、羽根車による噴出器の一例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根813がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815となっている。更に、この中空部815内に方向制御器816を内在する(図5参照)。方向制御器816は、外周の一部が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する(図5参照)。散布器818は外側の羽根車812と共に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。
そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッパ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の開口部817によって許された方向にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812の回転力で加速され、羽根車から噴出する。
【0046】
羽根車812の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車の回転速度は500〜5000〔rpm〕程度である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0047】
次に、図6は吹出ノズルを用いた噴出器の一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。
流体圧は吹付圧力で通常0.01〜1MPa程度である。流体流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度である。
【0048】
なお、噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。また、実際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好ましく、転写する空間を周囲空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を成形用転写シートに衝突させると良い。支持体シートの剥離は、チャンバ外でも良い。
【0049】
また、好ましくは、予め成形用転写シートは、赤外線輻射ヒータ等で加熱軟化させて延伸性を付与し、被転写体が熱容量の大きい場合は予め予熱し、熱融着型の接着剤層として作用させる層(場合によるが、絵柄層、接着剤層等)は、加熱活性化させた状態で固体粒子を成形用転写シートに衝突させる様にする。
なお、熱融着により転写する場合、接着剤層等の熱融着する層を活性化して熱融着させる為に加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。一方、成形用転写シートが被転写体の表面形状に追従し、成形され、転写層が被転写体に十分に接触すれば、冷風等の冷却手段で熱融着した層の冷却を促進しても良い。冷風は、例えば、成形用転写シート側や被転写体側から吹き付ける。
【0050】
〔被転写体〕
ところで、被転写体Bとしては特に制限は無いが、成形用転写シートの成形性を活かして該シートを成形して転写するには、必然的に被転写面は凹凸表面となる。例えば、被転写体の材質は、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等である。具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出セメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材料等がある。また、金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料がある。また、木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等がある。また、プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料がある。
【0051】
また、被転写体の形状は、その被転写面に転写できれば、平板や屈曲した板、柱状物、成形品等の立体物等と任意である。例えば、被転写体は全体として(包絡面形状が)平板状の板材の他、断面が円弧状に凸又は凹に1方向に湾曲した二次元的凹凸を有する物等でも良い。
【0052】
被転写体の被転写面の凹凸形状は、使用する成形用転写シート及び採用する転写方法によって転写可能な形状であれば良く任意である。凹凸形状は、例えば、複数のタイルや煉瓦を平面に配置した場合の目地、花崗岩の劈開面、砂目等の石材表面の凹凸、木材羽目板、浮造木目等の木材板表面凹凸、リシン調、スタッコ調等の吹付塗装面の凹凸等である。
【0053】
また、これらの被転写体表面には、下地処理として、必要に応じて予め、接着剤との接着を補助する為の易接着プライマー、被転写体がアルカリ性基材の場合ではアルカリ成分の滲出を防ぐシーラー剤、或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じる目止剤等を塗工法で形成しておいても良い。また、下地処理には下地(被転写体)色の調整用の下塗り塗料(ベースコート)等もある。易接着プライマー、シーラー剤、目止剤、或いは下塗り塗料としては、イソシアネート、2液硬化ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂を塗工し形成する。また、これらは、目的により1層又は多層で用いる。
【0054】
〔転写製品の用途〕
本発明の成形用転写シート或いは本発明の転写方法で得られる、化粧材等の転写製品の用途は、転写された装飾面が凹凸面、特に三次元形状等の凹凸表面の物品であるようものが好適であり、各種用途に用いられ得る。例えば、化粧材として、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材等の各種分野で用いられ得る。化粧材は化粧板等として利用される。なお、化粧材も含めて転写製品の形状は、平板、曲面板、棒状体、立体物等と任意である。
【0055】
〔後加工〕
なお、転写後の化粧材等の転写製品の表面には、必要に応じ適宜、耐久性、意匠感等を付与する為に、更に透明保護層等の従来公知の上塗り層を塗装法等で形成しても良い。
【0056】
【実施例】
次に実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0057】
〔実施例1〕
図1の如き、成形用転写シートSを次の様にして作成した。先ず支持体シート1としては、Tダイ押出法で成膜したエチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン含有率3重量%)からなる厚み80μmの樹脂シートを用意した。この樹脂シートの弾性率は150MPaであった。そして、この樹脂シートを40℃1日間熱処理して、弾性率を200MPaに増大させたシートを、支持体シートとして使用した。なお、弾性率は、前述した条件で引張測定試験機にて測定した。
【0058】
そして、上記支持体シート1の片面(転写層の剥離性を持たせる為に、この面にはコナロ放電処理は行っていない)に、転写層2として剥離層3と装飾層4とをこの順に形成して成形用転写シートを作製した。なお、剥離層3としては、熱可塑性アクリルウレタン樹脂からなる透明塗液をグラビア塗工して厚さ2μmの剥離層を形成した。また、装飾層4としては、バインダーの樹脂が熱可塑性アクリルウレタン樹脂で、着色剤にチタン白、カーボンブラック、キナクリドン、弁柄、イソインドリノン及びフタロシアニンブルーを用いた着色インキのグラビア3色印刷で石目柄の絵柄層(固形分塗布量で4g/m2 )を形成した。
【0059】
そして、更にこの転写シートを用いて、固体粒子衝突圧による転写方法で化粧材を作製して、そのときの成形性を評価し、また、弾性体ローラによる転写方法でも化粧材を作製して、そのときの箔切れ性を評価した。
なお、支持体シートの弾性率、及び性能評価結果については、他の実施例及び比較例と共に纏めて表1に示す。
【0060】
〔実施例2〕
実施例1で、樹脂シートの熱処理条件を40℃2日間に変更して、弾性率を550MPaの支持体シートとした他は、実施例1と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例1同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0061】
〔実施例3〕
実施例1で、樹脂シートの熱処理条件を40℃4日間に変更して、弾性率を700MPaの支持体シートとした他は、実施例1と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例1同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0062】
〔実施例4〕
実施例1で、樹脂シートの熱処理条件を40℃7日間に変更して、弾性率を1500MPaの支持体シートとした他は、実施例1と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例1同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0063】
〔比較例1〕
実施例1で、熱処理前の樹脂シート(弾性率150MPa)をそのまま支持体シートとして使用した他は、実施例1と同様にして、成形用転写シートを作製した。更に、実施例1同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0064】
〔比較例2〕
実施例1で、樹脂シートの熱処理条件を60℃7日間に変更して、弾性率を2000MPaの支持体シートとした他は、実施例1と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例1同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0065】
〔実施例5〕
実施例3にて、剥離層及び絵柄層に用いた熱可塑性アクリルウレタン樹脂を、熱可塑性アクリル樹脂に変更した他は、実施例3と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例3同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0066】
〔実施例6〕
実施例3にて、剥離層及び絵柄層に用いた熱可塑性アクリルウレタン樹脂を、ブチラール樹脂に変更した他は、実施例3と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例3同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0067】
〔実施例7〕
実施例3にて、剥離層及び絵柄層に用いた熱可塑性アクリルウレタン樹脂を、ニトロセルロース系樹脂に変更した他は、実施例3と同様にして成形用転写シートを作製した。更に、実施例3同様に二通りの転写方法(固体粒子衝突圧と弾性体ローラ)によって化粧材を作製した。
【0068】
〔性能評価〕
剥離性(剥離強度)、成形性、箔切れ性(バリ発生有無)は、次の様に評価した。評価結果は、表1に纏めて示す。
【0069】
▲1▼剥離性:剥離性としての剥離強度の評価は、各成形用転写シートを、40℃の恒温槽中に2週間放置した後、図8の説明図で概念的に示す様な剥離角θ=90度の剥離の剥離試験を行った。成形用転写シートSは、その支持体シート1側を両面粘着テープ(不図示)によって厚さ3mm鉄板製の支持台31に貼り付け、転写層2側に幅25mmのセロハン粘着テープ32〔ニチバン株式会社製、「セロテープ」(登録商標)〕を貼り付け、少し剥がした末端を、引っ張り試験機にて支持台31面に垂直方向に引っ張って、剥離強度を測定して評価した。
【0070】
▲2▼成形性:成形性は、次の様な被転写体に固体粒子衝突圧による転写方法で転写して評価した。すなわち、図7の斜視図で示す如き被転写体Bは、厚さ15mmのセメント系基材で、被転写面が直線溝状の凹部を有する凹凸形状を成しており、溝状凹部の間口Lwが5mm、該溝状凹部の深さLdが4mmの基材である。なお、溝状凹部の斜面部の傾斜角は45度である。
【0071】
転写は、先ず、この被転写体を予め、アクリルエマルション系のエナメル塗料によるベースコート層と、その上に更に、アクリルポリオール(ガラス転移温度−20℃)100重量部と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート5重量部とからなる2液硬化型ウレタン樹脂の接着剤層を、スプレー塗装した。
そして、該被転写体のベースコート層及び接着剤層を加熱乾燥して(接着剤層の2液硬化型ウレタン樹脂は完全硬化前)、被転写体の上に、前記の成形用転写シートを、その転写層側を被転写体側に向ける様にして載せて、被転写体表面温度を100℃に加熱した状態で、支持体シートの裏面側に固体粒子を衝突させて衝突圧を転写圧として与えて、成形用転写シートを被転写体に圧接し、その凹凸面に追従させる様に試みた。なお、固体粒子としては50℃に予熱された平均粒径0.4mmの球形の亜鉛球を用い、噴出器には図4及び図5の様な羽根車を用いた噴出器を使用した。固体粒子の噴出速度は35m/sとした。そして、固体粒子の衝突終了後、25℃の冷風で冷却して、熱融着で成形用転写シートが被転写体に接着した後、支持体シートを剥離角(但し、被転写体の天面部51から測った角度)θ=80°で剥がし取って、転写層のみを被転写体側に移行させて、転写を完了させた。
【0072】
そして、評価は、転写後の目視観察にて、転写層が溝内にまで転写しされたものは良好「○」、溝内に転写されない部分があるものは不良「×」とした。
【0073】
▲3▼箔切れ性:箔バリの有無に関する箔切れ性は、弾性体ローラによる転写方法で転写して評価した。評価に用いた被転写体は、上記固体粒子衝突圧による転写方法での成形性評価に使用した被転写体と同一物とした。また、被転写体の下地処理は、固体粒子衝突圧による転写方法の場合と同様である。そして、弾性体ローラとしては、鉄芯の周囲をシリコーンゴムで被覆して表面の硬度をJISで規定するゴム硬度35°とした直径10cmの加圧ローラを表面温度100℃に加熱したものを用いた。なお、転写の方向は被転写体の溝の走行方向と直交させた。
【0074】
そして、転写直後に、被転写体の天面部51上に転写された転写層が天面部の端部51eの横方向空間に向かって延びて張り出して、「箔バリ」となっているか否かを、目視観察して評価した。バリ発生無しは良好「○」、バリ発生有りは不良「×」として、箔切れ性を評価した。
【0075】
【表1】
Figure 0003802290
【0076】
〔評価結果考察〕
表1に示す如く、各実施例及び各比較例は全て成形性は良好であるが、剥離性は弾性率が特定範囲内である各実施例は全て良好であるのに対して、弾性率が当該範囲外である比較例1及び比較例2は、いずれも不良となった。すなわち、弾性率が特定範囲よりも小さい比較例1では、剥離強度が強すぎて支持体シートが旨く剥離しかなった。また、弾性率が特定範囲よりも大きい比較例2では、剥離強度が弱すぎて箔バリが生じ箔切れ性が不良となった。
【0077】
また、実施例3に対して、転写層の樹脂を熱可塑性アクリルウレタン樹脂から、それぞれ、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂に変更した、実施例5、実施例6、実施例7は、いずれも剥離強度は150〜400mN/25mmの範囲内で良好であった。
以上の如く、各実施例は全て成形性と剥離性及び箔切れ性とが良好で両立できたが、比較例はどれも成形性は良いものの剥離性が不良で両立できなかった。
【0078】
【発明の効果】
▲1▼本発明の成形用転写シートによれば、良好な成形性と良好な剥離性とを両立させる事ができる。また、箔切れ性も良好となる。更に、支持体シートは単層でも良い為に、2層シートで問題となる製造時、保存時或いは使用時等に於けるカール発生も防げる。
▲2▼更に、転写層のうち支持体シートに接する層を特定樹脂で形成することで、上記の良好な成形性と良好な剥離性とを確実に両立できる。
【0079】
▲3▼本発明の転写方法のうち固体粒子衝突圧による転写圧を用いる形態では、上記転写シートの良好な成形性及び剥離性等の諸効果を活かして、弾性体ローラを用いる転写方法では不可能な様な深い凹凸面でも転写抜け等の転写不良無しに確実に且つ容易に転写できる。その結果、高意匠の化粧材等の転写製品を容易に製造できる。
▲4▼また、本発明の転写方法のうち弾性体ローラによる転写圧を用いる形態では、上記転写シートの良好な成形性及び剥離性等の諸効果を活かして、比較的平坦に近い凹凸面に対して、容易に転写できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形用転写シートの一形態を示す断面図。
【図2】固体粒子衝突圧による転写圧で転写する転写方法を説明する概念図。
【図3】弾性体ローラによるを転写圧で転写する転写方法を説明する概念図。
【図4】固体粒子を噴出させる為の、羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明する斜視図。
【図5】図4の羽根車内部を説明する概念図。
【図6】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明する断面図。
【図7】成形性評価にに用いた被転写体の凹凸形状を示す斜視図。
【図8】剥離強度の測定方法を概念的に説明する説明図。
【符号の説明】
1 支持体シート
2 転写層
3 剥離層
4 装飾層
31 支持台
32 セロハン粘着テープ
51 被転写体の天面部
51e 天面部の端部
812 羽根車
813 羽根
814 側面板
815 中空部
816 方向制御器
817 開口部
818 散布器
819 回転軸
820 軸受
840 吹出ノズルを用いた噴出器
841 誘導室
842 内部ノズル
843 ノズル開口部
844 ノズル
B 被転写体
D 転写製品(化粧板等)
F 流体
Lw 間口
Ld 深さ
P 固体粒子
R 弾性体ローラ
R1 軸芯
R2 弾性体
S 成形用転写シート

Claims (4)

  1. 支持体シート上に転写層を有する成形用の転写シートにおいて、
    該支持体シートがエチレン−プロピレンランダム共重合体を主成分とし、且つ該支持体シートの弾性率が200〜1500MPaである成形用転写シート。
  2. 転写層のうち少なくとも支持体シートに接する層が、熱可塑性アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂から選ばれた一種以上の樹脂を主成分とする、請求項1記載の成形用転写シート。
  3. 請求項1又は2に記載の成形用転写シートを用い、固体粒子衝突圧による転写圧で転写する転写方法。
  4. 請求項1又は2に記載の成形用転写シートを用い、弾性体ローラによる転写圧で転写する転写方法。
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