JPH11268123A - 凹凸化粧材の製造方法 - Google Patents

凹凸化粧材の製造方法

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JPH11268123A
JPH11268123A JP10089536A JP8953698A JPH11268123A JP H11268123 A JPH11268123 A JP H11268123A JP 10089536 A JP10089536 A JP 10089536A JP 8953698 A JP8953698 A JP 8953698A JP H11268123 A JPH11268123 A JP H11268123A
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decorative sheet
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decorative
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JP10089536A
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Haruo Ono
晴男 大野
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸装飾面を有する化粧材を、化
粧シートのラミネートで製造する際に、凹部にて化粧シ
ートと凹凸基材間に空気が残る「エア噛み」等の不良を
起こさずに、深い凹凸表面でも装飾できる製造方法とす
る。 【解決手段】 凹凸基材Bの凹凸表面側に、化粧シート
Sの裏側面を対向させ、該化粧シートの表側面に多数の
固体粒子Pを衝突させて、その衝突圧をラミネート圧と
して用いてラミネートする際に、化粧シートには熱可塑
性で通気性を有する基材シート自体、又はその基材シー
トが装飾処理された通気性を有するシートを使用し、化
粧シートの表側に遮蔽シートCを配置して、固体粒子は
遮蔽シートに衝突させて、遮蔽シートを介して固体粒子
の衝突圧を化粧シートに与え、化粧シートが凹凸基材に
接着後、遮蔽シートを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床や壁面等の住宅
の外装及び内装材、家具等に用いる特に凹凸装飾面を有
する化粧材を、凹凸基材に化粧シートをラミネートして
製造する方法に関する。特に深い凹凸表面でも、凹凸基
材と化粧シート間に空気が残留する「エア噛み」等の不
良を起こさないで、化粧シートをラミネートする方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧板の基材面に直刷り法、ラミ
ネート法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板
が種々の用途で使用されている。この場合、基材の表面
が平面ならば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に
対しては格別の工夫により絵柄装飾を施している。例え
ば、窓枠、面縁材等の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸
〔円柱の様に一方向(母線、或いは高さ方向に直交する
方向)にのみ曲率を有する形状〕の場合に適用できる曲
面装飾技術の一つが、特公昭61−5895号公報に提
案されている。すなわち、同号公報の技術はラミネート
法による表面装飾法であり、片面に接着剤を塗布した表
装シートを供給し、一方基材を表装シートの供給速度と
同調した速度で水平に搬送し、併設した多数の押え治具
にて表装シートの端部が貼着されない状態を維持しつつ
表装シートの接着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に
段階的に押圧し、表装シートを基材面に加熱貼着するも
のである。なお、この方法はラッピング加工法と言われ
ている。また、特開平8−216599号公報では、熱
可塑性樹脂シートに絵柄層等の装飾を施した化粧シート
を、ラミネートローラで加熱・加圧して凹凸基材に押圧
して、その凹凸表面に化粧シートをラミネートする為
に、ラミネートローラが表面凹凸に追従変形できる様
に、ゴム硬度20°程度の軟質のゴムローラを用いる方
法を開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に開
示の技術では、二次元的凹凸までしか対応できない。ま
た、特開平8−216599号公報が提案する技術で
は、三次元的凹凸も一応は対応できるが、基本的に回転
する熱ローラのゴムによる弾性変形を利用して表面凹凸
に追従させる為に、浅い表面凹凸は良いとしても深い表
面凹凸には適用できない。ゴムローラの硬度が硬すぎる
と、化粧シートが十分に追従変形しない為、化粧シート
と凹凸基材間に空気が残留する「エア噛み」が発生す
る。また、「エア噛み」は、仮にゴムローラが十分に化
粧シートを表面凹凸に追従させる事が出来たとしても、
平坦面へのラミネートと異なり、凹凸表面の場合は凹部
内部の空気が逃げにくく、発生しやすかった。しかも、
凹凸表面へのラミネートの場合は、ゴムローラが表面凹
凸に追従変形していく速さに合わせる必要がある為に、
生産速度も上がらない。その上、凹凸基材の凹凸の隅角
部によって軟質としたゴムローラが損耗し易い。また、
ローラによる加圧の為に、全体として平板状の基材に限
定されるといった問題があった。なお、転写法では、特
開平8−216599号公報同様に、転写ローラに柔軟
なゴムローラを用いて転写シートを加熱・加圧して、転
写層を転写する方法が、特開平5−139097号公報
等で提案されているが、転写法は基本的に厚い転写層を
形成しずらく、耐磨耗性等の表面耐久性に優れた化粧材
は得にくいといった問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の凹凸化粧材の製造方法では、凹凸表面
を有する凹凸基材の凹凸表面側に、化粧シートの裏側面
を対向させ、該化粧シートの表側面に固体粒子を衝突さ
せて、その衝突圧を利用して、凹凸基材の凹凸表面に化
粧シートを圧接してラミネートする凹凸化粧材の製造方
法であって、化粧シートは、熱可塑性で通気性を有する
基材シート自体、又は該基材シートが装飾処理された通
気性を有するシートから成り、固体粒子を該化粧シート
に衝突させる際に、化粧シートの表側に遮蔽シートを配
置して、固体粒子は該遮蔽シートに衝突させ、該遮蔽シ
ートを介して固体粒子の衝突圧を化粧シートに与えて、
化粧シートが凹凸基材に接着した後、遮蔽シートを除去
する、製造方法とした。
【0005】その結果、ラミネート圧に、ゴムローラ圧
を用いずに、固体粒子衝突圧を用いるので、深い表面凹
凸にも化粧シートを追従させて、生産性良くラミネート
でき様になった。しかも、化粧シートを通気性のシート
とする事で、化粧シートを通して化粧シートと凹凸基材
間の空気が逃げるので、凹凸表面で起きやすい「エア噛
み」発生も防げる。また、基材シートを通気性とする事
で、不織布等からなる化粧シートに固体粒子が付着して
汚れが発生し易くなるのは、遮蔽シートを介して固体粒
子を化粧シートに衝突させる事で防げる。また、遮蔽シ
ートにより化粧シートは固体粒子の直接の衝突から保護
されるので、化粧シート表側に印刷等で形成した絵柄層
等があっても、固体粒子の衝突で損耗することも無い。
また、遮蔽シートが非通気性の場合でも、固体粒子衝突
圧はミクロ的に見れば、圧の分布にゆらぎがあり、また
化粧シートと遮蔽シートとの間にも部分的、一時的に空
隙を生じる為、化粧シートの表面側へ滲み出した空気
は、遮蔽シートと化粧シートとの間を通じて排除される
為、「エア噛み」防止効果は維持される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の凹凸化粧材の製造
方法の実施の形態を説明する。
【0007】〔概要〕図1は本発明の凹凸化粧材の製造
方法をその一形態で説明する概念図である。図1(A)
は、ラミネート前の、凹凸基材B、化粧シートS、及び
遮蔽シートCのそれぞれを示す。なお、同図の形態で
は、凹凸基材Bの凹凸表面側には、予め接着剤層Aが施
してあるが、不要な場合は、勿論省略できる。用いる化
粧シートSは、例えば図2(A)に示す如く、基材シー
ト1が絵柄層2等で装飾処理されたシートである。な
お、図2は、図面上方が化粧シートの表側面である。基
材シートは熱可塑性樹脂繊維製の不織布等からなり、通
気性を有し且つ熱で可塑性を呈する通気性熱可塑性シー
トである。図2の化粧シート表側面に成形された絵柄層
2は、基材シートの一部を覆うパターンとして成形さ
れ、基材シートは一部露出された面を有する。しかし、
絵柄層が全面に形成されている場合でも、化粧シートの
全層を貫通する多数の空気通路の孔が穿設されるか、或
いは不織布等の繊維間隙を有する基材シートの表面に網
点の集合体からなる絵柄が形成されていれば本発明に用
いることが出来る。
【0008】そして、本発明の凹凸化粧材の製造方法で
は図1(B)の如く、化粧シートSを凹凸基材Bに圧接
してラミネートする為に、化粧シートを凹凸基材Bに押
圧するラミネート圧として、化粧シートの表側面に多数
衝突させる固体粒子Pの衝突圧を利用する。その際、本
発明では、遮蔽シートCを介して、固体粒子を化粧シー
トに衝突させる。すなわち、図1(B)の如く、凹凸基
材Bの凹凸表面側に、化粧シートSの裏側面を対向させ
て配置し、また、化粧シートSの表側面には、非通気性
の遮蔽シートCを配置して、多数の固体粒子Pを遮蔽シ
ートCに衝突させ、遮蔽シートを介して固体粒子の衝突
圧を化粧シートに与える。また、通常は、化粧シート
(或いは遮蔽シートも)は加熱し伸び易くした状態で衝
突圧を与える。もちろん、凹凸基材の貼着すべき凹凸表
面形状に化粧シートや遮蔽シートが十分追従するなら
ば、加熱しなくても良い。その結果、固体粒子衝突圧に
よって、化粧シートは遮蔽シートと共に、凹凸基材の凹
凸表面に追従し、凹凸基材に化粧シートが積層され、且
つ該化粧シート上に遮蔽シートが被さった様な、図1
(C)の状態となる。そして、化粧シートSが凹凸基材
Bに接着後、遮蔽シートCを除去すれば、図1(D)の
如き、化粧シートSが凹凸基材Bの凹凸表面にラミネー
トされた化粧材Dが得られる。なお、ここで遮蔽シート
Cとしては、非通気性の場合を例示したが、勿論、不織
布等の通気性のものであっても良い。
【0009】以上の様に、本発明では、固体粒子衝突圧
をラミネート圧に用いるので、深い凹凸表面にも化粧シ
ートのラミネートを生産性良くできる事になる。しか
も、化粧シートは固体粒子に直接接触しないので、「エ
ア噛み」防止等の為に化粧シートに通気性シートを使用
しても、固体粒子の付着による汚れを防げる。
【0010】以下、更に本発明の凹凸化粧材の製造方法
を詳述する。
【0011】〔化粧シート〕本発明で使用する化粧シー
トは、少なくとも上記特定の基材シートからなるが、通
常は基材シートが絵柄層等で装飾処理された通気性を有
するシートである。また化粧シートは、通常は基材シー
トを通気性にするため、化粧シートの素材自体も不織布
等を用いて通気性としたシートである。化粧シートの素
材自体を通気性とするのは、「エア噛み」防止等の為で
ある。しかし、素材的には通気性の無い化粧シートに空
気通路孔を穿設して通気性にしたものでも良い。それ
は、遮蔽シートの効果が、化粧シート表面に付着する固
体粒子による汚れを防ぐ事であり、化粧シート表面に基
材シートの通気性をもたらす空気通路孔(通気孔)を多
数有する化粧シートであれば、固体粒子付着は起こり、
またこれに対して遮蔽シートの効果が得られるからであ
る。
【0012】図2(A)及び(B)の断面図は、用い得
る化粧シートSの例である。図2(A)の化粧シートS
は、基材シート1の表側面に、装飾処理として印刷等に
よる絵柄層2を、基材シートの一部が露出する様に、部
分形成した構成のものである。この場合、基材シートは
化粧シートの表裏両面に露出している面を有するので、
化粧シート自体も通気性を有する事になる。なお、図2
(A)の絵柄層は、基材シートの通気性と化粧シート表
側面の特性との関係を概念的に説明する為に、固体粒子
付着の観点から直観的に分かり易い様にした例である。
しかし、もちろんだが、絵柄層が全面に形成されている
場合でも、不織布に印刷する場合の様に、絵柄層の厚み
方向の一部又は全部が、基材シートの繊維間に入り込み
或いは絵柄層が網点の集合体からなり、化粧シート表側
面に基材シートの通気性をもたらす(又はもたらしてい
た)多数の通気孔が開口している場合もある。つまり、
図2の絵柄層2が基材シートの表側面全面を覆っている
場合でも、本発明で用いる化粧シートとしては、基材シ
ートの通気孔が化粧シート表側面に開口している様な化
粧シートであれば、本発の効果が得られる。
【0013】ちなみに、図2(B)の化粧シートSは、
(元々は非通気性の)基材シート1に絵柄層2を設け、
更に非通気性の接着剤層Aを設けたシートに、全層を貫
通して通気孔3を多数穿孔し、全体として通気性を持た
せた化粧シートである。なお、(通常は通気性の無い)
接着剤層については化粧シート全体としては通気性が無
くならない様に、網点状等部分的に形成するか、或い
は、化粧シート裏面全面に接着剤層を塗布する場合は、
該接着剤層を未硬化液状で通気性が残る状態で凹凸基材
にラミネートする様にするとより効果的である。
【0014】(基材シート)基材シート1は、熱可塑性
で通気性であるシート(通気性熱可塑性シート)からな
る。熱可塑性は、化粧シートを凹凸基材の凹凸表面に追
従、変形させる為である。熱可塑性は熱可塑性樹脂を用
いる事で得られる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポ
リメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルメタ
クリレート(PBMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−
プロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱可塑
性エラストマー等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレン
テレフタレート、エチレン・テレフタレート・イソフタ
レート共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレ
ート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、ポリアミド樹脂等である。
【0015】また、通気性は、特に凹凸基材へ化粧シー
トをラミネートする場合、化粧シートと凹凸基材間に、
空気が抱き込まれて残留して「エア噛み」が発生し易い
ので、空気を抜き易くする為等である。
【0016】そして、基材シートを通気性とするには、
熱可塑性樹脂を繊維とし、これを不織布や織布とする
か、或いは一旦成膜した上記各種樹脂からなる樹脂シー
ト(フィルム)に、多数の小孔を通気孔として穿設する
方法がある。小孔は化粧シート全面、或いは特に表面凹
凸の凹部に対応して伸ばされる部分等に、基材シートを
貫通する様に多数穿設すると良い。もちろん、小孔の場
合は、化粧シート全層を貫通する様にする。穿設は、基
材シートを装飾処理する場合は装飾処理後の化粧シート
に対して穿設しても良く、この様な化粧シートも本発明
で用いる化粧シートの対象である。穿設は例えば、円周
面に多数の針を放射状に設けたローラや、レーザー光で
行う。小孔の直径は0.1〜0.5mm程度、小孔の数
密度(面密度)は1〜100個/cm2 程度である。
【0017】なお、樹脂フィルムの場合、フィルム中に
必要に応じ各種添加剤が添加される。添加剤としては、
染料、顔料等の着色剤、艶消剤(無機質微粒子等)、紫
外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤等がある。
【0018】また、通気性且つ熱可塑性の基材シートを
不織布や織布として用いる場合、基材シートを熱可塑性
とする為に、不織布や織布の繊維としては、上記の様な
熱可塑性樹脂からなものが良い。例えば、具体的には、
熱可塑性ポリエステル樹脂等の樹脂繊維である。
【0019】基材シートの厚さは、特に制限は無いが、
樹脂フィルムの場合は通常20〜200μm程度、不織
布又は織布の場合は坪量で、20〜150g/m2 程度
である。
【0020】なお、基材シートは、通気性で熱可塑性で
ある、通気孔穿設樹脂フィルム、不織布及び織布のいず
れかを、単層で用いる他に、2層以上の積層体として用
いる事もできる。
【0021】(装飾処理)基材シートに施す装飾処理
は、限定されるものでは無いが、図2(A)及び(B)
の様に、基材シート1に対する絵柄層2等の印刷形成が
代表的である。しかし、本発明の凹凸化粧材の製造方法
は、用いる化粧シートが、その表側面に通気性を基材シ
ートにもたらす通気孔が開口しているシートであれば、
エア噛み防止効果を有するとともにラミネート圧を与え
る固体粒子が付着し残留するのを防止するという遮蔽シ
ートの効果は享受できる。従って、最も単純な化粧シー
トの構成例では、何も装飾処理されていない基材シート
自体を化粧シート自体として使用する事もできる。例え
ば、不織布や織布等の織目や着色繊維による織模様を意
匠効果とする化粧材である。これは、基材シート自体が
既に装飾効果を有している場合とでも言える。
【0022】そして、絵柄層は、グラビア印刷、シルク
スクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の方法、
材料で絵柄等を印刷した絵柄印刷層、アルミニウム、ク
ロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的
或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わ
せたものを用いる。絵柄としては、凹凸基材の表面凹凸
に合わせて、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調
模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面
ベタ等を用いる。なお、絵柄印刷層用インキは、バイン
ダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これ
に適宜加える各種添加剤からなる。バインダーには、ア
クリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエ
ステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着
色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁
柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナ
クリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等
の有機顔料を用いる。なお、絵柄層は化粧シート表側面
の他に、透視できれば裏側面、基材シートと基材シート
との間等でも良い。特に、本発明では固体粒子衝突圧を
ラミネート圧として利用時に、遮蔽シートを使用する
で、衝突圧を受ける側の化粧シートの面が、固体粒子衝
突によって摩耗する事が無いので、絵柄層等の装飾処理
が図2(A)の如く、基体シートの表側面であっても問
題無い。
【0023】また、この他の装飾処理として、基材シー
トに小孔を多数穿設した樹脂フィルムを用いる場合は、
基材シート自体に着色剤を添加して着色(透明又は不透
明)する処理、表側面等への凹凸模様賦形等の装飾処理
もある。凹凸模様は、木目導管溝、石板表面凹凸模様
(花崗岩の劈開面等)、布表面のテクスチュア等であ
る。この凹凸模様は、化粧シートの表面が普通だが、そ
の他、裏面、表裏両面、或いは、多層構成の基材シート
使用時では層間の場合もある。更に、凹凸模様の凹部内
に着色インキを充填するワイピング加工法等の装飾処理
もある。これら各種の装飾処理は組み合わせて使用する
事もある。
【0024】〔接着剤層〕接着剤層は、化粧シートと
(適宜下地処理層等の下地処理を施した)凹凸基材とで
は接着(融着等)できない場合に、凹凸基材側、化粧シ
ート側、或いは両方に設ける。もちろん、エア噛みを防
止する目的では、接着剤層は通常は通気性を損なうので
化粧シート側には設けずに、凹凸基材側に設けるのが好
ましい。接着剤は、凹凸基材上の接着剤層としてや、化
粧シートを構成する接着剤層として、事前に、又はラミ
ネートの直前にインライン塗工やオフライン塗工で施せ
ば良い。凹凸基材に施す場合には、化粧シートの接着剤
層を省略できる。用いる接着剤は、用途、要求物性等に
より適宜選択すれば良い。
【0025】接着剤としては、例えば、感熱型接着剤、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿
気硬化型ホットメルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離
放射線硬化型接着剤、水性接着剤、或いは粘着剤による
感圧型接着剤等の従来公知の各種接着剤を、用途に合わ
せて使用すれば良い。上記感熱型接着剤としては、熱可
塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱
硬化型とのいずれでも良い。例えば感熱溶融型接着剤と
しては、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、
熱可塑性ポリウレタン樹脂、ダイマー酸とエチレンジア
ミンとの縮重合により得られるポリアミド樹脂等からな
る接着剤を使用する。また、例えば熱硬化型接着剤とし
ては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート
樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等からなる
接着剤を使用する。
【0026】接着剤を、化粧シートや凹凸基材に施すに
は、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)に溶解(又は
分散)した溶液(又は分散液)の形態で、或いは熱溶融
した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化樹脂を無溶剤
の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、従来公知の塗
工法であるグラビアロールコート等による溶液塗工や、
アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗工)法により施
せば良い。なお、凹凸基材の凹凸表面に施す場合は、軟
質ゴムロールやスポンジロール等のロールを使用したロ
ールコート、カーテンフローコート、スプレーコート、
熔融塗工等の塗工法が良い。接着剤の塗布量は、接着剤
の組成、化粧シートや凹凸基材の種類及び表面状態で異
なるが、通常10〜200g/m2 (固形分)程度であ
る。
【0027】〔遮蔽シート〕遮蔽シートは、化粧シート
を覆い固体粒子の直接の衝突から遮蔽し、固体粒子の衝
突圧を化粧シートに伝えて、凹凸基材の凹凸表面形状に
追従させるシートであれば良い。もちろん、遮蔽シート
は化粧シート同様に、衝突圧により(化粧シートと共
に)凹凸基材の凹凸表面形状に追従する為に、伸びて変
形する特性を有する。但し、遮蔽シートが備える伸び適
性の方は、衝突圧解放後は変形が縮んで元に戻る弾性変
形でも良い。なお、これに対して化粧シートが備える伸
び適性は、(熱)可塑性であり、圧解放後は変形が戻ら
ない塑性変形である。もちろん、遮蔽シートの伸び適性
も可塑性に基づくものでも良く、遮蔽シートは熱可塑性
でも良い。従って、遮蔽シートとしては、熱可塑性樹脂
シートの他に、ゴム等のエラストマーシートでも良い。
エラストマーシートの場合は、形状が元に戻るので、再
利用もできる。しかし、エラストマーシートは大きく変
形する程、弾性による反発力により化粧シートに伝える
衝突圧を弱める。この点で、熱可塑性樹脂シートは、反
発力がなく衝突圧を損失なく化粧シートに伝えられる点
で、好ましい。また、遮蔽シートは、凹凸基材側から化
粧シートの表面に滲み出して来た空気を排除する効率の
点からは、化粧シートと同様の不織布や織布、或いは通
気孔を穿設したシートが好ましい。一方、該シートに固
体粒子が付着すると、固体粒子の消耗となるので、その
点に於いては遮蔽シートは非通気性が好ましい。
【0028】非通気性且つ熱可塑性の遮蔽シートとして
は、熱可塑性樹脂のシートを使用できる。該樹脂シート
(フィルム)の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルメタクリ
レート(PBMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プ
ロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱可塑性
エラストマー等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート、エチレン・テレフタレート・イソフタレ
ート共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレー
ト等の熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、ポリアミド樹脂等である。但し、ラミネ
ート時の加熱で、化粧シートとの組み合わせで、遮蔽シ
ートが化粧シートに融着等により密着しない様な樹脂を
選ぶ。また、エラストマーシート(フィルム)の場合
は、シリコーンゴム等のゴム類、ポリウレタン系熱可塑
性エラストマー等の熱可塑性エラストマー類等のエラス
トマーが使用できる。遮蔽シートの厚みは、薄い程細か
い表面凹凸にまで化粧シートを追従させる事ができるの
で好ましい。しかし、強度の点では厚い方が良い。従っ
て、厚みは、凹凸基材の表面凹凸の大きさ等にもよる
が、例えば10〜100μm程度のシートを用いる。
【0029】〔凹凸基材〕本発明における凹凸基材は、
化粧シートの被貼着面が凹凸表面の基材であれば良く、
特に限定されない。なかでも、固体粒子衝突圧を用いる
本発明の凹凸化粧材の製造方法が真価を発揮するのは、
被貼着面の凹凸表面が三次元的凹凸の場合である。従来
の回転接触する押さえ治具(前述の特公昭61−589
5号公報)や、ゴム製のラミネートローラ(前述の特開
平8−216599号公報参照)では、その回転軸によ
る方向性を本質的に有しているために、適用できる表面
凹凸形状が制約される。即ち前者では、1軸方向にのみ
曲率を有する二次元的凹凸に限定され、また、後者では
2軸方向に曲率を有する三次元的凹凸へのラミネートが
可能でもその三次元形状は任意の方向に均質に適用でき
ない。ところが、本発明では、流体的に振る舞うことが
できる固体粒子群の衝突圧を利用するため、表面凹凸の
三次元的形状に対して圧力印加領域の面的な方向性を本
質的に持たない。(この方向性とは、圧力が印加される
凹凸基材上のポイントの時間的位置変化の方向のことで
ある。)従って、凹凸基材を搬送しながらラミネートす
る場合に、化粧シート、遮蔽シート及び凹凸基材の送り
方向(ラミネート圧印加方向)に凹凸がある形状を持つ
凹凸基材でも構わない。すなわち、送り方向のみ又は幅
方向のみ等と一方向にのみ凹凸がある二次元的凹凸、送
り方向及び幅方向の両方等と2方向に凹凸がある三次元
的凹凸にも適用できることを意味する。なお、固体粒子
群の衝突圧が方向性を持たない点は、枚葉の化粧シート
及び遮蔽シートを凹凸基材上に載置し一つずつラミネー
トする様に、固体粒子を噴出する噴出器を移動、又は噴
出器固定で化粧シート、遮蔽シート及び凹凸基材を移動
させて、衝突圧が印加される領域が移動していく様子を
考えれば、容易に理解できる。
【0030】また、凹凸基材の被貼着面となる凹凸表面
は、凹凸基材が全体として(包絡面形状が)平板状の板
材で(凹凸表面の包絡面形状が)平面の場合だけでな
く、(凹凸表面の包絡面の)断面が円弧状に凸又は凹に
送り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有する基
材でも良く、またその湾曲面にさらに細かい三次元的な
表面凹凸があってもよい。なお、本発明では、凹凸基材
の円弧状等の二次元的な凹凸に対して、それを例えば幅
方向として、或いは送り方向としてラミネートするかは
作業性等を考慮して任意にできる。
【0031】また、大柄な凹凸に重畳して微細な凹凸を
有する凹凸表面の凹凸基材、或いは凹凸表面の凹部底部
や凹部内側面に被貼着面を有する凹凸基材も可能であ
る。前記大柄な凹凸と微細な凹凸とは、例えば図3の要
部拡大斜視図に示す如く、凹凸基材の凹凸が、大柄な凹
凸となる凹部11及び凸部12と、その凸部12上にあ
る微細な凹凸13とからなるもので、大柄の凹凸形状は
段差が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部の
幅が5mm以上のもので構成されるものであり、微細な
凹凸形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小
さく、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅
及び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸
部の幅の1/2未満程度である。大柄な凹凸と微細な凹
凸との組み合わせの凹凸から成り、且つ三次元的な表面
凹凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例としては、例え
ば、大柄な凹凸として目地、溝等を有するタイル、煉
瓦、石等の二次元配列模様を有し、その上に微細な凹凸
としてスタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸
模様、花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材
表面の凹凸等を有する石目調凹凸模様、或いは大柄な凹
凸模様として目地、溝、簓、サネ等を有する羽目板模
様、浮造木目板模様を有し、その上に微細凹凸として導
管溝、浮出した年輪、ヘアライン等を有する木目調の凹
凸模様が挙げられる。
【0032】なお、凹凸表面を構成する各面は、平面の
みから、曲面のみから、或いは平面と曲面の組み合わせ
と任意である。凹凸表面は、断面が下駄の歯形の様に複
数の平面のみから構成される曲面を持たない凹凸面も意
味する。また、凹凸基材表面を所望の凹凸とするには、
プレス加工、エンボス加工、押し出し加工、切削加工、
成形加工等によれば良い。
【0033】凹凸基材の材質は任意であり、例えば、板
材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、スラグセメント板、ALC(軽量気泡コンクリー
ト)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)板、パル
プセメント板等の非陶磁器窯業系板、木材単板や木材合
板、パーティクルボード、集成材、木質中密度繊維板
(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウム、銅等
の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、ポリプロ
ピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品等
でも良い。また、これらの凹凸基材表面には、予め、化
粧シート或いは接着剤との接着を補助する為の易接着プ
ライマー、或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じ
るシーラー剤を塗工しておいても良い。易接着プライマ
ー、或いはシーラー剤としては、イソシアネート、2液
硬化ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸
ビニル樹脂等の樹脂を塗工し形成する。
【0034】〔固体粒子〕固体粒子としては、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、アル
ミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、コ
ランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、
亜鉛等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂
ビーズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレ
タン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビー
ズ、架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等、或
いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複
合粒子等を使用することができる。形状は球形状が好ま
しいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、無定
形、その他の形状のものでも用い得る。固体粒子の粒径
としては、通常10〜1000μm程度である。
【0035】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
化粧シートや遮蔽シートの加熱による延伸性(伸び易
さ)の向上を、化粧シート及び遮蔽シートの押圧と共に
行うこともできる。この場合、衝突圧印加前に他の加熱
方法で、ある程度まで化粧シート、遮蔽シート、凹凸基
材を加熱しておいても良い。また、加熱固体粒子は既に
加熱された化粧シート、遮蔽シート、凹凸基材等の温度
維持にも使用できる。一方、固体粒子は、接着後の冷却
促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の固体粒
子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。また、固
体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却固体粒
子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた後、冷却
固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。また、他
の加熱方法で化粧シート、遮蔽シート、凹凸基材、接着
剤等の加熱を要するものを充分に加熱しておき、これに
冷却固体粒子を用いて、化粧シートの凹凸表面形状への
成形と接着及び冷却を殆ど同時に行うこともできる。固
体粒子を加熱又は冷却するには、固体粒子の貯蔵をホッ
パ等の形態のタンクに貯蔵する場合は、タンク内やタン
ク外壁の設けた、電熱ヒータ、加熱蒸気、冷媒等による
加熱手段、冷却手段で行えば良い。また、固体粒子輸送
管の外壁にこれら手段を設けて、輸送管通過中に加熱又
は冷却しても良い。
【0036】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
化粧シート(直接には遮蔽シート。以下、固体粒子は直
接には遮蔽シートに衝突させるが、固体粒子は化粧シー
トに衝突させると記す。)に衝突させて衝突圧を印加
し、化粧シートを(遮蔽シートを介する衝突圧により)
凹凸基材に押圧するには、固体粒子を噴出する噴出器か
ら、多数の固体粒子を連続して化粧シートに向かって噴
出させて、化粧シートに衝突圧を印加する。多数の固体
粒子は固体粒子群として化粧シートに衝突する。噴出器
には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。羽根車
はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズルは固体
粒子加速流体として高速の流体流で固体粒子を搬送し加
速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或い
はショットブラスト、ショットピーニング等とブラスト
分野にて使用されているものを流用できる。例えば羽根
車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸
引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠
心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し
噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合して
おいた固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式ブラス
ト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子
を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装
置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。また、噴出
器には、吹出ノズルや羽根車以外にも、重力による自由
落下を利用して固体粒子を加速する方法、磁性体粒子を
磁場によって加速する方法等を採用することも可能であ
る。なお、羽根車、重力、磁場を用いた噴出器の場合
は、真空中で固体粒子を化粧シートに向かって噴出させ
る事も可能である。
【0037】(羽根車)図4〜図6に、噴出器の粒子加
速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示す。これ
らは、ブラスト分野にて使用されている遠心式ブラスト
装置に該当する。図面では、羽根車812は、複数の羽
根813がその両側を2枚の側面板814で固定され、
且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815となっ
ている。更に、この中空部815内に方向制御器816
を内在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方
向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車81
2の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回
動自在となっている。羽根車使用時は、方向制御器の開
口部を適宜の方向に向くように固定して、固体粒子の噴
出方向を調整する。更に、この方向制御器の内部に、内
部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう
一つの羽根車が散布器818として内在する(図6参
照)。散布器818は外側の羽根車812と共に回転す
る。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸8
19が固定され、回転軸819は、軸受820で回転自
在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって
駆動回転され、羽根車812が回転する。また回転軸8
19は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間
には貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。そ
して、散布器818の内部に固体粒子Pがホッパ等から
輸送管を通って供給される。通常、固体粒子は、羽根車
の上方(直上又は斜上方)から供給する。散布器内に供
給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。
飛び散った固体粒子は、方向制御器816の開口部81
7によって許された方向にのみ放出され、外側の羽根車
812の羽根813と羽根813との間に供給される。
そして、羽根813に衝突し、羽根車812の回転力で
加速され、羽根車から噴出する。
【0038】なお、固体粒子の噴出方向は、図4〜図5
では略鉛直下方であるが、図8(B)の様に水平方向、
或いは斜下方(図示略)等としても良い。図7(A)及
び図7(B)に方向制御器816の開口部817の向き
の設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御
の概念図を示す(図7(A)、(B)では方向制御器は
それぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向制
御器816は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさ
を調整することで、固体粒子の噴出量を調整することも
できる。なお、図5に於いては、回転軸819は側面板
814の外側のみで中空部815にまで貫通していない
構成となっているが、この他、中空部の直径より細い回
転軸を該中空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通
り抜け用の開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身
を中空部とする構成などでも良い(図示略)。羽根81
3の形は、図4〜図7の様な長方形の平板(直方体)が
代表的であるが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロ
ペラ等のプロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、
目的に応じて選択する。又、羽根の数は複数枚、通常最
大10枚程度までの範囲から選択する。羽根車の形状、
枚数、回転速度、及び固体粒子の質量や供給速度と供給
方向、方向制御器の開口部サイズ及び向きの組み合わせ
により、加速された固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出
速度、投射密度、噴出拡散角等を調整する。
【0039】また、図8は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。固体粒子の噴出方向は鉛
直下方(図示略)、水平方向(図8)、或いは斜下方
(図示略)等が可能である。
【0040】また、上記した羽根車812、812a等
の羽根車には、更に必要に応じ、固体粒子の噴出取出部
分のみ開口させ、それ以外の羽根車周囲を被覆する噴出
ガイド(不図示)を備える事で、固体粒子の噴出方向を
揃えたりする固体粒子噴出方向制御を行うこともでき
る。噴出ガイドの開口部の形状は、例えば、中空の円柱
状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等である。噴
出ガイドは、単一開口部を有するものでも良いし、或い
は内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたものでも良
い。
【0041】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重
量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0042】(吹出ノズル)固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図9に吹出ノズルを用い
た噴出器840の一例の概念図を示す。なお、同図に示
す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用い、
固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する
形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840は、固
体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室8
41内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、ノズル
開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出する吹出
ノズル部844からなる。圧縮機又は送風機(不図示)
から適宜加圧タンク(不図示)を経て送られる流体F
を、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴
出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用
で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き
混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル8
44のノズル開口部843から流体流と共に噴出するも
のである。なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体と
して液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合は、
例えばポンプ(不図示、流体が液体の場合)により、流
体と固体粒子とを加圧タンク(不図示)に混合貯蔵して
おき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部から噴出
するもの等が使用される。
【0043】ノズル開口部の形状は、中空の円柱状、多
角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の形状のものを用
いる。吹出ノズルは、単一開口部を有するものでも良い
し、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたも
のでも良い。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜100k
g/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常
1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度
である。
【0044】(流体)流体Fは、固体粒子加速流体とし
て、固体粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流
体と共に固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場
合(吹出ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速
する固体粒子加速流体である。流体には気体、液体とも
に利用可能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用い
る。但し、化粧シート、遮蔽シートともに通気性の場合
は、液体が化粧シートと凹凸基材間に浸入すると両者間
の接着を阻害する為に、流体としては気体を用いる。気
体としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、窒素等
でも良い。液体としては、必ずしも限定されないが、不
燃性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容易性、
等から水は好ましい材料の一つである。この他、フロ
ン、グリセリン、シリコーン油等の不燃性の液体も使用
できる。液体を(気体もそうであるが)化粧シート(直
接的には遮蔽シート)に固体粒子と共に衝突させること
ができる。当然の事ならがら、液体は気体よりも密度が
高い為、気体よりも液体の方が、流体流で固体粒子を加
速する場合に加速し易く、しかも液体が化粧シートに衝
突する場合に、気体と等速度の衝突でも、衝突圧は気体
に比べてより大きく且つ実用性のある衝突圧が得られ
る。(また、固体粒子との密度差も少ないので固体粒子
の搬送もし易い。)従って、液体の場合は、ラミネート
圧として固体粒子の衝突圧以外に、液体の衝突圧も利用
でき、その分より大きな圧を印加でき、その結果、化粧
シートを凹凸基材の表面凹凸形状へ追従させ成形する成
形効果により大きなものが得られる。また、衝突圧印加
時の加熱又は冷却手段として流体を用いる場合、気体よ
りも液体の方が比熱が大きいので、より大きな加熱又は
冷却効果が得られる。また、液体が水の様な電気伝導体
の場合は、気体の場合に比べて静電気帯電に対する防爆
対策もより容易となる。
【0045】(衝突圧印加形態)噴出器は、1個のみの
使用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて、化粧シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。凹凸基材を搬送しながら衝突圧を与える場合
は、例えば、化粧シート、遮蔽シート及び凹凸基材の送
り方向に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置し
て、幅方向に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とす
る。或いは、図10(A)の噴出器8の配置は千鳥格子
状の配置であり、図10(B)は一列配置だが、幅方向
中央部は送り方向の上流側で衝突する様にした配置であ
る。図10(B)の配置では、化粧シートの凹凸基材へ
の衝突圧による圧接は幅方向中央部から始まり、順次、
幅方向両端部に向かって圧接されて行く。この様にする
と、幅方向中央部に空気を抱き込んだまま、化粧シート
が凹凸基材に密着することを防止できる。図10の様に
噴出器を幅方向に複数個配列する場合には、個々の噴出
器の加圧領域が互いに一部重複し、全幅にわたってもれ
なく加圧できる様に配列することが好ましい。図10
(B)にそのような配列の一例を示す。該図に於いて、
点線部分が(有効)加圧領域を示す。
【0046】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。例えば、化粧シートの搬送方
向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方向
両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布に
設定する。この設定は、図10(B)の配置と同様に、
中央部から両側部に向かって順次段階的に圧接を進行さ
せ、内部に空気を抱き込むのを防ぐ。もちろん、衝突圧
はラミネートが完全に行える圧以上で、且つ化粧シート
の歪み、凹凸基材の変形、破損等の生じない圧以下の適
正圧力範囲内とする。衝突圧の調整は、噴出器から化粧
シートに衝突する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝
突する固体粒子数、投射量、及び1粒子の質量を制御す
ることで調整する。これらのうち、固体粒子の速度を調
整するには、羽根車を用いる噴出器では、羽根車の回転
数、羽根車の直径等で調整する。なお、ゴム製のラミネ
ートローラを用いる従来のラミネート法でも、ローラ中
央部の直径を太めとすれば、圧力的には中央部は強くで
きるが、中央部と両端部とで円周長が異なってしまい、
接触して圧印加される化粧シートの送りが均一に出来な
い。
【0047】(噴出器の凹凸基材に対する配置方法)羽
根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向は、
原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がらず、
該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。このような噴
出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば良い。
しかし、一つの噴出器で所望の衝突領域の大きさに出来
ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様に、複数
の噴出器を凹凸基材のラミネネートすべき面に対して配
置する場合は、固体粒子がなるべく垂直に衝突する様
に、各噴出器は凹凸基材に平行にし、且つ各噴出器の噴
出方向が凹凸基材の法線方向になる様な配置が基本であ
る。垂直衝突時に、衝突圧は最大に有効利用できるから
である。例えば、凹凸基材を搬送しながら衝突圧を与え
る場合で、凹凸基材の被貼着面の包絡面(の搬送方向に
直角の断面形状)が円型になる円筒状の凸曲面の場合で
あれば、各噴出器が主として受け持つ個別の衝突面(凸
曲面の接平面)に対して、略垂直に固体粒子が衝突する
様に、噴出器の向きを近接する凹凸基材面の包絡面法線
方向にして配置すると良い。ただ、噴出器の向きは、化
粧シート面に対して必ずしも垂直にする必要はない。ま
た、噴出器は多めに設けておき、製造する凹凸基材によ
っては、一部の噴出器は停止させても良い。
【0048】(固体粒子の衝突方向)固体粒子は、凹凸
基材の被貼着面の包絡面に対して、垂直に衝突させる垂
直衝突が基本的である。つまり、噴出器の固体粒子噴出
方向を前記包絡面に対して垂直とする。しかし、固体粒
子を凹凸基材の被貼着面の包絡面に対して角度をもって
斜めから衝突させても良い。つまり、噴出器の固体粒子
噴出方向を前記包絡面に対して斜めとする。或いは、複
数の噴出器を用いて垂直衝突と斜め衝突とを併用しても
良い。また、斜め衝突は異なる方向からの複数の斜め衝
突を組み合わせても良い。斜め衝突は、被貼着面の凸部
から凹部に至る斜面(特に垂直衝突では衝突圧を与えに
くい垂直面)に対しても、固体粒子の運動エネルギーの
衝突圧への利用効率を向上させる為である。包絡面に水
平な面に対する衝突圧の利用効率は多少犠牲なるが、凹
凸の被貼着面全体でみれば、衝突圧が過少となる部分を
解消して、平均的に十分な衝突圧を加える事が可能とな
る。この様な斜め衝突は、被貼着面に於ける垂直面の有
無等の凹凸形状次第で採用する(図3参照)。
【0049】(固体粒子衝突圧の実際的な利用法)ま
た、実際に固体粒子を用いてラミネートする際は、固体
粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用す
るのが好ましい。つまり、この為には、固体粒子衝突圧
によるラミネート圧を押圧する衝突空間を周囲空間と隔
離するチャンバ(隔離室)内で、固体粒子を化粧シート
(直接的には遮蔽シート)に衝突させてラミネート圧を
加える等すると良い。遮蔽シートの除去は、チャンバ外
でも良い。また、噴出させた固体粒子は回収する。
【0050】〔化粧シートや凹凸基材等の材料の加熱〕
ラミネート圧に固体粒子衝突圧を用いる場合でも、ラミ
ネートローラを用いる従来公知のラミネート方法と同様
に、接着剤活性化、或いは化粧シートや遮蔽シートの延
伸性(伸び易さ)向上等に、ラミネート圧押圧中やその
前に、化粧シート、遮蔽シート、凹凸基材、接着剤等を
適宜加熱することができる。
【0051】例えば、衝突圧印加前では、化粧シートや
遮蔽シートは、ヒータ加熱、誘電加熱、熱風加熱、ロー
ラ加熱(連続帯状の場合)、赤外線輻射加熱等の任意の
従来公知の加熱手段で加熱すれば良く、凹凸基材(及び
その上の接着剤層)も化粧シート等と同様に従来公知の
任意の加熱手段で加熱すれば良い。例えば誘導加熱や誘
電加熱は基材内部から加熱できるが、一方、ヒータ加
熱、赤外線加熱、熱風加熱は、凹凸表面側からの加熱が
効率的である。また、凹凸基材は裏面側からも加熱して
もよい。裏面側からの加熱は、熱容量の大きい基材を速
やかに加熱したり、或いは、衝突圧印加中の加熱とし
て、化粧シートや接着剤が衝突圧の印加完了まで冷える
ことを防止して所定の温度に保つ場合に有効である。裏
面側からの加熱方法は、基材搬送装置に加熱手段を持た
せたり、或いは凹凸基材を基材置き台に載置して搬送す
る場合は、その基材置き台の加熱による。基材搬送装置
の加熱手段としては、基材搬送に駆動回転ローラ列を用
いる場合は加熱ローラやローラ間にヒータ等の熱源を配
置する。加熱ローラは、例えばローラ内を中空にして熱
水等の加熱媒体を流通させたり、誘導加熱を利用する。
また、凹凸基材をゴムベルトに載置して搬送する場合
は、ゴムとしてシリコーンゴム等の耐熱性ゴムを用い、
これを、誘電加熱、赤外線加熱する等の方法が有る。ま
た、基材置き台の加熱は、それを搬送する基材搬送装置
によって加熱したり、基材置き台を載置する台(搬送せ
ず静置で衝突圧印加する)を加熱台として加熱したり、
基材置き台に電熱ヒータ等の加熱手段を設けても良い。
【0052】また、衝突圧印加中の加熱は、固体粒子に
加熱固体粒子を用いたり、噴出器の間隙に分散してヒー
タ等の熱源を設けたり、吹出ノズルによる噴出器では、
その固体粒子加速流体も加熱流体を用いることができ
る。もちろん、衝突圧の押圧前及び押圧中の加熱、或い
は押圧中のみの加熱でも良く適宜使い分ける。但し、衝
突空間となるチャンバ内での熱風加熱は、内部に気体を
流入しチャンバ内圧力バランスに影響するので、該チャ
ンバ外で行う方が好ましい。それは、空気を該チャンバ
内に入れることになり、固体粒子加速用に空気を用いる
場合も含めて、固体粒子漏出防止の為のチャンバ内の負
圧の維持を邪魔し、また、固体粒子の流れを攪乱した
り、チャンバから噴出器を通過してホッパに気体を逆流
させたり、固体粒子を気体と共に真空ポンプで吸引して
回収する場合はその負荷増にもなるからである。
【0053】チャンバ使用時の化粧シート、遮蔽シー
ト、凹凸基材、接着剤等の材料の加熱は、チャンバの外
部又は内部、或いは外部及び内部で行えば良い。外部及
び内部の加熱では、充分な予熱が必要な場合でも、チャ
ンバ内搬送路長は短くして(つまりチャンバ内容積は小
さくして)必要な加熱をすることができる。チャンバの
内容積を小さくした方が、固体粒子の飛散、回収等を考
慮した取扱上は有利だからである。チャンバの内部で加
熱する利点は、衝突圧印加の直前まで、或いは衝突圧印
加中までも、加熱できることであり、特に熱容量が大き
い凹凸基材をその被貼着面近傍のみ効果的に予熱しよう
とする場合等である。
【0054】〔接着剤の強制冷却〕接着剤が熱融着型の
場合は、化粧シートが凹凸基材に密着後に強制冷却すれ
ば、凹部内部にまで追従、成形された化粧シートの凹凸
基材への固着化を促進して、化粧シートに復元力がある
場合に圧解放後、化粧シートが元の形状に戻ることを防
止し、化粧シートの浮き防止や生産速度向上が図れる。
この為には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま
冷却固体粒子を用いたり、或いは固体粒子加速流体を用
いる場合は冷却流体を用いたり、衝突圧印加後に、風冷
等の他の冷却手段を用いて接着剤層を冷却すると良い。
凹凸基材の熱容量が大の場合は、冷却固体粒子、低温流
体の吹き付け、基材搬送用のローラやベルトコンベア或
いは基材置き台等の冷却により、凹凸基材を裏面から冷
却できる。或いは、チャンバ内でのこれら冷却の後にチ
ャンバ外で、或いはチャンバ内では冷却せずにチャンバ
外のみで、表や裏からの冷風吹き付け等で冷却しても良
い。なお、これは化粧シート及び遮蔽シートの冷却にも
言える。
【0055】〔遮蔽シートの除去〕なお、遮蔽シートを
除去するタイミングは、衝突圧の解除以降、遮蔽シート
が除去時の応力で切断し無い程度に冷却し、接着剤層が
冷却や硬化反応で固化し化粧シートが凹凸基材に固着し
た時点以降に行えば良い。
【0056】〔化粧材の用途〕本発明で得られる化粧材
の用途は、装飾面が凹凸面、特に三次元形状等の凹凸表
面の物品であるような各種用途に用いられ得る。例え
ば、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等
の外装、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、
手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具
やテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの表
面化粧、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材等
の各種分野で用いられ得る。化粧材は化粧板等として利
用される。なお、化粧材の形状は、平板、曲面板、棒状
体、立体物等と任意である。
【0057】〔後加工〕なお、ラミネート後の化粧材の
表面に、ラミネートされた化粧シート自体の補強による
耐久性向上、或いは意匠感等を付与する為に、更に透明
樹脂層を塗装する等しても良い。塗装した塗料は、その
塗布量により通気性の基材シート中に一部又は全部が含
浸(浸入)される。従って、透明樹脂層は、塗料が全て
化粧シート中に含浸されれば化粧シート(基材シート)
と一体化した層となり、化粧シート上に残留した層が独
自の層となる。この様な透明樹脂層としては、ポリ4フ
ッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、
ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコーン
樹脂、2液硬化型等のウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂や
硬化性樹脂の1種又は2種以上の樹脂をバインダーと
し、これに必要に応じて、ベンゾトリアゾール、超微粒
子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系
ラジカル捕捉剤等の光安定剤、着色顔料、体質顔料、滑
剤等を添加した塗料を用いる。また、紫外線や電子線で
硬化する電離放射線硬化性樹脂の塗料も使用できる。塗
工はスプレー塗装、フローコート、軟質ゴムロールやス
ポンジロールを使用したロールコート等で行う。
【0058】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0059】(凹凸基材、化粧シート、遮蔽シート)先
ず、三次元的表面凹凸を有する凹凸基材Bとして、花崗
岩の劈開面を模倣した凹凸模様として、図1(A)に於
いて、凸部と凸部との間隔Xが5〜10mm、凸部と凹
部との高低差(凹部深さ)Yが1〜3mmに分布する三
次元的表面凹凸を有する厚さ12mmのケイ酸カルシウ
ム板を用意した。そして、該凹凸面に、ウレタン樹脂系
のシーラー塗料をスプレー塗装して下地処理を行った。
また、化粧シートとしては、坪量50g/m2 の熱可塑
性ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の基体シートの
片面に、弁柄、チタン白、フタロシアニンブルー、イソ
インドリノンからなる顔料と、アクリルポリオールとト
リレンジイソシアネートからなる2液硬化型ポリウレタ
ン樹脂のバインダーからなるインキで、装飾処理とし
て、大理石の石目柄の絵柄層を順次グラビア印刷したも
のを用意した。また、遮蔽シートとしては、厚み38μ
mのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを用意し
た。
【0060】(固体粒子衝突圧によるラミネート)そし
て、ラミネートは、先ず前記凹凸基材の下地塗装面に、
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートからな
る2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤をスプレー塗布して
接着剤層を形成した後、凹凸基材を基材温度90℃まで
予熱し、その凹凸表面上に、前記化粧シートを載置した
後、更に化粧シート上から前記遮蔽シートを被せて、そ
の上方から赤外線ヒーターの非接触加熱にて、遮蔽シー
ト及び化粧シートを100℃にまで予熱し、化粧シート
及び遮蔽シートの加熱軟化と接着剤の加熱活性化を行っ
た(着剤層は完全硬化前の状態にしておく)。その後、
噴出器から噴出する固体粒子にさらして衝突圧を加え
た。噴出器には図4及び図5の様な羽根車を用いた噴出
器を用い、固体粒子として平均粒径0.3mmの球形の
亜鉛球を用いた。噴出器の羽根車の回転数は3600
〔rpm〕、固体粒子の噴出速度は35〔m/s〕であ
った。その後、化粧シート及び遮蔽シートが積層された
状態の凹凸基材を室温(20℃)で放置して冷えた後、
遮蔽シートを除去した後、養生して接着剤を完全硬化さ
せて、全体形状が平板状の凹凸化粧材を得た。得られ
た、凹凸化粧材は、化粧シートがエア噛みや浮き等の不
良も無く表面凹凸に追従してラミネートされていた。更
に、ラミネート後の化粧板表面に0.5重量%のベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニリデ
ンのエマルション塗料を塗装して、化粧シート内に一部
含浸した透明樹脂層を形成して、透明保護層付きの化粧
材を得た。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、凹凸基材の凹凸表面
が不織布等の通気性の基材シートを用いた化粧シートの
ラミネートによって装飾された化粧材が、容易に得られ
る。 また、ラミネート圧にゴムローラ圧を用いずに、固体
粒子衝突圧を用いるので、深い表面凹凸にも化粧シート
を追従させて、生産性良くラミネートできる。そして、
連続生産も容易である。また、従来のゴムローラの様
に、凹凸基材の凹凸部によるロール等部品の損耗も無
い。 また、化粧シートを通気性とすることにより、化粧シ
ートを通して化粧シートと凹凸基材間の空気が逃げるの
で、凹凸表面で起きやすい「エア噛み」発生も防げる。 また、遮蔽シートを介して固体粒子を化粧シートに衝
突させるので、化粧シートの基材シートが不織布等で通
気性でも、化粧シートに固体粒子が付着して汚れること
が防げる。また、化粧シート表側に印刷等で形成した絵
柄層等があっても、固体粒子の衝突で損耗することも無
い。 また、化粧材の凹凸表面は大きな三次元的凹凸等でも
可能である。化粧材の全体の(包絡面)形状は、もちろ
ん、窓枠、サッシ等の二次元的凹凸も可能であり、平板
状の板材以外にも、瓦の様に全体として(包絡面形状
が)波うち形状のもの、或いは凸又は凹に湾曲した形状
のものでも容易に得られる。 しかも、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部内(底部や凸
部と底部の連結部分である側面)も、ラミネートで装飾
できる。また、大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸
模様(例えば、ヘアライン、梨地等)が有る場合でも、
その微細凹凸の凹部内にまで、ラミネートで装飾するこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凹凸化粧材の製造方法を概念的に説明
する説明図。
【図2】本発明の凹凸化粧材の製造方法にて使用し得る
化粧シートの形態を例示する断面図。
【図3】凹凸基材の三次元表面凹凸の一例を示す要部拡
大斜視図。
【図4】羽根車を用いた噴出器の一形態を説明する概念
図(正面図)。
【図5】図4の羽根車部分の斜視図。
【図6】図4の羽根車内部を説明する概念図。
【図7】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図8】羽根車を用いた噴出器の別の形態を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図9】吹出ノズルによる噴出器の一形態を説明する概
念図。
【図10】噴出器の各種配置形態を示す平面図。(A)
は千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側に
して、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【符号の説明】
1 基材シート 2 絵柄層 3 通気孔 8 噴出器 11 (溝状)凹部 12 凸部 13 微細凹凸 812、812a 羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル A 接着剤層 B 凹凸基材 C 遮蔽シート D 化粧板 F 流体 P 固体粒子 S 化粧シート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する凹凸基材の凹凸表面側
    に、化粧シートの裏側面を対向させ、該化粧シートの表
    側面に固体粒子を衝突させて、その衝突圧を利用して、
    凹凸基材の凹凸表面に化粧シートを圧接してラミネート
    する凹凸化粧材の製造方法であって、 化粧シートは、熱可塑性で通気性を有する基材シート自
    体、又は該基材シートが装飾処理された通気性を有する
    シートから成り、固体粒子を該化粧シートに衝突させる
    際に、化粧シートの表側に遮蔽シートを配置して、固体
    粒子は該遮蔽シートに衝突させ、該遮蔽シートを介して
    固体粒子の衝突圧を化粧シートに与えて、化粧シートが
    凹凸基材に接着した後、遮蔽シートを除去する、凹凸化
    粧材の製造方法。
JP10089536A 1998-03-19 1998-03-19 凹凸化粧材の製造方法 Withdrawn JPH11268123A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001193267A (ja) * 2000-01-12 2001-07-17 Dainippon Printing Co Ltd 床材用化粧材
JP2003025527A (ja) * 2001-07-10 2003-01-29 Dainippon Printing Co Ltd 床材用化粧材
WO2005116157A1 (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Lintec Corporation 易貼付性粘着シート及びその製造方法
JP2020142434A (ja) * 2019-03-06 2020-09-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 加飾シート及びその製造方法、表示装置

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