JPH11235805A - 溝状部を有する凹凸化粧材及びその製造方法 - Google Patents

溝状部を有する凹凸化粧材及びその製造方法

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JPH11235805A
JPH11235805A JP5424698A JP5424698A JPH11235805A JP H11235805 A JPH11235805 A JP H11235805A JP 5424698 A JP5424698 A JP 5424698A JP 5424698 A JP5424698 A JP 5424698A JP H11235805 A JPH11235805 A JP H11235805A
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JP5424698A
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Reiko Suga
玲子 菅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイル貼模様等の凹凸表面の目地等の溝状部
内に、転写又は化粧シートのラミネートによる装飾時に
絵柄が伸ばされても絵柄の色が薄く暈けたり感じられず
に意匠感が低下しない凹凸化粧材と、その製造方法を提
供する。 【解決手段】 凹凸化粧材Dは、溝状部1を有する凹凸
基材Bの凹凸表面に、溝状部内も含めて溝状部1及び天
面部(凸部)2に絵柄着色層3が形成されており、しか
も溝状部内のみに絵柄着色層の下に絵柄着色層と同色調
の色付け層4が形成されている構成とする。凹凸化粧材
の製造方法は、凹凸基材の溝状部のみに色付け層を塗装
等で部分形成した後、絵柄着色層を固体粒子衝突圧を利
用した転写法や化粧シートラミネート法、或いはローラ
加圧を用いた転写法や化粧シートラミネート法等で形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば住宅の外装
材や内装材等に用いるタイル貼模様や、煉瓦積模様等の
表面凹凸を有する凹凸化粧材と、その製造方法に関す
る。特に、目地等となる溝状部内でも絵柄の色が薄くな
り暈けたりせず意匠性の低下しない凹凸化粧材と、その
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タイル貼模様や煉瓦積模様等と、
目地等の溝状部と凸部である天面部とを有する凹凸化粧
材を、その基材を装飾して製造するには、例えば次の様
な転写法或いはラミネート法が利用できた。
【0003】〔転写法〕 特公昭60−59876号公報に開示の転写法では、
先ず、目地となる溝状部の凹部と、天面部に相当する凸
部との凹凸表面を有する凹凸基材に、予め天面部上にの
み感熱接着剤層をロールコート等の方法によって形成し
ておく。そして、熱可塑性樹脂からなる支持体上に装飾
層を転写層として有する転写シートを用い、転写ローラ
としてJISゴム硬度が70°以上の硬質ゴム製のゴム
ローラで熱圧を転写シートに加えて被転写基材に押圧し
て、天面部のみに転写シートを接触させて、溝状部には
転写せずに、天面部のみに転写層を転写する方法であ
る。この転写法は基本的に弾性体ローラを用いたローラ
転写法であるが、溝状部と天面部との高低差と、ゴムロ
ーラの硬さが硬くて溝状部の凹部内部にまではローラが
到達しない事を利用して天面部のみを装飾する方法であ
る。装飾の対象が転写部のみでも良い場合はこの方法で
十分である。しかし、凹凸基材の溝状凹部内へも装飾を
要求される場合には、別の方法も必要となる。 溝状部の窪みが小さく且つ被転写面の包絡面が平面で
あれば、転写ローラとしてゴムローラを用いる所謂ロー
ラ転写法に於いても、ゴムローラに軟質ゴムローラを用
いる事で、ある程度の溝状部内までは対応可能であっ
た。例えば特開平5−139097号公報による転写法
では、熱可塑性樹脂フィルムからなる支持体上に、剥離
層、絵柄層、及び接着層を順次設けた構成の転写シート
を、凹凸表面を有する被転写基材上に設置し、支持体の
裏面からゴム硬度60°以下のゴムローラを加熱ローラ
として用いて加熱、押圧して転写する。
【0004】〔ラミネート法〕 特開平8−216599号公報には、熱可塑性樹脂シ
ートに絵柄層等の装飾を施した装飾用ラミネートシート
を、ゴム硬度20°程度のゴムローラを用いて加熱、加
圧して、凹凸基材の溝状凹部も含めた凹凸表面にラミネ
ートシートを接着し、積層する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、天面部
のみを転写で装飾する場合は良いとしても、溝状部内ま
で転写、或いはラミネートで装飾する場合には、当然の
事ながら溝状部の窪みの大きさに応じて、転写シートや
ラミネートも延ばされることになる。従って、溝状部で
は転写シートの転写層或いはラミネートシートの装飾層
は他の部分に比べてより伸ばされて厚みが薄くなり、装
飾層として印刷形成した絵柄着色層の色調が薄くなる。
そして、色調が薄くなる事から、絵柄が暈けた様に感じ
られることがあった。一方、転写層の厚さが薄くなると
装飾層の隠蔽性が低下する為、被転写基材の色調が透過
し、装飾層本来の色調が再現できないと言う問題も生じ
る。また、溝状部を凸部である天面部と同じ絵柄とする
場合では、溝状部と天面部との間で色差が生じた。この
様に、溝状部にて層の伸びが大きい事から生じる色調の
変化は、特に溝状部が深く転写シート(の転写層として
設けた装飾層)やラミネートシート(に設けた装飾層)
の伸びがより大きい(絞りが大きい)場合はなおさらで
あった。この溝状部で色調が薄くなる現象は、従来、天
面部のみを転写装飾している分には問題とならなかっ
た。しかし、溝状部内までも装飾して意匠性を高めた化
粧材としようとすると、その色調の変化が目立ち予想通
りにならず、問題となった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明では、溝状部を有する凹凸化粧材におい
て、凹凸表面として溝状部を有する凹凸基材の該凹凸表
面に対して、溝状部内も含めた凹凸表面に絵柄着色層が
形成されており、且つ溝状部内のみに絵柄着色層の下に
色付け層が形成されており、色付け層の色は絵柄着色層
と同色調である構成とした。その結果、溝状部内が装飾
され、そこで伸ばされた絵柄着色層の色調が薄くなり、
また隠蔽性が低下したとしても、下に絵柄着色層と同色
調の色付け層が有る為に、色調が薄くなった事が感じに
くく、加飾性が向上した凹凸化粧材となる。
【0007】また、本発明の溝状部を有する凹凸化粧材
の製造方法では、凹凸表面として溝状部を有する凹凸基
材の該凹凸表面に対して、溝状部内のみに色付け層を予
め形成後、溝状部内も含めた凹凸表面に絵柄着色層を転
写法又は化粧シートラミネート法により形成する際に、
前記色付け層の色を、溝状部内に形成すべき絵柄着色層
と同色調として形成する様にした。その結果、溝状部内
が絵柄着色層で装飾されていても、その色調が薄くなっ
たり、凹凸基材表面の色調が透けて見えたと感じにくい
上記凹凸化粧材を容易に製造できる。
【0008】また、上記凹凸基材への絵柄着色層の転写
法としては、例えば弾性体ローラによるローラ転写法を
用いる。この転写法は、浅い溝状部等と表面凹凸の段差
が比較的小さい場合、或いは溝状部が平行して走る複数
本の直線溝群の様な二次元的凹凸面の場合に適用すると
良い。また、上記凹凸基材への絵柄着色層の転写法に
は、固体粒子衝突圧を利用した転写法を用いても良い。
この転写法では、深い溝状部等と表面凹凸の段差が大き
く、ローラ転写法では不可能な大きな煉瓦積みの目地溝
の様な三次元凹凸表面にも転写でき、しかも被転写面
(の包絡面)が湾曲面等と非平面でも良く、且つ転写圧
の押圧に特殊形状の治具が不要で、ゴムローラ等部品の
損耗による交換の必要無しに、溝状部を有する凹凸化粧
材を製造できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の溝状部を有する凹
凸化粧材及びその製造方法について、実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0010】先ず、図1は本発明に於ける溝状部を有す
る凹凸化粧材を概念的に説明する断面図である。同図に
示す如く、凹凸化粧材Dの凹凸表面は、少なくとも溝状
部1を有し、溝状部1以外は天面部(凸部)2となって
おり、溝状部1内も含めた凹凸表面の全面に、絵柄着色
層3が転写或いは化粧シートのラミネートによって形成
されているが、溝状部1内に於いては、絵柄着色層3の
下側に、絵柄着色層3と同色調とした色付け層4を有す
る構成となっている。その結果、溝状部1内に於ける絵
柄着色層3の色調は、転写又はラミネート時に伸ばされ
て絵柄着色層3自体の色調が薄くなり、又その隠蔽性が
低下しても、その下側の色付け層4の作用により、目視
される絵柄着色層3の色調は薄くなったり、凹凸基材B
の色調が透過したと感じ難い。従って、溝状部内が絵柄
着色層で装飾されていても、絵柄着色層の溝状部内での
色調変化を目だ立たず、装飾による加飾性が向上し、意
匠性に優れた凹凸化粧材となる。特に、溝状部が深く絵
柄着色層が大きく伸ばされる、深絞りとなる形状の場合
に、色付け層の効果が顕著である。
【0011】なお、色付け層4を絵柄着色層3と同色調
とするとは、当然ながら、溝状部に於ける(転写前の)
絵柄着色層の色調に対して、同色調とすれば良い。もち
ろん、溝状部と天面部とで同絵柄で同色調の絵柄着色層
の場合は、色付け層は結果的に天面部に於ける絵柄着色
層とも同色調となる。そして、色付け層を絵柄着色層と
同色調とするには、絵柄着色層の層構成等の内容によ
り、例えば次の様にすると良い。溝状部に於ける絵柄着
色層がベタ層の場合(例えば、天面部に対応する部分に
は天面部のパターンに対応した天面部用の絵柄の天面柄
と、溝状部に対応する部分には溝状部のパターンに対応
したベタ層の目地柄とからなる絵柄着色層である)、色
付け層はベタ層と同色調とすれば良い。また、絵柄着色
層は、絵柄(パターン)を有する層が、1層又は多色刷
りによる多層構成の絵柄層で、さらにこれに適宜凹凸基
材側に下地色や隠蔽層として単色のベタ層の1層が加わ
った構成もある。この様に、溝状部に於ける絵柄着色層
が、ベタ層と絵柄層とからなる場合は、ベタ層と絵柄層
によって目視される絵柄について、例えば、面積で平均
した平均色調に対して、色付け層を同色調とすれば良
い。また、溝状部に於ける絵柄着色層にベタ層が無く、
単色又は多色による絵柄層のみの場合では、単層又は多
層の絵柄層によって目視される絵柄について、例えば、
面積で平均した平均色調に対して、色付け層を同色調と
すれば良い。そして、もしも、特に溝状部用の目地柄等
を作らず、天面部も溝状部も同じ絵柄で同色調の一様な
絵柄着色層で転写装飾する場合には(転写シートの製造
が容易となる上、溝状部のパターンが異なる場合でも一
つの転写シートで対応できる)、上記の様な色付け層を
設けておけば、溝状部と天面部との間で絵柄着色層自体
の色差が生じても、目立ちにくい。
【0012】なお、同色調に於ける色調とは、色相、明
度、彩度を総合したものである。従って、色相は同様の
色相に、明度は同様の明度に、彩度は同様の彩度に合わ
せる事で、色付け層の色調を絵柄着色層の色調に合わせ
る。また、同色調に於ける同じとは、完全同一が最も好
ましいが、目視で違和感が無い程度に概略一致していれ
ば良く、色付け層を設けた効果は十分得られる。以上の
様な色付け層の色調の例としては、例えば単純な無彩色
の場合で言えば、明灰色の凹凸基材に対して、絵柄着色
層の絵柄を溝状部で暗灰色の目地柄とするには、色付け
層は当該暗灰色の色調とする。また、黒色の凹凸基材が
あり、これに対して、絵柄着色層の絵柄を溝状部で明灰
色の目地柄とするには、色付け層は当該明灰色の色調と
する。なお、この場合は、色付け層が無いと、溝状部で
絵柄着色層が伸ばされて絵柄着色層自体の色調は薄くな
るが、同時に隠蔽性が低下する為に目視される溝状部の
外観は、下地の凹凸基材の黒色の影響による濃いめの色
調に変化してしまう。
【0013】そして、本発明の凹凸化粧材の製造方法に
於いて、溝状部内のみに色付け層を部分形成する方法
は、特に限定されないが、例えば、マスキングシートで
溝状部以外の部分である天面部のみを覆い隠してスプレ
ー塗装して部分形成したり、刷毛塗りで部分形成した
り、或いは溝状部が直線状であれば溝状部に納まる幅と
した刷毛ローラで部分形成したり、或いは、数値制御の
塗装ロボットによる塗装ノズル(この方法は部分形成と
いう意味では印刷法でもある)で部分形成すれば良い。
なお、スプレー塗装等で溝状部の周囲の天面部上にも多
少色付け層が形成され無視できない場合は、天面部上の
みの全面に、ロールコート等で溝状部と天面部との高低
差を利用して着色した下塗り層を部分形成して、天面部
にはみ出した色付け層を隠蔽しても良い。そして、色付
け層を溝状部に形成後、溝状部内部も含めて、溝状部及
び天面部に絵柄着色層を後述する各種転写方法又はラミ
ネート方法により形成すれば、本発明の凹凸化粧材は製
造できる。用いる転写シートは、支持体上の転写層とし
て少なくとも絵柄着色層を有すれば良い。また、用いる
化粧シート(ラミネートシート)は、支持体上に絵柄着
色層を有するか、或いは支持体それ自体に着色剤を添加
し支持体そのものを着色層とすれば良い。
【0014】以下、更に本発明を詳述する。
【0015】〔溝状部〕次に、図2及び図3は、溝状部
を概念的に説明する斜視図であり、図2は代表的な形態
の溝状部1を示し、図3は溝状部1の他の形態例を示
す。図2に示す凹凸基材B(或いは凹凸化粧材D)に於
ける溝状部1は、互いに平行な一直線の目地等となる天
面部に両側を挟まれた凹部で複数有する場合である。こ
れは凹凸形状としては1方向(図2では左右方向)にの
み凹凸乃至は曲率を有する、所謂二次元的凹凸である。
図3の溝状部1は、凹凸基材B(或いは凹凸化粧材D)
の外周に有り該凹凸基材同士を付き合わせ配列したとき
に目地等となる場合の一例である。図3に例示する溝状
部1は、凹凸表面が四角形の凹凸基材Bの外周で対向す
る2辺(両端)に有る。図3の例からも分かる様に、本
発明にて溝状部とは、基本的には溝となる凹部、つまり
溝部(図2)であるが、得られた凹凸化粧材Dを配列し
て使用する時に、初めて溝部となる部分も含む。凹凸化
粧材Dをその溝状部が有る辺同士が接する様に配列した
時に、隣接する溝状部同士によって、凹形状の溝部が形
成される。図3の様な凹凸基材の両側に有る溝状部1の
場合でも、転写シート又は化粧シートを回り込ませない
限り、形成する絵柄着色層は伸ばされるので、色付け層
の効果が得られることになる。また、図5の凹凸基材B
(或いは凹凸化粧材D)の要部拡大斜視図は、煉瓦積み
の目地調の凹部からなる溝状部1が有る場合を示す。こ
の溝状部1は、2方向に走行しており、2方向(図5で
は、左右方向及び前後方向)に凹凸乃至は曲率を有する
所謂三次元的凹凸の例である。
【0016】溝状部の代表例は図2、図3及び図5に例
示の如く、目地である。目地とは、タイルや煉瓦等の板
状物乃至は塊状物等の立体物からなる単位素材を、一次
元方向(縦方向、横方向等)、或いは二次元方向(縦方
向及び横方向等)に配列した構造に於ける継ぎ目部分で
ある。配列する単位素材は、全て合同な同一形状でも良
いし、或いは互いに異なった形状、寸法の物でも良い。
なお、凹凸化粧材に於いては、それは実物では無く化粧
材であるので、目地は、継ぎ目の実物でも良いが、継ぎ
目の模倣部分でも良い。すなわち、凹凸基材に於いて
は、その目地部分を実際に単位素材を配列した時に出来
る継ぎ目部分として有する構造でも良いし、単位素材は
使用せずに、単位素材に見立てる部分が目地に見立てる
部分と共に一体となった一体構造の物を基材本体として
使用しても良い。目地となる溝状部は、通常その凹部の
大きさは、例えば深さ0.5〜10mm程度、幅(間
口)2〜20mm程度である。また、この様な溝状部を
作る単位素材(実物、模倣物、又は目地との一体構造に
於ける単位素材の模倣箇所)としては、例えば煉瓦、タ
イル、羽目板、石垣等である。なお、溝状部の断面形状
は任意である。例えばその側面は垂直面でも曲面又は平
面からなる斜面でも良く、底面も平面でも良いし曲面又
は平面斜面でも良い。また、底面は無くても良い。
【0017】また、溝状部は、線条の凹部となる部分だ
が、それが目地等の継ぎ目乃至はその模倣部分では無い
場合もある。例えば、溝状部が文字、唐草模様、花柄模
様、中華麺の丼等に使われる雷文等の彫刻模様、抽象模
様、模様物の模様等のパターンを成す場合である。この
様に、溝状部としては、目地以外にも、彫刻模様、レリ
ーフ模様、木目板の年輪凹凸等の天然凹凸模様、或いは
その他の模様と、線条の凹部となるものであれば任意で
ある。
【0018】〔凹凸化粧材の溝状部での層構成の一形
態〕なお、本発明の凹凸化粧材に於いて、溝状部内或い
は天面部に対して形成されるのは、少なくとも絵柄着色
層だが、その他の層も転写又は転写以外の方法で形成さ
れていても良い。例えば、図4の断面図で例示する凹凸
化粧材Dでは、凹凸基材B側から順に、溝状部1及び天
面部2上の全面に下地処理層5が形成され、下地処理層
5の上に溝状部1内のみに色付け層4が形成され、そし
て、溝状部1及び天面部2上の全面に、接着剤層6、絵
柄着色層3、透明層7がこの順に形成された構成であ
る。下地処理層5は、凹凸基材表面の目止めの為の目止
層や、下地色を(全体的に整える)下塗り層等で、スプ
レー塗装等の塗装法等で凹凸基材上に形成した層であ
る。接着剤層6は、絵柄着色層3のみでは接着力が不足
する場合に設ける層で、凹凸基材側に塗装等で形成され
たり、絵柄着色層とともに転写層の一部として転写され
たり、或いは化粧シート側に予め塗装される。透明層7
は、絵柄着色層の保護や塗装感等の意匠感付与等の為
の、無色又は着色の透明な層で、剥離層として絵柄着色
層と共に転写形成されたり、化粧シートの最表面構成層
として化粧シートと同時にラミネートされたり、或いは
絵柄着色層形成後に上塗り層として塗装等で形成される
層である。
【0019】〔凹凸基材〕凹凸基材は、その被装飾面が
凹凸を成す基材である。凹凸基材の材質は任意であり、
例えば、板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出し
セメント板、スラグセメント板、ALC(軽量気泡コン
クリート)板、GRC(硝子繊維強化コンクリート)
板、パルプセメント板等の非陶磁器窯業系板、木材単板
や木材合板、パーティクルボード、集成材、木質中密度
繊維板(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウ
ム、銅等の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、
ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂
成形品等でも良い。
【0020】なお、凹凸基材は、その天面部は平滑面で
も良いが、天面部に小凹凸による表面凹凸が有っても良
い。この小凹凸とは、溝状部1と天面部2とによる凹凸
よりは小さい凹凸である。小凹凸は例えば深さが0.1
〜5mm程度、小凹凸の凹部の幅及び凸部の幅が0.1
mm〜5mm程度のものである。小凹凸の具体例は、例
えばスタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸模
様、花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材表
面の石目調凹凸模様、或いは木質板材を単位素材とし
て、その天面上の導管溝、ヘアライン、浮き出した年輪
等の木目調の凹凸模様である。図5の凹凸基材Bの要部
拡大斜視図は、目地等の溝状部1と天面部2とからなる
大柄な凹凸の他に、更に天面部2上に小凹凸8が有る場
合を示す。ちなみに、同図の溝状部1は煉瓦積み調の目
地であった。なお、図2及び図3では、天面部2上の小
凹凸は有ったとしても図示は省略してある。
【0021】なお、溝状部が深い場合、天面部が小凹凸
を有する場合、或いは凹凸形状が三次元的凹凸の場合
は、転写法又はラミネート法としては、後述する固体粒
子衝突圧を加圧手段として利用する転写法又はラミネー
ト法が特に良い。固体粒子衝突圧は、転写シート又は化
粧シートの形状追従性の点で弾性体ローラによる加圧方
法よりも優れているからである。凹凸基材の凹凸表面
は、特に固体粒子衝突圧を利用した加圧法を採用する場
合は、その表面凹凸がローラ加圧法では不可能な大きい
高低差の有る三次元的凹凸でも可能である。特に固体粒
子衝突圧を利用した場合は、凹凸基材は、全体として
(包絡面形状が)平板状の板材、つまり被装飾面の包絡
面が平面はもちろん、断面が円弧状に凸又は凹に送り方
向(圧印加方向)又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸、
或いは三次元的凹凸の被装飾面の基材でも良い。一方、
凹凸表面の包絡面が平面的で且つ溝状部等の凹凸が浅い
凹凸基材は、ローラ加圧法でも転写やラミネートによる
装飾が可能である。
【0022】また、凹凸基材の凹凸表面には、予め下地
処理層として、易接着プライマー、表面の微凹凸や多孔
質を目止めし封じる目止層、或いは、全体的な下地色を
整える下塗り層等を塗工形成しておいても良い。易接着
プライマー、目止層、下塗り層は、イソシアネート、2
液硬化ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂による塗料で塗工形成す
る。
【0023】〔色付け層〕色付け層を形成する為の塗料
(或いはインキ)は、バインダー等からなるビヒクル、
所望の色調とする為の顔料や染料等の着色剤、これに適
宜加える充填剤、安定剤、硬化触媒、可塑剤等の各種添
加剤からなる。塗料は、凹凸基材(或いは下地処理層)
及び絵柄着色層(或いは接着剤層)と密着が良く、必要
に応じその他の要求物性を満たすものであれば特に制限
はない。バインダーの樹脂としては、アクリル樹脂、酢
酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポ
リウレタン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮
合物からなるポリアミド樹脂、ブチラール樹脂等の熱可
塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の所謂熱
硬化性樹脂、或いは、電離放射線硬化型樹脂等の硬化性
樹脂を1種又は2種以上の混合樹脂が使用される。な
お、ポリウレタン樹脂は、湿気硬化型樹脂としても使用
できる。着色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブ
ラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラ
ック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニ
ンブルー等の有機顔料等を用いる。また、添加剤として
は、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、有機
ベントナイト等のチキソトロピック付与剤(特に溝状部
の側面部に施された塗料が底面に流れ落ちない為)等の
添加剤である。なお、塗料は水系(エマルション等)や
有機溶剤系として使用される。例えば、アクリルエマル
ション、アクリル−スチレンエマルション、アクリル−
酢酸ビニルエマルションのエマルション、アクリル−ウ
レタン樹脂系の有機溶剤溶液等である。なお、色付け層
の厚みは、絵柄着色層の色調変化を目視で分かりにくく
し、また絵柄着色層を透過して見える色付け層が絵柄着
色層に違和感を与え難くする色付け効果があれば良く、
通常5μm以上あれば良いが、厚塗りする時は100μ
m程度の事もある。色付け層の色調は前記の如く絵柄着
色層と同色調とする。また、絵柄着色層が金属薄膜層の
場合は、金属の色相、例えばアルミニウム、クロム等の
場合は、白、灰色等の無彩色、金、真鍮の場合は黄乃至
は黄褐色、銅の場合は赤乃至は赤褐色とする。
【0024】〔転写シート〕本発明で絵柄着色層の形成
に用いる転写シートは、支持体と転写層とからなり、該
転写層が少なくとも絵柄着色層からなる。
【0025】(支持体)先ず支持体としては、少なくと
も転写時には延伸性の有るシートを用いる。延伸性の有
る支持体としては、通常は熱可塑性樹脂フィルムを用い
るのが好ましいが、常温でも延伸するゴム膜も使用する
ことができる。例えば、支持体には、ポリエチレンテレ
フタレート、エチレン・テレフタレート・イソフタレー
ト共重合体ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン
−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱可塑性エラスト
マー等のオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重
合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、或
いは天然ゴム、合成ゴム、ウレタン系熱可塑性エラスト
マー等を単体又は混合物で、単層又は異種の複層とした
樹脂フィルム(シート)を用いることがてきる。これら
樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が好ましい。例え
ば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑性エラストマー
フィルム(シート)は、延伸特性に優れ且つ廃棄燃焼時
に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持体の
一つである。支持体の厚さは、通常20〜200μmで
ある。
【0026】なお、支持体には必要に応じ、転写層側に
転写層との剥離性を向上させる為、支持体の構成要素と
して離型層を設けても良い。この離型層は支持体を剥離
時に、支持体の一部として転写層から剥離除去される。
離型層としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹
脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、ワックス等の単体又はこれらを含む混合物が用いら
れる。また、支持体には、転写層側の面に凹凸模様を設
ければ、転写後の転写層表面に砂目、梨地、木目等の凹
凸模様を賦形できる。凹凸模様は、エンボス加工、サン
ドブラスト加工、賦形層(離型層)による盛り上げ印刷
加工等の公知の方法で形成する。また、剥離性の調整の
為に、支持体の転写層側の面にコロナ処理、オゾン処理
等を行っても良い。
【0027】(転写層)転写層は少なくとも絵柄着色層
から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層等も転写層の
構成要素とすることもある。接着剤層を有する構成で
は、転写の際に転写シート又は凹凸基材の片方又は両方
に接着剤を施すことを省略できる。絵柄着色層はグラビ
ア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従
来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄印刷層、ア
ルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等
を用いて部分的或いは全面(鏡面でなければ色調があ
る)に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたも
のを用いる。絵柄としては、被転写基材の表面凹凸に合
わせる等した、木目模様、石目模様、布目模様、タイル
調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全
面ベタ等を用いる。なお、絵柄印刷層用のインキは、バ
インダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、
これに適宜加える各種添加剤からなる。バインダーに
は、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹
脂、フッ素樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用い
る。着色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラッ
ク、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラッ
ク、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニン
ブルー等の有機顔料を用いる。なお、外装用途等で耐候
性が要求される場合は、バインダーの樹脂には、例え
ば、ポリウレタン樹脂としてイソホロンジイソシアネー
トとポリカーボネート系ポリオールからなる熱可塑性ポ
リウレタン樹脂等が、耐候性及び延伸性等の点で好まし
い。
【0028】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と絵
柄着色層との間の剥離性を調整する為、また、転写後の
絵柄着色層の表面保護の為等に、これら層間に設けるの
は、従来公知の転写シートと同様である。剥離層には、
例えば、上記絵柄印刷層用インキのバインダーに用いる
樹脂等が用いられる。なお、この剥離層は転写時に絵柄
着色層と共に凹凸基材側に転写され、絵柄着色層の表面
を被覆する。剥離層も、絵柄着色層同様に従来公知の各
種印刷法で形成する。
【0029】(その他)なお、転写シートには、凹凸基
材表面と転写シートとの間に抱き込まれて残留する空気
を抜き易くする為に、必要に応じて転写シート全面に転
写シート全層を貫通する小孔を多数穿設しても良い。小
孔の直径は0.1〜0.5mm程度、小孔の数密度(面
密度)は1〜100個/cm2 程度である。
【0030】〔接着剤〕少なくとも絵柄着色層を含む転
写層を凹凸基材に接着させる為に、必要に応じて、転写
シートや凹凸基材に接着剤を施して接着剤層を形成す
る。なお、転写層自身が充分な接着性を有する時は接着
剤層を省略することもできる。接着剤層は、転写シート
の転写層を構成する接着剤層としてや、凹凸基材上の接
着剤層として、事前又は転写の直前に、インライン又は
オフラインで塗工(或いは印刷)により施す。接着剤層
が必要な場合でも、凹凸基材に施す場合には、転写シー
ト転写層の接着剤層を省略できる。
【0031】接着剤は用途、物性等により、感熱型接着
剤、溶剤活性型接着剤、電離放射線硬化型接着剤等の従
来公知の接着剤の中から適宜なものを使用すれば良い。
感熱型接着剤は、熱可塑性樹脂を用いた熱融着型と、熱
硬化性樹脂を用いた熱硬化型のいずれでも良い。例えば
感熱型接着剤として使用される熱可塑性樹脂としては、
スチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等の
ビニル重合体、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンの縮重合体等の
ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性
フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、
ポリイソプレンゴム、ポリイソブチルゴム、スチレンブ
タジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム等のゴ
ム系樹脂等より選択した1種又は2種以上の混合物から
なる従来公知の接着剤を使用できる。また、例えば熱硬
化型接着剤としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジア
リルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレ
タン樹脂等を使用できる。なお、接着剤には、必要に応
じて各種添加剤を添加しても良い。例えば、炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末から
なる体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソ
トロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい凹凸基材に施
す場合、接着剤が凸部から凹部へ流入する事を防止する
為に添加すると良い。)等の添加剤である。
【0032】なお、接着剤は溶剤希釈又は無溶剤、或い
は常温で液体又は固体のいずれでも良く、適宜使い分け
る。接着剤を、転写シート等のシートや凹凸基材に施す
には、接着剤の種類により適宜、水、有機溶剤等の溶媒
(又は分散媒)に溶解(又は分散)した溶液(又は分散
液)の形態で、或いは熱溶融した熱可塑性組成物、又は
室温液状の未硬化樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。
塗工法としては、従来公知の塗工法であるグラビアロー
ルコート、ナイフコート等による溶液塗工や、アプリケ
ータ等による熔融塗工(溶融塗工)法により施せば良
い。希釈溶剤を添加せずに用いれば、溶剤乾燥は不要で
ある。例えば、感熱溶融型接着剤はホットメルト接着剤
として使用できる。なお、凹凸基材に接着剤を施す場
合、施す面は凹凸面である為に、特にその凹凸が大きい
場合には、軟質ゴムローラやスポンジローラを使用した
ロールコート、或いはフローコート、スプレーコート等
は好ましい塗工法である。また、接着剤の塗布量は、接
着剤の組成、凹凸基材の種類及び表面状態で異なるが、
通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0033】〔転写法〕本発明の凹凸化粧材の製造方法
で用いる転写法は、特に限定されないが、例えば下記
及び等の従来公知の転写法を採用できる。中でも、
のローラ転写法は、弾性体ローラを軟質とすることで浅
い溝状部等で表面凹凸が小さければ転写できる平易な転
写法として好ましい。また、の固体粒子衝突圧を利用
した転写法は、従来は不可能であった深い溝状部等で大
きな表面凹凸にも転写できる転写法として好ましい。
【0034】特公昭60−59876号公報、特開平
5−270199号公報、特開平5−139097号公
報に記載されるように、転写シートを、転写層を被転写
基材側に向けて、支持体側から転写ローラとなる弾性体
ローラとしてゴムローラで加圧し、転写層が被転写基材
に圧着後、支持体を剥離する、所謂ローラ転写法、 特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、
特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記
載されるように、成形品等の立体形状物品の表面に転写
シートを対向又は載置し、立体形状物品側からの少なく
とも真空吸引、更に適宜転写シート側からの圧空押し付
け、による圧力差により転写シートの転写層を立体形状
物品の表面に転写する、所謂真空成形積層法を利用した
転写方法(真空成形転写法)等である。 特開平9−315095号公報に開示された様に、転
写圧の押圧手段自体が新規な転写法として、転写圧に固
体粒子衝突圧を利用した転写法がある。この転写法は、
ローラ転写法、真空成形転写法等では不可能な大きな三
次元形状等の表面凹凸の凹凸基材にも転写可能であり、
後で詳述する。
【0035】(ローラ転写法)図6に示す如く、所謂ロ
ーラ転写法では、凹凸基材Bに対して、支持体11と転
写層12(少なくとも絵柄着色層3を含む)とからなる
転写シートSを、転写層側を凹凸基材側に向けて、支持
体側から転写ローラとして弾性体ローラRを用いて押圧
して転写圧を加えて、転写層が凹凸基材に接着後、支持
体を剥離することで、(少なくとも絵柄着色層を含む)
転写層を凹凸基材に転写する。ローラ転写法は、溝状部
が浅い等と被転写面の表面凹凸が比較的小さい凹凸基材
或いは表面凹凸が二次元的凹凸である凹凸基材に対して
好適に適用できる。弾性体ローラRとしては、通常、鉄
等の剛体の回転軸芯R1の表面周囲を軟質の弾性体R2
で被覆したローラを用いる。弾性体R2としては、シリ
コーンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、スチレン−
ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム等のゴムを
用いる。特に、耐熱性、耐久性、弾性等の点からシリコ
ーンゴムが好ましい。また特に、凹凸基材の転写すべき
被転写面の凹凸形状が大きい場合は、弾性体として、J
IS規格のゴム硬度が60°以下のものを使用すること
が、転写シートを凹凸面に追従成形させる為に好まし
い。弾性体ローラの直径は、通常5〜20cm程度であ
る。また、通常、弾性体ローラは内部の電熱ヒータや外
部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源により加熱して加熱ロ
ーラとしても使用できる。
【0036】(真空成形転写法)上記の真空成形転写
法では、転写シートを転写層(少なくとも絵柄着色層を
含む)が凹凸基材側に向く様にして配置し、転写シート
の表裏両側の気圧差を少なくとも凹凸基材側からの真空
吸引によって発生させ、少なくとも該気圧差によって転
写シートを凹凸基材に押圧して密着させた後、転写シー
トの支持体を剥離して、凹凸基材に(少なくとも絵柄着
色層を含む)転写層を転写する。通常、転写シートの凹
凸基材側を減圧にして転写シート表裏間の空気圧差を与
える。また、更に転写シートの支持体側からも加圧空気
により加圧すれば、より大きな空気圧差を与えられる。
なお、真空プレス法は、転写シートの凹凸基材への押圧
に空気圧以外に、弾性体膜としてゴム状弾性膜の収縮力
(収縮圧)も利用する点、転写シートの加熱をヒータに
より加熱されたゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異
なり、転写シートの均一加熱とより強い押圧力等に特徴
がある。
【0037】(固体粒子衝突圧を利用した転写法)新規
な転写方法である固体粒子衝突圧を利用した転写法は、
弾性体ローラでは適用出来ない深い溝状部等の大きな表
面凹凸を有する凹凸基材に対して好適てある。この転写
法は、転写する溝状部が深い場合の他、天面部(凸部)
上の凹凸が大きい場合、天面部の高さが不揃いの場合、
被転写面の包絡面が非平面の場合等で、ローラ転写法で
は不可能な表面凹凸にも適用できる転写方法である。こ
の転写法は、具体的には、凹凸表面を有する凹凸基材の
凹凸表面側に、転写シートの転写層側を対向させ、該転
写シートの支持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧
を利用して、凹凸基材の凹凸表面への転写シートの圧接
を行い、転写層が凹凸基材に接着後、転写シートの支持
体を剥離除去することで、転写層を凹凸基材に転写する
転写法である。すなわち、図7に示す如く、支持体11
と転写層12(少なくとも絵柄着色層3を含む)とから
なる転写シートSの支持体側(図面上方)から、多数の
固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧によって転写シート
を凹凸基材Bの表面形状に追従させ成形するとともに転
写シートを、凹凸基材表面に押圧して圧着させる。その
後、支持体のみ剥離除去することで、(少なくとも絵柄
着色層を含む)転写層の転写が完了する。なお、固体粒
子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表
す。
【0038】固体粒子としては、ガラスビーズ等の無機
粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴ
ムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の
無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使
用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状
でも用い得る。粒径は通常10〜1000μm程度であ
る。固体粒子は噴出器から転写シートに向かって噴出さ
せ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧となる。
噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。
羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズル
は高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹出ノ
ズルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、シ
ョットピーニング等とブラスト分野にて使用されている
ものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装
置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェ
ットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根
車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラス
ト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子を、空気
と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高
速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に
噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と
混合して噴出する。
【0039】図8〜図10は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。更に、この中空部815内に方向制御器816を内
在する。方向制御器816は、外周の一部が円周方向に
開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車812の
回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回動自
在となっている。羽根車使用時は、方向制御器の開口部
を適宜の方向に向くように固定して、固体粒子の噴出方
向を調整する。更に、この方向制御器の内部に、内部中
空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つ
の羽根車が散布器818として内在する(図10参
照)。散布器818は外側の羽根車812と共に回転す
る。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸8
19が固定され、回転軸819は、軸受820で回転自
在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって
駆動回転され、羽根車812が回転する。また回転軸8
19は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間
には貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。そ
して、散布器818の内部に固体粒子Pがホッパ等から
輸送管を通って供給される。通常、固体粒子は、羽根車
の上方(直上又は斜上方)から供給する。散布器内に供
給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。
飛び散った固体粒子は、方向制御器816の開口部81
7によって許された方向にのみ放出され、外側の羽根車
812の羽根813と羽根813との間に供給される。
そして、羽根813に衝突し、羽根車812の回転力で
加速され、羽根車から噴出する。
【0040】なお、固体粒子の噴出方向は、図8〜図9
では略鉛直下方であるが、水平方向(図示略)、或いは
斜下方(図示略)等としても良い。図11(A)及び図
11(B)に方向制御器816の開口部817の向きの
設定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御の
概念図を示す(図11(A)、(B)では方向制御器は
それぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向制
御器816は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさ
を調整することで、固体粒子の噴出量を調整することも
できる。羽根813の形は、図8〜図9の様な長方形の
平板(直方体)が代表的であるが、この他、湾曲曲面
板、スクリュープロペラ等のプロペラ形等を用いる事も
可能であり、用途、目的に応じて選択する。又、羽根の
数は複数枚、通常最大10枚程度までの範囲から選択す
る。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の質
量や供給速度と供給方向、方向制御器の開口部サイズ及
び向きの組み合わせにより、加速された固体粒子の噴出
(吹出)方向、噴出速度、投射密度、噴出拡散角等を調
整する。
【0041】羽根車812の寸法は、通常直径5〜60
cm程度、羽根の幅は5〜20cm程度、羽根の長さ
は、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車の回転数は500〜
5000〔rpm〕程度である。固体粒子の噴出速度は
10〜50〔m/s〕程度、投射密度(基材単位面積当
たりに衝突させる固体粒子の総重量)は10〜150
〔kg/m2 〕程度である。
【0042】次に、図12は吹出ノズルを用いた噴出器
の一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体
粒子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出
時に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器
の一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを
混合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内
部ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及
び流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機
等からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴
出し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部8
43から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、
高速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧によ
り固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を
加速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843か
ら流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加
速流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。流体圧は吹
付圧力で通常0.1〜10kg/cm2 程度である。流
体流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流
では通常5〜80m/秒程度である。
【0043】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。例えば、
転写シート及び凹凸基材の送り方向に直交して幅方向に
全幅を加圧領域とするには、幅方向に一直線状に複数個
を配置して、幅方向に直線状で幅広の帯状形状の加圧領
域とする。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴出
器は、例えば転写シート及び凹凸基材の送り方向に向か
って2列以上配置する多段配置とする。複数個を配列時
は、個々の噴出器の隣接する加圧領域を互いに一部重複
させることが好ましい。なお、固体粒子の衝突圧は、例
えば転写シート送り方向に直交する幅方向の中央部が最
大で、幅方向両端部に近い程低下する山型圧力分布等
と、不均一に設定することもできる。この設定は、中央
部から両端部に向かって順次段階的に圧着を進行させ、
内部に空気を抱き込むことを防ぐ。もちろん、衝突圧は
転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シートの歪み、
凹凸基材の変形、破損等の生じない圧以下の適正圧力範
囲内とする。
【0044】また、複数の噴出器を用いる場合、凹凸基
材の被転写面の包絡面(の搬送方向に直交する断面形
状)が例えば円型になる円筒状の凸曲面であれば、各噴
出器が主とし受け持つ個別の衝突面に対して、略垂直に
固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを、近接する凹
凸基材の包絡面法線方向をカバーする様に複数配置する
こともできる。
【0045】また、実際に固体粒子を用いて転写する際
は、固体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環
再利用するのが好ましい。そこで、転写する空間を周囲
空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を転写シートに
衝突させて転写圧を加える等すると良い。支持体の剥離
は、チャンバ外でも良い。支持体の剥離は、転写層が凹
凸基材に密着し、支持体が破れたりせずに剥離可能な状
態になれば、固体粒子衝突圧の解除直後でも良いし、間
を置いてからでも良いからである。
【0046】また、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支
持体からなる転写シートは赤外線輻射ヒータ等で加熱軟
化させ、凹凸基材が熱容量の大きい場合は予め予熱し、
感熱型の接着剤層は加熱活性化させた状態で固体粒子を
転写シートに衝突させる様にする。なお、接着剤に感熱
溶融型接着剤等の感熱型接着剤となる物を用いる場合、
接着剤を活性化して熱融着させる為に加熱するタイミン
グは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印加
前及び印加中などのいずれでも良い。接着剤の加熱は転
写シートや凹凸基材を加熱して行う。接着剤が施された
材料(転写シートや凹凸基材)を加熱しても良く、接着
剤が施されていない側の材料を加熱しても良く、或いは
これら両方の材料を加熱しても良い。また、衝突圧印加
中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒子加速用の流体
を加熱流体として用いても良い。一方、転写シートが凹
凸基材の表面形状に追従し、成形され、接着剤が十分活
性化すれば、冷風等の冷却手段で接着剤の冷却を促進し
ても良い。冷風は、転写シート側や凹凸基材側から吹き
付ける。また、冷却手段として、冷却固体粒子、冷却流
体も用いることもできる。冷却促進は、凹凸基材の凹凸
表面の凹部内部にまで追従成形された転写シートが衝突
圧開放後に復元力がある場合に戻るのも防止する。
【0047】〔化粧シート〕本発明で、絵柄着色層の形
成に用いるラミネート用の化粧シート(ラミネートシー
ト)は、支持体に絵柄着色層を積層した構成のもの、
支持体自身が単層で絵柄着色層となった構成のもの、
の2種類ある。の構成の場合、材料、絵柄等は転写シ
ートの場合と基本的には同様である。但し、絵柄着色層
と支持体とは十分に接着し、凹凸化粧材の使用環境下で
剥離しない様な材料の組み合わせを用いる。具体的に
は、剥離層も離型層も形成せず、絵柄着色層と支持体と
の接着力が不足の場合は、支持体にコロナ放電処理、易
接着プライマーコート等の易接着処理を施す。また、化
粧シートの場合、絵柄着色層は支持体の凹凸基材側の
面、支持体の凹凸基材とは反対側の面、又はその両面、
或いは層間(複層構成支持体時)のいずれでも可能であ
る。その他の点については、転写シートの場合と同様で
ある。の構成の場合、着色剤を支持体中に混合、分散
させて、支持体自体を絵柄着色層の色調とする。着色剤
は、前記色付け層で列記したものと同様のものの中から
選択すれば良い。また、化粧シートの凹凸基材へのラミ
ネート(接着、積層)方法は、前記の転写方法と同様の
方法によれば良い。但し、支持体の剥離工程は行わな
い。接着剤も転写の場合と同様に必要に応じて、凹凸基
材表面、化粧シートの被着体側、或いはその両面に形成
すれば良い。
【0048】〔凹凸化粧材の用途〕本発明で得られる凹
凸化粧材の用途は、転写された装飾面が特に溝状部を有
する三次元形状等の凹凸表面の化粧材として各種用途に
用いられ得る。例えば、サイディング等の外壁、塀、屋
根、門扉、破風板等の外装、壁面、天井、床等の建築物
の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面
化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機等の弱電・OA機器
のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機、船
舶等の乗物内装材等の各種分野で用いられ得る。なお、
化粧材の形状は、平板以外にも、曲面板、棒状体、立体
物等でも良い。
【0049】〔後加工〕なお、転写又はラミネート後の
凹凸化粧材の表面に、耐久性、意匠感等を付与する為
に、更に透明層として上塗り層を塗装する等しても良
い。この様な上塗り層としては、ポリ4フッ化エチレ
ン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリメタク
リル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリ
ウレタン樹脂の1種又は2種以上等をバインダーとし、
これに必要に応じて、ベンゾトリアゾール、超微粒子酸
化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジ
カル捕捉剤等の光安定剤、着色顔料、体質顔料、滑剤等
を添加した塗料を用いる。また、外装用途では、無機系
塗料を用いることもできる。塗工はスプレー塗装、フロ
ーコート、軟質ゴムロールやスポンジロールを使用した
ロールコート等で行う。上塗り層の膜厚は1〜100μ
m程度である。
【0050】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0051】(実施例1)先ず、凹凸基材として、図2
に示した様な、深さ(h)が1mmで開口幅(w1)が
12mm、下底幅(w2)が10mmで側面が斜面の目
地となる互いに平行に走る直線状の凹部からなる溝状部
1と、天面部2とからなる大柄な凹凸と、更に天面部上
の小凹凸として最大深さ0.2mmの梨地調の小凹凸と
を有し、天面部をタイルに見立てたサイディングボード
調の三次元的表面凹凸を成すケイ酸カルシウム板を用意
した。そして、色付け層を形成する前に、下地処理とし
て、目止めと、基材色のバラツキによる影響を抑える為
に、白色のアクリルエマルション塗料で目止層(下地塗
装)と下塗り層(下塗り塗装)をスプレー塗装で凹凸面
全面に形成した。一方、転写シートとしては、厚さ10
0μmのアイソタクチックポリプロピレン50重量部と
アタクチックポリプロピレン50重量部との混合系から
なるポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルムか
らなる支持体上に、絵柄着色層のみからなる転写層とし
て、カーボンブラック、弁柄、チタン白、イソインドリ
ノンからなる着色顔料に、イソシアネート成分に水素添
加ジフェニルメタンジイソシアネートとイソホロンジイ
ソシアネートとを用いて得られた熱可塑性ポリウレタン
樹脂をバインダー樹脂としたインキを用いて、目地部が
暗灰色のベタ柄で天面部は黄褐色の多色刷りの石目絵柄
からなるサイディングボード調の絵柄をグラビア印刷し
たものを用意した。
【0052】そして、先ず、前記凹凸基材に、色付け層
として、イソホロンジイソシアネートとアクリルポリオ
ールとによる熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるバイン
ダー樹脂に、着色顔料としてカーボンブラックとチタン
白を添加してなる塗料を用いて、溝状部内にのみ色付け
層を刷毛塗りで形成した。色付け層は、上記絵柄着色層
の目地部のベタ柄と同色調の暗灰色とした。更に、この
後、凹凸表面の全面に、接着剤層を塗工形成した。接着
剤層はヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリ
オールとによる熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いた。
【0053】そして、転写は弾性体ローラによるローラ
転写法によって行った。弾性体ローラは、鉄の軸芯表面
にJISゴム硬度40°のシリコーンゴムを被覆したロ
ーラを、表面温度180℃に加熱して用いた。そして、
凹凸基材上に目視で溝状部と絵柄着色層の目地柄とを位
置合わせして転写シートを載置した後、前記弾性体ロー
ラで転写シートを凹凸基材に押圧後、支持体シートを剥
離して、転写層として絵柄着色層を凹凸基材の溝状部内
も含めた凹凸表面全面に転写した。更に、この凹凸化粧
材の転写層の表面に、0.5重量%のベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニリデンエマルシ
ョン塗料を乾燥時厚さ10μmに塗布して、透明層とし
て上塗り層を形成して、外装用途の凹凸化粧材を得た。
得られた、凹凸化粧材は、溝状部内及び天面部上の小凹
凸内も含めて凹凸表面全面に絵柄着色層が転写され、し
かも溝状部内部に転写された目地柄の色調は、その下の
色付け層の作用で薄く感じられなかった。
【0054】(実施例2)凹凸基材は、実施例1で用い
た凹凸基材に於いて、溝状部の大きさを、深さ(h)1
0mm、開口幅(w1)12mm、下底幅(w2)が1
0mmに、天面部上の梨地調の小凹凸の大きさを最大深
さ1mmに、変更した他は同一である基材に代えた。そ
して、転写法もローラ転写法から固体粒子衝突圧を利用
した転写法に代えた他は、下地処理、色付け層、転写シ
ート、上塗り層等は実施例1と同様にして凹凸化粧材を
得た。固体粒子衝突圧による転写は、基材温度90℃ま
で予熱しておいた色付け層形成済みの凹凸基材上に、転
写シートを目視で位置合わせして載置した後、転写シー
ト上からも更に加熱して、支持体表面温度を100℃に
まで予熱し転写シートの加熱軟化と接着剤の加熱活性化
を行った後、噴出器から噴出する固体粒子にさらして衝
突圧を加えた。噴出器には図8及び図9の様な羽根車を
用いた噴出器を用い、固体粒子として平均粒径0.4m
mの球形の亜鉛球を用いた。噴出器の羽根車の回転数は
3600〔rpm〕、固体粒子の噴出速度は35〔m/
s〕であった。得られた、凹凸化粧材は、溝状部内及び
天面部上の小凹凸内も含めて凹凸表面全面に絵柄着色層
が転写され、しかも溝状部内部では大きく絵柄着色層が
伸ばされたにも拘らず、転写された目地柄の色調は、そ
の下の色付け層の作用により薄く感じられなかった。
【0055】(比較例)実施例2において、色付け層を
形成しなかった他は実施例2と同様にして凹凸化粧材を
得た。得られた、凹凸化粧材は、絵柄着色層が特に大き
く伸ばされた溝状部内部で、そこに転写された目地柄の
色調が薄く又転写シート上の(すなわち、本来目標とし
ていた)色調よりもより白色に感じられ、しかも溝状部
内部でも伸びの大小に応じて不均一な色調となり、意匠
感が低下した。
【0056】
【発明の効果】本発明の凹凸化粧材によれば、タイル
貼り調等の目地等となる溝状部内が転写又は化粧シート
のラミネートによって装飾され、そこで伸ばされた絵柄
着色層の色調が薄くなり、隠蔽性が低下したとしても、
下に絵柄着色層と同色調の色付け層が有る為に、色調が
薄く感じられたり、色調が凹凸基材の色調に近い方向に
ズレたり、絵柄が暈けた様に感じられずに、加飾性が向
上し意匠感に優れた凹凸化粧材となる。特に、溝状部が
深く絵柄着色層が大きく伸ばされる、深絞りとなる形状
の場合に、色付け層の効果が顕著に得られる。 また、本発明の凹凸化粧材の製造方法によれば、溝状
部内が装飾された上記凹凸化粧材が容易に得られる。 また、本発明の凹凸化粧材の製造方法に於いて固体粒
子衝突圧を利用した転写法による場合は、深い溝状部等
と大きな三次元的凹凸表面が装飾された凹凸化粧材が容
易に得られる。しかも凹凸化粧材の全体の(包絡面)形
状は、平板状の板材以外にも、窓枠、サッシ等や、瓦の
様に全体として(包絡面形状が)波うち形状のもの、或
いは凸又は凹に湾曲した形状のもの等の二次元的凹凸、
或いは三次元的凹凸も可能である。しかも、大柄な凹凸
表面の凸部上、凹部内(底部や凸部と底部の連結部分で
ある側面)も転写できる。また、大柄な凹凸の凸部上
に、更に微細な凹凸模様(例えば、ヘアライン、梨地
等)が有る場合でも、その微細凹凸の凹部内にまで、転
写にて装飾することもできる。また、ゴムローラによる
従来のローラ転写法の様に、凹凸基材の凸部の隅角部に
よるローラ等の部品の損耗も無い。 一方、ローラ転写法による場合は、浅い溝状部等の凹
凸が比較的小さい場合に、簡便な装置で絵柄が転写で
き、前記凹凸化粧材を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於ける溝状部を有する凹凸化粧材を概
念的に説明する断面図。
【図2】溝状部の代表的な形態を概念的に説明する斜視
図。
【図3】溝状部の他の形態を概念的に説明する斜視図。
【図4】本発明に於ける溝状部を有する凹凸化粧材の一
形態を説明する断面図。
【図5】凹凸基材にて天面部に小凹凸を有する一例を示
す要部拡大斜視図。
【図6】本発明の製造方法で採用するローラ転写法を概
説する説明図。
【図7】本発明の製造方法で採用する固体粒子衝突圧を
利用した転写法を概説する説明図。
【図8】羽根車を用いた噴出器の一例を説明する概念図
(斜視図)。
【図9】図8の羽根車部分の斜視図。
【図10】図8の羽根車内部を説明する概念図。
【図11】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図12】吹出ノズルによる噴出器の一例を説明する概
念図。
【符号の説明】
1 溝状部 2 天面部 3 絵柄着色層 4 色付け層 5 下地処理層 6 接着剤層 7 透明層 8 小凹凸 11 支持体 12 転写層 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 凹凸基材 D 溝状部を有する凹凸化粧材 F 流体 P 固体粒子 R 弾性体ローラ R1 回転軸芯 R2 弾性体 S 転写シート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溝状部を有する凹凸化粧材において、 凹凸表面として溝状部を有する凹凸基材の該凹凸表面に
    対して、溝状部内も含めた凹凸表面に絵柄着色層が形成
    されており、且つ溝状部内のみに絵柄着色層の下に色付
    け層が形成されており、色付け層の色は、絵柄着色層と
    同色調である、溝状部を有する凹凸化粧材。
  2. 【請求項2】 溝状部を有する凹凸化粧材の製造方法に
    おいて、 凹凸表面として溝状部を有する凹凸基材の該凹凸表面に
    対して、溝状部内のみに色付け層を予め形成後、溝状部
    内も含めた凹凸表面に絵柄着色層を転写法又は化粧シー
    トラミネート法により形成する際に、前記色付け層の色
    を、溝状部内に形成すべき絵柄着色層と同色調として形
    成する、溝状部を有する凹凸化粧材の製造方法。
  3. 【請求項3】 凹凸基材への絵柄着色層の転写法とし
    て、弾性体ローラによるローラ転写法を用いる、請求項
    2記載の溝状部を有する凹凸化粧材の製造方法。
  4. 【請求項4】 凹凸基材への絵柄着色層の転写法とし
    て、固体粒子衝突圧を利用した転写法を用いる、請求項
    2記載の溝状部を有する凹凸化粧材の製造方法。
JP5424698A 1998-02-20 1998-02-20 溝状部を有する凹凸化粧材及びその製造方法 Withdrawn JPH11235805A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004076436A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Oota:Kk 目地付き板材及びその製造方法
JP2015140522A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 株式会社大林組 セメント組成体の仕上げ方法
WO2019057277A1 (en) * 2017-09-20 2019-03-28 Hp Indigo B.V. INTERMEDIATE TRANSFER ELEMENT AND METHOD OF PRODUCTION
KR20220019447A (ko) * 2020-08-10 2022-02-17 주식회사 네오콘크리트 컬러 규사로 표면 처리된 콘크리트 블록 제조 방법

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