JP2001080293A - 転写シート、化粧材、及び化粧材の製造方法 - Google Patents

転写シート、化粧材、及び化粧材の製造方法

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JP2001080293A
JP2001080293A JP25984599A JP25984599A JP2001080293A JP 2001080293 A JP2001080293 A JP 2001080293A JP 25984599 A JP25984599 A JP 25984599A JP 25984599 A JP25984599 A JP 25984599A JP 2001080293 A JP2001080293 A JP 2001080293A
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玲子 菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐汚染性等の表面物性に優れたケイ素系有機
無機複合高分子による表面保護層を、転写後の転写層上
に密着良く積層する。 【解決手段】 転写シートSは、支持体シート1上に、
プライマー層2と装飾層3、又は装飾層3から少なくと
もなる転写層4が形成された構成にて、転写層のうち少
なくとも支持体シートに接する層に、分子中にシロキサ
ン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を用い
る。化粧材は、この転写シートで被転写基材に転写層を
転写した後、ケイ素系有機無機複合高分子の表面保護層
を塗工形成する。転写圧は固体粒子衝突圧が良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材等の各種用途に用いる転写シート、及びそれを用い
た化粧材の製造方法、またその製造方法で得るに適した
化粧材に関する。特に、表面物性等に優れたケイ素系有
機無機複合高分子からなる表面保護層を、転写層の転写
後に設ける場合に、密着良く形成できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、転写法により各種の化粧材が
製造されている。その場合、転写層のうち、剥離層や装
飾層等の転写後に最表面となる層には、有機高分子(例
えば、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体等)を用いていた。例えば、装
飾層を印刷形成する場合、これら有機高分子をバインダ
ーの樹脂としたビヒクル中に、着色剤を含有させた着色
インキを用いていた。また、転写後の転写層の表面物性
(例えば、耐擦傷性等)を向上させる為に、転写層自体
にその様な物性を有する樹脂を用いる事もあるが、転写
適性との両立を図る必要があることから、転写層を一旦
転写した後、その上に塗装等で表面保護層を形成する事
もある。例えば、被転写面が凹凸面の場合には、転写層
には凹凸面に追従して延びる凹凸追従性が要求される
が、表面保護層を転写形成し且つ表面物性の為に硬質塗
膜とする場合等では、凹凸追従性と表面物性の両立にそ
れなりの工夫(例えば架橋硬化を転写時までは進めず、
転写後に完全硬化させて硬質塗膜とする等)を要するか
らである。これに対して、転写後に表面保護層を形成す
れば、表面保護層には転写適性を考慮する必要が無くな
り、硬化反応の転写工程中制御が要らず製造も容易とな
り、且つ樹脂系の選択範囲は広くなり、より高性能の樹
脂を使用する事も可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面保
護層として、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等に優れるケ
イ素系有機無機複合高分子を使用すると、その塗膜の密
着性が劣るという問題があった。そこで、密着性向上を
目的として、転写後の転写層と、表面保護層との間に、
両者の密着が良くなる様に易接着目的のプライマー層を
設ける事もできるが、プライマー層を塗工等で形成する
為の別工程が必要となり、コスト高となってしまう。
【0004】そこで、転写層のうち転写層後に最表面層
となる層、例えば、剥離層や装飾層等に、上記表面保護
層との密着性向上を目的としてアクリルシリコーン系樹
脂を用いることも試みた。しかり、シリコーン系樹脂で
もある為に、シリコーンのハジキ作用によって、それら
の層を形成するときの印刷適性や塗工適性が劣った。ま
た、アクリルシリコーン系樹脂では、被転写面が凹凸面
の場合に要求される凹凸に追従するための伸び性(凹凸
追従性)を転写層に付与できなかった。
【0005】そこで、本発明の課題は、表面物性等に優
れたケイ素系有機無機複合高分子からなる表面保護層
を、転写層の転写後に設ける場合に、密着良く形成でき
る転写シートを提供する事である。また、表面物性及び
密着性が良好となる化粧材と、その製造方法を提供する
事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明の転写シートでは、支持体シート上に、プライマ
ー層と装飾層、又は装飾層から少なくともなる転写層が
形成された転写シートにおいて、転写層のうち少なくと
も支持体シートに接する層を、分子中にシロキサン結合
を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を用いた層とし
た。この様に、支持体シートに接する層、すなわち転写
後に最表面となる層に、シロキサン結合を有す特定樹脂
を用いことで、転写後の転写層表面にケイ素系有機無機
複合高分子からなる表面保護層を形成する場合に、密着
良く形成できことになる。その結果、該表面保護層が有
する耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等の優れた表面物性
を、化粧材等の転写製品に与えられる。なお、転写後に
最表面となる層は、転写層構成により変わるが、例えば
プライマー層や装飾層等である。
【0007】また、本発明の化粧材の製造方法は、上記
転写シートを、転写層と基材とを対向させて圧着して転
写層を基材に転写した後、転写後の転写層の表面に、ケ
イ素系有機無機複合高分子からなる表面保護層を設ける
様にした。この様に、基材に上記転写シートを用いて転
写層を転写後、上記特定の表面保護層を設ける事で、耐
候性、耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性に優れ、且つ密
着性も良い化粧材を容易に製造できる。また、被転写面
が凹凸面の場合でも対応可能である。
【0008】また、本発明の化粧材の製造方法の別の形
態では、基材に、ケイ素系有機無機複合高分子からなる
下地樹脂層を形成した後、前記転写シートとして、支持
体シートの反対側の最表面の層も、分子中にシロキサン
結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を用いた層
とした転写シートを使用して、転写層を基材に転写する
様にした。この様に、基材側にも特定の下地樹脂層を設
け、なお且つ転写層も基材側の層はシロキサン結合を有
する特定樹脂の層とすることによって、基材と転写層と
の間の密着性が向上する。また、密着性の耐水性も良
い。なお、この場合、もちろんであるが、転写後の転写
層表面に、ケイ素系有機無機複合高分子からなる表面保
護層を設けても良い。そうすれば、化粧材は、この表面
保護層によって、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等の表面
物性も優れたものとなり、且つその表面保護層も密着良
く形成できる。また、この形態も、被転写面が凹凸面の
場合も対応可能である。
【0009】また、本発明の化粧材の製造方法の別の形
態では、上記製造方法において、転写方法として、固体
粒子衝突圧を転写圧に利用して転写する様にした。その
結果、弾性体ローラを用いる等の従来の転写法では不可
能な様な凹凸面でも、容易に転写によって化粧材を製造
できる為、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性と
密着性がともに優れ且つ高意匠の化粧材を容易に得られ
る。
【0010】また、本発明の化粧材は、基材上に、装飾
層、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリル
ウレタン樹脂からなるプライマー層、ケイ素系有機無機
複合高分子からなる表面保護層が、この順に積層されて
なる構成とした。この様な構成とすることで、耐候性、
耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性と表面保護層の密着性
がともに優れたものとできる。
【0011】また、本発明の化粧材の別の形態では、基
材上に、ケイ素系有機無機複合高分子の下地樹脂層、分
子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタ
ン樹脂からなる下地用プライマー層、装飾層、分子中に
シロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂
からなるプライマー層、ケイ素系有機無機複合高分子か
らなる表面保護層が、この順に積層されてなる構成とし
た。この様な構成とすることで、耐候性、耐擦傷性、耐
汚染性等の表面物性が優れるとともに、表表面保護層等
の基材上の各層の密着性を優れたものとできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の転写シート、化粧材の製造方法、及び化粧材につい
て、実施の形態を説明する。
【0013】転写シート:先ず、図1は本発明の転写シ
ートSの一形態を例示する断面図である。図1に示す如
く、本発明の転写シートSは、支持体シート1上に、プ
ライマー層2と装飾層3とからる転写層4が形成され、
転写層4のうち少なくとも支持体シート1に接する層、
つまりこの場合はプライマー層2が、分子中にシロキサ
ン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を用いた
層である構成の転写シートである。なお、このプライマ
ー層2は、支持体シートに接する層であることから、転
写シートに於いては、剥離層とも呼べる。また、図示は
しないが、転写層4はプライマー層2のみの構成の形態
もあり得る。また、図1の形態の場合、装飾層3は支持
体シート1に接しないので、分子中にシロキサン結合を
有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を用いた層として
も良いが、他の樹脂等のその他材料を用いた層(例えば
金属薄膜層等)としても良い。
【0014】〔支持体シート〕支持体シート1として
は、転写層と剥離性が有り、また基材の被転写面が凹凸
である場合には更に、凹凸への追従性を有するもので有
れば、従来公知のもので良く特に制限は無い。従って、
被転写面が平面或いは二次元的凹凸表面の場合には、延
伸性が無い紙等でも良いが、三次元的凹凸表面の場合に
は、少なくとも転写時には延伸性の有る支持体シートを
用いる。延伸性のある支持体シートとしては、例えば、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテ
レフタレートフィルム等の熱可塑性ポリエステル系フィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィル
ム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−プロピレ
ン共重合体フィルム、エチレン−プロピレン−ブテン3
元共重合体フィルム、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーフィルム等のポリオレフィン系フィルム、塩化ビニル
樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等の樹脂フィル
ム(シート)を用いる。また、これら樹脂フィルムは、
低延伸又は無延伸のものが延伸性の点で好ましい。ま
た、支持体シートはこれらの単層又は異種材料からなる
複層構成としても良い。例えば、被転写面が平面的な場
合には、上質紙にポリプロピレンを積層した構成の支持
体シートは転写性に優れ且つ安価である点で好ましい支
持体シートの一つである。また、被転写面が凹凸面の場
合にも適用できるものとして、厚み50〜120μmの
ポリプロピレン系シートは好ましい支持体シートの一つ
である。なお、支持体シートの厚みは、通常は20〜2
00μm程度である。
【0015】なお、支持体シートには必要に応じ、転写
層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シート
の構成要素として離型層を設けても良い。この離型層は
支持体シートを剥離時に、支持体シートの一部として転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。例えば上記した上質紙
にポリプロピレンを離型層として積層した支持体シート
である。
【0016】また、本発明の転写シートでは、転写層の
うちプライマー層等の支持体シートに接する層は、支持
体シートとの剥離性を調整する為の剥離層としても兼用
できる場合もあるが、支持体シートに接する層は表面保
護層との密着性を向上させるのが第一の目的であるの
で、支持体シートについて、その転写層側面の剥離性を
濡れ指数等で調整するのも好ましい。濡れ性が低いと剥
離力が小さくなり、濡れ性が高いと剥離力は大きくな
る。また、支持体シートに、プライマー層や装飾層等の
転写層を印刷(或いは塗工)形成するときの印刷(或い
は塗工)適性等も調整できる。例えば、濡れ指数を35
以下とするのが良い。
【0017】〔プライマー層〕プライマー層2は、転写
層4となる層のうち常に支持体シートに接する層として
形成される層であるので、いわゆる剥離層に類似してい
るが、このプライマー層はその第一の目的が、転写後の
転写層上に設ける表面保護層の密着性向上という易接着
目的であり、この為に、本発明ではプライマー層と呼
ぶ。もちろん、プライマー層は、転写シートに於ける従
来の剥離層としての機能を兼用させた層とてしても良
い。例えば、その機能とは、支持体シートと転写層との
剥離性を適度なものとする為の剥離性の調整等である。
そして、本発明では、このプライマー層2を転写層とし
て設ける形態に於いては、プライマー層2には分子中に
シロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂
を用いる。
【0018】上記特定の熱可塑性アクリルウレタン樹脂
としては、熱可塑性のアクリルウレタン樹脂でシロキサ
ン結合を分子中に有するものであれば、特に制限はな無
い。用途に応じた内容の該樹脂を使用すれば良い。この
様な、シロキサン結合含有の特定の熱可塑性アクリルウ
レタン樹脂としては、例えば次の様な樹脂が使用でき
る。
【0019】先ず、熱可塑性アクリルウレタン樹脂は、
アクリルポリオールとポリイソシアネートとを反応させ
て得られる、通常直鎖状のウレタン樹脂の一種である
が、このとき、アクリルポリオールと共にシリコーンポ
リオールもポリオールとして併用することで、分子中に
シロキサン結合を導入した熱可塑性アクリル樹脂が得ら
れる。なおもちろんの事、上記反応で得るものは熱可塑
性樹脂であるので、2官能と3官能との反応等の様に架
橋硬化する様な、ポリオールとポリイソシアネートとの
組み合わせは使用しない。また、その組み合わせを使用
したとしても、架橋しない程度に止める。なお、熱可塑
性アクリルウレタン樹脂は、架橋構造を持たないアクリ
ルウレタン樹脂であり、通常その骨格構造は直線状であ
るが、枝分かれした構造でも良い。また、水分等で硬化
せず経時的安定性が良好な点で、分子中にイソシアネー
ト基を持たない「飽和」熱可塑性アクリルウレタン樹脂
が好ましい。また、特に耐水密着性(水に接したときの
隣接層との剥離防止性)の点からは、分子中に水酸基を
持た無い熱可塑性アクリルウレタン樹脂が好ましい。こ
のような熱可塑性アクリルウレタン樹脂は、分子中の残
留水酸基をアルキル基で置換することによって得られ
る。
【0020】シロキサン結合を有する上記特定の熱可塑
性樹脂を使用することで、転写後の転写層上に形成する
表面保護層として、ケイ素系有機無機複合高分子を使用
した場合に、プライマー層は易接着層として作用して、
表面保護層を密着良く形成できる事になる。また、プラ
イマー層を熱可塑性とすることで、凹凸面に対しても伸
びて追従する性質をプライマー層に付与でき、凹凸面へ
の転写にも対応可能にする。また、シロキサン結合を有
する上記特定樹脂として、アクリルウレタン樹脂を使用
することで、プライマー層と接して装飾層等を設ける場
合に、プライマー層とこれら層との密着性も良好にでき
ると共に、耐候性、耐アルカリ性も良好にできる。な
お、該熱可塑性アクリルウレタン樹脂中のシロキサン結
合の含有量は、通常は5重量%以下とするのが好まし
い。含有量が多すぎると、転写後の転写層表面に表面保
護層を塗工形成時に塗膜がはじかれ易くなるので、
しくない。また、密着性向上効果を得る為には含有量は
最低でも、1重量%以上とするのが好ましい。なお、上
記含有量は、該熱可塑性アクリルウレタン樹脂を、アク
リルポリオールとシリコーンポリオールとイソシアネー
トとの反応で合成する場合の、これら化合物総量に対す
るシリコーンポリオールの重量%である。
【0021】なお、前記アクリルポリオールとしては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリ
ル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル単量体と、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピル等の分子中に水酸基を有する(メタ)アク
リル酸エステル単量体と、更に必要に応じ、スチレン単
量体等とを共重合させて得られるもの等が使用できる。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリル
の意味である。
【0022】また、前記ポリイソシアネートとしては、
例えば、ジイソシアネートとして、芳香族ジイソシア
ネート〔例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシ
アネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或い
はp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネー
ト等〕、脂肪族ジイソシアネート〔例えば、1,6−
ヘキサメチレンジイソシアネート等〕、脂環式ジイソ
シアネート〔例えば、イソホロンジイソシアネート(I
PDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等〕等が使用される。ポ
リイソシアネートは単独使用又は2種以上使用される。
なお、良好な耐候性を与える点では、脂肪族乃至は脂環
式イソシアネートが好ましい。或いは、これらのイソシ
アネートの多量体、又は付加体を用いても良い。
【0023】また、熱可塑性アクリルウレタン樹脂の一
具体例として、ポリオール成分にはポリカーボネートジ
オールとイソホロンジイソシアネートからなるウレタン
部分と、側鎖と末端に水酸基を有するアクリル部分との
ブロック共重合体で平均分子量が25,000程度のポ
リオールを使用し、イソシアネート成分には、水添MD
Iを使用した熱可塑性アクリルウレタン樹脂等も好まし
い。
【0024】また、前記シリコーンポリオールとして
は、ポリジメチルシロキサンの両末端や側鎖を水酸基と
した化合物等がある。
【0025】なお、プライマー層の形成は、ロールコー
ト等の塗工法、スクリーン印刷等の印刷法等の従来公知
の形成方法で形成すれば良い。
【0026】なお、プライマー層には、表面保護層を形
成時の後塗装適性の向上やその密着性をより向上させる
為に、必要に応じ適宜、体質顔料を含有させても良い。
体質顔料としては具体的には、硫酸バリウム、炭酸バリ
ウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、シリカ、アルミナ(α−アルミナ等)、タルク、
クレー等の無機質体質顔料からなる粒径0.1〜10μ
m程度の粉末を使用すると良い。粉末の形状は、球形、
多角形、不定形、鱗片形等である。なかでも、後塗装に
よる表面保護層とプライマー層との(楔効果による)密
着性向上の点で、硫酸バリウムが好ましい。体質顔料の
添加量は、樹脂100重量部に対して5〜100重量部
の範囲で使用する。添加量が100重量部を超えると転
写適性(剥離性、凹凸追従性)が低下し、5重量部未満
では表面保護層との密着性向上効果を得難い。
【0027】〔装飾層〕装飾層3は、転写層4として必
須の層である。装飾層4は、転写層が上記プライマー層
2も有する場合と、そうで無い場合とでは、支持体シー
トへの接触の有無が異なる。転写層4がプライマー層2
も有する前者の場合では、装飾層と支持体シート間には
プライマー層が介在し、装飾層は支持体シートに接触せ
ず、装飾層の内容としては本発明では特別の制約は無
く、転写シートに於ける従来公知の各種装飾層を用途に
応じて採用すれば良い。しかし、後者の場合、すなわ
ち、プライマー層が無い場合には、支持体シートと装飾
層との間に前述プライマー層以外の層を介在させない限
り、装飾層は支持体シートに接する層となり、本発明で
はこの場合の装飾層には、分子中にシロキサン結合を有
する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を用いる事を必須と
する。
【0028】装飾層3の代表的なものは、絵柄の意匠表
現の為に印刷形成した絵柄層である。この絵柄層を印刷
形成する場合には、バインダー等からなるビヒクル、顔
料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤から
なるインが使用される。そして、装飾層(絵柄層)を支
持体シートに接する層として形成する場合には、バイン
ダーとして用いる樹脂に、上記特定の熱可塑性アクリル
ウレタン樹脂を用いれば良い。該熱可塑性アクリルウレ
タン樹脂としては、前述プライマー層で述べた如き樹脂
から適宜選択使用すれは良い。したがって、ここでは、
該樹脂についての説明は省略する。
【0029】なお、上記着色剤としては、チタン白、カ
ーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニ
リンブラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタ
ロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉、二
酸化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔料、或いはその
他染料等の公知の着色剤を用いることができる。
【0030】また、絵柄層の絵柄は任意であり、用途に
応じて、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、タイ
ル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、
全面ベタ等を用いる。
【0031】なお、装飾層としては、意匠表現以外に、
例えば、抗菌層、防黴層、導電層等の各種機能を有する
機能層でも良い。例えば、抗菌層には銀イオン担持ゼオ
ライト粉末等の公知の抗菌剤を、防黴層としては、1
0,10−オキシビスフェノキシアルシン等の公知の防
黴剤を、導電層には黒鉛や銀等の粉末又は箔粉からなる
公知の導電剤を、バインダーの樹脂中に含有させたりす
れば良い。また、これら装飾層は、意匠表現用の絵柄層
と兼用させる場合もある。
【0032】この様に、装飾層はバインダーの樹脂中に
着色剤や各種機能付与の為の材料を含有させ、且つ装飾
層を支持体シートに接する層とする場合には、バインダ
ーの樹脂として、前述した特定の熱可塑性アクリルウレ
タン樹脂を使用することになる。
【0033】なお、機能層や絵柄層等の装飾層が支持体
シートに接しない場合は、バインダー樹脂を使用しない
装飾層でも良い。例えば、導電層や絵柄層として金属薄
膜層等も使用できる。金属薄膜層は、アルミニウム、ク
ロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的
或いは全面に形成される。
【0034】また、(バインダーの樹脂を使用する場合
に於いて)装飾層を支持体シートに接しない層として成
形する場合では、該特定の熱可塑性アクリルウレタン樹
脂を使用しなくても良い。従来公知の樹脂から適宜選択
すれば良い。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セ
ルロース系樹脂等を用いる。
【0035】但し、装飾層を上述プライマー層と組み合
わせて使用する場合には、前述プライマー層と同類てあ
る、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹
脂等は、装飾層とプライマー層との層間密着力の点で好
ましい樹脂である。これらの中でも、特にアクリルウレ
タン樹脂は他の樹脂よりも更にプライマー層と類似して
いる為層間密着性が得易い点で、より好ましい。これら
樹脂等のバインダーに用いる樹脂は、基本的には熱可塑
性樹脂、硬化性樹脂どちらでも良い。但し、凹凸面転写
に於ける凹凸追従性、使い易さの点では、熱可塑性樹脂
が好ましい。(もちろん、硬化性樹脂でも、凹凸面転写
用途では、硬化が進行していても、転写シートを被転写
体に圧接時点では、所望の凹凸追従性が確保できる程度
の半硬化、或いは未硬化状態で使用して、圧接後に完全
硬化させる等の工夫をすれば、凹凸追従性は十分に確保
できる。)
【0036】例えば、熱可塑性ウレタン樹脂としては、
アクリルウレタン樹脂の他に、ポリエステル系ウレタン
樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等が使用できる。
【0037】以上、バインダーとして樹脂を用いた装飾
層の場合は、その形成は、従来公知の印刷法や塗工法、
或いは手描き等の任意の形成手段で形成すれば良い。例
えば、印刷は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、
オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェ
ットプリント等によれば良い。
【0038】〔その他の転写層構成要素〕転写層4とし
て、プライマー層2と装飾層3について説明してきた
が、転写層4としては、接着剤層、或いは、これら層間
の介在して層間密着力を向上させる易接着層(一般には
これもプライマー層と呼ぶことがある)等を必要に応じ
適宜設けても良い。接着剤層は、支持体シートの反対側
の最表面の層として形成される層である。
【0039】〔支持体シートの反対側の最表面の層〕ま
た、本発明の転写シートでは、支持体シートの反対側の
最表面の層も、プライマー層2と同じ様に、分子中にシ
ロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を
用いた層としても良い。支持体シートの反対側の最表面
の層とは、前述の如く、例えば接着剤層である。なお、
本発明に於いては、転写シート上に設ける接着剤層の樹
脂成分として、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑
性アクリルウレタン樹脂を採用した場合は、下地用プラ
イマー層7〔図3(B)参照〕と呼称し、一般の(その
他の樹脂の)接着剤層と区別する。もちろん、接着剤層
を設けない場合には、前述装飾層が該当する事もある。
この点で、装飾層としては支持体シートに接しない層と
して形成する場合には特に制約は無いと説明したが、該
反対側の最表面の層として形成される場合には、分子中
にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹
脂を用いた層とするのは好ましい形態の一つである。な
お、装飾層として絵柄層を形成する場合、図9の断面図
で例示する転写シートSの如く、装飾層3とする絵柄層
は柄パターンを表現する柄パターン層3Aと、全ベタ柄
を表現する着色ベタ層3Bとから構成する事がある。こ
の場合、装飾層のうち最表面の層とはならない柄パター
ン層3Aの方は、他の樹脂を使用しても良い。
【0040】この様に、支持体シートの反対側の最表面
の層も、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アク
リルウレタン樹脂を用いた層とする事で、後述する如
く、被着基材に、予め、ケイ素系有機無機複合高分子か
らなる下地樹脂層を形成した後で転写する場合に、該下
地樹脂層に対して転写層を密着良く積層できる。なお、
下地樹脂層も、表面保護層と同じ様にケイ素系有機無機
複合高分子から構成すると、転写層と基材との密着性が
耐水性に優れたものとなる。
【0041】〔接着剤層〕接着剤層を転写シートに設け
る場合、接着剤層は上述の如く、支持体シートの反対側
の最表面として形成する層であるが、耐水性があまり要
求されない用途等、用途次第では、上記特定のシロキサ
ン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂以外の樹
脂を用いた層としても良い事はもちろんである。例え
ば、接着剤層には、分子中にシロキサン結合が無い熱可
塑性アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹
脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
等の公知の樹脂が使用できる。なお、接着剤層は、ロー
ルコート等の塗工法、スクリーン印刷等の印刷法等の従
来公知の形成方法で形成すれば良い。
【0042】化粧材の製造方法:本発明の化粧材の製造
方法では、上記した本発明の転写シートを用いて被転写
体となる基材に転写層を転写移行させて、化粧材を製造
する。そして、本発明の化粧材の製造方法の一つ形態で
は、図2の断面図にその一例を示す如く、先ず、支持体
シート1と前述特定の転写層4とからなる転写シートS
を基材に圧接後、その支持体シート1を剥離して、転写
層4を基材Bに転写し〔図2(A)〕、その後更に、転
写後の転写層4の表面にケイ素系有機無機複合高分子か
らなる表面保護層5を設けて化粧材Dを得る〔図2
(B)〕。なお、図2に示す例は、基材B上には、予め
接着剤層Aを設けてから転写する場合である。もちろ
ん、転写層や被着基材自体に接着性があれば、この接着
剤層Aは省略できる。なお、この接着剤層Aは、もし、
その樹脂成分として、ケイ素系有機無機複合高分子を使
用し場合は、下地樹脂層6になる(図3参照)。
【0043】この様な構成の製造方法とする事によっ
て、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性に優れ、
且つその表面保護層の密着性も良い化粧材を容易に製造
できる。また、被転写面が凹凸面の場合でも対応可能な
製造方法となる。
【0044】また、図3の断面図は、本発明の化粧材の
製造方法の別の形態例を示す。図3の形態では、先ず、
図3(A)の如く、基材B上には、予め、ケイ素系有機
無機複合高分子からなる下地樹脂層6〔本発明では、こ
の様に呼称するが、この層は、一般には接着剤層A(図
2参照)と呼称されている層に対応する。両者は使用す
る樹脂の違いに応じて使い分ける。〕を形成する。この
後、図3(B)の如く、前述本発明の転写シートSとし
て、支持体シート1の反対側の最表面の層も、分子中に
シロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂
を用いた層(下地用プライマー層7)とした特定の転写
シートSを用いて、転写層4を基材Bに転写する。図3
(B)の場合では、転写層4は、支持体シート1の反対
側の最表面の層として下地用プライマー層7を有する。
そして、ここでの転写層4は、支持体シート側から順
に、前述特定のプライマー層2、装飾層3、該下地用プ
ライマー層7が形成された構成である。そして、図3
(B)の如く、転写シートSを、下地樹脂層6が形成済
みの基材Bに圧接後、その支持体シート1を剥離して、
上記転写層4を基材Bに転写して化粧材Dを得る。
【0045】この様な構成の製造方法とする事によっ
て、耐水性に優れたケイ素系有機無機複合高分子からな
る下地樹脂層6と、下地用プライマー層7とが接する組
み合わせによって、転写層を密着良く且つその耐水性も
良くして基材に積層できる。また、この形態でも、被転
写面が凹凸面の場合でも対応可能な製造方法となる。な
お、この形態は、ケイ素系有機無機複合高分子からなる
表面保護層に対する密着性向上技術を、該高分子の良好
なる耐水性を活かして、転写層と基材との密着性及びそ
の耐水性向上に応用した形態である。
【0046】なお、図3(C)で例示する様に、この下
地樹脂層を利用する形態でも、先の図2で説明した形態
同様に、更に、転写後の転写層4上に特定の表面保護層
5を形成しても良い。この様にすれば、得られる化粧材
Dは、転写層を密着良く且つその耐水性も良くして基材
に積層できる上、更に表面保護層によって、耐候性、耐
擦傷性、耐汚染性等の表面物性に優れ且つ表面保護層の
密着性も良い化粧材となる。
【0047】なお、これら各形態にて、基材への前処理
工程として、必要に応じ適宜、下塗り層形成、ケイ素系
有機無機複合高分子以外の樹脂からなる接着剤層形成
〔図2で例示した形態〕等を更に行っても良い。
【0048】以下、さらに本発明の化粧材の製造方法に
ついて詳述する。
【0049】〔表面保護層〕表面保護層5は、ケイ素系
有機無機複合高分子から構成する。ケイ素系有機無機複
合高分子としては、例えば、アルコキシシランの加水分
解縮合物、シリル基含有ビニル系樹脂等のケイ素樹脂を
使用できる。表面保護層に、該高分子を使用すること
で、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等を優れたものにでき
る。
【0050】例えば、加水分解縮合物の基になるアルコ
キシシランは、一般式:Rn Si(OR′)4-n で表さ
れる化合物であり、n数は0〜2の整数である。このう
ち、nが0又は1であるアルコキシシランを主成分とす
るものが、耐擦傷性、耐候性に優れ好ましい。また、R
は炭素数1〜3の有機物であり、R′は炭素数1〜5、
好ましくは1〜4の有機物である。そして、これらアル
コキシシランの加水分解縮合物は、例えば、アルコール
等の溶液中で必要量の水及び酸触媒を用いてアルコキシ
シランを反応させれば得られる。
【0051】シリル基含有ビニル系樹脂は、一般式:X
n −Si(R1 3-n −CHR2 −で表されるシリル基
を少なくとも1つ有するビニル系樹脂である。Xは、ハ
ロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、ケトキシメート、
アミノ、酸アミド、アミドオキシ、メルカプト、アルケ
ニルオキシ、フェノキシ等の加水分解性基である。ま
た、R1 、及びR2 はそれぞれ、水素、炭素数1〜10
の、アルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価の
炭化水素基である。nは1〜3の整数である。なお、ビ
ニル系樹脂は、ビニル系モノマーの重合物であり、例え
ば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等である。
【0052】そして、表面保護層は、上記特定高分子を
含む塗液を塗工すれば形成できる。塗工はスプレー塗
装、カーテンコート、軟質ゴムローラやスポンジローラ
を使用したロールコート等の公知の塗工法で行えば良
い。表面保護層の厚さは通常1〜100μm程度であ
る。なお、該塗液中には、用途、要求物性に応じて、ベ
ンゾトリアゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸
収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定
剤、シリカ、球状α−アルミナ、鱗片状α−アルミナ等
の粒子からなる減摩剤、着色顔料、体質顔料、滑剤等を
添加しても良い。
【0053】〔下地樹脂層〕下地樹脂層6は、ケイ素系
有機無機複合高分子から構成する。該ケイ素系有機無機
複合高分子としては、上記した表面保護層で述べた如き
高分子を使用できる。したがって、ここでは該高分子に
関する更なる説明は省略する。そして、下地樹脂層に該
高分子を使用することで、その上に転写層の転写等によ
って形成される下地プライマー層を分子中にシロキサン
結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂からなる層
とした時に、これら両層を密着良く積層できる。そし
て、下地樹脂層は、上記特定高分子を含む塗液を塗工す
れば形成できる。塗工はスプレー塗装、カーテンコー
ト、軟質ゴムローラやスポンジローラを使用したロール
コート等の公知の塗工法で行えば良い。下地樹脂層の厚
さは、通常5〜100μm程度である。
【0054】〔下地用プライマー層〕下地用プライマー
層7は、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アク
リルウレタン樹脂から構成する。該熱可塑性アクリルウ
レタン樹脂としては、前述したプライマー層2で述べた
如き熱可塑性アクリルウレタン樹脂を使用できる。した
がって、ここでは該樹脂に関する更なる説明は省略す
る。そして、下地用プライマー層に該樹脂を使用するこ
とで、その下に形成される下地樹脂層をケイ素系有機無
機複合高分子からなる層とした時に、これら両層を密着
良く積層できる。そして、下地用プライマー層を転写層
として形成するには、上記特定の熱可塑性アクリルウレ
タン樹脂を含む塗液をロールコート等の公知の塗工法で
形成すれば良い。或いは、スクリーン印刷等の公知の印
刷法で形成しても良い。下地用プライマー層の厚さは、
通常5〜50μm程度である。なお、転写層に於けるこ
の下地用プライマー層は熱可塑性であり、熱融着による
接着剤層として使用できる。
【0055】〔基材〕基材Bとしては特に限定は無い。
例えば、材質としては 、無機非金属系、金属系、木質
系、プラスチック系等の基材を使用できる。具体的に
は、ケイ酸カルシウム、中空押し出しセメント、スラグ
セメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC
(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、石綿
セメント、木片セメント、石膏、石膏スラグ等の非陶磁
器窯業系材料、杉、檜、樫、ラワン、チーク等の各種樹
種からなる木材単板や木材合板、パーティクルボード、
集成材、木質中密度繊維板(MDF)等の木質材料、ま
た、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料、土器、陶器、
磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質
材料、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等
の樹脂材料等である。
【0056】また、基材の形状は、その化粧面に転写層
等として装飾層を形成できれば、平板や屈曲した板、柱
状物、成形品等の立体物等と任意である。例えば、基材
は全体として(包絡面形状が)平板状の板材の他、断面
が円弧状に凸又は凹に1方向に湾曲した二次元的凹凸を
有する基材等でも良い。転写形成する場合でも、化粧面
としては、平面以外にも、転写シート及び採用する転写
法が、凹凸追従性(形状追従性)の有るものであれば、
凹凸表面でも良い。特に転写法に後述する固体粒子衝突
圧を用いる場合には、なおさらである。表面凹凸形状は
任意だが、例えば、複数のタイルや煉瓦を平面に配置し
た場合の目地、花崗岩の劈開面、砂目等の石材表面の凹
凸、木材羽目板、浮造木目等の木材板表面凹凸、簓の無
い下見張板の表面凹凸、リシン調、スタッコ調等の吹付
塗装面の凹凸等である。
【0057】〔下塗り層〕なお、基材の化粧面には、必
要に応じて適宜、下塗り層(べースコート層)を設けて
おいても良い。下塗り層は、基材(セメント等のアルカ
リ性基材)からのアルカリ成分溶出の防止(所謂シーラ
ー)したり、或いは、基材(無機系基材等)の表面の凹
凸を埋めて表面を平滑にし、転写性等を向上させて転写
層の転写に適した表面性を付与したりする(所謂目止
め)、等の目的で設ける。また、下塗り層を着色不透明
とする事により隠蔽性を持たせて、基材自体の色や模様
が絵柄層等の装飾層の模様に悪影響するのを防ぐ(所謂
下地塗装)目的でも使用できる。なお、これらの場合、
下塗り層の機能は、接着剤層に兼用させて接着剤層のみ
で足らす事もできる。下塗り層は用途により1層又は多
層で用いる。下塗り層は、基材の材質や表面状態及びそ
の目的に応じて、樹脂等からなる従来公知の塗液を塗工
し形成すれば良い。例えば、該樹脂としては、2液硬化
型ウレタン樹脂、1液湿気硬化型ウレタン樹脂、アクリ
ル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂等が用いられる。特に、基材が、セメント等のアル
カリ性基材の場合は、耐アルカリ性に優れた樹脂が好ま
しい。耐アルカリ性に優れた樹脂としては、例えば、ア
クリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が
好ましい。
【0058】また、前述下地用樹脂層で、この下塗り層
の機能を兼用させても良い。もちろん、下地用樹脂層と
下塗り層の両方を別々に形成する場合は、この下塗り層
は下地用樹脂層形成前に基材に形成する。
【0059】なお、下塗り層の形成方法は、スプレーコ
ート、フローコート等の塗工法、スクリーン印刷等の印
刷法等の従来公知の形成方法の中から、基材の表面凹凸
形状等により適宜選択する。
【0060】〔基材に施す接着剤〕なお、特に被転写面
が凹凸面で転写抜けが起きやすい様な場合には、基材側
に接着剤層を形成しておくのも効果的である。この様な
接着剤としては、特に制限は無く用途に応じて、公知の
接着剤の中から適宜選択すれば良い。例えば、酢酸ビニ
ル樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱
可塑性ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂による従来公知の
感熱溶融型接着剤、2液硬化型ウレタン樹脂接着剤やウ
レタン系湿気硬化型接着剤等の硬化化接着剤、或いはゴ
ム系接着剤等である。また、接着剤は有機溶剤系、水
系、ホットメルト系等、いずれでも良い。
【0061】なお、本発明の化粧材に於いては、前述下
地用樹脂層を設け且つ下地用プライマー層も有する形態
では、下地用プライマー層は、この接着剤層を兼用する
層として基材側に形成して、その上に装飾層等を転写等
で形成しても良い。
【0062】基材上に接着剤を施して接着剤層を基材上
に形成するには、スプレーコート、フローコート等の塗
工法、スクリーン印刷等の印刷法等の従来公知の形成方
法の中から、基材の表面凹凸形状等によって適宜選択す
れば良い。
【0063】なお、上記接着剤層は、転写シートから基
材に転写移行する転写層が直接に接する層であるので、
この接着剤層にケイ素系有機無機複合高分子を使用すれ
ば、接着剤層は下地樹脂層でもある。
【0064】〔転写方法〕本発明の化粧材の製造方法で
採用する転写方法としては、基本的には特に制限は無
い。用途に応じ、例えば次の様な従来公知の転写方法を
採用すれば良い。
【0065】弾性体ローラによる転写方法:この方法
は、表面凹凸が比較的小さいか平坦な基材に対して好適
である。弾性体ローラは、例えば、特開平6−9955
0号公報、特開平8−286599号公報等に記載の様
な従来公知のローラ転写法で用いる弾性体ローラで良
い。
【0066】真空成形転写方法:特公昭56−457
68号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−5801
4号公報(真空プレス法)等に記載されるように、立体
形状の基材上に転写シートを対向又は載置し、少なくと
も基材側からの真空吸引による圧力差により転写シート
の転写層を基材に転写する、所謂真空成形積層法を利用
した転写方法。
【0067】射出成形同時絵付け転写方法:特開平6
−315950号公報に記載されるように、転写シート
をその転写層側が射出樹脂側を向く様にして、射出成形
の雌雄両金型間に配置した後、加熱溶融し流動状態の樹
脂を型内に射出充填し、基材である樹脂成型品の成形と
同時にその基材表面に転写シートから転写層を転写させ
る転写方法。
【0068】ラッピング転写方法:特公昭61−58
95号公報、特開平5−330013号公報等に記載さ
れるように、円柱、多角柱等の柱状の基材の長軸方向
に、転写シートを供給しつつ、複数の向きの異なるロー
ラーにより、基材を構成する複数の側面に順次転写シー
トを加圧接着して転写層を転写してゆく、所謂ラッピン
グ加工方法による転写方法。
【0069】固体粒子衝突圧を利用する転写方法:特
許第2844524号公報、特開平10−193893
号公報等に開示された新規な転写方法である。すなわ
ち、図4の概念図で示す如く、基材Bの被転写面(表
面)側に、支持体シートと転写層とからなる転写シート
Sの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体シート
側に多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧を利用し
て、基材の被転写面への転写シートの圧接を行う。そし
て、転写層が基材に接着後、転写シートの支持体シート
を剥離除去すれば、転写が完了する。なお、固体粒子P
に付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表す。
【0070】その他、BMC(Bulk Molding Compoun
d) 成形法、SMC(Sheet Molding Compound)成形法、
ハンドレイアップ成形法等のFRP(Fiber Reinforced
Plastics) における各種成形法、或いは、RIM(React
ion Injection Molding)、マッチドモールド成形法等の
成形と同時に行う転写方法、等がある。
【0071】なお、上記、、及びは既に形状を
有する基材に転写する方法であり、及びは、樹脂成
形品として基材の形状発現と同時に転写する方法であ
る。また、上記の方法では、樹脂の成形型、又は別の
型により転写シートを予備成形した後に、樹脂を射出成
形して成形と同時に転写する方法もある。これと同様
に、に列記の方法においても、転写シートの成形は樹
脂成形と同時の場合と、樹脂成形の前に予備成形する場
合がある。なお、ハンドレイアップ法では、転写シート
の成形は予備成形となる。
【0072】次に、上記各種転写方法の中から、特に本
発明にて採用するの固体粒子衝突圧を利用する転写方
法について、更に説明しておく。
【0073】固体粒子Pとしては、セラミックビーズ、
ガラスビーズ等の非金属無機粒子、亜鉛、鉄等の金属粒
子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等
の有機粒子、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる
無機物・樹脂複合粒子等を使用する。粒子形状は球形状
が好ましいが、その他の形状でも用い得る。粒径は通常
10〜1000μm程度である。固体粒子は噴出器から
転写シートに向かって噴出させ、転写シートに衝突した
その衝突圧が転写圧となる。噴出器には、代表的には羽
根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固
体粒子を加速し、吹出ノズルは高速の流体流で固体粒子
を加速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト
或いはショットブラスト、ショットピーニング等とブラ
スト分野にて使用されているものを流用できる。例えば
羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式
や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等であ
る。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を
加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混
合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式
ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固
体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラ
スト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。
【0074】図5及び図6は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。更に、この中空部815内に方向制御器816を内
在する(図6参照)。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図6参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。羽根車81
2の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5
〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転数は500〜5000〔rpm〕程度
である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程
度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒
子の総重量)は10〜150〔kg/m2 〕程度であ
る。
【0075】次に、図7は吹出ノズルを用いた噴出器の
一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒
子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時
に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の
一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混
合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部
ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び
流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等
からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出
し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部84
3から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高
速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により
固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加
速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から
流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速
流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。流体圧は吹付
圧力で通常0.1〜10kg/cm2 程度である。流体
流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流で
は通常5〜80m/秒程度である。
【0076】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。また、実
際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の
雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好まし
く、転写する空間を周囲空間と隔離するチャンバ内で、
固体粒子を転写シートに衝突させると良い。支持体シー
トの剥離は、チャンバ外でも良い。
【0077】また、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支
持体シートからなる転写シートは、赤外線輻射ヒータ等
で加熱軟化させて延伸性を付与し、基材が熱容量の大き
い場合は予め予熱し、初期接着を熱融着させる場合の層
(装飾層や接着剤層等)は、加熱活性化させた状態で固
体粒子を転写シートに衝突させる様にする。なお、熱融
着する層を活性化して熱融着させる場合に加熱するタイ
ミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧
印加前及び印加中などのいずれでも良い。一方、転写シ
ートが基材が凹凸表面の場合はその表面形状に追従し、
成形され、転写層が基材に十分に接触すれば、冷風等の
冷却手段で熱融着した層の冷却を促進しても良い。冷風
は、例えば、転写シート側や基材側から吹き付ける。
【0078】化粧材:本発明の化粧材の一形態は、図1
0(A)の断面図で例示する化粧材Dの如く、基材B上
に、装飾層3、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑
性アクリルウレタン樹脂からなるプライマー層2、ケイ
素系有機無機複合高分子からなる表面保護層5が、この
順に積層されてなる構成の化粧材である。なお、図10
(A)は、更に基材Bと装飾層3間に、基材側から下塗
り層8、接着剤層Aを介在させた例である。また、図1
の転写シートを用いて得られる場合の図2(B)の化粧
材Dも、本形態例に該当する。
【0079】或いはまた本発明の化粧材は、図10
(B)の断面図で例示する化粧材Dの如く、基材B上
に、ケイ素系有機無機複合高分子の下地樹脂層6、分子
中にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン
樹脂からなる下地用プライマー層7、装飾層3、分子中
にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹
脂からなるプライマー層2、ケイ素系有機無機複合高分
子からなる表面保護層5が、この順に積層されてなる構
成の化粧材である。なお、図10(A)は、更に基材B
と下地樹脂層6間に下塗り層8を介在させた例である。
また、図3(B)の化粧材Dも、本形態例に該当する。
【0080】以上の様な構成の本発明の化粧材は、好ま
しくは、前述した本発明の転写シート、本発明の化粧材
の製造方法によって得る事ができる。しかし、図10で
は、転写層4として表しているプライマー層2や装飾層
等の基材上に形成する層は、転写以外の方法、例えば印
刷法等で形成することも可能である。特に、形成面が平
面の場合には、なおさらである。また、図10(B)の
化粧材Dの様に下地用プライマー層7を有する形態で
は、この下地用プライマー層7は、転写層の一部として
転写形成する事もできるが、基材側に塗工等で形成する
事もできる。塗工は公知の塗工法で行えば良く、塗工面
が凹凸面の場合でも、塗工はスプレー塗装、カーテンコ
ート、軟質ゴムローラやスポンジローラを使用したロー
ルコート等の公知の塗工法で行えば良い。
【0081】発明品の用途:本発明の転写シートを用い
て得られる化粧材等の転写製品、或いは本発明の化粧材
の製造方法で得られる化粧材、或いは本発明の化粧材の
用途は、特に制限は無い。例えば、転写製品は化粧材と
して、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板
等の外装、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、
扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化粧、箪笥等の
家具やテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネット
の表面化粧、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装
材等の各種分野で用いられ得る。なお、化粧材等の転写
製品の形状は、平板以外にも、曲面板、棒状体、立体物
等でも良い。平板や曲面板では化粧材は化粧板として用
いられる。なかでも、本発明では、耐候性、耐擦傷性、
耐汚染性等の表面物性、及び密着性が要求される用途は
好適であり、また耐水性も良い事から、例えば、キッチ
ン、浴室等の水廻り用途は好適である。
【0082】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0083】〔実施例1〕図8(A)の斜視図で示す如
き、被転写面が凹凸面の基材Bを用いて、図10(A)
の断面図で示す如き化粧材Dを次の様にして製作した。
基材Bは、目地となる(底面の)幅8mm、深さ3mm
の縦溝11と、(底面の)幅6mm、深さ3mmの横溝
12とを有し、これら縦溝11と横溝12とで区画され
た天面部(凸部)上に高さが0.1〜2mmに分布する
山状の突起を多数有する凹凸面を有する、厚さ18mm
の押出セメント板である。なお、天面部は煉瓦積み模様
で配置されている。また、縦溝11、及び横溝12の側
面は図8(B)の断面図で示す如く、約30°で底面に
行くにしたがって幅が狭くなる斜面となっている。転写
領域を天面部とし、非転写領域を縦溝及び横溝とした。
【0084】そして、この基材の被転写面に予め、下塗
り層8として、目止めの為のシーラー層(アクリル系水
性エマルションからなるシーラー剤をスプレー塗装)
と、下地色調整の為のべースコート層(チタン白で着色
されたアクリル系水性エマルション塗料をスプレー塗
装)とを形成した。
【0085】そして更に転写層の接着の為に、上記の基
材上に、アクリルポリオールに対して、1,6−ヘキサ
メチレンジイソシアネートを8重量%添加した2液硬化
型ウレタン樹脂系接着剤を、スプレー塗装で塗布量が固
形分5g/m2 となる様に塗布した後、150℃の熱風
乾燥炉(ノズルジェット乾燥機)で60秒間加熱して揮
発成分を乾燥して、(イソシアネートは未硬化の)(基
材に施す)接着剤層Aを、基材B上の下塗り層8の上に
形成した。
【0086】一方、転写シートは図9の断面図で示す如
き転写シートSとして、厚さ80μmの表面未処理エチ
レン−プロピレンランダム共重合体(エチレンが3重量
%)フィルム(濡れ指数32以下)からなる支持体シー
ト1上に、プライマー層2と装飾層3とを順次形成して
転写層4を形成した。プライマー層2としては、アクリ
ルポリオールと共に、分子量2000で両末端が水酸基
のシリコーンポリオール(両ポリオール及びポリイソシ
アネートの総量に対して5重量%使用)を、ポリイソシ
アネートと反応させて得た、分子中にシロキサン結合を
有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂を、メチルエチル
ケトンとトルエンとイソプロピルアルコールの5:3:
2重量比の希釈溶剤に溶解した塗液を、グラビア塗工し
て乾燥時厚さ2μmの塗膜を形成した。装飾層3として
は、バインダーの樹脂がガラス転移温度20℃で熱軟化
温度(貯蔵弾性率から測定)120℃の熱可塑性アクリ
ルウレタン樹脂で、着色剤がキナクリドン、イソインド
ノリン、フタロシアニンブルー、及びカーボンブラック
で、希釈溶剤は上記プライマー層用の塗液と同じ溶剤の
着色インキを用いて、グラビア印刷の多色刷で、大理石
調の石目柄の柄パターン層3Aと、柄パターン層の上に
白ベタの着色ベタ層3Bとを形成した。
【0087】そして、接着剤層が形成された前記基材
を、熱風乾燥炉で基材(接着剤層)を100℃に予熱し
た後、上記転写シートを転写層側が基材側を向くように
して置き、搬送速度30m/分で転写シート及び基材を
搬送しつつ、転写シートの支持体シート側に、多数の固
体粒子を衝突させて、転写を行った。なお、固体粒子と
しては、80℃に加熱された平均粒径0.4mmの球状
形状の亜鉛球を、図5及び図6の如き羽根車で35m/
秒の速度に加速して、転写シートに衝突させた。そし
て、25℃の冷風で冷却して、転写層が基材に密着後、
支持体シートを剥離した。
【0088】更に、表面保護層5として、転写後のプラ
イマー層2の上に、アルコキシシランの加水分解縮合物
溶液と硬化触媒とからなる塗液を、基材温度40℃に加
熱した状態で、5g/m2 (固形分基準)スプレー塗布
後、180℃の熱風乾燥炉で4分間加熱乾燥して固化さ
せて透明な表面保護層を形成し、また基材に施した接着
剤層は完全硬化させて、図10(A)の如き化粧材Dと
して、外装サイディングとする化粧板を得た。
【0089】表1にプライマー層に用いた樹脂内容を他
の実施例及び比較例と共に纏めて示し、性能評価は表2
に纏めて示す。
【0090】〔実施例2〕表1に示す如く、プライマー
層形成に於いて、シロキサン結合の量(シリコーンポリ
オールとしての量。以下同様)を、実施例1の5重量%
から1重量%に変更した他は、実施例1と同様にして化
粧材を作製した。
【0091】〔実施例3〕表1に示す如く、プライマー
層形成に於いて、シロキサン結合の量を、実施例1の5
重量%から10重量%に変更した他は、実施例1と同様
にして化粧材を作製した。
【0092】〔比較例1〕表1に示す如く、プライマー
層形成に於いて、シロキサン結合の量を、実施例1の5
重量%から0重量%(未使用)に変更した他は、実施例
1と同様にして化粧材を作製した。
【0093】〔実施例4〕図10(B)の断面図で示す
如き、下地樹脂層付きの化粧材Dを次の様にして製作し
た。基材は、実施例1と同じ物を使用した。そして、実
施例1同様に下塗り層8を形成した。そして、該下塗り
層の上に、実施例1で表面保護層形成に用いた塗液を用
いて、下地樹脂層6を形成した。そして、実施例1で使
用した転写シートに対して、更にその支持体シートの反
対側の最表面に、プライマー層形成に用いた塗液を塗工
して、下地用プライマー層7を形成した転写シートを作
製した。そして、この転写シートを、実施例1と同様に
して、上記の下地用樹脂層形成済の基材に転写した後、
表面保護層5を形成して、化粧材を作製した。
【0094】〔性能評価結果〕性能評価結果は表2に纏
めて示す。各性能の評価は次の様にして行った。
【0095】箔切れ性:転写しない領域である目地溝
部に接着剤が塗工されるのを防ぐため、目地溝部を予め
マスキングテープでマスキングし、接着剤塗工後、マス
キングテープを取り除いた。この後、転写した。転写
後、転写すべき領域である天面部から目地溝部に向かっ
て転写層が張り出し、バリとなっているか否かを、目視
で外観を観察して評価した。
【0096】初期密着性:化粧材の表面保護層の表面
に2mm間隔で碁盤目状に縦横に、深さが基材にまで達
する切り込みを入れて、縦横で10×10個の合計10
0個の枡目を作った後、セロハン粘着テープ(ニチバン
株式会社製、「セロテープ」(登録商標)24mm幅、
産業用)を貼り付け、その上から消しゴムで加圧して良
く密着させて、1〜2分後に、勢い良くセロハン粘着テ
ープを引き剥がして、枡目部分で表面保護層や転写層等
の基材上の層がテープと共に剥がれるか否かで評価し
た。剥がれ無きものを良好、剥がれ有りのものを不良と
した。
【0097】二次密着性:上記密着性の耐温水性を評
価した。80℃の温水中に化粧材を10日間浸漬後、取
り出して風乾した後、上記の密着性について評価し
た。
【0098】耐汚染性:化粧材の表面保護層の表面
に、油性マジックインキで線を描き、2時間放置した
後、ウエスを用いてエタノールで拭き取り、描いた線が
残らないものは良好、残るものは不良として評価した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】表2の如く、先ず耐汚染性は各実施例及び
比較例全て良好であった。しかし、印刷適性は、比較例
1と実施例1及び実施例2、及び実施例4は良好である
が、シロキサン結合含有量が10重量%と他に比べて多
い実施例3は、致命的とまでは行かないがバックトラッ
プが発生し、やや良好となった。また、箔切れ性として
の転写時のバリ発生の有無も、この実施例3のみ致命的
とまでは行かないがバリが発生し、やや良好となった。
そして、密着性は、実施例1〜4は全て良好となった
が、比較例1のみが初期密着及び二次密着の両方で表面
保護層と転写層間で剥離し、不良となった。以上の結
果、総合判定は、実施例3がやや良好となったが、シロ
キサン結合含有量が5重量%以下の実施例1、実施例2
及び実施例4は良好となった。また、シロキサン結合含
有量が0重量%の比較例1は、不良となった。
【0102】
【発明の効果】本発明の転写シートによれば、転写後
の転写層表面にケイ素系有機無機複合高分子からなる表
面保護層を形成する場合に、密着良く形成できる。その
結果、該表面保護層が有する耐候性、耐擦傷性、耐汚染
性等の優れた表面物性を、化粧材等の転写製品に与えら
れる。
【0103】本発明の化粧材の製造方法によれば、上
記本発明の転写シートで転写後、特定の表面保護層を形
成するので、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性
に優れ、且つ密着性も良い化粧材を容易に製造できる。
また、被転写面が凹凸面の場合でも対応可能である。 また、基材にケイ素系有機無機複合高分子からなる下
地樹脂層を形成しておく本発明の化粧材の製造方法の形
態では、基材と転写層との間の密着性が向上する。ま
た、密着性の耐水性も良い。 更に、転写方法として固体粒子衝突圧を転写圧に利用
すれば、弾性体ローラを用いる等の従来の弾性体ローラ
転写法では不可能な様な凹凸面でも、容易に転写して化
粧材を製造できるので、高意匠の化粧材が得られる。
【0104】本発明の化粧材によれば、耐候性、耐擦
傷性、耐汚染性等の表面物性と表面保護層の密着性がと
もに優れる。 また、基材上にケイ素系有機無機複合高分子の下地樹
脂層を設ける本発明の化粧材の別の形態では、耐候性、
耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性が優れるとともに、表
表面保護層等の基材上の各層の密着性を優れたものとで
きる。また、密着性の耐水性も良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写シートの一形態を例示する断面
図。
【図2】本発明の化粧材の製造方法の一形態を例示する
説明図(断面図)。
【図3】本発明の化粧材の製造方法の別の形態を例示す
る説明図(断面図)。
【図4】本発明の化粧材の製造方法にて、固体粒子衝突
圧を利用する転写方法を示す概念図。
【図5】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明す
る斜視図。
【図6】図5の羽根車内部を説明する概念図。
【図7】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明
する断面図。
【図8】基材の一例を示す斜視図。
【図9】本発明の転写シートの別の形態を例示する断面
図。
【図10】本発明の化粧材の別の形態例を例示する断面
図。
【符号の説明】
1 支持体シート 2 プライマー層 3 装飾層 3A 柄パターン層 3B 着色ベタ層 4 転写層 5 表面保護層 6 下地樹脂層 7 下地用プライマー層 8 下塗り層 11 縦溝 12 横溝 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル A 接着剤層 B 基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B005 EA06 EB01 EB09 FC08X FC10X FE39 FG10Y FG10Z GA17 GC08 GD05 4F100 AK51B AK52C AT00A BA03 BA07 BA10A BA10B BA10C BA13 EC041 EC182 EJ221 GB90 HB00B JB16B JK06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体シート上に、プライマー層と装飾
    層、又は装飾層から少なくともなる転写層が形成された
    転写シートにおいて、 転写層のうち少なくとも支持体シートに接する層が、分
    子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタ
    ン樹脂を用いた層である、転写シート。
  2. 【請求項2】 基材に請求項1記載の転写シートを、転
    写層と基材とを対向させて圧着して転写層を基材に転写
    した後、転写後の転写層の表面に、ケイ素系有機無機複
    合高分子からなる表面保護層を設ける、化粧材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 基材に、ケイ素系有機無機複合高分子か
    らなる下地樹脂層を形成した後、請求項1記載の転写シ
    ートとして、支持体シートの反対側の最表面の層も、分
    子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アクリルウレタ
    ン樹脂を用いた層とした転写シートを使用して、転写層
    を基材に転写する、化粧材の製造方法。
  4. 【請求項4】 転写方法として、固体粒子衝突圧を転写
    圧に利用して転写する、請求項2又は3記載の化粧材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 基材上に、装飾層、分子中にシロキサン
    結合を有する熱可塑性アクリルウレタン樹脂からなるプ
    ライマー層、ケイ素系有機無機複合高分子からなる表面
    保護層が、この順に積層されてなる、化粧材。
  6. 【請求項6】 基材上に、ケイ素系有機無機複合高分子
    の下地樹脂層、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑
    性アクリルウレタン樹脂からなる下地用プライマー層、
    装飾層、分子中にシロキサン結合を有する熱可塑性アク
    リルウレタン樹脂からなるプライマー層、ケイ素系有機
    無機複合高分子からなる表面保護層が、この順に積層さ
    れてなる、化粧材。
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