JP2000001097A - 化粧材の製造方法 - Google Patents

化粧材の製造方法

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JP2000001097A
JP2000001097A JP16820198A JP16820198A JP2000001097A JP 2000001097 A JP2000001097 A JP 2000001097A JP 16820198 A JP16820198 A JP 16820198A JP 16820198 A JP16820198 A JP 16820198A JP 2000001097 A JP2000001097 A JP 2000001097A
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curable resin
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JP16820198A
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Haruo Ono
晴男 大野
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐擦傷性等の表面物性に優れ、且つ転写層の
密着性も優れたれ化粧材を得る。 【解決手段】 離型性を有する支持体シート1上に、転
写層2として、常温固体状で未硬化の透明な電離放射線
硬化性樹脂層3、及び絵柄層4をこの順に有する転写シ
ートSを、未硬化の電離放射線硬化性樹脂からなる常温
液状の接着剤5を液状状態で間に介して、被転写基材B
に積層した後、電離放射線Rを照射して、前記電離放射
線硬化性樹脂層及び接着剤を硬化させ、而る後、支持体
シートのみ剥離除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材等の各種用途に用いる、耐擦傷性等の表面物性に優
れ、且つ転写層の密着も優れた化粧材の転写による製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、浴室壁面、キッチン
パネル等に使用する化粧板等を転写装飾して製造する場
合、表面層を設けて表面硬度、耐擦傷性等の表面物性を
優れたものとするには、例えば次の様な方法があった。 被転写基材に、目止め処理やベースコート等を必要に
応じ適宜施した後、転写シートを用いて、印刷形成した
印刷絵柄層を転写後、更にその上に、紫外線硬化性樹脂
塗料をスプレー塗装等で塗装後、紫外線を照射して架橋
硬化させ、表面層として電離放射線硬化性樹脂層を形成
する方法(特開昭59−213682号公報等に記
載)。 或いは、先ず、被転写基材に印刷絵柄層を一度転写し
た後、更に特公平5−49480号公報に記載の様な支
持体シート上の転写層として常温固体で未硬化状態の電
離放射線硬化性樹脂層を有する転写シートを用い、熱圧
を与えて電離放射線硬化性樹脂層の熱融着で該層を転写
した後、電離放射線を照射して電離放射線硬化性樹脂層
を架橋硬化させる方法。 或いは、特公平5−57120号公報に記載の如く、
支持体シート上の転写層として、常温固体で未硬化状態
の電離放射線硬化性樹脂層、印刷絵柄層、熱可塑性樹脂
からなる接着剤層を有する転写シートから、基材に該転
写層を熱圧による熱融着で転写した後、電離放射線を照
射して電離放射線硬化性樹脂層を架橋硬化させる方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の如く電離放射線硬化性樹脂層を、スプレー塗装等の塗
装で形成する方法では、塗装時に入り込む塵や異物等に
よる塗装欠点が発生し易い。また、塗装法では、表面の
平滑性も悪く、鏡面性等の意匠表現が要求される用途に
は向かなかった。また、上記の電離放射線硬化性樹脂
層を別途転写形成する方法では、上記の塗装法の問題
である塵や異物等による欠点は低減する。しかし、電離
放射線硬化性樹脂層の転写を、該層を接着剤層としても
使用して、熱圧による熱融着で転写シートを積層する為
に、表面は完全な平面にはならず、平滑性が悪い。しか
も、印刷絵柄層と電離放射線硬化性樹脂層とを、それぞ
れ別々に転写するので、印刷絵柄層と電離放射線硬化性
樹脂層との密着が悪い。また、転写に2工程が必要で、
作業効率も悪い。また、上記の印刷絵柄層と電離放射
線硬化性樹脂層とを同時に転写した後、電離放射線硬化
性樹脂層を硬化させる方法では、転写は1工程で済み、
また転写層中の電離放射線硬化性樹脂層と印刷絵柄層と
の密着は良くなるが、転写層を被転写基材に密着させる
接着剤が熱可塑性樹脂で、その熱融着で接着させる為
に、転写層の被転写基材に対する密着性に耐熱性が無
い。
【0004】そこで、本発明の課題は、表面保護層等と
なり得る電離放射線硬化性樹脂層を平滑性良く、且つ印
刷等による絵柄層との密着も優れ、表面保護層と転写層
とが1工程で転写出来、しかも、これら転写層の被転写
基材に対する密着性の耐熱性も優れた化粧材を製造する
事である。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の化粧板の製造方法では、離型性を有す
る支持体シート上に、転写層として、常温固体状で未硬
化の透明な電離放射線硬化性樹脂層、及び絵柄層をこの
順に有する転写シートを、未硬化の電離放射線硬化性樹
脂からなる常温液状の接着剤を液状状態で間に介して、
被転写基材に積層した後、電離放射線を照射して、前記
電離放射線硬化性樹脂層及び接着剤を一体として硬化さ
せ、而る後、支持体シートのみ剥離除去して、化粧材を
得る様にした。この結果、接着剤を液状の状態で使用し
て転写シートを積層し、且つ積層後に接着剤と電離放射
線硬化性樹脂層とを硬化させる為に、耐擦傷性等の表面
物性に優れ、且つ電離放射線硬化性樹脂層、絵柄層及び
接着剤の三者の密着及び被転写基材への密着の耐熱性も
良い、高物性の化粧材が得られる。しかも、電離放射線
硬化性樹脂層は、その転写時に可塑化する程に加熱する
必要が無いので、表面平滑性も非常に優れた化粧材とな
る。従って、浴室壁面、キッチンパネル等に適する化粧
板等が得られる。
【0006】また、本発明は、上記製造方法において、
転写シートを被転写基材に積層する為の転写圧として、
ローラ圧を用いる様にした。この結果、被転写面が平面
の平板状の被転写基材では通常の所謂ローラ転写法によ
って平易に化粧材を製造でき、また、柱状の被転写基材
では複数のローラを用いる所謂ラッピング転写法によっ
て、比較的平易に化粧材を製造できる。
【0007】また、本発明は、上記製造方法において、
転写シートを被転写基材に積層する為の転写圧として、
被転写基材側に転写層を対向させた転写シートの支持体
シート側へ、固体粒子を衝突させた時の衝突圧を用いる
様にした。この結果、被転写面が凹凸形状の被転写基材
の場合でも、その凹凸形状に追従して、電離放射線硬化
性樹脂層及び絵柄層を転写形成できる。しかも、本発明
では接着剤を液状で使用するが、ローラ圧では被転写面
の凸部は凹部に比べ必然的に大きな圧が加わるが、固体
粒子衝突圧では、あたかも重い液体を転写シート上に乗
せた様に振る舞うので、凸部及び凹部共に比較的均一な
圧を加えられるので、接着剤の厚みが凸部で薄くなり過
ぎて、被転写基材に対する絵柄層等の密着が不十分とな
る事を防げる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の化粧材の製造方法について、実施の形態を説明する。
【0009】〔概要〕先ず、図1は本発明の化粧材の製
造方法の代表的な1態様を説明する概念図である。先
ず、図1(A)の如く、用いる転写シートSは、離型性
を有する支持体シート1上の転写層2として、常温固体
状で未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂層3、及び絵
柄層4をこの順に有する。そして、図1(B)の如く、
未硬化の電離放射線硬化性樹脂からなる常温液状の接着
剤5を液状状態で間に介して、転写シートSを被転写基
材Bに積層(ラミネ−ト)する。なお、接着剤5は、転
写シートを被転写基材に積層する前に、転写シートや被
転写基材に施しておく。この場合、接着剤は被転写基材
B側のみ、或いは転写シートS側のみ、或いは、被転写
基材B及び転写シートSの両方に、施す。そして、図1
(C)の如く、紫外線や電子線等の電離放射線Rを照射
して、電離放射線硬化性樹脂層3及び接着剤5を硬化さ
せる。この後、図1(D)の如く、支持体シート1のみ
を剥離除去すれば、化粧材Dが得られる。
【0010】ちなみに、図1(D)の化粧材は、下から
順に被転写基材B、硬化した接着剤(層)5、絵柄層
4、硬化した透明な電離放射線硬化性樹脂層3からなる
構成である。絵柄層4及び電離放射線硬化性樹脂層3
が、転写された転写層2である。なお、接着剤5が転写
シート側のみに施され、転写シート側から供給された場
合には、この接着剤5も転写された転写層の一部と見な
す事もできる。
【0011】この様に本発明の化粧材の製造方法では、
転写シートを被転写基材に接着し積層するには、接着剤
5は液状の状態で使用するので、転写層を加熱して熱融
着させる必要はない。従って、電離放射線硬化性樹脂層
は加熱を避ける事が出来、転写後もその表面の平滑性が
優れたものとなる。また、接着剤が液状であり、なお且
つ電離放射線硬化性樹脂層と同じく接着剤も電離放射線
硬化性樹脂である為に、積層時の圧で、接着剤(層)が
絵柄層を浸透して、膨潤、溶解、浸透等によって、電離
放射線硬化性樹脂層まで達して互いに一部相溶状態とな
り、これら3層を一体化させて硬化させる事が出来、3
層間の密着性が良好となる。従って、電離放射線硬化性
樹脂層及び絵柄層を密着良く被転写基材上に形成できる
事になる。
【0012】なお、支持体シート剥離除去時に、電離放
射線硬化性樹脂層や接着剤の硬化が完結している事は必
ずしも必要は無い。少なくとも、支持体シートを剥離除
去する時に、電離放射線硬化性樹脂層及び絵柄層が支持
体シートと共に被転写基材から剥がれ無い程度の接着力
が得られる硬化度合いとなっていれば良い。本発明では
接着剤が液状で有る為に、接着剤の硬化を或る程度進め
た後でないと、支持体シート剥離時に転写層も剥離除去
され易いからである。また、電離放射線による硬化は、
必ずしも架橋硬化反応でなくとも良いが、より十分な表
面硬度等の表面物性を得るには、架橋硬化が好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂層と接着剤とは、通常は両
方とも同じ硬化様式(つまり、紫外線とか電子線など)
として同じ電離放射線照射装置によって同時に硬化させ
るのが装置的、工程的にも簡潔となり好ましいが、異な
っていても良い。また、接着剤の上の絵柄層の着色剤等
によって、電離放射線が接着剤まで到達しにくい場合に
は、電離放射線としては、紫外線よりも透過性の良い電
子線を用いる方が良い。また、転写シートを被転写基材
に押圧して積層する為の転写圧の加圧手段は任意である
が、被転写基材の外形形状や表面凹凸形状に応じて、ロ
ーラ圧や、固体粒子衝突圧を用いると良い。ローラ圧は
平易な転写法として好ましく、固体粒子衝突圧は凹凸表
面にも転写できる点で好ましい。
【0013】以下、さらに本発明の化粧材の製造方法に
ついて詳述する。
【0014】〔被転写基材〕先ず、被転写基材の被転写
面は、接着剤に液状の物を用いる事から、接着剤を被転
写基材側に施した場合に、接着剤が自重で流れ無い様な
平面が基本である。しかし、接着剤を転写シート側に施
す場合や、或いは被転写基材側に施す場合でも、接着剤
の粘度やチキソトロピック性を調整し、作業中に自重で
凸部から凹部に流れて、凸部で接着剤の厚みが極度に薄
くならない様にすれば、被転写基材の被転写面は凹凸表
面でも良い。被転写基材の全体形状は、被転写面が平面
及び凹凸表面の場合共に、先ず、板状がある。また柱状
等でも良い。なお、柱状等でも、積層時のローラ圧の印
加形態として、複数のローラを用いて柱状体の複数の側
面に順次段階的にローラ圧を加えて積層して行く所謂ラ
ッピング転写法によれば転写できる。また、固体粒子衝
突圧による積層では、これら全ての場合、或いは曲面
板、柱状体、立体物の場合等に対しても適用できる。凹
凸表面の場合、その表面凹凸形状は任意だが、例えば、
複数のタイルや煉瓦を平面に配置した場合の目地、花崗
岩の劈開面、砂目等の石材表面の凹凸、木材羽目板、浮
造木目等の木材板表面凹凸、簓の無い下見張板の表面凹
凸、リシン調、スタッコ調等の吹付塗装面の凹凸等であ
る。
【0015】被転写基材の材質には特に限定は無い。例
えば、無機系、金属系、木質系、プラスチック系等の基
材を使用できる。具体的には、ケイ酸カルシウム、押し
出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コン
クリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パ
ルプセメント等の非陶磁器窯業系材料、杉、檜、樫、ラ
ワン、チーク等各種樹種の木材単板や木材合板、パーテ
ィクルボード、集成材、木質中密度繊維板(MDF)等
の木質材料、また、鉄、アルミニウム、銅等の金属材
料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミ
ックス等の無機質材料、ポリプロピレン、ABS樹脂、
フェノール樹脂等の樹脂材料等である。
【0016】(下塗り層)なお、被転写基材には下地処
理として、下塗り層を基材表面上に設けておいても良
い。下塗り層は、基材内部からのアルカリ分や水分等の
流出成分の滲み出しの遮断、基材表面の目止め、基材の
伸縮又は外力による応力の吸収・緩和、或いは接着剤と
の接着補助、下地(基材)色の調整等が必要な場合に、
これら1以上を目的とする為の下地処理層である。下塗
り層は用途により1層又は多層で用いる。下塗り層に用
いる樹脂塗料は、目的により従来公知のものの中から適
宜選択すれば良い。例えば、アクリルウレタン樹脂、ア
クリル樹脂、エポキシ樹脂等からなる樹脂塗料から適宜
選択する。また、下地色調整の場合は、下塗り層中にチ
タン白等の隠蔽性の高い顔料を添加する。なお、下塗り
層の形成方法としては、カーテンフローコート、スプレ
ーコート、軟質ゴムロールやスポンジロール等のロール
を使用したロールコート等の各種塗工方法から、基材表
面形状等により適宜選択する。
【0017】〔転写シート〕転写シートSには、図1
(A)で示した如く、離型性を有する支持体シート1と
転写移行する転写層2とからなり、転写層2に、支持体
シート側の常温固体状で未硬化の透明な電離放射線硬化
性樹脂層3と、絵柄層4とを有する物を用いる。
【0018】(支持体シート)支持体シート1として、
転写層と離型性が有れば特に限定はない。なお、被転写
基材がガラス等で電離放射線に対して透過性の場合に
は、被転写基材側から電離放射線を照射する事もでき
る。しかし、通常もそうであるが、被転写基材がセメン
ト板等と電離放射線に対して不透過性の場合は、電離放
射線は支持体シートを通して電離放射線硬化性樹脂層や
接着剤に対して照射する事になる。従って、この様な場
合には当然の事ながら、支持体シートとしては、電離放
射線に対する透過性を有するシートとする。例えば電離
放射線が紫外線や電子線の場合には樹脂シート等であ
り、更に電子線の場合には紙を使用したもの等も良い。
また、支持体シートは、被転写基材の被転写面が平面或
いは二次元的凹凸表面であれば、積層時に伸び無いもの
でも可能である。但し、該被転写面が凹凸表面の場合
は、少なくとも積層時に伸びる、凹凸への形状追従性を
有するものを用いれば良い。この様な支持体シートは、
従来公知のもので良い。伸びる支持体シートとしては、
例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペ
ンテン、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、
オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン
系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン系熱可塑性エラスト
マー等のエラストマー等の樹脂からなる、好ましくは低
延伸又は無延伸の樹脂フィルム(シート)を用いる。ま
た、支持体シートはこれらの単層又は異種材料からなる
積層体でも良い。もちろん、これら支持体シートは被転
写面が平面で伸ばされない場合でも使用できる。なお、
支持体シートの厚みは、通常は20〜200μm程度で
ある。
【0019】なお、支持体シートには必要に応じ、転写
層側に転写層との離型性を向上させる為、支持体シート
の構成要素として離型層を設けても良い。この離型層は
支持体シートを剥離時に、支持体シートの一部として転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ワックス等の単体又は
これらを含む混合物が用いられる。また、離型性の調整
の為に、支持体シートの転写層側の面にコロナ放電処
理、オゾン処理等を行っても良い。
【0020】また、支持体シートには、転写層側の面に
凹凸模様を設ければ、転写後の転写層(電離放射線硬化
性樹脂層)表面に砂目、梨地、木目等の凹凸模様を賦形
できる。凹凸模様は、エンボス加工、サンドブラスト加
工、賦形層(離型層)による盛り上げ印刷加工等の公知
の方法で形成する。
【0021】(電離放射線硬化性樹脂層)転写シートS
上に於ける場合の電離放射線硬化性樹脂層3は、透明な
電離放射線硬化性樹脂の未硬化物から成り、常温では固
体状を呈する透明な層である。そして、転写シートを被
転写基材に積層し、電離放射線を照射後は、硬化した層
となる。そして、絵柄層上に位置して表面層となり、表
面硬度、耐擦傷性等の表面物性や、塗装感等を付与する
層となる。
【0022】なお、上記「常温」とは、転写シートを製
造、保存し、またその支持体シートの剥離作業を行う室
内(或いは室外)の雰囲気温度を意味する。具体的値
は、気候や作業環境によって異るが、通常は10〜40
℃の範囲である。又、室温は支持体シートの剥離を行う
最低の温度でもある。また、上記「固体状」とは、非粘
着性はもちろんだが、粘着性が有っても良い。なお、粘
着性を有する場合、絵柄層は転写印刷等すれば電離放射
線硬化性樹脂層上に形成できる。また、上記「未硬化」
とは、完全未硬化及び一部硬化を含む完全硬化前の状態
である。但し、硬化の進み過ぎは、絵柄層や接着剤との
密着性向上効果が低下するので避ける。また、電離放射
線硬化性樹脂層を未硬化状態にすることによって、凹凸
表面の被転写面に対しても、転写層の凹凸追従性を確保
できる。なお、透明とは無色透明の他に着色透明でも良
い。要は、その層の通して下の絵柄層が透視できれば良
い。また、電離放射線としては、分子を架橋、重合させ
得るエルネギーを有するものであれば、特に制限は無い
が、通常は、紫外線又は電子線が用いられる。
【0023】上記、未硬化状態では常温固体状の電離放
射線硬化性樹脂としては、例えば、次の(I)や(I
I)の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。
【0024】(I)ラジカル重合性不飽和基を有する、
熱可塑性の次の(1) 又は(2) の2種類の樹脂。 (1) ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジ
カル重合性不飽和基を有するもの。更に具体的には以下
の〜を重合、もしくは共重合させたものに対し、後
述する方法(a) 〜(d) によりラジカル重合性不飽和基を
導入したものを用いることができる。なお、以下におい
て、例えば(メタ)アクリレートとはアクリレート又は
メタクリレートの意味で用いる。 水酸基を有するモノマー;N−メチロール(メタ)ア
クリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート
など。 カルボキシル基を有するモノマー;(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネー
トなど。 エポキシ基を有するモノマー;グリシジル(メタ)ア
クリレートなど。 アジリジニル基を有するモノマー;2−アジリジニル
エチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピ
オン酸アリルなど。 アミノ基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミ
ド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレートなど。 スルフォン基を有するモノマー;2−(メタ)アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸など。 イソシアネート基を有するモノマー;2,4−トルエ
ンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートの1モル対1モルの付加物などのジイソシア
ネートと活性水素を有するラジカル重合性モノマーとの
付加物など。 上記〜のモノマーと共重合可能で上記〜以外
のモノマー;このモノマーは得られる共重合体のガラス
転移温度や物性を調節する共重合成分として使用する。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレートなど。
【0025】次に、上述のようにして得られた重合体又
は共重合体を、以下に述べる方法(a) 〜(d) により反応
させてラジカル重合性不飽和基を導入する。 (a) 水酸基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場
合には、前述したの(メタ)アクリル酸などのカルボ
キシル基を有するモノマーなどを縮合反応させる。 (b) カルボキシル基、スルフォン基を有するモノマーの
重合体又は共重合体の場合には、前述の水酸基を有す
るモノマーを縮合反応させる。 (c) エポキシ基、イソシアネート基、或いはアジリジニ
ル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合に
は、前述の水酸基を有するモノマーもしくは前述の
カルボキシル基を有するモノマーを付加反応させる。 (d) 水酸基あるいはカルボキシル基を有するモノマーの
重合体又は共重合体の場合には、前述のエポキシ基を
有するモノマーあるいは前述のアジリジニルを有する
モノマーあるいは前述のジイソシアネート化合物と水
酸基含有アクリル酸エステルモノマーとの1モル対1モ
ルの付加物等のイソシアネート基を有するモノマーを、
付加反応させる。 なお、上記反応を行うには、微量のハイドロキノンなど
の重合禁止剤を加え、乾燥空気を送りながら行うことが
望ましい。
【0026】(2) 融点が20℃〜250℃であり、ラジ
カル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、トリ
アジン(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、トリアクリルイソシアヌレート、シクロヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、スピログリコー
ルジアクリレート、スピログリコール(メタ)アクリレ
ートなどである。
【0027】また、上記(1) 及び(2) を混合して用いる
こともできる。更に、上記(1) 又は(2) 、又は(1) 及び
(2) の混合物に対して、反応性希釈剤としてラジカル重
合性モノマーを加えることもできる。このラジカル重合
性モノマーは、電離放射線照射による架橋密度を上げて
耐熱性を向上させる。該モノマーとしては、例えば、前
述の〜のモノマーの他に、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)ア
クリレート、ポレエチレングリコールジグリシジルエー
テルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アク
リレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテト
ラ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。配
合量は、前記(1) 又は(2) の単独又は混合物の樹脂10
0重量部に対して、0.1〜100重量部で用いること
が好ましい。また、後述(ロ) の非架橋型樹脂を加えるこ
ともできる。
【0028】(II)常温で液状(流動状態)の電離放
射線硬化性樹脂に、常温で熱可塑性固体である非架橋型
樹脂を混合して得られる電離放射線硬化性樹脂。 (イ) 常温で液状の電離放射線硬化性樹脂;分子中にラジ
カル重合性不飽和基を有するプレポリマー又はモノマー
の、単体又は混合物からなる組成物である。或いはカチ
オン重合性官能基を有するプレポリマーやモノマーから
なる組成物である。ラジカル重合性不飽和基を有するプ
レポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メ
タ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなど
である。ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例
としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがある。ま
た、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサ
イドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。カチオン重
合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物
等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族
系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリ
マーがある。
【0029】(ロ) 非架橋型樹脂は、電離放射線による架
橋硬化反応に寄与しない常温固体の熱可塑性樹脂であ
り、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、或いは、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂等のビニル系樹
脂である。例えば、アクリル系樹脂は、そのモノマーと
して、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−
n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソ
ブチル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)ア
クリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アク
リル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸−2−ク
ロルエチル、(メタ)アクリル酸−3−クロルプロピル
等の(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキル、(メタ)
アクルル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル
酸−2−ヒドロキシプロピル等の水酸基を持つ(メタ)
アクリル酸エステル、α−クロル(メタ)アクリル酸メ
チル、α−クロル(メタ)アクリル酸エチルなどのハロ
ゲン化(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクルル
酸−1−クロル−2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を
持つα−アルキル(メタ)アクリル酸エステル、及び
(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系
モノマーが用いられ、該アクリル系樹脂は、これらモノ
マーの1種又は2種以上からなる単独重合体又は共重合
体である。
【0030】また、これらのアクリル系樹脂は、平均分
子量が50,000〜600,000、ガラス転移温度
が50〜130℃のものを用いることが好ましい。平均
分子量及びガラス転移温度が、共にこれら数値範囲にあ
ると、常温で液状の電離放射線硬化性樹脂の常温での流
動性を消失させる効果、及び転写シートに於ける電離放
射線硬化性樹脂層の可撓性を兼ね備えることが出来、好
適である。
【0031】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記(I)又は(II)の電離放射線硬化性
樹脂に、さらに光重合開始剤を添加する。ラジカル重合
性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤とし
て、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサン
トン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単
独又は混合して用いることができる。また、カチオン重
合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤とし
て、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳
香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインス
ルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いること
ができる。なお、これらの光重合開始剤の添加量として
は、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、0.
1〜10重量部程度である。
【0032】また、上記電離放射線硬化性樹脂に更に、
必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。例
えば艶調整剤、或いは減摩剤等として、シリカ、カオリ
ン、アルミナ(不定型又は球状α−アルミナ等)、炭酸
カルシウム、クレー、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料
を添加したり、或いは、ワックス、シリコーン樹脂、フ
ッ素樹脂等の滑剤、或いは、着色顔料(或いは染料)を
添加して透明着色層としたり、或いはパール顔料やアル
ミニウムフレーク等の光輝性顔料を添加して透明で光輝
性の着色層として良い。
【0033】上記樹脂による電離放射線硬化性樹脂層
を、支持体シート上に形成するには、ロールコート、グ
ラビアコート等の従来公知の塗工法によれば良い。な
お、希釈溶剤を添加せずに加熱熔融させて塗工する場合
は、溶剤乾燥は不要である。電離放射線硬化性樹脂層の
厚みは、通常1〜100μm程度である。
【0034】なお、上記電離放射線硬化性樹脂層を硬化
させる電離放射線源としては、特に制限は無いが、例え
ば紫外線の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水
銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハラ
イドランプ等の光源が使用される。また、電子線の場合
は、例えばコッククロフトワルトン型、バンデグラフト
型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器
を用い、100〜1000keV、好ましくは、100
〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するもの
が使用される。
【0035】(絵柄層)絵柄層はグラビア印刷、シルク
スクリーン印刷、オフセット印刷、電子写真複写、手描
等の従来公知の印刷等による形成方法及び材料で絵柄を
形成した層である。絵柄は用途に合わせて、例えば木目
模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模
様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を用い
る。絵柄層形成用のインキは、一般的なインキ同様に、
バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色
剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。バインダー
に用いる樹脂は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系
樹脂、ポリウレタン樹脂等の単体又はこれらを含む混合
物を用いる。着色剤としては、チタン白、カーボンブラ
ック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラッ
ク、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニン
ブルー等の有機顔料、二酸化チタン被覆雲母の箔粉等の
光輝性顔料、或いは、その他染料等を用いる。
【0036】また、添加剤としては体質顔料等がある。
体質顔料としては、例えば、シリカ、カオリン、アルミ
ナ、炭酸カルシウム、クレー、沈降性硫酸バリウム等を
用いる。体質顔料は、粒径1〜10μm程度の粒子を用
いる。体質顔料はインキの印刷適性を調整する為等に使
用されるが、特に本発明では、体質顔料は、絵柄層への
接着剤の侵入(膨潤、一部溶解、浸透等による)によっ
て、絵柄層と接着剤層、更には電離放射線硬化性樹脂層
との接着(密着)が向上すると言う効果が得られる点
で、その添加が好ましい。添加量は、上記効果の点で
は、バインダーとなる樹脂分100重量部に対して通常
50〜200重量部の範囲が良い。この範囲よりも少な
いと上記効果が十分に得られず、またこの範囲を超える
と、インキの印刷適性が悪化する。
【0037】また、上記インキのバインダーの樹脂とし
ては、上記した様な樹脂に前述した電離放射線硬化性樹
脂層を構成する電離放射線硬化性樹脂を併用したり、或
いは該電離放射線硬化性樹脂単独で使用しても良い。こ
の場合、電離放射線硬化性樹脂は未硬化状態で印刷す
る。そして、電離放射線硬化性樹脂層や接着剤を硬化さ
せる為の電離放射線照射時に、絵柄層も同時に硬化させ
る。この様にすれば、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄層
及び接着剤の三者をより強固に密着させる事ができる。
【0038】なお、絵柄層印刷時に、電離放射線硬化性
樹脂層面が粘着性を有する場合には、絵柄層は転写印刷
で形成すれば良い。すなわち、本発明で使用する転写シ
ートとは別の転写シートとして、支持体シート上に転写
層として絵柄層を印刷等で形成した絵柄転写シートを用
意しておき、この絵柄転写シートから、電離放射線硬化
性樹脂層に絵柄層を転写する。その際、電離放射線硬化
性樹脂層の粘着性を活かして、該電離放射線硬化性樹脂
層は、絵柄層を電離放射線硬化性樹脂層に接着させる接
着剤層として利用できる。なお、絵柄転写シートの支持
体シートとしては、前述した支持体シートで列記した物
を適宜選択すれば良いが、電離放射線透過性は考慮する
必要が無い。この支持体シートは、絵柄転写シートを電
離放射線硬化性樹脂層上に積層したら直ぐに剥離除去し
ても良いが、転写シート使用時まで積層状態としてお
き、転写シート使用時に剥離除去しても良い。
【0039】〔接着剤〕接着剤としては、未硬化の電離
放射線硬化性樹脂からなる常温液状の接着剤を液状状態
で用いる。この接着剤は、転写シート側に接着剤層とし
て設けても良いし、被転写基材側に接着剤層として設け
ても良いし、これら両方に接着剤層として設けても良
い。なお、上記「常温」、「未硬化」、「電離放射線」
とは前述した電離放射線硬化性樹脂層について述べた意
味と同じである。また、上記「液状」とは、接着剤が自
重で流れ得る流動状態の他に、転写シートや被転写基材
に施された接着剤が、自重では流れない非流動状態だ
が、積層時の圧等の外力が加わると流動する流動状態と
なるチキソトロピック性を有する状態も含む。また、接
着剤の液状状態は、使用する電離放射線硬化性樹脂とし
て、該樹脂自体が未硬化状態で常温液状の樹脂を使用す
る事で実現するのが好ましい。常温固体状の電離放射線
硬化性樹脂を溶剤に溶解して液状状態とする事も可能で
はあるが、硬化開始時は支持体シート剥離前の為、被転
写基材がセメトン系等と多孔質で溶剤を吸収できる場合
に限定されるからである。なお、上記電離放射線硬化性
樹脂を溶剤に溶解した溶液で使用する場合は、塗布後、
溶剤を蒸発させるか被転写基材等に吸収させて溶剤を接
着剤中から揮散させる事になるで、所謂ウェットラミネ
ーションによる転写シートの被転写基材への積層とな
る。
【0040】上記未硬化状態で常温液状の電離放射線硬
化性樹脂としては、分子中にラジカル重合性不飽和結
合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー
(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適
宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好まし
くは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単
体又は複数種を混合して用いる。
【0041】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート等が使用できる。分子量としては、通常250
〜100,000程度のものが用いられる。
【0042】ラジカル重合性不飽和基を有するモノマー
の例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサ
イドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート等もある。カチオン重合
性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等
のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系
ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマ
ーがある。チオールとしては、トリメチロールプロパン
トリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチ
オグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエ
ンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウ
レタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等があ
る。
【0043】また、上記電離放射線硬化性樹脂には、更
に必要に応じ、各種添加剤を添加する。これらの添加剤
としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の
熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリ
カ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、
染料や顔料等の着色剤等である。
【0044】なお、紫外線にて硬化させる場合には、前
記電離放射線硬化性樹脂層で述べた様に、光重合開始剤
を添加する。また、電離放射線源も前記電離放射線硬化
性樹脂層で述べた様な線源を用いる。通常は、電離放射
線硬化性樹脂層と同時に同じ線源で硬化させる。
【0045】そして、接着剤を転写シートや被転写基材
に施す方法は特に制限は無く、従来公知の方法で良い。
例えば、ロールコート、グラビアコート等の従来公知の
塗工法、或いはグラビア印刷等の印刷法等によれば良
い。また、特に被転写基材の場合は、スプレーコート、
フローコート等の塗工法でも良い。また、もちろんであ
るが、転写シートや被転写基材に施された接着剤は液状
であるので、取扱上、接着剤は転写シートを被転写基材
に積層するときに施せば良い。接着剤を施して得られる
接着剤層の厚みは、通常は10〜200μm程度であ
る。
【0046】〔転写法〕本発明の化粧材の製造方法に
て、転写シートから転写層を被転写基材に転写する転写
法は特に限定さず、従来公知の各種転写法の中から、被
転写基材やその被転写面形状に合わせて、適宜方法を選
択すれば良い。例えば下記のローラ圧を転写圧に用い
る転写法は代表的である。また、下記の新規な転写法
である固体粒子衝突圧を転写圧に用いる転写法では、凹
凸表面へも転写できる。
【0047】ローラ圧による転写法。この転写法に
は、下記−(1) の弾性体ローラを用いる所謂ローラ転
写法が一般的であり且つ代表的であるが、下記−(2)
の複数のローラで順次転写して行く所謂ラッピング転写
法も、ローラ圧による転写法の一種と言える。
【0048】−(1) ローラ転写法は、特公昭60−5
9876号公報、特開平5−270199号公報、特開
平5−139097号公報に記載されるように、転写シ
ートを、転写層を被転写基材側に向けて、支持体シート
側から転写ローラとなる弾性体ローラとしてゴムローラ
で加圧し、転写層が被転写基材に圧着後、支持体シート
を剥離する転写法である。
【0049】−(2) ラッピング転写法は、特開平5−
330013号公報等に記載されるように、円柱、多角
柱等の柱状の被転写基材の長軸方向に、転写シートを必
要に応じ適宜接着剤層を被転写基材との間に介して供給
しつつ、複数の向きの異なるローラにより、柱状の被転
写基材を構成する複数の側面に順次転写シートを加圧接
着して転写層を転写して行く。ローラには通常−(1)
同様に弾性体ローラを用いる。
【0050】固体粒子衝突圧を転写圧に用いる転写法
は、特開平9−315095号公報に開示された様に、
転写圧の押圧手段自体が新規な転写法である。この転写
法は、平面はもちろん、ローラ圧では不適切な表面凹凸
にも転写できる転写法として好ましい。しかも、特開平
10−95200号公報に開示された様に、上記−
(2) のラッピング転写法のローラ圧に代えて、固体粒子
衝突圧を利用して柱状の被転写基材に転写する事も可能
である。
【0051】ここでは、上記の中で、−(1) のローラ
転写法と、の固体粒子衝突圧を用いる転写法を更に説
明する。
【0052】(ローラ転写法)所謂ローラ転写法では、
図2の概念図で示す如く、被転写基材Bに対して、支持
体シートと転写層とからなる転写シートSを、転写層側
を被転写基材側に向けて、支持体シート側から転写ロー
ラとして弾性体ローラRを用いて押圧して転写圧を加え
て、転写層が被転写基材に接着後、支持体シートを剥離
することで、転写層を被転写基材に転写する方法であ
る。ローラ転写法は、被転写面が平坦或いはその表面凹
凸が比較的小さい被転写基材に対して適用できる。弾性
体ローラRとしては、通常、鉄等の剛体の回転軸芯R1
の表面周囲を軟質の弾性体R2で被覆したローラを用い
る。弾性体R2としては、シリコーンゴム、ネオプレン
ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジ
エンゴム、天然ゴム等のゴムを用いる。特に、耐熱性、
耐久性、弾性等の点からシリコーンゴムが好ましい。ま
た特に、被転写基材の転写すべき被転写面の凹凸形状が
大きい場合は、弾性体として、JIS規格のゴム硬度が
60°以下のものを使用することが、転写シートを凹凸
面に追従成形させる為に好ましい。弾性体ローラの直径
は、通常5〜20cm程度である。また、本発明では基
本的には転写シートの加熱は不要であるが、被転写面が
凹凸表面の場合で、転写シートの凹凸追従性を向上させ
る為に転写シートを加熱して軟化させる時は、弾性体ロ
ーラは内部の電熱ヒータや外部の赤外線輻射ヒータ等の
加熱源により加熱して加熱ローラとしても使用できる。
また、特に被転写基材が平滑平坦な表面を有する場合に
は、転写用のローラとして鉄等の剛体ローラを用いても
良い。
【0053】(固体粒子衝突圧を利用した転写法)この
転写法は、図3の概念図で示す如く、被転写基材Bの被
転写面側に、転写シートSの転写層側を対向させ、該転
写シートの支持体シート側に多数の固体粒子Pを衝突さ
せ、その衝突圧を利用して、被転写基材の被転写面への
転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着
後、転写シートの支持体シートを剥離除去することで、
転写層を被転写基材に転写する転写法である。なお、固
体粒子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを
表す。
【0054】固体粒子としては、ガラスビーズ等の無機
粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴ
ムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の
無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使
用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状
でも用い得る。粒径は通常10〜1000μm程度であ
る。固体粒子は噴出器から転写シートに向かって噴出さ
せ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧となる。
噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。
羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズル
は高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹出ノ
ズルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、シ
ョットピーニング等とブラスト分野にて使用されている
ものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装
置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェ
ットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根
車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラス
ト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子を、空気
と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高
速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に
噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と
混合して噴出する。
【0055】図4及び図5は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。更に、この中空部815内に方向制御器816を内
在する(図5参照)。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図5参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。羽根車81
2の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5
〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転数は500〜5000〔rpm〕程度
である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程
度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒
子の総重量)は10〜150〔kg/m2 〕程度であ
る。
【0056】次に、図6は吹出ノズルを用いた噴出器の
一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒
子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時
に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の
一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混
合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部
ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び
流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等
からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出
し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部84
3から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高
速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により
固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加
速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から
流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速
流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。流体圧は吹付
圧力で通常0.1〜10kg/cm2 程度である。流体
流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流で
は通常5〜80m/秒程度である。
【0057】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。例えば、
転写シート及び被転写基材の送り方向に直交して幅方向
に全幅を加圧領域とするには、幅方向に一直線状に複数
個を配置して、幅方向に直線状で幅広の帯状形状の加圧
領域とする。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴
出器は、例えば転写シート及び被転写基材の送り方向に
向かって2列以上配置する多段配置とする。複数個を配
列時は、個々の噴出器の隣接する加圧領域を互いに一部
重複させることが好ましい。なお、固体粒子の衝突圧
は、例えば転写シート送り方向に直交する幅方向の中央
部が最大で、幅方向両端部に近い程低下する山型圧力分
布等と、不均一に設定することもできる。この設定は、
中央部から両端部に向かって順次段階的に圧着を進行さ
せ、内部に空気を抱き込むことを防ぐ。もちろん、衝突
圧は転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シートの歪
み、被転写基材の変形、破損等の生じない圧以下の適正
圧力範囲内とする。
【0058】また、複数の噴出器を用いる場合、被転写
基材の被転写面の包絡面(の搬送方向に直交する断面形
状)が例えば円型になる円筒状の凸曲面であれば、各噴
出器が主とし受け持つ個別の衝突面に対して、略垂直に
固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを、近接する被
転写基材の包絡面法線方向をカバーする様に複数配置す
ることもできる。
【0059】また、実際に固体粒子を用いて転写する際
は、固体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環
再利用するのが好ましい。そこで、転写する空間を周囲
空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を転写シートに
衝突させて転写圧を加える等すると良い。支持体シート
の剥離は、チャンバ外でも良い。支持体シートの剥離
は、転写層が被転写基材に密着し、支持体シートが破れ
たりせずに剥離可能な状態になれば、固体粒子衝突圧の
解除直後でも良いし、間を置いてからでも良いからであ
る。
【0060】また、被転写基材の被転写面が凹凸表面の
場合で、転写シートをその表面凹凸に追従させる為に
は、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支持体シートから
なる転写シートは、赤外線輻射ヒータ等で加熱軟化さ
せ、被転写基材も熱容量の大きい場合は予め予熱した状
態で固体粒子を転写シートに衝突させる様にする。ま
た、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒
子加速用の流体を加熱流体として用いても良い。また、
上記の場合、凹凸表面の凹部内部まで追従成形された転
写シートが衝突圧開放後に復元力がある場合に戻るのも
防止する為に、冷風等の冷却手段で転写シートや被転写
基材の冷却を促進しても良い。冷風は、転写シート側や
被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手段として、
冷却固体粒子、冷却流体も用いることもできる。
【0061】〔化粧材の用途〕化粧材は各種用途に用い
られ得る。例えば、サイディング等の外壁、塀、屋根、
門扉、破風板等の外装、壁面、天井、床等の建築物の内
装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化
粧、箪笥等の家具やテレビ受像機等の弱電・OA機器の
キャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機、船舶
等の乗物内装材等の各種分野で用いられ得る。なお、化
粧材の形状は、平板以外にも、曲面板、柱状体、立体物
等でも良い。なかでも、本発明で得られる化粧材は、耐
擦傷性等の表面物性に優れるので、浴室壁面、キッチン
パネル等に使用する化粧板等は好適である。
【0062】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0063】〔実施例1〕先ず、図7の如き、絵柄転写
シートSaを用意した。この絵柄転写シートSaは、支
持体シート1aとして、厚み25μmの二軸延伸ポリプ
ロピレンフィルムの未処理面に、ウレタン樹脂系インキ
で抽象柄の絵柄(インキ)層4をグラビア印刷で形成し
たシートである。
【0064】次に、図8に示す如き方法で、電離放射線
硬化性樹脂層3の塗工形成と、上記絵柄転写シートによ
る絵柄層の転写印刷とをインラインで同時に行って、図
9の如き転写シートSbを用意した。すなわち、支持体
シート1として厚さ25μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルムの未処理の片面に、ロールコータ11で、
下記組成の熱可塑性樹脂と反応性モノマーとの混合系タ
イプの固形分75重量%の電離放射線硬化性樹脂溶液3
aを塗布し、乾燥装置12で溶剤を乾燥させ、厚み30
μmの常温固体状で未硬化の透明な電離放射線硬化性樹
脂層3を、支持体シート1上に形成した。
【0065】電離放射線硬化性樹脂溶液 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 50重量部 ポリメチルメタクリレート 100重量部 (平均分子量95000、ガラス転移温度105℃) 酢酸ブチル 50重量部
【0066】引き続き、この電離放射線硬化性樹脂層
(非流動状態だが粘着性が有る)に、上記絵柄転写シー
トSaの転写層である絵柄層4側が向く様にして、加熱
金属ローラとゴムローラとからなる一対のラミネートロ
ーラ13、13間を通して貼り合わせ、図9に示す如
き、絵柄転写シートSaの支持体シート1aがカバーシ
ートとして積層されたままの状態の転写シートSbとし
た。すなわち、図9の転写シートは、支持体シート1上
に、電離放射線硬化性樹脂層3及び絵柄層4が転写層2
として積層され、更に絵柄層4上に支持体シート1aが
カバーシートとして積層された状態である。
【0067】次に、上記転写シートSbを用い図10に
示す様にして、化粧材Dを製造した。被転写基材は、被
転写面が平面で平板状のフレキシルブルボードを用意し
た。そして、下地処理として、目止め処理の為のシーラ
剤塗装、下地色調整の為の白色のベースコート塗装を各
々アクリル・ウレタン樹脂系塗料で行った。そして、こ
の被転写基材B(図10中、上記下塗り層の図示は省略
してある)に、常温液状の未硬化の電離放射線硬化性樹
脂からなる接着剤5を、フローコータ14で厚み10μ
mに塗工した。接着剤には、2官能ウレタンアクリレー
ト100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート30重量部からなる無溶剤の電離放射線硬化性樹脂
を用いた。
【0068】そして、上記転写シートSbを搬送しつ
つ、そのカバーシート(支持体シート1a)を剥離し
て、図1(A)の如き状態の転写シートSとした後、鉄
芯の表面をゴム硬度70°のシリコーンゴムで被覆した
弾性体ローラからなる転写ローラ15で、この転写シー
トSを、被転写基材Bの接着剤5の塗布面に押圧して積
層した。引き続き、電子線照射装置16に転写シートが
積層された被転写基材を通して、電子線を転写シートS
の支持体シート側から照射し、電離放射線硬化性樹脂層
及び接着剤を完全硬化させた。照射条件は、175ke
V、5Mrad、ライン速度10m/分とした。次い
で、剥離ローラ17で転写シートの支持体シート1のみ
を剥離して、図1(D)の如き化粧材Dを得た(但し、
下塗り層は同図では省略してある)。
【0069】得られた化粧材は、表面硬度や耐擦傷性等
の表面物性の他に表面の平滑性にも優れ、且つ電離放射
線硬化性樹脂層、絵柄層及び接着剤が一体となって密着
し、且つ被転写基材への密着力も優れたものであった。
【0070】〔実施例2〕実施例1において、電離放射
線硬化性樹脂層に用いた電離放射線硬化性樹脂溶液を次
の組成に代えた他は、実施例1と同様にして化粧材を得
た。その結果、実施例1同様に、表面物性、平滑性、各
層密着及び被転写基材への密着力共に優れたものであっ
た。
【0071】電離放射線硬化性樹脂溶液 トリメチロールプロパントリアクリレート 30重量部 反応性熱可塑性樹脂(※) 100重量部 酢酸ブチル 30重量部
【0072】※:上記反応性熱可塑性樹脂は、メチルメ
タクリレートと2−ヒドキロシエチルアクリレートとの
共重合体の水酸基に、イソシアネート基を有するアクリ
レートモノマーを付加したエチレン性不飽和2重結合を
有する熔融温度110℃の樹脂である。
【0073】
【発明の効果】本発明の化粧材の製造方法によれば、
接着剤を液状の状態で使用して転写シートを積層し、且
つ積層後に接着剤と電離放射線硬化性樹脂層とを硬化さ
せる為に、耐擦傷性等の表面物性に優れ、且つ電離放射
線硬化性樹脂層、絵柄層及び接着剤の三者の密着及び被
転写基材への密着の耐熱性も良い、高物性の化粧材が得
られる。しかも、電離放射線硬化性樹脂層は、その転写
時に可塑化する程に加熱する必要が無いので、表面平滑
性も非常に優れた化粧材となる。従って、浴室壁面、キ
ッチンパネル等に適する化粧板等が得られる。 また、転写圧にローラ圧を用いれば、板状等で平面に
対しては平易な転写で化粧材が得られ、柱状の被転写基
材に対しても所謂ラッピング転写法で比較的平易な転写
で化粧材が得られる。 また、転写圧に固体粒子衝突圧を用いれば、凹凸表面
でも確実且つ容易な転写で、化粧材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の製造方法を説明する概念図。
【図2】ローラ転写法を説明する概念図。
【図3】固体粒子衝突圧を利用した転写法を説明する概
念図。
【図4】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明す
る斜視図。
【図5】図4の羽根車内部を説明する概念図。
【図6】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明
する断面図。
【図7】絵柄層の転写形成に用いる絵柄転写シートを示
す断面図。
【図8】電離放射線硬化性樹脂層の形成法と、絵柄イン
キ層の形成法の一例を示す説明図。
【図9】本発明で用い得る転写シートの一例を示す断面
図。
【図10】本発明の製造方法の或る一形態を説明する説
明図。
【符号の説明】
1 支持体シート 1a (絵柄転写シートの)支持体シート 2 転写層 3 電離放射線硬化性樹脂層 3a 電離放射線硬化性樹脂溶液 4 絵柄層 5 接着剤 11 ロールコータ 12 乾燥装置 13 ラミネートローラ 14 フローコータ 15 転写ローラ 16 電子線照射装置 17 剥離ローラ 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート Sa 絵柄転写シート
フロントページの続き Fターム(参考) 3B005 EB09 EC01 EC02 EC21 FA02 FA03 FA04 FA08 FA12 FB13 FB23 FC02Z FC04Z FC08Z FC09Z FC12Z FE04 FE05 FE22 FF01 FF09 FG01X FG01Y FG02X FG03X FG03Y FG04X FG06Y FG09X FG09Y FG10Y GA18 4F100 AK01B AK01G AK25 AK41 AK51 AN01B AR00A AR00B AR00C AT00D BA03 BA04 BA07 BA10A BA10B BA10D CB00 EC04B EC04C EC182 EJ162 EJ192 EJ522 GB08 GB81 HB00C JB14B JB14G JJ03 JK06 JL14A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離型性を有する支持体シート上に、転写
    層として、常温固体状で未硬化の透明な電離放射線硬化
    性樹脂層、及び絵柄層をこの順に有する転写シートを、
    未硬化の電離放射線硬化性樹脂からなる常温液状の接着
    剤を液状状態で間に介して、被転写基材に積層した後、
    電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂層及
    び接着剤を一体として硬化させ、而る後、支持体シート
    のみ剥離除去する、化粧材の製造方法。
  2. 【請求項2】 転写シートを被転写基材に積層する為の
    転写圧として、ローラ圧を用いる、請求項1記載の化粧
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 転写シートを被転写基材に積層する為の
    転写圧として、被転写基材側に転写層を対向させた転写
    シートの支持体シート側へ、固体粒子を衝突させた時の
    衝突圧を用いる、請求項1記載の化粧材の製造方法。
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