JP2001270058A - 化粧材及びその製造方法 - Google Patents

化粧材及びその製造方法

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JP2001270058A
JP2001270058A JP2000083630A JP2000083630A JP2001270058A JP 2001270058 A JP2001270058 A JP 2001270058A JP 2000083630 A JP2000083630 A JP 2000083630A JP 2000083630 A JP2000083630 A JP 2000083630A JP 2001270058 A JP2001270058 A JP 2001270058A
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Reiko Suga
玲子 菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔質乃至は吸収性の基材を使った化粧材に
ついて、耐温水密着性と装飾層転写形成時の転写性を両
立させる。 【解決手段】 適宜下塗り層2を施した基材B上に、ア
クリル成分が質量比でウレタン成分よりも大なるアクリ
ルウレタンポリオールと、イソシアネートとから成る2
液硬化型アクリルウレタン樹脂の接着剤を施して一部を
基材中に含浸させた上で固化させて第1の接着剤層A1
を形成後、ウレタン成分が質量比でアクリル成分以上で
あるアクリルウレタンポリオールと、イソシアネートと
から成る2液硬化型アクリルウレタン樹脂の接着剤を施
し固化させて第2の接着剤層A2を形成後、装飾層1を
転写形成する。接着剤層と装飾層は、基材の目地溝Em
以外の天面Et上のみとしても良い。この場合転写は、
固体粒子衝突圧による曲面転写方法が良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐温水密着性が良
好である上、柄抜けも無く、また表面が多孔質乃至は吸
収性の基材に好適な化粧材とその製造方法に関する。ま
た、目地溝を除く天面のみが化粧された化粧材の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種基材に対して転写法で化
粧して化粧材とする事が広く行われている。その際、転
写層を基材に密着させる為の接着剤層の樹脂には、密着
性及びその耐久性が良い点で、例えば2液硬化型ウレタ
ン樹脂等が使用されて来た。そして更に、耐温水密着性
が要求される場合には、ポリオール成分にアクリルポリ
オールを使用した2液硬化型アクリルウレタン樹脂等が
使用されて来た。
【0003】ところで、接着剤層は転写層側に設ける事
もあるが、基材側に接着剤を施して設ける場合もある。
特に、2液硬化型樹脂を接着剤に用いる場合には、完全
硬化前の状態で転写層を基材に接着させる必要がある事
から、通常、転写直前に基材或いは転写シートに施す事
が多い。また、基材側に接着剤を施せば、基材の転写す
べき部分のみに接着剤を施しておく事で、選択的な転写
も行える利点もある。具体的には、例えば、基材に目地
溝等とする凹部があり(図6の符号11及び12参
照)、該凹部を除いた天面上のみにロールコート等で接
着剤層を形成して、天面部分のみに転写する等である。
【0004】但し基材側に接着剤層を設ける際は、基材
が例えばセメント板等で基材表面が多孔質乃至は吸収性
を呈する場合では、基材上に施した接着剤が基材中に浸
透して接着力が低下しない様な工夫も必要である。それ
は、基材に施される接着剤の基材中への吸収量が多い
と、基材表面に塗膜として存在する率が低くなり、実質
的に十分な塗布量が得られないからである。また、材質
や製造上の関係で、基材表面の微細凹凸の高低差が高い
と、基材上に形成した接着剤層等の樹脂層表面に微細凹
凸がそのまま残存し、これが転写層の基材への密着を邪
魔して、局所的に転写されない転写抜けと言う柄抜けが
発生し易い。特に、転写圧に固体粒子衝突圧を使用した
転写法では、その微細凹凸のサイズが固体粒子サイズよ
りも小さい場合に、凹部内部には転写圧が届かずに、微
小転写抜けとなって現れる事がある。
【0005】そこで、基材表面が多孔質乃至は吸収性の
場合には、例えば特開昭59−213682号公報で
は、接着剤、目止め処理、或いは基材中アルカリ成分封
止のシーラー処理等として、2液硬化型アクリルウレタ
ン樹脂等からなる合成樹脂層を塗工形成して、塗液等が
基材中に吸い込まれない様にした後、この合成樹脂層面
に転写印刷等により印刷模様を形成する方法を開示して
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に、接着剤層
の樹脂として2液硬化型アクリルウレタン樹脂は、耐温
水密着性を良くする場合には、好ましい樹脂ではある
が、その一方で、転写性の点で問題が出る事があった。
すなわち、使用するアクリルポリオールとして、アクリ
ル成分が多いポリオールを使用すると、通常高分子量と
なるので、耐温水密着性は優れたものとなるのである
が、未硬化時の樹脂の流動性が高く、一般的な転写温度
(70〜90℃)において凝集力が弱い。したがって、
転写圧で押された転写シートが基材に接触して接着する
ときの初期密着力が弱く、転写性が劣った。この為、接
着剤層が流動して装飾層がずれたり、或いは、特に凹凸
面に転写する場合には、転写抜けが発生する事があっ
た。転写抜けは、転写圧によって転写シートが押され
て、その転写層が基材上の接着剤層に接触しても、その
後の転写圧開放時に、接着剤層が流動して転写層を基材
に固定できずに、転写シートに残留した復元力によっ
て、転写シートが、その転写層と共に元の形状に戻り気
味となる為であった。
【0007】但し、上記凝集力が弱いという問題は、ア
クリルポリオールとしてウレタン成分が多いポリオール
を使用すれば、一応解決する。しかし、これでは耐温水
密着性が低下してしまう。したがって、転写抜けによる
柄抜けを防ぎつつ、なお且つ耐温水密着性も良好な化粧
材とする事は困難であった。
【0008】また、基材が多孔質乃至は吸収性の場合で
は、基材内部への吸収量も考慮して塗布量を増やした
り、転写圧を上げたり、或いは、予め目止層等の樹脂層
を接着剤層を設ける前に形成すれば、接着剤層の密着性
の低下による転写抜けは、ある程度は防げる。しかし、
接着剤層等の塗布量を増やすと、前述した目地溝を除く
天面上のみに接着剤層を形成して選択的転写をする場合
には、支障を来たす。それは、塗布量を増やすと塗液が
凹部に流れ落ちてしまい易く、流れ込んだ部分にも転写
される事があるからである。また、転写圧を上げれば、
厚みが薄くなりタックが乏しくなった接着剤層の接着力
をある程度補えるが、転写圧を上げれば基材に加わる
(転写圧による)力も増えるので、脆く壊れ易い基材の
場合には限度がある。特に、転写圧に固体粒子衝突圧を
利用する曲面転写方法の場合では、転写圧増は固体粒子
の衝突衝撃の増加となり、この衝突衝撃によって、ひび
割れ等の基材破壊が発生する事がある。だからと言っ
て、転写圧の加圧に弾性体ローラを使用するローラ転写
法を採用すれば、転写可能な凹凸形状はより平坦化した
限定的なものとなり、凹凸感溢れる高意匠の化粧材は望
めない。一方、目止層を下地として設ける場合でも、該
目止層中に顔料等の充填剤が多い場合には、目止層表面
が粗面となり、その上に施す接着剤が目止層乃至は基材
にまで吸収されたりして、実効的に十分な塗布量を得難
いからである。
【0009】そこで、本発明の課題は、耐温水密着性が
良好である上、柄抜けも無く、また表面が多孔質乃至は
吸収性の基材に好適な化粧材とその製造方法を提供する
事である。また、目地溝を除く天面のみが化粧された化
粧材の製造方法を提供する事である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明の化粧材では、少なくとも表面が多孔質乃至は吸
収性の基材上に、アクリルウレタンポリオールをイソシ
アネートで硬化してなるアクリルウレタン樹脂硬化物か
らなる2層の接着剤層と、装飾層とをこの順に積層して
成る化粧材であって、該2層の接着剤層のうち、基材に
近い側の第1の接着剤層はアクリルウレタンポリオール
中のアクリル成分の質量比がウレタン成分の質量比より
大であり、且つ装飾層に近い側の第2の接着剤層はアク
リルウレタンポリオール中のウレタン成分の質量比がア
クリル成分の質量比以上である、構成とした。
【0011】この様に、接着剤層をアクリルウレタン樹
脂硬化物で構成しなお且つ、それを2層に分割して、基
材側と装飾層側とで、そのアクリルポリオール中のアク
リル成分とウレタン成分の大小関係を別々に特定する事
で、耐温水密着性も良好で、且つ局所的に柄が欠落する
柄抜けや柄がズレる外観不良も無くす事ができる。これ
ら外観不良は、特に装飾層を転写形成時に転写不良とな
って現れれる不良である。また、接着剤層が2層である
為に、基材表面の微細凹凸を埋めて平坦にする事もでき
るので、この点ででも、微小転写抜けによる柄抜けが無
い化粧材とする事ができる。
【0012】また、本発明の化粧材の製造方法は、上記
本発明の化粧材の製造に好適な方法であり、少なくとも
表面が多孔質乃至は吸収性の基材上に、(A)先ず、第
1の接着剤層として、アクリル成分の質量比がウレタン
成分の質量比よりも大なるアクリルウレタンポリオール
と、イソシアネートとから成る2液硬化型アクリルウレ
タン樹脂の液状組成物を施し、少なくともその一部を前
記基材中に含浸させた上で、乾燥乃至は硬化させて固化
させ、(B)次いで、第1の接着剤層の上に、第2の接
着剤層として、ウレタン成分の質量比がアクリル成分の
質量比以上であるアクリルウレタンポリオールと、イソ
シアネートとから成る2液硬化型アクリルウレタン樹脂
の液状組成物を施し、乾燥乃至は不完全硬化させて固化
させ、(C)次いで、支持体シートと少なくとも装飾層
を含む転写層とから成る転写シートを、その転写層側が
第2の接着剤層側を向く様に対向させ、加熱加圧して転
写層を第2の接着剤層に接着させ、而る後、第2の接着
剤層の硬化完了前又は硬化完了後に、支持体シートを剥
離して化粧材とする様にした。
【0013】この様な方法とすることで、局所的に柄が
欠落する転写抜けや柄がズレる転写不良を防いで転写性
を良好にして、耐温水密着性が良好な化粧材が得られ
る。基材側の第1の接着剤層のアクリルウレタンポリオ
ールは、ウレタン成分よりもアクリル成分の量が多い為
に耐温水密着性に良く、また装飾層転写時に初期密着に
関係する装飾層側の第2の接着剤層のアクリルウレタン
ポリオールは、ウレタン成分の量をアクリル成分以上と
したので、初期密着性が良く転写抜けや柄ズレ等の転写
不良を防げ、これらの結果、耐温水密着性と転写性とを
良好にして両立できる事になる。また、接着剤層が2層
で、その分厚くできる為に、基材表面の微細凹凸を埋め
て平坦化する事で、固体粒子衝突圧による曲面転写方法
採用時に発生する事がある微小転写抜けも防げる。
【0014】また、本発明の化粧材の製造方法は、上記
製造方法において、目地溝と天面とからなる凹凸表面を
有する基材の、前記目地溝部は除く天面部にのみ第1及
び第2の接着剤層を順次設けた上で、支持体シートと少
なくとも装飾層を含む転写層とから成る転写シートを、
その転写層側が前記接着剤層側を向く様に対向させ、該
転写シートの支持体シート側に、固体粒子を衝突させ、
その衝突圧を利用して基材の凹凸表面へ転写シートを加
熱状態で圧接し、転写層が基材に接着した後、支持体シ
ートを剥離する曲面転写方法を適用して、装飾層を形成
する様にした。
【0015】この様な方法とすることで、更に、目地溝
を除いた天面上のみに転写性良好に転写できる。また、
天面と目地溝境界での箔ギレ性も良好に転写できる。し
かも、天面部分に、ローラ転写法等では転写不可能な様
な複雑な微細凹凸が有っても、その凹部内部にまで転写
できる。また、各天面の高さが異なり、ローラ転写法等
では転写不可能な場合でも各天面上に転写できる。ま
た、接着剤層が2層で、その分厚くできる為、基材が脆
い場合に、接着剤層が固体粒子の衝突衝撃を緩和して、
衝突衝撃によって基材が破壊するのも防げる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の化粧材及びその化粧材の製造方法について、実施の形
態を説明する。
【0017】〔概要〕先ず、図1は本発明の化粧材D
を、その一形態で例示する断面図である。本発明の化粧
材は、同図の如く、少なくとも表面が多孔質乃至は吸収
性の基材Bの上に接着剤層Aとして、アクリルウレタン
ポリオールをイソシアネートで硬化してなるアクリルウ
レタン樹脂硬化物からなる2層の接着剤層A1及びA2
と、更に接着剤層A1の上に装飾層1を積層した構成の
化粧材であり、なお、且つ前記の基材に近い側の第1の
接着剤層A1はアクリルウレタンポリオール中のアクリ
ル成分の質量比がウレタン成分の質量比より大であり、
装飾層1に近い側の第2の接着剤層A2はアクリルウレ
タンポリオール中のウレタン成分の質量比がアクリル成
分の質量比以上である構成とした化粧材である。また、
図1の化粧材Dは、接着剤層A1及びA2と装飾層1と
を、目地溝Emを除く天面Etの上のみに設けた形態例
であるが、本発明の化粧材では、これらを基材上の全面
に設けた構成としても良い。
【0018】なお、図1に示す化粧材Dでは、基材Bと
接着剤層A1との間に、下塗り層2を基材Bの全面に設
け、更に装飾層1の上側には透明保護層等の表面層3を
全面に設けた例である。これら下塗り層2及び表面層3
は必要に応じ適宜設ける事ができる。
【0019】この様な本発明の化粧材を、製造する方法
は、基本的には特に限定は無い。例えば装飾層1の形成
は、転写法以外の印刷法或いは塗工法等で形成しても良
い。但し、本発明の化粧材の製造方法としては、装飾層
の形成は、凹凸面にも形成可能な上、他の方法に比べて
高意匠が可能な転写法で形成することが好ましい。ま
た、接着剤層A1及びA2は、基材に対して、前記の如
くアクリル成分とウレタン成分の質量比がそれぞれ異な
る2種類の2液硬化型アクリルウレタン樹脂の液状組成
物を、塗工法等で施して形成する。その際、基材側の接
着剤層A1については、基材に施した液状組成物の一部
を基材に含浸させた上で、該液状組成物を乾燥乃至は硬
化(この段階で硬化させる場合は、不完全硬化の方が次
に形成する接着剤層A2との密着性の点で好ましいが、
完全硬化でも良い。)させて固化させ、その接着剤層A
1の上に接着剤層A2に用いる液状組成物を施して乾燥
乃至は不完全硬化(完全硬化させると、次に形成する装
飾層に対する接着剤としての機能が無くなるので、硬化
を進める場合は接着力が転写時の加熱で発現する程度ま
での硬化に止める。)させて固化させる。接着剤層A1
形成時の液状組成物について、その一部を基材に含浸さ
せた上で固化させる事で、接着剤層A1上に形成する接
着剤層A2形成時には、その液状組成物が基材に吸収さ
れてしまうのを防げる。そして、接着剤層A2を固化さ
せた後、少なくとも装飾層を含む転写層と支持体シート
とからなる転写シートによって、装飾層を接着剤層A2
上に転写する事で、多孔質乃至は吸収性の基材に対して
も良好に転写でき、なお且つ、特定組成の接着剤層を設
ける事で耐温水密着性の良い化粧材が得られる事にな
る。なお、装飾層を転写形成時に、転写シートの支持体
シートを剥離する時期は、支持体シート剥離可能な程度
以上に転写層が基材に接着すれば、接着剤層A2或いは
A1の完全硬化前でも後でも良い。
【0020】また、本発明の化粧材の製造方法として
は、基材が、特に目地溝と天面とからなる凹凸表面を有
する場合には、転写圧の加圧に固体粒子衝突圧を用いる
曲面転写方法を採用するのが良い。ローラ転写法等では
転写不可能な様な複雑な微細凹凸を有する基材に対して
も、その凹部内部にまで転写できる上、各天面の高さが
異なり、ローラ転写法等では転写不可能な場合でも各天
面に転写できるからである。
【0021】以下、本発明の化粧材及びその製造方法に
ついて、更に詳述する。
【0022】〔基材〕基材Bは、少なくとも表面が多孔
質乃至は吸収性のものであり、この他の点については特
に限定は無い。基材としては、例えば、材質としては、
無機非金属系、木質系等の基材を使用できる。具体的に
は、ケイ酸カルシウム、中空押し出しセメント、スラグ
セメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC
(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、石綿
セメント、木片セメント、石膏、石膏スラグ等の非陶磁
器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器等のセラミッ
クス等の無機質材料、杉、檜、樫、ラワン、チーク等の
各種樹種からなる木材単板や木材合板、パーティクルボ
ード、集成材、木質中密度繊維板(MDF)等の木質材
料等である。また、材質が金属系、樹脂系、或いはセラ
ミックス系の基材、具体的には、鉄、アルミニウム、銅
等の金属材料、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノー
ル樹脂等の樹脂材料、硝子、琺瑯等のセラミックス材料
等でも、多孔質金属、発泡樹脂、発泡硝子等と多孔質化
した基材であれば使用できる。
【0023】また、基材の形状は、その化粧面に転写層
等として装飾層を形成できれば、平板や屈曲した板、柱
状物、成形品等の立体物等と任意である。例えば、基材
は全体として(包絡面形状が)平板状の板材の他、断面
が円弧状に凸又は凹に1方向に湾曲した二次元的凹凸を
有する基材等でも良い。転写形成する場合でも、化粧面
としては、平面以外にも、転写シート及び採用する転写
法が、凹凸追従性(形状追従性)の有るものであれば、
凹凸表面でも良い。特に転写法に後述する固体粒子衝突
圧を用いる場合には、なおさらである。表面凹凸形状は
任意だが、例えば、複数のタイルや煉瓦を平面に配置し
た場合の目地溝、花崗岩の劈開面、砂目等の石材表面の
凹凸、木材羽目板、浮造木目等の木材板表面凹凸、簓の
無い下見張板の表面凹凸、リシン調、スタッコ調等の吹
付塗装面の凹凸等である。図1の如く基材に目地溝Em
が有る場合、天面Et部分(或いは目地溝部分も)に
は、目地溝と天面とによる大柄な凹凸に対して、小柄な
凹凸があっても良い。小柄な凹凸としては、花崗岩の劈
開面、砂目等の石材表面の凹凸、木材羽目板、浮造木目
等の木材板表面凹凸、リシン調、スタッコ調等の吹付塗
装面の凹凸等である。また、天面部分(或いは目地溝)
の配列(配置)は任意であり、例えば平行配列、煉瓦積
み配列、不定形配列、亀の子状配列等である。
【0024】なお、基材の化粧面には、必要に応じて適
宜、下塗り層(べースコート層)を設けておいても良
い。下塗り層は、基材(セメント等のアルカリ性基材)
からのアルカリ成分溶出を防止(所謂シーラー)した
り、或いは、基材(無機系基材等)の表面の凹凸を埋め
て表面を平滑化し、転写性等を向上させて転写層の転写
に適した表面性を付与したりする(所謂目止め)、等の
目的で設ける。また、下塗り層を着色不透明とする事に
より隠蔽性を持たせて、基材自体の色や模様が絵柄層等
の装飾層の模様に悪影響するのを防ぐ(所謂下地塗装)
目的でも使用できる。なお、これらの場合、下塗り層の
機能は、接着剤層A1(或いはA1及びA2)に兼用さ
せて接着剤層のみで足らす事もできる。下塗り層は用途
により1層又は多層で用いる。
【0025】下塗り層は、基材の材質や表面状態及びそ
の目的に応じて、樹脂等からなる従来公知の塗液を塗工
し形成すれば良い。例えば、該樹脂としては、2液硬化
型ウレタン樹脂、1液湿気硬化型ウレタン樹脂、アクリ
ル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、或いは後述表面保護層
にて挙げるケイ素系樹脂等が用いられる。特に、基材
が、ケイ酸カシルウムやセメント等のアルカリ性基材の
場合は、耐アルカリ性に優れた樹脂が好ましい。耐アル
カリ性に優れた樹脂としては、例えば、アクリルウレタ
ン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が好ましく、な
かでも熱可塑性又は2液硬化型のアクリルウレタン樹脂
が好ましい。
【0026】なお、下塗り層の形成方法は、スプレーコ
ート、カーテンフローコート等の塗工法、スクリーン印
刷等の印刷法等の従来公知の形成方法の中から、基材の
表面凹凸形状等により適宜選択する。
【0027】〔接着剤層〕接着剤層A1及びA2は、そ
れぞれアクリルウレタンポリオールをイソシアネートで
硬化してなるアクリルウレタン樹脂硬化物で構成し、な
お且つこれら2層に用いるアクリルウレタンポリオール
について、基材に近い側の第1の接着剤層A1と、装飾
層に近い側の第2の接着剤層A2とで、ポリオール中の
アクリル成分とウレタン成分の比率を変える。具体的に
は、基材に近い側の第1の接着剤層A1のアクリルウレ
タンポリオールは該ポリオール中のアクリル成分の質量
比がウレタン成分の質量比より大であるポリオールと
し、一方、装飾層に近い側の第2の接着剤層A2のアク
リルウレタンポリオールは該ポリオール中のウレタン成
分の質量比がアクリル成分の質量比以上であるポリオー
ルとする。
【0028】この様に、2層に分割した接着剤層のそれ
ぞれのアクリルウレタンポリオールのアクリル成分とウ
レタン成分の質量比の大小関係を特定する事で、耐温水
密着性も良好で、且つ局所的に柄が欠落する柄抜けや柄
がズレる外観不良も無くせる。これら外観不良は、装飾
層を転写形成時に転写不良となって現れれる。また、接
着剤層が2層である為に、基材表面の微細凹凸を埋めて
平坦にする事もできるので、この点ででも、固体粒子衝
突圧を用いる曲面転写方法を採用した場合に、固体粒子
サイズより小さい微細凹凸で発生する微小転写抜けによ
る柄抜けも防げる。また、基材に下塗り層をアクリル系
の樹脂で形成する場合にも、第1の接着剤層A1は、ア
クリル成分リッチな方が密着性の点で好ましい。
【0029】なお、アクリルウレタンポリオールとして
は、例えば、過剰のアクリルポリオールにイソシアネー
トを反応させて、ウレタン化反応の残留基としてアクリ
ルポリオールの水酸基を残存させたポリオールで、通常
直鎖状の化合物を使用できる。なおもちろんの事、該ウ
レタン化反応で得るものは熱可塑性樹脂であるので、2
官能化合物と3官能化合物との反応等の様に架橋硬化す
る様な、ポリオールとイソシアネートとの組み合わせは
使用しない。また、その組み合わせを使用したとして
も、架橋しない程度に止める。また、アクリルウレタン
ポリオールとしては、通常その骨格構造は直線状の直鎖
ポリオールであるが、枝分かれした構造の分岐ポリオー
ルでも良い。
【0030】前記アクリルポリオールとしては、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体と、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシ
プロピル等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル
酸エステル単量体と、更に必要に応じ、スチレン単量体
等とを共重合させて得られるもの等が使用できる。な
お、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの
意味である。
【0031】また、前記イソシアネートとしては、例え
ば、ジイソシアネートとして、芳香族ジイソシアネー
ト〔例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、
1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシアネ
ートフェニルスルホニルイソシアネート、m−或いはp
−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート
等〕、脂肪族ジイソシアネート〔例えば、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート等〕、脂環式ジイソシ
アネート〔例えば、イソホロンジイソシアネート(IP
DI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等〕等が使用される。イソ
シアネートは単独使用又は2種以上使用される。なお、
良好な耐候性を与える点では、脂肪族乃至は脂環式イソ
シアネートが好ましい。或いは、これらのイソシアネー
トの多量体、又は付加体を用いても良い。
【0032】なお、イソシアネートと反応させるポリオ
ール成分としては、物性調整の為の副成分の範囲内で、
アクリルポリオール以外のポリオール、例えば、ポリカ
ーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
エーテルポリオール、シリコーンポリオール等を用いて
も良い。
【0033】そして、上記の如きアクリルウレタンポリ
オール中のアクリル成分の質量比とは、アクリルウレタ
ンポリオールの合成に使用したポリオール及びイソシア
ネートの全量に対するアクリルポリオール成分の質量比
を意味し、アクリルウレタンポリオール中のウレタン成
分の質量比とは、アクリルウレタンポリオールの合成に
使用したポリオール及びイソシアネートの全量に対する
イソシアネート成分の質量比を意味する。
【0034】上記の如きアクリルウレタンポリオールを
硬化させる硬化剤としては、イソシアネートを使用す
る。イソシアネートとしては、ポリイソシアネートを使
用する。ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソ
シアネートでは、芳香族ジイソシアネート〔例えば、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナ
フタリンジイソシアネート、n−イソシアネートフェニ
ルスルホニルイソシアネート、m−或いはp−イソシア
ネートフェニルスルホニルイソシアネート等〕、脂肪
族ジイソシアネート〔例えば、1,6−ヘキサメチレン
ジイソシアネート等〕、脂環式ジイソシアネート〔例
えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添
キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジ
イソシアネート等〕等が使用される。ポリイソシアネー
トは単独使用又は2種以上使用される。なお、良好な耐
候性を与える点では、脂肪族乃至は脂環式イソシアネー
トが好ましい。或いは、これらのイソシアネートの多量
体、又は付加体を用いても良い。
【0035】接着剤層A1及びA2の形成方法は、上記
の如き特定樹脂からなる2液硬化型アクリルウレタン樹
脂を溶剤等により液状化した液状組成物(液状の接着
剤)を、基材上に塗工法等で施し、而る後、硬化させて
硬化物とすれば良い。また、第2の接着剤層A2の液状
組成物を施す前には、第1の接着剤層A1は乾燥や硬化
を進めて固化させて置くのが良い。これにより、基材中
に液状組成物が含浸しても、第1の接着剤層A1のみに
止める事ができるからである。基材上に液状組成物を施
す方法は、形成面及びその凹凸形状等に応じて、スプレ
ーコート、カーテンフローコート、軟質ゴムローラやス
ポンジローラを使用したロールコート等の公知の塗工
法、或いはスクリーン印刷等の公知の印刷法等の従来公
知の形成方法の中から適宜選択する。特に、形成面が全
面では無く、目地溝を除く天面である場合には、ロール
コート等の塗工法、スクリーン印刷等の印刷法で行うと
良い。また、目地溝を一時的にマスキングテープで覆っ
た後、全面塗工する等としても良い。なお、接着剤層A
1及びA2の厚さは、基材面状態等にもよるが、通常1
0〜100μm程度である。
【0036】なお、接着剤層A1及びA2の硬化は、既
に述べた如く、接着剤層A1については、接着剤層A2
形成用の液状組成物をその上に施す前に完了させても良
いが、接着剤層A2については、仮に硬化が進行するに
しても、装飾層形成時に接着力が発現する様に、装飾層
形成時には硬化を完了させないでおく。
【0037】〔装飾層〕装飾層1は、好ましくは、上記
接着剤層A1及びA2を基材上に形成したその上に、転
写法で形成する。装飾層の内容としては、特に制限は無
い。装飾層としては、例えば、絵柄等を表現する為の絵
柄層等がある。なお、本発明で言う装飾とは、例えば導
電性、磁性等の各種機能を付与することも包含する。し
たがって、装飾層としては、導電体層、磁性体層等の機
能付与層でも良い。
【0038】装飾層の代表的なものは、絵柄の意匠表現
の為に印刷形成した絵柄層である。絵柄層を印刷形成す
る場合には、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染
料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなるイ
ンが使用される。バインダーの樹脂には、例えば、アク
リル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエス
テル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、等の単体
又はこれらを含む混合物を用いる。なかでも、基材上に
形成する接着剤層の2液硬化型接着剤がウレタン樹脂系
となるため、同類であるウレタン樹脂は好ましい樹脂の
一つである。
【0039】上記ウレタン樹脂としては、熱可塑性ウレ
タン樹脂、2液硬化型等で熱硬化等の硬化性樹脂のどち
らでも良い。但し、転写形成時の凹凸追従性、使い易さ
の点では、熱可塑性樹脂が好ましい。(もちろん、硬化
性樹脂でも、装飾層の転写形成時点では不完全或いは未
硬化状態等として、所望の凹凸追従性等の可撓性を確保
できれば十分に使用できる。)そして、熱可塑性ウレタ
ン樹脂としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポ
リエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹
脂等が使用できる。なかでも、接着剤と同一系統の樹脂
であるアクリルウレタン系樹脂は、層間密着性の点でよ
り好ましい。また、耐温水密着性の点からは、分子中に
水酸基を持たない樹脂が好ましい。
【0040】なお、上記着色剤としては、チタン白、カ
ーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニ
リンブラック、キナクリドンレッド、イソインドリノン
イエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミ
ニウム箔粉、二酸化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔
料、或いはその他染料等の公知の着色剤を用いることが
できる。
【0041】また、絵柄層の絵柄は、用途に応じて、例
えば、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、
煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等
を用いる。
【0042】また、装飾層としては、意匠表現以外に、
例えば、磁性体層、蛍光体層、導電体層等の各種機能を
付与する為の機能付与層でも良い。例えば、導電体層に
は黒鉛や銀等の粉末又は箔粉からなる公知の導電剤を、
バインダーの樹脂中に含有させたりすれば良い。また、
これら装飾層は、意匠表現用の絵柄層等と兼用させる場
合もある。
【0043】装飾層の(基材上への)形成は、装飾層が
バインダー樹脂を用いる場合には、形成面の凹凸形状等
によっては、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、
グラビアオフセット印刷、インキジェットプリント等の
印刷法、或いは手描き等の公知の形成方法で基材上に直
接形成しても良いが、好ましくは、凹凸面にも対応し易
く且つ高意匠が可能な点で転写印刷で行うのが良い。或
いはまた、全面ベタ柄ならば、形成面が基材全面の他に
天面のみの場合でも、塗工法で形成する事も可能であ
る。また、装飾層を転写印刷で基材上に形成する場合に
は、それに使用する転写シートの支持体シート上に装飾
層は一旦形成する事になるが、この場合には、支持体シ
ート上に、グラビア印刷を含む上記の如き印刷法、手描
き、塗工法等から、絵柄等に応じた適宜方法で装飾層を
形成すれば良い。なお、装飾層が、導電体層、磁性体層
等の機能付与層や絵柄層として利用できる金属薄膜層の
場合では、アルミニウム、クロム、金、銀、銅、コバル
ト、ニッケル、鉄等の金属を公知の蒸着法等を用いて部
分的或いは全面に形成した転写シートによって基材上に
転写形成すれば良い。
【0044】そして、既に前述した如く、装飾層を転写
形成する場合、その形成面となる接着剤層A2は、乾燥
乃至は不完全硬化させて固化している状態から、加熱に
より接着力を活性化させて、少なくとも装飾層からなる
転写層を接着剤層A2に接着させる。接着剤層A2の硬
化を、仮に進めたとしても転写時(厳密には転写シート
の圧接時)は不完全硬化として硬化進行途中に止めるの
は、完全硬化させると加熱しても接着力が発現しなくな
るからである。また、接着剤層A2を乾燥乃至は不完全
硬化よって固化させるのは、転写抜けを防ぎ確実に且つ
速やかに転写層を接着させるには、転写シート圧接時に
加熱した後冷却させて固化させる所謂熱融着による接着
機構を採用するのが好ましいからである。接着剤層A2
を形成する液状組成物が、まだ液状を呈する状態のまま
で、転写シートを圧接し、この後、乾燥乃至は硬化によ
り固化させても転写はできるが、速やか接着が出来ず生
産性が悪い。以上の事から、接着剤層A2の完全硬化
は、転写層が初期密着してしまえば、何時でも良い。し
たがって、転写層接着後であれば、支持体シートの剥離
前でも支持体シート剥離後でも良い。
【0045】なお、装飾層或いはその他の層を基材上に
転写形成する場合に、それに用いる転写シートの支持体
シートとしては、基本的には転写層と剥離性が有れば、
従来公知のもので良く特に制限は無い。但し、転写抜け
を防止する意味で、基材の凹凸面への追従性を考慮する
と、少なくとも転写時には延伸性を有するものが良い。
延伸性のある支持体シートとしては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメ
チルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱
可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂フィルム(シート)
を用いると良い。また、これら樹脂フィルムは、低延伸
又は無延伸のものが延伸性の点で好ましい。また、支持
体シートはこれらの単層又は異種材料からなる複層構成
としても良い。具体的には、厚み50〜120μmのポ
リプロピレン系シートは好ましい支持体シートの一つで
ある。なお、支持体シートの厚みは、通常は20〜20
0μm程度である。
【0046】なお、支持体シートには必要に応じ、転写
層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シート
の構成要素として離型層を設けても良い。この離型層は
支持体シートを剥離時に、支持体シートの一部として転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。
【0047】また、支持体シートの転写層との剥離性
は、その転写層側面の剥離性を濡れ指数等で調整するの
も好ましい。濡れ性が低いと剥離力が小さくなり、濡れ
性が高いと剥離力は大きくなる。また、支持体シート
に、装飾層等を転写層として印刷(或いは塗工)形成す
るときの印刷(或いは塗工)適性等も調整できる。例え
ば、濡れ指数を35以下とするのが良い。
【0048】一方、転写層の構成要素として剥離層を、
支持体シートに接する層として設けても良い。剥離層
は、支持体シートと転写層との間の剥離性を調整した
り、また、転写後の転写層上に表面保護層等の表面層を
設ける場合に表面層と転写層との密着性を向上させた
り、或いは転写後の転写層の表面を保護したりする為に
設ける。この様な剥離層には、例えば、前記した絵柄層
用のインキのバインダーに用いる樹脂等が用いられる。
この場合、表面強度、耐擦傷性、或いは、表面層形成時
の後塗工適性向上やその密着性向上等の為に、必要に応
じ適宜、剥離層中に体質顔料を含有させても良い。体質
顔料としては具体的には、硫酸バリウム、炭酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、シリカ、アルミナ(α−アルミナ等)、タルク、ク
レー等の無機質体質顔料が使用できる。
【0049】〔その他の層:表面層〕本発明の化粧材
は、基材B上の層として、接着剤層A1及びA2、装飾
層1以外の層があっても良い。例えば、既に基材の所で
述べた下塗り層等であるが、この他、装飾層上に位置し
て最表面とする表面層等を設けても良い。表面層は、透
明樹脂層等として、化粧材に於ける最外層として形成さ
れ、表面の耐久性、意匠感等を付与する。表面層には、
用途、要求物性に応じたものを形成すれば良い。表面層
は、装飾層を転写形成する場合には同時又は別で転写形
成しても良いが、通常は転写では無く装飾層形成後に塗
工等で形成する。また、本発明の化粧材の製造方法に於
いても、装飾層転写後に、表面層を塗工等で形成しても
良い。ちなみに、図1に例示の化粧材Dでは、表面層3
を、装飾層1を形成しない目地溝Emの部分も含めた全
面に形成してある。
【0050】表面層は、例えば、ポリフッ化エチレン、
ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリメタクリル
酸メチル等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素系樹
脂の1種又は2種以上等を用いた塗料で形成すれば良
い。
【0051】なお、上記ケイ素系樹脂としては、例え
ば、アルコキシシランの加水分解縮合物、シリル基含有
ビニル系樹脂等を使用できる。
【0052】なお、前記加水分解縮合物の基になるアル
コキシシランは、一般式:Rn Si(OR′)4-n で表
される化合物であり、nは0〜2の整数である。このう
ち、nが0又は1であるアルコキシシランを主成分とす
るものが、耐擦傷性、耐候性に優れ好ましい。また、R
は炭素数1〜8、好ましくは1〜3の有機基であり、
R′は炭素数1〜5、好ましくは1〜4の有機基であ
る。そして、これらアルコキシシランの加水分解縮合物
は、例えば、アルコール等の溶液中で必要量の水及び酸
触媒を用いてアルコキシシランを反応させれば得られ
る。
【0053】また、前記シリル基含有ビニル系樹脂は、
一般式:Xn −Si(R1 3-n −CHR2 −で表され
るシリル基を少なくとも1つ有するビニル系樹脂であ
る。Xは、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、ケト
キシメート、アミノ、酸アミド、アミドオキシ、メルカ
プト、アルケニルオキシ、フェノキシ等の加水分解性基
である。また、R1 、及びR2 はそれぞれ、水素、炭素
数1〜10の、アルキル基、アリール基、アラルキル基
等の1価の炭化水素基である。nは1〜3の整数であ
る。また、このシリル基は、加水分解性基Xを1以上有
するので、加水分解性シリル基でもある。なお、ビニル
系樹脂は、ビニル系モノマーの重合物であり、例えば、
アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等である。
【0054】なお、表面層は、上記の様な樹脂を含む塗
液を塗工すれば形成できるが、塗工法は具体的には、例
えば、スプレーコート、カーテンフローコート、軟質ゴ
ムローラやスポンジローラを使用したロールコート等の
公知の塗工法で行えば良い。表面層の厚さは通常1〜1
00μm程度である。なお、該塗液中には、用途、要求
物性に応じて、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン
類、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダー
ドアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、シリカ、球状
α−アルミナ、鱗片状α−アルミナ等の粒子からなる減
摩剤、着色顔料、体質顔料、滑剤、防黴剤、抗菌剤等を
添加しても良い。
【0055】〔転写方法〕本発明の化粧材の製造方法に
て、少なくとも装飾層の形成に採用する転写方法として
は、圧及び熱を利用できるものであれば、基本的には特
に制限は無い。用途に応じ、例えば次の様な従来公知の
転写方法を採用すれば良い。
【0056】そして、以下に例示する各種転写方法のな
かでも、本発明の化粧材の製造方法に於ける転写方法と
して、目地溝以外の天面のみに転写する方法として特に
採用するのは、(4)の固体粒子衝突圧を用いる曲面転
写方法である。(4)の曲面転写方法は、平面はもちろ
ん、(1)のローラ転写法等によっては、従来は不可能
であった複雑な表面凹凸にも転写できる方法として好ま
しい。
【0057】(1)ローラ転写法:例えば、特開平6−
99550号公報、特開平8−286599号公報等に
記載の様に、弾性体ローラを転写圧の加圧に用いる慣用
的な方法である。弾性体ローラとしては、通常、鉄等の
剛体の回転軸芯の表面周囲を軟質の弾性体で被覆したロ
ーラを用いる。弾性体としては、シリコーンゴム、ネオ
プレン(登録商標)ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタ
ジエンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム等のゴムを用い
る。特に、耐熱性、耐久性、弾性等の点からシリコーン
ゴムが好ましい。また特に、基材の被転写面が凹凸形状
(三次元形状)をなす場合は、弾性体として、JIS規
格のゴム硬度が60°以下のものを使用することが、転
写シートを凹凸面に追従成形させる為に好ましい。弾性
体ローラの直径は、通常5〜20cm程度である。ま
た、通常、弾性体ローラは加熱ローラとしても用いる。
弾性体ローラの加熱は、ローラ内部の電熱ヒータや、ロ
ーラ外部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源によって加熱す
る。
【0058】(2)真空成形転写方法:特公昭56−4
5768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58
014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、
立体形状の基材上に転写シートを対向又は載置し、少な
くとも基材側からの真空吸引による圧力差により転写シ
ートの転写層を基材に転写する、所謂真空成形積層法を
利用した転写方法。
【0059】(3)ラッピング転写方法:特公昭61−
5895号公報、特開平5−330013号公報等に記
載されるように、円柱、多角柱等の柱状の基材の長軸方
向に、転写シートを供給しつつ、複数の向きの異なるロ
ーラーにより、基材を構成する複数の側面に順次転写シ
ートを加圧接着して転写層を転写してゆく、所謂ラッピ
ング加工方法による転写方法。
【0060】(4)固体粒子衝突圧を利用する曲面転写
方法:特許第2844524号公報、特開平10−19
3893号公報等に開示された新規な転写方法である。
すなわち、図2の概念図で示す如く、基材Bの被転写面
(表面)側に、支持体シートと転写層とからなる転写シ
ートSの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体シ
ート側に多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧を利
用して、基材の被転写面への転写シートの圧接を行う。
そして、転写層が基材に接着後、転写シートの支持体シ
ートを剥離除去すれば、転写が完了する。なお、固体粒
子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表
す。また、同図は転写圧加圧法自体の概念図であり、基
材Bの上に形成する接着剤層A1及びA2は図示してい
ない。
【0061】次に、上記各種転写方法の中から、(4)
の固体粒子衝突圧を転写圧の加圧に利用する曲面転写方
法について、更に説明しておく。
【0062】固体粒子Pとしては、セラミックビーズ、
ガラスビーズ等の非金属無機粒子、亜鉛、鉄等の金属粒
子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等
の有機粒子等を使用する。粒子形状は球形状が好ましい
が、その他の形状でも用い得る。粒径は通常10〜10
00μm程度である。固体粒子は噴出器から転写シート
に向かって噴出させ、転写シートに衝突したその衝突圧
が転写圧となる。噴出器には、代表的には羽根車や吹出
ノズルを用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加
速し、吹出ノズルは高速の流体流で固体粒子を加速す
る。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはシ
ョットブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野
にて使用されているものを流用できる。例えば羽根車に
は遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式
ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式
ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出
する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておい
て固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装
置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸
い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装置
は、固体粒子を液体と混合して噴出する。
【0063】図3及び図4は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。更に、この中空部815内に方向制御器816を内
在する(図4参照)。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図4参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。羽根車81
2の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5
〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転速度は500〜5000〔rpm〕程
度である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕
程度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突させる固体
粒子の総質量)は10〜150〔kg/m2 〕程度であ
る。
【0064】次に、図5は吹出ノズルを用いた噴出器の
一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒
子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時
に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の
一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混
合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部
ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び
流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等
からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出
し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部84
3から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高
速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により
固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加
速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から
流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速
流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。流体圧は吹付
圧力で通常0.01〜1MPa程度である。流体流の流
速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流では通常
5〜80m/秒程度である。
【0065】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。また、実
際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の
雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好まし
く、転写する空間を周囲空間と隔離するチャンバ内で、
固体粒子を転写シートに衝突させると良い。支持体シー
トの剥離は、チャンバ外でも良い。
【0066】また、少なくとも初期接着を熱融着させる
第2の接着剤層A2は、加熱活性化させて接着力が発現
した状態で固体粒子を転写シートに衝突させる様にする
のが良い。また、予め熱可塑性樹脂の支持体シートから
なる転写シートは、赤外線輻射ヒータ等で加熱軟化させ
て延伸性を付与し、また、基材が熱容量の大きい場合は
予め予熱しておくのも、第2の接着剤層A2による熱融
着を円滑化する点で好ましい。なお、第2の接着剤層A
2を活性化して熱融着させる為に加熱するタイミング
は、衝突圧加圧前、衝突圧加圧中、或いは衝突圧加圧前
及び加圧中などのいずれでも良い。一方、転写シートが
基材の転写すべき表面の形状に追従し、成形され、転写
層が基材に十分に接触すれば、冷風等の冷却手段で第2
の接着剤層A2の冷却を促進しても良い。冷風は、例え
ば、転写シート側や基材側から吹き付ける。
【0067】〔化粧材の用途〕本発明による化粧材の用
途は、特に制限は無い。例えば、サイディング等の外
壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、天井、床
等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建
具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機等の弱電
・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、
航空機、船舶等の乗物内装材等の各種分野で用いられ得
る。なお、化粧材の形状は、平板以外にも、曲面板、棒
状体、立体物等でも良い。平板や曲面板では化粧材は化
粧板として用いられる。なかでも、本発明では、耐温水
密着性が要求される用途は好適であり、例えば、キッチ
ン、浴室等の水廻り用途は好適である。
【0068】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0069】〔実施例1〕図6(A)の斜視図で示す如
き、被転写面が凹凸面で多孔質且つ吸収性の基材Bを用
いて、図1の断面図で示す如き化粧材Dを次の様にして
製作した。基材Bは、目地溝Emとして(底面の)幅8
mm、深さ3mmの縦目地11と、(底面の)幅6m
m、深さ3mmの横目地12とを有し、これら目地溝で
区画された天面Et(凸部)上に高さが0.1〜2mm
に分布する山状の突起を多数有する凹凸形状を有する、
厚さ18mmの押出セメント板である。なお、天面は煉
瓦積み模様で配置されている。また、縦目地11及び横
目地12の側面は図6(B)の断面図で示す如く、法線
方向に対して約30°で底面に行くにしたがって幅が狭
くなる斜面となっている。転写領域は天面部分のみと
し、目地溝部分は非転写領域とした。
【0070】そして、この基材の被転写面に予め、下塗
り層2として、目止めの為のシーラー層(アクリル系水
性エマルションからなるシーラー剤をスプレー塗装)
と、下地色調整の為のべースコート層(チタン白で着色
したアクリルシリコーン系樹脂塗料をスプレー塗装)と
を形成した。
【0071】そして、上記の基材上に、アクリルウレタ
ンポリオール100質量部に対して、1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネート8質量部を硬化剤として添加し
た2液硬化型アクリルウレタン樹脂の有機溶剤溶液から
なる液状組成物の接着剤塗液を、スポンジローラ(単独
発泡タイプのクロロプレンゴムからなるゴム硬度35度
で肉厚18mmのスポンジゴムで鉄芯の表面を被覆した
ローラ)を用いたローラコート法で、天面上にのみ塗工
して、第1の接着剤層A1と第2の接着剤層A2とを順
次形成した。また、第1の接着剤層A1の塗液を塗布し
た後は、180℃の温風を30秒間吹き付けて乾燥させ
て固化させた。また、第2の接着剤層A2の液状組成物
を塗布した後も、同一条件で乾燥固化させた(但し、完
全硬化前の状態)。第1の接着剤層A1と第2の接着剤
層A2のそれぞれのアクリルウレタンポリオールの内容
は、表1に示す。すなわち、第1の接着剤層A1は、ア
クリル成分とウレタン成分の質量比が6対4、第2の接
着剤層A2は、アクリル成分とウレタン成分の質量比が
5対5である。接着剤層A1と接着剤層A2との合計で
の塗布量は45g/m2 (固形分基準)である(表2参
照)。
【0072】一方、転写シートは図7の断面図で示す如
き転写シートSとして、厚さ80μmの表面未処理エチ
レン−プロピレンランダム共重合体(エチレンが3質量
%)フィルム(濡れ指数32以下)からなる支持体シー
ト4上の転写層6として、剥離層5と、装飾層1を順次
形成した。装飾層1は、大理石調の石目柄の柄パターン
層1Aと、この柄パターン層上の全ベタ層1Bとからな
る。柄パターン層1Aが剥離層5側である。これら装飾
層1は、バインダー樹脂に、分子中に水酸基を持たない
点で飽和の熱可塑性アクリルウレタン樹脂(ガラス転移
温度−20℃)を用い、着色剤にキナクリドンレッド、
イソインドノリンイエロー、フタロシアニンブルー、及
びカーボンブラックを使用した着色インキを用いて、グ
ラビア印刷で形成した。
【0073】そして、接着剤層A1及びA2が形成され
た前記基材を、熱風乾燥炉で基材(接着剤層)を90℃
に予熱した後、上記転写シートを転写層側が基材側を向
くようにして置き、搬送速度40m/minで転写シー
ト及び基材を搬送しつつ、転写シートの支持体シート側
に、多数の固体粒子を衝突させて、転写を行った。な
お、固体粒子としては、50℃に加熱された平均粒径
0.4mmの球状形状の亜鉛球を、図3及び図4の如き
羽根車で35m/sの速度に加速して、転写シートに衝
突させた。そして、25℃の冷風で冷却して、転写層が
基材に密着後、支持体シートを剥離した。
【0074】更に、表面層3として、転写後の装飾層1
の上に、アルコキシシランの加水分解縮合物溶液と硬化
触媒とからなる塗液を、基材温度40℃に加熱した状態
で、5g/m2 (固形分基準)スプレー塗布後、180
℃の熱風乾燥炉で4分間加熱乾燥して固化させて透明な
表面保護層を形成し、また基材に施した接着剤層は完全
硬化させて、図1の如き化粧材Dを得た。
【0075】表1に、接着剤層A1及びA2の有無、及
びそれに用いたアクリルウレタンポリオールの内容を、
他の比較例と共に纏めて示し、塗布量と性能評価は表2
に纏めて示す。
【0076】〔比較例1〕実施例1に於いて、第1の接
着剤層A1のアクリルウレタンポリオールのアクリル成
分/ウレタン成分の質量比を5対5に変更し、固化させ
る為の熱風による強制的乾燥を省略し、更に第2の接着
剤層A2の形成自体も省略した他は、実施例1と同様に
して化粧材を作製した。
【0077】〔比較例2〕実施例1に於いて、第1の接
着剤層A1に於いて固化させる為の熱風による強制的乾
燥を省略し、更に第2の接着剤層A2の形成自体も省略
した他は、実施例1と同様にして化粧材を作製した。
【0078】〔比較例3〕実施例1に於いて、第1の接
着剤層A1のアクリルウレタンポリオールのアクリル成
分/ウレタン成分の質量比を5対5に変更し、固化させ
る為の熱風による強制的乾燥を省略した他は、実施例1
と同様にして化粧材を作製した。
【0079】〔比較例4〕実施例1に於いて、第1の接
着剤層A1のアクリルウレタンポリオールのアクリル成
分/ウレタン成分の質量比を5対5に変更した他は、実
施例1と同様にして化粧材を作製した。
【0080】〔比較例5〕実施例1に於いて、第2の接
着剤層A2のアクリルウレタンポリオールのアクリル成
分/ウレタン成分の質量比を6対4に変更した他は、実
施例1と同様にして化粧材を作製した。
【0081】〔性能評価結果〕性能評価結果を表2に纏
めて示す。耐温水密着性の他に、転写性として、転写抜
け、浮き(転写層が基材側に一応移行してはいるが、局
所的に基材から浮いた状態)、柄ズレ、及び、天面部と
目地溝部分境界での箔切れ性を目視観察して評価した。
【0082】耐温水密着性は、60℃の温水中に化粧材
を10日間浸漬後取り出して、40℃で3日間乾燥した
後、室温20℃に於いて、ダブルクロス法(切り込みを
X字状に入れるXカットテープ法に準じた方法)にて密
着性を評価した。すなわち、化粧材の表面に、縦横に間
を4mm開けて各2本の深さが基材にまで達する切り込
みを直交させて井桁状に入れた後、その井桁部分にセロ
ハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、「セロテープ」
(登録商標)24mm幅、産業用)を貼り付け、その上
から消しゴムで加圧して良く密着させた後に、室温のも
とで勢い良くセロハン粘着テープを引き剥がして、井桁
部分で装飾層等の基材上の層がテープと共に剥がれるか
否かで評価した。剥がれ無きものを良好、剥がれ有りの
ものを不良とした。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】表2の如く、先ず、実施例1のみが、耐温
水密着性と転写性が良好で両立して、総合判定で良好と
なった。これに対して、第1の接着剤層A1のみの単層
の接着剤層とした比較例1及び2は、耐温水密着性を評
価するまでも無く、転写抜け及び浮きによる転写不良が
発生して、総合判定は不良となった。また、接着剤層を
接着剤層A1及びA2の2層とするが、用いたアクリル
ウレタンポリオールのアクリル成分/ウレタン成分の比
率が特定関係では無い比較例3、4及び5は、耐温水密
着性と転写性のいずれかが不良となり、総合判定は不良
となった。特に、第2の接着剤層A2をアクリル成分リ
ッチとした比較例5は、転写抜けの他に柄ズレも発生し
た。また、第1の接着剤層A1の乾燥を省略した比較例
3では、第2の接着剤塗液塗工時に塗工ローラに先に塗
工した塗液が取られて塗布量が減った上、接着剤塗液が
目地溝に一部流れ、目地溝内部も転写され、箔切れ性不
良となってしまった。
【0086】
【発明の効果】本発明の化粧材によれば、耐温水密着
性も良好で、且つ局所的に柄が欠落する柄抜けや柄がズ
レる外観不良も無くす事ができる。これら外観不良は、
特に装飾層を転写形成時に転写不良となって現れれる不
良である。また、接着剤層が2層である為に、基材表面
の微細凹凸を埋めて平坦にする事もできるので、この点
ででも、微小転写抜けによる柄抜けが無い化粧材とする
事ができる。
【0087】本発明の化粧材の製造方法によれば、転
写抜けや柄がズレる転写不良を防いで転写性を良好にし
て、耐温水密着性が良好な化粧材が得られる。また、接
着剤層が2層で、その分厚くできる為に、基材表面の微
細凹凸を埋めて平坦化する事で、固体粒子衝突圧による
曲面転写方法採用時に発生する事がある微小転写抜けも
防げる。 更に、基材として目地溝と天面とからなる凹凸表面を
有する基材を用い、目地溝は除く天面にのみ第1及び第
2の接着剤層を順次設けた上で、固体粒子衝突圧による
曲面転写方法によって装飾層を転写すれば、天面上のみ
に選択的に装飾層を転写性良好にして転写できる上、天
面と目地溝境界での箔ギレ性も良好に転写できる。しか
も、天面部分に、ローラ転写法等では転写不可能な様な
複雑な微細凹凸が有っても、その凹部内部にまで転写で
きる。また、各天面の高さが異なり、ローラ転写法等で
は転写不可能な場合でも各天面上に転写できる。また、
接着剤層が2層で、その分厚くできる為、基材が脆い場
合に、接着剤層が固体粒子の衝突衝撃を緩和して、衝突
衝撃によって基材が破壊するのも防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の一形態を例示する断面図。
【図2】本発明の化粧材の製造方法にて、転写圧に固体
粒子衝突圧を用いる曲面転写方法を示す概念図。
【図3】固体粒子の噴出手段として、羽根車を用いた噴
出器の一例を概念的に説明する斜視図。
【図4】図3の羽根車内部を説明する概念図。
【図5】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明
する断面図。
【図6】基材の一例を示す斜視図と断面図。
【図7】本発明で使用し得る転写シートの一例を示す断
面図。
【符号の説明】
1 装飾層 2 下塗り層(べースコート層等) 3 表面層 4 支持体シート 5 剥離層 6 転写層 11 縦目地 12 横目地 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル A1 第1の接着剤層 A2 第2の接着剤層 B 基材 D 化粧材 Em 目地溝 Et 天面 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B002 BB07 2B250 BA03 CA11 FA33 4F100 AE01A AK51B AK51C AR00A AR00D AT00A BA04 BA07 BA10A BA10D BA13 BA25B BA25C DC28B DC28C DC28D DD05A DJ01A EC042 EC052 EG001 EH461 EJ08 EJ081 EJ222 EJ422 EJ912 GB07 GB08 GB31 GB33 GB48 HB00D HB11D JB07 JD14A JK06 JL11B JL11C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面が多孔質乃至は吸収性の
    基材上に、アクリルウレタンポリオールをイソシアネー
    トで硬化してなるアクリルウレタン樹脂硬化物からなる
    2層の接着剤層と、装飾層とをこの順に積層して成る化
    粧材であって、 該2層の接着剤層のうち、基材に近い側の第1の接着剤
    層はアクリルウレタンポリオール中のアクリル成分の質
    量比がウレタン成分の質量比より大であり、且つ装飾層
    に近い側の第2の接着剤層はアクリルウレタンポリオー
    ル中のウレタン成分の質量比がアクリル成分の質量比以
    上である、化粧材。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面が多孔質乃至は吸収性の
    基材上に、(A)先ず、第1の接着剤層として、アクリ
    ル成分の質量比がウレタン成分の質量比よりも大なるア
    クリルウレタンポリオールと、イソシアネートとから成
    る2液硬化型アクリルウレタン樹脂の液状組成物を施
    し、少なくともその一部を前記基材中に含浸させた上
    で、乾燥乃至は硬化させて固化させ、(B)次いで、第
    1の接着剤層の上に、第2の接着剤層として、ウレタン
    成分の質量比がアクリル成分の質量比以上であるアクリ
    ルウレタンポリオールと、イソシアネートとから成る2
    液硬化型アクリルウレタン樹脂の液状組成物を施し、乾
    燥乃至は不完全硬化させて固化させ、(C)次いで、支
    持体シートと少なくとも装飾層を含む転写層とから成る
    転写シートを、その転写層側が第2の接着剤層側を向く
    様に対向させ、加熱加圧して転写層を第2の接着剤層に
    接着させ、而る後、第2の接着剤層の硬化完了前又は硬
    化完了後に、支持体シートを剥離して化粧材とする、化
    粧材の製造方法。
  3. 【請求項3】 目地溝と天面とからなる凹凸表面を有す
    る基材の、前記目地溝部は除く天面部にのみ第1及び第
    2の接着剤層を順次設けた上で、 支持体シートと少なくとも装飾層を含む転写層とから成
    る転写シートを、その転写層側が前記接着剤層側を向く
    様に対向させ、該転写シートの支持体シート側に、固体
    粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して基材の凹凸表面
    へ転写シートを加熱状態で圧接し、転写層が基材に接着
    した後、支持体シートを剥離する曲面転写方法を適用し
    て、装飾層を形成する、請求項2記載の化粧材の製造方
    法。
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