JPH1112981A - 吸水抵抗性を改良した印刷用紙、新聞印刷用紙、及びその製造方法 - Google Patents

吸水抵抗性を改良した印刷用紙、新聞印刷用紙、及びその製造方法

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JPH1112981A
JPH1112981A JP9160173A JP16017397A JPH1112981A JP H1112981 A JPH1112981 A JP H1112981A JP 9160173 A JP9160173 A JP 9160173A JP 16017397 A JP16017397 A JP 16017397A JP H1112981 A JPH1112981 A JP H1112981A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速オフセット印刷に適した印刷用紙の提供 【解決手段】 パルプ分として機械パルプを30重量%以
上含有し、点滴吸水度(Japan TAPPI No.33 に準拠、滴
下水量1μlで測定)10秒以下である印刷用紙原紙に、
カチオン性を有する水溶性ポリアクリルアミド、及び疎
水性置換基を有するモノマーとカルボキシル基またはス
ルホン酸基を有するモノマーとの水溶性アニオン性共重
合体の2成分を主体とする吸水抵抗性コントロール組成
物から成るゲートロール塗工層を設けた印刷用紙であっ
て、該ゲートロール塗工層が1100〜1800m/分の速度で
塗工され、且つ点滴吸水度が60秒以上であることを特徴
とする印刷用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水抵抗性などが
改良された機械パルプの含有率が高い印刷用紙、特に、
新聞印刷用紙、及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷技術は、オフセット印刷化、
カラー印刷化、高速大量印刷化、自動化など大きな進歩
を遂げてきている。これに伴い、印刷用紙に対しても、
作業性、印刷適性の面から各種の物性の改良が求められ
ている。
【0003】特に、新聞印刷用紙(新聞用紙、新聞巻取
紙)は、一般的に、機械パルプや脱墨パルプ(以下、
「脱墨パルプ」を「DIP」と略す。)を主体とする紙
であり、中・下級紙に分類される紙でありながら、一方
では、新聞印刷は、指定された時間帯の指定された時間
内に、指定された部数を確実に印刷しなければならず、
一般印刷用紙以上に厳しい品質を要求される紙である。
この点では、新聞印刷用紙は、特殊な紙であり、紙の分
類上も独自な分類がされている。最近の新聞印刷用紙
は、軽量化、DIPの高配合化などが求められており、
これらの点によるマイナス面を克服しながら、各種の改
良を行う必要がある。そのような意味からすると、新聞
印刷用紙の改良は、一般印刷用紙の改良とは、かなり次
元の異なる厳しいものとなっている。
【0004】新聞印刷についても、近年、各種の要求
(例えば、印刷の高速化の要求、カラー紙面の要求、多
品種印刷の要求、自動化の要求など)の点から、新聞印
刷へのコンピューターシステム導入の時期と相まって、
凸版印刷からオフセット印刷への転換が急速に進んでき
ている。
【0005】このオフセット印刷の普及は、新聞印刷用
紙に対して、凸版印刷用の新聞印刷用紙とは異なった品
質を要求している。例えば、(1) 吸水抵抗性が適度に保
たれ、湿潤強度があり、水切れなどがないこと、(2) 剥
離強度(ネッパリ)が小さいこと、(3) 紙粉の発生がな
いことなどの品質である。要求されている品質の中で
も、特に、吸水抵抗性の保持、すなわち吸水抵抗性のコ
ントロール(言い換えれば、サイズ性の付与)は、重要
な課題となっている。
【0006】しかし、機械パルプの含有率が高い新聞印
刷用紙と、機械パルプの含有率が低く、広葉樹晒クラフ
トパルプ(以下、「広葉樹晒クラフトパルプ」を「LB
KP」と略す。)の含有率が高い一般印刷用紙とは、吸
水抵抗性のコントロール(言い換えれば、サイズ性の付
与)の難易度は、異なる。機械パルプの含有率が高い場
合、原紙の紙面状態は粗であるのに対してLBKPは密
である。また、密である紙面は外添サイズの塗布量が少
なくても済むが、粗である紙面は外添サイズの塗布量が
多くなると考えられる。
【0007】一般印刷用紙では、吸水抵抗性のコントロ
ールは、例えば、サイズ剤などの薬品を内添する方法
(内添サイズ)、あるいは外添する方法(外添サイズ)
により、行われている。内添とは、いわゆるウェットエ
ンドで、パルプスラリー中に内添サイズ剤を添加し、抄
紙と同時に紙内部に内添サイズ剤を含有させる方法のこ
とであり、外添とは、抄紙後、2本ロールサイズプレ
ス、あるいはゲートロールコーターなどに代表される塗
工機を用いて、外添サイズ剤を紙表面に塗布する方法で
ある。当然のことながら、新聞印刷用紙については、ゲ
ートロールコーターなどに代表される塗工機が用いられ
ている。
【0008】内添用のサイズ剤としては、酸性抄紙の場
合、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤、合成
系サイズ剤などが、中性抄紙の場合、アルキルケテンダ
イマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(AS
A)などが知られている。また、特開昭60-88196号公
報、及び特開平4-363301号公報などには、カチオン化デ
ンプンとアルキルケテンダイマーから成るサイズ剤が開
示されている。
【0009】また、外添用のサイズ剤(表面サイズ剤と
も呼ばれる。)としては、スチレン/マレイン酸系共重
合体、スチレン/アクリル酸系共重合体などのアニオン
性ポリマー;ロジン、トール油及びフタル酸などのアル
キド樹脂ケン化物、石油樹脂とロジンのケン化物などの
アニオン性低分子化合物;スチレン系ポリマー、イソシ
アネート系ポリマーなどのカチオン性ポリマーなどが知
られているが、上級印刷用紙、インクジェット用紙など
LBKPの含有率が高い用紙を対象にしており、要求さ
れる吸水抵抗性の程度や抄紙条件が異なる。
【0010】これに対し、新聞印刷用紙における吸水抵
抗性コントロールは、機械パルプの含有率が高いので、
サイズ剤、耐水化剤などの薬品の内添により対処してい
るのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、新聞印
刷用紙における吸水抵抗性コントロール対策のうち、一
般印刷用紙でも用いられているサイズ剤などの薬品を内
添する方法(内添サイズ)は、(1) 薬品を低濃度パルプ
スラリーに添加する必要がある、(2) パルプシートへの
薬品の定着量が一定しない(薬品の定着量が低い。)、
(3) 通常複数の抄紙機が共通の循環白水を使用している
ため、サイズ性を必要としない抄紙を平行して行うこと
ができない、(4) 歩留まり向上剤の効果が安定しない。
歩留まりを強化するとDIP系の着色異物をなどもシー
トに抄き込んでしまう、(5) 吸水抵抗性が径時変化す
る、(6) 中性化及び軽量化した新聞高速抄紙では、内添
サイズ剤の歩留まりが低下する傾向があり、吸水抵抗性
を持たせることが難しい、(7)DIPを80%以上含有す
る新聞印刷用紙を1000m/分以上の高速で抄紙する場
合、内添サイズ剤の歩留まりが低下する傾向があり、吸
水抵抗性を持たせることが難しい、など多くの問題点が
あり、薬品の添加量のコントロールが難しく、状況に応
じて内添サイズ剤及び歩留まり向上剤を増減して添加す
る必要があった。
【0012】内添サイズ剤の効きが悪い場合、内添サイ
ズ剤は過剰添加となり、紙力の低下、マシントラブル、
疎水性サイズ剤の付着並びに蓄積が原因して著しい白水
系の汚れなどを引き起こしやすく、コスト、品質、操業
性などの面から問題があった。また、原料配合を変更す
ることは、実機では原料の大きな変動などがあり、一時
的対応策としてはともかく、長期的対応策としては、不
適当であった。特に、中性化及び軽量化の高速抄紙にお
いて、品質を従来の新聞印刷用紙と同じに維持または、
向上させることは、新聞紙製造メーカーにとって重要な
技術課題である。
【0013】また、新聞印刷用紙の吸水抵抗性コントロ
ール対策として、薬品を外添する方法、言い換えれば、
一般印刷用紙で用いられている表面サイズ剤を外添する
方法(外添サイズ)の適用も考えられるが、実際にはコ
ストの面からみて十分な吸水抵抗性が得られない問題が
あり、本格的に実用化されていない。
【0014】新聞印刷用紙への表面処理剤の塗工は、経
済的な側面から、オンマシーン塗工が一般的であり、高
速塗工が可能な被膜形成転写方式であるゲートロールコ
ーターが用いるのが普通である。このゲートロールコー
ター方式の特徴は、例えば、紙パ技協誌Vol.43,No.4(1
989)p36 、紙パルプ技術タイムスVol.36,No.12(1993)p
20などに簡単にまとめられているが、一般印刷用紙で用
いられている従来型2ロールサイズプレス方式と比較し
て、塗工液を紙表面にとどめることが可能であり、紙表
面の改良に効果的である点にある。すなわち、2ロール
サイズプレス方式では、原紙は、塗工液のポンド(液溜
り)中を通過するため、塗工液の原紙内部への浸透が非
常に大きいのに対し、ゲートロールコーター方式では、
塗工液があらかじめ被膜を形成し、その膜が転写が行わ
れるため、塗工液の原紙内部への浸透があまり起こらな
い。そのため、ゲートロールコーター方式では、塗工材
料が原紙表面にとどまる傾向があることを記載してい
る。
【0015】そこで、本発明では、薬品を外添する方法
のみで、吸水抵抗性(サイズ性)を改良した印刷用紙、
片面で0.3 g/m2 以下の塗布量で60秒以上の点滴吸水
度を有する印刷用紙の提供を課題とした。
【0016】
【課題を解決するための手段】しかしながら、10秒以下
のノーサイズで機械パルプの含有率の高い新聞印刷用紙
原紙の場合、300 〜1000m/分の範囲の速度でのゲート
ロールコーターによる塗工においても、片面で0.3 g/
2 以下の塗布量では、塗工液が原紙内部に浸透するこ
とを完全に抑制し、理想的な吸水抵抗性のバリアを原紙
表面に作ることができないことが、実験的に明らかにな
った。すなわち、比較的原紙表面のみに塗工され易い表
面サイズ剤を用い、且つゲートロールコーターによる塗
工を行っても、片面で0.3 g/m2 以下の塗布量では十
分なサイズ効果(吸水抵抗性の付与効果)が得られない
欠点があった。
【0017】本発明者らは、パルプ分として機械パルプ
を30重量%以上含有する印刷用紙原紙上に、カチオン性
を有するポリアクリルアミド及び水溶性アニオン性共重
合体の2者を主体とする吸水抵抗性コントロール組成物
から成る塗工層を、1100〜1800m/分の速度でゲートロ
ールコーターで塗工することによって、片面で0.3 g/
2 以下の塗布量で60秒以上の点滴吸水度を有する印刷
用紙が得られるを見出し、本発明の課題を解決した。こ
の方法によって、表面処理剤が紙層内部に浸透すること
を抑制でき、高い吸水抵抗性が得られる。また、この方
法は、一般印刷用紙にも適用可能であるが、特に機械パ
ルプの含有率の高い新聞印刷用紙の場合に有効であるの
で、以下、新聞印刷用紙について説明する。
【0018】新聞印刷用紙原紙に、ノニオン性ポリアク
リルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド(例えば、
第3級アミン基及び/又は第4級アンモニウム塩基を有
する水溶性ポリアクリルアミド)、あるいは両性ポリア
クリルアミドを単独で塗工しても、表面強度の向上を図
ることができるものの、吸水抵抗性を改良することはで
きなかった。例えば、酸化澱粉を新聞印刷用紙原紙に、
塗布量0.5 〜1.0 g/m2 の範囲で塗布しても、その塗
工品の吸水抵抗性は、後述の点滴吸水度法で数秒程度で
あり、不十分であった。
【0019】また、アニオン性の疎水基を有する共重合
体を単独に塗工しても、表面強度を補強する効果が不十
分で、泡の発生が多く、点滴吸水度で60秒以上の吸水抵
抗性は得られない。
【0020】また、これらの表面処理剤では、塗工品の
剥離性に問題のないレベルで、吸水抵抗性を改良するこ
とはできなかった。
【0021】また、後に述べるが、本発明の吸水抵抗性
コントロール層は、イオン的なコンプレックスによるも
のと考えることもできると思われる。このようなコンプ
レックスを紙用薬品に応用した例としては、例えば、紙
パ技協誌(VOL.45, No.2, (1991) 245-249)に、アニオ
ン性紙力剤と特殊なカチオン性紙力剤を混合して、高分
子量のイオンコンプレックスを形成させた紙力増強剤
を、パルプスラリーに添加する方法が記載されている。
しかしながら、この方法は、あくまでも薬品をパルプス
ラリーに内添する方法であり、また吸水抵抗性の向上を
目的としたものではない。また、特開昭60-119297 号公
報などにも、アニオン型疎水性サイズ剤とカチオン型保
持剤による紙のサイズ方法がされている。しかしなが
ら、この方法も、薬品を内添する方法であり、前述のよ
うな内添に伴う諸問題を解決することはできない。
【0022】一方、特開昭52-148211 号公報、特開昭56
-118995 号公報、特開平3-54609 号公報などに、アニオ
ン性樹脂及びカチオン性樹脂を含有する塗布液を用いた
表面サイジング方法などが開示されている。特開昭52-1
48211 号公報では、アニオン性樹脂及びカチオン性樹脂
を含有する塗布液を用いた段ボール用強化中芯紙の製造
方法について記載されている。しかしながら、この方法
は、主として、圧縮強度、および剛度の改良を図ったも
のであり、特に、吸水抵抗性の向上を目的としたもので
はない。また、この公報の実施例では、薬品の塗布量も
10g/m2 程度であり、一般印刷用紙に適応されるに
は、ほど遠いレベルである。特開昭56-118995 号公報で
は、例えば、酸化澱粉、塩化ビニリデン/アクリルアミ
ド共重合体及びポリエチレンイミンから成る表面サイズ
剤を用いる耐油紙の製造方法が記載されている。しかし
ながら、耐油紙が、油に対する抵抗性が求められる紙で
あるのに対し、本発明の印刷用紙は、オフセット印刷に
おける高速印刷に対応して、インク(言い換えれば、
油)に対しての吸収性が求められる紙であり、全く正反
対の技術である。また、特開昭56-118995 号公報では、
ケテン2量体、カチオン化澱粉及びアニオン性重合体の
3者から成る表面サイジング剤が開示されているが、こ
の表面サイジング剤では、摩擦係数の低下の問題があ
る。
【0023】さらに、特開昭62-122781 号公報及び特開
昭62-146674 号公報などには、塩基性ポリマーと酸性ポ
リマーとのポリマーコンプレックスを含有するインク受
容層を有するインクジェット記録用被記録材が開示され
ている。しかし、これらの公報では、両ポリマーは、ジ
メチルホルムアミドなどの有機溶媒に溶解して、塗布液
としているため、機械パルプの含有率の多い印刷用紙に
適応するのは困難である。また、インクジェット用紙は
機械パルプはほとんど使用されず、LBKPの比率の高
い原紙を使用する。インクジェット記録用被記録材は、
水−多価アルコール混合系から成るインクジェット用イ
ンクに対する受容性(言い換えれば、吸収性)が要求さ
れており、本発明で求めている吸水抵抗性とは、異なる
要求である。
【0024】しかしながら、本発明者らは、機械パルプ
の含有率の高い新聞印刷用紙原紙に、特定のポリアクリ
ルアミド及びアニオン性の疎水基を有するポリマーの2
者を組み合わせた吸水抵抗性コントロール組成物から成
る塗工層を、塗工速度1100〜1800m/分でゲートロール
コーターで塗工する方法によってのみ、吸水抵抗性を改
良し、かつ表面強度と剥離性をバランスよく改良した新
聞印刷用紙が得られることを見出だし、本発明を完成す
るに至った。
【0025】すなわち、本発明は、紙表面に、下記の成
分A及び成分Bの2成分を主体とする吸水抵抗性コント
ロ−ル組成物を含有した塗工層を設けた、パルプ分とし
て機械パルプの含有率が30重量%以上の印刷用紙、特に
新聞印刷用紙に関する。
【0026】成分A:カチオン性を有する水溶性ポリア
クリルアミド 成分B:疎水性置換基を有するモノマーと、カルボキシ
ル基またはスルホン酸基を有するモノマーとの水溶性ア
ニオン性共重合体 本発明の吸水抵抗性コントロール組成物は、上記成分A
及びBの2成分を主体として構成される。
【0027】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物で
用いられる成分Aは、カチオン性を有するポリアクリル
アミド(以下、「ポリアクリルアミド」を「PAM」と
略す。)であり、ノニオン性PAM、カチオン性PA
M、両性PAMが含まれる。
【0028】成分Aとして使用されるノニオン性PAM
としては、例えば、(メタ)アクリルアミド(ここで、
(メタ)はメタがある場合も含むという表示として使用
し、「(メタ)アクリルアミド」とは、「メタアクリル
アミド及び/またはアクリルアミド」を意味する。以
下、同様とする)の重合体、あるいは共重合体、(メ
タ)アクリルアミドと共重合可能なノニオン性モノマー
と(メタ)アクリルアミドの共重合体などが挙げられ
る。これらのPAMは、本質的にはノニオン性である
が、一部のアミド構造がアミディニウム(−CONH3
+ )の形で存在し、若干の弱いカチオン性を帯びている
とされている。それ故、ノニオン性PAMでも、本発明
において、成分Aとして、使用することが可能である。
【0029】また、成分Aとして用いられるカチオン性
PAM及び両性PAMは、簡単に言えば、カチオン性モ
ノマー単位を有しているPAMのことであり、望ましく
は、カチオン性モノマー単位として、第3級アミン基
(あるいは、第3級アミン塩基)を有するモノマー単位
及び/または第4級アンモニウム塩基を有するモノマー
単位を有するPAMがよい。また、基本的に、カチオン
性モノマー単位以外にアニオン性モノマー単位を含有し
ていないPAMが、カチオン性PAMであり、他方、カ
チオン性モノマー単位以外にアニオン性モノマー単位も
有するPAMが両性PAMである。
【0030】カチオン性モノマー単位について、具体的
に言及すれば、一般式[1]及び[2]で表されるモノ
マー単位が、さらに好ましい。
【0031】
【化1】
【化2】 (ここで、Rは、メチル基、あるいは水素原子を表す。
Yは、NH、あるいは酸素原子を表す。Zは、CH2
H(OH)CH2 、あるいは炭素数1〜4個のアルキレ
ン基を表す。R1 、R2 及びR3 は、炭素数1〜18個の
アルキル基、ベンジル基、あるいは水素原子を表す。た
だし、R1 、R2 及びR3 は、同一でも、異なっていて
もよい。Xイオンは、陰イオンを表し、ハロゲン原子イ
オン(塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、
硫酸イオン、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン、
エチル硫酸イオンなど)、アルキルスルホン酸イオン、
アリールスルホン酸イオン、酢酸イオンを表す。) カチオン性モノマー単位をPAMに導入する方法として
は、例えば、(a) 各種PAMをマンニッヒ反応を利用し
て変性させる方法、(b) 各種PAMをホフマン分解反応
を利用して変性させる方法、(c) 第3級アミン基、ある
いは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーを共重合
させる方法、(d) 第3級アミン基を有するモノマーを共
重合させた後、アルキル化、アリール化などの反応によ
り、第4級アンモニウム塩基に変換する方法などが挙げ
られる。
【0032】例をあげると、(c) の共重合させる方法で
は、例えば、(メタ)アクリルアミドとカチオン性モノ
マー(第3級アミン基、あるいは第4級アンモニウム塩
基を有するモノマー)、あるいは(メタ)アクリルアミ
ド誘導体とカチオン性モノマーを用いて共重合させれば
よい。言い換えれば、本発明では、成分Aとして、(メ
タ)アクリルアミドと後述のカチオン性モノマーの共重
合体を使用することが可能である。
【0033】この方法において、用いられる第3級アミ
ン基を有するモノマーとしては、例えば、N,N-ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプ
ロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-エ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジフェニ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルア
ミド、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル
-5- ビニルピリジンなどが挙げられる。
【0034】一方、この共重合法において、使用可能な
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーとしては、
(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、(メタ)アクロイルオキシエチルジメチ
ルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイ
ルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、
(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルベンジルア
ンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリ
ルアミドプロピルトリエチルアンモニウムクロライド、
(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアン
モニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムク
ロライド、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド、
(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウ
ムサルフェートなどが例示することができる。
【0035】また、この共重合させる方法では、本発明
に支障のない範囲で、さらに、(メタ)アクリルアミ
ド、あるいは上述のカチオン性モノマーと共重合可能な
モノマーを使用してもよい。すなわち、本発明では、成
分Aとして、(メタ)アクリルアミドとカチオン性モノ
マーと後述の共重合可能なモノマーの共重合体を使用す
る場合もある。
【0036】この方法で使用される共重合可能なモノマ
ーとしては、例えば、エチレン、ブタジエン、スチレ
ン、α−メチルスチレン、イソプレン、プロピレン、酢
酸ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステ
ル、N-メチロール化(メタ)アクリルアミド、メチレン
ビスアクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、エチレンジ
(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、
マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸、クロ
トン酸、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メ
タ)アクリレート、エチレンスルホネートのナトリウム
塩、p-スチレンスルホネートのナトリウム塩、ビニルベ
ンジルスルホニウム塩、ビニルベンジルホスホニウム塩
などが挙げられる。これらのモノマーのうち、アクリル
酸、イタコン酸などのアニオン性モノマーを使用すれ
ば、両性PAMを得ることが可能である。
【0037】(d) の第3級アミン基から第4級アンモニ
ウム塩基への変換する方法において、用いられるアルキ
ル化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、塩化メチル、
臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化ベンジル、臭化ベンジ
ルなどが挙げられる。
【0038】本発明では、成分Aとして用いられるPA
Mとして、カチオン性PAM及び両性PAMを、吸水抵
抗性コントロール(吸水抵抗性付与)の点では、ノニオ
ン性PAMより好ましく使用する。というのは、ノニオ
ン性PAMでは、一部に存在するアミディニウム構造に
由来するカチオン性が微弱であるため、吸水抵抗性付与
効果が小さいからである。また、カチオン性PAM及び
両性PAMにおいて、そのカチオン性モノマー単位の比
率は、 0.1モル%以上であることが望ましい。カチオン
性モノマー単位の比率が 0.1モル%未満の場合、吸水抵
抗性コントロールの効果が若干弱くなる傾向がある。さ
らに、カチオン性PAMと両性PAMを比較すると、高
い吸水抵抗性を得たい場合は、カチオン性PAMがより
好ましい。
【0039】成分Aとして用いられる各PAMは、対応
するモノマーを、従来公知の方法、例えば、水溶液重合
法、溶媒重合法、逆相乳化重合法、沈殿重合法、懸濁重
合法などの方法で、重合、あるいは共重合させて得るこ
とができる。
【0040】本発明では、成分Aとして、1種類のPA
M単独で用いてもよいし、2種類以上のPAMを混合し
て用いてもよい。
【0041】本発明の成分Aとして使用されるPAMに
おいて、その重量平均分子量は、20万〜400 万の範囲に
あることが適当である。PAMの平均分子量が20万より
小さい場合、そのようなPAMは、十分な被膜形成を行
えず、吸水抵抗性付与及び表面強度向上効果が不十分で
ある。他方、PAMの平均分子量が 400万より大きい場
合、そのようなPAMは、粘性が高くなり、操業上の問
題を生じる恐れがあり、塗工品の剥離性にも満足の行か
ない結果となる。用いられるPAMの平均分子量につい
ては、一般的に、吸水抵抗性付与及び表面強度の点から
考えれば、“平均分子量が高い”ことが好ましいが、塗
工品の剥離性の点では、逆に、“平均分子量が低い”こ
とが好ましいと考えられる。そのため、PAMの平均分
子量は、前述の範囲内で、要求される仕様に応じて、適
宜、決定すればよい。吸水抵抗性、表面強度及び剥離性
の3者について総合的に考えた場合、用いられるPAM
の平均分子量は、50万〜200 万の範囲が好ましく、さら
に望ましくは、70万〜120万の範囲である。
【0042】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物で
用いられる成分Bは、疎水性置換基を有するモノマーと
アニオン性モノマー(カルボキシル基、もしくはスルホ
ン酸基を有するモノマー)との共重合体のことである。
【0043】疎水性置換基としては、炭素数6個以上の
置換基であればよく、特に限定されるものではない。塗
工材料の泡立ちの問題、求められる吸水抵抗性の程度な
どに応じて、適宜決定すればよい。疎水性置換基とし
て、例えば、炭素数6個以上のアルキル基、炭素数6個
以上のアルケニル基、炭素数6個以上のシクロアルキル
基、炭素数6個以上のアリール基、あるいは炭素数7個
以上のアラルキル基などが挙げられる。
【0044】疎水性置換基を有するモノマーとしては、
例えば、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、α−
メチルスチレン、クロロスチレン、シアノスチレンな
ど)、オレフィン系モノマー(例えば、ヘキセン、オク
テン、デセンなど)、(メタ)アクリル酸エステル、マ
レイン酸エステル、などが挙げられる。このようなモノ
マ−については、“高分子学会編「高分子データハンド
ブック−基礎編−」培風館(1986)”などに詳しく述べ
られている(スチレン系モノマーについては、P47 の
表5-1 、オレフィン系モノマーについては、P 2の表1-
1 、アクリル酸エステルについては、P 105の表10-1、
マレイン酸エステルについては、P 162の表14-1などに
例が挙げられている。)ので、これらの中から、疎水性
置換基を有するモノマーを選んでもよい。
【0045】アニオン性モノマー(カルボキシル基、も
しくはスルホン酸基を有するモノマー)としては、例え
ば、アクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸、メタ
アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2-エチルア
クリル酸、3-tert- ブチルアクリル酸など)、マレイン
酸系モノマー(例えば、マレイン酸、メチルマレイン
酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、フマール
酸、イタコン酸、ムコン酸など)、2-アクリルアミドプ
ロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n- ブタンスルホ
ン酸、2-アクリルアミド-n- ヘキサンスルホン酸、2-ア
クリルアミド-n-オクタンスルホン酸、2-アクリルアミ
ド-n- ドデカンスルホン酸、2-アクリルアミド-2- メチ
ルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2- フェニル
プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4- トリメ
チルペンタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-(4-クロ
ロフェニル)プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド
-n-テトラデカンスルホン酸、4-メタクリルアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレ
ート、p-ビニルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン
酸、エチレンスルホン酸などが挙げられる。
【0046】この共重合体において、疎水性置換基を有
するモノマーとアニオン性モノマーの比率は、90:10〜
40:60の範囲が望ましい。疎水性置換基を有するモノマ
ー、およびアニオン性モノマー、各々、少なくとも1種
類以上用いればよい。
【0047】また、この共重合体では、本発明に支障の
ない範囲で、上述の疎水性置換基を有するモノマー及び
/またはアニオン性モノマーと重合可能なアニオン性、
もしくはノニオン性モノマーと少量共重合させてもよ
い。
【0048】この共重合体の製造方法としては、例え
ば、水溶液重合法、溶媒重合法、逆相乳化重合法、沈殿
重合法、懸濁重合法などの方法を挙げることができる。
【0049】この共重合体は、言葉を変えれば、アニオ
ン性親水性ポリマーであり、その酸価が50〜500 の範囲
にあることが好ましく、さらに限定するならば、100 〜
300の範囲にあることが望ましい。酸価が50より小さい
場合、その共重合体は、水溶性が十分でなく、かつ成分
Aとの相互作用が弱く、そのため好ましくない。また、
酸価が500 より大きい場合、その共重合体は、アニオン
性が強すぎて、好ましくない。
【0050】さらに、この共重合体は、0.1 万〜100 万
程度の重量平均分子量であればよく、さらに望ましくは
0.1 万〜10万の範囲が望ましい。分子量が0.1 万より小
さい場合、共重合体が十分な被膜形成を行えず、表面強
度及び吸水抵抗性コントロールの点で好ましくない。他
方、分子量が100 万より大きい場合、塗工液の高粘度な
どに由来する操業上の問題を生じる恐れがある。
【0051】成分Bとして用いられる共重合体は、具体
的に述べると、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合
体、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル
酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、
スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/
マレイン酸エステル共重合体、スチレン/2-アクリルア
ミドプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸
/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、α−オレフィ
ン/マレイン酸共重合体、オレフィン/アクリル酸共重
合体などを挙げることができる。これらの中でも、スチ
レン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリ
ル酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体及びα−
オレフィン/マレイン酸共重合体が、吸水抵抗性付与の
点で、より好ましい。また、特に、親水性置換基と疎水
性置換基のバランスが優れている点で、スチレン/アク
リル酸共重合体及びα−オレフィン/マレイン酸共重合
体が望ましく、両者を比較した場合は、スチレン/アク
リル酸共重合体が最も望ましい。
【0052】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
は、前述したように、成分AおよびBの2成分を主体と
して構成される。この組成物の各成分の比率(重量比)
は、製造される新聞印刷用紙に対して、求められる吸水
抵抗性の程度、剥離性の程度、あるいはこの組成物の塗
布量にも依存するため、必ずしも限定できるものではな
い。しかしながら、あえて限定すれば、成分Aと成分B
の比率(A:B)が、20:80〜80:20の範囲にあればよ
く、経済性も考慮すると、さらに望ましくは、A:B=
40:60〜60:40の範囲がよい。
【0053】本発明で用いられる吸水抵抗性コントロー
ル組成物は、基本的に、成分A及びBの2者のみから構
成されればよく、成分Bが剥離性に有利に働くためか、
後述の塗布量領域では、それらだけでも良好な剥離性を
得ることが可能である。しかし、さらに剥離性を向上さ
せるため、言い換えれば、ネッパリ対策のために、本発
明に支障のない範囲(例えば、吸水抵抗性に悪影響を与
えない、塗工時の泡立ちが塗工に問題ないレベルである
など)で、少量の粘着防止剤を添加してもよい。剥離成
分としては、例えば、特公昭63-58960号公報記載のモノ
アルケニルコハク酸塩、特開平6-57688 号公報記載の有
機フルオロ化合物から成る粘着防止剤、特開平6-192995
号公報記載の置換コハク酸および/または置換コハク酸
誘導体を有効成分とする粘着防止剤などが挙げられる。
粘着防止剤の添加率(成分Aと成分Bの固形分の合計に
対する粘着防止剤の固形分の比率)は、10%以下(重量
%)が適当である。添加率が10%より高い場合、塗工時
の泡立ちの問題などを引き起こす恐れがある。
【0054】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
は、基本的に、他のバインダー的な成分を併用する必要
はないが、本発明に支障のない範囲(例えば、剥離性に
対して差支えない範囲)で、そのような成分を少量含有
させる場合もある。他のバインダー的な成分として、例
えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースなどのセルロース類;スチレン/ブ
タジエン共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合
体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸エステル共重合
体などのラテックス類;完全ケン化PVA、部分ケン化
PVA、アミド変性PVA、カルボキシ変性PVA、ス
ルホン酸変性PVAなどのPVA類;アニオン性PAM
などのPAM類;シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹
脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などの各種樹脂類などが
挙げられる。特に、PVA類は、紙に塗布した時に、湿
潤時の紙の粘着性を上げる傾向にあるので、併用する際
には、その併用量について十分な注意が必要である。
【0055】また、本発明の吸水抵抗性コントロール組
成物は、本発明に影響のない範囲で、防腐剤、消泡剤、
紫外線防止剤、退色防止剤、蛍光増白剤、粘度安定化
剤、防滑剤などの助剤や填料を含有してもよい。
【0056】本発明では、対象となる原紙は、必ずし
も、新聞印刷用紙原紙に限定されるものではないが、新
聞印刷用紙原紙の場合に、本発明の効果が顕著に認めら
れるので、以下に言及する。
【0057】本発明で用いる、パルプ分として機械パル
プを30重量%以上含有する印刷用紙原紙及び新聞印刷用
紙原紙は、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカル
パルプ(TMP)、セミケミカルパルプなどの機械パル
プ(MP)30重量%以上に対し、残りの部分をクラフト
パルプ(KP)に代表されるケミカルパルプ(CP)及
びこれらのパルプを含む故紙を脱墨して得られる脱墨パ
ルプ(DIP)及び抄紙工程からの損紙を離解して得ら
れる回収パルプなどを、単独、あるいは任意の比率で混
合したものである。なお、DIPが機械パルプの含有率
がほぼ100 %である故紙から製造された場合は、このよ
うなDIPは機械パルプとみなす。パルプ分として機械
パルプを30重量%以上含有する本発明の印刷用紙におい
て効果が顕著なのは、坪量37〜43g/m2 未満に抄造し
た原紙である。坪量46g/m2 以上の原紙の場合、その
原紙は、表面強度を十分に持っており、またオフセット
印刷時の湿し水に起因する用紙の寸法変化、あるいは強
度低下も無視できる程度であると考えられるので、必ず
しも、薬品の外添により吸水抵抗性、および表面強度の
両者を同時に改良する必要はない。
【0058】一方、本発明で用いる原紙のDIPの配合
率については、任意の範囲(0 〜70重量%)で配合すれ
ばよい。最近のDIPの高配合化の流れからすると、30
〜70重量%の範囲がより好ましい。
【0059】この新聞印刷用紙原紙には、必要に応じ
て、填料としてホワイトカーボン、クレー、シリカ、タ
ルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、合成樹脂(塩化ビ
ニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メ
ラミン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体系樹脂
など)などの製紙用填料を添加できる。特に中性抄紙に
おいては、炭酸カルシウムが有効である。また、ポリア
クリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分
子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン
/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/
アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン
化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイ
ド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物な
どのろ水性/歩留まり向上剤;硫酸アルミニウム(硫酸
バンド)、紫外線防止剤、退色防止剤などの助剤などを
含有してもよい。しかしながら、これらの薬剤の添加量
は、本発明の吸水抵抗性コントロール組成物の吸水抵抗
性コントロールを損なわない範囲で行う必要がある。こ
の原紙の物性は、オフセット印刷機で印刷できるもので
ある必要があり、通常の新聞印刷用紙程度の引張り強
度、引裂き強度、伸びなどの物性を有するものであれば
よい。
【0060】また、この新聞印刷用紙原紙は、内添サイ
ズを施した原紙を用いてもよい。しかしながら、本発明
では、前述したような内添に伴う問題を解決する意味も
あるので、どちらかと言えば、内添サイズを施していな
い原紙を用いた方が、本発明の効果をより発揮させるこ
とができる。すなわち、内添サイズを行わなくても、本
発明の吸水抵抗性コントロール組成物の外添により、内
添サイズと同程度、もしくはそれ以上の吸水抵抗性を付
与させることが可能である。例えば、本発明の吸水抵抗
性コントロール組成物は、後述の点滴吸水度法で、10秒
未満の新聞印刷用紙原紙において、十分に適用可能であ
る。
【0061】また、本発明の新聞印刷用紙原紙は、酸性
の新聞印刷用紙原紙であってもよいし、中性あるいはア
ルカリ性の新聞印刷用紙原紙であってもよい。
【0062】新聞印刷用紙のようなサイズ性の低い用紙
の紙面の吸水抵抗性の評価方法として、2つの方法が知
られている。1つの方法は、Japan TAPPI No.33 に準拠
した点滴吸水度法である。この方法は、紙面に水1μl
を滴下し、水滴が紙面に吸収されるまでの時間を測定す
る方法である。もう1つの方法は、接触角を測定する方
法(接触角法)であり、水5μlを滴下し、一定時間
(5秒)経過後の水滴の接触角を測定する方法である。
吸水抵抗性が高い(耐吸水抵抗性である)ほど、点滴吸
水度法では、吸収時間が長くなり、接触角法では、接触
角が大きく、また長時間保持される。本発明では、吸水
抵抗性の評価方法として点滴吸水度法を用いた。
【0063】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物を
含有する塗工層を、新聞印刷用紙原紙に設けることによ
り、点滴吸水度法で、10秒から300 秒にわたる広い範囲
で吸水抵抗性を制御することが可能である。また接触角
法で言うと、前述の方法で、例えば、接触角が75〜95度
の範囲で吸水抵抗性をコントロールすることができる。
すなわち、製造される新聞印刷用紙の吸水抵抗性は、本
発明の組成物の各成分の種類、各成分の配合比、組成物
の塗布量などを変化させることにより、所定の吸水抵抗
性に、自由にコントロールすることが可能である。
【0064】
【発明の実施の形態】本発明の吸水抵抗性の改良された
印刷用紙(特に、新聞印刷用紙)は、印刷用紙原紙の片
面、あるいは両面に、本発明の吸水抵抗性コントロール
組成物をゲーロールコーターにより塗工速度1100〜1800
m/分で塗工することにより製造される。
【0065】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物の
塗布量は、製造される印刷用紙に対して求められる吸水
抵抗性の程度に応じて決定されるべきであり、特に限定
されるものではないが、吸水抵抗性付与の観点からすれ
ば、本発明の吸水抵抗性コントロール組成物は、その塗
布量(言い換えれば、成分A及び成分Bの固形分量の合
計)が0.1 〜0.3 g/m2 (片面あたり)の範囲で、有
効にその効果を発揮する。塗布量が0.1 g/m2 未満で
は、本発明の吸水抵抗性コントロール組成物が十分なバ
リヤー層を形成できないためか、吸水抵抗性を改良する
ことができない。他方、塗布量を0.3 g/m2 より高く
しても、例えば、著しく剥離性が悪化する(ネッパリ現
象が生ずる。)などの問題が生じる。また、コスト的に
も不経済である。新聞印刷用紙への適用を考えた場合、
前述したように、吸水抵抗性付与、表面強度向上、およ
び剥離性の3者をバランスよく改良することが必要であ
り、その3者を総合的に考慮すれば、本発明の吸水抵抗
性コントロール組成物の塗布量(言い換えれば、成分A
および成分Bの固形分量の合計)は、0.1 〜0.3 g/m
2 (片面あたり)の範囲が最も望ましい。
【0066】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
は、塗工機として、ゲートロールコーター、ブレードロ
ッドメタリングコーターなどの被膜転写型のコーターを
用いるのが好ましく、特に、ゲートロールコーターを用
いる時、その効果を大きく発揮する。すなわち、前述し
たように、従来用いられている表面サイズ剤は、ゲート
ロールコーターでは、十分な吸水抵抗性付与効果が得ら
れない欠点があったが、本発明の組成物は、この方式で
も、前述の塗布量領域で、抄紙速度1100〜1800m/分の
範囲で塗工することにより効率よく、吸水抵抗性を改良
することが可能である。
【0067】また、本発明の吸水抵抗性コントロール組
成物を主成分とする塗工液は、ゲートロールコーター適
性にも優れている。例えば、酸化澱粉を単独でゲートロ
ールコーターで塗工した場合、塗工品に、すじ状のパタ
ーンがかなり認められるのに対して、本発明で用いられ
る塗布液を塗工した場合、そのようなすじ状のパターン
がほとんど認められず、より均一に塗布することが可能
である。
【0068】新聞印刷用紙に適用する場合も、本発明の
吸水抵抗性コントロール組成物を、新聞印刷用紙原紙
に、ゲートロールコーターにより塗工を行うのが最も望
ましい。当然のことながら、生産性の点から、コーター
は、オンマシーンコーターが望ましいのは言うまでもな
い。
【0069】すなわち、本発明の吸水抵抗性コントロー
ル組成物は、新聞印刷用紙原紙に、塗布量0.1 〜0.3 g
/m2 の範囲(片面あたり)で、ゲートロールコーター
により両面塗工すればよい。
【0070】新聞印刷用紙の場合、用紙の表面が均一で
なく、外添(特に、ゲートロールコーター)により、比
較的低塗布量領域で、用紙表面に吸水抵抗性のバリヤー
層を設けることが困難であるとされている。しかしなが
ら、本発明の吸水抵抗性コントロール組成物は、塗工速
度1100〜1800m/分と生産性が高く、比較的低塗布量
で、吸水抵抗性付与効果が認められるという優れた特徴
がある。
【0071】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物を
含有する塗工層を、印刷用紙表面に設けても、摩擦係数
の低下は認められない。従来から、一般に、アニオン性
スチレン/酸モノマー共重合体は、サイズプレスにより
紙に塗工した場合、その塗工紙の動/静摩擦係数を低下
させることが知られている。しかし、本発明の吸水抵抗
性コントロール組成物は、そのような傾向は認められ
ず、特に、防滑剤を配合させる必要はない。新聞印刷用
紙に適用した場合、製造される新聞印刷用紙の動摩擦係
数は、0.40〜0.70の範囲にあることが望ましく、本発明
によれば防滑剤がなくともこの範囲の摩擦係数を得るこ
とができる。
【0072】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
は、フェルト面の方がワイヤー面と比較して、少ない塗
布量で、吸水抵抗性を向上させることが可能である。
【0073】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物を
使用した新聞印刷用紙は、吸水抵抗性を広い範囲でコン
トロールすることが可能なので、印刷時に使用される各
種インクに幅広く対応することができる。例えば、油性
インク中に湿し水を混入させたエマルジョンインクなど
の特殊インク、水なし平版用のタック性の高いインクな
どへも対応することができる。
【0074】前述したように、新聞印刷用紙の改良は、
一般の上質系印刷用紙と比較して、困難である。そのた
め、一般の印刷用紙用の技術を、新聞印刷用紙用の技術
に直接転用するには無理がある。しかしながら、逆に、
新聞印刷用紙用の技術を一般印刷用紙用の技術に転用す
るのは、比較的容易である。それ故、本発明の吸水抵抗
性コントロール組成物は、新聞印刷用紙に限らず、一般
印刷用紙に適応することも可能であり、新聞印刷用紙の
場合と、同様な効果(例えば、吸水抵抗性の改良、表面
強度の改良など)を得ることができる。
【0075】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物を
用いることにより、操業上の問題を生じやすい内添サイ
ズを行うことなく、サイズ性の異なる多品種の銘柄の印
刷用紙を容易に製造することが可能である。また、この
印刷用紙は、表面強度も同時に改良されている。
【0076】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
を、印刷用紙原紙に、0.05〜2.0 g/m2 の範囲(片面
あたり)の塗布量領域で、ゲートロールコーターで塗工
することにより、吸水抵抗性を改良した用紙を得ること
が可能であり、特に、本発明の組成物を、新聞印刷用紙
原紙に、0.1 〜0.3 g/m2 の範囲(片面あたり)の塗
布量領域で、抄紙速度1100〜1800m/分の範囲でゲート
ロールコーターで塗工することにより、吸水抵抗性、表
面強度及び剥離性の3者をバランスよく改良した高速オ
フセット印刷に適した新聞印刷用紙を得ることができ
る。その理由については、明確な理由は、未だ解明され
ていないが、以下のように推定される。
【0077】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
は、原紙に塗工、次いで乾燥される際、吸水抵抗性をコ
ントロールすることが可能な疎水性コンプレックス被膜
を形成するためだと考えられる。すなわち、成分A(カ
チオン性を有するPAM)及び成分B(疎水性基を有す
るアニオン性水溶性ポリマー)が、イオン的なコンプレ
ックスを形成し、ついには疎水性置換基を外側に向けて
配向した被膜を作り、紙表面に疎水性バリヤー層が得ら
れるものと考えられる。
【0078】吸水抵抗性の向上の点だけから言えば、成
分Bだけでも、吸水抵抗性を向上させることができると
考えられるが、成分Aが、紙表面上で、成分Bを、イオ
ン的、あるいは化学的面などから効果的に保持してお
り、被膜形成(言い換えれば、吸水抵抗性向上)に非常
に有利に働いていると思われる。
【0079】また、成分Aは、成分Bの保持作用の他
に、表面強度の向上にも大きく寄与していると考えられ
る。
【0080】しかしながら、本発明の吸水抵抗性コント
ロール組成物を塗工速度1100m/分以下でゲートロール
コーターでした場合、吸水抵抗性は十分ではなかった。
これに対して、塗工速度1100m/分以上で塗工した場
合、0.1 〜0.3 g/m2 (片面あたり)の低塗布量領域
でも、点滴吸水度で60秒以上の十分な吸水抵抗性が得ら
れた。この理由については、高速で塗工することによっ
て吸水抵抗性コントロール組成物が原紙内部に浸透する
前に乾燥され、原紙表面に存在する吸水抵抗性コントロ
ール組成物の割合が多くなるためと推定される。
【0081】
【実施例】以下、本発明を、合成例、実施例及び比較例
に従って、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。なお、説明中、部及びパーセント
は、それぞれ重量部及び重量パーセントを示す。
【0082】〈PAMの合成〉還流冷却管を備えた四ツ
口フラスコに、80%メタクロイルオキシエチルトリメチ
ルアンモニウムクロライド(7.8 g)、40%アクリルア
ミド水溶液(168.6 g)及びイオン交換水(300 g)を
仕込み、窒素雰囲気下60℃まで加熱後、その反応液に、
過硫酸アンモニウム1%水溶液(10g)及び亜硫酸水素
ナトリウム1%水溶液(2 g)を加え、85℃で1時間反
応させた後、冷却して、カチオン性を有するPAMを得
た。このPAMの重量平均分子量は、74万であった。
【0083】〈塗布液の調製〉本発明に該当するPAM
の水溶液(成分A)と疎水性置換基を有するアニオン性
共重合体の水溶液(成分B)を、所定の比率で加えるこ
とにより、簡単に本発明の吸水度コントロール組成物の
塗布液を調製することができる。混合した時に、不溶性
の沈殿物を生じる塗布液は、本発明では好ましくない。
【0084】〈新聞印刷用紙原紙の製造〉DIP(脱墨
パルプ)35部、TMP(サーモメカニカルパルプ)30
部、GP(グランドパルプ)20部、KP(クラフトパル
プ)15部の割合で混合離解し、フリーネスをCSF 200
mlに調製した混合パルプをベルベフォーマー型抄紙機
にて、抄紙速度1100〜1800m/分で抄紙し、未サイズ、
ノーカレンダーの新聞印刷用紙原紙を得た。この原紙
は、坪量43g/m2 、密度0.65、白色度51%、平滑度60
秒、静摩擦係数0.45、動摩擦係数0.56であり、一般の新
聞印刷用紙と吸水抵抗性以外の紙質(例えば、強度な
ど)は、同等の原紙であった。また、この原紙は、内添
サイズ剤を含まず、吸水抵抗性の程度は、点滴吸水度法
で、5 秒であった。
【0085】〈新聞印刷用紙の製造〉 [実施例1〜5]カチオン性を有するPAMの水溶液
に、スチレン・アクリル酸共重合体(重量平均分子量39
000 、酸化値230 )の水溶液を、配合比1:1(固形分
重量比)で加え、さらに、剥離成分(炭素数10〜16個の
アルケニルコハク酸のナトリウム塩(特公昭63-58960号
公報記載物))を添加し、塗布液を調製した。得られた
塗布液を、前述の新聞印刷用紙原紙のF面に、ゲートロ
ールコーターを用いて、塗工速度をかえて1100m/分、
1200m/分、1300m/分、1500m/分、1800m/分で塗
工した。塗布後、スーパーカレンダー処理を行い、新聞
印刷用紙を得た。配合比:PAM/スチレン・アクリル
酸共重合体/剥離剤=1/1/0.05
【0086】[比較例1〜5]実施例1〜5と同様の塗
工剤即ちカチオン性を有するPAMの水溶液に、スチレ
ン・アクリル酸重合体の水溶液を、配合比1:1(固形
分重量比)で加え、さらに、剥離成分(炭素数10〜16個
のアルケニルコハク酸のナトリウム塩(特公昭63-58960
号公報記載物))を添加し、塗布液を調製した。得られ
た塗布液を、実施例1〜5と同様の新聞印刷用紙原紙の
F面に、ゲートロールコーターを用いて、塗工速度を30
0 m/分、600 m/分、1000m/分に変化させて塗工し
た。また、塗布量を変化させて塗工した。塗布後、スー
パーカレンダー処理を行い、新聞印刷用紙を得た。
【0087】実施例1〜5及び比較例1〜5の新聞印刷
用紙について、塗布量、点滴吸水度、接触角、ネッパリ
強度を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0088】・塗布量の測定:ケルダール法により含有
窒素量を求め、換算した。 ・点滴吸水度の測定:前述したようにJapan TAPPI No.3
3 に従った。 ・ネッパリ強度の測定:試料を4 ×6 cmに2 枚切り取
り、塗工面を温度20℃の水に5 秒間浸せき後、塗工面同
士を密着させた。外側両面に新聞印刷用紙原紙を重ね、
50kg/m2 の圧力でロールに通し、25℃、60%RHで
24時間調湿した。3 ×6 cmの試料片とした後、引っ張
り試験機で、引っ張り速度30mm/分の条件で測定を行
った。測定値が大きいほど、剥がれにくい(逆の言い方
をすると、粘着性が強い)ことを意味する。本発明の新
聞印刷用紙では、ネッパリ強度が30.0g/3 cm以下の
ものを“剥離性が良好である”とした。なお、「破れ
た。」は、引っ張り試験機で試料を剥離させる際、接着
面で剥離が起こらずに、試料自体の層間剥離現象が起こ
ったことを意味する。言い換えれば、この測定法では測
定できないほど、粘着性が高いことを意味している。
【0089】表1 表1に示すように、1100〜1800m/分の範囲の塗工速度
で、塗工することにより、低塗布量でも効率よく、点滴
吸水度を80秒以上に低塗布量で吸水抵抗性を改良でき
た。一方、300 〜1000m/分の範囲の塗工速度では、塗
布量が多くても塗工することにより効率よく、吸水抵抗
性即ち点滴吸水度を改良できなかった。300 〜1000m/
分の範囲の塗工速度では、塗布量を増加させて点滴吸水
度を向上させると、ネッパリ強度が増加し、品質に問題
があった。
【0090】
【発明の効果】本発明の吸水抵抗性コントロール組成物
をゲートロールコーターで抄紙速度1100〜1800m/分の
範囲で塗工することにより、吸水抵抗性が改良され、か
つ表面強度、および剥離性をバランスよく有した印刷用
紙を得ることが可能である。特に、新聞印刷用紙におい
ては、高速オフセット印刷に適したものが得られる。ま
た、本発明の新聞印刷用紙では、内添サイズを施さなく
ても、本発明の吸水抵抗性コントロール組成物を外添の
みにより、サイズ性を付与させることができ、薬品の内
添に伴う諸問題の解決を図ることも可能である。さら
に、本発明の吸水抵抗性コントロール組成物の塗布量、
配合比、材料の種類などを任意に変えることにより、幅
広い品種に対応することも容易である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ分として機械パルプを30重量%以
    上含有し、点滴吸水度(Japan TAPPI No.33 に準拠、滴
    下水量1μlで測定)10秒以下である印刷用紙原紙に、
    下記の成分A及び成分Bの2成分を主体とする吸水抵抗
    性コントロール組成物から成るゲートロール塗工層を設
    けた印刷用紙であって、該ゲートロール塗工層が1100m
    /分〜1800m/分の速度で塗工され、且つ点滴吸水度が
    60秒以上であることを特徴とする印刷用紙。 成分A:カチオン性を有する水溶性ポリアクリルアミド 成分B:疎水性置換基を有するモノマーと、カルボキシ
    ル基を有するモノマーとの水溶性アニオン性共重合体
  2. 【請求項2】 印刷用紙原紙が新聞印刷用紙原紙である
    請求項1記載の新聞聞印刷用紙。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の印刷用紙において、吸水
    抵抗性コントロール組成物を構成する成分の一つである
    成分Aが、第3級アミン基および/又は第4級アンモニ
    ウム塩基を有するカチオン性、あるいは両性ポリアクリ
    ルアミドであることを特徴とする印刷用紙。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の新聞印刷用紙において、
    新聞印刷用紙原紙が坪量37〜43g/m2 の範囲に軽量化
    したものであることを特徴とする新聞印刷用紙。
  5. 【請求項5】 請求項2あるいは請求項4のいずれかに
    記載の新聞印刷用紙において、吸水抵抗性コントロ−ル
    組成物を構成する成分の一つである成分Bが、スチレン
    系モノマーとアクリル酸系モノマーとの水溶性アニオン
    性共重合体であることを特徴とする新聞印刷用紙。
  6. 【請求項6】 請求項2、請求項4あるいは請求項5の
    いずれかに記載の新聞印刷用紙において、吸水抵抗性コ
    ントロ−ル組成物を構成する成分A及び成分Bの比率
    (固形分重量比)が、A:B=20:80〜80:20の範囲に
    あることを特徴とする新聞印刷用紙。
  7. 【請求項7】 請求項2、請求項4あるいは請求項5の
    いずれかに記載の新聞印刷用紙において、点滴吸水度が
    100 秒〜500 秒の範囲にあることを特徴とする新聞印刷
    用紙。
  8. 【請求項8】 請求項2、請求項4、請求項5あるいは
    請求項6のいずれかに記載の新聞印刷用紙において、吸
    水抵抗性コントロール組成物の塗布量が、0.1 〜0.3 g
    /m2 (片面当たり)の範囲にあることを特徴とする新
    聞印刷用紙。
  9. 【請求項9】 パルプ分として機械パルプを30重量%以
    上含有し、点滴吸水度(Japan TAPPI No.33 に準拠、滴
    下水量1μlで測定)10秒以下である印刷用紙原紙に、
    下記の成分A及び成分Bの2成分を主体とする吸水抵抗
    性コントロール組成物を含有した塗工層を設けた印刷用
    紙の製造方法であって、該塗工層がゲートロールコータ
    ーで1100m/分〜1800m/分以上の高速度で塗工され、
    且つ点滴吸水度が60秒以上であることを特徴とする印刷
    用紙の製造方法。 成分A:カチオン性を有する水溶性ポリアクリルアミド 成分B:疎水性置換基を有するモノマーと、カルボキシ
    ル基を有するモノマーとの水溶性アニオン性共重合体
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