JP4744105B2 - 印刷適性向上剤およびこれを塗布した紙 - Google Patents
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(1)スチレン類
(2)アルキル(メタ)アクリレート類
(3)ジアルキルジエステル類
(4)ビニルエステル類
(5)N−アルキル(メタ)アクリルアミド
(6)メチルビニルエーテル
本発明でいうカチオン性共重合体[A−1]の「モノマーユニット」とは、あるモノマーを重合した時に有する構造単位をいう。このカチオン性共重合体を構成する疎水性モノマーユニットは、共重合時に疎水性モノマーを使用することで得られる。4級アンモニウム塩を含有するモノマーユニットは、共重合時に4級アンモニウム塩を有するモノマーを使用することで得られるか、またはアミノ基を有するモノマーを共重合後、4級化剤により4級アンモニウム塩とすることで得られる。例えば、疎水性モノマーと3級アミノ基を有するモノマーを共重合した後、4級化剤を反応させることでカチオン性共重合体を得ることができる。なお、カチオン性共重合体の疎水性モノマーユニットを形成する疎水性モノマー、4級アンモニウムを含有するモノマーユニットである4級アンモニウム塩を含有するモノマー及び/または共重合後4級化することが可能なアミノ基を有するモノマー以外でも、本発明の目的とする効果が得られる範囲で、疎水性モノマーユニットを形成する一部をノニオン性モノマーユニット、アニオン性モノマーユニットに置換することができる。
(1)スチレン類:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなど
(2)アルキル(メタ)アクリレート類:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレートなど
(3)ジアルキルジエステル類:例えば、マレイン酸、フマル酸などのジメチルエステル、ジエチルエステルなど
(4)ビニルエステル類:例えば、炭素数5〜10のターシャリーカルボン酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど
(5)N−アルキル(メタ)アクリルアミド
(6)メチルビニルエーテル
(1)(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート:例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等。
(2)(ジアルキル)アミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート:ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等。
(3)(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド:ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等。
(4)ビニルピリジン
(5)ビニルイミダゾール
その中でも、(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート、(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミドが印刷適性の性能面で良好である。
本発明の印刷適性向上剤に必要に応じて使用する界面活性剤[A−2]としては、通常、乳化重合に適用できる公知の乳化剤あるいは分散剤が使用でき、例えばカチオン性、非イオン性、両性及びアニオン性の界面活性剤、ラジカル重合可能な界面活性剤が挙げられ、これらの群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
本発明の印刷適性向上剤は、前記の少なくとも疎水性モノマーユニットと4級アンモニウム塩を含有するモノマーユニットから構成されるカチオン性共重合体[A−1]、又は上記カチオン性共重合体[A−1]と界面活性剤[A−2]の存在下で疎水性モノマー[B]を乳化重合することによって得ることができる。疎水性モノマー[B]としては、前記カチオン性共重合体[A−1]で例示した疎水性モノマーと同様のものを使用できる。
(1)カチオン性共重合体[A−1]の製造方法
[合成例1]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコにスチレン60部、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部、アゾビスイソブチロニトリル2.5部及びイソプロピルアルコール44部を仕込み、80℃で3時間保持し、次いでアゾビスイソブチロニトリルを0.4部仕込み、さらに同温度で2時間保持した。次いで、90%酢酸17.0部(ジメチルアミノエチルメタクリレートに対して100モル%)、水247部を加え、イソプロピルアルコールを留去した。その後、水48部、4級化剤としてエピクロロヒドリン23.5部(ジメチルアミノエチルメタクリレートに対して100モル%)仕込み、80℃で2時間保持した。その後、水で希釈し、固形分20.7%のカチオン性共重合体(P−1)を得た。なお、共重合しなかった残留モノマーは実質的に無く、4級化剤であるエピクロロヒドリンの未反応物もほとんどなかった。
表1のカチオン性共重合体(P−2)に記載のモノマー組成にすること、4級化剤を用いなかったこと、4級化反応を行わなかったこと以外は合成例1と同様の方法で固形分20.2%のカチオン性共重合体(P−2)を得た。
使用した疎水性モノマーの種類及び使用量、3級アミノ基を含有するモノマーの種類及び使用量、4級化剤の量を表1に示すように変えた以外は合成例1と同様にしてカチオン性共重合体を得た。得られたカチオン性共重合体(P−3)〜(P−6)における固形分を表1に示した。
St:スチレン、EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート、MMA:メチルメタクリレート、EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、IBMA:イソブチルメタクリレート、DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート、DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級化物、DPA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ECH:エピクロロヒドリン、BTO:ブチレンオキシド
合成例1と同様の反応器に、水192部、カチオン性共重合体[A−1]として合成例1で得られたカチオン性共重合体(P−1)の水溶液121部(固形分として25部)、界面活性剤[A−2]として表2に記載の(N−1)を3部、疎水性モノマー[B]としてスチレン50部とノルマルブチルアクリレート50部、及び10%過硫酸アンモニウム5重量部を加え、窒素気流下で混合撹拌しながら80℃の昇温した。80℃で2時間保持して乳化重合を完結させ、固形分濃度30.3%の印刷適性向上剤1を得た。
使用したカチオン性共重合体[A−1]の種類及び使用量、界面活性剤[A−2]の種類及び使用量、疎水性モノマー[B]の種類及び使用量を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして印刷適性向上剤を得た。また、重合反応時に発生した凝集物の生成量及び得られた印刷適性向上剤固形分濃度を表2に示す。
P−1〜P−6:カチオン性共重合体(合成例1〜6)
N−1:C12H25−O−(EO)20−H
N−2:C18H37−O−(EO)20−H
N−3:C9H19−C6H4O−(EO)20−H
N−4:CH2=C(CH3)COO−(EO)20−C12H25
N−5:CH2=C(CH3)COO−(EO)20−C18H37
N−6:C12H25−N+−(CH3)2(CH2C6H5)Cl-
N−7:C6H5CH2−N+−(CH3)3Cl-
St:スチレン
BA:ブチルアクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
IBA:イソブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
(注)N−1〜N−7中の記号の説明
EO:エチレンオキシド
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、トルエン44部、ジイソブチレン50部、無水マレイン酸50部及び2,2’−アゾビスイソブチルロニトリル3.3部を加え、撹拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇させた。その後、3時間保持し反応を完結させた。その後、48%水酸化カリウム水溶液(無水マレイン酸に対して50モル%)、水251部を加え、トルエンを留去した。その後、48%水酸化カリウム水溶液を無水マレイン酸に対して合計で100モル%となるように加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化カリウム水溶液(印刷適性向上剤13(比較例用))を得た。ポリマー中のモノマー構成比は重量比で、ジイソブチレン:無水マレイン酸=50:50であった。
撹拌機、温度計、環流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに、水35部と、95%イソプロピルアルコール65部と、スチレン60部及び無水マレイン酸40部を混合したモノマー混合液と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3部とを入れ、フラスコ内容物を撹拌下に加熱し、内容物の温度を80℃にまで上昇させた。その後に4時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に28%アンモニア水溶液50部(無水マレイン酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるスチレン−マレイン酸共重合体のアンモニア水溶液(印刷適性向上剤14(比較例用))を得た。ポリマー中のモノマー構成比は重量比でスチレン:無水マレイン酸=60:40であった。
撹拌機、温度計、環流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに、水35部と、95%イソプロピルアルコール65部と、スチレン70部及びアクリル酸30部を混合したモノマー混合液と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3部とを入れ、フラスコ内容物を撹拌下に加熱し、内容物の温度を80℃にまで上昇させた。その後に4時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に28%アンモニア水溶液25.3部(無水マレイン酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニア水溶液(印刷適性向上剤15(比較例用))を得た。ポリマー中のモノマー構成比は重量比でスチレン:アクリル酸=70:30であった。
(1)酸性新聞印刷用紙原紙の製造
濾水度160カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)、濃度2.5%の脱墨パルプスラリーに、対パルプ15%(絶乾重量基準)のタルク(富士タルク株式会社製、NDタルク)、対パルプ1.5%(絶乾重量基準)の硫酸バンド、対パルプ0.05%(絶乾重量基準)の酸性抄紙用ロジンサイズ(星光PMC株式会社製、AL120)を順次添加した後、pH4.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈した。その後、テスト抄紙機で、坪量50g/m2となるように抄紙した。尚、この時の抄紙pHは4.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。
濾水度160カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)、濃度2.5%の脱墨パルプスラリーに、対パルプ2%(絶乾重量基準)の炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、TP121S)、対パルプ0.25%(絶乾重量基準)の硫酸バンドを順次添加した後、pH7.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈した。その後、テスト抄紙機で、坪量50g/m2となるように抄紙した。尚、この時の抄紙pHは7.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。
酸化澱粉(MS3800、日本食品化工株式会社製)を濃度10%になるように水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに前記印刷適性向上剤1を加え、表面処理剤中の固形分濃度が酸化澱粉で7%、前記印刷適性向上剤1で0.2%になるように表面処理剤を調製した。前記酸性新聞用紙原紙に調製した表面処理剤をNo.3バーコーターにて塗布し、酸性新聞印刷用紙を得た。印刷適性向上剤の塗布量は固形分で0.04g/m2であった。得られた酸性新聞印刷用紙を試験片として恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿し、次に示す方法で、着肉性、ドロップテスト、接触角、澱粉溶出度を測定した。その結果を表2に示す。
石川島産業機械株式会社製RI印刷機(4色機)を用い、大日本インキ化学工業株式会社製のオフセット用エコインキである高粘度AFインキを使用し、3色目印刷用ゴムロールと金属ロールとの間に水の膜を作成してから印刷した。マクベス濃度計にてインキ濃度を測定した。数値が大きいほど、着肉性が良好であることを示す。
J.TAPPI 33の試験方法に準拠し、滴下水量1μlで測定した。数値が大きいほど、サイズ性が良好であることを示す。
協和界面科学株式会社製の自動接触角計を用いて、水を滴下し1秒後の接触角を測定した。数値が大きいほど、サイズ性が良好であることを示す。
2.5cm×30cmの長方形状に切ったサンプル紙をアダムス・ウェット・ラブ計で30回水中を回転させ、澱粉を溶出させた。水中に溶けだした澱粉量を紙中の澱粉量に対する百分率で示した。数値が大きいほど、澱粉の溶出が少ないことを示す。
印刷適性向上剤1の代わりに印刷適性向上剤2〜12あるいは比較例用の印刷適性向上剤13〜15を用いた以外は、実施例13と同様に塗布及び評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例13の表面処理剤のpHをアンモニア水で7に調製した以外は、実施例13と同様に塗布及び評価を行った。結果を表3に示す。
酸化澱粉(MS3800、日本食品化工株式会社製)を濃度10%になるように水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに前記印刷適性向上剤1を加え、表面処理剤中の固形分濃度が酸化澱粉で5%、前記印刷適性向上剤1で0.3%になるように表面処理剤を調製した。前記中性新聞用紙原紙に調製した表面処理剤をNo.3バーコーターにて塗布し、中性新聞印刷用紙を得た。印刷適性向上剤の塗布量は固形分で0.07g/m2であった。得られた中性新聞印刷用紙を試験片として恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿し、次に示す方法で、着肉性、ドロップテスト、接触角、澱粉溶出度を測定した。その結果を表4に示す。
前記印刷適性向上剤1の代わりに前記印刷適性向上剤2〜12あるいは比較例用の印刷適性向上剤11〜13を用いた以外は、実施例22と同様に塗布及び評価を行った。その結果を表4に示す。
実施例26の表面処理剤のpHをアンモニア水で7に調製した以外は、実施例22と同様に塗布及び評価を行った。その結果を表4に示す。
Claims (3)
- スチレン類およびアルキル(メタ)アクリレート類から選択される一種以上の疎水性モノマーユニットと4級アンモニウム塩を含有するモノマーユニットから構成されるカチオン性共重合体に、前記疎水性モノマーを重合させた共重合体、または、
前記疎水性モノマーユニットと4級アンモニウム塩を含有するモノマーユニットから構成されるカチオン性共重合体に、界面活性剤の存在下で、前記疎水性モノマーを重合させた共重合体、
を含有し、前記カチオン性共重合体の疎水性モノマーユニットと4級アンモニウム塩を含有するモノマーユニットとの重量比が40:60〜85:15である、中性新聞用紙用のオフセット印刷適性向上剤。 - 下記の群:
(1)各種変性澱粉類
(2)ポリビニルアルコール類
(3)セルロース誘導体
から選ばれる1種類以上の水溶性高分子物質をさらに含有する、請求項1に記載の印刷適性向上剤。 - 請求項1または2に記載の印刷適性向上剤を、中性抄紙で抄造された原紙表面に塗布することを含む、中性新聞用紙のオフセット印刷適性を向上させる方法。
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