JP2003328291A - 紙用防滑剤及びその製造方法 - Google Patents

紙用防滑剤及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003328291A
JP2003328291A JP2002127549A JP2002127549A JP2003328291A JP 2003328291 A JP2003328291 A JP 2003328291A JP 2002127549 A JP2002127549 A JP 2002127549A JP 2002127549 A JP2002127549 A JP 2002127549A JP 2003328291 A JP2003328291 A JP 2003328291A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
monomer
meth
acrylate
slip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002127549A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Hamaya
英二 浜谷
Koichi Tamiya
光一 田宮
Takeshi Ikeda
剛 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko PMC Corp
Original Assignee
Seiko PMC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko PMC Corp filed Critical Seiko PMC Corp
Priority to JP2002127549A priority Critical patent/JP2003328291A/ja
Publication of JP2003328291A publication Critical patent/JP2003328291A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐水性及び紙力の向上を図ると共
に紙の滑りを防止することのできる紙用防滑剤及びその
製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 セッラク及び/又はそのアルカリ塩を含
有する分散剤の存在下に、多官能性ビニル系モノマーと
疎水性モノマーと、要すれば親水性モノマーとを共重合
することにより得られる紙用防滑剤及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紙用防滑剤及びその製造
方法に関し、さらに詳細には紙(以下紙と記載する場合
は板紙も含有する)の表面にサイズプレスまたはキャレ
ンダーなどの装置で、あるいはスプレー装置で提供され
ることにより、耐水性や紙力の向上と共に、紙の滑りを
防止することができる紙用防滑剤及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】最近、紙において、紙が滑りやすいため
に、抄造した紙を巻き取る工程、印刷工程、さらに段ボ
ール箱を組み立てる製函工程などにおける操業上のトラ
ブル、加えて紙製品の荷くずれや段ボール箱を積載した
ときの荷くずれによる内容物の破損等の問題が生じてき
ている。従来より、紙を滑り難くするために紙の表面を
粗くしたり、アルミナゾルまたはシリカゲルのような無
機物を紙に塗布する方法が行なわれているが、これらの
方法はサイズプレスロールやキャレンダーロールの著し
い摩耗を惹き起こすなど、装置の保守点検を十分に行な
わなければならないなどの操業上問題の多い方法であ
り、サイズプレスロールやキャレンダーロールの摩耗に
より、紙質の低下をも招くので、こうした無機物の塗布
による滑り防止法は十分なものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記無機物の塗布によ
り生じる問題点を解決するために、ビニル系共重合体を
紙の滑り防止剤として使用する以下の先行技術が提案さ
れて、ある程度の改善がなされてはいるもののいまだ不
十分なものであった。
【0004】特開昭59−76996号公報に記載され
た紙の滑り防止剤は、塗工用薬剤として一般的に広く使
用されているアニオン性紙力剤との相溶性が十分ではな
いため凝集物が発生して作業に支障を来すことがあっ
た。また、特開昭62−33898号公報に記載されて
いるところの、スチレン誘導体とα,β−不飽和モノカ
ルボン酸とからなる共重合体の中和物の分散剤の存在下
で、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレートお
よび二官能ビニル系単量体を乳化重合した紙の表面処理
剤は、アニオン性紙力剤との相溶性が改善されてはいる
もののアニオン性紙力剤の濃度が高い場合において未だ
相溶性が不十分であり、塗工液が発泡したり、凝集物の
発生も起きるなど作業に支障を来すことがあった。さら
に、特開平11−61688号公報に記載されていると
ころの、スチレン誘導体、α,β−不飽和モノカルボン
酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、又はさらに他のビニ
ル系単量体からなる共重合体の中和物を含有する分散剤
の存在下で、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリ
レートおよび二官能性ビニル系単量体を乳化重合して得
られる紙用防滑剤は、アニオン性紙力剤の濃度が高い場
合の相溶性が改善されたが、未だ防滑性能が不十分であ
り、さらに塗工液が発泡したり、機械的安定性が不十分
であり、塗工機での汚れ発生を起こすことがあった。
【0005】本発明は、製造工程が簡易であり、塗工工
程で併用するアニオン性紙力剤の濃度範囲において相溶
性が良く、凝集等のトラブルが少なく、塗工液での発泡
が少なく、さらに機械的安定性の良い、防滑性能の高い
紙用防滑剤を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、(1) セラック及び/又はそのアルカリ塩
(a)を含有する分散剤の存在下で、多官能性ビニル系
モノマー(b)と、疎水性モノマー(c)とを共重合す
ることにより得られて成ることを特徴とする紙用防滑剤
であり、セラック及び/又はそのアルカリ塩(a)を含
有する分散剤の存在下で、多官能性ビニル系モノマー
(b)と、疎水性モノマー(c)と親水性モノマー
(d)を共重合することにより得られて成ることを特徴
とする紙用防滑剤であり、前記紙用防滑剤の好適な態様
においては、多官能性ビニル系モノマー(b)と疎水性
モノマー(c)との合計に対する多官能性ビニル系モノ
マー(b)の含有量が10〜90重量%であり、前記紙
用防滑剤の好適なある態様においては、前記分散剤が、
更に、疎水性モノマー30〜80重量%とカルボキシル
基を有するモノマー20〜70重量%とを重合して得ら
れる重合体のアルカリ中和物であって、アルカリ中和度
が酸価に対し50〜100%であるアニオン性高分子化
合物のアルカリ塩(f)を含有して成り、(2) 前記
課題を解決するための他の手段は、セラック及び/又は
そのアルカリ塩(a)を含有する分散剤の存在下で、多
官能性ビニル系モノマー(b)と、疎水性モノマー
(c)とを共重合することを特徴とする前記(1)に記
載の紙用防滑剤の製造方法であり、(3) 前記課題を
解決するためのさらに他の手段は、セラック及び/又は
そのアルカリ塩(a)を含有する分散剤の存在下で、多
官能性ビニル系モノマー(b)と、疎水性モノマー
(c)と、親水性モノマー(d)とを共重合することを
特徴とする前記(2)に記載の紙用防滑剤の製造方法で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る紙用防滑剤はエマル
ション型防滑剤である。この紙用防滑剤は、特定の分散
剤の存在下に、(A)多官能性ビニル系モノマー(b)
と疎水性モノマー(c)とを共重合し、又は(B)多官
能性ビニル系モノマー(b)と疎水性モノマー(c)と
親水性モノマー(d)とを共重合することにより得るこ
とができる。
【0008】I.分散剤 本発明における分散剤は、セラック及び/又はそのアル
カリ塩(a)を少なくとも含有し、好ましくはこのセラ
ック及び/又はそのアルカリ塩(a)とアニオン性高分
子化合物のアルカリ塩(f)とを含有し、更に要すれば
その他の界面活性機能を有する物質をも含有する。
【0009】1.セラック及び/又はそのアルカリ塩
(a) 本発明で使用するセラック(a)とは、南洋植物に寄生
するラック貝殻虫の分泌する樹脂状物質を精製したもの
であり、多数の樹脂酸の混合物からなっており、例えば
アレウリチン酸とジャラール酸又はラクシジャラール酸
とがエステル結合した軟化樹脂やその軟化樹脂が数個結
合したものからなっている。このようなセラックは市販
されており、例えば岐阜セラック(株)製の「N81
1」、日本シェラック(株)製の「NSC」等として商
業的に入手することができる。
【0010】本発明においては市販のセラックをそのま
ま使用することができ、またそのセラックをアルカリで
中和したアルカリ塩として使用することもできる。また
セラックとそのアルカリ塩とを併用することもできる。
【0011】本発明で使用するセラックをアルカリで中
和して使用する場合、アルカリ物質は、実質的にセラッ
クを水溶液化できるもので良く、特に限定されるもので
はないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びアン
モニアが好ましい。
【0012】2.アニオン性高分子化合物のアルカリ塩
(f) 本発明で使用するアニオン性高分子化合物のアルカリ塩
(f)としては、疎水性モノマー30〜80重量%とカ
ルボキシル基を有するモノマー20〜70重量%とを重
合して得られる重合体をアルカリで中和して成るアルカ
リ塩を採用することができる。
【0013】前記重合体を得るのに使用される疎水性モ
ノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、及びビニルトルエン等のスチレン類、例えばメチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリ
レート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、及び環状アルキル(メタ)アクリレート等の
アルキル(メタ)アクリレート類、マレイン酸又はフマ
ル酸等のジアルキルジエステル類、例えば炭素数5〜1
0のターシャリーカルボン酸ビニル及びプロピオン酸ビ
ニル等のビニルエステル類、Nアルキル(メタ)アクリ
ルアミド等のアクリルアミド類、並びにメチルビニルエ
ーテル等のアルキルエーテル類等が挙げられる。これら
各種の疎水性モノマーはその一種を単独で使用すること
ができ、またその二種以上を併用することもできる。
【0014】カルボキシル基を有するモノマーとして
は、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びクロトン酸等の不
飽和カルボン酸等を挙げることができる。これらのカル
ボキシル基を有するモノマーの一種を単独で使用するこ
とができ、またその二種以上を併用することもできる。
【0015】また、上記アニオン性高分子化合物のアル
カリ塩(f)の製造において疎水性モノマーとカルボキ
シル基を有するモノマーとの外に、その他の共重合可能
なアニオン性モノマー及び/又は非イオン性モノマーを
使用しても良い。
【0016】その他の共重合可能なアニオン性モノマー
及び/又は非イオン性モノマーは特に限定されないが、
疎水性モノマー及びカルボキシル基を有するモノマーの
両者と共重合可能なモノマーであればよい。
【0017】アニオン性モノマーとしては、例えばビニ
ルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びスルホ
ン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、例え
ばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのリン酸エ
ステル等のリン酸エステル基を有するモノマーが挙げら
れる。
【0018】非イオン性モノマーとしては、例えば(メ
タ)アクリルアミド、アクリロニトリル、並びに、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、及び2,3−ジヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシア
ルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0019】本発明においては、アニオン性モノマー及
び非イオン性親水性モノマーのいずれか一種を単独で使
用することもできるし、その二種以上を併用することも
できる。
【0020】本発明で使用するアニオン性高分子化合物
のアルカリ塩(f)を得る為に使用するアルカリ物質
は、実質的にアニオン性高分子化合物を水溶液化できる
ものでよく、特に限定するものではないが、水酸化カリ
ウム、水酸化ナトリウム及びアンモニアが好ましい。前
記アルカリ物質をアニオン性高分子化合物の酸価に対し
て50%〜100%使用するのが乳化重合時の安定性及
び得られた防滑剤の防滑性能、塗工液での低発泡性、機
械的安定性の点で好ましい。
【0021】本発明においては、前記アニオン性高分子
化合物のアルカリ塩(f)の一種を単独で使用すること
もできるし、またその二種以上を併用することもでき
る。
【0022】前記アニオン性高分子化合物のアルカリ塩
(f)は重合時に分散剤としてセラック及び/又はその
アルカリ塩(a)と併用すると、乳化重合時に微細で、
且つ安定な粒子を形成するという利点がある。もっと
も、このアニオン性高分子化合物のアルカリ塩(f)
を、本発明の紙用防滑剤と共に紙に塗工しても良い。そ
の場合には、塗工機の機械的な剪断力に対する防滑剤粒
子の安定性を高めるといった利点が発揮される。
【0023】前記アニオン性高分子化合物のアルカリ塩
(f)は、例えば疎水性モノマーとカルボキシル基を有
するモノマーとの混合物を低級アルコール系有機溶剤、
例えばメチルアルコール、エチルアルコール及びイソプ
ロピルアルコールあるいは油性有機溶剤、例えばベンゼ
ン、トルエン及びキシレン中にて、又はこれらの低級ア
ルコール系有機溶剤と水との混合液中にて、さらには水
中において、ラジカル重合触媒を使用して60〜120
℃で1〜10時間重合させ、重合終了後に有機溶剤を留
去し、アルカリ物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム及びアンモニアで水溶化することで得ることが
できる。製造の容易さからすると、水中での乳化重合法
が好ましい。なお、この場合、モノマーは実質的に全て
重合して単独重合体又は共重合体が生成している。
【0024】前記アニオン性高分子化合物の重合で使用
するラジカル重合触媒としては、例えば過硫酸塩、例え
ば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリ
ウム、過酸化物、例えばターシャリーブチルハイドロパ
ーオキシド、これら過硫酸塩または過酸化物と還元剤と
の組合せによるレドックス系重合触媒、あるいはアゾ系
触媒、例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、及
び2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオナミジンジ
ヒドロクロリドを挙げることができる。また必要に応じ
て公知の連鎖移動剤を適宜併用しても差し支えない。
【0025】3.界面活性機能を有する物質 本発明においては、セラック及び/又はそのアルカリ塩
(a)とアニオン性高分子化合物のアルカリ塩(f)と
合わせてこれら以外の界面活性機能を有する物質との存
在下に、重合を行うこともできる。前記界面活性機能を
有する物質として、公知の乳化剤あるいは分散剤が使用
でき、例えば低分子界面活性剤、重合性基を有する界面
活性剤、及びアニオン性高分子化合物のアルカリ塩
(f)以外の高分子分散剤が挙げられ、これらの群から
選択される少なくとも一種を使用することができる。こ
れらの中では、低発泡性に優れた紙用防滑剤が得られる
ことから、重合性基を有する界面活性剤が特に好まし
い。
【0026】前記低分子界面活性剤としては、通常、乳
化重合に適用できるものが使用可能であり、ノニオン
性、アニオン性、両性及びカチオン性の低分子界面活性
剤が使用でき、これらの群から選択される少なくとも一
種を使用することができる。これらの中では、紙用防滑
剤を安定なエマルションにするという観点から、ノニオ
ン性の低分子界面活性剤及びアニオン性の低分子界面活
性剤が好ましい。
【0027】ノニオン性低分子界面活性剤としては、例
えばポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシア
ルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンポリオ
キシエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル、ショ糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂
肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、
脂肪酸ジエタノールアミド、及びポリオキシプロピレン
ポリオキシエチレングリコールが挙げられる。本発明に
おいては、前記ノニオン性低分子界面活性剤の一種を単
独で使用することもできるし、また、その二種以上を併
用することもできる。
【0028】アニオン性界面活性剤としては、例えばポ
リオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシアルキレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオ
キシアルキレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレ
ン脂肪酸エステル等のリン酸エステル塩、スルホン酸
塩、コハク酸エステル塩及びスルホコハク酸エステル
塩、並びにアルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレン
スルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ塩、アルケニル
コハク酸塩、ロジンのアルカリ金属塩及び強化ロジンの
アルカリ金属塩が挙げられる。本発明においては、前記
アニオン性低分子界面活性剤の一種を単独で使用するこ
ともできるし、また、その二種以上を併用することもで
きる。
【0029】カチオン性界面活性剤としては、例えば、
テトラアルキルアンモニウムクロライド、トリアルキル
ベンジルアンモニウムクロライド、アルキルアミン、モ
ノオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレ
ンアルキルアミンを例示することができる。本発明にお
いては、前記カチオン性低分子界面活性剤の一種を単独
で使用することもできるし、また、その二種以上を併用
することもできる。
【0030】前記重合性基を有する界面活性剤は、一般
に反応性乳化剤と称され、分子中に疎水基、親水基及び
炭素−炭素二重結合を有する化合物である。前記炭素−
炭素二重結合を有する化合物には、例えば、(メタ)ア
リル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニ
ル基、イソプロペニル基、ビニル基、及び(メタ)アク
リロイル基の官能基を有する化合物が含まれる。
【0031】これらの重合性基を有する界面活性剤とし
ては、通常の乳化重合に適用できるものが使用可能であ
り、特に限定されるものではないが、具体例として例え
ば、分子中に前記官能基を一つ以上有するポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアラ
ルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテ
ル、ポリオキシアルキレンモノスチリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテ
ル、及びこれらのスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン
酸エステル塩及びスルホコハク酸エステル塩、分子中に
前記官能基を一つ以上有するポリオキシアルキレンアル
キルエーテルあるいはポリオキシアルキレンフェニルエ
ーテルの脂肪族カルボン酸塩及び芳香族カルボン酸塩、
酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系化合物、ロジ
ン−グリシジル(メタ)アクリレート系化合物、さらに
はアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、
例えばヘキシルジフェニルエーテルジスルホン酸、デシ
ルジフェニルエーテルジスルホン酸、ドデシルジフェニ
ルエーテルジスルホン酸、ヘキサデシルジフェニルエー
テルジスルホン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウ
ム塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等を例示でき
る。本発明においては、前記重合性基を有する界面活性
剤の一種を単独で使用することもできるし、またその二
種以上を併用することもできる。
【0032】前記高分子分散剤としては、アニオン性高
分子化合物のアルカリ塩(f)以外の合成高分子、ある
いは一般の天然高分子分散剤が使用でき、合成高分子の
一例を挙げれば、ポリビニルアルコールおよびその変性
物、(メタ)アクリルアミド系共重合体を例示すること
ができる。天然高分子乳化剤として、例えばカゼイン、
レシチン、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース
誘導体、澱粉及び加工澱粉が挙げられる。
【0033】本発明においては、前記高分子分散剤の一
種を単独で使用することもできるし、またその二種以上
を併用することもできる。
【0034】界面活性機能を有する以上のような物質
は、セラック及び/又はそのアルカリ塩(a)に対して
1〜30重量部の範囲で使用することができる。
【0035】II.多官能性ビニル系モノマー(b) 多官能性ビニル系モノマー(b)として、ジアリルフタ
レート、ジアリルヘキサヒドロキシルフタレート、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、及びジビニルベンゼン等の分子中に重合性
二重結合を2個有する単量体、トリス(2−ヒドロキシ
エチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の分子
中に重合性二重結合を3個有する単量体、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート等の分子中に重合
性二重結合を4個有する単量体、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート等の分子中に重合性二重
結合を5個有する単量体等が挙げられ、これらの少なく
とも一種を用いることが望ましい。分子中にベンゼン環
を有する2官能性単量体が好ましく、特にジビニルベン
ゼンが好ましい。
【0036】III.疎水性モノマー(c) この疎水性モノマー(c)としては、疎水性基を有する
と共に前記多官能性ビニル系モノマー(b)と共重合可
能な重合性モノマーを挙げることができ、例えばスチレ
ン及び/又はスチレン誘導体並びに(メタ)アクリル酸
エステル等が挙げられる。
【0037】スチレン誘導体として、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロルス
チレンまたはクロルメチルスチレン等が挙げられる。ス
チレン及びスチレン誘導体の中でも、安価で入手しやす
いためスチレンが好ましい。
【0038】(メタ)アクリル酸エステルとして、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)ア
クリレート、もしくはステアリル(メタ)アクリレート
の如き(メタ)アクリル酸エステル類、ジブチルマレー
ト、ジブチルフマレートもしくはジオクチルマレートの
如きマレイン酸もしくはフマル酸のエステル類などが挙
げられる。
【0039】IV.親水性モノマー(d) この親水性モノマー(d)としては、親水性基を有する
と共に前記多官能性ビニル系モノマー(b)と共重合可
能な重合性モノマーを挙げることができ、非イオン性親
水性モノマー、アニオン基含有モノマー及びカチオン基
含有モノマーが挙げられる。
【0040】非イオン性親水性モノマーとしては、カチ
オン性基及びアニオン性基を備えず、親水性基を備えた
重合性モノマーであり、例えば(メタ)アクリルアミ
ド、アクリロニトリル、並びにヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート、例えば2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、及び2,3−ジヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートが挙げられる。本発明においては、非
イオン性親水性モノマーの一種を単独で使用することも
できるし、その二種以上を併用することもできる。本発
明で用いる非イオン性親水性の中でも、安価であり入手
しやすいアクリルアミドが好ましい。
【0041】アニオン基含有モノマーとして例えば(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
シトラコン酸、及びクロトン酸等のカルボン酸基を有す
るモノマー、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリル
スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、及びスルホン化スチレン等のスルホン酸基
を有するモノマー、例えばヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレートのリン酸エステル等のリン酸エステル基を
有するモノマーを挙げることができる。
【0042】前記カチオン基含有モノマーとして、1級
アミノ基を有するビニルモノマー、例えば、(メタ)ア
リルアミン、2級アミノ基を有するビニルモノマー、3
級アミノ基を有するビニルモノマー、例えば、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレート類、ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、及びジエチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)
アクリルアミド類、及び4級アンモニウム塩類を有する
ビニルモノマー等が挙げられる。これらのイオン性モノ
マーの一種を単独で使用することができ、またその二種
以上を併用することもできる。
【0043】V.紙用防滑剤を形成する成分の使用量 本発明の紙用防滑剤の製造時におけるセラック及び/又
はそのアルカリ塩(a)、多官能性ビニル系モノマー
(b)、疎水性モノマー(c)、親水性モノマー
(d)、及びアニオン性高分は、以下の使用量の範囲で
あることが、紙用防滑剤の安定性及び防滑性能の点から
好ましい。多官能性ビニル系モノマー(b)と疎水性モ
ノマー(c)の合計量に対し、セラック及び/又はその
アルカリ塩(a)の使用量は、通常1〜30重量%、好
ましくは5〜20重量%であり、多官能性ビニル系モノ
マーの使用量は、通常10〜90重量%、好ましくは2
0〜60重量%であり、疎水性モノマー(c)の使用量
は、通常10〜90重量%、好ましくは40〜80重量
%であり、親水性モノマー(d)の使用量は、通常0〜
20重量%、好ましくは0〜10重量%であり、アニオ
ン性高分子化合物のアルカリ塩(f)の使用量は、通常
0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である。
【0044】セラック及び/又はそのアルカリ塩
(a)、アニオン性高分子化合物のアルカリ塩(f)、
親水性モノマー(d)それぞれの使用量の上限値を越え
る量を使用しても、防滑性能、乳化重合時の安定性、及
び得られた防滑剤の機械的安定性等の向上は見られず、
むしろ防滑性能の低下、サイズ性能の低下、塗工液の発
泡の増大をもたらすことがある。また、多官能性ビニル
系モノマー(b)を前記使用量範囲の上限値を超える量
で添加しても、防滑性の向上はほとんどなく、むしろ、
経済的に不利益であるため好ましくない。
【0045】VI.紙用防滑剤の製造方法 本発明の紙用防滑剤を製造するにあたって、公知の重合
法を適用でき、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等
が適用できるが、製造の容易さから乳化重合法が好まし
い。なお、この場合、モノマーは実質的に全て重合して
単独重合体又は共重合体が生成し、セラックも重合に関
与していると考えられる。
【0046】前記重合法で使用するラジカル重合触媒と
しては、例えば過硫酸塩、例えば過硫酸アンモニウム、
過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化物、例えば
ターシャリーブチルハイドロパーオキシド、これら過硫
酸塩または過酸化物と還元剤の組合せによるレドックス
系重合触媒、あるいはアゾ系触媒、例えば2, 2' −ア
ゾビスイソブチロニトリル、及び2,2'ーアゾビス- 2
- メチルプロピオナミジンジヒドロクロリド等を挙げる
ことができる。また必要に応じて公知の連鎖移動剤を適
宜併用しても差し支えない。また、重合後、機械的安定
性を向上させるためにアルカリを加えてpHを調製する
ことがある。
【0047】重合温度及び重合時間等の重合条件は、重
合させるモノマーの種類に応じて適宜に決定される。
【0048】VII.紙及び塗工操作 本発明の紙用防滑剤の適用される紙に使用されるパルプ
としては、クラフトパルプあるいはサルファイトパルプ
などの晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パ
ルプあるいはサーモメカニカルパルプなどの晒あるいは
未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙
あるいは脱墨古紙などの古紙パルプのいずれも使用でき
る。
【0049】塗工前の原紙を得るために、填料、染料、
酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー
系あるいはアルケニルコハク酸無水物系中性抄紙用サイ
ズ剤、中性抄紙用ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、乾燥
紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向
上剤、消泡剤などの添加物も、各々紙種に要求される物
性を発現するために、必要に応じて使用してもよい。填
料としては、クレー、タルク、酸化チタン、重質又は軽
質炭酸カルシウム等が挙げられる。これらを単独である
いは併用して用いてもよい。
【0050】本発明の紙用防滑剤を原紙表面に塗工する
ための塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレ
ス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコ
ーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコータ
ー、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレ
ー塗工機等を用いることができる。
【0051】本発明の紙用防滑剤を塗工する場合、この
紙用防滑剤を単独に塗工してもよいし、あるいは、酸化
澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化
澱粉、両性澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロ
ース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリ
アクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子
を塗工液に混合して使用することもできる。また、他の
表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度
調整剤、染料、顔料等の添加物を併用してもかまわな
い。
【0052】本願発明の紙用防滑剤を塗工して得ること
ができる紙としては、各種の紙及び板紙を挙げることが
できる。例えば、PPC用紙、インクジェット記録用
紙、圧着紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、
熱転写用紙、感熱記録用紙等の記録用紙、アート紙、キ
ェストコート紙、上質コート紙等のコート紙、クラフト
紙、純白ロール紙等の包装用紙、その他ノート用紙、書
籍用紙、印刷用紙、新聞用紙等の洋紙、マニラボール、
白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー等の
板紙が挙げられる。
【0053】さらに、本発明に係る紙用防滑剤の塗布量
は通常0.05〜1.0g(固形分)/m2程度である
が、この量は塗布すべき目的に応じて適宜増減させても
差し支えないがない。
【0054】本発明の紙用防滑剤は紙に塗工せしめるこ
とにより十分なる滑り防止効果を発現する機能はもとよ
りのこと、併せてこれらの紙へのサイズ性付与の効果を
も発現する機能をも有するものである。
【0055】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例により具体
的に説明するが、これに限られるものではない。
【0056】(合成例1)攪拌器、温度計、還流冷却管
及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコ
に、水100部、95%イソプロピルアルコール75部
を加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇
させた。これに、スチレン45部及びアクリル酸55部
の混合液と、過硫酸カリウム5部を水120部に溶解し
た重合開始剤溶液とを3時間で全量滴下させ、その後に
2時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピ
ルアルコールを留去し、冷却後に48%水酸化カリウム
水溶液89.2部(アクリル酸に対して100モル%)
を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるよ
うに調製し、水溶性共重合体であるスチレン−アクリル
酸共重合体の水酸化カリウム水溶液、すなわち高分子分
散剤(S−1)を得た。ポリマー中のモノマー構成比は
重量比でスチレン/アクリル酸=45/55であった。
【0057】(合成例2)前記合成例1と同様の装置
に、水687部、47%ドデシルジフェニルエーテルス
ルホン酸ナトリウム1.9部、スチレン51部、ノルマ
ルブチルアクリレート51部、80%メタアクリル酸8
4部、αメチルスチレンダイマー3.4部及び過硫酸カ
リウム8部を加え、窒素気流下で混合攪拌しながら80
℃に昇温した後、2時間保持して反応を完結させた。そ
の後、30%水酸化ナトリウム水溶液114.2部(メ
タアクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈
し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶
性共重合体であるスチレン−ノルマルブチルアクリレー
ト−メタアクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム水溶
液、すなわち高分子分散剤(S−2)を得た。ポリマー
中のモノマー構成比は重量比でスチレン/ノルマルブチ
ルアクリレート/メタアクリル酸=30/30/40で
あった。
【0058】(合成例3)前記合成例1と同様の装置
に、水720部、47%ドデシルジフェニルエーテルス
ルホン酸ナトリウム1.8部、スチレン56部、αメチ
ルスチレン40部、80%メタアクリル酸79部、ノル
マルドデシルメルカプタン1.6部及び過硫酸カリウム
8部を加え、窒素気流下で混合攪拌しながら80℃に昇
温した後2時間保持して反応を完結させた。その後、4
8%水酸化カリウム水溶液94部(メタアクリル酸に対
して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃
度が20%になるように調製し、水溶性共重合体である
スチレン−αメチルスチレン−メタアクリル酸共重合体
の水酸化カリウム水溶液、すなわち高分子分散剤(S−
3)を得た。ポリマー中のモノマー構成比は重量比でス
チレン/αメチルスチレン/メタアクリル酸=35/2
5/40であった。
【0059】(合成例4)前記合成例1と同様の装置
に、トルエン44部、ジイソブチレン50部、無水マレ
イン酸50部及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル
3.3部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃に
まで上昇させた。その後3時間保持し反応を完結させ
た。その後、48%水酸化カリウム水溶液82部(無水
マレイン酸に対して50モル%)、水251部を加え、
トルエンを留去した。その後48%水酸化カリウム水溶
液を無水マレイン酸に対して合計で100モル%となる
ように加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%にな
るように調製し、水溶性共重合体であるジイソブチレン
−無水マレイン酸共重合体の水酸化カリウム水溶液、す
なわち高分子分散剤(S−4)を得た。ポリマー中のモ
ノマー構成比は重量比でジイソブチレン/無水マレイン
酸=50/50であった。
【0060】(実施例1)攪拌器、温度計、還流冷却管
及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコ
に、水687部、セラック(岐阜セラック(株)製、N8
11)21部(多官能性ビニル系モノマーと疎水性モノ
マーとの合計100重量部に対して10重量部)、合成
例1で得られた高分子分散剤(S−1)であるスチレン
−アクリル酸共重合物の水酸化カリウム水溶液83部
(多官能性ビニル系モノマーと疎水性モノマーとの合計
100重量部に対して10重量部)、スチレン125部
(疎水性モノマー60重量部)、ジビニルベンゼン83
部(多官能性ビニル系モノマー40重量部)、及び過硫
酸アンモニウム水溶液1.0部を加え、窒素気流下で混
合攪拌しながら80℃に昇温した後、2時間保持して乳
化重合反応を完結させ、固形分濃度25.0%のエマル
ション型の紙用防滑剤を得た。
【0061】(実施例2〜15、比較例1〜3)セラッ
クの量、アルカリの種類および量、高分子分散剤の種類
および量、高分子分散剤の添加時期、多官能性ビニル系
モノマー(b)の種類および量、疎水性モノマー(c)
の種類および量、親水性モノマー(d)の種類および
量、を表1に示すように変えた他は実施例1と同様にし
てエマルション型の紙用防滑剤を得た。
【0062】尚、比較例7においてはセラックをKOH
で50%中和、比較例9においてはセラックをNaOH
で100%中和、比較例13においてはセラックをNH
で100%中和して使用した。
【0063】得られた紙用防滑剤について以下の試験を
行った。
【0064】(試験例1)塗工用及び発泡試験用液の調
製 実施例1〜15および比較例1〜3で得られた紙用防滑
剤と表面紙力剤ST481H(アニオン性ポリアクリル
アミド、日本PMC(株)製)との混合水溶液を下記の
固形分濃度となるように調製した。
【0065】本発明の紙用防滑剤:固形分濃度 1% 表面紙力剤ST481H:固形分濃度 2% (試験例2)防滑性能評価 試験例1で調製された紙用防滑剤及び表面紙力剤ST4
81Hそれぞれを塗工液として、未塗工のC級ライナー
及びクラフト紙に塗工し、100℃で1分間乾燥した。
固形分塗工量は以下のとおりであった。
【0066】C級ライナー: 防滑剤 0.1g/
、表面紙力剤ST481H 0.20g/m クラフト紙 : 防滑剤 0.06g/m、 表面
紙力剤ST481H0.12g/m 20℃、65%なる恒温恒湿室にて24時間保持したの
ち、これらの塗布紙の滑り角度および吸水度を測定し
た。滑り角度は傾斜法(Japan TAPPINo.
31−79)で測定して10回繰り返し滑らせたときの
平均値を示した。また吸水度は、コブ吸水度(JIS
P8140)で2分間について測定した。
【0067】得られた結果は、表2に示し、防滑性は値
が高いほど防滑性能が良好であることを示し、吸水度
は、値が低いほどサイズ性能が優れていることを示す。
【0068】(試験例3)塗工液の発泡性試験 試験例1で調製された紙用防滑剤及び表面紙力剤ST4
81Hのそれぞれ600gを内径7cm長さ50cmの
フォームセルに入れ、下記の条件で循環し、泡の高さ
(mm)を測定した。結果を表3に示す。
【0069】塗工液温度60℃、循環ポンプ流量9リッ
トル/分、循環時間3分。
【0070】表3に示した泡の高さが低い方が発泡性が
良好(発泡量が少ない)であることを示す。
【0071】(試験例4)機械的安定性試験 試験例1で調製された紙用防滑剤及び表面紙力剤ST4
81Hのそれぞれ50gをカップに入れ、温度60℃、
荷重20Kg、回転数800rpmにて20分間マーロ
ン式安定性試験を行った。生成した凝集物を325メッ
シュ金網にてろ過して全固形分に対する析出量を測定し
百分率で表した。結果を表3に示す。
【0072】表示された値が小さいほど機械的安定性が
良いことを示す。
【0073】
【表1】 表1中の記号の説明 St:スチレン、αMSt:α−メチルスチレン、 EHMA:2−エチルヘキシルメタアクリレート、 BA:n−ブチルメタアクリレート、iBMA:イソブ
チルメタアクリレート DVB:ジビニルベンゼン、 EGDM:エチレングリコールジメタアクリレート、 TMTPM:トリメチロールプロパントリメタアクリレ
ート、 AAm:アクリルアミド、AA:アクリル酸、 MAA:メタアクリル酸、PSF:高分子分散剤 N210:ニューコール210(日本乳化剤(株)製
アルキルベンゼンスルホン酸)
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】本発明は、紙用防滑剤自体の機械的安定
性に優れ、紙に対する防滑剤として使用したときの防滑
性性能を改善することができ、さらに表面紙力剤との相
溶性が良くしかも、塗工液における発泡性が少ない紙用
防滑剤を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 剛 千葉県市原市八幡海岸通17番地2 日本ピ ー・エム・シー株式会社内 Fターム(参考) 4J011 AA05 KA02 KA03 KA04 KA07 KA15 KA19 KA21 4L055 AG53 AG63 AG71 AG72 AG99 AH33 AH37 AH50 BE08 EA32 FA30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラック及び/又はそのアルカリ塩
    (a)を含有する分散剤の存在下で、多官能性ビニル系
    モノマー(b)と、疎水性モノマー(c)とを共重合す
    ることにより得られて成ることを特徴とする紙用防滑
    剤。
  2. 【請求項2】 セラック及び/又はそのアルカリ塩
    (a)を含有する分散剤の存在下で、多官能性ビニル系
    モノマー(b)と、疎水性モノマー(c)と、親水性モ
    ノマー(d)とを共重合することにより得られて成るこ
    とを特徴とする紙用防滑剤。
  3. 【請求項3】 多官能性ビニル系モノマー(b)と疎水
    性モノマー(c)との合計に対する多官能性ビニル系モ
    ノマー(b)の含有量が10〜90重量%であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の紙用防滑剤。
  4. 【請求項4】 前記分散剤が、更に、疎水性モノマー3
    0〜80重量%とカルボキシル基を有するモノマー20
    〜70重量%とを重合して得られる重合体のアルカリ中
    和物であって、アルカリ中和度が酸価に対し50〜10
    0%であるアニオン性高分子化合物のアルカリ塩(f)
    を含有してなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙
    用防滑剤。
  5. 【請求項5】 セラック及び/又はそのアルカリ塩
    (a)を含有する分散剤の存在下で、多官能性ビニル系
    モノマー(b)と、疎水性モノマー(c)とを共重合す
    ることを特徴とする前記請求項1、3又は4に記載の紙
    用防滑剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 セラック及び/又はそのアルカリ塩
    (a)を含有する分散剤の存在下で、多官能性ビニル系
    モノマー(b)と、疎水性モノマー(c)と、親水性モ
    ノマー(d)とを共重合することを特徴とする前記請求
    項2〜4の何れか一項に記載の紙用防滑剤の製造方法。
JP2002127549A 2002-04-26 2002-04-26 紙用防滑剤及びその製造方法 Withdrawn JP2003328291A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002127549A JP2003328291A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 紙用防滑剤及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002127549A JP2003328291A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 紙用防滑剤及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003328291A true JP2003328291A (ja) 2003-11-19

Family

ID=29695765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002127549A Withdrawn JP2003328291A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 紙用防滑剤及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003328291A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009125756A1 (ja) * 2008-04-11 2009-10-15 コニシ株式会社 紙・繊維製品のコーティング用組成物、コーティング皮膜および紙・繊維製品
JP2010202996A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Daio Paper Corp 加工紙
JP2012045738A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd インクジェットインキ受容層形成用コート剤、それを用いた記録媒体及び印刷物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009125756A1 (ja) * 2008-04-11 2009-10-15 コニシ株式会社 紙・繊維製品のコーティング用組成物、コーティング皮膜および紙・繊維製品
JP2010202996A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Daio Paper Corp 加工紙
JP2012045738A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd インクジェットインキ受容層形成用コート剤、それを用いた記録媒体及び印刷物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009242686A (ja) カチオン性表面サイズ剤の製造方法、該方法で得られたサイズ剤、および該サイズ剤を塗工した紙
US5817214A (en) Rosin emulsion sizing agent for paper making and method for paper sizing using the same
CN103306162B (zh) 松香类乳液型施胶剂、其制造方法和纸
US20100170650A1 (en) Printability improving agents and papers coated with them
JP4725210B2 (ja) 製紙用表面サイズ剤および印刷用紙
JP2001295197A (ja) カチオン性表面サイズ剤
JP3928416B2 (ja) ロジン系エマルション組成物、紙のサイジング方法及び紙
JP2001262495A (ja) カチオン性エマルション型表面サイズ剤
JP4744105B2 (ja) 印刷適性向上剤およびこれを塗布した紙
JP2003328291A (ja) 紙用防滑剤及びその製造方法
JPH1161688A (ja) 紙用防滑剤及び紙
JP4395817B2 (ja) 表面サイズ剤及び塗工紙の製造方法
JP4560756B2 (ja) 表面サイズ剤及びその製造方法
JP4048477B2 (ja) 表面サイズ剤、その製造方法及び新聞用紙
JP5268210B2 (ja) ロジン系エマルション組成物、紙のサイジング方法及び紙
WO2001048313A1 (fr) Agent d'encollage
JP3028308B1 (ja) 表面サイズ剤及びその製造方法
JP2003306887A (ja) エコインキ用印刷適性向上剤、新聞用紙、及びその製造方法
JP4784850B2 (ja) 表面サイズ剤及びその製造方法
JP4848948B2 (ja) 表面サイズ剤及びそれを用いた塗工紙の製造方法
JP2000282390A (ja) 製紙用歩留り・濾水性向上剤組成物、製紙方法及び紙
JP5464309B2 (ja) 撥水剤用下塗り剤及び紙の製造方法
JP5885375B2 (ja) 塗工液組成物並びに紙及び板紙
JP5467516B2 (ja) 製紙用表面サイズ剤および紙
JP2024072937A (ja) 紙用撥水剤の製造方法及び紙の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050705