JP5268210B2 - ロジン系エマルション組成物、紙のサイジング方法及び紙 - Google Patents
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Description
本発明の第2の目的は、pH4の酸性からpH8のアルカリ性の広い抄紙pH領域の抄紙系においても優れたサイズ効果を発揮するロジン系エマルション組成物、紙のサイジング方法及び紙を提供することにある。
本発明の第3の目的は、優れた分散安定性を示し、しかも分散液が低粘度で取り扱いやすいロジン系エマルション組成物、これを用いた紙のサイジング方法及び紙を提供することにある。
本発明の第4の目的は、抄紙工程における泡立ちが少ないロジン系エマルション組成物、これを用いたを紙のサイジング方法及び紙を提供することにある。
本発明の第5の目的は、保存安定性に優れるととにも製紙工程において機械的安定性に優れたロジン系エマルション組成物、これを用いた紙のサイジング方法及び紙を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、(1)、ロジン系物質(A)と、分散剤(B)を含有するロジン系エマルション組成物において、該分散剤(B)は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(e)及びアルキルメルカプタン(f)の存在下にスチレン系モノマー(a)と、ガラス転移温度が高くても0℃であるホモポリマーを構成することができるモノマーである(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩のモノマー(c)をモノマー構成に有するモノマーを共重合させて得られる共重合体及び/又はその中和物を含有するロジン系エマルション組成物を提供するものである。
また、本発明は、(2)、ロジン系物質(A)と、分散剤(B)を含有するロジン系エマルション組成物において、該分散剤(B)は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(e)及びアルキルメルカプタン(f)の存在下にスチレン系モノマー(a)と、ガラス転移温度が高くても0℃であるホモポリマーを構成することができるモノマーである(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩のモノマー(c)と、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)以外の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(d)をモノマー構成に有するモノマーを共重合させて得られる共重合体及び/又はその中和物を含有するロジン系エマルション組成物、(3)、(a)成分が10〜60重量%、(b)成分が20〜70重量%、(c)成分が20〜60重量%である上記(1)のロジン系エマルション組成物、(4)、(a)成分が10〜60重量%、(b)成分が20〜70重量%、(c)成分が20〜60重量%及び(d)成分が0〜10重量%である上記(2)のロジン系エマルション組成物、(5)、(a)〜(d)成分の合計の重量に対し(e)成分を0.1〜3重量%、(f)成分を0.1〜3重量%使用する上記(3)又は(4)のロジン系エマルション組成物、(6)、上記(1)ないし(5)のいずれかのロジン系エマルション組成物をサイズ剤として用いpH4ないしpH8の抄紙pH範囲でサイジングを行う紙のサイジング方法、(7)、ロジン系物質(A)と 、上記(1)ないし(5)のいずれかの共重合体及び/又はその中和物を含有する紙を提供するものである。
本発明において、ロジン系物質(A)とは、ロジンそのものと、ロジンを反応成分に用いた反応生成物(ロジン変性物)及びそれらの強化ロジン、ロジンエステル類を言い、これらは単独又は2種以上の混合物として用いられる。ロジンそのものとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンが挙げられ、これらは単独又は2種以上の混合物として用いられる。ロジン変性物としては、上記ロジンを一部あるいは実質的に完全に水素化されたもの、不均化されたもの、重合化されたもの、あるいはホルムアルデヒドで変性されたものなどが挙げられる。
このようなモノマーとしては、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル類、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類等の疎水性モノマー、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸類、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル及びイタコン酸モノブチル等のα,β−不飽和ジカルボン酸半エステル類等のカルボキシル基含有モノマー、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びスルホン化スチレン等のスルホン酸基含有モノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのリン酸エステル等のリン酸エステル基含有モノマー等及びこれらのアルカリ化合物による塩等のアニオン性モノマー、(モノ−又はジ−アルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート、(モノ−又はジ−アルキル)アミノヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、(モノ−又はジ−アルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びジアリルアミン等のカチオン性モノマー、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドン等のノニオン性モノマーが挙げられる。その使用量は、得られるロジン系エマルション組成物がサイズ剤としてそのサイズ性能を低下させない範囲であればよく、具体的には通常全モノマーの10重量%以下、好ましくは多くても5重量%である。
上記のアルキルメルカプタン(f)としては、n−オクチルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。特に、n−ドデシルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタンが好ましい。
上記分散剤(B)が含有する共重合体及び/又はその中和物の合成に際しては、上記(e)成分、(f)成分以外の連鎖移動剤を併用することも可能である。例えば、チオグリコール酸誘導体、メルカプトプロピオン酸誘導体、メルカプトエタノール、チオリンゴ酸、及びチオサリチル酸等のメルカプタン誘導体等が挙げられる。
上記(a)〜(d)又は上記(a)〜(c)成分の合計の重量に対し(e)成分を0.1〜3重量%、(f)成分を0.1〜3重量%使用することが好ましい。
その界面活性剤としては、通常、乳化重合に適用できるものが使用可能であり、ノニオン性、アニオン性及び両性の界面活性剤が挙げられるが、重合性基を有する界面活性剤も使用できる。この界面活性剤は1種単独で使用することもできるし、また、2種以上でも使用できる。
上記重合性基を有する界面活性剤としては、一般に反応性乳化剤と称され、分子中に疎水基、親水基及び重合性基を有する化合物を挙げることができる。この重合性基としては、例えば、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、イソプロペニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を有する官能基を含む重合性基が挙げられる。この重合性基を有する界面活性剤としては、通常乳化重合に適用できるものが使用可能であり、特に限定されるものではないが、具体例として分子中に前記重合性基を一つ以上有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアラルキルエーテル及びポリオキシアルキレンフェニルエーテル等の重合性基含有ポリオキシアルキレンエーテル系化合物、ポリオキシアルキレンモノスチリルフェニルエーテル及びポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル系化合物を挙げることができる。その他に、これらの重合性基含有ポリオキシアルキレンエーテル系化合物及び前記ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル系化合物から誘導されるスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩及びスルホコハク酸エステル塩、前記重合性基含有ポリオキシアルキレンエーテル化合物から誘導される脂肪族カルボン酸塩及び芳香族カルボン酸塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系化合物、及びロジン−グリシジル(メタ)アクリレート系化合物等を例示できる。これらの界面活性剤は1種単独で使用することもできるし、また、その2種以上を使用することもできる。
本発明のロジン系エマルション組成物は、表面サイズ剤として使用することも可能であり、この場合、抄紙された湿紙に噴霧、浸漬、塗布などの慣用的な表面サイジング方法が適用される。その湿紙は予め抄造された湿紙でもよい。
本発明のロジン系エマルション組成物をサイズ剤とするときは、表面サイズ剤もその下位概念に含む。
上記(A)成分を70〜99重量%、上記(B)成分を1〜30重量%を水性分散媒(主成分は水)に分散させてロジン系エマルション組成物を得る。
このロジン系エマルション組成物を用いて、抄紙pH4〜8で抄紙し、サイジングした紙を得る。
ロジン系物質(A)の製造
製造例1(フマル酸強化ロジン系物質(A−1)の製造)
200℃で溶融状態にあるガムロジン440部にフマル酸90部を徐々に加え、200℃で2時間攪拌保温した後、さらにホルムアルデヒド処理(変成率1%)トール油ロジンを470部加え、溶融攪拌して均質に混合し、その後に得られた反応生成物を室温に冷却した。この反応生成物はフマル酸が9%付加されたフマル酸強化ロジンであり、フマル酸強化ロジン系物質(A−1)とする。
攪拌機、温度計、窒素導入管、分水器及び冷却器を備えたフラスコに、酸価170のガムロジン600部とグリセリン55部を仕込み、270℃で15時間エステル化反応させてロジン物質の多価アルコールエステルの反応生成物を得た。
200℃で溶融状態にあるガムロジン69部にフマル酸6部を加え、200℃で2時間攪拌保温した後、製造例2のロジンエステル25部を加え溶融状態で攪拌混合し、8%フマル酸強化ロジンとロジンエスルの75:25重量比の混合物を得た。これをフマル酸強化ロジンとロジンエステル混合物(A−2)とする。
合成例1(実施例用アニオン性高分子系乳化分散剤(B−1)の製造)
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコにスチレン0.42部、ブチルアクリレート10.17部、80%メタアクリル酸13.24部、ノルマルドデシルメルカプタン0.21部、メルカプトエタノール0.03部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.04部、過硫酸アンモニウム1.18部仕込み、固形分濃度が27%となるよう水58.6部を加えて攪拌混合し、90℃で3時間加熱した。ついで70℃まで冷却し、メタクリル酸のアニオン当量に対して0.8当量となり、固形分濃度が25%となるよう30%水酸化ナトリウム水溶液14.23部および水1.88部を徐々に滴下し、30分間攪拌した後室温まで冷却することにより、固形分25.0%、粘度4940mPa・s、pH8.5のスチレン−メタクリル酸共重合体ポリマー分散液であるアニオン性高分子系乳化分散剤(B−1)を得た。使用した上記各成分、上記当量比、上記固形分、粘度、pHの測定値を表1に示す。なお、粘度はブルックフィールド回転粘度計を用いた25℃の測定値である。
上記合成例1中のモノマー類、連鎖移動剤、アルカリ類を表1記載の対応する欄の組成比となるようにし、アルカリ類の仕込量は表1記載の対応する欄の(メタ)アクリル酸のアニオン当量に対する当量比となる量としたこと以外はこの合成例1と同様にして共重合体分散液を製造し、アニオン性高分子系乳化剤(B−2〜B−16)を得た。合成例1の場合と同様に測定した結果を表1に示す。
上記合成例1中のモノマー類、連鎖移動剤、アルカリ類を表1記載の対応する欄の組成となるようにし,アルカリ類の仕込量は表1記載の対応する欄の(メタ)アクリル酸のアニオン当量に対する当量比となる量としたこと以外はこの合成例1と同様にして共重合体分散液を製造し,アニオン性高分子系乳化剤(B−17〜B−22)を得た。合成例1の場合と同様に測定した結果を表1に示す。
上記ロジン系物質(A)の製造例1で得られたロジン系物質(A−1)を約150℃に加熱溶融し、攪拌しながら、上記合成例1で得られたアニオン性高分子系乳化分散剤(B−1)を全固形分中5%になるように添加して混合し、油中水型のエマルションとした。これに攪拌下、熱水を徐々に加えて転相させ水中油型のエマルションとし、これにさらに熱水を素早く添加して混合し、安定な水中油型エマルションとした後、室温まで冷却しロジン系物質の水性エマルション組成物を得た。このようにして得られたロジン系エマルション組成物の固形分は51.0%、平均粒子径は0.45μm、重量基準粒径分布における累積50%径は1μm以上は0、粘度は32mPa・s、pHは5.8であった。このロジン系エマルション組成物をそのままサイズ剤とする。これらの測定値を表3に示す。なお、粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布装置LA−910(堀場製作所社製)による測定値、粘度はブルックフィールド回転粘度計を用いた25℃の測定値である。
アニオン性高分子系乳化剤(B−1)を表1記載のアニオン性高分子系乳化剤(B−2〜B−16)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてロジン系エマルション組成物を得た。得られたロジン系エマルション組成物について実施例1の場合と同様に測定した結果を表3に示す。
アニオン性高分子乳化剤(B−1)を表1記載のアニオン性高分子系乳化剤(B−17〜B−22)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてロジン系エマルション組成物を得た。得られたロジン系エマルション組成物について実施例1の場合と同様に測定した結果を表3に示す。
ロジン系物質(A−1)を上記ロジン系物質(A)の製造例3で得られたロジン系物質をフマル酸強化ロジンとロジンエステル混合物(A−2)とし、アニオン性高分子系乳化剤(B−1)を表1記載のアニオン性高分子系乳化剤(B−1〜B−16)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてロジン系エマルション組成物を得た。得られたロジン系エマルション組成物について実施例1の場合と同様に測定した結果を表5に示す。
ロジン系物質(A−1)を上記ロジン系物質(A)の製造例3で得られたロジン系物質をフマル酸強化ロジンとロジンエステル混合物(A−2)とし、アニオン性高分子系乳化剤(B−1)を表1記載のアニオン性高分子系乳化剤(B−17〜B−22)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてロジン系エマルション組成物を得た。得られたロジン系エマルション組成物を実施例1の場合と同様に測定した結果を表3に示す。
晒クラフトパルプ(針葉樹体広葉樹のパルプ比が1対9である混合パルプ)をパルプ濃度が2.5%になるように硬度100ppmの希釈用水で希釈し、ビーターを用いて叩解度400とした。次いで得られたパルプスラリー1.2リットルを離解機に秤取し、攪拌下、硫酸バン土を対パルプ1.5%加えた後、上記実施例、比較例のそれぞれから得られたロジン系エマルション組成物を各別に対パルプ0.2%添加した。それからpH4.5の希釈水でこの得られたパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈し、定着剤としてカチオン性ポリアクリルアミド(日本ピー・エム・シー(株)製紙力増強剤DS410)を対パルプ0.05%添加し、ノーブルアンドウッド抄紙機で抄紙pH4.5で抄紙し、得られた湿紙の乾燥はドラムドライヤーを用いて100℃、80秒および80℃、100秒の2種類の条件で行い、坪量65g/m2の上記実施例、比較例のロジン系エマルション組成物を用いたそれぞれの試験紙を得た。
得られたそれぞれの試験紙を恒温恒湿(23℃、相対湿度50%)環境下で24時間調湿した後、サイズ度をステキヒト法で測定した。この試験は実施例1〜16、比較例1〜6で得られたロジン系エマルション組成物について行った。80℃、100秒の乾燥が「緩やかな乾燥条件」に相当する。
段ボール古紙をパルプ濃度2.5%になるよう硬度100ppmの希釈用水で希釈し、ビーターを用いて叩解度350とした。次いで得られたパルプスラリー1.2リットルを離解機に秤取し、攪拌下、カチオン性ポリアクリルアミド(日本ピー・エム・シー(株)製紙力増強剤DS470)を対パルプ0.2%添加した後、上記実施例、比較例のロジン系エマルション組成物を各別に対パルプ0.2%添加した。それからpH7の希釈水でこの得られたパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈し、ノーブルアンドウッド抄紙機を用い、pH6.8で抄紙し、得られた湿紙の乾燥はドラムドライヤーを用いて100℃、80秒および80℃、100秒の2種類の条件で行い、坪量80g/m2の上記実施例、比較例のロジン系エマルション組成物を用いたそれぞれの試験紙を得た。得られたそれぞれの試験紙を恒温恒湿(23℃、相対湿度50%)環境下で24時間調湿した後、サイズ度をコブ吸水度法で測定した。この試験は実施例17〜32、比較例7〜12で得られたロジン系エマルション組成物について行った。80℃、100秒の乾燥が「緩やかな乾燥条件」に相当する。
長さ30cm、内径2.1cmの試験管に100mlの上記実施例、比較例の各ロジン系物質のエマルション組成物を各別に入れ、2ケ月静置後、底部に沈殿した沈殿物の高さ(cm)を測定した。
(機械的安定性試験)
上記実施例、比較例の各ロジン系物質のエマルション組成物50gを各別にカップに入れ、温度25℃、荷重25Kg、回転数800rpmにて10分間マーロン式安定性試験を行った。各カップ毎の生成した凝集物を325メッシュ金網にて濾過して各カップ毎の全固形分に対する析出量を測定し百分率で表した。
パルプ濃度が2.5%になるように硬度100ppmの希釈用水で希釈し、ビーターを用いて叩解度400とした。次いで得られたパルプスラリー1.2リットルを離解機に秤取し、攪拌下、硫酸バン土を対パルプ1.5%加えた後、上記実施例、比較例のそれぞれから得られたロジン系エマルション組成物を各別に対パルプ0.2%添加した。それからpH4.5の希釈水でこの得られたパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈し、円筒型の容器に入れた。その後、希釈したパルプスラリーに定着剤としてカチオン性ポリアクリルアミド(日本ピー・エム・シー(株)製紙力増強剤DS410)を対パルプ0.05%添加した後、このパルプスラリーをポンプで循環してこれを50cmの高さから容器中に落下させ、10分後の液面に蓄積する泡の面積を、液面全体面積に対する百分率で表した。この試験は実施例1〜16、比較例1〜6で得られたロジン系エマルション組成物について行った。
(発泡性試験2)
段ボール古紙をパルプ濃度2.5%になるように硬度100ppmの希釈用水で希釈し、ビーターを用いて叩解度350とした。次いで得られたパルプスラリー1.2リットルを離解機に秤取し、攪拌下、カチオン性ポリアクリルアミド(日本ピー・エム・シー(株)製紙力増強剤DS470)を対パルプ0.2%添加した後、上記実施例、比較例のそれぞれから得られたロジン系エマルション組成物を各別に対パルプ0.2%添加した。それからpH7の希釈水でこの得られたパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈し、円筒型の容器に入れた。その後、このパルプスラリーをポンプで循環してこれを50cmの高さから容器中に落下させ、10分後の液面に蓄積する泡の面積を、液面全体面積に対する百分率で表した。この試験は実施例17〜32、比較例7〜12で得られたロジンエマルションサイズ剤について行った。
ロジン系物質の水性エマルションを硬度300ppmの硬水を用いて固形分5%となるように希釈し、40℃で24時間保持後、ろ紙でろ過し、全固形分に対するろ過残量を測定し百分率で表した。
本発明によれば、分散剤(B)は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(e)及びアルキルメルカプタン(f)の存在下に所定のモノマーを共重合させて得られる共重合体及び/又はその中和物を含有するので、この分散剤(B)を用いてロジン系物質を乳化分散させたときの分散状態が極めて微細かつ優れた分散安定性を示し、しかも分散液が低粘度で取り扱いやすく、加えて硬水希釈時の分散安定性に優れるのみではなく、抄紙工程における泡立ちが低く、酸性から中性にかけての広範囲のpH領域において乾燥条件が比較的穏やかな抄紙系においても従来のロジン系エマルション組成物より優れたサイズ効果を発揮するロジン系エマルション組成物、これを用いた紙のサイジング方法及びサイズ効果の優れた紙を提供することができる。
Claims (7)
- ロジン系物質(A)と、分散剤(B)を含有するロジン系エマルション組成物において、該分散剤(B)は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(e)及びアルキルメルカプタン(f)の存在下にスチレン系モノマー(a)と、ガラス転移温度が高くても0℃であるホモポリマーを構成することができるモノマーである(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩のモノマー(c)をモノマー構成に有するモノマーを共重合させて得られる共重合体及び/又はその中和物を含有するロジン系エマルションサイズ剤。
- ロジン系物質(A)と、分散剤(B)を含有するロジン系エマルション組成物において、該分散剤(B)は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(e)及びアルキルメルカプタン(f)の存在下にスチレン系モノマー(a)と、ガラス転移温度が高くても0℃であるホモポリマーを構成することができるモノマーである(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩のモノマー(c)と、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)以外の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(d)をモノマー構成に有するモノマーを共重合させて得られる共重合体及び/又はその中和物を含有するロジン系エマルションサイズ剤。
- (a)成分が10〜60重量%、(b)成分が20〜70重量%、(c)成分が20〜60重量%である請求項1に記載のロジン系エマルションサイズ剤。
- (a)成分が10〜60重量%、(b)成分が20〜70重量%、(c)成分が20〜60重量%及び(d)成分が0〜10重量%である請求項2に記載のロジン系エマルションサイズ剤。
- (a)〜(d)成分の合計の重量に対し(e)成分を0.1〜3重量%、(f)成分を0.1〜3重量%使用する請求項3又は4に記載のロジン系エマルションサイズ剤。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のロジン系エマルションサイズ剤を用いpH4ないしpH8の抄紙pH範囲でサイジングを行う紙のサイジング方法。
- ロジン系物質(A)と 、請求項1ないし5のいずれかに記載の共重合体及び/又はその中和物を含有する紙。
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