JP4614722B2 - 紙の製造方法及び製紙用助剤 - Google Patents
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また、特許文献1には天然ピッチに関して記載されているのみで、古紙の再利用におけるピッチに関することは全く記載されていない。
また、特許文献2には、特定の両性界面活性剤と併用するものであって、水溶性カチオン性ポリマーを用いることが記載されているが、該カチオン性ポリマーとしては、分子量が80,000以下、或いは2,000,000のものが具体的に記載されているにすぎず、このような低分子量のものを用いた場合は、ピッチコントロールが十分でなく、またこのような高分子量のものを用いた場合は白色度の低いものしか得られない。しかもその使用量は極めて多く、コスト面および多量添加によるその他の助剤への悪影響などの問題がある。
また、ピッチをパルプに定着させ、紙を製造する場合、ピッチにより紙の白色度が低下してしまうという問題があった。
また、本発明は、上記の高品質の紙を製造するための製紙用助剤を提供することを目的とする。
[1]40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプ繊維を全パルプ成分中35質量%以上、および填料を含有するパルプ濃度が2.5質量%以上3.2質量%以下のパルプ含有水性スラリーに、粘度平均分子量が100,000〜1,000,000のカチオン性ポリマーからなる製紙用助剤をパルプ成分に対し濃度が50〜1000ppmの範囲内になるように配合し、剪断後、白水でパルプ濃度が0.5〜2.0質量%に希釈した製紙原料スラリーを脱水してシートを形成後、該シートを乾燥することを特徴とする紙の製造方法。
[2]該40メッシュ通過微細パルプ繊維成分が脱墨古紙パルプであることを特徴とする前記[1]に記載の紙の製造方法。
さらには、本発明の製紙用助剤は、凝結・凝集性とピッチコントロール性を同時に満足させることができるため、製紙原料スラリーに添加される製紙用助剤の総量を低く抑えることができるので、製紙用助剤の増加に伴う製造マシンの汚れ、紙上の欠点発生を抑制することができると共に、歩留りよく高品質の紙を製造することができる。
このように、本発明は、特に古紙の再利用に極めて有用な製紙方法、及びそのための製紙用助剤を提供することができる。
本発明においては製紙原料パルプは、40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプ繊維を全パルプ成分中35質量%以上含有するものである。
ここで40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプとは、通常の製紙において用いるワイヤーが40メッシュ程度であり、これを通過するパルプはバージンパルプより極めて繊維長の短いものであり、例えば、脱墨古紙パルプなどの古紙を再利用したものである。
本発明は、ピッチを微細パルプ繊維に定着させ、ピッチの定着した微細パルプを含むパルプ成分と填料とを長繊維やピッチの定着していない微細パルプ繊維に定着させ、これを紙中に抄き込むことにより、前記のピッチによる弊害を阻止するものである。そのためのピッチを定着する微細パルプ繊維、即ち、40メッシュ通過微細パルプ繊維は、全パルプ成分中35質量%以上含有させる必要がある。
本発明においては、その為、後述の凝結・凝集性とピッチコントロール性を兼ね備える本発明の製紙用助剤を用いるが、製紙原料パルプ成分中に前記微細パルプ繊維を35質量%以上含有させることによって、該製紙用助剤の作用効果を十分に発揮させることができる。
本発明の製紙用助剤は、粘度平均分子量が100,000〜1,000,000のカチオン性ポリマーである。ここでいう粘度平均分子量とは、極限粘度法により測定したポリビニルアルコール換算の粘度平均分子量である。この粘度平均分子量が100,000より小さいものを用いると、凝結性及びピッチコントロール性のいずれの効果も低下する傾向があり、特に微細パルプ繊維へのピッチ定着性が低下するため、製造マシンが汚れるという面で好ましくない。また、1,000,000を超えると、紙の白色度が低下するので好ましくない。凝結剤としての効果、微細パルプ繊維へのピッチ定着性及び紙の白色度の面から、好ましい粘度平均分子量は200,000〜1,000,000の範囲である。
で表されるものであり、エピハロヒドリンとアルキルアミンのモル比が好ましくは1:0.1〜1、より好ましくは、1:0.1〜0.5となるものである。
また、水溶性還元剤の例としては、水に可溶な通常のラジカル酸化還元重合触媒成分として用いられる還元剤、例えばエチレンジアミン四酢酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、あるいはこれらと鉄、銅、クロムなどの重金属との錯化合物、スルフィン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、L‐アスコルビン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩やカルシウム塩、ピロリン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明においては、パルプ含有水性スラリーへ前記カチオン性ポリマーを配合し、所望により希釈したうえで、パルプスラリーを脱水してシートを形成し、乾燥させることにより紙を製造するが、本発明において前記製紙用助剤のカチオン性ポリマーの効果を最大限に発揮させるために、前記したようにパルプ含有水性スラリー中の全パルプ成分のうち、40メッシュ通過の微細パルプ繊維が35質量%以上含有されていることが必要である。微細パルプ繊維の配合割合が35質量%未満であると、前記カチオン性ポリマーを配合することによりパルプ由来ピッチの小さい粒子(通常10μm未満)状態に維持されたピッチが製造マシンへ付着するのを抑制しうるが、それに必要な量のピッチを微細パルプ繊維に定着させることができない。また、微細パルプ繊維の繊維長が40メッシュを超えるものであると、ピッチが紙の表面に現れやすくなるため、白色度の低下及び欠点発生を抑制するのが難しいものとなる。製造マシンの汚れ防止の面から40メッシュ通過の微細パルプ繊維の含有率は45質量%以上が好ましい。
なお、実施例及び比較例の製紙原料スラリー及び得られた紙については、製紙原料スラリーの電荷密度、濁度、カチオン要求量、ピッチ量及び紙の白色度の5項目について評価した。これらの項目については、以下の方法により評価した。
3.2質量%パルプ試料100gを600rpmで攪拌しながら、これに各種薬剤及び白水を以下の順に10秒間隔で添加し、スラリー濃度1.0質量%のパルプ含有スラリーを調製した。
(1)紙力増強剤、(2)硫酸バンド、(3)製紙用助剤(カチオン性ポリマー)、(4)サイズ剤、(5)白水、(6)填料、(7)歩留り剤(なお、比較例では(3)を添加しない場合がある)。
このように調製した製紙原料スラリー50gをワットマンNo.4ろ紙にて吸引ろ過し、そのろ液について濁度、カチオン要求量を測定した。
濁度は、JIS K0101により濾水のホルマジン濁度を測定した。
この濁度は、歩留り、薬剤、ピッチの定着性を評価するためのものであり、この値が小さいほど歩留りが高く、薬剤、ピッチの定着率が高いものであることを意味する。
カチオン要求量は、Particle Charge Detector PCD03により測定した。
このカチオン要求量は、系内の電荷状態を評価するためのものであり、この値が低い程、系内のアニオン性成分が中和され少なくなっていることを意味する。このアニオン性成分の中和は、パルプ繊維のもつアニオン基についても同様になされるため、紙力増強剤、サイズ剤等のアニオン性を有する薬剤がパルプ繊維表面に定着しやすくなることを意味する。
製紙原料スラリー250mlと予め質量を測定した発泡プラスチック(A)(12cm×3cm×1cm)とをガラスビンに入れ、40℃恒温で2時間振とう後、前記プラスチックを取り出し、100mlのイオン交換水で洗浄後、乾燥し、プラスチック(B)の質量を測定し、次の計算式により付着量(mg)を求めた。
付着量=(B)の質量−(A)の質量
製紙原料スラリーを坪量が45〜50g/m2となるように角型容器に入れ攪拌しながら、角型抄紙機[東西精機(株)社製]に前記スラリーを入れ、攪拌棒で一定の力で2回上下に攪拌し、最後に穏やかに攪拌した。そして前記抄紙機の排水弁を開き、メッシュ(#40)上に形成されたマット(250mm×250mm)の上にろ紙とステンレス鋼板1枚を載せ、ローラーで脱水した。マットをメッシュから剥し、ろ紙とステンレス鋼板で挟み、2枚ずつをプレス機を用いて荷重0.515N/mm2、5分の条件で1回プレスし、さらに前記荷重で2分の条件で1回プレスした。その後、ドラム式ドライヤー(ドラムの表面温度95℃)で3分間乾燥させ、一昼夜調湿(20℃、湿度55%RH)し、評価用の紙を得た。
この紙を日本電飾工業社製「SPECTRO COLORMETER MODEL PF−10」を用いて白色度を測定した。
脱墨古紙パルプ(40メッシュ通過微細パルプ繊維含有率52質量%)3.2質量%濃度のパルプ含有水性スラリー100質量部中に、紙力増強剤をパルプに対し、0.75質量%、硫酸バンドをパルプに対し0.7質量%、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体:粘度平均分子量50万、カチオン量2.5meq/g)をパルプに対し300ppm、中性ロジンサイズ剤を前記パルプに対し0.25質量%、白水を前記パルプ濃度が1質量%になるように添加し、次いで炭酸カルシウムを前記パルプに対し、10質量%、歩留り剤を前記パルプに対し、150ppmをこの順序で撹拌しながら添加し、その後、pH7.5〜7.7の範囲になるように調製し、製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を500ppmにした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調整した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を700ppmにした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を1000ppmにした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)を粘度平均分子量100万、カチオン量2.5meq/gのものにかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)をエピクロロヒドリン−ジメチルアミン共重合体(粘度平均分子量30万、カチオン量10meq/g)にかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)を粘度平均分子量20万、カチオン量3.5meq/gのものにかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)を粘度平均分子量200万、カチオン量2.5meq/gのものにかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例9〜12において、製紙用助剤(エピクロロヒドリン−ジメチルアミン共重合体)を粘度平均分子量150万、カチオン量10meq/gのものにかえた以外は全て実施例9〜12と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例9〜12において、製紙用助剤(エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体)を粘度平均分子量5万、カチオン量8.0meq/gのものにかえた以外は全て実施例9〜12と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
実施例1おいて、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を48ppm(比較例13)、100ppm(実施例17)及び1500ppm(比較例14)とした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表2示す。
実施例1〜2、4、17、9〜10、12〜14、16、比較例1〜2、4〜6、8〜10及び12〜14において、パルプ含有水性スラリーとして、脱墨古紙パルプとサーモメカニカルパルプ(TMP)との混合物(脱墨古紙パルプとTMPとの配合割合は質量比で80:20、40メッシュ通過微細繊維含有濃度38質量%)を用いた以外は、全て実施例1〜2、4、17、9〜10、12〜14、16、比較例1〜2、4〜6、8〜10及び12〜14と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表3に示す。
脱墨古紙パルプとサーモメカニカルパルプ(TMP)との混合物(脱墨古紙パルプとTMPとの配合割合は質量比で70:30、40メッシュ通過微細繊維含有濃度30質量%)3.2質量%濃度のパルプ含有水性スラリー100質量部中に、紙力増強剤をパルプに対し、0.75質量%、硫酸バンドをパルプに対し0.7質量%、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体:粘度平均分子量50万、カチオン量2.5meq/g)をパルプに対し300ppm、中性ロジンサイズ剤を前記パルプに対し0.25質量%、白水を前記パルプ濃度が1質量%になるように添加し、次いで炭酸カルシウムを前記パルプに対し、10質量%、歩留り剤を前記パルプに対し、150ppmをこの順序で撹拌しながら添加しその後、pH7.5〜7.7の範囲になるように調整し、製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
比較例26において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を500ppmにした以外は全て比較例26と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
比較例26おいて、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を700ppmにした以外は全て比較例26と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
比較例26〜28において、製紙用助剤をアクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体(粘度平均分子量200万、カチオン量2.5meq/g)にかえた以外は全て比較例26〜28と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
比較例26〜28において、製紙用助剤をエピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体(粘度平均分子量5万、カチオン量2.5meq/g)にかえた以外は全て比較例26〜28と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
Claims (2)
- 40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプ繊維を全パルプ成分中35質量%以上、および填料を含有するパルプ濃度が2.5質量%以上3.2質量%以下のパルプ含有水性スラリーに、粘度平均分子量が100,000〜1,000,000のカチオン性ポリマーからなる製紙用助剤をパルプ成分に対し濃度が50〜1000ppmの範囲内になるように配合し、剪断後、白水でパルプ濃度が0.5〜2.0質量%に希釈した製紙原料スラリーを脱水してシートを形成後、該シートを乾燥することを特徴とする紙の製造方法。
- 該40メッシュ通過微細パルプ繊維成分が脱墨古紙パルプであることを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
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