JP4614722B2 - 紙の製造方法及び製紙用助剤 - Google Patents

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本発明は、ピッチ成分による紙上の斑点や穴開き(欠点)の発生、白色度低下及び製造マシンの汚れを抑制し、しかも歩留り性、濾水性、乾燥性が向上する紙の製造方法及びこれに用いる製紙用助剤に関するものである。
近時、パルプやタルク、クレー、炭酸カルシウム等の各種填料を含有する製紙原料スラリーを用いて紙を製造する際、パルプ成分由来のピッチ成分が製紙工程において、その操業性を低下させている。例えば、ピッチが製造マシンのプレスパートのフェルトに付着すると、水切れ性が低下する。水切れ性の低下は次のドライヤーパートでの乾燥性の低下を招き、その結果、乾燥時間を長くしたり、乾燥温度を高くしなければならず、結果、エネルギー使用率の増加及び生産性が低下する原因となる。また、ピッチがワイヤーパートやドライヤーパートに付着すると、乾燥工程でピッチが紙の表面に付着することにより、紙上の欠点発生の原因となる。このため、各パートにピッチが付着した場合、ピッチを洗浄又はフェルトやワイヤーの交換が必要となり、製造マシンを停止しなければならないことから生産効率が低くなるのを免れないものであった。
このピッチ成分は天然ピッチと合成ピッチに分けられ、天然ピッチは木材パルプ由来のものであり、合成ピッチは例えば塗工紙に含まれるラテックス、サイズ剤、歩留り向上剤、紙力剤等の内添薬剤、インク、感圧接着剤やホットメルト系接着剤等のスティッキー等古紙由来のものである。特に、最近は環境の改善維持から脱墨古紙パルプ(DIP)やブロークパルプ等の古紙を利用したパルプの利用率が高くなってきている。
また、抄紙環境が、従来の酸性抄紙から、得られる紙の経時変化が少なく、白色度が向上するうえ、製造マシンの腐蝕率が低くなるという利点があるため、中性抄紙に移行する傾向にある。しかし中性抄紙の場合、酸性抄紙でサイズ剤、紙力増強剤の定着及びパルプや填料等の凝集性を向上させる目的で用いられていた硫酸バンドがその効果を発揮し難くなるばかりか、填料として炭酸カルシウムを用いる場合、炭酸カルシウムを溶解してしまい、製造マシンにスケールが付着する原因となっている。この硫酸バンドの効力低下により、紙力増強剤、サイズ剤、歩留り剤、ろ水剤などの製紙用助剤の定着率の低下が起こる。その結果、製紙原料の歩留り性や濾水性、紙のサイズ度、紙力の低下を生じ、それを補うために更に製紙用助剤が増量されるが、このように製紙用助剤が過剰になると製造マシンの汚染や断紙などの原因になり、結果的に生産性が低下する。
さらに、近時、この中性抄紙においても、古紙の利用率が向上し、それにともない合成ピッチの発生も増加している。合成ピッチの増加は、前記製造マシンへの付着に加え、製紙用助剤の効果の低下を引き起こす。このため、製紙用助剤がさらに増量されるため、前記と同様、生産性がさらに低下するという問題があった。
そこで、このようなピッチトラブル抑制のため、製紙原料スラリー中に各種ピッチコントロール剤を含有させることがなされている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。このピッチコントロール剤は、(1)吸着タイプ、(2)分散タイプ、(3)分解又は溶解タイプが挙げられる。
(1)吸着タイプは、ピッチに吸着し、ピッチの粘着性を低下させ、ピッチ同志の凝集を防止するものであり、例えば、タルク、硫酸バンド、ステアリン酸亜鉛、カチオン性高分子ポリマー等が用いられている。この吸着タイプとしては、例えば、シート形成に先立って、ピッチで汚染した紙組成に特定のカチオン性ピッチ抑制剤を添加する、抄紙機表面上の天然ピッチの析出を抑制する方法(特許文献1参照)が提案されている。
(2)分散タイプは、アニオン性界面活性剤を製紙原料スラリー中に添加することにより、ピッチ表面の負電荷を高め、安定化するとともにピッチを疎水性から親水性に改質するものである。このようなものとしては、例えば、特定の両性界面活性剤と水溶性カチオン性ポリマーとを有効成分として含有するピッチコントロール剤(特許文献2参照)が提案されている。
(3)分解又は溶解タイプは、ピッチを分解、溶解又は減少させるような酵素や有機溶剤、界面活性剤を用いるものである。
また、前記(1)〜(3)以外に、ピッチをカチオン性高分子ポリマーやカチオン化でんぷん等によりパルプに定着させることにより、得られる紙にピッチを抄き込み、製造マシンや製紙原料スラリー中からピッチを除去(製造工程からピッチを排出)することも行われている。
しかし、前記(1)吸着タイプのピッチコントロール剤は、吸着したピッチを製造工程から排出、例えば紙に抄き込むこと、所謂歩留ませることが難しいため、ピッチ粒子を特定の大きさで維持できるが、製造工程中にピッチの量が増加し、結果的にピッチが凝集し大きくなるという問題がある。また、ピッチコントロール剤としてタルクを用いる場合は、タルクを溶解する必要があるため、溶解装置の導入や作業行程の増加などコストアップ及び生産性の低下の原因となる。
また、特許文献1には天然ピッチに関して記載されているのみで、古紙の再利用におけるピッチに関することは全く記載されていない。
前記(2)分散タイプのピッチコントロール剤を製紙原料スラリー中に添加すると、ピッチが製造工程外に排出されずに分散された状態で製造工程中に残るため、ピッチの量が製紙工程中に増加し、その結果、プレスパートやドライヤーパートにピッチが付着する。ピッチの付着は操業性低下の原因となる。
また、特許文献2には、特定の両性界面活性剤と併用するものであって、水溶性カチオン性ポリマーを用いることが記載されているが、該カチオン性ポリマーとしては、分子量が80,000以下、或いは2,000,000のものが具体的に記載されているにすぎず、このような低分子量のものを用いた場合は、ピッチコントロールが十分でなく、またこのような高分子量のものを用いた場合は白色度の低いものしか得られない。しかもその使用量は極めて多く、コスト面および多量添加によるその他の助剤への悪影響などの問題がある。
前記(3)分解又は溶解タイプのピッチコントロール剤は、その効果を発揮させるためには、前記(1)及び(2)のピッチコントロール剤の使用量よりも多く添加する必要があり、コスト面及び添加による各種製紙用助剤の効果の低下の原因となる。
また、カチオン性高分子ポリマーやカチオン化でんぷん等によりパルプに定着させ、ピッチを製造工程から排出する場合、用いられるカチオン性高分子ポリマーやカチオン化でんぷんをピッチコントロールのためだけに添加する場合、通常の添加量ではその添加により製紙原料スラリー中の他の製紙用助剤の効果を低下させる原因となるし、またピッチコントロール以外の効果、例えば、凝結、歩留り等を得ようとすると、それらの効果に最適な場所、量を選択するために、ピッチコントロール性が低下してしまうという問題があった。
さらに、ピッチは表面積の大きい微細なパルプ繊維に定着する傾向にあるため、この微細なパルプ繊維を歩留らせることも困難であった。
また、ピッチをパルプに定着させ、紙を製造する場合、ピッチにより紙の白色度が低下してしまうという問題があった。
紙パ技協誌,第51巻,第7号,紙パルプ技術協会、1997年7月1日発行、第80〜85頁 紙パ技協誌,第53巻,第9号,紙パルプ技術協会、1999年9月1日発行、第40〜44頁 特開平4−241184号公報 特開平7−126996号公報
本発明は、中性抄紙下、脱墨古紙パルプ等の40メッシュ通過微細パルプ繊維を多量に含む製紙原料スラリーを用い、製造マシン、特にワイヤーパート、プレスパートのフェルトやドライヤーパートにピッチが付着することがなく、しかも白色度に優れ、紙上の欠点発生がない高品質の紙を高い歩留りで得ることができ、特に古紙の再利用に適した紙の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の高品質の紙を製造するための製紙用助剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の製紙用助剤を含有する製紙原料スラリーを用いて紙を製造すると、微細パルプ繊維に定着されたピッチを、紙中に抄き込むことにより製紙工程から排出でき、ピッチを微細パルプ繊維に定着させることにより製造マシンへのピッチ付着抑制と、紙の白色度低下及び欠点発生を抑制できることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の紙の製造方法及びこれに用いる製紙用助剤を提供するものである。
[1]40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプ繊維を全パルプ成分中35質量%以上、および填料を含有するパルプ濃度が2.5質量%以上3.2質量%以下のパルプ含有水性スラリーに、粘度平均分子量が100,000〜1,000,000のカチオン性ポリマーからなる製紙用助剤をパルプ成分に対し濃度が50〜1000ppmの範囲内になるように配合し、剪断後、白水でパルプ濃度が0.5〜2.0質量%に希釈した製紙原料スラリーを脱水してシートを形成後、該シートを乾燥することを特徴とする紙の製造方法。
[2]該40メッシュ通過微細パルプ繊維成分が脱墨古紙パルプであることを特徴とする前記[1]に記載の紙の製造方法。
本発明の紙の製造方法により紙を製造すると、ピッチを微細パルプ繊維に定着させ、ピッチ定着済みの微細パルプ繊維を含むパルプ成分と填料とを長繊維やピッチの定着していない微細パルプ繊維に定着させ、これを紙中に抄き込むことで製造工程から排出できるので、製造マシン、特にワイヤーパート、プレスパートのフェルトやドライヤーパートにピッチが付着するのを防止できる。このことにより洗浄やフェルト及びワイヤーの交換作業が不要となり、その結果操業性が向上し、しかもコストの面でも有利になる。また、紙の製造時において、製紙原料の歩留り性、濾水性及びドライヤーパートでの乾燥性に優れるので、製造スピードを向上させることができ、生産性が向上し、しかも得られた紙は、ピッチを微細パルプ繊維に選択的に定着させ、この微細パルプ繊維よりも繊維長の長いパルプ繊維に付着させないことにより、ピッチを抄き込んでいるにもかかわらず、紙の白色度低下及び紙上の欠点発生が抑制されている。これは、ピッチが付着した微細繊維をピッチの付着していない長繊維や微細繊維が覆うように凝集するためである。このことにより古紙の再利用においても高品質の紙を高収率で得ることができる。特に白色度の低下が起きやすい脱墨古紙パルプを用いても、紙の白色度の低下を防止できる。
さらには、本発明の製紙用助剤は、凝結・凝集性とピッチコントロール性を同時に満足させることができるため、製紙原料スラリーに添加される製紙用助剤の総量を低く抑えることができるので、製紙用助剤の増加に伴う製造マシンの汚れ、紙上の欠点発生を抑制することができると共に、歩留りよく高品質の紙を製造することができる。
このように、本発明は、特に古紙の再利用に極めて有用な製紙方法、及びそのための製紙用助剤を提供することができる。
以下、本発明の紙の製造方法及びこれに用いる製紙用助剤を実施するための最良の形態について具体的に説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
[1]製紙原料パルプ
本発明においては製紙原料パルプは、40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプ繊維を全パルプ成分中35質量%以上含有するものである。
ここで40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプとは、通常の製紙において用いるワイヤーが40メッシュ程度であり、これを通過するパルプはバージンパルプより極めて繊維長の短いものであり、例えば、脱墨古紙パルプなどの古紙を再利用したものである。
製紙工程において、ピッチは、繊維長の長いパルプよりも繊維長の短いパルプ、即ち比表面積の大きい微細なパルプに定着しやすい。
本発明は、ピッチを微細パルプ繊維に定着させ、ピッチの定着した微細パルプを含むパルプ成分と填料とを長繊維やピッチの定着していない微細パルプ繊維に定着させ、これを紙中に抄き込むことにより、前記のピッチによる弊害を阻止するものである。そのためのピッチを定着する微細パルプ繊維、即ち、40メッシュ通過微細パルプ繊維は、全パルプ成分中35質量%以上含有させる必要がある。
本発明においては、その為、後述の凝結・凝集性とピッチコントロール性を兼ね備える本発明の製紙用助剤を用いるが、製紙原料パルプ成分中に前記微細パルプ繊維を35質量%以上含有させることによって、該製紙用助剤の作用効果を十分に発揮させることができる。
[2]製紙用助剤
本発明の製紙用助剤は、粘度平均分子量が100,000〜1,000,000のカチオン性ポリマーである。ここでいう粘度平均分子量とは、極限粘度法により測定したポリビニルアルコール換算の粘度平均分子量である。この粘度平均分子量が100,000より小さいものを用いると、凝結性及びピッチコントロール性のいずれの効果も低下する傾向があり、特に微細パルプ繊維へのピッチ定着性が低下するため、製造マシンが汚れるという面で好ましくない。また、1,000,000を超えると、紙の白色度が低下するので好ましくない。凝結剤としての効果、微細パルプ繊維へのピッチ定着性及び紙の白色度の面から、好ましい粘度平均分子量は200,000〜1,000,000の範囲である。
このカチオン性ポリマーは、前記粘度平均分子量を有するものであれば、線状、分枝状、架橋型のいずれのものも用いることができ、これらのものは単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ジメチルジアリルアミン−二酸化硫黄共重合体、ポリアクリルアミドカチオン変性物、ポリアミノアクリル酸の他、第四級アンモニウム塩残基を有するカチオン性モノマーを構成単位として含む単独重合体又は共重合体、エピハロヒドリン−アルキルアミン付加重合物及びアリルアミン重合体の塩あるいは4級アンモニウム塩、ならびにジシアンジアミド−ホルムアルデヒド−塩化アンモニウム縮合ポリマー等が挙げられ、特に第四級アンモニウム塩残基を有するカチオン性モノマーを構成単位として含む単独重合体又は共重合体やエピハロヒドリン−アルキルアミン付加重合物が好ましい。
このようなカチオン性ポリマーを構成する第四級アンモニウム塩残基を有するカチオン性モノマーとしては、例えば2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルベンジルアンモニウムクロリド、3‐(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐(メタ)アクリルアミドプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、3‐(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムサルフェート、2‐(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムブロミド、3‐(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウムクロリド、3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピルメチルジエチルアンモニウムクロリド、3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐(メタ)アクリロイルアミノ‐2‐ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2‐(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。これらの中でも、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドを用いた単独重合体又は共重合体がカチオン量と分子量とを所望の値に調節しやすいので好ましい。
このカチオン性ポリマーは前記カチオン性モノマーとこれと共重合可能な単量体、例えばエチレン性不飽和化合物との共重合体であってもよい。この共重合体を構成するエチレン性不飽和化合物としては、例えばエチレン性不飽和モノカルボン酸類やジカルボン酸類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、芳香族ビニル化合物、不飽和アミド化合物及び不飽和ニトリル化合物などが挙げられる。このようなものの例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2‐メチルブチル、(メタ)アクリル酸tert‐ブチル、(メタ)アクリル酸2‐エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシヘキシル、スチレン、α‐メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどを挙げることができる。中でも入手が容易で、重合が容易に行われるという点で、(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドが好ましい。なお、(メタ)アクリルという用語は、アクリル又はメタクリルを意味する。
カチオン性ポリマーが共重合体の場合、カチオン性ポリマー中の第四級アンモニウム塩残基を有するカチオン性モノマー単位の含有量は、5モル%以上40モル%未満の範囲が好ましい。このカチオン性モノマー単位の含有量が5モル%未満では、所望のカチオン量が得られにくいし、40モル%以上ではパルプや填料の歩留りを向上させにくい上、使用する慣用の製紙用助剤の使用量も削減しにくい。
また、エピハロヒドリン−アルキルアミン付加重合物は、下記一般式〔I〕
Figure 0004614722
(式中、R、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、同一でも異なっていてもよく、Xは塩素原子又は臭素原子、mは重合度を示す。)
で表されるものであり、エピハロヒドリンとアルキルアミンのモル比が好ましくは1:0.1〜1、より好ましくは、1:0.1〜0.5となるものである。
前記一般式〔I〕で表されるエピハロヒドリン−アルキルアミン付加重合物は、RおよびRはいずれも水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは塩素原子または臭素原子である。RおよびRは、いずれも水素原子あるいは炭素数1〜5のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基などのアルキル基で、好ましくは、炭素数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。さらに、RおよびRがヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基であっても何等かまわない。また、アルキルアミンとして2種以上の混合物を使用しても何等かまわない。エピハロヒドリン−アルキルアミン付加重合物の例としては、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、エピクロルヒドリン−ジエチルアミン付加重合物、エピクロルヒドリン−エチレンジアミン付加重合物、エピクロルヒドリン−エチルアミノエタノール−ジエチルアミン付加重合物、エピブロモヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、エピブロモヒドリン−ジエチルアミン付加重合物、エピブロモヒドリン−イソプロピルアミン−ジエチルアミン付加重合物等を挙げることができる。
さらに、アリルアミン重合体の塩は、下記一般式[II]
Figure 0004614722
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Xは塩素原子、臭素原子、硫酸残基、硝酸残基、有機カルボン酸残基又は有機スルホン酸残基、nは重合度を示す。)
で表されるものである。
前記一般式〔II〕で表されるアリルアミン重合体の塩は、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基であり、Xが塩素原子、臭素原子、硫酸残基、硝酸残基、有機カルボン酸残基、有機スルホン酸残基である。アリルアミン重合体の塩の例としては、ポリアリルアミンの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩である。さらにポリN−アルキルアリルアミンの塩である、ポリメチルアリルアミン塩酸塩、ポリエチルアリルアミン塩酸塩、ポリプロピルアリルアミン塩酸塩、ポリイソプロピルアリルアミン臭化水素酸塩などを挙げることができる。
さらに、このカチオン性ポリマーは、カチオン量が1〜10meq/gの範囲にあることが望ましい。ここでいうカチオン量とは、カチオン性ポリマー1g中に含まれるカチオン性モノマーの当量を意味し、2.5mol/mのポリビニル硫酸カリウムを用いたコロイド滴定法により求められる。カチオン量が1meq/gよりも小さいと、製紙原料スラリーの負電荷、特にパルプの表面電荷を十分に中和することができないため、ろ水性、歩留り性などの抄紙物性が低下する原因となる。また、10meq/gより大きいと歩留り性が低くなるおそれがある。ろ水性、歩留り性及びサイズ度などを考慮すると、好ましいカチオン量は1.5〜8meq/gの範囲である。
このカチオン性ポリマーの重合方法としては、特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、固体重合法など任意の方法を用いることができる。この際用いる重合開始剤としては、水溶性のアゾ化合物や過酸化物、例えば過酸化水素、2,2´‐アゾビス(2‐アミジノプロパン)二塩酸塩、水溶性無機酸化物、または水溶性還元剤と水溶性無機酸化物や有機過酸化物との組合せなどがある。上記水溶性無機酸化物の例としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
また、水溶性還元剤の例としては、水に可溶な通常のラジカル酸化還元重合触媒成分として用いられる還元剤、例えばエチレンジアミン四酢酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、あるいはこれらと鉄、銅、クロムなどの重金属との錯化合物、スルフィン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、L‐アスコルビン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩やカルシウム塩、ピロリン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどが挙げられる。
一方、水溶性有機過酸化物としては、例えばクメンヒドロペルオキシド、p‐サイメンヒドロペルオキシド、tert‐ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p‐メンタンヒドロペルオキシド、デカリンヒドロペルオキシド、tert‐アミルヒドロペルオキシド、tert‐ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類などが挙げられる。
また、この乳化重合における乳化剤としては、通常アニオン性界面活性剤又はそれとノニオン性界面活性剤との組合せが用いられる。このアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤としては、通常の乳化重合に用いられるものの中から任意に選んで用いることができる。このようなアニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸金属塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩などを挙げることができる。
また、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルグリセリンホウ酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなど、ポリオキシエチレン鎖を分子内に有し、界面活性能を有する化合物及び前記化合物のポリオキシエチレン鎖がオキシエチレン、オキシプロピレンの共重合体で代替されている化合物、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
[3]紙の製造方法
本発明においては、パルプ含有水性スラリーへ前記カチオン性ポリマーを配合し、所望により希釈したうえで、パルプスラリーを脱水してシートを形成し、乾燥させることにより紙を製造するが、本発明において前記製紙用助剤のカチオン性ポリマーの効果を最大限に発揮させるために、前記したようにパルプ含有水性スラリー中の全パルプ成分のうち、40メッシュ通過の微細パルプ繊維が35質量%以上含有されていることが必要である。微細パルプ繊維の配合割合が35質量%未満であると、前記カチオン性ポリマーを配合することによりパルプ由来ピッチの小さい粒子(通常10μm未満)状態に維持されたピッチが製造マシンへ付着するのを抑制しうるが、それに必要な量のピッチを微細パルプ繊維に定着させることができない。また、微細パルプ繊維の繊維長が40メッシュを超えるものであると、ピッチが紙の表面に現れやすくなるため、白色度の低下及び欠点発生を抑制するのが難しいものとなる。製造マシンの汚れ防止の面から40メッシュ通過の微細パルプ繊維の含有率は45質量%以上が好ましい。
また、パルプ含有水性スラリーへの前記製紙用助剤の配合割合は、パルプ成分に対し、50〜1000ppmとなるように配合する。製紙用助剤がこの範囲より少ないと歩留り性、濾水性等の凝集剤としての効果の低下に加え、製造マシンの汚れ抑制効果が低くなるし、この範囲より多くなると白色度の低下を抑制することが困難となる。凝集剤としての効果、製造マシンの汚れ及び紙の白色度低下抑制の面から好ましい配合割合は300〜500ppmの範囲である。
本発明の紙の製造方法は、例えば、パルプ成分を少なくとも2.5質量%含有する水性スラリーに前記製紙用助剤を添加し、剪断後、0.5〜2.0質量%程度となるように白水で希釈し、この希釈したスラリーをワイヤー上で脱水しシートを形成し、このシートをプレスパートで搾水後、ドライパートで乾燥するものである。
そして本発明の紙の製造方法は、40メッシュ通過の微細パルプ繊維が35質量%以上含有された原料パルプ成分を用いるにも拘わらず、本発明の製紙用助剤を用いることによって、通常の製紙用装置を使用して、歩留り良くしかも高品質の紙を製造することができる。
以下、本発明の紙の製造方法及びこれに用いられる製紙用助剤につき実施例を用いて具体的に説明するが、本発明の紙の製造方法及びこれを用いた製紙用助剤はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例の製紙原料スラリー及び得られた紙については、製紙原料スラリーの電荷密度、濁度、カチオン要求量、ピッチ量及び紙の白色度の5項目について評価した。これらの項目については、以下の方法により評価した。
[濁度・カチオン要求量]
3.2質量%パルプ試料100gを600rpmで攪拌しながら、これに各種薬剤及び白水を以下の順に10秒間隔で添加し、スラリー濃度1.0質量%のパルプ含有スラリーを調製した。
(1)紙力増強剤、(2)硫酸バンド、(3)製紙用助剤(カチオン性ポリマー)、(4)サイズ剤、(5)白水、(6)填料、(7)歩留り剤(なお、比較例では(3)を添加しない場合がある)。
このように調製した製紙原料スラリー50gをワットマンNo.4ろ紙にて吸引ろ過し、そのろ液について濁度、カチオン要求量を測定した。
濁度は、JIS K0101により濾水のホルマジン濁度を測定した。
この濁度は、歩留り、薬剤、ピッチの定着性を評価するためのものであり、この値が小さいほど歩留りが高く、薬剤、ピッチの定着率が高いものであることを意味する。
カチオン要求量は、Particle Charge Detector PCD03により測定した。
このカチオン要求量は、系内の電荷状態を評価するためのものであり、この値が低い程、系内のアニオン性成分が中和され少なくなっていることを意味する。このアニオン性成分の中和は、パルプ繊維のもつアニオン基についても同様になされるため、紙力増強剤、サイズ剤等のアニオン性を有する薬剤がパルプ繊維表面に定着しやすくなることを意味する。
[ピッチ量(mg)]
製紙原料スラリー250mlと予め質量を測定した発泡プラスチック(A)(12cm×3cm×1cm)とをガラスビンに入れ、40℃恒温で2時間振とう後、前記プラスチックを取り出し、100mlのイオン交換水で洗浄後、乾燥し、プラスチック(B)の質量を測定し、次の計算式により付着量(mg)を求めた。
付着量=(B)の質量−(A)の質量
[白色度]
製紙原料スラリーを坪量が45〜50g/mとなるように角型容器に入れ攪拌しながら、角型抄紙機[東西精機(株)社製]に前記スラリーを入れ、攪拌棒で一定の力で2回上下に攪拌し、最後に穏やかに攪拌した。そして前記抄紙機の排水弁を開き、メッシュ(#40)上に形成されたマット(250mm×250mm)の上にろ紙とステンレス鋼板1枚を載せ、ローラーで脱水した。マットをメッシュから剥し、ろ紙とステンレス鋼板で挟み、2枚ずつをプレス機を用いて荷重0.515N/mm、5分の条件で1回プレスし、さらに前記荷重で2分の条件で1回プレスした。その後、ドラム式ドライヤー(ドラムの表面温度95℃)で3分間乾燥させ、一昼夜調湿(20℃、湿度55%RH)し、評価用の紙を得た。
この紙を日本電飾工業社製「SPECTRO COLORMETER MODEL PF−10」を用いて白色度を測定した。
(実施例1)
脱墨古紙パルプ(40メッシュ通過微細パルプ繊維含有率52質量%)3.2質量%濃度のパルプ含有水性スラリー100質量部中に、紙力増強剤をパルプに対し、0.75質量%、硫酸バンドをパルプに対し0.7質量%、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体:粘度平均分子量50万、カチオン量2.5meq/g)をパルプに対し300ppm、中性ロジンサイズ剤を前記パルプに対し0.25質量%、白水を前記パルプ濃度が1質量%になるように添加し、次いで炭酸カルシウムを前記パルプに対し、10質量%、歩留り剤を前記パルプに対し、150ppmをこの順序で撹拌しながら添加し、その後、pH7.5〜7.7の範囲になるように調製し、製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を500ppmにした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調整した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を700ppmにした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を1000ppmにした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(実施例5〜8)
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)を粘度平均分子量100万、カチオン量2.5meq/gのものにかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(実施例9〜12)
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)をエピクロロヒドリン−ジメチルアミン共重合体(粘度平均分子量30万、カチオン量10meq/g)にかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(実施例13〜16)
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)を粘度平均分子量20万、カチオン量3.5meq/gのものにかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(比較例1〜4)
実施例1〜4において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)を粘度平均分子量200万、カチオン量2.5meq/gのものにかえた以外は全て実施例1〜4と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(比較例5〜8)
実施例9〜12において、製紙用助剤(エピクロロヒドリン−ジメチルアミン共重合体)を粘度平均分子量150万、カチオン量10meq/gのものにかえた以外は全て実施例9〜12と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
(比較例9〜12)
実施例9〜12において、製紙用助剤(エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体)を粘度平均分子量5万、カチオン量8.0meq/gのものにかえた以外は全て実施例9〜12と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表1に示す。
Figure 0004614722
表1の結果から、実施例1〜16のものは、比較例1〜8に比べ、紙の白色度の低下が抑制されていることが分かる。また、実施例9〜12のものは、比較例9〜12に比べ、同一添加量とした場合、ピッチ付着量を低く抑えることができることから、製紙マシンの汚れを抑制でき、しかも濁度及びカチオン要求量を低くできることから歩留り性、薬剤の定着性が良好であるものであることが分かる。実施例9〜12のものは、比較例5〜12に比べ、白色度の低下抑制及びピッチ付着防止性のバランスに優れていることが分かる。
(実施例17、比較例13、14)
実施例1おいて、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を48ppm(比較例13)、100ppm(実施例17)及び1500ppm(比較例14)とした以外は全て実施例1と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表2示す。
Figure 0004614722
表2の結果、同一製紙用助剤の場合、実施例1〜4及び17を(添加量100〜1000ppmの範囲)のものは、比較例13(添加量が48ppm)に比べ、ピッチ付着量を低く抑えることができるから、製紙マシンの汚れを抑制でき、しかも濁度を低くすることができることから歩留り性、薬剤の定着性が良好であるものであることが分かる。また、実施例1〜4及び17のものは、比較例14(添加量が1500ppm)に比べ、白色度の低下が抑制されていることが分かる。この結果から、本発明の製紙用助剤は50〜1000ppm、特に100〜1000ppm、さらに、300〜500ppmの範囲で優れた効果を有することが分かる。
(実施例18〜27、比較例15〜25)
実施例1〜2、4、17、9〜10、12〜14、16、比較例1〜2、4〜6、8〜10及び12〜14において、パルプ含有水性スラリーとして、脱墨古紙パルプとサーモメカニカルパルプ(TMP)との混合物(脱墨古紙パルプとTMPとの配合割合は質量比で80:20、40メッシュ通過微細繊維含有濃度38質量%)を用いた以外は、全て実施例1〜2、4、17、9〜10、12〜14、16、比較例1〜2、4〜6、8〜10及び12〜14と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表3に示す。
Figure 0004614722
表3の結果から、実施例18〜27のものは、比較例15〜20、25に比べ、紙の白色度の低下が抑制されていることが分かる。また、実施例18〜20のものは、比較例21〜23に比べ、同一添加量とした場合、ピッチ付着量を低く抑えることができることから、製紙マシンの汚れを抑制でき、しかも濁度を低くできることから歩留り性、薬剤の定着性が良好であるものであることが分かる。さらに、同一製紙用助剤の場合、実施例18〜21のものは、比較例24に比べピッチ付着量及び濁度が低くなっており、比較例25に比べて白色度の低下が抑制されている。このことにより、本発明の製紙用助剤は50〜1000ppm、特に100〜1000ppm、さらに、300〜500ppmの範囲で優れた効果を有していることが分かる。
(比較例26)
脱墨古紙パルプとサーモメカニカルパルプ(TMP)との混合物(脱墨古紙パルプとTMPとの配合割合は質量比で70:30、40メッシュ通過微細繊維含有濃度30質量%)3.2質量%濃度のパルプ含有水性スラリー100質量部中に、紙力増強剤をパルプに対し、0.75質量%、硫酸バンドをパルプに対し0.7質量%、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体:粘度平均分子量50万、カチオン量2.5meq/g)をパルプに対し300ppm、中性ロジンサイズ剤を前記パルプに対し0.25質量%、白水を前記パルプ濃度が1質量%になるように添加し、次いで炭酸カルシウムを前記パルプに対し、10質量%、歩留り剤を前記パルプに対し、150ppmをこの順序で撹拌しながら添加しその後、pH7.5〜7.7の範囲になるように調整し、製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
(比較例27)
比較例26において、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を500ppmにした以外は全て比較例26と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
(比較例28)
比較例26おいて、製紙用助剤(アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体)の配合割合を700ppmにした以外は全て比較例26と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
(比較例29〜31)
比較例26〜28において、製紙用助剤をアクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体(粘度平均分子量200万、カチオン量2.5meq/g)にかえた以外は全て比較例26〜28と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
(比較例32〜34)
比較例26〜28において、製紙用助剤をエピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体(粘度平均分子量5万、カチオン量2.5meq/g)にかえた以外は全て比較例26〜28と同様にして製紙原料スラリーを調製した。この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて抄紙して得られた紙の物性を表4に示す。
Figure 0004614722
表4から分かるように、微細パルプ繊維含有率が、全パルプ成分の35質量%未満では、本発明の製紙用助剤を添加したもの(比較例26〜28で使用の製紙用助剤)と、そうでないもの(比較例29〜34で使用の製紙用助剤)との差が見られないことが分かる。
本発明の紙の製造方法及びこれに用いる製紙用助剤は、ピッチを微細パルプ繊維に定着させ、このパルプを用いて紙を製造するため、ピッチを製造マシンに付着させずに製紙工程外へ排出でき、しかもピッチを紙に抄き込んでいるにもかかわらず、紙の白色度及び欠点発生を抑制できるので、高い品質の紙を得ることができる。そのため本発明の紙の製造方法及びこれに用いる製紙用助剤は、古紙の再利用に極めて有効なものである。

Claims (2)

  1. 40メッシュ(孔径355μm)通過微細パルプ繊維を全パルプ成分中35質量%以上、および填料を含有するパルプ濃度が2.5質量%以上3.2質量%以下のパルプ含有水性スラリーに、粘度平均分子量が100,000〜1,000,000のカチオン性ポリマーからなる製紙用助剤をパルプ成分に対し濃度が50〜1000ppmの範囲内になるように配合し、剪断後、白水でパルプ濃度が0.5〜2.0質量%に希釈した製紙原料スラリーを脱水してシートを形成後、該シートを乾燥することを特徴とする紙の製造方法。
  2. 該40メッシュ通過微細パルプ繊維成分が脱墨古紙パルプであることを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
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