JP5588111B2 - 紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再生パルプを含有する紙の製造方法において、加水分解酵素、硫酸、及び、凝結剤を添加することにより、粘着性異物やピッチによる紙の品質低下や操業トラブル、マシン欠陥を低減することができる紙の製造方法に関するものである。
近年、各種の抄紙原料への古紙再生利用率の高まりから、新聞紙や段ボールなどのリサイクル率の高い古紙のみならず、これまで再生利用が敬遠されてきた低グレード古紙の利用拡大が急務となってきている。とりわけ、雑誌古紙はその発生量の割には抄紙原料としての利用率が低いのが現状である。古紙再生利用率の増大により、新聞古紙や段ボール古紙だけでは古紙原料をまかなうことは難しく、雑誌古紙を含むいわゆる低グレード古紙をも古紙原料としなければならない状況となってきている。
しかしながら、市中回収の雑誌古紙を含む低グレード古紙は、新聞古紙等に比べて粘着性異物を多く含んでおり、結果として再生パルプに粘着性異物が混在してしまう不都合がある。これら粘着性異物を含有する古紙再生パルプを抄紙原料に使用すると、紙製品に塵などの欠点が生じることや、抄紙工程においては抄紙機や乾燥機に付着して紙の局部的な剥がれや断紙を引き起こしたり、ドライヤー、プレスロール、毛布等を汚したりといった問題が多発する。
尚、粘着性異物と称されるものには、木材中の樹脂分、抄紙工程中で使用される各種薬品、紙塗工用のラテックスなどのバインダー類、印刷インキバインダー、接着剤などの種々の起源を有するものが含まれるが、本発明で特に問題とする粘着性異物は、紙の印刷、加工、包装段階で使用される接着剤や紙に混入される粘着剤を起源とするものである。例を挙げると、感圧接着紙、粘着テープや封筒や紙袋の糊、帳票類の背糊、また、雑誌等に混入している付録としてのシールなどが挙げられ、粘着性異物の大部分はこれらに由来する。
一般に古紙を原料として再生パルプを得る古紙のパルプ化方法は、古紙を離解してパルプ懸濁液を得る離解工程、パルプ中の懸濁液中の異物を分離する粗選・精選工程、印刷インキを分離する脱墨工程、色を白くする漂白工程等で構成される。原料古紙の夾雑物は粗選・精選工程においてスクリーンやクリーナー等の除塵設備によりその大半が除去されるが、前記粘着性異物の一部は粗選・精選工程では除去されず、再生パルプ中に残留する。
即ち、粘着性異物以外の原料古紙中の夾雑物は、その大きさ、形状に応じた寸法を有する目穴及びスリットを有するスクリーンを用いて、比較的容易に古紙から取り除くことができる。しかし、粘着性異物は、大きな差圧、流速の影響を受けて容易に変形・分散し、目穴及びスリットを通り抜けて、アクセプトパルプ側に混入し易い。つまり、既存の除塵設備では原料古紙中に多量の粘着性異物が混入している場合、これを十分に取り除くことができないのが現状である。スクリーンなどで取り除くことの出来ない微細な粘着性異物は、同じく古紙に由来する填料や顔料などの灰分、または、抄紙工程で新たに添加される内添填料の表面に付着し、これら粒子の付着性を増大させ、互いに付着することで粗大化した二次粘着物を形成し、抄紙機のよごれや断紙、紙面欠陥などのトラブルを引起す。
粘着性異物対策として、カチオン性ポリマーを添加し繊維への定着を促進する方法が知られているが、古紙由来の灰分の混入が多い場合はこれらカチオン性ポリマーが灰分に吸着されてしまい、粘着性異物を繊維に定着することができず、かえって灰分と粘着性異物の凝集塊の形成を助長する場合も報告されている。すなわち、古紙由来の粘着性異物と灰分の抄紙工程への流入が多い場合に異物問題は最も深刻になるといえる。
一方で、紙の製造工程において問題となる粘着性の異物には、原料である木材に含まれる樹脂成分、すなわちピッチもある。ピッチはパルプ工程においてはチェストやパイプ壁面に堆積し、抄紙工程においては、ワイヤー、フェルトなどの抄紙用具を汚し、その析出物が製品に付着することにより製品品質を低下させる、または、紙切れなど操業の不安定化を導くなどのピッチトラブルを引き起こす。従来、このピッチトラブルを防止する方法として、分散剤や粘着防止剤としての有機薬品や吸着剤として無機薬品が一般に使用されている。無機薬品では、天然タルクを加工した微粒子タルクが広く利用されている。しかし、粘着性異物の対策としてこれらの無機粒子を添加した場合、粒子表面に粘着性異物が付着することによって、これらの無機粒子同士が付着し易くなり、逆に異物問題を助長する場合が多い。従って、いずれの方法も満足のいく結果が得られていないのが現状である。さらに、環境問題の観点から、抄紙工程の白水系のクローズド化が進行し古紙使用率が上昇しているため、これら粘着性異物およびピッチと灰分または無機粒子からなる異物トラブルが多発する傾向にある。
そこで、古紙を原料として再生パルプを製造するに際し、原料古紙中に含まれる粘着性異物やピッチに由来する各種のトラブルを回避するため、様々な方法が提案されている。
特許文献1では、アルカリリパーゼとアルカリセルラーゼを利用した古紙の処理方法が提案されおり、特許文献2では、エステラーゼとリパーゼを利用した有機夾雑物の制御方法が提案されている。これらの方法では、酵素による粘着性異物の化学結合の分解と粘着性異物の親水化が認められるものの、古紙由来の灰分に対しては効果がない。また、酵素は有機溶剤のような物質に対する浸透性を持たないため、ある程度の大きさを持つ粘着性異物の場合、酵素が定着した表面だけを分解することになり、表面だけが親水化された粘着性異物や、更に分解された微細な粘着性異物が残ってしまう。この微細な粘着性異物が、微細な状態で繊維に定着し紙として抄紙工程から持ち出されない場合、白水に蓄積されることになり、pHショックや温度変化などをきっかけとして再凝集し、二次粘着異物を形成し、ワイヤーなどの用具への付着問題や紙面欠陥、断紙問題を引起す。また、抄紙機のドライヤーセクションにて熱圧縮される際に、分解されていない内部の粘着成分が露出し、ドライヤーやカンバス、紙への付着問題などを引き起こす。
また、特許文献3〜7でも有機系や無機系の凝集剤、ピッチコントロール剤が種々提案されているが、いずれも満足すべき粘着性異物、ピッチの抑制効果を達成するには至っていない。
特開平9−241985号公報 特表2004−501293号公報 特開平6−192988号公報 特開平8−325969号公報 特開平6−65892号公報 特開平6−263385号公報 特開平11−93091号公報
本発明は、再生パルプを用いた紙の製造において、再生パルプに含まれる古紙由来の粘着性異物やピッチが原因となる紙の品質低下や操業トラブル、マシン欠陥を低減することができる紙の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、再生パルプを含有する紙の製造方法において、再生パルプを含有するパルプスラリーに加水分解酵素、硫酸、及び分子量10万以上700万以下のカチオン性ポリマーである凝結剤を添加し、硫酸によりパルプスラリーのpHを5.8〜8.2に調整することで、上記課題を解決できることを見出した。
(定義)
本発明でいう「加水分解酵素」は、国際生化学酵素委員会による分類のEC番号(Enzyme Commission Number)−3に該当する加水分解酵素であり、特に紙の製造工程における異物の粘着性を低減する作用を有する酵素をいう。
本発明でいう「加水分解酵素の総固形分濃度」とは加水分解酵素液から水分を除いた固形分量をいう。
本発明でいう「カチオン性ポリマー」は、水中でカチオン性を示すポリマーをいい、特にパルプスラリー中の粘着性異物やピッチを繊維へと定着させる作用を有するポリマーをいう。
本発明でいう「カチオン性ポリマーの添加量」又は「凝結剤の添加量」とは、カチオン性ポリマー(すなわち、凝結剤)のうち水分を除いた固形分量をいう。また、「カチオン性ポリマーの総添加量」又は「凝結剤の総添加量」とは、本発明のプロセスで使用される1種または複数種のカチオン性ポリマー又は凝結剤の上記添加量の合計をいう。
本発明でいう「古紙再生工程」は、古紙の離解および脱墨、並びに必要に応じて行なう叩解、パルプスラリー濃度の調整、パルプスラリーの貯蔵を含む工程をいう。
本発明でいう「高濃度ストックタワー」は、古紙再生工程において、固形分濃度10〜25重量%程度に調整されたパルプスラリーを貯蔵する設備をいう。
本発明でいう「完成チェスト」は、古紙再生工程の最終段に位置し、抄紙機の配合チェストへ送る前の固形分濃度が2〜10重量%程度に調整されたパルプスラリー(再生パルプ)を貯留するチェストまたはタンクなどの容器をいう。
本発明でいう「抄紙工程」は、古紙再生工程からの再生パルプに、必要に応じて再生パルプ以外のパルプ、填料、製紙薬品等を添加して紙料を調成し、抄紙機によって紙を製造する工程をいう。
本発明でいう「配合チェスト」とは、抄紙機の前段に位置し、古紙再生工程からの再生パルプを収容し、必要に応じて再生パルプ以外のパルプ、填料、製紙薬品等の添加などを行なうチェストまたはタンクなどの容器をいう。
本発明でいう「紙料」とは、古紙再生工程からの再生パルプに、再生パルプ以外のパルプ、填料、製紙薬品等を必要に応じて添加して調成される抄紙用の原料をいう。
本発明でいう「中性抄紙」とは、中性抄紙用の薬品等を用いて中性付近のpHで行なう抄紙をいう。
本発明でいう「種箱」とは、抄紙機において、配合チェスト以降に位置するタンクであり、白水で希釈する前の固形分濃度が3%程度の紙料を受容するヘッドタンクをいう。
本発明でいう「種箱の濁度」とは、種箱中の紙料を10倍に希釈した後、ろ紙(Whatman 41)で濾過し、得られた濾液の660nmの透過光強度を紫外・可視分光計で測定し、得られた値をホルマジン標準液の値で校正した濁度(FTU、ホルマジン濁度)をいう。
本発明の紙の製造方法によれば、加水分解酵素を用いて再生パルプに含まれる古紙由来の粘着性異物を分解し、且つ、硫酸を添加することで古紙由来の灰分の主成分となる炭酸カルシウムを溶解させてカチオン性薬品の灰分による消費を抑えるとともに、古紙再生工程から持込まれる過剰なアルカリを中和してpHを弱酸性〜中性付近としてカチオン薬品の効果を高め、凝結剤を用いて分解された微細な粘着性異物やピッチを粗大化、二次粘着異物化させずに均一にパルプ繊維に定着させ、分散した状態で紙中に抄き込むことができるので、古紙由来の粘着性異物やピッチが原因となる紙の品質低下や操業トラブル、マシン欠陥を低減することができる。さらに、抄紙機の洗浄やフェルト及びワイヤーの交換作業が不要となるため、操業性が向上する。
本発明における加水分解酵素、硫酸、及び、凝結剤の添加方法の一態様を示す概略図である。
本発明は、再生パルプを含有する紙の製造方法において、再生パルプを含有するパルプスラリーに加水分解酵素および硫酸を添加してpHを5.8〜8.2に調整し、凝結剤(分子量10万以上700万以下のカチオン性ポリマー)を添加することを特徴とする。
(再生パルプ)
本発明に用いることができる再生パルプには、古紙を離解した古紙パルプや古紙を離解後にインキを除去した脱墨パルプが含まれる。再生パルプの原料となる古紙としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、封書、感熱紙、ノーカーボン紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などが含まれる。特に、粘着剤、接着剤、粘着テープ、雑誌の背糊等の粘着物を含む雑誌古紙等も本発明の再生パルプの原料として用いることができる。
(加水分解酵素の添加)
本発明では、再生パルプを含有する紙の製造工程において、加水分解酵素を添加する。加水分解酵素は、古紙再生工程、再生パルプに再生パルプ以外のパルプ原料や填料、抄紙薬品等を必要に応じて混合して紙料を調成し、抄紙する抄紙工程のいずれの工程において添加しても良い。酵素を添加した後に硫酸を添加してpHを調整するが、酵素がpH10以上の高アルカリ条件では失活し易くなるため、予め硫酸を添加してpHを調整した後に酵素を添加しても良い。
本発明でいう古紙再生工程には、当業者に通常知られる方法により、新聞紙、チラシ、雑誌等の古紙を離解し、必要に応じて脱墨し、叩解し、適切なパルプスラリー濃度へと調整する処理(高濃度のパルプスラリーを必要に応じてストックタワーにて貯蔵する処理、及び適切な濃度へと希釈する処理を含む。)が含まれる。古紙の離解は、古紙にアルカリ性薬品及び界面活性剤を添加することにより行なうことができる。また、離解後の古紙の脱墨は、機械的シェアとアルカリ条件下でインキをパルプから剥離し(インキ剥離処理)、パルプから分離されたインキを除去し(フローテーション処理及び/または洗浄処理)、パルプ濃度が10〜35重量%程度になるように脱水した後、アルカリ性薬品、過酸化水素水及び/または界面活性剤を添加してパルプからインキをさらに剥離し(アルカリ浸漬処理)、再度フローテーション処理及び/または洗浄処理を行ない、異物を除去する(除塵処理)ことにより行なうことができる。脱墨後のパルプスラリーは、必要に応じて、固形分濃度10〜25重量%程度に脱水して、高濃度ストックタワーに貯蔵することができる。尚、脱墨後のパルプスラリーについては、必要に応じて、適切な固形分濃度に調整した上で、当業者に通常使用される方法で叩解することができる。抄紙機に送る前の完成チェストの固形分濃度は、通常2〜10重量%程度である。
本発明でいう抄紙工程は、配合チェストなどにおいて、古紙再生工程から得られた再生パルプに対し、必要に応じて、再生パルプ以外のパルプ、例えばメカニカルパルプ(MP)、クラフトパルプ(KP)等や、填料、製紙薬品等を添加して、紙料を得ること、及び、得られた紙料を当業者に慣用される方法で抄紙すること、を含む。
加水分解酵素を添加する際のパルプスラリーの固形分濃度は、特に限定されないが、2〜25重量%であることが好ましい。例えば、加水分解酵素をパルプスラリーの固形分濃度が2〜10重量%である再生パルプを収容する完成チェストに添加しても良いし、固形分濃度が10〜25重量%のパルプスラリーを収容する高濃度ストックタワーに添加しても良い。特に、高濃度ストックタワーに加水分解酵素を添加すると、パルプスラリーの貯蔵期間中に酵素反応を行なわせることができ、効率よく十分に反応させることができるから、好ましい。
固形分濃度が10〜25重量%のパルプスラリーを収容する高濃度ストックタワーに加水分解酵素を添加する場合、添加する加水分解酵素原液を希釈し、酵素希釈液の総固形分濃度を0.001〜3重量%、好ましくは0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%として添加することが好ましい。ここでいう酵素希釈液の総固形分濃度は、例えば、一定量の酵素希釈液を蒸発乾固させた残渣の重量によって測定することができる。酵素希釈液の濃度が0.001%未満であると、十分な効果を得るために必要な酵素希釈液の容量が多くなり、酵素希釈液の添加によってパルプ濃度が有意に低下するため、パルプ濃度を所望の範囲に調整することが困難となる場合もある。酵素希釈液の濃度が3重量%を超えると、添加できる酵素希釈液の容量が少なくなるため、特に高濃度のパルプの場合、混合不良が生じる場合もある。加水分解酵素液を適度な範囲に希釈して用いることにより、加水分解酵素と再生パルプスラリーとの混合を促進させ、再生パルプ中の粘着性異物に対して酵素が効率的に作用させることができる。
(加水分解酵素)
本発明に使用する加水分解酵素は、国際生化学酵素委員会による分類のEC番号(Enzyme Commission Number)−3に該当する加水分解酵素であり、特に紙の製造工程における異物の粘着性を低減する作用を有する酵素である。微生物あるいは動物、植物由来のエステラーゼ又はリパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの加水分解酵素、或いは、これら複数の酵素を含有する組成物(マルチコンポーネント酵素)を使用することができる。エステラーゼ又はリパーゼとしては、脂肪酸エステル、ポリビニルアセテート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、アクリル酸エステルを含む共重合ポリマー等のエステル結合を有する化合物のエステル結合に作用しうるものであればいずれのものでも使用することができる。このような、加水分解酵素としては、例えば、バックマン・ラボラトリーズ社のOptimyzeR525、OptimyzeR530、OptimyzeR540が挙げられる。
(加水分解酵素の添加量)
本発明に使用する加水分解酵素の添加量は、粘着性異物を十分に分解できる量であれば特に限定されないが、対象とするパルプ固形分重量に対する酵素液の総固形分量として、0.1〜500ppmであることが好ましく、1〜300ppmであることがより好ましく、10〜200ppmであることが特に好ましい。0.1ppm以上の添加量は、十分な粘着異物分解効果を得るための酵素量として適当である。一方、コストの観点から、500ppm以下程度の添加量は、コスト面から有利である。
(酵素反応条件)
再生パルプに加水分解酵素を添加した後は、酵素反応を十分に行わせることが好ましい。酵素反応の条件は特に限定されないが、反応温度は25〜70℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。また、反応時間は0.5〜24時間が好ましく、1〜12時間がより好ましい。酵素反応は、循環できる系内で行うことが好ましい。
(凝結剤の添加)
また、本発明では、再生パルプを含有する紙の製造工程において、凝結剤を添加する。凝結剤は、古紙再生工程、抄紙工程のいずれの工程において添加しても良い。特に、加水分解酵素を古紙再生工程に添加し、硫酸によってpHを調整した後に凝結剤を添加すると、加水分解酵素によって分解・微細化された粘着性異物が粗大化する前に、効率良く異物を繊維に定着させることができるため、好ましい。再生パルプを抄紙工程に送る前の完成チェストに凝結剤を添加することがとりわけ好ましい。また、抄紙工程、例えば、配合チェスト(完成チェストに再生パルプ以外のパルプ、填料、及び製紙薬品を混合して得られたもの)、或いはそれ以降の場所において、更に凝結剤を添加することがピッチ制御の観点からとりわけ好ましい。凝結剤を古紙再生工程と抄紙工程の両方に分割して添加する場合には、それぞれの工程において同一の凝結剤を添加しても良いが、添加する凝結剤の種類を変えても良い。また、凝結剤は、2種以上を一度に添加しても良い。経済性および作業性という点では、1種類の凝結剤を用いることが好ましい。
(凝結剤)
本発明に用いられる凝結剤は、重量平均分子量が10万以上700万以下、好ましくは10万以上300万以下、より好ましくは50万以上300万以下、最も好ましくは100万以上300万以下であるカチオン性ポリマーである。ここで、カチオン性ポリマーとは、水中でカチオン性を示すポリマーをいう。重量平均分子量が10万より小さい場合、比較的大きな粘着性異物(10〜150μm)を繊維へと定着させる力が弱くなる。分子量が700万より大きい場合、ポリマー同士が凝集しやすくなり紙の地合が悪化する。
カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、第三級および/または四級アンモニウム基を含む改質ポリエチレンイミン、ポリアルキレンイミン、ジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロヒドリン重合体、並びにジアルキルジアリル第四級アンモニウムモノマー、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドおよびジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類とエピハロヒドリンからなる重合体、ポリビニルアミンおよびビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混合物などが挙げられる。
前記カチオン性ポリマーに加えて、前記ポリマーの分子内にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン基を共重合したカチオンリッチな両イオン性ポリマーを混合してもよい。また、カチオン性ポリマーに、アニオン性ポリマーまたは両イオン性ポリマーを混合してもよい。
(凝結剤の添加量)
凝結剤の添加量としては、凝結剤に含まれる水を除いた固形分量として、対象とするパルプ固形分重量に対して50〜1000ppmであることが好ましく、100〜800ppmであることがより好ましく、200〜600ppmであることがさらに好ましい。50ppm以上の添加量は粘着性異物の定着効果を得るのに十分であり、また、1000ppm以下の添加量は、過剰なカチオンによる過凝集のリスクが低く、またコスト的に有利である。
凝結剤を古紙再生工程(例えば、完成チェスト)と抄紙工程(例えば、配合チェスト)の両方に分割して添加する場合は、それぞれの工程における凝結剤の添加量の合計が上記の範囲となるようにするのが好ましく、それぞれの工程における添加量同士の割合は特に限定されない。
凝結剤を添加するパルプスラリーの固形分濃度としては、2〜10重量%が好ましく、2.5〜5重量%がより好ましい。添加した凝結剤の一部は、白水中に含まれるコロイド物質の中和で消費されてしまうが、パルプスラリーの濃度が2.5重量%以上の場合には、凝結剤が十分量残存するため、コロイド物質を微細な状態で効率的に繊維に定着させることができ、また、その後の配合紙料のパルプ濃度を高く維持することができるから濃度の調整がしやすく、安定操業が容易となる。一方、パルプスラリーの濃度が5重量%以下であると、凝結剤と原料とが十分に混合し、局所的に凝結剤が作用することによる過度の凝集が抑えられるため、異物の粗大化が生じにくくなる。
(pH)
本発明では、凝結剤を添加する前に硫酸を添加してpHを5.8〜8.2、好ましくは、pH6.0〜8.0に調整する。粘着性異物のうち、特に抄紙工程で問題を起す微細粘着異物は、主に灰分に付着しており、結果として大きな異物となっている。灰分には炭酸カルシウムが多く含まれていることから、硫酸を添加することで炭酸カルシウムを溶解し、微細粘着異物が付着した灰分を少なくすることができる。また、硫酸を添加することにより凝結剤などのカチオン薬品を消費する炭酸カルシウム由来の成分を低減するとともに、古紙再生工程から持込まれる過剰なアルカリを中和してpHを弱酸性〜中性付近とした上で、凝結剤を添加することにより、炭酸カルシウムの溶解により遊離した微細粘着異物を粗大化することなく、細かい状態で繊維に定着させることができる。硫酸添加によりpHを5.8未満とした場合、抄紙機にて新たに添加する炭酸カルシウムが溶解しコスト高となるだけでなく、炭酸ガスの発生による泡トラブルなどが発生する。pHを8.2より高くした場合、ほとんど硫酸を添加できず、粘着性異物で汚れた灰分が凝集して粗大化するため、本発明の効果を得ることができない。
(粘着性異物及びピッチ)
本発明における粘着性異物及びピッチとは、古紙由来の粘着剤、粘着テープ、雑誌の背糊、ビニールテープ等のアクリル系、酢酸ビニル系、ホットメルト等の粘着性異物の他、トリグリセライド、アビエチン酸などの樹脂分由来のナチュラルピッチ、パルプ及び紙の製造工程で使用される添加薬品や古紙由来のラテックス等の有機物を主体とした疎水性物質等からなるホワイトピッチを指す。
粘着性異物は大きさにより粗大な粘着性異物と微細な粘着性異物と分けて考える場合があるが、本発明においてはいずれの粘着性異物も対象となる。粗大な粘着性異物とは、JIS P 8231:2006 古紙パルプ−粘着物及びプラスチックの評価方法−画像解析法に示されている通り、100μmまたは150μmのスリット間隙の実験用スクリーン上に残り、かつ粘着性を示す物質を指す。一方、微細な粘着性異物は上記スクリーンを通過し、かつ粘着性を示す物質を指す。
(粘着性異物の測定方法)
本発明における粗大な粘着性異物の測定方法は、一般的に知られている、(a)一定量のパルプについて有機溶剤を用いて抽出処理し、抽出成分の重量及び機器分析により推定する方法、(b)試料パルプを手抄きし、ホットプレスにより熱溶融物の溶融面積を求める方法、また、異物の少ないサンプルに対しては、まず、テスト用の大気開放型のフラットスクリーン、またはPulmac社のmaster screen等を用いて処理し、そのリジェクト分を手抄きシートに抄き込み、ホットプレスにより熱溶融物の溶融面積を求める方法、(c)一定量のパルプスラリーを円筒容器中で撹拌し、円筒側面に取り付けられたプラスチックフィルムやフェルト等のファブリックなどに粘着性異物を付着させ、その重量を求める方法、(d)テスト用フラットスクリーンで異物をセルロース繊維から分離し、目視や顕微鏡下で触針して個々の異物の粘着性の有無を確認しながら粘着性異物を数える方法等、いかなる方法を使用しても良い。本発明には、粗大な粘着性異物の個数及び面積が同時に測定可能である特開2007−271389号公報に記載の測定方法(すなわち、パルプスラリー中に含まれる粘着性異物を分離してシート状物の上に濾過して集め、乾燥し、別のシート状物を被せて2枚のシート状物を加温加圧処理し、冷却して2枚のシート状物を分離した後、被せたシート状物に付着した高粘着性の異物と元のシート状物に付着した低粘着性の異物を染料で染色し、それらの個数及び面積を画像解析装置で計測する方法)を用いることが好ましい。
(図解)
図1に、本発明における加水分解酵素、硫酸、及び、凝結剤の添加方法の一態様を示す。図1において、ストックタワーは完成再生パルプを貯留するタンクまたはチェストである。再生パルプはポンプで流送されて完成チェストにて希釈され、配合チェストにて填料、薬品などと混合される。混合された紙料は、チェストおよび種箱ならびにスクリーンやクリーナーなど必要とされる設備を経て、抄紙機インレットに供給される。
(抄紙)
本発明においては、上記で得られたパルプスラリーに、必要に応じて、前記再生パルプ以外のパルプ、填料および/またはペーパースラッジを焼却して得る再生填料、並びに製紙薬品等を混合して紙料を調成した後、抄紙機で抄紙する。本発明においては、硫酸の添加によりパルプスラリーのpHが5.8〜8.0に調整されており、中性抄紙が行なわれる。
本発明の方法により得られる紙料は、加水分解酵素、硫酸、及びカチオン性ポリマーの添加により、灰分が溶解され、また、粘着性異物が微細化されているため、抄紙に供される種箱の段階において、濁度が500FTU以下となる。ここでいう濁度(FTU)は、抄紙に供する種箱中の原料を10倍に希釈した後、ろ紙(Whatman 41)で濾過し、得られた濾液の660nmの透過光強度を紫外・可視分光計で測定し、ホルマジン標準液を用いて作成した検量線から算出した値(FTU、ホルマジン濁度)をいう。
本発明において、再生パルプ以外に添加することができるパルプとしては、針葉樹または広葉樹クラフトパルプ(NKPまたはLKP)、針葉樹または広葉樹の砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等の機械パルプ、塗工紙や塗工原紙、その他の紙を含む損紙を離解してなるコートブローク、および、これらの2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
填料としては、中性抄紙に一般に使用されている填料を使用することができ、特に限定されるものではない。例えば、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化亜鉛などの無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂及び微小中空微粒子等の有機填料、古紙を再生する工程や紙を製造する工程で発生したスラッジを焼却して得られる再生填料を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。この中では炭酸カルシウムが好ましい。
製紙薬品としては、一般に使用されている製紙用助剤を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、AKD(アルキルケテンダイマー)、ASA(アルケニル無水コハク酸)、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤など各種内添サイズ剤や、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウムアルミナゾル等のアルミニウム化合物;硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物;及びシリカゾル等の内添助剤、紫外線防止剤、退色防止剤、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチエンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物、及びこれらの誘導体あるいは変性物等の各種化合物も使用できる。また、染料、蛍光増白剤、消泡剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等を必要に応じて適宜添加することもできる。
再生パルプ以外に添加することができるパルプ、填料、製紙薬品は、抄紙工程のいずれの場所においても適宜添加することができる。
本発明の紙の製造方法を適用できる抄紙機には特に限定は無く、長網型、オントップツインワイヤー型、ギャップフォーマー型、円網型、多層型などが挙げられる。表面強度の向上や吸水抵抗性を付与する目的で、表面処理剤を塗布しても良い。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定はなく、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレスや、ゲートロールサイズプレス、シムサイザーのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。抄紙機プレドライヤー、アフタードライヤーも公用の装置を用いることができ、乾燥条件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。また、紙の表面を平滑にする目的で、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公知のカレンダー装置を用いて処理を行っても良い。更に炭酸カルシウムなどの顔料や澱粉または澱粉誘導体、ラテックスなどからなる塗料を塗布しても良い。
(紙)
本発明によって得られる紙は、紙の種類、坪量には限定はなく、更に各種の原紙や板紙を含む。また、紙中灰分の限定もない。また、1層の紙の他、2層以上の多層紙であっても良い。
(作用)
本発明の紙の製造方法において、粘着性異物やピッチによる紙の品質低下や操業トラブル、マシン欠陥を低減できる理由としては、次のように考えられる。
再生パルプを含有するパルプスラリーに加水分解酵素を添加し、酵素反応を行うことにより、粘着性異物中のエステル結合が加水分解酵素によって切り離されるため、粘着性異物が微細化する。そして、微細化した異物は親水性・水溶性が促進されるため、粘着性が低減し、粘着性異物による紙の品質や操業トラブル、マシン欠陥が低減する。
さらに、硫酸を添加することで古紙由来の灰分の主成分となる炭酸カルシウムを溶解させてカチオン性薬品を消費する濁度成分を低減するとともに、古紙再生工程から持込まれる過剰なアルカリを中和してpHを弱酸性〜中性付近とすることでカチオン薬品が効果を発揮し易くなる。
そして、再生パルプを含有するパルプスラリーに凝結剤を添加することにより、ピッチ(ナチュラルピッチ、ホワイトピッチ)や粘着性異物等を始めとするアニオン性コロイド粒子の表面電荷を効率よく中和し、アニオン性コロイド粒子を出来るだけ小さい状態で緩やかに繊維に定着させ、いわゆるソフトフロックを形成させることができるため、加水分解酵素では分解されないピッチや粘着性異物による紙の品質や操業トラブル、マシン欠陥が低減する効果が促進される。
以上のように、加水分解酵素による粘着性異物の分解と、硫酸による炭酸カルシウムの処理と、凝結剤による加水分解酵素によって分解されないピッチや粘着性異物の繊維への定着との相乗効果により、紙の品質や操業トラブル、マシン欠陥が大幅に低減されるものと考えられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
新聞系古紙を原料とする完成脱墨パルプ(固形分濃度17%、濾水度CSF:230ml)を貯蔵したストックタワーに、100倍に希釈した粘着異物分解酵素(バックマン・ラボラトリーズ社製エステラーゼ OptimyzeR525 固形分濃度15.5%)をパルプ固形分重量に対して5ppm添加し、ストックタワー内で60℃、約8時間、攪拌しながら酵素反応を行った。次にストックタワー原料が白水で希釈され濃度約3.5重量%となった流送チェストにて硫酸を添加しpHを6.4とした。この原料に対して、完成チェストにて凝結剤(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体:片山ナルコ社製 N7527、分子量約200万)をパルプ固形分重量に対して固形分濃度で250ppm添加し、再生パルプを得た。
上記で得られた再生パルプを抄紙機前段の配合チェストに送流し、NBKP(針葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:600ml)、TMP(サーモメカニカルパルプ、濾水度CSF:100ml)、及び填料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム:平均粒子径3.5μm)を、再生パルプ65%、NBKP10%、TMP15%、填料10%(固形分重量比)の割合で混合し、配合チェストの出口で凝結剤(N7527)を固形分濃度で100ppm添加した。さらに、内添サイズ剤(中性ロジンサイズ:星光PMC社製 CC1401)を0.2重量%、硫酸バンドを1.5重量%添加し、水で固形分濃度2.5%に調整して紙料を調成し、種箱に送流し、固形分濃度約1%となるように白水で希釈した後、抄紙機で中性抄紙した。
抄紙工程における種箱の濁度、ピッチ欠陥数及び断紙回数を以下の方法で測定し、結果を表1に示した。
<濁度の測定>
種箱中の原料を10倍に希釈した後、ろ紙(Whatman 41)で濾過し、得られた濾液の660nmの透過光強度を、紫外・可視分光計で測定し、ホルマジン標準液を用いて作成した検量線から濁度(FTU)を算出した。
<ピッチ欠陥数の評価>
オンライン欠陥検出器(KP83WY26-NVPDFi、オムロン社製)を用いて検出された欠陥のうち、画像よりピッチや粘着性異物などに起因すると判断された欠陥をピッチ欠陥として巻取りの枠あたりの欠陥数を元に一日あたりの欠陥数を算出し、その平均値を示した。
<断紙回数の評価>
抄紙中に発生した断紙の回数を測定し、一日あたりの断紙回数を算出した。
粘着異物分解酵素をパルプ固形分重量に対して20ppm添加した以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
再生パルプの完成チェストに凝結剤をパルプ固形分重量に対して600ppm添加し、配合チェストへ凝結剤を添加しない以外は、実施例2と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
粘着異物分解酵素をパルプ固形分重量に対して100ppm添加し、再生パルプの完成チェストに凝結剤をパルプ固形分重量に対して100ppm添加した以外は、実施例3と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
再生パルプの完成チェストへ凝結剤を添加せず、配合チェストに凝結剤をパルプ固形分重量に対して50ppm添加した以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
粘着異物分解酵素の添加量を10ppmとし、凝結剤として、A2400(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体:ソマール社製、分子量200万)を50ppm配合チェストに添加した以外は実施例1と同様にして実験を行なった。結果を表1に示す。
凝結剤として、NR703(2−(メタクロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド重合物:ハイモ社製、分子量100万)を使用した以外は実施例6と同様にして実験を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1]
粘着異物分解酵素、硫酸、及び、凝結剤を添加しない以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
硫酸、及び、凝結剤を添加しない以外は、実施例2と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
粘着異物分解酵素、及び、硫酸を添加せず、完成チェスト、及び、配合チェストに凝結剤をパルプ固形分に対して、それぞれ500ppm、100ppm添加した以外は、実施例2と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
硫酸を添加しない以外は、実施例2と同様に実験を行なった。結果を表1に示す。
実施例と比較例より明らかなように粘着異物分解酵素(加水分解酵素)、硫酸、及び凝結剤を添加することで、これらのいずれかが添加されない場合よりもピッチ欠陥を削減でき、断紙回数を減らすことができた。

Claims (10)

  1. (A)ポリビニルアセテート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及びアクリル酸エステルを含む共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物のエステル結合に作用するエステラーゼを含有する加水分解酵素、(B)硫酸、及び(C)分子量10万以上700万以下のカチオン性ポリマーを、再生パルプを含有するパルプスラリーに添加し、前記硫酸の添加(B)によりパルプスラリーのpHを5.8〜8.2に調整することを含む、再生パルプ含有紙の製造方法。
  2. (A)再生パルプを含有するパルプスラリーに前記加水分解酵素を添加した後、
    (B)前記(A)からのパルプスラリーに前記硫酸を添加してpHを5.8〜8.2に調整し、及び、
    (C)前記(B)からのパルプスラリーに前記分子量10万以上700万以下のカチオン性ポリマーを添加すること
    を含む請求項1記載の紙の製造方法。
  3. 前記加水分解酵素の添加(A)が、古紙再生工程で行なわれる、請求項1または2記載の紙の製造方法。
  4. 前記カチオン性ポリマーの添加(C)が、古紙再生工程と抄紙工程とに分割して行なわれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙の製造方法。
  5. 前記加水分解酵素の添加(A)において、前記加水分解酵素を固形分濃度2〜25重量%のパルプスラリーに添加し、次いで、前記硫酸の添加(B)の前に、温度25〜70℃で、0.5時間〜24時間おいて酵素反応させることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙の製造方法。
  6. 前記カチオン性ポリマーの添加(C)において、前記カチオン性ポリマーを、総添加量として固形分濃度で50〜1000ppm添加することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙の製造方法。
  7. 前記加水分解酵素の添加(A)において、固形分濃度10〜25重量%のパルプスラリーを貯蔵している容器中に、総固形分濃度0.001〜3重量%の前記加水分解酵素希釈液を添加することを含む、請求項6記載の紙の製造方法。
  8. 前記カチオン性ポリマーの添加(C)を、完成チェストと、その後の前記再生パルプ以外のパルプ、填料、及び製紙薬品が混合された紙料とに対して2回に分けて行ない、次いで得られた紙料を中性抄紙に付すことを含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の紙の製造方法。
  9. (A)前記加水分解酵素、(B)前記硫酸、および(C)前記カチオン性ポリマーの添加により、抄紙機の種箱の濁度を500FTU以下とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙の製造方法。
  10. 前記再生パルプが、脱墨パルプである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の紙の製造方法。
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