JP2019173240A - 脱墨フロスの処理方法 - Google Patents

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誠樹 米重
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Abstract

【課題】本発明の課題は、脱墨フロスから効率よく脱墨パルプを製造する技術を開発することである。【解決手段】本発明に係る脱墨パルプの製造方法によれば、回転型解繊機を用いて20〜100m3/hの速度で脱墨フロスを処理することによって、脱墨フロスから脱墨パルプを得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、古紙の脱墨工程で発生する脱墨フロスを利用する技術に関する。特に本発明は、脱墨フロスを機械的に処理することによって脱墨フロスに含まれるパルプ繊維を効率的に得る技術に関しており、本発明によれば、廃棄物である脱墨フロスを有効に活用することができる。
近年、省資源あるいは環境問題といった観点から古紙の利用が拡大している。一般に、古紙として回収された印刷物から、脱墨処理によってインキなどを除去して脱墨パルプ(DIP)を製造し、その脱墨パルプを用いていわゆる再生紙が製造されている。
その一方で、古紙の脱墨処理において発生する脱墨フロスについても、それを有効活用するための技術が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2012−97368号公報)には、新聞古紙の脱墨工程が排出される脱墨フロスから炭酸カルシウムを含む無機粒子を製造することが提案されている。また、特許文献2(特開2012−201565号公報)には、新聞古紙の脱墨工程が排出される脱墨フロスからシリカと炭酸カルシウムの複合粒子を製造することが提案されており、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムの表面に炭酸カルシウムおよびシリカが複合した粒子が記載されている。
さらに、特許文献3〜5には、脱墨工程から排出される脱墨フロスから製造した無機粒子を填料として用いて紙を製造することが提案されている。すなわち、特許文献3(特開2011−144470号公報)には、脱墨フロス由来の無機粒子を内添した新聞用紙、特許文献4(特開2011−25447号公報)には、脱墨フロス由来の無機粒子を内添したインクジェット記録用紙、特許文献5(特開2010−229564号公報)には、脱墨フロス由来の無機粒子を内添したクラフト紙が提案されている。
特開2012−097368号公報 特開2012−201565号公報 特開2011−144470号公報 特開2011−025447号公報 特開2010−229564号公報
一般に、古紙の脱墨工程で発生する脱墨フロスは、印刷物に含まれるインキや接着剤などの異物、紙に含まれる無機粒子などを主体とするものであり、従来は、脱墨フロスから無機粒子を製造することや、脱墨フロスを燃焼して熱を回収するサーマルリサイクルが行われてきた。
しかしながら、脱墨フロスにはパルプ繊維も含まれており、脱墨フロスに含まれるパルプ繊維を再利用できれば、脱墨フロスをより有効に活用することが可能になる。
このような状況に鑑み、本発明は、古紙の脱墨工程で発生する脱墨フロスを有効活用する技術を提供することをその目的とする。特に本発明は、脱墨フロスに含まれるパルプ繊維を用いて紙を製造する技術に関する。
上記課題について鋭意検討したところ、本発明者らは、古紙の脱墨工程で生じる脱墨フロスに対して特定の機械的処理を施すことによって、脱墨フロスを製紙工程に有効に活用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は、以下の態様を包含する。
(1) 印刷古紙の脱墨処理において発生する脱墨フロスから脱墨パルプを製造する方法であって、回転型解繊機を用いて20〜100m/hの速度で脱墨フロスを処理する工程を含む、上記方法。
(2) 回転型解繊維で処理した脱墨フロスにさらにフローテーション処理を行う、(1)に記載の方法。
(3) 回転型解繊機で処理する脱墨フロスの濃度が2.0重量%以下である、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記回転型解繊機が、ディスク型の固定刃と回転刃を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記回転刃の最外周刃の刃幅が1.0〜2.5mmである、(4)に記載の方法。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の方法によって製造した脱墨パルプを含む原料から紙を抄造することを含む、紙の製造方法。
本発明によれば、古紙の脱墨工程で生じる脱墨フロスからインキなどを効果的に剥離し、フローテーター処理することによって白色度を向上することができる。これにより、脱墨フロス由来の繊維を用いて脱墨パルプを製造することができる。本発明によれば、廃棄物である脱墨フロスを資源として有効活用することが可能になる。
図1は、回転式解繊機のディスク状刃物の一態様を示す写真である(左:固定刃、右:回転刃)。
本発明は、古紙原料の脱墨工程において生じる脱墨フロスを用いて紙を製造する技術に関する。特に本発明は、脱墨フロスに含まれるパルプ繊維を活用する技術に関する。
脱墨フロス
本発明は脱墨フロスを用いる。本発明において脱墨フロス(froth)とは、印刷物を含む古紙原料を脱墨工程に供した際、フローテーション工程で発生する泡沫であり、インキ成分や微細繊維、無機薬品などを含有するものである。古紙原料である印刷物としては、紙を含む基材に印刷が施されたものであれば特に制限なく使用でき、例えば、紙にフィルムなどを付したものに印刷を施した印刷物、塗工紙に印刷を施した印刷物、非塗工紙に印刷を施した印刷物などを含んでいてもよい。具体的には、例えば、新聞用紙、中質紙、上質紙、塗工紙、微塗工紙、感熱記録紙、ノーカーボン紙、色上質紙、PPC用紙(トナー印刷用紙)、紙器、シール・ラベル、帳票、段ボール、白板紙などに印刷した古紙に本発明を適用でき、光沢のある印刷物やOPニスやUVクリアコート等の表面加工処理した印刷物であってもよい。
本発明を適用する印刷物として、あらゆる印刷方式で印刷した古紙を用いることができる。印刷物に施された印刷の方式としては、例えば、フレキソ印刷などの凸版印刷、グラビア印刷などの凹版印刷、オフセット印刷などの平版印刷、スクリーン印刷(シルク印刷)などの孔版印刷、静電気を利用した静電印刷(トナー印刷)、UVインキやハイブリッドUVインキ、高感度UVインキを用いたUV印刷、パソコン用プリンターなどに広く用いられるインクジェット印刷やレーザー印刷などを挙げることができる。また、印刷されたインキ(インク)についても特に制限はなく、各種印刷方式で用いられる色材が印刷された印刷物を用いることができる。
本発明において脱墨パルプ(DIP)とは、印刷物から印刷インキなどを除去して再生されたパルプを意味し、一般に、印刷物を離解してスラリーとしつつ、機械的応力、脱墨剤などの薬品を用いてインキを除去することによって得られる。原料となる印刷物としては、例えば、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、封書、感熱紙、ノーカーボン紙、段ボール、白板紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などが含まれる。粘着剤、接着剤、粘着テープ、雑誌の背糊などの粘着物、樹脂などのコーティングやラミネートを含む印刷物も本発明の印刷物として用いることができる。また、印刷物は、灰分と呼ばれる無機粒子を含有してもよい。灰分は無機粒子全般を指し、紙の製造時に内添された、もしくは、塗工された填料、顔料など紙を灰化した際に残存する物質である。例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化チタン等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
本発明に係る脱墨フロスは、印刷物を含む古紙原料を用いて脱墨パルプを製造する際、フローテーション工程において発生するが、脱墨パルプを製造するための方法は特に制限されず、一般に公知の方法を採用することができる。
本発明において印刷物を脱墨する際には、公知の脱墨装置や脱墨剤を使用することができる。脱墨工程で用いる装置の例としては、例えば、ニーダー、ディスパーザー、やニーディングパルパーなどを挙げることができる。脱墨剤の例としては、公知の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、および、有機溶剤、タンパク質、酵素、天然高分子、合成高分子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。単一成分からなるものであっても2種以上の成分の混合物であっても脱墨剤として使用できることは当然である。例えば、脱墨パルプを製造する一つの態様において、アルカリ性薬品や界面活性剤などを添加して古紙の離解を行う離解処理、機械的シェアとアルカリ条件下でインキをパルプから剥離するインキ剥離処理、パルプから分離されたインキを除去するフローテーション処理および/または洗浄処理、などを実施することができる。また、例えば、パルプを脱水して18〜35重量%のパルプ濃度に調整した後、アルカリ性薬品や界面活性剤などを添加してパルプからインキをさらに剥離させたり(アルカリ浸漬処理や熟成処理)、再度のフローテーション処理や洗浄処理によってパルプからインキを除去したりしてもよい。また、除塵工程(異物除去工程)を設けて異物を除去してもよい。
本発明においては、パルプ繊維に付着しているインキを機械的なシェアを与えることにより剥離する工程のことを「脱インキ工程」といい、剥離されたインキを系外に除去する工程のことを「インキ除去工程」ということもある。
本発明においては、アルカリ性薬品を添加して脱インキ工程を行うことができる。中性以上のpHで脱インキ工程を行うと、古紙の離解性やインキ剥離性が向上するため好ましい。好ましい態様において、脱インキ工程におけるpHは7〜13であり、より好ましくは8〜12、さらに好ましくは9〜11のpHとしてもよい。pHの調整は、いつ行ってもよいが、脱インキ工程の初段階である離解処理時に実施することが最も好ましい。アルカリ薬品は、苛性ソーダ、水酸化カリウム、珪酸ソーダ、炭酸ソーダのうち少なくとも一種類以上を使用すればよい。
本発明に係る脱墨フロスは、印刷物を含む古紙原料を用いて脱墨パルプを製造する際、フローテーション工程において発生するが、脱墨パルプを製造するための方法は特に制限されず、一般に公知の方法を採用することができる。
印刷古紙の脱墨処理(脱墨パルプの製造)
一般的に、脱墨パルプは、例えば、下記のような一連の処理によって印刷古紙から製造することができる。すなわち、パルパー等の機械的解繊を伴う離解装置で古紙をスラリーとし(離解処理)、スクリーンやクリーナー等の除塵装置で異物を除去し(除塵処理)、必要に応じて過酸化水素等で漂白し(漂白処理)、フローテーター等の浮選機で微細繊維やインク成分等を浮上選別し(浮選処理)、洗浄処理、脱水処理するなどして、古紙脱墨パルプを製造している。もちろん、例えば、浮選処理を多段とする場合や、一連の処理の途中でニーディング(混練)処理やディスパージョン(分散)を行う場合もある。
(離解処理)
一般に、受け入れた印刷古紙を、パルパーなどにおいてパルプ繊維に解された状態にし、古紙を水性溶媒に離解したパルプスラリーを得る。離解する際のパルプ濃度に限定は無いが、パルパーは、処理するパルプ濃度に応じて、低濃度パルパー(濃度:3〜5%)と高濃度パルパー(濃度:13〜18%)、などに分類されるが、装置の構造に基づいて分類される場合もある(ニーディングパルパーなど)。本発明においては、いずれのパルパーを使用してもよいが、高濃度パルパーやドラムパルパーを用いることが望ましい。これらのパルパーによると、ホットメルトなどの異物を細かくすることなく、パルプを離解することができるので、異物の細分化が進んでいない状態でクリーナーやスクリーンで処理することができ、異物除去効率が良くなる。
(除塵処理)
脱墨パルプを製造する際、スクリーンやクリーナーなどの除塵装置を用いて異物を除去することができる。除塵処理は、複数回に分けて実施することができ、好ましい態様において、古紙離解後の粗大異物除去を目的とする粗選工程と、完成パルプに要求される品質を満足するレベルまで異物を除去する精選工程を設けることができる。パルパーを出た古紙スラリーは、好ましい態様において、まず重量異物を除去する高濃度クリーナー(濃度3〜4%)で、砂や金属などを分離し、次いで、粗選スクリーン(濃度1.5〜4%)で紐や大きい粘着異物を除去することができる。精選スクリーンは、処理濃度は1.0〜1.5%程度であるが、フローテーターの前段に設置する場合は、設備の小型化、経済性を考慮し比較的高濃度(1.5〜2%)で処理することもできる。好ましい態様において、丸孔スクリーンやスリットスクリーンなどのスクリーンを用いることができるが、例えば、丸孔スクリーンの孔の直径を1.0〜7.0mmφとすることができ、スリットスクリーンのスリット幅を0.10〜0.40mmとすることができる。本発明においては、クリーナーを用いて除塵することもできるが、クリーナーは、渦流などによって生じる繊維と異物の比重差によって異物を選別する装置であり、スクリーンでは除去しにくい細かい砂、金属などの重量異物やホットメルト、ポリ紐などの軽量異物の除去に適している。クリーナーにおいては、スラリーが低濃度であると異物除去効率が高いため、通常1%前後の濃度で処理することが多い。
(漂白処理)
本発明においては、必要に応じて、過酸化水素などの薬品を用いて漂白などの処理を行うことができる。アルカリ条件下でパルプスラリーを熟成させることによって、未剥離インクを低減することができ、例えば、粗選スクリーンや精選スクリーンの後で処理を行うことが好ましい。アルカリ条件下で熟成させる際に、過酸化水素漂白などの薬品を兼用し、アルカリ薬品と同時に過酸化水素およびケイ酸ナトリウムを添加することも好ましい。パルプ濃度が高いほど薬品の効果が高いため、パルプ濃度を13〜30%程度とすることが好ましく、例えば、中濃度で漂白処理する場合、13〜20%程度、高濃度で漂白処理する場合、25〜30%程度とできる。
(フローテーション処理)
フローテーター処理(浮選処理)は、パルプスラリー中に空気の泡を送り込んで、疎水性のインク粒子を泡表面に吸着させ、系外へ除去するための工程である。フローテーター処理を行う際のパルプ濃度は、好ましい態様において、0.8〜1.5%程度とすることができる。フローテーション処理では、各種装置を用いることが可能である。フローテーション処理に用いる装置としては、外部設置されたブロワーによりフローテーター本体に空気を強制的に送り込む強制給気式のフローテーターや、インジェクター部にパルプスラリーを圧送することにより空気が吸い込まれる空気自給式のフローテーター、BOX型フローテーター、エコセル型フローテーター、MTフローテーター、OKフローテーター、マックセルフローテーター等が挙げられる。
(混練処理・分散処理)
本発明においては、機械的な力でインクを剥離するため、混練や分散を行うこともできる。インクの剥離のほか、インクをフローテーターで除去しやすい粒径にしたり、黒染繊維を減少したりする効果がある。処理濃度は、20〜35%程度が一般的である。
(インキ剥離処理)
本発明において、機械的シェアによるインキ剥離処理を行う場合、ニーダー、ディスパーザー、マイカプロセッサー、ニーディングパルパーやリファイナーなどの公知の装置を制限なく使用することができる。
本発明において、離解工程、および、インキ剥離処理を終えた後は、所望に応じて脱墨剤、漂白剤、キレート剤、凝集剤などのフローテーション助剤などを加えて各種処理を行なうことができる。また、その後、除塵工程(異物除去工程)を行なってもよい。これらのときには繊維や異物に高剪断力がかからないため、pHは弱アルカリ性から中性のままでもよいし、アルカリ性にしてもかまわない。ただし、望ましくは弱アルカリ性から中性のままで処理を行った方が、パルプ繊維がアルカリ性条件下にある時間が短くなるので、CODの低減効果は高くなる。除塵工程(異物除去工程)は離解処理の後及び/またはインキ剥離処理の後で行ってもよい。
さらに、このようにして得られた脱墨パルプは、その後、必要に応じて、ECF漂白などの漂白を行なってもよい。本発明の方法により製造された脱墨パルプを用いて紙を製造数ことができる。本発明により製造された脱墨パルプを含む紙は、紙面上のダート(黒点、チリ等)が少なく、優れた品質を有する。本発明の脱墨パルプの製造方法においては、必要以上に機械的な力をかけずに済むため、パルプ繊維の膨潤や損傷が抑制され、繊維の濾水性や強度が低下することがないため、嵩、不透明度、剛度が良好で、かつ印刷適性に優れた紙を得ることができる。
脱墨フロスの機械的処理
本発明においては、脱墨フロスに対して回転型解繊機で機械的処理を施す。すなわち、細かなスリットを持つディスク状またはコニカル状刃物を高速回転させ、そこに脱墨フロスを導入することによって、流体力学的衝撃波により脱墨フロスを機械的処理する。このような装置としては、ファイナー、コニファイナー、トップファイナー、セブンファイナー、コニディスク、デフレーカー、コニカルフレーカー、パワーファイナー等が挙げられる。
本発明においては、回転型解繊機を用いて脱墨フロスのスラリーに機械的処理を施す。機械的処理の速度(1時間あたりの処理量)は20〜100m/hであればよく、好ましくは30〜95m/h、より好ましくは40〜90m/h、さらに好ましくは50〜85m/hである。
回転型解繊機は、細かなスリットを持つ刃物の高速回転により、脱墨フロスのスラリーを処理することができる装置である。送入された原料は、高速回転する細かなスリットを持つ刃物の流体力学的衝撃波により、繊維の損傷を抑えつつ脱墨を促進することができる。好ましい態様において、回転型解繊機には固定刃と回転刃があり、固定刃と回転刃の間を原料が通過する際、回転刃が高速回転することにより、脱墨フロスからインキの剥離・微細化をすることができる。好ましい態様において、回転刃の刃幅は1.0〜10mmであり、1.0〜5.0mmがより好ましく、1.0〜3.0mmがさらに好ましく、1.0〜2.5mmとしてもよい。特に、回転刃の最外周刃の刃幅は1.0〜10mmであり、1.0〜5.0mmがより好ましく、1.0〜3.0mmがさらに好ましく、1.0〜2.5mmとしてもよい。また、好ましい態様において、固定刃の刃幅は0.3〜2.0mmであり、0.4〜1.7mmがより好ましく、0.5〜1.4mmがさらに好ましく、0.6〜1.1mmとしてもよい。
脱墨フロススラリーの固形分濃度は、例えば、0.01〜5.0重量%であるが、0.1〜4.0重量%が好ましく、0.2〜3.0重量%がより好ましく、0.3〜2.0重量%がさらに好ましく、0.4〜1.5重量%がよりさらに好ましい。また、スラリーのpHがアルカリ条件である方が、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。本発明においては、機械的処理の温度は特に制限されないが、5〜80℃が好ましく、特に10〜70℃がより好ましい。
本発明においては、界面活性剤を添加することで必要なエネルギーを低減することができる。使用する界面活性剤としては、公知または新規の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらの単一成分からなるものでも2種以上の成分の混合物でも良い。
紙の製造
本発明においては、上記したようにして得られた脱墨フロスの機械的処理物を内添して紙を製造することができる。抄紙方法は特に制限されず一般に公知の方法を採用することができる。本発明によれば、従来は廃棄されていた脱墨フロス中のパルプ繊維を有効活用することができるため、資源の有効活用の点からも極めて優れている。
本発明者らの検討によれば、脱墨フロスに含まれるパルプ繊維は、繊維長が短い微細繊維が多いことが分かっており、そのため、本発明に係る脱墨フロスの機械的処理物を内添して抄紙することによって強度に優れた紙を得ることができる。微細繊維がパルプ間の繊維間結合を増強するため、脱墨フロスの機械的処理物が紙力増強剤として機能し、紙の強度が向上するものと考えられる。また、本発明によれば、脱墨フロスの機械的処理物を紙に添加することにより紙の強度が向上するため、パルプの配合量を少なくしても紙の強度を維持することができる。
本発明の抄紙方法においては、脱墨フロスの機械的処理物のみを用いて抄紙しなければならないわけでなく、他のパルプを任意の比率で原料パルプとして用いて紙を製造すればよい。一つの好ましい態様において、脱墨フロスの機械的処理物と他のパルプの重量比率を、例えば、1:99〜20:80とすることができ、2:98〜15:85としたり、3:97〜10:90としたりしてもよい。
本発明においてはパルプとして、例えば、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹または広葉樹クラフトパルプ(NKPまたはLKP)、針葉樹または広葉樹を用いた機械パルプ、例えば、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等、段ボールを離解した古紙パルプ、塗工紙や塗工原紙、その他の紙を含む損紙を離解してなるコートブローク、及び、これらのパルプの2種以上の混合物を併用して抄紙してもよい。
また本発明においては、パルプから抄紙する際に、薬品や填料を添加してもよい。添加する薬品としては、ロジンエマルションや中性ロジン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン/アクリル共重合体などのサイズ剤、カチオン性や両イオン性、アニオン性のポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸を含む樹脂、グアーガムなどの乾燥紙力増強剤、カチオン性や両イオン性、アニオン性の変性澱粉、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン、カルボキシメチルセルロースなどの湿潤紙力増強剤、濾水性向上剤、着色剤、染料、蛍光染料、凝結剤、嵩高剤、歩留剤などが挙げられる。また、填料としては、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子であれば良く、特に限定はない。具体的には、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体)、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウム、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料および再生する過程でシリカや炭酸カルシウムと複合体を形成した無機填料などが上げられる。炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が好ましく使用される。
本発明により製造された紙は、例えば、これらに限定されないが、印刷用紙、新聞用紙の他、塗工紙、情報記録用紙、加工用紙、衛生用紙等として使用することができる。情報記録用紙として、更に詳しくは、電子写真用転写紙、インクジェット記録用紙、感熱記録体、フォーム用紙等が挙げられる。加工用紙として、更に詳しくは、剥離紙用原紙、積層板用原紙、成型用途の原紙等が挙げられる。衛生用紙として、更に詳しくは、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等が挙げられる。また、段ボール原紙等の板紙として使用することもできる。さらに、塗工紙、情報記録用紙、加工用紙等の顔料を含む塗工層を有する紙の原紙としても使用することができる。
以下に実験例を挙げて本発明をより具体的に示すが、本発明はかかる実験例に限定されるものではない。また、本明細書においては、特記しない限り、数値範囲はその端点を含むものとし、濃度などは重量基準である。
実験1:脱墨フロスの機械的処理
(サンプル1)
日本製紙株式会社のA工場において、新聞古紙を含む印刷古紙をパルパーで離解し(固形分濃度:約15%)、クリーナーおよび粗選スクリーンの順で処理して異物を除去し(固形分濃度:約3%)、フローテーター(ハイパーセルHYP−50型、相川鉄工製)を用いて浮選処理に供した(固形分濃度:約1%)。浮選処理において得られた脱墨フロス(濃度0.87%、灰分67%)を以下の機械的処理に供した。
リング状刃物を用いた高速回転型解繊機(A型トップファイナー、相川鉄工製)を用いて、処理量80m/hr、負荷111kWh/tで脱墨フロスを機械的に処理した(固形分濃度0.87%)。この装置においては、細かなスリットを持つリング状刃物が高速回転し、流体力学的な衝撃力によって脱墨フロスが機械的に処理される。回転刃と固定刃があり、回転刃の最外周刃の刃幅は2.0mm、固定刃の最外周刃の刃幅は0.8mmであった。
機械的処理をした上記フロスについて、フローテーター(ハイパーセルHYP−50型、相川鉄工製)を用いてエアー比率が2.6となるように浮選処理し、インキなどを系外に排出し、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
(サンプル2)
A工場フロス(濃度1.0%、灰分69%)を用いた以外は、サンプル1と同様にして、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
(サンプル3)
A工場フロス(濃度0.85%、灰分64%)を用い、脱墨フロスの機械的処理において回転刃の最外周刃の刃幅を4.5mmとして行う以外は、サンプル1と同様にして、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
(サンプル4)
A工場フロス(濃度1.27%、灰分62%)を用い、脱墨フロスの機械的処理における処理量を63m/hrとした以外は、サンプル1と同様にして、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
(サンプル5、比較例)
A工場フロス(濃度1.2%、灰分65%)を、機械的処理を実施しない以外は、サンプル1と同様に処理をして、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
(サンプル6、比較例)
A工場フロス(濃度0.53%、灰分69%)を用い、機械的処理における処理量を160m/hrとした以外は、サンプル1と同様にして、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
(サンプル7、比較例)
A工場脱墨フロス(濃度0.72%、灰分68%)を用い、機械的処理における処理量を103m/hrとした以外は、サンプル1と同様にして、アクセプト試料である脱墨パルプをサンプルとして回収した。
実験2:脱墨パルプの分析
実験1で得られたサンプルについて、手抄紙を製造して白色度を評価した。具体的には、実験1で得られた脱墨パルプから手抄紙を製造し、ISO白色度を測定した。
<白色度>
JIS P8148に準拠し、色差計(村上色彩製、CMS−35SPX)を用いて、脱墨フロスをマット化したものについて、紫外光を含む光源にてISO白色度を測定した。
・回転型解繊機で処理する前のサンプルから製造した手抄紙
・回転型解繊機で処理した後のサンプルから製造した手抄紙
・回転型解繊機で処理した脱墨フロスをさらにフローテーターで処理して得られたサンプルから製造した手抄紙
<完全洗浄白色度(完洗白色度)>
回転型解繊機で処理する前のサンプルと回転型解繊機で処理した後のサンプルについて、各サンプルをワイヤー(325メッシュ)上に広げ、ワイヤーを通過する濾液の濁りがなくなるまで水道水で洗浄して、完全洗浄したサンプルを得た。完全洗浄したサンプルから手抄紙を製造し、ISO白色度を測定した。
結果を表に示すが、脱墨フロスに対して回転型解繊機による機械的処理を施すことによって脱墨パルプの白色度を大きく向上させることができた。また、回転型解繊機による機械的処理における処理流量(処理量)が100m/hrを超えると、脱墨効率が低下する傾向が見られた。
原料である脱墨フロススラリーの濃度が高くなると脱墨効率が向上する傾向があり、また、回転型解繊機における回転刃の刃幅を狭小化すると脱墨効率が向上する傾向があった。
回転型解繊機による機械的処理を施したサンプルを洗浄してから白色度を測定したところ、完全洗浄白色度が大きく向上した(Δ完洗白色度が大きくなる)。すなわち、回転型解繊機による機械的処理によって、脱墨フロスからインキなどが効果的に剥離していることが明らかになった。また、回転型解繊機による機械的処理を施した場合、フローテーター処理によって白色度が大きく向上し(Δ白色度が大きくなる)、本発明によってフローテーター処理の効率が向上した。

Claims (6)

  1. 印刷古紙の脱墨処理において発生する脱墨フロスから脱墨パルプを製造する方法であって、
    回転型解繊機を用いて20〜100m/hの速度で脱墨フロスを処理する工程を含む、上記方法。
  2. 回転型解繊維で処理した脱墨フロスにさらにフローテーション処理を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 回転型解繊機で処理する脱墨フロスの濃度が2.0重量%以下である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記回転型解繊機が、ディスク型の固定刃と回転刃を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記回転刃の最外周刃の刃幅が1.0〜2.5mmである、請求項4に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって製造した脱墨パルプを含む原料から紙を抄造することを含む、紙の製造方法。
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