JPH11102042A - ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11102042A
JPH11102042A JP26382697A JP26382697A JPH11102042A JP H11102042 A JPH11102042 A JP H11102042A JP 26382697 A JP26382697 A JP 26382697A JP 26382697 A JP26382697 A JP 26382697A JP H11102042 A JPH11102042 A JP H11102042A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver halide
emulsion
silver
mol
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26382697A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3574989B2 (ja
Inventor
Ko Kimura
耕 木村
Tomohiro Oshiyama
智寛 押山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP26382697A priority Critical patent/JP3574989B2/ja
Publication of JPH11102042A publication Critical patent/JPH11102042A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3574989B2 publication Critical patent/JP3574989B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度−低カブリ及び/または照度不軌が改
良されたハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 ハロゲン化銀への吸着基を少なくとも配
位子の一つに有する金属錯体を含有することを特徴とす
るハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真乳
剤及びその製造方法に関し、詳しくは金属錯体を含有
し、ハロゲン化銀粒子へのドープ効率が著しく改善され
ることにより高感度化及び/または照度不軌が改良され
ることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法
において、一般に用いられるドーパントとしては、正八
面体型の六配位金属錯体がよく知られている。ここで、
「ドーパント」とはハロゲン化銀結晶中に銀、またはハ
ライドイオン以外に含ませる微量の不純物を指す。特
に、中心金属が遷移金属(元素周期律表の3〜12族)
である金属錯体は、ドーパントとしてハロゲン化銀乳剤
の改質を目的に多数の研究がなされている。
【0003】写真の相反則が成立する場合(すなわち、
相反則不軌が全くない場合)、写真乳剤の感度は、露光
強度と露光時間の各値に関係なくそれらの積が同じ値で
あれば一定になる。
【0004】本発明において、高照度相反則不軌は、露
光量は同等であるが、露光時間が異なる場合に、写真乳
剤の感度が露光時間が短いほど低くなる現象を意味す
る。同様に、低照度相反則不軌は、露光量は同等である
が、露光時間が異なる場合に、写真乳剤の感度が露光時
間が長いほど低くなる現象を意味する。
【0005】リサーチディスクロージャー第30811
9、I〜D章には、粒子核形成時、粒子成長時に導入さ
れた金属が、ドーパントとして粒子に入り、それらのレ
ベル及び粒子内の位置に依存して写真性能を変えること
ができる、と述べられている。
【0006】遷移金属化合物をハロゲン化銀粒子形成中
に添加した場合と、ハロゲン化銀粒子の沈殿後に添加し
た場合とでは、ハロゲン化銀乳剤における遷移金属化合
物の写真効果に顕著な差があることが知られている。前
者の場合、遷移金属化合物はハロゲン化銀粒子の中にド
ーパントとして取り込まれ、その量はごくわずかにもか
かわらず、写真性能を効果的に変えることが一般的に知
られている。後者の場合、遷移金属化合物は粒子表面に
吸着されるが、しばしば解こう剤との相互作用で粒子に
近づくことができないことが多い。粒子形成後に遷移金
属化合物を添加して、遷移金属化合物がハロゲン化銀粒
子内部に取り込まれている場合と同じ効果を得るために
は、より高濃度の遷移金属化合物を添加する必要があ
る。
【0007】ハロゲン化銀粒子の形成中に乳剤に添加す
る金属ドーピングと、ハロゲン化銀粒子の形成後に乳剤
に遷移金属化合物を添加することによる金属増感剤との
技術上の差異については、粒子の沈殿中に導入される遷
移金属化合物についてリサーチディスクロージャー第1
7643、IA章に、また、化学増感中に導入される遷
移金属化合物について同リサーチディスクロージャーII
IA章に記載がある。
【0008】米国特許第4,126,472号には、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-6から10-4モルの水溶性
イリジウム塩の存在下でハロゲン化銀乳剤を熟成し、イ
リジウムを粒子表面改質剤として用いることが開示され
ている。しかしながら、ここではハロゲン化銀への吸着
基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯体の記載は
ない。
【0009】欧州特許第242190号には、3、4、
5または6個のシアン化合物配位子を有する3価のロジ
ウムのうち1種以上の錯体化合物の存在下で生成するハ
ロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤における高照
度不軌の減少が開示されている。
【0010】米国特許第3,690,888号には、多
価金属イオンを含有するハロゲン化銀の製法において主
としてアクリル系ポリマーからなる解こう剤の存在下に
ハロゲン化銀粒子を作る工程を含む方法が開示されてい
る。多価金属イオンとして、特に、ビスマス、イリジウ
ム、鉛、及び/またはオスミウムイオンが挙げられてい
るが、ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少なくとも一
つに有する金属錯体に関する記載はない。
【0011】これらの開示においては、遷移金属ととも
に配位子が粒子中に取り込まれることを明瞭に示し、遷
移金属化合物の配位子に規定やその効果を記載するもの
ではなかった。
【0012】一方、米国特許第4,835,093号、
同4,933,272号、同4,981,781号、同
5,037,732号、同4,937,180号、同
4,945,035号等には、金属イオンと配位錯体を
形成できる配位子が、粒子結晶構造に入ることができ、
遷移金属イオン単独の組み込みによっては実現されない
写真性能の改良を行うことができることが実証されてい
る。
【0013】欧州特許336,425号、同336,4
26号、特開平2−20853号、同2−20854号
には、少なくとも四つのシアン配位子を有する六配位の
レニウム、ルテニウム、オスミウム及びイリジウム金属
錯体の存在下において調製される、感度、階調及び経時
安定性に優れ、且つ低照度不軌が改良されたハロゲン化
銀乳剤が記載されている。
【0014】また、欧州特許336,427号、特開平
2−20852号には、ニトロシル又はチオニトロシル
配位子を含む六配位のバナジウム、クロム、マンガン、
鉄、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びイリジウム
金属錯体により中照度感度を低下させることなく低照度
相反則不軌が改良されたハロゲン化銀乳剤が記載されて
いる。
【0015】更に欧州特許336,689号、特開平2
−20855号には、六配位のレニウム錯体の配位子
が、ハロゲン、ニトロシル、チオニトロシル、シアン、
水、チオシアンの組み合わされた金属錯体により感度が
制御され、低照度相反則不軌が改良された乳剤が開示さ
れている。
【0016】更にまた特開平3−118535号には六
配位金属錯体の一つの配位子がカルボニルである遷移金
属錯体、同3−118536号には六配位の金属錯体の
二つの配位子が酸素である遷移金属錯体を内部に含有す
る乳剤が、写真性能について有効であることが開示され
ている。
【0017】米国特許5,132,203号には、少な
くとも四つのシアン配位子を有する六配位のVIII族金属
錯体を亜表面に含有し、20〜350Åの粒子表面層に
は該錯体を含まない平板状粒子は高感度であることが開
示されている。更に欧州特許508,910号には、六
シアノ鉄錯体を亜表面にドープし、20〜350Åに表
面層には該鉄錯体を含有せず、且つ増感色素を添加して
色増感したハロゲン化銀乳剤が開示されている。これら
の特許では六シアノ錯体は、粒子表面近くに存在させた
方が感度が高いが、粒子表面には存在させない方がよい
ことを教示するものである。即ち、六配位シアノ金属錯
体を粒子にドープする際、そのドープ位置はハロゲン化
銀粒子の亜表面がよいが、表面そのものに錯体が存在し
た場合に、高感度を得る方法については全く開示されて
いない。
【0018】6配位シアノ金属錯体とゼラチンとの相互
作用により発生するシアンは、金イオンと安定な金シア
ン錯体を形成して乳剤媒体中に安定に存在する。このた
め、金イオンはもはや、粒子表面に吸着することが困難
になり化学増感による写真効果が低下することから、6
配位シアノ金属錯体はハロゲン化銀粒子の亜表面にドー
プされてきたが、十分な感度を得ることができていなか
った。特開平6−242537号には、ハロゲン化銀に
6配位シアノ金属錯体をドープする工程において、ドー
プ中の一部、あるいは全てで、pHの値を7.0以上に
することにより、該錯体を粒子表面に存在させながら、
その効果を最大限に引き出している。特開平6−289
512号には、ハロゲン化銀に6配位シアノ金属錯体を
ドープする工程、及びそれ以後にアミノ基、またはカル
ボキシル基を無効にしたゼラチン(例えば、フタル化ゼ
ラチン、エステル化ゼラチン)、または酸化処理ゼラチ
ンを存在させることにより、高感度を得る方法が開示さ
れている。特開平8−29905号には、ハロゲン化銀
粒子がゼラチンとシアノ錯体との反応を阻害する化合
物、例えば亜鉛、セシウム、銅、鉛、カルシウム、バリ
ウム、または、マグネシウムの塩の存在下で粒子形成を
させ高感度を得る方法が開示されている。
【0019】しかしながら、これらの方法でも十分では
なく、また、これらの開示例では金属錯体の配位子にハ
ロゲン化銀への吸着基を配位子の少なくとも一つに有す
る金属錯体に変更することにより、粒子内部に金属化合
物をドープし、高感度を得る方法については全く触れら
れていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、吸着
基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯体をハロゲ
ン化銀粒子中にドープすることにより、高感度−低カブ
リ及び/または照度不軌が改良されたハロゲン化銀写真
乳剤及びその製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0022】1.ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少
なくとも一つに有する金属錯体を含有することを特徴と
するハロゲン化銀写真乳剤。
【0023】2.ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少
なくとも一つに有する金属錯体を用いることを特徴とす
るハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
【0024】3.下記一般式(I)で表される金属錯体
を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0025】一般式(I) 〔An−M−X(6-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から6の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(6−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても、異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに
必要なカウンターイオンを表す。
【0026】4.下記一般式(I)で表わされる金属錯
体を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製
造方法。
【0027】一般式(I) 〔An−M−X(6-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から6の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(6−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても、異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに
必要なカウンターイオンを表す。
【0028】5.下記一般式(II)で表される金属錯体
を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0029】一般式(II) 〔An−M−X(5-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から5の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(5−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても、異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに
必要なカウンターイオンを表す。
【0030】6.下記一般式(II)で表される金属錯体
を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造
方法。
【0031】一般式(II) 〔An−M−X(5-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から5の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(5−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても、異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに
必要なカウンターイオンを表す。
【0032】7.下記一般式(III)で表される金属錯
体を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0033】 一般式(III) 〔An−M−X(4-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から4の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(4−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても、異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに
必要なカウンターイオンを表す。
【0034】8.下記一般式(III)で表される金属錯
体を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製
造方法。
【0035】 一般式(III) 〔An−M−X(4-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から4の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(4−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても、異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに
必要なカウンターイオンを表す。
【0036】以下、本発明を詳細に説明する。
【0037】本発明で用いられるハロゲン化銀の吸着基
を配位子の一つに有する金属錯体化合物としては、具体
的には下記一般式(I)〜(III)で表される化合物が
挙げられる。
【0038】一般式(I) 〔An−M−X(6-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から6の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(6−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
要なカウンターイオンを表す。
【0039】一般式(II) 〔An−M−X(5-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から5の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(5−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
要なカウンターイオンを表す。
【0040】 一般式(III) 〔An−M−X(4-n)〕Z 式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から4の整
数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
ってもよく、(4−n)が2以上の時は各Xは同じであ
っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
要なカウンターイオンを表す。
【0041】次に一般式(I)〜(III)について詳細
に説明する。
【0042】式中Aのハロゲン化銀に吸着可能な基を含
む原子群としてはメルカプト基を有する原子群(例え
ば、メルカプトオキサジアゾール、メルカプトテトラゾ
ール、メルカプトトリアゾール、メルカプトジアゾー
ル、メルカプトチアゾール、メルカプトチアジアゾー
ル、メルカプトオキサゾール、メルカプトイミダゾー
ル、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾオ
キサゾール、メルカプトベンズイミダゾール、メルカプ
トテトラザインデン、メルカプトピリジル、メルカプト
キノリル、2−メルカプトピリジル、メルカプトフェニ
ル、メルカプトナフチル等の各基)、チオン基を有する
原子群(例えば、チアゾリン−2−チオン、オキサゾリ
ン−2−チオン、イミダゾリン−2−チオン、ベンゾチ
アゾリン−2−チオン、ベンゾイミダゾリン−2−チオ
ン、チアゾリジン−2−チオン等の各基)、イミノ銀を
形成する原子群(例えば、トリアゾール、テトラゾー
ル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシアザインデン、ベ
ンズイミダゾール、インダゾール等の各基)、エチニル
基を有する原子群(例えば、2−[N−(2−プロピニ
ル)アミノ]ベンゾチアゾール、N−(2−プロピニ
ル)カルバゾール等の各基)等が挙げられる。
【0043】式中Mの中心金属としては、バナジウム、
クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜
鉛、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、カドミウム、タンタル、タング
ステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、
金、水銀が好ましく、更に好ましくは鉄、コバルト、ル
テニウム、レニウム、ロジウム、オスミウム及びイリジ
ウムである。特に好ましくは、鉄、イリジウム、ルテニ
ウムである。
【0044】式中Xの配位子としては、カルボニル、ア
クア、アミン、トリフェニルホスフィンのような中性の
配位子でもよいし、ハロゲン化物、シアノ、ニトロ、ヒ
ドリド、スルフィド、アミド、アジド、シアナト、チオ
シアンのようなアニオン性の配位子でもよい。
【0045】式中Zは錯体の価数により必要なカウンタ
ーイオンを表し、カチオンとしては水素原子或いはナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム等のア
ルカリ土類金属でもよく、アニオンとしては、塩素、臭
素等のハロゲン原子が好ましい。
【0046】以下に、本発明で使用されるハロゲン化銀
への吸着基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯体
の代表的な具体例を示す。
【0047】
【化1】
【0048】
【化2】
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】
【0051】
【化5】
【0052】
【化6】
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
【化19】
【0066】本発明により、高感度な写真乳剤が得られ
る原因は定かではないが、一つの説明として以下のよう
な推定機構が考えられる。
【0067】ハロゲン化銀乳剤粒子中にドープされた本
発明のハロゲン化銀への吸着基を配位子の少なくとも一
つに有する金属錯体は、6配位シアノ錯体と同様に浅い
電子トラップを与える。これは、電子吸引性の大きな置
換基を配位子として導入することにより、遷移金属化合
物のd軌道の配位子場分裂におけるバンドギャップが大
きくなり、金属錯体の最低空軌道(LUMO)がハロゲ
ン化銀の伝導体(CB)近傍に存在するようになるため
である。本発明の金属錯体が、ドープされた乳剤粒子に
おいては光電子は一時的にこの浅い電子トラップに捕獲
される。
【0068】本発明のハロゲン化への吸着基を配位子の
少なくとも一つに有する金属錯体のd軌道レベルは、6
配位シアノ錯体とほぼ同等の位置にあるため、浅い電子
トラップの機能についてはほぼ同等の機能を有すること
ができるものと考えられる。
【0069】光が粒子によって吸収されると正孔と電子
の対が形成され、電子は粒子の結晶構造内を自由に動き
回ることができる。シアノ配位子は、配位子場分裂が大
きく浅い電子トラップを与えやすく、そのため高感度乳
剤を与えやすい。本発明のハロゲン化への吸着基を配位
子の少なくとも一つに有する金属錯体がドープされた乳
剤粒子においても、配位子の選択により浅い電子トラッ
プの機能を付与することができるため、光電子は一時的
にこの浅い電子トラップに捕獲される。本発明のように
浅い電子トラップが高濃度に存在する場合には、電子が
浅い電子トラップから出てきても、再び近くにある浅い
電子トラップに捕獲される確率が高い。このように、光
電子は浅いトラップを出たり入ったりしながら、比較的
長い寿命をもつことが可能となり、これによって、銀核
形成、すなわち潜像形成に寄与する確率を上げることが
できる。このように、潜像形成のために電子を粒子内に
とどめることによって、乳剤の感度を増加させることが
できる。
【0070】しかしながら、従来の吸着基を持たない金
属錯体では特に臭化銀、沃臭化銀系において高ドープ率
を実現することは難しく、最終的なハロゲン化銀粒子の
表面に金属錯体、もしくは配位子が残存してしまい、化
学熟成特に金増感が不活性になってしまい、増感レベル
は十分ではないという問題があった。そこでハロゲン化
への吸着基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯体
を用いることにより従来の吸着基を持たない金属錯体よ
りハロゲン化銀への吸着力が増し、高ドープ率が実現可
能になり、従来の吸着基を持たない金属錯体より高感度
化が実現できるようになったと推定される。
【0071】ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少なく
とも一つに有する金属錯体のハロゲン化銀粒子中への添
加位置は添加銀量で0〜100%ならどの位置でも良
く、好ましくは30〜70%が良い。
【0072】また、ハロゲン化銀への吸着基を配位子の
少なくとも一つに有する金属錯体の濃度は、好ましくは
1×10-8〜5×10-4モル/銀モル、より好ましくは
1×10-6〜5×10-5モル/銀モルである。
【0073】ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少なく
とも一つに有する金属錯体のハロゲン化銀粒子中のドー
プ量、ドープ率については、ドープされた該錯体の中心
金属を原子吸光法、ICP法(Inductively
Coupled Plasma Spectrome
try; 誘導結合高周波プラズマ分光分析法)及びI
CP−MS(Inductively Coupled
Plasma Mass Spectrometr
y; 誘導結合プラズマ質量分析法)等を用いることに
より定量することができる。
【0074】次に、本発明に用いるハロゲン化銀粒子に
ついて説明する。
【0075】本発明のハロゲン化銀粒子は、臭化銀、塩
化銀、沃化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、沃臭化銀、塩沃臭
化銀である。それ以外の銀塩、例えばロダン銀、硫化
銀、セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀が別粒子
として、あるいはハロゲン化銀粒子の一部分として含ま
れていても良い。現像、脱銀、(漂白、定着及び漂白定
着)工程の迅速化が望まれる時には塩化銀含有量が多い
ハロゲン化銀粒子が望ましい。また適度に現像を抑制さ
せる場合には沃化銀を含有することが好ましい。好まし
い沃化銀含量は目的の感光材料によって異なる。例えば
X−ray感材では0.1〜15モル%、グラフィック
アーツ及びマイクロ感材では0.1〜5モル%が好まし
い範囲である。カラーネガに代表される撮影感材の場合
には好ましくは、1〜30%の沃化銀を含むハロゲン化
銀粒子であり、更に好ましくは5〜20モル%、特に好
ましくは8〜15モル%である。沃臭化銀粒子に塩化銀
を含有させるのは格子ひずみを緩和させる上で好まし
い。
【0076】本発明のハロゲン化銀粒子は特公昭43−
13162号、特開昭61−215540号、同60−
222845号、同60−143331号、同61−7
5337号などに開示されているような粒子の内部と表
層が異なるハロゲン組成を有するコア−シェル型あるい
は二重構造型の粒子であることが好ましい。また単なる
二重構造でなく、特開昭60−222844号に開示さ
れているような三重構造、あるいはそれ以上の多層構造
にすることや、コア−シェルの二重構造の粒子の表面に
異なる組成を有するハロゲン化銀を薄くつけたりするこ
とができる。
【0077】2つ以上のハロゲン化銀が混晶として、あ
るいは構造をもって存在するハロゲン化銀の場合に粒子
間のハロゲン組成分布を制御することが重要である。粒
子間のハロゲン組成分布の測定法に関しては特開昭60
−254032号に記載されている。粒子間のハロゲン
分布が均一であることは望ましい特性である。特に変動
係数20%以下の均一性の高い乳剤は好ましい。別の好
ましい形態は粒子サイズとハロゲン組成に相関がある乳
剤である。例として大サイズ粒子ほどヨード含量が高
く、一方、小サイズほどヨード含量が低いような相関が
ある場合である。目的により逆の相関、他のハロゲン組
成での相関を選ぶことができる。この目的のために組成
の異なる2つ以上の乳剤を混合させることが好ましい。
【0078】ハロゲン化銀粒子の表面近傍のハロゲン組
成を制御することは重要である。表面近傍の沃化銀含量
を高くする、あるいは塩化銀含量を高くすることは、色
素の吸着性や現像速度を変えるので目的に応じて選ぶこ
とができる。表面近傍のハロゲン組成を変える場合に、
粒子全体を包み込む構造でも、粒子の一部分にのみ付着
させる構造のどちらも選ぶことができる。例えば(10
0)面と(111)面からなる14面体粒子の一方の面
のみハロゲン組成を変える、あるいは平板粒子の主平面
と側面の一方のハロゲン組成を変える場合である。
【0079】本発明のハロゲン化銀粒子は双晶面を含ま
ない正常晶でも、日本写真学会編、写真工業の基礎、銀
塩写真編(コロナ社)、P.163に解説されているよ
うな例、例えば双晶面を一つ含む一重双晶、平行な双晶
面を2つ以上含む平行多重双晶、非平行な双晶面を2つ
以上含む非平行多重双晶などから目的に応じて選んで用
いることができる。また形状の異なる粒子を混合させる
例は米国特許第4,865,964号に開示されている
が、必要によりこの方法を選ぶことができる。正常晶の
場合には(100)面からなる立方体、(111)面か
らなる八面体、特公昭55−42737号、特開昭60
−222842号に開示されている(110)面からな
る12面体粒子を用いることができる。さらに、Jou
rnalof Imaging Science,30
巻、247ページ、1986年に報告されているような
(211)を代表とする(hll)面粒子、(331)
を代表とする(hhl)面粒子、(210)面を代表と
する(hk0)面粒子と(321)面を代表とする(h
kl)面粒子も調製法に工夫を要するが、目的に応じて
選んで用いることができる。(100)面と(111)
面が一つの粒子に共存する14面体粒子、(100)面
と(110)面が共存する粒子など、2つの面あるいは
多数の面が共存する粒子も目的に応じて選んで用いるこ
とができる。粒子の撮影面積の円相当直径を粒子厚みで
割った値をアスペクト比と呼び、平板状粒子の形状を規
定している。アスペクト比が1より大きい平板状粒子は
本発明のハロゲン化銀粒子として使用できる。平板状粒
子は、クリーブ著「写真の理論と実際」(Cleve,
Photography Thory and Pra
ctice(1930)),131頁;ガトフ著、フォ
トグラフィク・サイエンス・アンド・エンジニアリング
(Gutoff,PhotographiccScie
nceand Engineering),第14巻,
248〜257頁(1970年);米国特許第4,43
4,226号、同第4,414,310号、同第4,4
33,048号、同第4,439,520号および英国
特許第2,112,157号などに記載の方法により調
製することができる。平板状粒子を用いた場合、被覆力
が上がること、増感色素による色増感効率が上がること
などの利点があり、先に引用した米国特許第4,43
4,2265号に詳しく述べられている。ハロゲン化銀
乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子を任意に500個以上
選びそれらのアスペクト比から求められる算術平均の値
を平均アスペクト比として、1以上100以下が望まし
い。より好ましくは2以上20以下であり、特に好まし
くは3以上l0以下である。平板状粒子の形状として三
角形、六角形、円形などを選ぶことができる。米国特許
第4,797,354号に記載されているような六辺の
長さがほぼ等しい正六角形は好ましい形態である。
【0080】平板状粒子の粒子サイズとして粒子の投影
面積の円相当直径を用いることが多いが、米国特許第
4,748,106号に記載されているような平均直径
が0.6μm以下の粒子は高画質化にとって好ましい。
また平板状粒子の形状として粒子厚みを0.5μm以
下、より好ましくは0.3μm以下に限定するのは鮮鋭
度を高める上で好ましい。さらに特開昭63−1634
51号に記載されている粒子の厚みと双晶面の面間距離
を規定した粒子も好ましいものである。
【0081】また、粒子サイズ分布の狭い単分散の平板
状粒子を用いるとさらに好ましい結果が得られることが
ある。米国特許第4,797,354号および特開平2
−838号には平板化率が高く単分散の六角平板状粒子
の製造法が記載されている。また、欧州特許第514,
742号にはポリアルキレンオキサイドブロックコポリ
マーを用いて粒子サイズ分布の変動係数が10%未満の
平板状粒子を製造する方法についての記載がある。これ
らの平板状粒子を本発明に用いることは好ましい。さら
に、粒子厚みの変動係数が30%以下の厚みの均一性が
高い粒子も好ましい。
【0082】平板状粒子の場合には透過型の電子顕微鏡
により転位線の観察が可能である。転位線を全く含まな
い粒子、数本の転位を含む粒子あるいは多数の転位を含
む粒子を目的に応じて選ぶことは好ましい。また粒子の
結晶方位の特定の方向に対して直線的に導入された転位
あるいは曲った転位を選ぶこともできるし、粒子全体に
渡って導入する、あるいは粒子の特定の部分にのみ導入
する、例えば粒子のフリンジ部に限定して転位を導入す
る、などのなかから選ぶことができる。粒子のフリンジ
部とは、平板状粒子の外周のことを指す。転位線の導入
は平板状粒子の場合だけでなく正常晶粒子あるいはジャ
ガイモ粒子に代表される不定型粒子の場合にも好まし
い。この場合にも粒子の頂点、稜などの特定の部分に限
定することは好ましい形態である。
【0083】本発明のハロゲン化銀粒子は欧州特許第9
6,727B1号、同第64,412B1号などに開示
されているような粒子に丸みをもたらす処理、あるいは
西独特許第2,306,447C2号、特開昭60−2
21320号に開示されているような表面の改質を行っ
てもよい。
【0084】粒子表面が平垣な構造が一般的であるが、
意図して凹凸を形成することは場合によって好ましい。
特開昭58−106532号、同60−221320号
に記載されている結晶の一部分、例えば頂点あるいは面
の中央に穴をあける方法、あるいは米国特許第4,64
3,966号に記載されているラッフル粒子がその例で
ある。
【0085】本発明のハロゲン化銀粒子及び最終的に得
られる粒子の粒子サイズは電子顕微鏡を用いた投影面積
の円相当直径、投影面積と粒子厚みから算出する粒子体
積の球相当直径あるいはコールターカウンター法による
体積の球相当直径などにより評価できる。球相当直径と
して0.05μm以下の超微粒子から、10μmを越え
る粗大粒子のなかから選んで用いることができる。好ま
しくは0.1μm以上3μm以下の粒子を感光性ハロゲ
ン化組粒子として用いることである。
【0086】本発明のハロゲン化銀粒子または最終的に
得られる粒子は粒子サイズ分布の広い、いわゆる多分散
乳剤でも、サイズ分布の狭い単分散乳剤でも目的に応じ
て選んで用いることができる。サイズ分布を表わす尺度
として粒子の投影面積相当直径あるいは体積の球相当直
径の変動係数を用いる場合がある。単分散乳剤を用いる
場合、変動係数が25%以下、より好ましくは20%以
下、さらに好ましくは15%以下のサイズ分布の乳剤を
用いるのがよい。
【0087】単分散乳剤を粒子数あるいは重量で平均粒
子サイズの±30%以内に全粒子の80%以上が入るよ
うな粒子サイズ分布と規定する場合もある。また感光材
料が目標とする階調を満足させるために、実質的に同一
の感色性を有する乳剤層において粒子サイズの異なる2
種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を同一層に混合または
別層に重層塗布することができる。さらに2種類以上の
多分散ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散乳剤と多分散乳
剤との組合わせを混合あるいは重層して使用することも
できる。
【0088】本発明のハロゲン化銀粒子は、グラフキデ
著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.G
lafkides,Chimie et Physiq
uePhotographique,Paul Mon
tel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フ
ォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Phot
ographic Emulsion Chmistr
y,Focal Press,1966)、ゼリグマン
等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊
(V.L.Zelikman et al,Makin
g andCoating Photographic
Emulsion,FocalPress,196
4)などに記載された方法を用いて調製することができ
る。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいず
れもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応さ
せる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組
合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過
剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を
用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハ
ロゲン化銀粒子の生成する液相中のpAgを一定に保つ
方法、すなわち、いわゆるコントロールド・タブルジェ
ット法を用いることもできる。この方法によると、結晶
形が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀粒子
が得られる。
【0089】乳剤調製用の反応容器にあらかじめ沈殿形
成したハロゲン化銀粒子を添加する方法、米国特許第
4,334,012号、同第4,301,241号、同
第4,150,994号は場合により好ましく、これら
は種結晶として用いることができるし、成長用のハロゲ
ン化銀として供給する場合も有効である。後者の場合粒
子サイズの小さい乳剤を添加するのが好ましく、添加方
法として一度に全量添加、複数回に分散して添加あるい
は連続的に添加するなどのなかから選んで用いることが
できる。また表面を改質させるために種々のハロゲン組
成の粒子を添加することも場合により有効である。
【0090】ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成の大部分
あるいはごく一部分をハロゲン変換法によって変換させ
る方法は米国特許第3,477,852号、同第4,1
42,900号、欧州特許第273,429号、同第2
73,430号、西独公開特許第3,819,241号
などに開示されており、有効な粒子形成法である。より
難溶性の銀塩に変換するのに可溶性ハロゲンの溶液ある
いはハロゲン化銀粒子を添加することができる。ー度に
変換する、複数回に分割して変換する、あるいは連続的
に変換するなどの方法から選ぶことができる。
【0091】粒子成長を一定濃度、一定流速で可溶性銀
塩とハロゲン塩を添加する方法以外に、英国特許第1,
469,480号、米国特許第3,650,757号、
同第4,242,445号に記載されているように濃度
を変化させる、あるいは流速を変化させる粒子形成法は
好ましい方法である。濃度を増加させる、あるいは流速
を増加させることにより、供給するハロゲン化銀量を添
加時間の一次関数、二次関数、あるいはより複雑な関数
で変化させることができる。また必要により供給ハロゲ
ン化銀を減量することも場合により好ましい。さらに溶
液組成の異なる複数個の可溶性銀塩を添加する、あるい
は溶液組成の異なる複数個の可溶性ハロゲン塩を添加す
る場合に、一方を増加させ、もう一方を減少させるよう
な添加方式も有効な方法である。
【0092】可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩の溶液を反
応させる時の混合器は米国特許第2,996,287
号、同第3,342,605号、同第3,415,65
0号、同第3,785,777号、西独公開特許第2,
556,885号、同第2,555,364号に記載さ
れている方法のなかから選んで用いることができる。
【0093】熟成を促進する目的に対してハロゲン化銀
溶剤が有用である。例えば熟成を促進するのに過剰量の
ハロゲンイオンを反応器中に存在せしめることが知られ
ている。また他の熟成剤を用いることもできる。これら
の熟成剤は銀およびハロゲン化物塩を添加する前に反応
器中の分散媒中に全量を配合しておくことができるし、
ハロゲン化物塩、銀塩または解膠剤を加えると共に反応
器中に導入することもできる。別の変形態様として、熟
成剤をハロゲン化銀塩および銀塩添加段階で独立して導
入することもできる。
【0094】アンモニア、チオシアン酸塩(例えば、ロ
ダンカリ、ロダンアンモニウム)、有機チオエーテル化
合物(例えば、米国特許第3,574,628号、同第
3,021,215号、同第3,057,724号、同
第3,038,805号、同第4,276,374号、
同第4,297,439号、同第3,704,130
号、同第4,782,013号、特開昭57−1049
26号などに記載の化合物)、チオン化合物(例えば、
特開昭53−82408号、同55−77737号、米
国特許第4,782,013号などに記載されている四
置換チオウレアや、特開昭53−144319号に記載
されている化合物)や、特開昭57−202531号に
記載されているハロゲン化銀粒子の成長を促進しうるメ
ルカプト化合物、アミン化合物(例えば、特開昭54−
100717号など)等があげられる。
【0095】本発明の乳剤の調製時に用いられる保護コ
ロイドとして、及びその他の親水性コロイド層のバイン
ダーとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、そ
れ以外の親水性コロイドも用いることができる。
【0096】例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の
高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインの
ような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類の如き
セルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のよ
うな糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアル
コール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールの
ような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高
分子物質を用いることができる。
【0097】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほ
か、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Ph
oto.Japan.No.16.P30(1966)
に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、
また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いること
ができる。
【0098】本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新し
く用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。水
洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲
で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選
べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ま
しくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応
じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗
の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、
遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選ん
で用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を
用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを
用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶ
ことができる。
【0099】米国特許第3,772,031号に記載さ
れているようなカルコゲナイド化合物を乳剤調製中に添
加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外に
もシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、
リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0100】本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セ
レン増感、金増感、パラジウム増感又は貴金属増感の少
なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工
程で施こすことができる。2種以上の増感法を組み合せ
ることは好ましい。どの工程で化学増感するかによって
種々のタイプの乳剤を調製することができる。粒子の内
部に化学増感核をうめ込むタイプ、粒子表面から浅い位
置にうめ込むタイプ、あるいは表面に化学増感核を作る
タイプがある。本発明の乳剤は目的に応じて化学増感核
の場所を選ぶことができる、一般に好ましいのは表面近
傍に少なくとも一種の化学増感核を作った場合である。
【0101】本発明で好ましく実施しうる化学増感の一
つはカルコゲナイド増感と貴金属増感の単独又は組合せ
であり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フ
ォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社
刊、1977年、(T.H.James、The Th
eory of the PhotographicP
rocess,4th ed,Macmi11an,1
977)67−76頁に記載されるように活性ゼラチン
を用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスク
ロージャー120巻、1974年4月、12008;リ
サーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6
月、13452、米国特許第2,642,361号、同
第3,297,446号、同第3,773,03l号、
同第3,857,711号、同第3,901,714
号、同第4,226,018号、および同第3,90
4,415号、並びに英国特許第1,315,755号
に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜8および
温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルル、金、
白金、パラジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せと
することができる。貴金属増感においては、例えば、
金、白金、パラジウムの貴金族塩を用いることができ、
中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併用が
好ましい。金増感の場合には、例えば、塩化金酸、カリ
ウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネー
ト、硫化金、金セレナイドの公知の化合物を用いること
ができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または
4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、
(R)2[PdX6]または(R)2[PdX4]で表わさ
れる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはア
ンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩
素、臭素または沃素原子を表わす。
【0102】具体的には、例えば、K2[PdCl4]、
(NH42[PdCl6]、Na2[PdCl4]、(N
42[PdCl4]、Li2[PdCl4]、Na2[P
dCl6]またはK2[PdBr4]が好ましい。金化合
物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセ
レノシアン酸塩と併用することが好ましい。
【0103】硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,
711号、同第4,226,018号および同第4,0
54,457号に記載されている硫黄含有化合物を用い
ることができる。いわゆる化学増感剤の存在下に化学増
感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザイ
ンデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化
学増感の過程でかぶりを抑制し、且つ感度を増大するも
のとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改
質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第
3,411,914号、同第3,554,757号、特
開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真
乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
【0104】本発明の乳剤は金増感を併用することが好
ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モ
ル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ま
しいのは1×10-5〜5×10-7モルである。パラジウ
ム化合物の好ましい範囲は1×10-3から5×10-7
ある。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の
好ましい範囲は5×10-2から1×10-6である。
【0105】本発明のハロゲン化銀粒子に対して使用す
る好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×
10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのは1
×10-5〜5×l0-7モルである。
【0106】本発明の乳剤に対して好ましい増感法とし
てセレン増感がある。セレン増感において、公知の不安
定セレン化合物を用い、具体的には、例えば、コロイド
状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジ
メチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素等)、
セレノケトン類、セレノアミド類のようなセレン化合物
を用いることができる。セレン増感は硫黄増感あるいは
貴金族増感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好
ましい場合がある。
【0107】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の
化合物を含有させることができる。すなわち、チアゾー
ル類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾ
ール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイ
ミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプ
トチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メル
カプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾー
ル類、アミノトリアゾール類、べンゾトリアゾール類、
ニトロべンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール
類(特に1一フェニル−5−メルカプトテトラゾー
ル);メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン
類;例えば、オキサゾリンチオンのようなチオケト化合
物;アザインデン類、例えぱ、トリアザインデン類、テ
トラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ置換(1,
3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザイ
ンデン類のようなかぶり防止剤または安定剤として知ら
れた、多くの化合物を加えることができる。例えば、米
国特許第3,954,474号、同第3,982,94
7号、特公昭52−28660号に記載されたものを用
いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63
−212932号に記載された化合物がある。かぶり防
止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成
後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感
中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じ
て添加することができる。乳剤調製中に添加して本来の
かぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の
晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解
性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制
御するなど多目的に用いることができる。
【0108】本発明のハロゲン化銀粒子に吸着させる分
光増感色素としてはメチン色素があり、従って又最終的
に得られる写真乳剤も、メチン色素類その他によって分
光増感されることが本発明の効果を発揮するのに好まし
い。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン
色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロ
ポーラーシアニン色素、へミシアニン色素、スチリル色
素およびへミオキソノール色素が包含される。特に有用
な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複
合メロシアニン色索に属する色素である。これらの色素
類には、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利
用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例え
ば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロ
ール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール
核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;こ
れらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;およびこれ
らの核に芳香族炭化水素環が融含した核、すなわち、例
えば、インドレニン核、べンズインドレニン核、インド
ール核、ベンズオキサドール核、ナフトオキサゾール
核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾ
セレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核が
適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていて
もよい。
【0109】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素には、ケトメチレン構造を有する核として、例え
ば、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2
−チオキサソリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン
−2,4−ジオン核、ローダニン核およびチオバルビツ
ール酸核のような5〜6員複素環核を適用することがで
きる。
【0110】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代
表例は米国特許第2,688,545号、同第2,97
7,229号、同第3,397,060号、同第3,5
22,052号、同第3,527,641号、同第3,
617,293号、同第3,628,964号、同第
3,666,480号、同第3,672,898号、同
第3,679,428号、同第3,703,377号、
同第3,769,30l号、同第3,814,609
号、同第3,837,862号、同第4,026,70
7号、英国特許第1,344,281与、同第1,50
7,803号、特公昭43−4936号、同53−12
375号、特開昭52−110618号、同52−10
9925号に記載されている。
【0111】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、かつ強色増感を示す物質を、乳剤中に含ん
でもよい。
【0112】本発明の好ましい分光増感色素の添加時期
ばハロゲン化銀粒子形成後、微粒子添加前である。もっ
とも普通には化学増感の完了後塗布前までの時期に行な
われるが、米国特許第3,628,969号、および同
第4,225,666号に記載されているように化学増
感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感と同時に行な
うことも、特開昭58−113928号に記載されてい
るように化学増感に先立って行なうことも出来、またハ
ロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開
始することも出来る。更にまた米国特許第4,255,
666号に教示されているようにこれらの前記化合物を
分けて添加すること、即ちこれらの化合物の一部を化学
増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加する
ことも可能であり、米国特許第4,183,756号に
開示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成
中のどの時期であってもよい。
【0113】添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×
10-6〜8×10-3モルで用いることができるが、より
好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μmの
場合は約5×10-5〜2×10-3モルがより有効であ
る。
【0114】本発明で得られる乳剤を感光材料とする際
には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外に
も目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
【0115】これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ
ディスクロージャーItem 17643(1978年
12月)、同Item 18716(1979年11
月)および同Item 308119(1989年12
月)に記載されている。
【0116】本発明のハロゲン化銀乳剤は、更にいずれ
かの通常の方法により、種々の写真感光材料に使用する
ことができる。重要な1つの態様として、本発明のハロ
ゲン化銀乳剤は、少なくとも2層のハロゲン化銀乳剤層
を有する多層写真感光材料に使用することが適してい
る。例えばカラーネガフィルム、カラーリバーサルフィ
ルムのような多層写真感光材料である場合、本発明のハ
ロゲン化銀乳剤は上層側、下層側どちらか一方に用いて
も良く、共に用いても良い。
【0117】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
以下に示す本発明の要件を満足する乳剤調製、乳剤及び
写真要素の実施例を参照することにより、本発明をより
よく理解できる。
【0118】感度はカブリ+0.2の濃度を与える露光
量E(Eは単位;ルクス・秒で表す)の逆数の対数の相
対値で表す。
【0119】実施例1 <種晶乳剤−1の調製>以下の様にして種晶乳剤を調整
した。
【0120】特公昭58−58288号に記載の混合撹
拌機を用いて、35℃に調整した下記溶液A1に硝酸銀
水溶液(1.161モル)と、臭化カリウムと沃化カリ
ウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位
(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電
極で測定)を0mVに保ちながら同時混合法により2分
を要して添加し、核形成を行った。続いて、60分の時
間を要して液温を60℃に上昇させ、炭酸ナトリウム水
溶液でpHを5.0に調整した後、硝酸銀水溶液(5.
902モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水
溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位を9mVに保
ちながら同時混合法により、42分を要して添加した。
添加終了後40℃に降温しながら、通常のフロキュレー
ション法を用いて直ちに脱塩、水洗を行った。
【0121】得られた種晶乳剤は、平均球換算直径が
0.24μm、平均アスペクト比が4.8、ハロゲン化
銀粒子の全投影面積の90%以上が最大辺長比率(各粒
子の最大辺長と最小辺長との比)が1.0〜2.0の六
角状の平板状粒子からなる乳剤であった。この乳剤を種
晶乳剤−1と称する。
【0122】 〔溶液A1〕 オセインゼラチン 24.2g 臭化カリウム 10.8g HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH (m+n=9.77)(10%エタノール溶液) 6.78ml 10%硝酸 114ml H2O 9657ml 《沃化銀微粒子乳剤SMC−1の調製》0.06モルの
沃化カリウムを含む6.0重量%のゼラチン水溶液5l
を激しく撹拌しながら、7.06モルの硝酸銀水溶液と
7.06モルの沃化カリウム水溶液、各々2lを10分
を要して添加した。この間pHは硝酸を用いて2.0
に、温度は40℃に制御した。粒子調製後に、炭酸ナト
リウム水溶液を用いてpHを5.0に調整した。得られ
た沃化銀微粒子の平均球換算粒径は0.05μmであっ
た。この乳剤をSMC−1とする。
【0123】(比較乳剤1−1の調製)0.178モル
相当の種晶乳剤−1とHO(CH2CH2O)m(CH
(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH(m+n
=9.77)の10%エタノール溶液0.5mlを含
む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを
75℃に保ち、pAgを8.4、pHを6.0に調製し
た後、激しく攪拌しながら同時混合法により以下の手順
で粒子形成を行なった。
【0124】1)2.077モルの硝酸銀水溶液と0.
218モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、
pAgを8.8、pHを6.0に保ちながら添加した。
【0125】2)続いて溶液を60℃に降温し、pAg
を9.8に調製した。その後、0.71モルのSMC−
1を添加し、2分間熟成を行なった。(転位線の導
入)。
【0126】3)0.91モルの硝酸銀水溶液と0.0
79モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、p
Agを9.8、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0127】得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1
辺長)0.65μm、平均アスペクト比6.5、粒子内
部からヨウ化銀含有率2/9.5/X/8.0モル%
(Xは転位線導入位置)のハロゲン組成を有する平板状
粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観
察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の
粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が
観察された。表面沃化銀含有率は、11.9モル%であ
った。
【0128】(比較乳剤1−2の調製)比較乳剤1−1
の調製の1)工程において、添加銀量の50%を添加し
た段階で、K4[Fe(CN)6]を水溶液で1×10-5
モル/モルAg添加した。この乳剤を比較乳剤1−2と
する。
【0129】(比較乳剤1−3の調製)比較乳剤1−1
の調製の1)工程において、添加銀量の50%を添加し
た段階で、K4[Ru(CN)6]を水溶液で1×10-5
モル/モルAg添加した。この乳剤を比較乳剤1−3と
する。
【0130】(比較乳剤1−4の調製)比較乳剤1−1
の調製の1)工程において、添加銀量の50%を添加し
た段階で、K3[Ir(CN)6]を水溶液で1×10-5
モル/モルAg添加した。この乳剤を比較乳剤1−4と
する。
【0131】(本発明の乳剤1−5〜1−13の調製)
比較乳剤1−2の調製の工程において、K4[Fe(C
N)6]の代わりに化合物I−10、I−11、I−1
2、I−17、I−21、I−24、I−27、I−2
8、I−29を1×10-5モル/モルAg添加した。こ
れらの乳剤を乳剤1−5〜1−13とする。
【0132】1−2〜1−13の乳剤の粒径、平均アス
ペクト比、ハロゲン組成、転位線、表面沃化銀含有率は
1−1とほぼ同等であった。
【0133】<増感>次に、上記乳剤1−1〜1−13
それぞれに、次に示す増感を施した。
【0134】ハロゲン化銀0.5モルを含む乳剤を40
℃で溶融し、分光増感色素1および色素2および色素3
を合計被覆率が約70%になるように1:1:1の割合
で添加した。その後、トリフォスフィンセレナイド、チ
オ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウムを
添加し、常法に従い、最適に化学増感を施した後、4−
ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラア
ザインデン(TAI)、1−フェニル−5−メルカプト
テトラゾール(PMT)を添加した。
【0135】
【化20】
【0136】<単層感材試料作製>増感が施された乳剤
1−1〜1−13を、灰色銀ハレーション防止層で被覆
した酢酸セルロースフィルム支持体にそれぞれ塗布し、
この乳剤層を、界面活性剤とビス(ビニルスルホニル)
メタン硬膜剤(ゼラチン総重量に対して1.75重量
%)とを含有する4.3g/m2ゼラチン層でオーバー
コートした。乳剤塗布量は0.646gAg/m2であ
り、この層には、カプラー1、界面活性剤およびゼラチ
ン総量1.08g/m2も含有させた。このようにし
て、乳剤1−1〜1−13に対してそれぞれ単層感材試
料101〜113を得た。
【0137】
【化21】
【0138】<評価>このようにして得られた試料10
1〜113を、それぞれ白色光にて0.01秒ウェッジ
露光し、以下の処理工程に従って発色現像した後、光学
濃度計(コニカ製PDA−65型)を用いて感度及びカ
ブリを測定した。試料101の感度を100としたとき
のそれぞれの相対感度、カブリ濃度を表1に示す。ま
た、各試料のドープ率はICP法及びICP−MS法に
より求めた。
【0139】ここでいうドープ率とは乳剤を溶解し、遠
心分離した後にゼラチン分解酵素(アクチナーゼ)溶液
でゼラチン分解し、遠心分離、純水洗浄を繰り返した後
のハロゲン化銀1モルに含有する錯体量を添加量で割っ
て100を掛けた値である。
【0140】 《処理》 処理工程 処理時間 処理温度 発色現像 2分50秒 38± 0.3℃ 漂 白 45秒 38± 2.0℃ 定 着 1分30秒 38± 2.0℃ 安 定 60秒 38± 5.0℃ 乾 燥 1分 55± 5.0℃ 発色現像液、漂白液、定着液、安定液は、以下のものを
使用した。
【0141】発色現像液 水 800cc 炭酸カリウム 30g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 亜硫酸カリウム 3.0g 臭化ナトリウム 1.3g 沃化カリウム 1.2mg ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 塩化ナトリウム 0.6g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 4.5g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%
硫酸を用いてpH10.06に調整する。
【0142】漂白液 水 700cc 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 40g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 40g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を
用いてpH4.4に調整する。
【0143】定着液 水 800cc チオシアン酸アンモニウム 120g チオ硫酸アンモニウム 150g 亜硫酸ナトリウム 15g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH6.2に調整後水
を加えて1リットルとする。
【0144】安定液 水 900cc パラオクチルフェニルポリオキシエチレンエーテル(n=10)2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5cc 水を加えて1リットルとした後、アンモニア水又は50
%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0145】
【表1】
【0146】表1を見ても明らかなように、ハロゲン化
銀への吸着基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯
体を添加した乳剤(乳剤1−5〜1−13)を用いた試
料105〜113はドープ率が非常に高く、感度が飛躍
的に向上していることがわかり、従来に無い高感度な写
真乳剤を得ることができた。
【0147】実施例2 (比較乳剤2−1の調製)比較乳剤1−1の調製の1)
工程において、添加銀量の50%を添加した段階で、F
e(CO)5を水溶液で1×10-5モル/モルAg添加
した。この乳剤を比較乳剤2−1とする。
【0148】(本発明の乳剤2−2〜2−4の調製)比
較乳剤1−2の調製の工程において、K4[Fe(C
N)6]の代わりに化合物II−14、I−53、II−6
6を1×10-5モル/モルAg添加した。これらの乳剤
を乳剤2−2〜2−4とする。
【0149】増感、単層感材試料作成および評価 上記乳剤2−1〜2−4について実施例1と同様に増
感、単層試料作製し、試料201〜204を得た。この
ようにして得られた試料201〜204について、実施
例1と同様に感度、カブリを測定した。実施例1で作製
した試料101の感度を100としたときのそれぞれの
相対感度、カブリ濃度を表2に示す。また、各試料のド
ープ率はICP法及びICP−MS法により求めた。
【0150】
【表2】
【0151】表2を見ても明らかなように、ハロゲン化
銀への吸着基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯
体を添加した乳剤(乳剤2−2〜2−4)を用いた試料
202〜204はドープ率が非常に高く、感度が飛躍的
に向上していることがわかり、従来に無い高感度な写真
乳剤を得ることができた。
【0152】実施例3 (比較乳剤3−1、3−2の調製)比較乳剤1−1の調
製の1)工程において、添加銀量の50%を消費した段
階で、K2[Pd(CN)4]、K2[Pt(CN)4]を
水溶液で1×10-5モル/モルAg添加した。この乳剤
を乳剤3−1、3−2とする。
【0153】(本発明の乳剤3−3〜3−8の調製)比
較乳剤1−2の調製の工程において、K[Fe(CN)
6]の代わりに化合物III−14、III−16、III−5
3、III−55、III−66、III−68を1×10- 5
ル/モルAg添加した。これらの乳剤を乳剤3−3〜3
−8とする。
【0154】<増感、単層感材試料作成および評価>上
記乳剤3−1〜3−8について実施例1と同様に増感、
単層試料作製し、試料301〜308を得た。このよう
にして得られた試料301〜308について、実施例1
と同様に感度、カブリを測定した。実施例1で作製した
試料101の感度を100としたときのそれぞれの相対
感度、カブリ濃度を表3に示す。また、各試料のドープ
率はICP法及びICP−MS法により求めた。
【0155】
【表3】
【0156】表3を見ても明らかなように、ハロゲン化
銀への吸着基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯
体を添加した乳剤(乳剤3−3〜3−8)を用いた試料
303〜308はドープ率が非常に高く、感度が飛躍的
に向上していることがわかり、従来に無い高感度な写真
乳剤を得ることができた。
【0157】実施例4 次に照度不軌改良の実施例を記す。
【0158】(比較乳剤4−1の調製)比較乳剤1−1
の調製の1)工程において、転移線導入後、K2IrC
6を水溶液で1×10-7モル/モルAg添加した。こ
の乳剤を乳剤4−1とする。
【0159】(本発明の乳剤4−2〜4−3の調製)乳
剤4−1の調製の工程において、K2IrCl6の代わり
に化合物I−8、I−25を1×10-7モル/モルAg
添加した。これらの乳剤を乳剤4−2〜4−3とする。
【0160】<増感、単層感材試料作成および評価>上
記乳剤4−1〜4−3について実施例1と同様に増感、
単層試料作製し、試料401〜403を得た。このよう
にして得られた試料401〜403について、実施例1
と同様に感度、カブリを測定し、表4記載の露光時間の
露光を与えた。実施例1で作製した試料101の感度を
100としたときのそれぞれの相対感度、カブリ濃度を
表4に示す。また、各試料のドープ率はICP法及びI
CP−MS法により求めた。
【0161】
【表4】
【0162】表4を見ても明らかなように、ハロゲン化
銀への吸着基を配位子の少なくとも一つに有する金属錯
体を添加した乳剤(乳剤4−2〜4−3)を用いた試料
402〜403はドープ率が非常に高く、高照度、低照
度不軌共に感度が飛躍的に向上していることがわかり、
従来に無い照度不軌改良効果のある写真乳剤を得ること
ができた。
【0163】実施例5 下引き層を施したトリアセチルセルロースフィルム支持
体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側から
形成して多層カラー写真感光材料試料501を作製し
た。
【0164】添加量は1m2当たりのグラム数で表す。
但し、ハロゲン化銀とコロイド銀は銀の量に換算し、増
感色素(SDで示す)は銀1モル当たりのモル数で示し
た。
【0165】 第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 0.16 UV−1 0.3 CM−1 0.123 CC−1 0.044 OIL−1 0.167 ゼラチン 1.33 第2層(中間層) AS−1 0.160 OIL−1 0.20 ゼラチン 0.69 第3層(低感度赤感色性層) 沃臭化銀a 0.20 沃臭化銀b 0.29 SD−6 2.37×10-5 SD−7 1.2×10-4 SD−8 2.4×10-4 SD−9 2.4×10−6 C−1 0.32 CC−1 0.038 OIL−2 0.28 AS−2 0.002 ゼラチン 0.73 第4層(中感度赤感色性層) 沃臭化銀c 0.10 沃臭化銀d 0.86 SD−6 4.5×10−5 SD−7 2.3×10-4 SD−8 4.5×10-4 C−2 0.52 CC−1 0.06 DI−1 0.047 OIL−2 0.46 AS−2 0.004 ゼラチン 1.30 第5層(高感度赤感色性層) 沃臭化銀c 0.13 沃臭化銀d 1.18 SD−6 3.0×10-5 SD−7 1.5×10-4 SD−8 3.0×10-4 C−2 0.047 C−3 0.09 CC−1 0.036 DI−1 0.024 OIL−2 0.27 AS−2 0.006 ゼラチン 1.28 第6層(中間層) OIL−1 0.29 AS−1 0.23 ゼラチン 1.00 第7層(低感度緑感色性層) 沃臭化銀a 0.19 沃臭化銀b 0.062 SD−9 3.6×10-4 SD−10 3.6×10-4 カプラー2 0.18 CM−1 0.033 OIL−1 0.22 AS−2 0.002 AS−3 0.05 ゼラチン 0.61 第8層(中間層) OIL−1 0.26 AS−1 0.054 ゼラチン 0.80 第9層(中感度緑感色性層) 沃臭化銀e 0.54 沃臭化銀f 0.54 SD−11 3.7×10-4 SD−12 7.4×10-5 SD−13 5.0×10-5 カプラー2 0.17 M−2 0.33 CM−1 0.024 CM−2 0.029 DI−2 0.024 DI−3 0.005 OIL−1 0.73 AS−3 0.035 AS−2 0.003 ゼラチン 1.80 第10層(高感度緑感色性層) 沃臭化銀f 1.19 SD−11 4.0×10-4 SD−12 8.0×10-5 SD−13 5.0×10-5 カプラー2 0.065 CM−2 0.026 CM−1 0.022 DI−3 0.003 DI−2 0.003 OIL−1 0.19 OIL−2 0.43 AS−3 0.017 AS−2 0.014 ゼラチン 1.23 第11層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 0.05 OIL−1 0.18 AS−1 0.16 ゼラチン 1.00 第12層(低感度青感色性層) 沃臭化銀b 0.22 沃臭化銀a 0.08 沃臭化銀h 0.09 SD−14 6.5×10-4 SD−15 2.5×10-4 カプラー1 0.77 DI−4 0.017 OIL−1 0.31 AS−2 0.002 ゼラチン 1.29 第13層(高感度青感色性層) 沃臭化銀h 0.41 沃臭化銀i 0.61 SD−14 4.4×10-4 SD−15 1.5×10-4 カプラー1 0.23 OIL−1 0.10 AS−2 0.004 ゼラチン 1.20 第14層(第1保護層) 沃臭化銀j 0.30 UV−1 0.055 UV−2 0.110 OIL−2 0.30 ゼラチン 1.32 第15層(第2保護層) PM−1 0.15 PM−2 0.04 WAX−1 0.02 D−1 0.001 ゼラチン 0.55 上記沃臭化銀の特徴を下記に表示する(平均粒径とは同
体積の立方体の一辺長)。
【0166】 乳剤No. 平均粒径(μm) 平均AgI量(mol%) 直径/厚み比 沃臭化銀a 0.30 2.0 1.0 b 0.40 8.0 1.4 c 0.60 7.0 3.1 d 0.74 7.0 5.0 e 0.60 7.0 4.1 f 0.65 8.7 6.5 h 0.65 8.0 1.4 i 1.00 8.0 2.0 j 0.05 2.0 1.0 なお、ハロゲン化銀粒子の形成例として、沃臭化銀d,
fの製造例を以下に示す。また、沃臭化銀j(以下、乳
剤jともいう)については特開平1−183417号、
同1−183644号、同1−183645号、同2−
166442号に関する記載を参考に作成した。
【0167】《沃臭化銀dの調製》0.178モル相当
の種晶乳剤−1とHO(CH2CH2O)m(CH(C
3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH(m+n=
9.77)の10%エタノール溶液0.5mlを含む、
4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75
℃に保ち、pAgを8.4、pHを5.0に調整した
後、激しく撹拌しながら同時混合法により以下の手順で
粒子形成を行った。
【0168】1) 3.093モルの硝酸銀水溶液と
0.287モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液
を、pAgを8.4、pHを5.0に保ちながら添加し
た。
【0169】2) 続いて溶液を60℃に降温し、pA
gを9.8に調製した。その後、0.071モルのSM
C−1を添加し、2分間熟成を行った(転位線の導
入)。
【0170】3) 0.959モルの硝酸銀水溶液と
0.03モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液
を、pAgを9.8、pHを5.0に保ちながら添加し
た。
【0171】尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生
成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な
速度で添加した。上記添加終了後に40℃で通常のフロ
キュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチ
ンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.8に
調整した。
【0172】得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1
辺長)0.74μm、平均アスペクト比5.0、粒子内
部からヨウ化銀含有率2/8.5/X/3モル%(Xは
転位線導入位置)のハロゲン組成を有する平板状粒子か
らなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察した
ところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の粒子に
フリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が観察さ
れた。表面沃化銀含有率は、6.7モル%であった。
【0173】《沃臭化銀fの調製》沃臭化銀dの調製に
おいて、1)の工程でpAgを8.8かつ、添加する硝
酸銀量を2.077モルSMC−1の量を0.218モ
ルとし、3)の工程で添加する硝酸銀量を0.91モ
ル、SMC−1の量を0.079モルとした以外は沃臭
化銀dと全く同様にして沃臭化銀fを調製した。
【0174】得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1
辺長)0.65μm、平均アスペクト比6.5、粒子内
部からヨウ化銀含有率2/9.5/X/8.0モル%
(Xは転位線導入位置)のハロゲン組成を有する平板状
粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観
察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の
粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が
観察された。表面沃化銀含有率は、11.9モル%であ
った。
【0175】上記各乳剤に前述の増感色素を添加、熟成
した後、トリフォスフィンセレナイド、チオ硫酸ナトリ
ウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウムを添加し、常法
に従い、かぶり、感度関係が最適になるように化学増感
を施した。
【0176】また、沃臭化銀a,b,c,e,h,iに
ついても、上記沃臭化銀d,fに準じて作製し、分光増
感、化学増感を施した。
【0177】尚、上記の組成物の他に、塗布助剤SU−
1、SU−2、SU−3、分散助剤SU−4、粘度調整
剤V−1、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤A
F−1、重量平均分子量:10,000及び重量平均分
子量:1,100,000の2種のポリビニルピロリド
ン(AF−2)、抑制剤AF−3、AF−4、AF−
5、硬膜剤H−1、H−2及び防腐剤Ase−1を添加
した。
【0178】上記試料に用いた化合物の構造を以下に示
す。
【0179】
【化22】
【0180】
【化23】
【0181】
【化24】
【0182】
【化25】
【0183】
【化26】
【0184】
【化27】
【0185】
【化28】
【0186】
【化29】
【0187】
【化30】
【0188】上記多層試料で第10層の沃臭化銀fを乳
剤1−9に置き換え、実施例1(但し発色現像時間は3
分15秒)と同様の評価を行なった。
【0189】本実施例4のような多層カラー感光材料に
おいても、本発明の効果は実施例1と同様に顕著である
ことを確認した。
【0190】
【発明の効果】以上の実施例において明らかなように、
本発明により高感度でかつ低カブリである乳剤及び/ま
たは照度不軌が改良された乳剤を得ることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少な
    くとも一つに有する金属錯体を含有することを特徴とす
    るハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀への吸着基を配位子の少な
    くとも一つに有する金属錯体を用いることを特徴とする
    ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記一般式(I)で表される金属錯体を
    含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 一般式(I) 〔An−M−X(6-n)〕Z 〔式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
    を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から6の整
    数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
    ってもよく、(6−n)が2以上の時は各Xは同じであ
    っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
    要なカウンターイオンを表す。〕
  4. 【請求項4】 下記一般式(I)で表わされる金属錯体
    を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造
    方法。 一般式(I) 〔An−M−X(6-n)〕Z 〔式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
    を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から6の整
    数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
    ってもよく、(6−n)が2以上の時は各Xは同じであ
    っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
    要なカウンターイオンを表す。〕
  5. 【請求項5】 下記一般式(II)で表される金属錯体を
    含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 一般式(II) 〔An−M−X(5-n)〕Z 〔式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
    を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から5の整
    数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
    ってもよく、(5−n)が2以上の時は各Xは同じであ
    っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
    要なカウンターイオンを表す。〕
  6. 【請求項6】 下記一般式(II)で表される金属錯体を
    用いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造方
    法。 一般式(II) 〔An−M−X(5-n)〕Z 〔式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
    を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から5の整
    数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
    ってもよく、(5−n)が2以上の時は各Xは同じであ
    っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
    要なカウンターイオンを表す。〕
  7. 【請求項7】 下記一般式(III)で表される金属錯体
    を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 一般式(III) 〔An−M−X(4-n)〕Z 〔式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
    を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から4の整
    数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
    ってもよく、(4−n)が2以上の時は各Xは同じであ
    っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
    要なカウンターイオンを表す。〕
  8. 【請求項8】 下記一般式(III)で表される金属錯体
    を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造
    方法。 一般式(III) 〔An−M−X(4-n)〕Z 〔式中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基を含む原子群
    を、Mは中心金属を、Xは配位子を、nは1から4の整
    数を表し、nが2以上の時は各Aは同じであっても異な
    ってもよく、(4−n)が2以上の時は各Xは同じであ
    っても異なっても良い。Zは錯体の電荷を中和するに必
    要なカウンターイオンを表す。〕
JP26382697A 1997-09-29 1997-09-29 ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3574989B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26382697A JP3574989B2 (ja) 1997-09-29 1997-09-29 ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26382697A JP3574989B2 (ja) 1997-09-29 1997-09-29 ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11102042A true JPH11102042A (ja) 1999-04-13
JP3574989B2 JP3574989B2 (ja) 2004-10-06

Family

ID=17394772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26382697A Expired - Fee Related JP3574989B2 (ja) 1997-09-29 1997-09-29 ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3574989B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6723496B2 (en) 2000-02-22 2004-04-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Silver halide photographic material
KR20140052512A (ko) * 2012-10-24 2014-05-07 엘지디스플레이 주식회사 청색 인광 화합물 및 이를 포함하는 유기전계발광소자

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6723496B2 (en) 2000-02-22 2004-04-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Silver halide photographic material
KR20140052512A (ko) * 2012-10-24 2014-05-07 엘지디스플레이 주식회사 청색 인광 화합물 및 이를 포함하는 유기전계발광소자

Also Published As

Publication number Publication date
JP3574989B2 (ja) 2004-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3574989B2 (ja) ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法
JPH10123641A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP3626337B2 (ja) ハロゲン化銀粒子及び写真感光材料並びにその製造方法
JP2744858B2 (ja) ハロゲン化銀写真乳剤およびこれを用いた感光材料
JP2000267215A (ja) ハロゲン化銀粒子
JPH0789205B2 (ja) ハロゲン化銀乳剤
JP2778853B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH11184036A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法
JP2929330B2 (ja) ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法
JP2778861B2 (ja) ハロゲン化銀写真用乳剤及び写真感光材料
JP2000305211A (ja) ハロゲン化銀乳剤、及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2000066325A (ja) ハロゲン化銀乳剤及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2000241925A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法および該乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料
JP3278227B2 (ja) ハロゲン化銀感光材料
JP4221860B2 (ja) ハロゲン化銀乳剤及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2691088B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP2704686B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料およびその製造方法
JP3637476B2 (ja) ハロゲン化銀写真乳剤
JP2000019673A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP2000081677A (ja) ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及びハロゲン化銀乳剤の製造方法
JPH11352619A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤及びその製造方法並びに写真感光材料
JPH0527353A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH11212203A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料及びハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及び還元増感方法
JPH04182635A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤、その製造方法及び同写真感光材料
JPH11202435A (ja) ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及びその乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Effective date: 20040128

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040316

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040625

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees