JPH1077360A - 熱線遮蔽用組成物および熱線遮蔽材 - Google Patents
熱線遮蔽用組成物および熱線遮蔽材Info
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Abstract
優れた熱線遮蔽用組成物および熱線遮蔽材を提供する。 【解決手段】 フタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線
吸収剤を含んでなる熱線遮蔽用組成物が、フタロシアニ
ン系赤外線吸収剤の10倍以上の重量の紫外線吸収剤を
含有する熱線遮蔽用組成物である。
Description
良好で、熱線の遮蔽性に優れ、かつ耐候性が著しく改善
された熱線遮蔽層を形成し得る熱線遮蔽用組成物に関す
るものであり、この組成物は、基材に塗布して熱線遮蔽
用のコーティング膜を形成したり、あるいは該組成物を
成形することにより熱線遮蔽材自体を製造することもで
きる。また本発明は、可視光線透過性が良好で、熱線の
遮蔽性に優れ、かつ耐候性が著しく改善された熱線遮蔽
材にも関するものであり、テニスコートやプールの屋根
材や壁材、アーケード、天井ドーム等の建材用途や、オ
フィス・店舗用、農業用、自動車用、窓用フィルムなど
に、板状、シート状、フィルム状等様々の形態として広
く活用し得るものである。
では、可視光線を充分に取り入れながら熱線を遮蔽し、
明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制する熱線遮蔽
材の需要が急増してきており、現に何種類かの熱線遮蔽
材が市販されている。
ィルムに金属粒子を蒸着した熱線反射フィルムを透明基
材と積層したもの等があるが、非常に高価であるばかり
でなく、概して透明基材と反射フィルムの接着性が良く
ないので、加工時に反射フィルムが剥離することがあ
り、また熱加工が困難であるため曲面を有する窓材等へ
の適用がむずかしい。さらに可視光透過能が不充分であ
るといった問題もある。一方、例えば特公昭43−25
335号公報等にみられるように、有機色素からなる赤
外線吸収剤を使用することによって、赤外線をカットす
るという熱線遮蔽材も提案されている。赤外線吸収剤を
使用した熱線遮蔽材は、透明感があり、加工性も良好で
ある。しかしながら、一般的な赤外線吸収剤として使用
される化合物は耐熱性が低く、熱線遮蔽材を樹脂素材で
製造するとき、200℃を超える温度に達すると、赤外
線吸収剤が分解してしまうという問題があった。
成形温度の低い透明樹脂に耐熱温度の低い赤外線吸収剤
を添加して、キャスト重合でフィルム状にし、予め成形
しておいた耐熱性のある樹脂板と熱ラミネートする方法
が提案されたが、製法が煩雑であり、低コスト化が困難
である。
として、本願出願人は、特開平7−173327号にお
いて、耐熱性が良好で汎用透明樹脂の成形温度でも分解
せず、しかも熱線吸収性能に優れたフタロシアニン化合
物を用いた熱線遮蔽材を提案した。この発明に係る熱線
遮蔽材は、成形可能であるため、安価に大量生産ができ
るという利点を有しているため、建材用途等にも広く利
用されている。
ング膜のように薄い場合、あるいは紫外線の透過率のよ
い樹脂を熱線遮蔽材用の基材として使用すると、耐候性
が不充分であり、屋外で使用すると熱線遮蔽性能が劣化
することがわかってきた。
事情に着目し、高い熱線遮蔽能を発揮すると共に、耐候
性に優れた熱線遮蔽用組成物および熱線遮蔽材を提供し
ようとするものである。
物は、フタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を
含んでなる熱線遮蔽用組成物が、フタロシアニン系赤外
線吸収剤の10倍以上の重量の紫外線吸収剤を含有する
ものであるところに要旨を有する。熱線遮蔽用組成物中
には、フタロシアニン系赤外線吸収剤が0.0005〜
9重量%含有されているものであることが好ましい。熱
線遮蔽用組成物がマトリックスとして透明性樹脂を含む
ことが好ましく、塗料のバインダーとして使用できる樹
脂、粘着剤あるいは接着剤として使用できる樹脂、また
は成形してフィルムあるいは板状の熱線遮蔽材として使
用できる樹脂等を用いることが推奨される。
の相溶性に優れている点で、フタロシアニン系赤外線吸
収剤が、下記一般式(I)で示される化合物であること
も本発明の好ましい実施態様である。
ハロゲン原子、−SR1 または−OR2 を表し、Yは−
NHR3 、−SR4 または−OR5 を表し、R1 、R
2 、R 4 、R5 はそれぞれ独立して、置換基を有してい
てもよいフェニル基または炭素原子数1〜20個のアル
キル基を表し、R3 は置換基を有していてもよいフェニ
ル基または炭素原子数1〜8個のアルキル基を表し、a
は1〜4の整数、bは0〜4の整数、かつaとbの合計
が1以上4以下の整数であり、Mは無金属、金属、金属
酸化物または金属ハロゲン化物を表す。)。
る熱線遮蔽層を有する熱線遮蔽材、すなわち熱線遮蔽層
をコーティング層または粘着剤層として基材に積層した
形態の熱線遮蔽材が含まれる。
ニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤のいずれか一方もし
くは両方が含まれている層が2以上の個別の層として存
在しており、紫外線吸収剤を含む層が他の層より熱線の
入側に存在する熱線遮蔽材も本発明に含まれる。この場
合、公知のクリア層等が最表(最下)層や層間に存在し
ていてもよい。要するに、熱線遮蔽材の熱線の入側に
は、必ず紫外線吸収剤を含む層(紫外線吸収剤のみを含
む層あるいは紫外線吸収剤とフタロシアニン系赤外線吸
収剤の両方を含む層がある)を設け、フタロシアニン系
赤外線吸収剤を含む他の層はこれより下側(熱線の出
側)に設けることにより、効果的に耐候性を向上させる
ための構成である。
吸収剤と紫外線吸収剤のいずれか一方もしくは両方が含
まれている層が2以上の個別の層として存在しており、
熱線の入側からの投影面積中の重量で、すなわち熱線遮
蔽材の熱線通過経路において、該経路中に含まれる紫外
線吸収剤の量が、フタロシアニン系赤外線吸収剤の量の
10倍以上である熱線遮蔽材も、本発明の範囲に含まれ
るものとする。紫外線吸収剤の含まれていない層が、各
層の間、または最表(または下)層に存在していてもよ
いが、熱線遮蔽材の熱線の入側から出側に向けて紫外線
吸収剤量が段階的にまたは連続的に減少するように各層
が設けられていると、耐候性向上に効果的である。本発
明の熱線遮蔽材では、フタロシアニン系赤外線吸収剤の
量は、熱線の入側からの投影面積中の重量で、0.06
〜2.4g/m2 とすることが推奨される。
性の向上を目指して検討し、厚さ数ミリといった比較的
厚板の熱線遮蔽材において耐候性促進試験を行った場合
には良好な結果が得られても、500μm以下のフィル
ム状の熱線遮蔽材や、コーティング膜レベルの厚さであ
る数十μmの熱線遮蔽層を設けた熱線遮蔽材にすると同
組成であっても性能が劣化してしまうことを把握した。
そしてさらに検討を続けた結果、フタロシアニン系赤外
線吸収剤と紫外線吸収剤を特定比率で熱線遮蔽材中に存
在させることによって、耐候性が著しく改善されること
を見出し、本発明を完成させたものである。
て説明する。本発明の熱線遮蔽用組成物は、必須成分と
してフタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を含
有し、かつ、紫外線吸収剤の含有量がフタロシアニン系
赤外線吸収剤の量の10倍(重量)以上であるところに
最大のポイントを有する。フタロシアニン系赤外線吸収
剤に対して、紫外線吸収剤が10倍未満では、耐候性の
改善効果が認められず、本発明の課題を達成することが
できない。紫外線吸収剤の上限は特に限定されないが、
あまり多すぎても耐候性改善効果が飽和してしまうの
で、100倍以下にすることが推奨される。
中0.0005〜9重量%とすることが熱線遮蔽のため
に適切な量である。より好ましいフタロシアニン系赤外
線吸収剤の濃度は、0.0015〜5重量%である。紫
外線吸収剤は、フタロシアニン系赤外線吸収剤の量に応
じて適宜変更すべきであり、組成物中の赤外線吸収剤が
多いときは紫外線吸収剤を10倍量とし、赤外線吸収剤
の量が少ないときは紫外線吸収剤をより多くすることが
好ましい。
mの紫外線を吸収することができれば特に限定はされな
い。具体的には、2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベン
ゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−
3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−(2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、2,2’
−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラチルブ
チル)]−6−(2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾ
トリアゾール系;フェニルサリシレート等のサリチル酸
系;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフ
ェニルアクリレート等のシアノアクリレート系等の紫外
線吸収剤が挙げられ、これらのうち1種または2種以上
を混合して使用することができる。反応性のある紫外線
吸収剤を、後述する透明性樹脂の高分子主鎖に共重合や
側鎖反応で組み込んでもよい。また、液状の紫外線吸収
剤を使用すると熱線遮蔽用組成物を製造するときに均一
に混合でき、大量に配合することも可能である。紫外線
吸収剤と共に、HALSとして知られるヒンダードアミ
ン系光安定剤を併用することも耐候性向上に効果的であ
る。
良好な耐熱性および熱線遮蔽性を示すフタロシアニン構
造を有するものが利用可能であるが、置換基を有するフ
タロシアニン系赤外線吸収剤が、特に種々の樹脂に対し
て相溶性がよいことから好ましい。中でも、下記一般式
(I)で示される化合物が、樹脂への相溶性が良好なた
め好ましく利用できる。
ハロゲン原子、−SR1 または−OR2 を表し、Yは−
NHR3 、−SR4 または−OR5 を表し、R1 、R
2 、R 4 、R5 はそれぞれ独立して、置換基を有してい
てもよいフェニル基または炭素原子数1〜20個のアル
キル基を表し、R3 は置換基を有していてもよいフェニ
ル基または炭素原子数1〜8個のアルキル基を表し、a
は1〜4の整数、bは0〜4の整数、かつaとbの合計
が1以上4以下の整数であり、Mは無金属、金属、金属
酸化物または金属ハロゲン化物を表す。)。
としては、フッ素、塩素、臭素原子等が挙げられ、これ
らハロゲン原子の中でもフッ素原子が、透明性樹脂との
相溶性向上のために好ましい。
チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、t−ブチル、直鎖または分鎖のペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等であり、炭素原子
数1〜20個のアルキル基とはこれらの他に、ノニル、
デシル、ドデシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデ
シル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オ
クタデシル、ノイデシル、エイコシル等が挙げられる。
原子数1〜4個のアルキル基で1〜3個置換されたフェ
ニル基、炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で1〜2個
置換されたフェニル基、あるいは塩素、フッ素等のハロ
ゲン原子で1〜5個置換されたフェニル基等が挙げられ
る。
コバルト、ニッケル、鉄、バナジウム、チタン、インジ
ウム、錫等の金属、これらのフッ化物、塩化物、臭化
物、ヨウ化物等の金属ハロゲン化物、または酸化物を示
す。またMが「無金属」とは、金属以外の原子、例えば
2個の水素原子であることを意味する。Mとしては、
銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニ
ル、クロロインジウム、ジクロロ錫が好ましく、なかで
も銅、亜鉛、コバルト、バナジル、ジクロロ錫が最も好
ましい。
有していてもよいフェニルアミノ基またはアルキルアミ
ノ基を表し、−NHR3 はフタロシアニン骨格に4〜8
個導入するのが好ましい。残位には、−SR1 で表さ
れる置換基を有していてもよいフェニルチオ基もしくは
アルキルチオ基、−OR2 で表されてる置換基を有し
ていてもよいフェニルオキシ基もしくはアルキルオキシ
基、水素原子、およびハロゲン原子、から選ばれた
置換基が導入される。これらの置換基の中でも、の置
換基を有していてもよいフェニルチオ基、アルキルチオ
基か、の置換基を有していてもよいフェニルオキシ
基、アルキルオキシ基か、の中のフッ素原子が好まし
いものとして挙げられる。
SR1 で表される置換基を有していてもよいフェニルチ
オ基もしくはアルキルチオ基、−OR2 で表されてる
置換基を有していてもよいフェニルオキシ基もしくはア
ルキルオキシ基、水素原子、およびハロゲン原子、
から選ばれた置換基を、フタロシアニン骨格に4〜16
個導入することが好ましい。これらの置換基の中でも、
の置換基を有していてもよいフェニルチオ基、アルキ
ルチオ基か、の置換基を有していてもよいフェニルオ
キシ基、アルキルオキシ基か、の中のフッ素原子が好
ましいものとして挙げられる。
たは2種類以上を混合して使用することも可能であり、
吸収波長の異なるものを2種以上混合すると、熱線遮蔽
効果が向上することがある。また本発明の熱線遮蔽用組
成物には、必要に応じてカーボンブラックを添加しても
よい。フタロシアニン系化合物と熱線遮蔽性能を有する
カーボンブラックを併用することによって熱線遮蔽効果
が向上するので、フタロシアニン系化合物の使用量を半
分以下に低減させることもできる。また、染料とフタロ
シアニン系化合物の併用も可能であるが、熱線遮蔽性能
向上効果は、カーボンブラックの方が優れている。
シアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を必須成分とす
るものであるが、この組成物を利用して熱線遮蔽層を作
る場合、あるいは組成物を成形することによりフィルム
または板状等の熱線遮蔽材を製造する場合のいずれにお
いても、組成物がマトリックスとして透明性樹脂を含む
ことが好ましい。熱線遮蔽層とするときには、熱線遮蔽
用組成物を粘着剤層または接着剤層として熱線遮蔽材に
設けて、他の部材に貼付して使用できるようにしたパタ
ーンや、熱線遮蔽材用の基材に熱線遮蔽用組成物を塗布
して乾燥・硬化させるパターン等があり、用途に応じ
て、適切な樹脂を選択するとよい。
線遮蔽層を設ける場合には、組成物の主成分を、天然ゴ
ムやSBR、NR、IR等のゴム系、SIS、SIBS
等のホットメルト系、ポリアクリル酸エステル等のアク
リル系、ポリ酢酸ビニル系、ポリウレタン系、メラミン
樹脂系、ユリア樹脂系、オレフィン樹脂系等公知の接着
性のある透明な樹脂を主成分とすることができる。
合には、組成物の主成分を、ポリメチルメタクリレート
等のアクリル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカ
ーボネート、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂や、
ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、
ポリウレタン等の熱硬化性樹脂等の透明な樹脂が選択で
きる。好ましいものは、ポリカーボネート、飽和ポリエ
ステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン等
である。
も、これらの樹脂をバインダーとして用いることができ
る。なお、粘着剤層または接着剤層や硬化塗膜として熱
線遮蔽層を設ける場合には、基材として、上記成形可能
な樹脂として例示したものからなるフィルム、平板、波
板等や、板ガラス等を選択すればよい。
脂と共に、これらの樹脂の用途に応じて必要とされる公
知の各種添加剤、例えば、粘着付与剤、架橋剤、可塑
剤、難燃剤、酸化防止剤、強化繊維、充填剤、増容剤、
着色剤、帯電防止剤、離型剤等を加えてもよい。
蔽材を製造するには、押出し成形、射出成形、注型重
合、種々の方法が採用できる。また、熱線遮蔽用組成物
を熱線遮蔽材用基材にコーティングするときは、ロール
コーティング法、ディッピング法、スプレーコーティン
グ法、刷毛塗り法等が挙げられる。熱線遮蔽層を予めフ
ィルム等にコーティングして予め製造した後、熱線遮蔽
材用基材に積層(ホットラミネート、接着、プレス等)
する方法や、共押出し法(コエクストルージョン法)を
採用して熱線遮蔽材を製造してもよい。なお熱線遮蔽層
もしくは熱線遮蔽材において、熱線の入側から出側に向
かって、フタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤
の濃度勾配を付けてもよい。
タロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤の両者が含
まれている組成物を用いて熱線遮蔽材を製造する場合に
ついて説明を行ったが、本発明には、フタロシアニン系
赤外線吸収剤と紫外線吸収剤のいずれか一方または両方
を含む層が2以上の個別の層として存在している熱線遮
蔽材も含まれる。
ニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を併用することによ
って、熱線遮蔽材の耐候性を著しく改善することにある
ので、フタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸収剤の
いずれか一方または両方を含む層が2以上の個別の層と
して存在していてもよいのである。
と紫外線吸収剤のいずれか一方または両方を含む層が2
以上の個別の層として存在している熱線遮蔽材」とは、
フタロシアニン系赤外線吸収剤のみを含有する層、紫外
線吸収剤のみを含有する層、両者を含有する層、のうち
2以上が別々の層として存在している熱線遮蔽材であ
る。この場合、公知のクリア層等が最表(最下)層や層
間に存在することを妨げない。フタロシアニン系赤外線
吸収剤と紫外線吸収剤を共に含む層として、混合比が異
なる2以上の層を設けることもできる。
して、紫外線吸収剤を含む層が他の層より熱線の入側に
存在する熱線遮蔽材が挙げられる。熱線遮蔽材の熱線の
入側には、必ず紫外線吸収剤を含む層(紫外線吸収剤の
みを含む層あるいは紫外線吸収剤とフタロシアニン系赤
外線吸収剤の両方を含む層がある)を設け、フタロシア
ニン系赤外線吸収剤を含む他の層はこれより下側(熱線
の出側)に設けることにより、効果的に耐候性を向上さ
せることができる。
から出側(表層から下層)にかけて、紫外線吸収剤量が
段階的にまたは連続的に減少するように各層を積層する
ことが好ましい。なお、クリア層等の紫外線吸収剤やフ
タロシアニン系赤外線吸収剤のどちらも含まない層は、
「段階的または連続的に減少する」というときには考慮
しない。紫外線吸収剤のみを含む(または多く含む)層
が熱線遮蔽材の最も熱戦の入側に設けられることが好ま
しい。例えば、フタロシアニン系赤外線吸収剤のみをP
%(層中の重量比率)含有する層(A層とする)、紫外
線吸収剤のみがX%含まれる層(B層とする)、両者を
含有し、紫外線吸収剤がY%(X>Y)、フタロシアニ
ン系赤外線吸収剤がQ%含まれる層(C層とする)を積
層して熱線遮蔽材を製造するときには、B−C−Aの順
で積層すると、より効果的に耐候性を向上させることが
できる。そして、B−C−Aの各層に含まれる紫外線吸
収剤の量(X+Y)が、フタロシアニン系赤外線吸収剤
の総量(P+Q)の10倍以上であれば、耐候性の良好
な本発明に係る熱線遮蔽材となるのである。ただし、こ
の順に積層されていなくても、熱線の入側からの投影面
積中の重量で、紫外線吸収剤の量がフタロシアニン系赤
外線吸収剤の10倍以上存在していれば、従来のものに
比べ耐候性が改善されるため、やはり本発明の熱線遮蔽
材に含まれる。
最も一般的な平板状やフィルム状のほか波板状、球面
状、ドーム状等様々な形状のものが包含される。熱線の
入側からの投影面積中の重量とは、熱線遮蔽材の任意の
領域において光が入射して透過する際に投影される経路
に存在する各吸収剤の総量を意味し、入射側からの任意
の熱線通過経路における各吸収剤の総量ということもで
きる。本発明の熱線遮蔽材では、熱線の入側からの投影
面積中、フタロシアニン系赤外線吸収剤の量が0.06
〜2.4g/m2 であることが好ましく、この範囲であ
れば、熱線遮蔽材の厚みにかかわらず、良好な熱線遮蔽
効果を発現させることができる。より好ましい範囲は、
0.1〜1.2g/m2 である。
材中、マトリックスである透明性樹脂に対して、フタロ
シアニン系赤外線吸収剤が0.0005〜9重量%の範
囲であれば熱線遮蔽効果が発現する。目的とする可視お
よび近赤外域の透過率の設定および熱線遮蔽材の所望厚
みに応じて、フタロシアニン系赤外線吸収剤の量を適宜
変更することが推奨される。例えば、厚みが0.5mm
以下の比較的薄型の熱線遮蔽材では、充分な熱線遮蔽効
果を上げるためには、フタロシアニン系赤外線吸収剤を
0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜5重量
%存在させるとよい。例えば熱線遮蔽材の厚みが0.5
mmのときのフタロシアニン系赤外線吸収剤の最適濃度
は、0.01〜0.4重量%、より好ましくは0.03
〜0.2重量%である。
えば厚さ100μmのものでは、フタロシアニン系赤外
線吸収剤を0.05〜2重量%、より好ましくは0.1
5〜1重量%とし、厚さ10μmの熱線遮蔽材(もしく
は層)の場合には、0.5〜9重量%、より好ましい濃
度は1.5〜5重量%である。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲
で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それ
らはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、
「部」、「%」とあるのは特に言及しない限り重量基準
である。
し、3,6−オクタフルオロ−(4,5−オクタキスア
ニリノ)オキシバナジウムフタロシアニン(以下赤外線
吸収剤1とする。)を0.1部と、紫外線吸収剤として
「チヌビン234」(チバガイギー社製;2−[2−ヒ
ドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)
フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール)を1.0部添
加して均一に分散させた。樹脂溶液を型に流し込み、溶
媒が揮発するまで静置して、厚み0.13mmの熱線遮
蔽フィルムを得た。
線吸収剤の濃度、熱線遮蔽フィルムの厚みを変えた以外
は実施例1と同様にして熱線遮蔽フィルムを得た。な
お、表中の赤外線吸収剤の濃度(g/m2 )は、ポリカ
ーボネートの比重を1.2として計算した数値である。
ィルムの初期の分光光度(透過率)および耐候促進試験
を24時間および48時間行った後の分光光度は、島津
製作所社製の「UV−3100PC」を使用し、JIS
R 3106に準拠して測定した。耐候促進試験は、
アイスーパーUVテスター(岩崎電気製)を用いて、紫
外線照射強度90mW/cm2 、湿度50%、ブラック
パネル温度63℃の条件で行った。初期および24時間
後の分光チャートを図1〜4に示した。なお、図中、実
線が初期の透過率、破線が耐候促進試験24時間後の透
過率であり、実施例5および比較例5のチャートは省略
した。
(%)を算出した。すなわち、各フィルムの赤外線の吸
収のピークの波長の透過率の初期値をTB 、耐候促進試
験24時間後の透過率をT24としたときの24時間後の
保持率(%)は(100−T24)/(100−TB )×
100と、同様に耐候促進試験48時間後の透過率をT
48とすると48時間後の保持率(%)は、(100−T
48)/(100−TB )×100として表す。
のデータを表1に示した。なお、表1における赤外線吸
収剤1〜3は下記の通りである。 赤外線吸収剤1(フタロシアニン系) 3,6−オクタフルオロ−(4,5−オクタキスアニリ
ノ)オキシバナジウムフタロシアニン 赤外線吸収剤2 2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジイリデン−ビ
ス[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)アン
モニウム)]ビス(ヘキサフルオロアンチモネート) 赤外線吸収剤3 N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N−
[4−{N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)
アミノ}フェニル]−アミニウムヘキサフルオロアンチ
モネート
アニン系赤外線吸収剤(赤外線吸収剤の1)を用い、か
つ赤外線吸収剤の10倍量以上の紫外線吸収剤を使用し
た本発明実施例のものは、いずれも耐候促進試験24時
間後や48時間後においても高い保持率を示し、優れた
熱線吸収能を長時間に亙って保持し得ることが確認され
た。しかし、紫外線吸収剤を併用しなかった比較例1、
あるいは5倍量の紫外線吸収剤を用いている比較例2
は、保持率が実施例より低く、耐候性が劣っている。ま
た、フタロシアニン系ではない赤外線吸収剤(2および
3)を用いると、紫外線吸収剤を用いない比較例3では
耐候性が極めて悪く、紫外線吸収剤を用いても(比較例
4および5)、耐候性が不充分であることが明らかであ
る。
0.5mm以下といった薄い熱線遮蔽材であっても、熱
線遮蔽材中にフタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線吸
収剤を共存させることによって、特に赤外線吸収剤の1
0倍量以上の紫外線吸収剤を共存させることによって、
長時間熱線遮蔽効果を保持することができるようにな
り、耐候性に優れた熱線遮蔽材を提供し得ることになっ
た。
ィルムの初期の分光光度(透過率)および耐候促進試験
24時間後の分光光度のチャートである。
ィルムの初期の分光光度(透過率)および耐候促進試験
24時間後の分光光度のチャートである。
ィルムの初期の分光光度(透過率)および耐候促進試験
24時間後の分光光度のチャートである。
ィルムの初期の分光光度(透過率)および耐候促進試験
24時間後の分光光度のチャートである。
Claims (8)
- 【請求項1】 フタロシアニン系赤外線吸収剤と紫外線
吸収剤を含んでなる熱線遮蔽用組成物が、フタロシアニ
ン系赤外線吸収剤の10倍以上の重量の紫外線吸収剤を
含有するものであることを特徴とする熱線遮蔽用組成
物。 - 【請求項2】 熱線遮蔽用組成物中には、フタロシアニ
ン系赤外線吸収剤が0.0005〜9重量%含有されて
いるものである請求項1に記載の熱線遮蔽用組成物。 - 【請求項3】 熱線遮蔽用組成物が、マトリックスとし
て透明性樹脂を含むものである請求項1または2に記載
の熱線遮蔽用組成物。 - 【請求項4】 フタロシアニン系赤外線吸収剤が、下記
一般式(I)で示される化合物である請求項1〜3のい
ずれかに記載の熱線遮蔽用組成物。 【化1】 (ただし、式中、Xは独立して水素原子、ハロゲン原
子、−SR1 または−OR2 を表し、Yは−NHR3 、
−SR4 または−OR5 を表し、R1 、R2 、R 4 、R
5 はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェ
ニル基または炭素原子数1〜20個のアルキル基を表
し、R3 は置換基を有していてもよいフェニル基または
炭素原子数1〜8個のアルキル基を表し、aは1〜4の
整数、bは0〜4の整数、かつaとbの合計が1以上4
以下の整数であり、Mは無金属、金属、金属酸化物また
は金属ハロゲン化物を表す。) - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の熱線遮
蔽用組成物からなる熱線遮蔽層を有することを特徴とす
る熱線遮蔽材。 - 【請求項6】 熱線遮蔽材中に、フタロシアニン系赤外
線吸収剤と紫外線吸収剤のいずれか一方もしくは両方が
含まれている層が2以上の個別の層として存在してお
り、紫外線吸収剤を含む層が他の層より熱線の入側に存
在することを特徴とする熱線遮蔽材。 - 【請求項7】 熱線遮蔽材中に、フタロシアニン系赤外
線吸収剤と紫外線吸収剤のいずれか一方もしくは両方が
含まれている層が2以上の個別の層として存在してお
り、熱線の入側からの投影面積中の重量で、紫外線吸収
剤の量がフタロシアニン系赤外線吸収剤の量の10倍以
上であることを特徴とする熱線遮蔽材。 - 【請求項8】 フタロシアニン系赤外線吸収剤の量が、
熱線の入側からの投影面積中の重量で0.06〜2.4
g/m2 である請求項5〜7のいずれかに記載の熱線遮
蔽材。
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