JPH1062620A - 近赤外線吸収フィルター - Google Patents

近赤外線吸収フィルター

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Publication number
JPH1062620A
JPH1062620A JP21383796A JP21383796A JPH1062620A JP H1062620 A JPH1062620 A JP H1062620A JP 21383796 A JP21383796 A JP 21383796A JP 21383796 A JP21383796 A JP 21383796A JP H1062620 A JPH1062620 A JP H1062620A
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JP
Japan
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atom
group
ultraviolet
carbon atoms
filter
Prior art date
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Application number
JP21383796A
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English (en)
Inventor
Tatsu Oi
龍 大井
Yoriaki Matsuzaki
▲頼▼明 松▲崎▼
Kazuhiro Kiyono
和浩 清野
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 一般式1〜3のニッケル錯体化合物の1
種以上を含有する樹脂層と、紫外線カット層とを有する
近赤外線吸収フィルター。 【効果】 耐光性が向上し、ニッケル錯体化合物の優れ
た熱線吸収性能を活かす実用的な熱線吸収フィルターが
できる。 〔A〜Aは独立に水素、ハロゲン、R〜Rは独
立にC1〜8のアルキル基、C6〜10のアリール基、
は窒素、リンを表す〕 〔A〜A20は独立に水素、ハロゲン、R〜R
独立にC1〜8のアルキル基、C6〜10のアリール
基、Xは窒素、リン、Yは酸素、硫黄を表す〕 〔B〜B20は独立に水素、ハロゲン、C1〜5のア
ルコキシ基、C6〜10のアリールオキシ基、総C6〜
16のアルキルアミノを表す〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル錯体化合
物を含有してなる耐光性および熱線吸収性能に優れた実
用的な近赤外線吸収フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】近赤外線吸収フィルターは、建造物、
車、電車、船舶あるいは航空機等の窓材として、外部か
らの熱線を遮断し、室内、車内の温度上昇を抑えるため
に用いることができる。また、特定波長領域をカットす
ることで、光質選択利用農業用フィルムとして植物育成
の制御、半導体受光素子の赤外線カット、有害な赤外線
を含む光線から人間の目を保護する眼鏡等へも利用でき
る。これらの中でも、特に熱線遮断を目的とする熱線吸
収フィルターは、省エネルギーに寄与するため、注目さ
れている分野である。具体的には、ポリエチレンテレフ
タレート等をベースとした熱線吸収フィルムは、建造
物、車、電車、船舶、航空機等の窓に張り付けることで
熱線遮断機能を付加することができる。また、ポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート等をベースとした
熱線吸収板は、天窓、店舗ルーフ、アーケード、バス停
留所の屋根、鉄道駅の屋根、駐車場の屋根等のエクステ
リア向けに利用できる。
【0003】熱線遮断を目的とする窓材として、PET
フィルムやガラス上に酸化インジュウム、酸化錫等の金
属酸化物と、金、銀等の金属を、交互に積層した熱線反
射フィルターが知られている。しかし、このフィルター
は、複雑な製造工程故に製品コストが高いという欠点が
あり、また、電波障害の原因ともなる。さらにまた、金
属イオンをガラス中に分散した熱線吸収ガラスも知られ
ているが、コスト面等で問題が多い。これらの無機型熱
線反射フィルターと比較して、近赤外線吸収色素を使っ
た熱線吸収フィルターは、製造が簡便で、かつ、電波障
害の問題がないため、応用分野が広く、市場ニーズも大
きい。しかしながら、色素のコストおよび耐久性(特に
光に対する安定性)の問題で普及が進んでいないのが現
状である。
【0004】近赤外線を吸収する有機色素としては、従
来、シアニン色素が良く知られている。しかし、シアニ
ン色素は耐光堅牢性が極めて低いので、太陽光が直接当
たるような熱線吸収用途には不向きである。また、アミ
ニュウム塩タイプの化合物は1000nm付近の光をよ
く吸収し、熱線吸収色素としては高性能であるが、耐光
性の面では不十分である。これに対し、フタロシアニン
系の色素は、高耐光性の色素として知られている。しか
し、吸収波長が600〜800nmと短く、熱線吸収剤
としての性能は不十分である。800nm以上を吸収で
きる高耐光性のフタロシアニンも知られているが、可視
領域の吸収が大きいため、それらを使った熱線吸収フィ
ルターは可視透過率が低く、用途が制限される。
【0005】一方、ニッケル錯体化合物は、これまで知
られている近赤外線吸収色素と比べて、可視領域の吸収
が小さく、800nm以上の熱線をよく吸収することが
知られている。また、ニッケル錯体化合物は、耐光性に
おいて、フタロシアニン系には劣るものの、シアニンや
アミニュウム化合物よりは優れており、樹脂に練り込め
るなど加工性も良いことも知られている。しかし、ニッ
ケル錯体化合物をそのまま練り込んで熱線吸収フィルタ
ーを作った場合、数ヶ月の寿命は得られるものの、なお
実用的ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高耐
光性を有し、優れた熱線吸収性能を有する実用的な近赤
外線吸収フィルターを簡便に提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、ニッケル錯体化合
物を含有する樹脂フィルターに、紫外線カット層を設け
ることにより、該樹脂フィルターの耐光性が飛躍的に向
上することを見出し、本発明を完成するに到った。すな
わち、本発明は、(1) 下記一般式(1)(化4)、一般
式(2)(化5)および一般式(3)(化6)で表され
るニッケル錯体化合物を少なくとも1種含有する樹脂層
と、紫外線カット層とを有してなる近赤外線吸収フィル
ターに関するものである。
【0008】
【化4】 〔式中、A1 〜A8 は各々独立に、水素原子あるいはハ
ロゲン原子を表し、R1〜R4 は各々独立に炭素数1〜
8のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基を
表し、X1 は窒素原子またはリン原子を表す〕
【0009】
【化5】 〔式中、A9 〜A20は各々独立に、水素原子あるいはハ
ロゲン原子を表し、R5〜R8 は各々独立に炭素数1〜
8のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基を
表し、X2 は窒素原子またはリン原子を表し、Yは酸素
原子あるいは硫黄原子を表す〕
【0010】
【化6】 〔式中、B1 〜B20は各々独立に、水素原子、ハロゲン
原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10の
アリールオキシ基、総炭素数1〜16のアルキルアミノ
基を表す〕
【0011】また、本発明は、(2) 紫外線カット層が、
350nmの波長を80%以上カットするものである前
記(1) の近赤外線吸収フィルター、(3) 樹脂層が、ポリ
メチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレ
ンテレフタレートまたはポリスチレンのいずれかを基材
樹脂とするものである前記(1) または(2) の近赤外線吸
収フィルター、(4) ポリカーボネートを基材樹脂とする
樹脂層と、紫外線吸収剤を含有するポリメチルメタクリ
レートフィルムである紫外線カット層とを張り合わせて
得られる前記(3) の近赤外線吸収フィルター、(5) 紫外
線カット層が、紫外線吸収剤を含有する接着層あるいは
粘着層である前記(1) 〜(3) のいずれかの近赤外線吸収
フィルター、(6) 樹脂層が、ポリエチレンテレフタレー
トを基材樹脂とするものである前記(5) の近赤外線吸収
フィルター、(7) 前記(1) 〜(6) のいずれかの近赤外線
吸収フィルターの少なくとも片面に、ハードコート層を
設けたハードコート付き近赤外線吸収フィルター、(8)
ハードコート層が金属微粒子を含む赤外線カット能を有
するものである前記(7) のハードコート付き近赤外線吸
収フィルター、(9) 前記(1) 〜(8) の近赤外線吸収フィ
ルターをガラスに貼りつけて得られる近赤外線吸収ガラ
ス、および、(10)該ガラスが自動車、電車、船舶、ある
いは航空機の窓ガラスである前記(9) の近赤外線吸収ガ
ラス、に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明の近赤外線吸収フィルターは、前記一般
式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される
ニッケル錯体化合物を少なくとも1種含有する樹脂層
と、紫外線カット層とを有することを特徴とするもので
ある。本発明の近赤外線吸収フィルターは、例えば、
ニッケル錯体化合物を含有するポリカーボネート板の表
面に、紫外線吸収剤を含有するアクリルフィルムを張り
合わせたもの、ニッケル錯体化合物を含有するポリエ
チレンテレフタレートフィルムに接着層あるいは粘着層
を設け、この接着層あるいは粘着層に紫外線吸収剤を仕
込んで接着層あるいは粘着層と紫外線吸収層を兼ねさせ
たもの、等の形態をとることにより、簡便に、実用的な
近赤外線吸収フィルターとすることができる。更に、本
発明の近赤外線吸収フィルターは、近赤外線吸収フィ
ルター上に、ハードコート層を設けたもの、そのハー
ドコート層に赤外線カット能を有する金属微粒子を添加
したもの、等の形態とすることで、更に優れた実用的な
近赤外線吸収フィルターにすることができる。
【0013】本発明で用いる上記ニッケル錯体化合物
中、一般式(1)および(2)におけるA1 〜A20、R
1 〜R8 で表される置換基について以下に具体的に記載
する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、沃素原子が挙げられる。炭素数1〜8のアル
キル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペ
ンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基、n−ヘキシ
ル基、1,3−ジメチル−ブチル基、1,2−ジメチル
ブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル
基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル
基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、フェネチル
基、等が挙げられる。また、炭素数6〜10のアリール
基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−
メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル
基、等が挙げられる。
【0014】一般式(3)におけるB1 〜B20で表され
る置換基について以下に具体的に記載する。ハロゲン原
子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原
子が挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基として
は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、is
o−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ
基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、is
o−ペンチルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜10
のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、2−メチ
ルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチル
フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。総炭素数
1〜16のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ
基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、iso−
プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ
基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルア
ミノ基、ノニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチル
アミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ
基、ジ−iso−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルア
ミノ基、ジ−iso−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチ
ルアミノ基、ジ−iso−ペンチルアミノ基、ジ−n−
ヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n
−オクチルアミノ基、ジ−(2−エチルヘキシル)アミ
ノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0015】本発明の近赤外線吸収フィルターにおい
て、樹脂層は、基材樹脂中に、前記一般式(1)、一般
式(2)および一般式(3)で表されるニッケル錯体化
合物を少なくとも1種含有するものである。本発明の樹
脂層とは、ニッケル錯体化合物を含有する基材樹脂から
なる樹脂成形体や樹脂フィルムは勿論、他の透明な成形
体の表面にニッケル錯体化合物を含有する基材樹脂を塗
布したもの、等を意味する。基材樹脂としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、メラミン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカー
ボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタ
クリレート、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体等の樹脂が挙げられる。
【0016】樹脂層の作製方法としては、用いる基材樹
脂によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なる
が、通常、 ニッケル錯体化合物を、基材樹脂の粉体或いはペレッ
トに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、
押し出し成形して厚さ0.1mm〜2cmの板にする方
法、 の方法で得られた押し出し成形板を原反とし、30
〜120℃で、2〜5倍に、1軸乃至は2軸に延伸して
10〜200μm厚のフィルムにする方法、 ニッケル錯体化合物を、通常の方法でインキ化して、
既存の透明樹脂体(例えば、成形体、フィルム)上に、
コーティングする方法、等が挙げられる。
【0017】いずれの方法においても、混練あるいはイ
ンキ化する際に、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤
等、通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えてもよい。ま
た、好みの色に仕上げるために、赤色、緑色、青色等の
色素を加えて調色してもよい。また、一般式(1)〜
(3)で表されるニッケル錯体化合物は、数種類組み合
わせて用いても、他の種類の近赤外線吸収色素を加えて
用いてもよい。ニッケル錯体化合物の添加量は、作製す
る樹脂の厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等
によって異なるが、通常、樹脂層に対し、1ppm〜2
0%である。本発明の樹脂層において、好ましい基材樹
脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネ
ート、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリスチレ
ンであり、また、樹脂層の作製方法として好ましいの
は、上記のあるいはの混練法である。
【0018】本発明の近赤外線吸収フィルターにおい
て、紫外線カット層としては、400nm以下の波長の
紫外線を効率よくカットできるものであり、350nm
の波長の光を80%以上カットできることが好ましい。
紫外線カット層は特に制限されないが、好ましくは紫外
線カット剤を含有する樹脂フィルム(紫外線カットフィ
ルム)が好ましい。本発明で用いる紫外線カット剤とし
ては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、
通常、樹脂に有機系の紫外線吸収剤を添加したものが実
用的である。有機系の紫外線吸収剤としては、300〜
400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率
よくカットするものであり、ベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸
エステル系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収
剤、オギザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、ヒ
ンダートアミン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0019】具体的には、チバガイギー(株)のチヌビ
ンP、チヌビン120、213、234、320、32
6、327、328、329、384、400、57
1、シプロ化成(株)のシーソルブ100、101、1
01S、102、103、501、201、202、6
12NH、大塚化学(株)のRUVA93、30M、30S、
BASF(株)のユービナール3039、等が挙げられ
る。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよいが、
数種類組み合わせて用いることは、より好ましい方法で
ある。また、上記の紫外線吸収剤と、ヒンダートアミン
系光安定剤、あるいは酸化防止剤をブレンドすることで
安定性が向上できる場合もある。ブレンド系光安定剤と
しては、チバガイギー(株)のチヌビンB75、783
FB、111FB、791FB等が使用できる。また、
紫外線を吸収して可視領域に波長変換するチバガイギー
(株)のユービテックスOB、OB−P等の蛍光増白剤
も利用できる。
【0020】紫外線カット剤を含有する樹脂フィルム
(紫外線カットフィルム)は、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メラミン、ポ
リウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ
ビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の
樹脂をベースに、上記の紫外線吸収剤を添加して作製で
きる。紫外線カットフィルムの作製方法は、溶融/押し
出し法、溶融/押し出し/延伸法、キャスト法、カレン
ダー法、コーティング法等、一般的方法が利用できる。
紫外線カットフィルムの厚みは、5μm〜1mm程度で
ある。紫外線吸収剤の添加量は、樹脂の厚み、目的の吸
収強度、等によって異なるが、通常、フィルムの10p
pm〜30%である。
【0021】また、本発明の近赤外線吸収フィルターに
おいては、接着剤あるいは粘着剤に紫外線カット剤を混
入させて、紫外線カット層として用いることもできる。
この際、接着層、粘着層に用いられる基材樹脂は特に限
定されないが、アクリル酸エステル系共重合体系、塩ビ
系、エポキシ系、変性エポキシ系、シアノアクリレート
系、ウレタン系、スチレンアクリル系、クロロプレンゴ
ム系、酢酸ビニル系、エチレン/酢ビ系、変性酢ビ系、
ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、E
VA系、変性アクリル系、あるいはその他のエマルジョ
ン系等が挙げられる。この場合、紫外線カット剤の添加
量は、紫外線カット剤の種類等によって一様ではない
が、通常、基材樹脂の0.1〜30%である。接着層あ
るいは粘着層の厚みは1〜50μmである。これらの接
着あるいは粘着組成物中には、接着性向上剤、ウレタン
系やエポキシ系等の架橋剤等、通常の接着あるいは粘着
剤に含有される添加剤を加えることが好ましい。
【0022】本発明の近赤外線吸収フィルターは、一般
式(1)〜(3)で表されるニッケル錯体化合物を含有
する樹脂層と紫外線カット層とを有するものである。本
発明の近赤外線吸収フィルターは、例えば、紫外線カッ
トフィルムを、別途作製したニッケル錯体化合物を含有
する樹脂層に、熱ラミネート法、接着剤あるいは粘着剤
を使って貼り合わせることによって製造することができ
る。また、紫外線カット剤を含有するインキを作製し、
ニッケル錯体化合物を含有する樹脂層に、直接コーティ
ングして紫外線カット層を作製することによっても製造
できる。また、接着剤あるいは粘着剤に紫外線カット剤
を混入させて、ニッケル錯体化合物を含有する樹脂層上
に、紫外線カット接着層あるいは粘着層を形成すること
で実用的な近赤外線吸収フィルターとすることもでき
る。実際には、上記紫外線カット剤を含有する接着ある
いは粘着組成物を、溶媒中に分散あるいは溶解させてイ
ンキとし、ニッケル錯体化合物を含有する樹脂層上にコ
ーティングした後、溶媒を留去して接着層あるいは粘着
層を形成する。
【0023】本願の近赤外線吸収フィルターの形態の中
でより好ましく、かつ実用的なものは、ニッケル錯体
化合物を10ppm〜1%含有したポリカーボネートを
溶融/押し出し成形にて0.1〜10mmの厚みの板を
作製し、紫外線カット剤を0.1〜20%含有する厚さ
5〜300μmのポリメチルメタクリレートフィルムを
熱ラミネートして接着したもの、 ニッケル錯体化合物を0.01〜5%含有した樹脂を
溶融/押し出し成形後、2軸延伸して10〜300μm
の厚みのフィルムを作製し、その片面に紫外線カット剤
を0.1〜20%含有する厚さ1〜20μmの接着ある
いは粘着層を設けたものである。の場合、ニッケル錯
体化合物を含有させる樹脂として特に好ましいものはポ
リエチレンテレフタレートである。
【0024】本願発明の近赤外線吸収フィルターは、必
要に応じて、少なくとも片面にハードコート層をもうけ
ることができる。ハードコート剤は特に限定されない
が、ポリシラザン等の無機系のハードコート剤、メラミ
ン系の熱硬化型あるいはアクリル系の紫外線硬化型等の
有機系ハードコート剤が使用できる。近赤外線吸収フィ
ルター上に、バーコーター、ブレードコーター、スピン
コーター、ダイコーター、あるいはスプレー等でコーテ
ィングした後、硬化させることで、0.5〜20μmの
ハードコート層をもうけることができる。更にハードコ
ート層に、赤外線を吸収あるいは反射できる無機金属化
合物を含有させることで1000nm付近以上の波長領
域の熱線をカットでき、更に優れた近赤外線吸収フィル
ターとすることができる。
【0025】無機金属化合物としては、含有させること
で可視領域の透過性を大きく阻害することなく、100
0nm付近以上の波長領域をカットできるものであれば
特に限定されないが、例えば、金属銅あるいは硫化銅等
の銅塩、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングス
テン化合物、YbPO4 、ITO(錫ドープ酸化インジ
ウム)、ATO(錫ドープ酸化アンチモン)等の微粒化
物が挙げられる。それらの平均粒径は1μm以下、好ま
しくは0.2μm以下、更に好ましくは0.1μm以下
であり、それら単独で加えることもできるし、2種以上
の金属化合物を混合することもできる。金属化合物のハ
ードコート剤への添加量は作製するハードコート層の厚
み、使用する金属、目的の吸収強度によって異なるが、
通常、不揮発分中1〜90%である。
【0026】以上のようにして作製された近赤外線吸収
フィルターは、熱線カット機能を有し、窓材として用い
ることができる。1mm以上の厚みを持つ板であれば、
天窓、店舗ルーフ、アーケード、バス停留所の屋根、鉄
道の屋根、駐車場の屋根等のエクステリア向けに、ある
いは車のサンルーフや、車、電車、船舶、航空機等の樹
脂代替可能な窓、農業用ハウスの材料にそのまま用いる
ことができる。また、1mm以下のフィルムは、ガラス
あるいは樹脂板に貼り付けることで、夏季における室内
の温度上昇を抑え、省エネルギーに貢献する優れた熱線
カットガラスあるいは熱線カット樹脂板とすることがで
きる。該フィルムの接着層あるいは粘着層が紫外線を有
する紫外線カット層を共用していれば、簡便に、自動
車、電車、船舶あるいは航空機の窓ガラスに貼ることが
でき、実用的な近赤外線吸収フィルターとなる。本発明
の近赤外線吸収フィルターは、紫外線カット層を設ける
ことで、従来、近赤外線吸収性能は優れているが、耐光
性が不十分であったニッケル錯体化合物の耐光性を飛躍
的に向上させるものであり、極めて実用的なフィルター
である。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明する。本発明はこれによりなんら制限されるものでは
ない。 実施例1 (紫外線カット層の作製)ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤、チヌビン234〔チバガイギー(株)製〕20
0g、およびシアノ酢酸系紫外線吸収剤のユービナール
3039〔BASF(株)製〕200gとを、ポリエチ
レンテレフタレートペレット1203〔ユニチカ(株)
製〕10kgと混合し、260〜280℃で溶融させ、
押し出し機で、厚み100μmのフィルムを作製した。
その後、このフィルムを2軸延伸して、厚み25μmの
紫外線カットPETフィルム(紫外線カットフィルム
A)を作製した。 (ニッケル錯体化合物含有樹脂層の作製)次に、下記式
(4)(化7)で示されるニッケル錯体化合物1.0g
およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)〔デルペッ
ト80N、旭化成工業(株)製〕10kgを280℃で
溶融混練して、押し出し成型機を用いて、厚み2mmの
ニッケル錯体化合物含有樹脂層を作製した(ニッケル錯
体化合物含有樹脂層A)。この樹脂層について、(株)
島津製作所製分光光度計UV−3100にて透過率を測
定した。可視光線透過率(Tv)は74.2%、日射透
過率(Te)は64.2%(JIS−R−3106に従
って計算した)であった。更に該樹脂層について、10
00時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験
を行ったところ、Tv=84.0%、Te=79.9%
であり、色素の大部分が分解し、熱線カット効果の低下
が著しかった。
【0028】
【化7】 (近赤外線吸収フィルターの作製)上記紫外線カットフ
ィルムA上に、粘着剤〔SKダイン2066/L−45
/C−50/E−5XM混合物(重量比99.10/
0.65/0.06/0.18)(綜研化学(株)
製)〕をトルエンで2倍に希釈した後に、ロールコータ
ーにて塗布後、90℃で4分間加熱乾燥し、粘着層を作
製した。これを、上記ニッケル錯体化合物含有樹脂層A
の片面に貼り付けて近赤外線吸収フィルターを作製し
た。該フィルターについて、(株)島津製作所製分光光
度計UV−3100にて透過率を測定した。可視光線透
過率(Tv)は73.5%、日射透過率(Te)は6
3.2%(JIS−R−3106に従って計算した)で
あった。更に該フィルターについて、1000時間のカ
ーボンアーク灯(63℃)による耐光試験(紫外線カッ
トフィルターの側から光照射)を行ったところ、Tv=
74.0%、Te=63.9%であり、色素の劣化によ
る性能低下はほとんど見られなかった。
【0029】実施例2 (紫外線カット層の作製)ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤、チヌビンP〔チバガイギー(株)製〕100
g、およびシアノ酢酸系紫外線吸収剤のユービナール3
039〔BASF(株)製〕100gとを、ポリメタク
リル酸メチル(PMMA)〔デルペット80N、旭化成
工業(株)製〕10kgと混合し、260〜280℃で
溶融させ、押し出し機で厚み200μmのフィルムを作
製した。その後、このフィルムを2軸延伸して、厚み5
0μmの紫外線カットアクリルフィルム(紫外線カット
フィルムB)を作製した。 (ニッケル錯体化合物含有樹脂層の作製)下記式(5)
(化8)で示されるニッケル錯体化合物4.0g、チヌ
ビン329〔チバガイギー(株)製〕100g、シーソ
ルブ501〔シプロ化成(株)製〕100gおよびポリ
カーボネート〔パンライトK−1300Z(帝人(株)
製〕10kgを260〜280℃で溶融混練して、押し
出し成型機を用いて、厚み2mmのニッケル錯体化合物
含有樹脂層を作製した(ニッケル錯体化合物含有樹脂層
B)。実施例1と同様にTvおよびTeを測定したとこ
ろ、それぞれ、63.5%、57.2%であった。更に
該樹脂層について、1000時間のカーボンアーク灯
(63℃)による耐光試験を行ったところ、Tv=7
4.0%、Te=69.9%であり、色素の大部分が分
解し、熱線カット効果の低下が著しかった。
【0030】
【化8】 (近赤外線吸収フィルターの作製)上記紫外線カットフ
ィルムBおよび上記ニッケル錯体化合物含有樹脂層Bを
熱ラミネートして、近赤外線吸収フィルターを作製し
た。該フィルターについて、実施例1と同様にTvおよ
びTeを測定したところ、それぞれ、61.3%、5
5.2%であった。更に該フィルターについて、100
0時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験
(紫外線カットフィルターの側から光照射)を行ったと
ころ、Tv=61.0%、Te=55.9%であり、色
素の劣化による性能低下はほとんど見られなかった。
【0031】実施例3 (ニッケル錯体化合物含有樹脂層の作製)実施例2で使
用したニッケル錯体化合物(5)50g、ベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤、チヌビン234〔チバガイギー
(株)製〕200g、およびシアノ酢酸系紫外線吸収剤
のユービナール3039〔BASF(株)製〕200g
とを、ポリエチレンテレフタレートペレット1203
〔ユニチカ(株)製〕10kgと混合し、260〜28
0℃で溶融させ、押し出し機で厚み100μmのフィル
ムを作製した。その後、このフィルムを2軸延伸して、
厚み25μmのニッケル錯体化合物含有樹脂層を作製し
た(ニッケル錯体化合物含有樹脂層C)。実施例1と同
様にTvおよびTeを測定したところ、それぞれ、7
9.2%、68.4%であった。更に該樹脂層につい
て、1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による
耐光試験を行ったところ、Tv=84.0%、Te=7
9.3%であり、色素の大部分が分解し熱線カット効果
の低下が著しかった。 (近赤外線吸収フィルターの作製)実施例1で作製した
紫外線カットフィルムAと上記のニッケル錯体化合物含
有樹脂層Cを、実施例1と同様に粘着剤で貼り付けて、
近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターにつ
いて、実施例1と同様にTvおよびTeを測定したとこ
ろ、それぞれ、78.6%、68.2%であった。更に
該フィルターについて、1000時間のカーボンアーク
灯(63℃)による耐光試験(紫外線カットフィルター
の側から光照射)を行ったところ、Tv=79.5%、
Te=69.9%であり、色素の劣化による性能低下は
ほとんど見られなかった。
【0032】実施例4 (ニッケル錯体化合物含有樹脂層の作製)下記式(6)
(化9)で示されるニッケル錯体化合物50g、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビンP〔チバガイギ
ー(株)製〕300gとを、ポリメタクリル酸メチル
(PMMA)〔デルペット80N、旭化成工業(株)
製〕10kgと混合し、260〜280℃で溶融させ、
押し出し機で厚み200μmのフィルムを作製した。そ
の後、このフィルムを2軸延伸して、厚み50μmのニ
ッケル錯体化合物含有樹脂層を作製した(ニッケル錯体
化合物含有樹脂層D)。実施例1と同様にTvおよびT
eを測定したところ、それぞれ、71.2%、60.9
%であった。更に該樹脂層を、1000時間のカーボン
アーク灯(63℃)による耐光試験を行ったところ、T
v=82.0%、Te=73.3%であり、色素の大部
分が分解し、熱線カット効果の低下が著しかった。
【0033】
【化9】 (近赤外線吸収フィルターの作製)実施例2で作製した
紫外線カットフィルムBと、上記のニッケル錯体化合物
含有樹脂層Dを、熱ラミネートして近赤外線吸収フィル
ターを作製した。該フィルターについて、実施例1と同
様にTvおよびTeを測定したところ、それぞれ、7
0.5%、59.1%であった。更に該フィルターを、
1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光
試験(紫外線カットフィルターの側から光照射)を行っ
たところ、Tv=72.0%、Te=61.9%であ
り、色素の劣化による性能低下は小さかった。
【0034】実施例5 (ニッケル錯体化合物含有樹脂層の作製)下記式(7)
(化10)で示されるニッケル錯体化合物50g、赤色
色素PS−RED G〔三井東圧染料(株)製〕1.5
g、チヌビン329〔チバガイギー(株)製〕100
g、シーソルブ501〔シプロ化成(株)製〕100g
およびポリカーボネート〔パンライトK−1300Z
(帝人(株)製〕10kgを260〜280℃で溶融混
練して、押し出し成型機を用いて、厚み300μmのフ
ィルムを作製した後、このフィルムを2軸延伸して厚み
100μmのニッケル錯体化合物含有樹脂層を作製した
(ニッケル錯体化合物含有樹脂層E)。実施例1と同様
にTvおよびTeを測定したところ、それぞれ、63.
7%、59.1%であった。更に該樹脂層を、1000
時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行
ったところ、Tv=71.0%、Te=66.9%であ
り、色素の大部分が分解し、熱線カット効果の低下が著
しかった。
【0035】
【化10】 (近赤外線吸収フィルターの作製)実施例2で作製した
紫外線カットフィルムBと、上記のニッケル錯体化合物
含有樹脂層Eを、熱ラミネートして近赤外線吸収フィル
ターを作製した。該フィルターについて、実施例1と同
様にTvおよびTeを測定したところ、それぞれ、6
1.2%、55.3%であった。更に該フィルターを、
1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光
試験(紫外線カットフィルターの側から光照射)を行っ
たところ、Tv=62.0%、Te=57.7%であ
り、色素の劣化による性能低下はほとんど見られなかっ
た。
【0036】実施例6 (ニッケル錯体化合物含有樹脂層の作製)次に下記式
(8)(化11)で示されるニッケル錯体化合物5g、
チヌビンP〔チバガイギー(株)製〕100g、および
ユービナール3039〔BASF(株)製〕100gと
を、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)〔デルペット
80N、旭化成工業(株)製〕10kgを280℃で溶
融混練して、押し出し成型機を用いて、厚み3mmのニ
ッケル錯体化合物含有樹脂層を作製した(ニッケル錯体
化合物含有樹脂層F)。実施例1と同様にTvおよびT
eを測定したところ、それぞれ、48.8%、41.2
%であった。更に該樹脂層を、1000時間のカーボン
アーク灯(63℃)による耐光試験を行ったところ、T
v=62.0%、Te=57.2%であり、色素の大部
分が分解し、熱線カット効果の低下が著しかった。
【0037】
【化11】 (近赤外線吸収フィルターの作製)実施例2で作製した
紫外線カットフィルムBと、上記のニッケル錯体化合物
含有樹脂層Fを、熱ラミネートして近赤外線吸収フィル
ターを作製した。該フィルターについて、実施例1と同
様にTvおよびTeを測定したところ、それぞれ、4
8.1%、40.8%であった。更に該フィルターを、
1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光
試験(紫外線カットフィルターの側から光照射)を行っ
たところ、Tv=49.0%、Te=42.3%であ
り、色素の劣化による性能低下はほとんど見られなかっ
た。
【0038】実施例7 ニッケル錯体化合物(8)を10g用いる代わりに、下
記式(9)(化12)で示されるニッケル錯体化合物を
3g用いた以外は、実施例6と全く同様に近赤外線吸収
フィルターの作製を行った。該フィルターについて、実
施例1と同様に1000時間のカーボンアーク灯(63
℃)による耐光試験(紫外線カットフィルターの側から
光照射)を行ったところ、TvおよびTeの変化は2%
以下であり、色素の劣化による性能低下はほとんど見ら
れなかった。
【0039】
【化12】
【0040】実施例8 ハードコート剤〔SF―C―329ハードクリアー(大
日本インキ化学工業(株)製)〕100gに、硬化剤
〔SPハードナーB(大日本インキ化学工業(株)
製)〕5g、チヌビン328〔チバガイギー(株)製〕
10gを混合し、紫外線カット剤含有インキを作製し
た。該インキを実施例3で作製したニッケル錯体化合物
含有樹脂層C上に、ロールコーターにて塗布後、150
℃で1分間加熱し、近赤外線吸収フィルターを作製し
た。該フィルターについて、実施例1と同様に1000
時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験(紫
外線カットフィルターの側から光照射)を行ったとこ
ろ、TvおよびTeの変化は2%以下であり、色素の劣
化による性能低下はほとんど見られなかった。
【0041】実施例9 粘着剤〔SKダイン2066/L−45/C−50/E
−5XM混合物(重量比99.10/0.65/0.0
6/0.18)〔綜研化学(株)製)〕100g、紫外
線吸収剤TU−100〔綜研化学(株)製〕10g、ト
ルエン100gを混合し、紫外線吸収剤含有粘着インキ
を作製した。該粘着インキを実施例3で作製したニッケ
ル錯体化合物含有樹脂層C上に、ロールコーターにて塗
布後、90℃で4分間加熱乾燥し、粘着層を有する近赤
外線吸収フィルターを作製した。該フィルターを厚さ3
mmのフロートガラス上に貼り付けた。該フィルターに
ついて、実施例1と同様に1000時間のカーボンアー
ク灯(63℃)による耐光試験(ガラス側から光照射)
を行ったところ、TvおよびTeの変化は2%以下であ
り、色素の劣化による性能低下は、ほとんど見られなか
った。
【0042】実施例10 ハードコート剤〔SF―C―329ハードクリアー(大
日本インキ化学工業(株)製)〕100gに硬化剤〔S
PハードナーB(大日本インキ化学工業(株)製)〕5
gを混合し、ハードコート用インキを作製した。該イン
キを実施例3で作製したニッケル錯体化合物含有樹脂層
C上に、ロールコーターにて塗布後、150℃で1分間
加熱しハードコート付き樹脂層を作製した。更に該樹脂
層のハードコート処理をしていない面に、実施例9と同
様に紫外線吸収剤入り粘着層を形成させ、ハードコート
および粘着層を有する近赤外線吸収フィルターを作製し
た。該フィルターを厚さ3mmのフロートガラス上に貼
り付けた。該フィルターについて、実施例1と同様に1
000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試
験(ガラス側から光照射)を行ったところ、Tvおよび
Teの変化は2%以下であり、色素の劣化による性能低
下は、ほとんど見られなかった。
【0043】実施例11 無機系赤外線カットハードコート剤、SH−11〔住友
大阪セメント(株)製〕を実施例3で作製したニッケル
錯体化合物含有樹脂層C上に、ロールコーターにて塗布
後、UV硬化させ、金属微粒子を含むハードコート付き
樹脂フィルターを作製した。更に該樹脂フィルターのハ
ードコート処理をしていない面に、実施例9と同様に紫
外線吸収剤入り粘着層を形成させ、金属微粒子を含むハ
ードコートおよび粘着層を有する近赤外線吸収フィルタ
ーを作製した。該フィルターを厚さ3mmのフロートガ
ラス上に貼り付けた。該フィルター付きガラスについ
て、実施例1と同様にTvおよびTeを測定したとこ
ろ、それぞれ、70.6%、41.2%であった。更に
該フィルターを、1000時間のカーボンアーク灯(6
3℃)による耐光試験(ガラス側から光照射)を行った
ところ、Tv=71.0%、Te=42.9%であり、
色素の劣化による性能低下はほとんど見られなかった。
【0044】実施例12 実施例10で作製した近赤外線吸収フィルターを建物の
南向きの窓に貼って、窓から10cm離れたブラックパ
ネルの温度を測定したところ、昼間の直射日光が当たる
時間帯では、該フィルターを貼らない窓の場合に比べ
て、温度が5度低かった。 実施例13 実施例10で作製した近赤外線吸収フィルターを自動車
のサイドガラス及びリアガラスに貼り付けた。真夏日に
おける車内温度が、フィルターを貼らないときに比べ
て、5℃低く、冷房をかけた際の付加が小さかった。
【0045】
【発明の効果】本願発明の近赤外線吸収フィルターは、
ニッケル錯体化合物を含有する樹脂層の太陽光が直接当
たるであろう少なくとも片面に紫外線カット層をもうけ
ることで、耐光性が飛躍的に向上し、ニッケル錯体化合
物の優れた熱線吸収性能をうまく活かすことができる実
用的な熱線吸収フィルターである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)(化1)、一般式
    (2)(化2)および一般式(3)(化3)で表される
    ニッケル錯体化合物を少なくとも1種含有する樹脂層
    と、紫外線カット層とを有してなる近赤外線吸収フィル
    ター。 【化1】 〔式中、A1 〜A8 は各々独立に、水素原子あるいはハ
    ロゲン原子を表し、R1〜R4 は各々独立に炭素数1〜
    8のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基を
    表し、X1 は窒素原子またはリン原子を表す〕 【化2】 〔式中、A9 〜A20は各々独立に、水素原子あるいはハ
    ロゲン原子を表し、R5〜R8 は各々独立に炭素数1〜
    8のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基を
    表し、X2 は窒素原子またはリン原子を表し、Yは酸素
    原子あるいは硫黄原子を表す〕 【化3】 〔式中、B1 〜B20は各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10の
    アリールオキシ基、総炭素数1〜16のアルキルアミノ
    基を表す〕
  2. 【請求項2】 紫外線カット層が、350nmの波長を
    80%以上カットするものである請求項1記載の近赤外
    線吸収フィルター。
  3. 【請求項3】 樹脂層が、ポリメチルメタクリレート、
    ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたは
    ポリスチレンのいずれかを基材樹脂とするものである請
    求項1または2記載の近赤外線吸収フィルター。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネートを基材樹脂とする樹脂
    層と、紫外線吸収剤を含有するポリメチルメタクリレー
    トフィルムである紫外線カット層とを張り合わせて得ら
    れる請求項3記載の近赤外線吸収フィルター。
  5. 【請求項5】 紫外線カット層が、紫外線吸収剤を含有
    する接着層あるいは粘着層である請求項1〜3のいずれ
    かに記載の近赤外線吸収フィルター。
  6. 【請求項6】 樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート
    を基材樹脂とするものである請求項5記載の近赤外線吸
    収フィルター。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の近赤外
    線吸収フィルターの少なくとも片面にハードコート層を
    設けることを特徴とするハードコート付き近赤外線吸収
    フィルター。
  8. 【請求項8】 ハードコート層が金属微粒子を含む赤外
    線カット能を有するものである請求項7記載のハードコ
    ート付き近赤外線吸収フィルター。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8記載の近赤外線吸収フィル
    ターをガラスに貼りつけて得られる近赤外線吸収ガラ
    ス。
  10. 【請求項10】 ガラスが、自動車、電車、船舶または
    航空機の窓ガラスである請求項9記載の近赤外線吸収ガ
    ラス。
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