【発明の詳細な説明】
抗炎症化合物
発明の分野
本発明は医薬組成物およびその哺乳動物における抗炎症剤としての使用に関す
る。
発明の背景
ほとんどの炎症細胞の免疫学的活性化および他の刺激に対する応答における初
期の事象は、新しく形成された生成物(メディエイタ)の放出であり、これは周
りの細胞および組織の機能および生化学を変更する。炎症およびアレルギーの原
因となる生物学的応答ならびに病原性の多くは、これらの新しく形成されたメデ
ィエイタの炎症性領域内の隣接する細胞に与える影響に依存すると考えられる。
過去20年に、脂質メディエイタは炎症性反応中に生じる最も有効かつ重要な
生成物であることが明らかになった。ほとんどの脂質メディエイタの合成は、そ
のsn−2位にアラキドネートを含有する複合燐脂質分子の特異的開裂により開
始される。アラキドン酸は、トランスアシラーゼによる再配分後の燐脂質のsn
−2位に優勢的に見いだされ、その燐脂質からのsn−2アシルヒドロラーゼに
よる放出がエイコサノイド(ロイコトリエン、プロスタグランジンおよびトロン
ボキサン)および他のヒドロキシル化脂肪酸の形成における律速段階に相当する
。アラキドン酸が放出されると、これは少なくとも2つの酵素系(リポキシゲナ
ーゼおよび/またはシクロオキシゲナーゼ)により酸素化誘導体に変換される。
アラキドネート放出に付随して、リソ燐脂質が形成される。ついで、これらのリ
ソ燐脂質のうちの1つの1−アルキル−2−リソ−sn−グリセロ−2−ホスホ
コリンをアセチル化し、血小板活性化因子(PAF)を形成する。炎症応答に関
与する細胞型は、各々、脂質メディエイタの独特なサブセットを産生および分泌
する。代謝物の量および性質はどの酵素および前駆体燐脂質プールが炎症性細胞
に
利用可能であるかに依存する。
一旦、PAFおよびエイコサノイドなどの脂質メディエイタが前記経路により
形成されると、これらは種々の炎症性障害の病理発生において観察される徴候お
よび症状を誘発する。実際、アラキドン酸(およびその代謝物)の病態生理学的
活性は当業者には周知である。例えば、これらのメディエイタは、アレルギー、
喘息、アナフィラキシー、成人呼吸窮迫症候群、再灌流損傷、炎症性腸管疾患、
慢性関節リウマチ、内毒素ショック、および心血管障害において重要な役割を果
たすことで管よしている。アールモン(Aalmon)ら、ブリティッシュ・メディ
カル・ビュレティン(Br.Med.Bull)(1978)43:285−296;パ
イパー(Piper)ら、アニュアル・ニューヨーク・アカデミック・サイエンス(
Ann.NY Acad.Sci)(1991)629:112−119;ホルツマン(Ho
ltzman)、アメリカン・レビュー・オブ・レスピレイトリー・ディジーズ(Am.
Rev.Respir.Dis)(1991)143:188−203;スニダー(Snyder
)、アメリカン・ジャーナル・オブ・セル・フィジオロジー(Am.J.Physiol.
Cell Physiol.)(1990)259:C697−C708;プレスコット(
Prescott)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.
Chem.)(1990)265:17381−17384。
アラキドネート生成物と同様に、PAFは種々の細胞により産生される有効な
プロ炎症メディエイタである。in vitroでは、PAFは好中球の動きおよび凝集
ならびに組織破壊酵素および酸素ラジカルのそこからの放出を刺激する。PAF
はまた白血球、単球およびマクロファージの活性化に関与する。これらの活性は
、炎症およびアレルギー応答における(病理学的)生理学的活性を有するのでP
AFの作用に寄与する。PAFはまた平滑筋収縮、痛み、浮腫、低圧作用、血管
透過性の増加、心血管障害、喘息、肺水腫、内毒素ショック、および成人呼吸窮
迫症候群にも関与する。PAFはこれらの応答をそれ自身の細胞受容体を通して
直接または他のメディエイタの合成を誘発することにより間接的に惹起する。
したがって、遊離アラキドン酸、その代謝物またはPAFの産生を拮抗する方
法は、種々のアレルギー性、炎症性および過分泌状態、たとえば喘息、関節炎、
鼻炎、気管支炎および蕁麻疹ならびに再灌流損傷および炎症の脂質メディエイタ
が関与する他の病気の治療において臨床的有用性を有する。PAFまたはエイコ
サノイド拮抗物質としての有用性を有する種々の化合物を記載した公開特許出願
および米国特許が多く存在する。このような特許は、米国特許第4788205
号、第4801598号、第4981860号、第4992455号、第498
3592号、第5011847号、第5019581号および第5002941
号を包含する。
ホスホリパーゼA2(PLA2、(EC3.1.1.4)は燐脂質のsn−2位
からのアラキドン酸の遊離に関与する。かくして、これらは炎症およびおそらく
は免疫学的機能不全の病理発生において、両方とも細胞関連酵素ならびに細胞外
溶解酵素として重要な役割を果たすと考えられる。低分子量の哺乳動物II型1
4kDa PLA2は十分に特徴付けられており、炎症流体における細胞外形態(
クラマー(Kramer)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(
J.Biol.Chem.)、264:5768−5775(1989))および細胞関
連形態(カンダ(Kanda)ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リ
サーチ・コミュニケイションズ(Biochemical and Biophysical Research C
ommunications)、163:42−48(1989))の両方で存在することが
知られており、種々の細胞および組織中または抗原性活性化因子またはプロ炎症
メディエイタ、例えばインターロイキン(IL)−1、IL−6または腫瘍壊死
因子(TNF)に対する応答で放出された場合に細胞外に見られる。したがって
、このような炎症性流体、組織滲出液または血清中に存在することは、炎症にお
けるII型−14kDa−PLA2の役割に関与する(ベイダス(Vadas)ら、
(1985)ライフ・サイエンス(Life Sci.)36,579−587;およ
びザイルハマー(Seilhamer)ら、(1989)ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)264、5335−5338)。最近
、炎症性損傷中のPLA2活性の高い血清レベルは、肝臓からの急性期蛋白質放
出のサイトカイン誘導によるとされ、そのうちの14kDa−PLA2がその一
部であると示唆されている(クロール(Crowl)ら、(1991)ジャーナル・
オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)266、2647−2
651)。加えて、慢性関節リウマチ患者の可溶性PLA2活性は血清および滑
液中著しく上昇する(ステファンスキ(Stefanski)ら、ジャーナル・オブ・バ
イオケミストリー(J.Biochem.)100:1297−303(1986))。
さらに、血清中PLA2レベルの増加は臨床的重篤度と正の相関関係があること
が判明している(ボマラスキ(Bomalaski)およびクラーク(Clark)、関節炎
およびリウマチ(Arthritis and Rheumat.)、36:190−198(199
3))。PLA2の種々の抑制物質が出版物および米国特許に記載されている。
例えば、米国特許第4959357号、第4933365号、第5208223
号、第5208244号;マーシャル(Marshall)ら、ジャーナル・オブ・リ
ウマトロジー(J.Rheumatology)18:1(1991);マーシャル(Marsh
all)ら、ホスホリパーゼA2(Phospholipase A2)Pyu Wong編,Plenum
Press,NY(1990)p169−181;ウィルカーソン(Wilkerson)ら
、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Eur.J.M
ed.Chem.)、26:667、1991およびウィルカーソン(Wilkerson)、
抗炎症ホスホリパーゼA2抑制物質(Antiinflammatory Phospholipase A2 I
nhibitors)、Drugs of the Future,Vol.15,No.2,p139−148
(1990)参照。したがって、PLA2は燐脂質からのアラキドン酸の遊離に
おいて重要であり、リソ燐脂質の形成によりPAFの生成にも関与するので、こ
のような酵素の抑制は、それにより起こる病気の治療に有用である。
最近発見されたホスホリパーゼA2の新規形態が多くある。本発明の目的に関
して、PLA2のsn−アシルヒドロラーゼ種のメンバーは哺乳動物または非哺
乳動物源由来により低および高分子量酵素に分類される。低分子量PLA2は一
般に12000ないし15000の範囲の分子量を有する。高分子量はSDS電
気泳動分析によると30000または56000kDaないし110000の範
囲である。
高分子量、サイトソル85kDa PLA2はヒト単球系統U937から単離さ
れ、クローンされる(クラーク(Clark)ら、プロシーディングズ・オブ・ナシ
ョナル・アカデミーズ・オブ・サイエンシズ(Proc.Natl.Acad.Sci.)、8
7:7708−7712(1990))。細胞脂質代謝における細胞関連II型
−14kDa−PLA2は近年のこの細胞が関連するが、構造的には異なる85k
Da sn−2アシルヒドロラーゼの同定までは、脂質メディエイタ形成における
重要な速度限定酵素と考えられていた(クラーク(Clark)ら、前出);および
クラマー(Kramer)ら、(1991)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリー(J.Biol.Chem.)266、5268−5272)。II型−1
4kDa酵素と同様に、この酵素は中性pHで活性であり、Ca2+依存性である
が、対照的に、燐脂質基質のsn−2位におけるAAに対して優先性を示し、C
a2+依存的にサイトソルから膜へ移行し、ホスホリル化により調節される(クラ
マー(Kramer)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.B
iol.Chem.)266、5268−5272(1991))。85kDa−PLA2
もまた85kDa−PLA2のDTTに対する安定性、熱に対する不安定性およ
び14kDa−PLA2のリン酸燐脂質TSA抑制物質による抑制の欠如などの
種々の生化学的性質により示されるように、14kDa−PLA2およびCa2+
独立性PLA2と異なる。加えて、85kDa−PLA2は14kDa−PLA2
では見られないリソホスホリパーゼA1活性を有することが判明している。85
kDa酵素は、Ca2+が触媒作用に必要ではなく、DTNB抑制が観察される点
で心筋Ca2+−独立性PLA2と類似している(Hozen and Gross、Circ.Res
.、70:486−495(1992))。しかし、85kDa−PLA2は自己
不活性化因子ブロモエノールラクトンにより抑制されず、このことは、該酵素が
心筋酵素とも異なることを示唆する。これらの特性から、その後の脂質メディエ
イタへの代謝のために、85kDa−PLA2は燐脂質からのAAの遊離に関与
する候補物となる。サイトソル85kDa−PLA2および細胞関連II型 14
kDa−PLA2は共に単球、好中球および血小板のようなヒト免疫細胞におい
て見いだされる(マーシャル(Marshall)およびロシャック(Roshak)、バイ
オケミストリー・アンド・セル・バイオロジー(Biochem.Cell Biol.)71
:
331−339(1993))。前記のように、種々の炎症性流体中増加するこ
とが判明している細胞脂質メディエイタのほとんどは、非膵臓PLA2作用に対
する応答で形成される。
アラキドネート含有燐脂質は広範囲の脂質メディエイタの重要な前駆体である
ので、炎症性細胞がこれらの燐脂質を他の脂肪酸含有燐脂質と異なって処理する
ことは驚くに値しない。特に、異なる燐脂質プール中のアラキドネートの量を調
節する酵素が存在し、これらの酵素はアラキドネートのホメオスタシスを維持す
るよう厳密に調節される。アラキドネートのあらゆる燐脂質へのまたはからの動
きは、本来、専ら、補酵素A依存性アシルトランスフェラーゼ活性によると考え
られてきた。ホルブ(Holub)ら、アドバンスト・リピッド・リサーチ(Adv.
Lipid Res.)、16:1−125(1978);ランズ(Lands)ら、ザ・エ
ンザイムズ・オブ・バイオロジカル・メンブランズ(the Enzymes of Biologi
cal Membranes)、Martonosi,A.編,pp.3−85,Plenum Press,NY
,1976。しかし、現在、酵素、補酵素A独立性トランスシラーゼ(CoA−
IT)は炭素数20の高級不飽和脂肪酸、特にアラキドネートの特定の(1−ア
ルキル−および1−アルケニル)燐脂質プール中への動きに関与することが判明
している。これらは細胞活性化中に優勢的に移動し、それぞれエイコサノイドお
よびPAF生合成に利用されるアラキドネートの燐脂質プールである。
CoA−ITは供与体および受容体分子としてある種の燐脂質に対する特異性
を有する。移された脂肪酸は長鎖かつ不飽和であり、専らほとんどアラキドネー
トである。16:0、18:1または18:2などの他の脂肪酸はCoA−IT
によりアルキルおよび1−アルケニル燐脂質プールのsn−2位中に移動しない
。CoA−ITの特異性は、アラキドネートに対する選択性がない広範囲のリソ
燐脂質をアシル化する他の多くのCoA依存性アシル化活性と正反対の特異性で
ある。
このように、CoA−ITはアラキドン酸および燐脂質代謝に関与するので、
このような酵素の抑制は炎症、アレルギーおよび過分泌状態またはそれにより起
こる病気の治療に有用である。したがって、CoA−ITを抑制する方法は、結
果として優先的に1−アルキルおよび1−アルケニル結合燐脂質のアラキドネー
ト含量を減少させ、したがって、炎症応答中、遊離アラキドン酸、プロスタグラ
ンジン、ロイコトリエンおよびPAFなどのプロ炎症メディエイタの産生を減少
させる。
発明の要約
本発明は式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容さ
れる希釈剤または担体を含んでなる式(I)の医薬組成物に関する。
本発明はまた、医薬上許容される担体または希釈剤と、式(II)の化合物また
はその医薬上許容される塩とからなる医薬組成物を提供する。
本発明はまた、これを必要とする哺乳動物における炎症を治療または緩和する
方法であって、前記哺乳動物に有効量の式(I)または式(II)の化合物または
組成物を投与することからなる方法にも関する。
本発明はまた、これを必要とする患者に有効量の式(I)または式(II)の化
合物を投与することによる、PLA2および/またはCoA−IT、遊離アラキ
ドン酸、その代謝物および/またはPAF介在の疾患または障害の治療法にも関
する。
本発明はまた、これを必要とする患者に有効量の式(I)または式(II)の化
合物または組成物を投与することによる、ホスホリパーゼA2および/またはC
oA−ITにより介在される疾患または障害の治療法にも関する。
本発明の一態様は、医薬上許容される担体または希釈剤と、式:
[式中、
R4は、1または2回、独立して塩素またはCF3で置換されているフェニルであ
り;
R1は塩素であり;
R2は水素または塩素であり;
R3は塩素またはCF3を意味する;
ただし、R1およびR2が共に塩素である場合、R3はCF3である]
に対応する構造により示される化合物またはその医薬上許容される塩とからなる
医薬組成物である。
本発明のもう一つ別の態様は、医薬上許容される担体または希釈剤と、式:
[式中、
R4は、1または2回、独立して塩素またはCF3で置換されているフェニルであ
るか、またはR4は塩素またはCF3で1回、3−クロロフェノキシまたは4−ク
ロロフェノキシ基で1回置換された二置換フェニルであり;
R1は塩素または−C((CH3)2)CH2CH3であり;
R2は水素、塩素またはメチルであり;
R2'は水素または塩素であり;
R3は塩素またはCF3を意味する;
ただし、
a)R2がメチルである場合、R1およびR3は共に塩素であって、R4は3−C
F3−4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニルまたは2−メチル−6−ク
ロロフェニルであり;
b)R1がt−アミルである場合、R2およびR2'は水素であり;
c)R1がt−アミルであり、R2およびR2'が水素であって、R3がCF3であ
る場合、R4は3−CF3−フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニ
ルまたは4−クロロ−3−CF3フェニルであり;
d)R2'が塩素である場合、R2は水素であり、R1およびR3は共に塩素であ
って、R4は2−メチル−4−クロロフェニルであり;
e)R1およびR3が塩素であって、R2およびR2'が水素である場合、R4は2
,5−ジクロロフェニル、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル、2−クロロ−
5−CF3−フェニル、3−CF3−4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェ
ニル、2,3−ジクロロフェニル、4−クロロフェニル、3−トリフルオロメチ
ルフェニル、3−クロロ−4−(4−クロロフェノキシ)、3−CF3−6−(4−
クロロフェノキシ)、3−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)であり;
f)R1、R2およびR3が塩素である場合、R4は2−クロロ−5−CF3−フ
ェニルまたは3−CF3−4−クロロフェニルであり;
g)R1およびR2が塩素であって、R3がCF3である場合、R4は4−クロロ
−3−CF3−フェニルである]
に対応する構造式により示される化合物またはその医薬上許容される塩とからな
る医薬組成物である。
発明の詳細な記載
本発明は炎症性疾患の治療を必要とする哺乳動物における、有効量の式(I)
または(II)の化合物を前記哺乳動物に投与することによる炎症性疾患の新規治
療法に関する。式(I)および(II)の化合物は選択的にPLA2酵素、CoA
−ITまたは両方を抑制する。いずれか一方または両方の酵素の抑制は、哺乳動
物における炎症の治療をもたらす。哺乳動物における炎症状態は、アレルギーお
よび喘息症状、皮膚病、炎症性疾患、膠原病、再灌流損傷および卒中を包含する
が、これに限定されない。急性および慢性疾患の両方の治療が可能である。治療
に好ましい疾患は、関節炎、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患(IBD)
、
乾癬、再灌流損傷および卒中である。本発明の目的のためには、式(I)または
(II)の化合物は低分子量PLA2酵素の優先的および選択的抑制物質である。
式(I)の特に具体的な化合物は:
4,5−ジクロロ−2−[4−トリフルオロメチル−2−(3−トリフルオロメチ
ル−4−クロロフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
4,5−ジクロロ−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレイド]−4−トリフ
ルオロメチルフェニル)チオベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[2−(3−(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ウレイド)
−4−トリフルオロメチルフェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(5−クロロ−3−トリフルオロメチ
ルフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−[3−(2,4−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチ
ルフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸
である。
式(II)の特に具体的な化合物は:
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(2,5−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニルオキシ]ベンゼンスルホン酸;
4,5−ジクロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[2−クロロ−5−(トリフルオロ
メチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル
)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]−4−メチルベンゼンスルホ
ン酸;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニルオキシ]−4−トルエンスルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−2−トリル)ウレイド]−4−クロロフェノキシ]−
3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−クロロフェノキシ]−5−クロロベンゼンスルホン酸;
5−(1,1−ジメチルプロピル)−2−[4−(トリフルオロメチル)−2−[[[[3
−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベン
ゼンスルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス
ルホン酸;
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピ
ル)ベンゼンスルホン酸;
4,5−ジクロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[4−クロロ−3−(トリフルオロ
メチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル
)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル
)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3,4−ジクロロフェニルアミノカルボニ
ルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2,3−ジクロロフェニルアミノカルボニ
ルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(4−クロロフェニルアミノカルボニルアミ
ノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3−トリフルオロメチルフェニルアミノカ
ルボニルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェ
ニルアミノ)カルボニルアミノ]フェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3−クロロ−4−(4−クロロフェノキシ)
フェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2−(3−クロロフェノキシ)−5−トリフ
ルオロメチルフェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシベンゼンスルホン酸
;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−(4−クロロフェノキシ)
フェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸。
炎症性疾患の治療にてPLA2および/またはCoA−IT阻害剤としての使
用についての本発明の別の態様は、以下の新規化合物およびその医薬上許容され
る塩である:
5−(1,1−ジメチルプロピル)−2−[4−(トリフルオロメチル)−2−[[[[3
−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベン
ゼンスルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス
ルホン酸;および
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピ
ル)ベンゼンスルホン酸。
好ましくは、医薬上許容される塩は、ナトリウムのようなアルカリ金属の塩で
ある。合成化学
式(I)および(II)の化合物は、後記する合成法に類似する方法にて当業者
であれば容易に製造できる。また、2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフル
オロメチルフェニル)ウレイド]−4−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1
,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホン酸;5−(1,1−ジメチルプロピル)
−2−[4−(トリフルオロメチル)−2−[[[[3−(トリフルオロメチル)フェニ
ル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;および2−[2
−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]
−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベン
ゼンスルホン酸を除いて、前記した特に具体的な化合物は、必要ならば、ALD
RICH Chemical CompanyのBADERカタログを通して入手することがで
きる。
さらなる工夫をすることなく、当業者は、本明細書に記載の方法に類似する操
作に従い、本発明を最大限に活用することができると考えられる。単なる例示で
あり、本発明の範囲を限定するとは考えられない以下の実施例を参考にして、本
発明を記載する。温度は特に記載しない限り摂氏で記録する。
実施例1 2−[2−[3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド]− 4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸・ ナトリウム塩
a)2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4,5−ジクロロ
ベンゼン
ジメチルホルムアミド(450ml)中3,4−ジクロロフェノール(25グ
ラム(以下、g)、0.153モル)、4−クロロ−3−ニトロベンゾ−トリフ
ルオリド(52g、0.23モル)および炭酸カリウム(63g、0.459モル
)の混合物を、アルゴン下、120℃で24時間撹拌した。反応混合物を濾過し
、濾液を蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶かし、水、ブラインで洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグ
ラフィー(シリカゲル、塩化メチレン/ヘキサン)に付し、黄色油として標記化
合
物を得た。
b)2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4,5−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩
発煙硫酸(8ミリリッター(以下、ml)を−20℃に冷却し、塩化メチレン
(8ml)中の2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4,5
−ジクロロベンゼン(8g、22.8ミリモル)をその溶液に加えた。混合物を
15分間撹拌し、ついで氷冷した。酢酸エチルで抽出し、つづいてフラッシュク
ロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メチレン/イソプロパノール/水酸化アン
モニウム)に付して標記化合物を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD
)δ 8.31(d,1H)、8.11(s,1H)、7.87(dd,1H)、7.4
(s,1H)、7.16(d,1H)。
c)2−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4,5−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸
2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4,5−ジクロロベ
ンゼンスルホン酸・アンモニウム塩(5g、11.2ミリモル)を酢酸(75ml
)に溶かした。混合物を水(75ml)で希釈し、三塩化チタンの20%水溶液
(65ml)を加えた。水性後処理の後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフ
ィー(シリカゲル、塩化メチレン/エタノール/水酸化アンモニウム)に付し、
標記化合物を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD)δ 8.02(s,1
H)、7.17(d,1H)、7.12(d,1H)、6.94(dd,1H)、6.
87(s,1H)。
d)2−[2−[3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド
]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン
酸・アンモニウム塩
ピリジン(20ml)中2−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキ
シ)−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2g、4.8ミリモル)および4−
クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(1.11g、5ミリ
モル)の溶液を、アルゴン下、72時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラ
ッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メチレン/エタノール/水酸化ア
ンモニウム)に付して標記化合物を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD
)δ 8.61(d,1H)、8.08(s,1H)、7.95(d,1H)、7.60
(dd,1H)、7.43(d,1H)、7.30−7.36(m,2H)、7.10
(s,1H)。
e)2−[2−[3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド
]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン
酸・ナトリウム塩
メタノール(20ml)および水(2ml)中2−[2−[3−(4−クロロ−
3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド]−4−(トリフルオロメチル)フェ
ノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩(2.1g、3.
28ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(0.331g、3.94ミリモル)の
混合物を、アルゴン下、30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュ
クロマトグラフィー(C18逆相、MeOH/H2O)に付し、凍結乾燥した後、標
記化合物を得た。MS(ES)m/e 643.8[M+H]+。
実施例2 2−[2−[3−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド]−4−ト リフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホ ン酸・ナトリウム塩
a)2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4−(1,1−ジメ
チルプロピル)ベンゼン
ジメチルホルムアミド(25ml)中4−(1,1−ジメチルプロピル)フェノ
ール(821mg、0.005モル)、4−ブロモ−3−ニトロベンゾトリフル
オリド(1.35g、0.005モル)、炭酸カリウム(1.38g、0.010モ
ル)および酸化第一銅(143mg、0.001モル)の混合物を、アルゴン下
、150℃で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水の間に
分配し、層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させて蒸発させた。粗生成物をフ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン)に付し、黄
色油として標記化合物を得た。1H NMR(250MHz,CDCl3)δ 8.2
0(d,1H)、7.70(dd,1H)、7.45(m,2H)、7.05(m,3
H)、1.65(q,3H)、1.30(s,6H)、0.65(t,2H)。
b)2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−(1,1−ジメ
チルプロピル)ベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩
発煙硫酸(1ml)を2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)
−4−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼン(770mg、0.0022モル)に
加え、45分間撹拌し、氷冷し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥
させて蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メ
チレン/イソプロパノール/水酸化アンモニウム)に付して標記化合物を得た。1
H NMR(250MHz,CD3OD)δ7.95(dd,2H)、7.65(d
d,1H)、7.45(dd,1H)、7.00(d,1H)、6.80(d,1H)
、1.65(q,3H)、1.26(s,6H)、0.65(t,2H)。
c)2−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−(1,1−ジメ
チルプロピル)ベンゼンスルホン酸
2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−(1,1−ジメチ
ルプロピル)ベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩(620mg)を酢酸エチル
(50ml)中に混合し、炭素上パラジウム(202mg)をアルゴン下で加え
た。混合物をパール(Parr)容器中、55psiで2時間水素添加した。サンプル
を濾過して触媒を除去し、メタノールと混合し、数時間ガス抜きをして標記化
合物を得た。1H NMR(250MHz,CD3OD)δ 7.95(d,1H)、
7.30(dd,1H)、7.05(dd,2H)、6.85(dd,1H)、6.7
5(d,1H)、1.65(q,3H)、1.25(s,6H)、0.65(t,2H
)。
d)2−[2−[3−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス
ルホン酸・アンモニウム塩
2−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−(1,1−ジメチ
ルプロピル)ベンゼンスルホン酸(260mg、0.0006モル)および3,5
−ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート(130.9ml、0.00
05モル)を、ピリジン(5ml)中、アルゴン下、室温で16時間混合した。
溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メチ
レン/イソプロパノール/水酸化アンモニウム)に付し、乾燥させ、蒸発させて
標記化合物を得た。1H NMR(250MHz,DMSO)δ9.20(s,1H)
、8.90(s,1H)、7.90(s,1H)、7.50(s,2H)、7.25(
d,1H)、7.05(s,1H)、6.80−6.30(m,4H)、1.0(q,3
H)、0.65(s,6H)、0.45(d,2H)。
e)2−[2−[3−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス
ルホン酸・ナトリウム塩
メタノールおよび水中2−[2−[3−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニル)ウレイド]−4−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチル
プロピル)ベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩(254mg、0.0004モル
)および炭酸水素ナトリウム(96mg、0.0011モル)の混合物を、アル
ゴン下、1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィ
ー(C18逆相、MeOH/H2O)に付し、標記化合物を得た。MS(FAB)m
/e 681[M+H]+。
実施例3 2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4 −トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス ルホン酸・ナトリウム塩
a)2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−4−(1,1−ジメ
チルプロピル)ベンゼン
実施例2(a)の操作に従って、標記化合物を製造した。1H NMR(250
MHz,CDCl3)δ 8.20(d,1H)、7.70(dd,1H)、7.45(
m,2H)、7.05(m,3H)、1.65(q,3H)、1.30(s,6H)、
0.65(t,2H)。
b)2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−(1,1−ジメ
チルプロピル)ベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩
実施例2(b)の操作に従って、標記化合物を製造した。1H NMR(250
MHz,CD3OD)δ 7.95(dd,2H)、7.65(dd,1H)、7.45
(dd,1H)、7.00(d,1H)、6.80(d,1H)、1.65(q,3H
)、1.26(s,6H)、0.65(t,2H)。
c)2−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−(1,1−ジメ
チルプロピル)ベンゼンスルホン酸
実施例2(c)の操作に従って、標記化合物を製造した。1H NMR(250
MHz,CD3OD)δ 7.95(d,1H)、7.30(dd,1H)、7.05(
dd,2H)、6.85(dd,1H)、6.75(d,1H)、1.65(q,3H
)、1.25(s,6H)、0.65(t,2H)。
d)2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]
−4−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼ
ンスルホン酸・アンモニウム塩
3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネートの代わりに4−ク
ロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートを用いる以外、実施例2
(d)の操作に従って、標記化合物を製造した。1H NMR(250MHz,C
D3OD)δ 8.55(d,1H)、7.95(dd,2H)、7.60(dt,1H
)、7.49−7.20(m,4H)、6.89(d,1H)、1.60(q,3H)
、1.20(s,6H)、0.65(t,2H)。
e)2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]
−4−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼ
ンスルホン酸・ナトリウム塩
2−[2−[3−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド]−4−
トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスル
ホン酸・アンモニウム塩の代わりに2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフル
オロメチルフェニル)ウレイド]−4−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1
,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩を用いる以外、実
施例2(e)の操作に従った。MS(FAB)m/e 669[M+Na]+。
実施例4
4,5−ジクロロ−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレイド]−4−トリフ
ルオロメチルフェニル)チオベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに3,4−ジクロロチオフェノールを、4−クロロ−3−トリフル
オロメチルフェニルイソシアネートの代わりに3,4−ジクロロフェニルイソシ
アネートを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様の方法にて製造すること
ができる。
実施例5
4,5−ジクロロ−2−[4−トリフルオロメチル−2−(3−トリフルオロメチ
ル−4−クロロフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに3,4−ジクロロチオフェノールを用いる以外、前記した実施例
1の方法と同様の方法にて製造できる。
実施例6
5−クロロ−2−[2−(3−(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ウレイド)
−4−トリフルオロメチルフェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに4−クロロチオフェノールを、4−クロロ−3−トリフルオロメ
チルフェニルイソシアネートの代わりに3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニルイソシアネートを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様の方法にて製
造できる。
実施例7
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(5−クロロ−3−トリフルオロメチ
ルフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに4−クロロチオフェノールを、4−クロロ−3−ニトロベンゾト
リフルオリドの代わりに2,5−ジクロロニトロベンゼンを、4−クロロ−3−
トリフルオロメチルフェニルイソシアネートの代わりに2−クロロ−5−トリフ
ルオロメチルフェニルイソシアネート用いる以外、前記した実施例1の方法と同
様の方法にて製造できる。
実施例8
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−[3−(2,4−ジクロロフェニル)ウレイド
)
フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに4−クロロチオフェノールを、4−クロロ−3−ニトロベンゾト
リフルオリドの代わりに2,5−ジクロロニトロベンゼンを、4−クロロ−3−
トリフルオロメチルフェニルイソシアネートの代わりに2,4−ジクロロフェニ
ルイソシアネートを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様の方法にて製造
できる。
実施例9
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチ
ルフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに4−クロロチオフェノールを、4−クロロ−3−ニトロベンゾト
リフルオリドの代わりに2,5−ジクロロニトロベンゼンを用いる以外、前記し
た実施例1の方法と同様の方法にて製造できる。
実施例10
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(2,5−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニルオキシ]ベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに4−クロロフェノールを、4−クロロ−3−ニトロベンゾトリフ
ルオリドの代わりに2,5−ジクロロニトロベンゼンを、4−クロロ−3−トリ
フルオロメチルフェニルイソシアネートの代わりに2,5−ジクロロフェニルイ
ソシアネートを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様の方法にて製造でき
る。
実施例11
2−[4−クロロ−2−[3−(6−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−3−トリ
ル)ウレイド)フェニルオキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入し、該化合物はまた4,5−ジクロロ−2−[4−ク
ロロ−2−[[[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボ
ニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸とも称される。
該標記化合物はまた、4−クロロ−3−ニトロベンゾトリフルオリドの代わり
に2,5−ジクロロニトロベンゼンを、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフ
ェニルイソシアネートの代わりに2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル
イソシアネートを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様の方法にて製造で
きる。
実施例12
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−[3−(4−クロロ−α,α,α−トリフルオ
ロ−3−トリル)ウレイド)フェノキシ]−4−トルエンベンゼンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入し、該化合物はまた5−クロロ−2−[4−クロロ
−2−[[[[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル
]アミノ]フェノキシ]−4−メチルベンゼンスルホン酸とも称される。
標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノールの代わりに4−クロロ−3−
メチルフェノールを、4−クロロ−3−ニトロベンゾトリフルオリドの代わりに
2,5−ジクロロニトロベンゼンを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様
の方法にて製造できる。
実施例13
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニルオキシ]−4−トルエンスルホン酸;
標記化合物を市場より購入した。標記化合物はまた、3,4−ジクロロフェノ
ールの代わりに4−クロロ−3−メチルフェノールを、4−クロロ−3−ニトロ
ベンゾトリフルオリドの代わりに2,5−ジクロロニトロベンゼンを、4−クロ
ロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートの代わりに3,4−ジクロ
ロフェニルイソシアネートを用いる以外、前記した実施例1の方法と同様の方法
にて製造できる。
実施例14
5−(1,1−ジメチルプロピル)−[2−[2−(3−(α,α,α−トリフルオロ−
3−トリル)ウレイド]−α,α,α−トリフルオロ−4−トリルオキシ)ベンゼン
スルホン酸;
標記化合物はまた5−ブチル−2−[4−(トリフルオロメチル)−2−[[[[3
−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベン
ゼンスルホン酸とも称され、前記した実施例2および3の方法と同様の方法にて
製造した。MS(FAB)m/e 591[M+H]+。
以下の化合物をすべて市場より購入した。しかしながら、該化合物もまた、前
記した実施例と同様の方法により当業者であれば製造できる。
実施例15:2−[2−[3−(4−クロロ−2−トリル)ウレイド]−4−クロロ
フェノキシ]−3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
実施例16:5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[3−(α,α,α,α',α',α'
−ヘキサフルオロ−3,5−キシリル)ウレイド)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸
;また、2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カル
ボニル]アミノ]−4−クロロフェノキシ]−5−クロロベンゼンスルホン酸とも
称される;
実施例17:4,5−ジクロロ−2−[4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−α,
α,α−トリフルオロ−3−トリル)ウレイド)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;
また、4,5−ジクロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[4−クロロ−3−(トリフ
ルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホ
ン酸とも称される;
実施例18:5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(3−(6−クロロ−α,α,α
−トリフルオロ−3−トリル)ウレイド)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;ま
た、5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[2−クロロ−5−(トリフルオロメ
チル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸とも
称される;
実施例19:5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−α,α,α
−トリフルオロ−3−トリル)ウレイド)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;また
、5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[[[[4−クロロ−3−(トリフルオロメチ
ル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベンゼンスルホン酸とも称
される;
実施例20:5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3,4−ジクロロフェニルア
ミノカルボニルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
実施例21:5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2,3−ジクロロフェニルア
ミノカルボニルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
実施例22:5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(4−クロロフェニルアミノカ
ルボニルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
実施例23:5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3−トリフルオロメチルフェ
ニルアミノカルボニルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
実施例24:5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3−クロロ−4−(4−クロ
ロフェノキシ)フェニルアミノ)カルボニルアミノ)フェノキシ)ベンゼンスルホン
酸;
実施例25:5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2−(3−クロロフェノキシ)
−5−トリフルオロメチルフェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシベンゼ
ンスルホン酸;
実施例26:5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−(4−クロ
ロフェノキシ)フェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシ]ベンゼンスルホン
酸。
治療法
式(I)および/または式(II)の化合物、またはその医薬上許容される塩は
、
哺乳動物、好ましくはヒトにおける炎症性症状の予防または治療用医薬の製造に
用いることができる。
本発明によるPLA2および/またはCoA−ITの抑制および炎症性細胞か
らのPAF、遊離アラキドン酸およびエイコサノイド放出の同時減少は、広範囲
におよぶ病気または障害において治療上利点がある。本発明はしたがってヒトお
よび他の哺乳動物の両方におけるこのような病状の治療に有用である。
式(I)および/または式(II)の化合物によるCoA−ITおよび14kDa
PLA2の抑制は炎症性細胞において産生されるPAF、遊離アラキドン酸およ
びエイコサノイドを同時に減少させるのに有効な手段である。脂質メディエイタ
の生成の抑制の治療的有用性は長年認識されていた。例えば、シクロオキシゲナ
ーゼの抑制物質、例えばアスピリン、インドメタシン、アセトアミノフェンおよ
びイブプロフェンは広範囲におよぶ治療有用性が判明している。CoA−IT抑
制物質はシクロオキシゲナーゼ生成物を抑制する。広範囲の炎症性疾患において
用いられる別種の抑制物質はコルチコステロイドである。コルチコステロイドは
、様々な方法で、例えば炎症性細胞を誘発して、遊離アラキドン酸放出を抑制す
る蛋白質を生成するか、またはPLA2mRNA形成をダウンレギュレートする
ように作用する。14kDa PLA2およびCoA−IT抑制物質は共に、遊離
アラキドン酸の放出をブロックする。5−リポキシゲナーゼの抑制物質はロイコ
トリエンの生成をブロックし、ロイコトリエン拮抗物質はロイコトリエンの生物
学的作用を防止する。最近の研究で、両方とも広範囲にわたる治療有用性を有す
ることが判明している。14kDa PLA2抑制物質およびCoA−IT抑制物
質は共にロイコトリエンの生成をブロックする。ホスホリパーゼA2の抑制物質
は遊離アラキドン酸の放出およびリソPAF(PAFの直前の前駆体)の形成を
ブロックする。PLA2抑制物質は広範囲におよぶ治療上有用性を有することが
認識されている。しかし、前記病状は実際CoA−ITまたはPLA2活性の変
化により起こるとは限らない。すなわち、病状それ自体が、CoA−ITまたは
PLA2活性により直接媒介されるとは限らない。CoA−ITまたはPLA2活
性が病気の症状の継続した発現に必要とされ、CoA−ITまたはPLA2抑制
物
質はこれらの病気の症状に対して有用であるというだけである。
14kDa PLA2および/またはCoA−IT抑制物質がPAF生成を減少
させるという認識は、多くの治療的意義を有する。PAFそれ自身は多くの医学
的症状に関与する。このように、全身性低血圧症、肺高血圧症および増加した肺
血管浸透圧により特徴付けられる循環系ショックにおいて、症状はPAFの注入
により模倣できる。これをエンドトキシン注入により循環PAFレベルが増加す
ることを示す証拠と組み合わせ、PAFがあるショック形の主要メディエイタで
あることがわかる。
PAFの20ないし200pmol/kg/分の用量でのラットへの静脈内注
入は胃粘膜において広範囲の出血性糜爛を形成することが報告されている。この
ようにPAFは最も有効な胃潰瘍誘発源であるが、さらにその内因性放出がある
形態の胃潰瘍の原因となることが記載されている。乾癬は皮膚病変により特徴付
けられる炎症性および増殖性病である。PAFはプロ炎症性であり、乾癬患者の
損傷鱗屑から単離され、このことはPAFが乾癬に関与することを示す。最後に
、増加する証拠は、心血管障害におけるPAFの病態生理学的役割を支持するも
のである。このように、狭心症患者における最近の研究は、PAFが動脈調整中
放出されることを示すものである。ブタにおけるPAFの冠状血管内注射は、冠
状血流における長期間の減少を誘発し、モルモットの心臓においては、局所的短
絡および虚血を誘発する。加えて、PAFは、外因的に投与された場合、および
内因的に放出された場合の両方にて、腸間膜性動脈調製物の血栓の形成を開始す
ることが判明している。最近、PAFは卒中の動物モデルにおいて誘発された脳
虚血に関与することが示されている。このように、本発明の化合物はそのCoA
−ITおよび/またはPLA2の拮抗能によりPAF、遊離アラキドン酸および
その代謝物の産生をブロックし、前記症状の治療に有用であり得る。
PLA2抑制物質の作用は各酵素に対する特異的作用に基づく、また細胞分析
における異なる効果により、CoA−IT抑制物質の作用と区別できる。例えば
、CoA−IT抑制物質だけが放射標識したアラキドン酸のアルキル−PCプー
ルからアルケニルPEプールへの移動を干渉する能力を有する。14kDa P
L
A2の選択的抑制物質はこの分析(分析E)において効果がない。また、CoA
−I抑制物質は活性化単球からの両方のLTC4およびPGE2の放出を抑制し、
一方、選択的PLA2抑制物質はLTC4放出を抑制するが、プロスタノイドの形
成または産生をおさえる(分析F)。
脂質メディエイタ産生の抑制が有効である病気は、成人呼吸窮迫症候群、喘息
、関節炎、再灌流損傷、内毒素ショック、炎症性腸管疾患、アレルギー性鼻炎お
よび種々の炎症性皮膚障害を包含するが、これに限定されない。これらの障害は
、各々、ある部分で炎症の脂質メディエイタにより媒介される。CoA−ITを
抑制する化合物は、炎症の脂質メディエイタの生成をブロックするその能力によ
り、これらの症状のいずれかの治療に有効である。同様に、PLA2を抑制する
化合物は、この酵素の活性化および/または放出を止める炎症の脂質メディエイ
タの生成をブロックする能力により、これらの症状の治療に有用である。特に、
CoA−ITの抑制物質は、例えば、プロスタノイドの産生のみに影響し(PA
Fの生合成には影響しない)、これにより急性および細胞性「慢性」炎症プロセ
スを抑制する伝統的なNSAIDより有利である。さらに、PLA2抑制物質の
利点は、免疫抑制プロスタノイド、例えばPGE2をおさえながらヒト単球ロイ
コトリエンおよびPAF形成に対し与える影響である。
これらの脂質炎症メディエイタ、すなわち、アラキドネート、エイコサノイド
およびPAFにより起こる病気の治療は、ある種の心血管障害、例えば限定され
るものではないが、心筋梗塞、卒中、循環ショック、または低血圧、虚血、再灌
流損傷;炎症性疾患、例えば限定されるものではないが、関節炎、炎症性腸管疾
患、クローン病、または潰瘍性大腸炎;呼吸器疾患、例えば限定されるものでは
ないが、喘息または成人性呼吸窮迫症候群;アナフィラキシーショック、例えば
、限定されるものではないが、内毒素ショック;局所疾患、例えば限定されるも
のではないが、紫外線角化症、乾癬、または接触性皮膚炎;または熱病が包含さ
れる。
式(I)または(II)の化合物またはその医薬上許容される塩の療法における
使用のために、該化合物は、標準的調剤慣習にしたがって、通常医薬上許容され
る組成物に処方される。本発明は、したがって、有効かつ非毒性量の式(I)ま
たは(II)の化合物と、医薬上許容される担体または希釈剤とからなる医薬組成
物にも関する。
式(I)または(II)の化合物またはその医薬上許容される塩およびこれを配
合する医薬組成物は、医薬投与に通常用いられる経路、例えば、経口、局所、非
経口、または吸入により投与される。式(I)および(II)の化合物は、式(I
)または(II)の化合物を標準的な医薬上許容される担体と常法に従って配合す
ることにより調製される通常の投与形により投与される。このような医薬上許容
される担体または希釈剤および製造法は当業者に周知であり、レミントンの製薬
科学、第18版(Remington's Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Al
fonso R.Genarao,Ed.,1990,Mack Publishing Co.)および医薬賦
形剤ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients,AphA Publ
ications,1986)などのテキストに見られる。
式(I)または(II)の化合物は公知の第二の治療上活性な化合物、例えばス
テロイドまたはNSAIDと組み合わせた通常の投与形でも投与できる。これら
の方法は、混合、顆粒化および圧縮または成分を適当に溶解して所望の製剤とす
ることを包含する。医薬上許容される担体または希釈剤の形態および性質は、組
み合わされる活性成分の量、投与経路および他の公知の変数により変わることは
明らかであろう。担体は処方の他の成分と適合性で、その受容者に対して毒性で
ないという意味で「許容」されなければならない。
用いられる医薬担体は、例えば固体または液体のいずれでもよい。固体担体の
例は、ラクトース、白土、シュークロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン
、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の
例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、水などである。同様に、担体また
は希釈剤は、例えばグリセリルモノステアラートまたはグリセリルジステアラー
トなどの当業分野で周知の遅延物質を、単独またはワックスと共に含んでもよい
。
種々の医薬形を用いることができる、したがって、固体担体を用いた場合、製
剤は、錠剤にし、粉末またはペレット形にてハードゼラチンカプセル中に入れ、
またはペレット形またはトローチまたはロゼンジの形態にできる。固体担体の量
は広範囲に及ぶが、好ましくは約25mgないし約1gである。液体担体を用い
る場合、調製物は、シロップ、乳剤、ソフトゼラチンカプセル、アンプル等の滅
菌注射液、または非水性液体懸濁液などの形態にする。
式(I)または(II)の化合物は、局所適用、すなわち、非全身性投与により
投与してもよい。これは、式(I)または式(II)の化合物を外部から表皮また
は口腔に適用すること、およびこのような化合物の耳、眼および鼻への点滴注入
を包含し、該化合物は有意に血流内に入らないようにする。反対に、全身性投与
により、経口、静脈内、腹膜組織内および筋肉内投与を意味する。
局所適用に適した処方物は炎症部位に皮膚を通して浸透するのに適した液体ま
たは半液体製剤、例えば、リニメント、ローション、クリーム、軟膏またはペー
スト、ならびに眼、耳または鼻への適用に適した滴剤を包含する。活性成分は、
局所適用に関しては、処方の0.001%ないし10%w/w、例えば1重量%
ないし2重量%である。しかし、10%w/wまで含んでもよいが、好ましくは
、処方の5%w/w未満、より好ましくは、0.1%ないし1%w/wである。
本発明のローションは皮膚または眼への適用に適したものを包含する。眼ロー
ションは、所望により殺菌剤を含有してもよい滅菌水溶液からなり、滴剤の調製
と類似の方法により調製される。皮膚に塗布するためのローションまたはリニメ
ントはまた、乾燥を促進したり、皮膚に冷感を与える薬剤、例えばアルコールま
たはアセトン、および/またはグリセロールなどの湿潤剤またはヒマシ油または
ピーナッツ油などの油を含んでもよい。
本発明のクリーム、軟膏またはペーストは外部適用するための活性成分の半固
体処方である。これらは、微細化または粉末形態の活性成分を単独または水性ま
たは非水性流体中溶液または懸濁液の形態で適当な機械を用いてグリース性また
は非グリース性基剤と混合することにより調製する。基剤は、硬、軟または流動
パラフィン、グリセロール、ミツロウ、金属セッケンなどの炭化水素;粘滑剤;
天然源の油、例えばアーモンド、トウモロコシ、落花生、ヒマシまたはオリーブ
油;羊毛脂またはその誘導体、または脂肪酸、例えばステアリン酸またはオレイ
ン酸をアルコール、例えばプロピレングリコールまたはマクロゲルと共に含んで
もよい。処方は、適当な界面活性剤、例えばアニオン性、カチオン性または非イ
オン性界面活性剤、例えばソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘
導体を配合してもよい。沈殿防止剤、例えば天然ゴム、セルロース誘導体または
無機物質、例えば珪質土シリカ、および他の成分、例えばラノリンを配合しても
よい。
本発明の滴剤は、滅菌水性または油性溶液または懸濁液からなっていてもよく
、活性成分を殺菌および/または殺真菌剤および/または他の適当な保存剤の、
好ましくは界面活性を含む適当な水性溶液中に溶解することにより調製される。
ついで、得られた溶液を濾過により清澄化し、適当な容器に移し、次にこれを密
封し、オートクレーブまたは98〜100℃に半時間保つことにより滅菌する。
別法として、溶液を濾過により滅菌し、無菌技術により容器に移す。滴剤に配合
するのに適した殺菌剤および殺真菌剤の例は、硝酸または酢酸フェニル水銀(0
.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン
(0.01%)である。油性溶液の調製に適した溶媒は、グリセロール、希アル
コールおよびプロピレングリコールを包含する。
経口投与用の各投与単位は、好ましくは、1ないし250mgの式(I)の化
合物または遊離塩基として換算したその医薬上許容される塩を含有する(非経口
投与に関しては好ましくは0.1ないし25mgを含有する)。
本発明の医薬上許容される化合物は、通常、毎日の成人患者用の投与計画で患
者に投与される。成人患者に関して、例えば、式(I)/(II)の化合物または
遊離塩基で換算したその医薬上許容される塩を、1mgと500mgの間、好ま
しくは1mgと250mgの間の経口投与量、または0.1mgおよび100m
gの間、好ましくは0.1mgと25mgの間の静脈内、皮下または筋肉内投与
量で、該化合物を一日あたり1から4回投与する。
投与形態、ならびに有効投与量は、とりわけ治療する症状により変わる。投与
形式および投与の選択は、当業者の技術範囲内である。
生物学的方法
式(I)および(II)の化合物の活性を測定するために、種々の細胞分析を用
いてin vitro活性を測定できる。加えて、高エイコサノイドレベルに対していく
つかの病因学的態様を有する種々の伝統的in vivo急性炎症モデル、例えばルイ
ス(Lewis)ら、エクスペリメンタル・モデルズ・オブ・インフラメイション(
Experimental Models of Inflammation,in the Handbook of Inflammatio
n)、第5巻、(Bonta Ed.,Elsevier Science Publishers,NY(198
5)(その開示を出典明示により本発明の一部とする))に記載されている足浮
腫モデル、マウスザイモザン腹膜炎、逆性アルチュス胸膜炎または種々の皮膚炎
症分析を用いることができる。TPA誘発性耳浮腫モデル(マウス)ならびにラ
ットにおけるカラギーナン足浮腫モデルを本明細書では記載する。これらの伝統
的炎症モデルは,炎症応答を変える薬物の能力を反映するが、薬物作用の特異性
は示すことができない。これらのモデルは、伝統的に非ステロイド系抗炎症剤感
受性薬理学的スクリーンとして設計され、PLA2およびCoA−IT抑制物質
をNSAIDSから区別できるモデルを用いることが重要である。抑制物質のセルフリーおよび細胞評価
CoA−ITおよびPLA2酵素活性の両方の数種のin vitro分析を記載する
。第一法は精製した組換え酵素分析または破壊細胞分析(以下に記載の分析(各
々、aまたはb))を用いる。また、抑制物質の評価は、分析において記載する
ように完全細胞において起こり得る(以下に記載する分析(cおよびd))。C
oA−IT活性は、[3H]アラキドネートが炎症性細胞中1−アルキルおよび
1−アルケニル燐脂質へ移動するので、そのパルスの動きにより完全細胞におい
て排他的に測定でき、PLA2から区別される(分析e)。本発明の目的では、
分析c、dおよびfはPLA2およびCoA−IT抑制測定に用いることができ
る。in vivo 炎症応答
CoA−ITおよび/またはPLA2を抑制し、in vivoで炎症応答に影響を与
える化合物の能力を評価する。プロ炎症剤、例えば12−0−テトラデカノイル
ホルボール13−アセテートの局所適用により炎症応答をマウスの耳において誘
発させる(分析g)。これにより耳の厚さの増加により測定される浮腫応答、な
らびにミエロペルオキシダーゼ活性における増加により測定される炎症性細胞浸
潤の増加が生じる(方法に記載)。作用機構をさらに確認するために、アラキド
ン酸を直接塗布することにより誘発される炎症を用いることができる。この場合
、アラキドン酸の動員または放出を変更する化合物が効果がない。
In vitro分析分析(a):ホスホリパーゼA2分析:
ヒト滑膜性関節液から半精製したII型−14kDaPLA2またはPLA2のホ
スホリパーゼA2活性を、マーシャル(Marshall)ら(ジャーナル・オブ・リウ
マトロジー(J.Rheumatology)、18:1、pp59−65(1991))に
より既に記載されているように高比活性(NEN)[3H]−AA−イー・コリ
(0.5mCi/5ナノモルPL Pi)のアシル加水分解により測定した。高比
活性[3H]−AA−イー・コリは、精製14kDaPLA2または低分子量PL
A2アシル加水分解および薄層クロマトグラフィー(TLC)による生成物の分
離により示されているように、ほとんど排他的にsn−2位に局所化された燐脂
質中に配合された95%までの標識を有した(データーは示していない)。[本
明細書においては優勢的にrhII型14kDaPLA2を用い、または別法とし
てウシ膵臓PLA2も用いた]。反応混合物(合計容積50または100ml)
は25mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、5mM CaCl2およ
び[3H]−AA−イー・コリ(低比活性;5〜8ナノモルPL Pi/分析)を
含有していた。分析物を所定の時間インキュベートし、時間対加水分解プロット
の直線部分にのるようにした(10分間)。最終加水分解値%がブランク校正後
2%(400〜1000dpm)ないし10%(2000〜5000dpm)ア
シル加水分解となるように実験を行った。1.0mLテトラヒドロフラン(TH
F)の添加により、反応を終結させた。全サンプルをアミノプロピル固相シリカ
カラム上に置き、THF:酢酸(49:1)で溶出し、排他的に遊離脂肪酸を9
5%以上の回収率で分離した。この溶出液中の放射標識を液体シンチレーション
計数により定量した。結果を加水分解された脂肪酸のパーセンテージ([サンプ
ルdpm−非特異性(ブランク)dpm/全dpm]×100)または時間対加
水分解%プロットの直線部分から得た加水分解値から計算した比活性(加水分解
された遊離酸(pモル)/m/分)として表した。非比活性は常に全カウント合
計の1%未満であった。蛋白質測定
全蛋白質濃度は、ブランドフォード蛋白質分析キット(バイオラド(Biorad
,Richmond,CA))により測定した。結果:
以下の式(I)および(II)の代表的化合物は、前記した方法において正のP
LA2抑制を示した。これらの化合物は一般に50μmレベルで陽性試験したが
、いくつかは500μMまでのレベルで正の抑制活性についても試験した。その
ような化合物は:
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(2,5−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニルオキシ]ベンゼンスルホン酸;
2−[4−クロロ−2−[3−(6−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−3−トリ
ル)ウレイド)フェニルオキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレイド
)フェニルオキシ]−4−トルエンスルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−2−トリル)ウレイド]−4−クロロフェノキシ]−
3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−[3−(α,α,α,α',α',α'−ヘキサフル
オロ−3,5−キシリル)ウレイド)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;
5−(1,1−ジメチルプロピル)−[2−[2−[3−(α,α,α−トリフルオロ−
3−トリル)ウレイド]−α,α,α−トリフルオロ−4−トリルオキシ)ベンゼン
スルホン酸;
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス
ルホン酸;
5−[[2−[3−(α,α,α,α',α',α'−ヘキサフルオロ−3,5−キシリル)ウ
レイド]−α,α,α−トリフルオロ−4−トリルオキシ]−5-(1,1−ジメチルプ
ロピル)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3,4−ジクロロフェニルアミノカルボニ
ルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2,3−ジクロロフェニルアミノカルボニ
ルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(4−クロロフェニルアミノカルボニルアミ
ノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3−トリフルオロメチルフェニルアミノカ
ルボニルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェ
ニルアミノ)カルボニルアミノ]フェノキシベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3−クロロ−4−(4−クロロフェノキシ)
フェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2−(3−クロロフェノキシ)−5−トリフ
ルオロメチルフェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシベンゼンスルホン酸
;オヨビ
5−クロロ−2−[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−(4−クロロフェノキシ)
フェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸
を包含する。分析(b):CoA−IT活性
以下に、CoA−IT活性の測定法および化合物のCoA−IT活性に対する
影響を示す。分析は、CoA−IT活性を有する細胞物質を1−アルキル−2−
アシル−GPCなどの安定なリソ燐脂質と混合し、添加したCoAまたはCoA
−脂肪酸の非存在下で起こる1−アルキル−2−アシル−GPCなどの燐脂質生
成物の生成の測定に基づく。
細胞調製
高レベルのCoA−IT活性を有するいずれの炎症細胞、例えば、好中球、マ
クロファージまたはU937細胞などのセルラインも用いることができる。U9
37細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type
Culture Collection)から入手し、10%牛胎仔血清(Hyclone,Logan,U
T)を補足したRPMI−1640培地(Gibco,Grand Island,New York
)中で37℃、5%CO2で増殖させた。細胞をジメチルスルホキシドなどの試
薬による分別(基底状態)なしに増殖させた。本明細書で用いる「炎症細胞」は
、好中球、マクロファージ、単球、リンパ球、好酸球、好塩基球および肥満細胞
を包含するが、これに限定されない。
ミクロソーム調製
ミクロソームは標準的技術を用いて調製する。この場合、細胞を250mMシ
ュークロース、10mM Tris、1mM EGTA、1mM MgCl2、pH7.4
の緩衝液で洗浄し、N2空洞形成(750psi、10分)により破裂した。破
壊細胞を1000×gで5分間遠心分離に付した。得られた上清を20000×
gで〜20分遠心分離に付した。100000×gで60分遠心分離に付し、こ
の上清からミクロソームを調製した。得られたペレットを分析緩衝液(150m
M NaCl、10mM Na2KPO4、1mM EGTA、pH7.4)で1回洗浄し
、
再遠心分離し、ペレットを分析緩衝液(4〜20mg蛋白質/ml)中に再懸濁
し、−80℃で分析するまで貯蔵した。
CoA−IT活性
CoA−IT活性を全容積100μl中1.5ml遠心管中で測定した。ミク
ロソームを、分析緩衝液中、望ましい蛋白質濃度(6〜20ug/試験管)に希
釈した。0.25mg/mlの脂肪酸の貧ウシ血清アルブミン(BSA)(Cali
Biochem,La Jolla,CA)を含む分析緩衝液中の[3H]1−アルキル−2
−リソ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(GPC)(〜0.1uCi/試験管
)ならびに1μM最終冷1−アルキル−2−リソ−GPCを添加することにより
反応を開始させた。[3H]1−アルキル−2−リソ−GPC、約50Ci/ミリ
モルをNEN−デュポン(Boston,Massachusetts)から入手し、冷1−アル
キル−2−リソ−GPCをバイオモル(Plymouth Meeting,Pennsylvania)
から入手した。[3H]1−アルキル−2−リソ−GPC添加前に、ミクロソー
ムを所望の試薬で所望の時間(10分)予備処理した。反応を所望の時間(10
分)37℃で行った。反応を停止し、100ulのクロロホルム:メタノール(
1:2、v/v)、続いて100ulのクロロホルムおよび100ulの1M
KCIの添加により脂質を抽出した。サンプルを攪拌し、高速で遠心分離機中2
ないし3分間遠心分離に付した。クロロホルム抽出物のアリコートを、通常、ク
ロロホルム/メタノール/酢酸エチル/水(50:25:8:4、v/v)中T
LCにより分離し、ラジオスキャンニング(Bioscan)により可視化し、生成物
、[3H]1−アルキル−2−アシル−GPCをかき取り、液体シンチレーショ
ン分光分析により定量した。このTLCシステムを用いて、1−アルキル−2−
リソ−GPCおよび1−アルキル−2−アシル−GPCの合成標体をよく分離し
、Rf値は、各々、約0.25および0.65であった。生成物から基質を分離す
るのに他の方法を用いることができ、これはカラムクロマトグラフィー、アフィ
ニティークロマトグラフィーおよび反応後誘導化を包含するが、これに限定され
ない。
バイオラド(Richmond,California)から入手した蛋白質分析試薬を用いて
蛋白質濃度を評価した。
結果
この分析において種々の化合物を試験し、その選択性および微細非選択的抑制
物質の検出不能性を測定した。5−リポキシゲナーゼ(5−LO)およびシクロ
オキシゲナーゼ(CO)の抑制物質、例えば、インドメタシン、ナプロキセン、
6−(4'−フルオロフェニル)−5−(4−ピリジル)−2,3−ジヒドロイミダゾ
−[2,1−b]チアゾールおよび6−(4'−フルオロフェニル)−5−(4−ピリ
ジル)−2,3−ジヒドロイミダゾ−[2,1−b]チアゾール−ジオキシドは10
0μMまでの濃度でCoA−IT活性に対して影響がなかった。抗酸化剤BHT
も100μMまでの濃度で影響をおよぼさなかった。燐脂質と錯体を形成し、P
LA2活性を抑制する化合物、例えばキナクリンおよびアリストロキン酸は50
0μMまでの濃度でCoA−IT活性に対して影響をおよぼさなかった。PAF
放出を抑制すると報告されている化合物であるドキセピンは100μMまでの濃
度でCoA−ITを抑制しなかった。アラキドン酸代謝を変更することによりロ
イコトリエン産生を減少させると報告されているナトリウムジコフェナックは5
00μMまでの濃度でCoA−IT活性に対して影響をおよぼさなかった。これ
らの結果は、CoA−IT活性に関する分析は感受性かつ選択的であることを示
す。
前記したミクロソームCoA−IT分析にて[一般に、50μMまたはそれ以
下]CoA−IT活性を抑制する式(I)および(II)の代表的化合物は以下の
とおりである:
4,5−ジクロロ−2−[4−トリフルオロメチル−2−(3−トリフルオロメチ
ル−4−クロロフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
2−[3−[3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド]−
4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナ
トリウム塩;
2−[2−[3−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド]−4−ト
リフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム塩;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−α,α,α−トリフルオ
ロ−3−トリル)ウレイド)フェノキシ]−4−トルエンベンゼンスルホン酸;
4,5−ジクロロ−2−[4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−α,α,α−トリフ
ルオロ−3−トリル)ウレイド)−フェノキシ]ベンゼンスルホン酸;および
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(3,4−ジクロロフェニルアミノカルボニ
ルアミノフェノキシ)ベンゼンスルホン酸。分析(c):アラキドン酸放出分析
ヒト好中球の調製
ヒト好中球を3つの異なる方法を用いて実験室で入手した。第一法は、正常な
ヒトからのロイコフォレシスパックを用い、ヒストパック−1077技術を用い
て好中球を単離する。血液を300×gで10分間遠心分離に付す。細胞ペレッ
トを、137mM NaCl、8.8mM Na2HPO4、1.5mM KH2PO4、2
.7mMKCl(Dulbecco's Gibco Laboratories,Long Island,New York
)からなるPBS中に再懸濁し、ヒストパック−1077(Sigma,St.Louis
,Missouri)上に重ねる。遠心分離(300×gで30分間)後、ペレットを
集め、PBS中で1回洗浄する。細胞ペレットを短期間脱イオン水に暴露して赤
血球を溶解させる。残存する細胞を遠心分離により集め、PBS中に懸濁し、サ
イトスピニングおよび染色後に同定する。最終白血球調製物は純度および生存率
が95%以上である。
第二法は、新鮮なヘパリン化標準血液からヒストパック−1077技術を用い
てヒト好中球を単離する。血液をヒストパック−1077(Sigma,St.Louis
Missouri)上に重ね、400×gで30分間遠心分離に付す。細胞ペレットを
35mlのPBSおよび12mlの6%デキストラン中に再懸濁し、続いて室温
で45分間デキストラン沈降に付す。上層を集め、さらに10分間1000rpm
で遠心分離する。細胞ペレットを短期間脱イオン水に暴露して赤血球を溶解させ
る。残存する細胞を遠心分離により集め、PBS中に懸濁し、サイトスピニング
および染色後に同定する。最終白血球調製物は純度および生存率が95%以上で
ある。
第三法は新しく採取したヘパリン化標準血液からパーコール技術を用いてヒト
好中球を単離する。血液をまず6%デキストランで室温で1時間沈降処理に付す
。血漿の上層を集め、400×gで10分間遠心分離する。細胞ペレットを5%
ウシ胎仔血清を補足したパーコール1.070g/ml中に再懸濁し、非連続勾
配(1.080、1.085、1.090、1.095g/ml)上に重ね、続いて
400×gで45分間遠心分離する。好中球を1.080と1.085および1.
085と1.090のパーコール濃度の界面から集め、続いて400×gで45
分間遠心分離する。好中球をPBS中に懸濁し、サイトスピニングおよび染色後
に計数し、同定する。最終白血球調製物は純度および生存率が95%以上であろ
う。
好中球の応答または3つの異なる技術により単離された好中球における試験化
合物の効果のいずれにも何ら違いはない。
ヒト好中球の処理
好中球を1mM Ca2+および1.1mM Mg2+を含むPBS中に5ないし20
×106細胞/mlの濃度懸濁する。細胞を試験管に添加し、所望の濃度で5な
いし10分間処理し、次にカルシウムイオノフォアA23187、2μM、また
はビヒクル対照、0.25〜1mg/ml BSAを含有するPBSで攻撃する。
5ないし20分後、等容積のクロロホルム:メタノール(1:2、v/v)をサ
ンプルに添加することにより反応を停止させる。[2H8]アラキドン酸(50、
100または200ng)を内標として添加し、等容積のクロロホルムおよび蒸
留水の添加により脂質を抽出する。サンプルを攪拌し、高速で遠心分離し、クロ
ロホルム層を清浄な試験管中に移す。
遊離アラキドン酸の分析
各サンプルのクロロホルム抽出物を蒸発乾固させ、物質をヘキサン中に再懸濁
する。ヘキサンをシリカ固相カラム(500mg)を通し、ヘキサンで2回洗浄
し、脂肪酸に富むフラクションをヘキサン:エチルエーテル(1:1、v/v)
で溶出する。窒素流下で溶媒をサンプルから除去し、アセトニトリル中ペンタフ
ルオロベンジルブロミドおよびジイソプロピルエチルアミンを用いてサンプルを
ペンタフルオロベンジルエステルに変換する。溶媒を除去し、サンプルをヘキサ
ン中に懸濁する。GC/MS分析を適当な装置、例えば1段階4重複系で操作す
るFinnigan MAT TSQ 700GC/MS/MS/DS(San Jose,Cal
ifornia)または5989A M5システムを備えたHewlett−Packard589
0で行う。
アラキドン酸および[2H8]アラキドン酸に対応するピークを同定し、これら
のピーク面積を比較し、放出されたアラキドン酸を各サンプルに関するアラキド
ン酸ngとして計算する。
Bio−Rad(Richmond,CA)から入手した蛋白質分析試薬を用いて蛋白質
濃度を評価する。
正の活性、すなわち、この分析にてアラキドン酸放出の抑制を示す本明細書の
代表的化合物は以下のとおりである:
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;およ
び
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピ
ル)ベンゼンスルホン酸;分析(d):血小板活性化因子(PAF)の産生に関する分析
ヒト好中球の調製:
正常なヒトから血液を入手し、好中球を前記アラキドン酸放出分析に関して記
載したように単離する。最終白血球調製物は95%以上の純度および生存率であ
る。
ヒト好中球の処理
好中球をPBS中に5ないし20×106細胞/mlの濃度で懸濁する。細胞
を試験管に添加し、所望の化合物で5ないし10分間処理し、次にカルシウムイ
オノフォアA23187、2μM、および20−30μCiの[3H]酢酸(N
EN−Dupont,Boston,Massachusetts)、または0.25〜1mg/mlの
BSAを含むPBSのビヒクルで攻撃する。5ないし20分後、等容量のクロロ
ホルム:メタノール(1:2、v/v)をサンプルに添加することにより反応を
停止させ、等容量のクロロホルムおよび蒸留水の添加により脂質を抽出する。サ
ンプルを攪拌し、高速で遠心分離に付し、クロロホルム層を清浄な試験管中に移
す。
PAFの分析
各試験管からのクロロホルムを蒸発乾固させ、物質を少量のクロロホルムまた
はクロロホルム:メタノール(25〜100μl)中に懸濁し、全物質をシリカ
TLCプレート上にスポットする。プレートをクロロホルム/メタノール/酢酸
/水(50:25:8:4、v/v)で展開し、ラジオスキャニング(Bioscan
)で可視化し、生成物[3H]PAFをかき取り、液体シンチレーション分光分
析により定量する。このTLCシステムで、PAFの合成標品のRf値は約0.3
3である。
この分析にて正の活性、すなわち、PAF産生の抑制を示す本発明の代表的化
合物は:
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸
である。分析(e):完全細胞における標識アラキドン酸の可動化に関するCoA−IT 抑制物質の評価法
CoA−IT抑制物質の、[3H]アラキドネートの非刺激炎症細胞における
1−エーテル燐脂質中への移動に対する影響の測定は、以下の方法を一般的に適
用することにより達成できる。ヒト好中球を単離し、ハンクス平衡塩溶液(HB
SS;Gibco)中に再懸濁させた(5×107/ml)。0.25mg/mlのH
SAを含有する200μlのHBSSと錯形成した[5,6,8,9,11,12,14,15
−3H]−アラキドン酸(1000Ci/ミリモル;New England Nuclear)
を細胞懸濁液(1μCi/ml)に添加した。細胞を37℃で5分間静かに震盪
しながらインキュベートした。HSA(0.25mg/ml)含有の40mlの
氷冷HBSSの添加により反応を停止した。ついで細胞を遠心分離(225g、
8分)により上清から除去した。取り込まれなかった[3H]アラキドン酸を、
2回以上の0.25mg/mlのHSAを含有するHBSSでの洗浄により完全
に除去した。好中球を新しい緩衝液中に再懸濁し、種々の濃度のCoA−IT抑
制物質またはそのビヒクルに暴露させ、刺激なしに2時間インキュベートした。
この時点で、細胞および緩衝液を入れた試験管を取り出し(Bligh & Dyer[
Can.J.Biochem.Physiol.(1959)37.911−917])、リン脂質
種を分離し、Ultrasphereシリカカラム(4.6mm×250mm;Rainin)を
用い、ヘキサン/2−プロパノール/エタノール/リン酸緩衝液(pH7.4)/
酢酸(490:367:100:30:0.6 v/v)で5分間、1ml/分
の流速で溶出して、通常の相HPLCにより収集した。溶出する溶媒中のリン酸
緩衝液の量を10分かけて5%まで増加させ、この溶媒の組成をすべてのリン脂
質種がカラムから溶出されるまで維持した(30〜40分)(Chilton,F.H.
[Methods Enzymol.(1990)187,157−166])。100mMの
トリス塩酸緩衝液(pH7.4)中のホスホリパーゼC、20単位ないし40単位
のバチルス・セレウス(Bacillus cereus)ホスホリパーゼC(シグマXIII型
)を2.5ないし6時間添加することでリン脂質をジラジルグリセロールに変換
し、ついで無水酢酸およびピリジンと共にインキュベートすることにより1,2
−ジラジル−3−アセチルグリセロールに変換した(Chilton,F.H.[Metho
ds
Enzymol.(1990)187,157−166])。リン脂質下位群をベンゼ
ン/ヘキサン/エチルエーテル(50:45:4 v/v)中TLCにより分離
し、画像分析(Bioscan)により位置決定し、各群の放射能量をゾーンスクラッ
プおよび液体シンチレーションカウンティングにより測定した。
この分析にて正の活性を示す、すなわち、アラキドン酸の1−エーテルリン脂
質への変化をブロックする本発明の代表的化合物は:
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸
である。
以下に化合物の所望の細胞に関して生じる細胞リン脂質のアラキドネート含量
を変える能力に関する評価法を示す。特に、マウス骨髄由来の肥満細胞を培養物
から取り出し、外因性[3H]アラキドン酸を30分間供給する。細胞中に取り
込まれなかった標識アラキドン酸を、細胞を2回アルブミン含有緩衝液で洗浄す
ることにより除去する。この時点で、細胞を種々の濃度のCoA−IT抑制物質
で処理し、ついで24ないし48時間培養物に戻す。リン脂質をBlighおよびD
yerの方法[Can.J.Biochem.Physiol.(1959)37,911−917]
により抽出し、リン脂質を通常の相HPLCにより、Chiltonの方法[Methods
Enzymol.(1990)187,157−166]により分離する。複合脂質中
のアラキドネートの放射能およびモル量を測定する。この時点で、細胞脂質抽出
物をKOH(0.5M)で処理して複合脂質(リン脂質)から脂肪酸を除去し、
ついでこれらの抽出物中のアラキドネートの量は、ガスクロマトグラフィーおよ
び質量分析を含む種々の方法より測定できる(Chilton、[Methods Enzymol.
(1990)187,157−166])。
この分析にて、正の活性を示す、すなわち、アラキドン酸含量を減少させる本
発明の代表的化合物は:
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸
である。分析(f):ヒト単球による刺激エイコサノイド放出の測定
ヒト単球の単離:バイオロジカル・スペシャリティー(Lansdale,PA)か
ら入手した白血球に富むロイコパックを抗炎症剤を摂取していない男性ボランテ
ィアより収集した。ロイコパックを2回遠心分離(90×g、15分間)して血
小板に富む血漿を除去した。細胞ペレットを遠心分離により洗浄し、Ca2+また
はMg2+を含まないHBSS中に再懸濁した。ヒストパック1077を細胞懸濁
液の下に重ね、400×gで30分間遠心分離し、淡黄色コートを得た。単球お
よびリンパ球を含む界面の淡黄色コートを除去し、保存した。淡黄色コートを遠
心分離によりCa2+またはMg2+不含のHBSSで2回洗浄した。細胞ペレット(
4〜6×108細胞/30ml)をイソ浸透圧培地(RPMI−1640、10
%熱不活化ウシ胎仔血清(FBS)、0.2mM L−グルタミン、2.5mM H
EPES)中に再懸濁し、等容量の46%パーコール混合物(10×PBS/パ
ーコール;9.25/0.75)および54%イソ浸透圧培地上に重ね、30分間
1000×gで遠心分離した(Marshall and Roshak,Biochem.Cell Biol.
71:331−339,1993)。パーコール勾配の界面に位置する単球集団
を除去し、Ca2+またはMg2+不含のHBSSで2回洗浄する。これにより、分別
染色により評価すると85〜90%以上の純度の単球を得る。
刺激誘発エイコサノイド放出の測定:単球(5×106/ml)を、ビヒクル
DMSO(<1%)または薬剤を含有する血清不含RPMI−1640培地中、
懸濁液として30分間27℃でインキュベートし、その後ビヒクルまたは刺激物
を指定時間に添加した。刺激剤をDMSO中に溶解し、適当なビヒクル対照をす
べての実験で用いる。刺激物の量を、通常、指定のインキュベーション時間(A
23187、1μM、15分)で37℃で60ないし80%最大刺激を示す、濃
度対生成物曲線の直線状部分から選択した。クエン酸の添加によるpHの低下お
よび遠心分離(10分間、400×g、4℃)により反応を終結させる。細胞生
存性をトリパンブルー排除を用いて実験の前後でモニターした。細胞不含の培地
をデカントし、分析するまで−70℃で貯蔵した。プロスタグランジンE2およ
びLTC4を細胞不含培地中カイメン・ケミカル社(Caymen Chemical Co.(
Ann Arbor,MI))より購入した酵素免疫分析(EIA)キットを用いて直
接測定した。サンプルまたは標準希釈物を適当な培地を用いて調製し、三回分析
した。結果を培地中調製した標準曲線の外挿から得、pgまたはng/サンプル
mlとして表す。
この分析にて正の活性を示す本発明の代表的化合物は:
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピ
ル)ベンゼンスルホン酸
であった。
例えば、前記の化合物は、(IC50として)PGE2で>10μM、LTC4で
1μMを示した。
in vivo分析
分析(gおよびh):TPA(分析g)またはアラキドン酸(分析h)誘発性 炎症に関する分析(法)
動物:
雄Balb/c近交マウスをチャール・リバー・ブリーディング・ラボラトリ
ーズ(Charle River Breeding Laboratories(Kingston,NY))より入
手した。1回の実験中ではマウス(22ないし25g)の年齢は一致させた。こ
れらのin vivo実験は、典型的には5ないし6匹/群を用いる。
(g)TPA誘発マウス耳炎症
耳浮腫の分析
アセトン中TPA(12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート
)(Sigma Chemical Co.)(4mg/20ml)をBALB/c雄マウスの
左
耳の内部および外部表面に塗布した。ついで、両耳の厚さを処置の2および4時
間後ダイアル・マイクロメーター(ミツトヨ、日本)で測定し、データを処置お
よび未処置の耳の間の厚さの変化(10-3cm)として表した。アセトンの塗布
は浮腫応答を起こさず、耳の厚さの違いはTPAに対する応答を示した。浮腫測
定後、炎症を起こした左耳を摘出し、適当ならばMPO(ミエロペルオキシダー
ゼ)活性に関して分析するまで−70℃で貯蔵した。
炎症耳組織におけるミエロペルオキシダーゼ(MPO)の分析
分析当日、部分解凍された耳組織を細かく切り、ティッシュマイザー・ホモジ
ナイザー(Tekmar Co.)で0.5%HTAB含有の50mMリン酸緩衝液(pH
6)中ホモジナイズ(10%w/v)した。組織ホモジネートを3サイクルの凍
結−解凍に付し、続いて短時間音波処理した(10秒)。Bradleyらの方法を記
載するような修正を加えて用いる。o−ジアニシジン(0.167mg/ml;
シグマ)および過酸化水素(0.0005%;シグマ)のMPO依存性反応から
の着色生成物の外観を460nmで分光光度計により測定した。上清MPO活性
ベックマンDU−7分光光度計およびカイネティクス・アナリシス・パッケージ
(Beckman Instruments,Inc.)を用いて動力学的に定量した(3分間測定した
吸光度における変化、15秒間隔でサンプリング)。MPO活性の1単位は25
℃で1分あたり過酸化物1マイクロモルを分解すると定義する。
統計:
統計分析をStudent「t」試験を用いて行った。ED50は炎症応答の50%抑
制を誘起する値であり、用量応答データの回帰分析により計算する。
(h)アラキドン酸誘発耳炎症分析
アラキドン酸をアセトン(1mg/耳)中に溶解し、BALB/c雄マウスの
左耳に塗布する。両耳の厚さを定圧厚さゲージを用いて処置の1時間後に測定し
、データを処置および未処置の耳の間の厚さの変化で表す。試験化合物またはビ
ヒ
クルをAA塗布時に投与する。炎症細胞浸潤をTPA耳浮腫分析において記載し
たように、MPO活性により測定する。浮腫測定を行った後、炎症耳を切除し、
MPO活性に関して分析する。
AAおよびTPA誘発マウス耳浮腫モデルにおいて局所投与した種々の標準的
抑制物質の抗炎症効果を、デキサメタゾン、スカララディアルおよびワイス化合
物WY50295について、各々、0.2、0.1および0.3の用量で測定した
。浮腫におけるTPA%変化は、各々、−50(p<0.001)、−46(p
<0.01)および−18(ns)であり;AAに関する変化は、−10(ns
)、−11(ns)および−50(p<0.001)であった。TPAモデルに
ついてのMPOの変化は、各々、−54(p<0.001)、−65(p<0.0
01)および−36(p<0.05)であり;AAの場合、変化は0(ns)、
−33(ns)および−90(p<0.001)であった。耳へのAA投与は、
後のプロ炎症脂質メディエイタ生成またはCoA−ITによるAA動態化につい
てのPLA2介在の基質の放出の必要性を無効にするという一の仮説がある。前
記したように、スカララジアルおよびデキサメタゾンはAA耳もデルにおいて、
TPA耳モデルにおいて有効であった濃度ではほとんどまたは全く効果がない。
これはAAに対する応答にて炎症を強く抑制する選択的5−LO抑制物質WY5
0295の活性と対比できる。したがって、AA耳モデルは5−LO抑制作用を
示す化合物に対してよく応答し、推定PLA2抑制物質によって影響を受けない
と思われる。したがって、このモデルは、種々の化合物のin vivo抗炎症活性に
対する5−LO抑制の寄与をLMW−PLA2抑制から分離できる独特の手段を
提供する。
式(II)の化合物、2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル
]アミノ]カルボニル]アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1
,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホン酸および2−[2−[3−(4−クロロ
−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4−トリフルオロメチルフェノ
キシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホン酸は、これらの動物実
験にて正の抑制を示した。
詳しくは、50mg/耳に局所投与したTPA耳モデルにおいて、両方の化合
物は炎症性細胞浸潤の略等しい効能を有する抑制物質であることが証明された。
化合物2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド
]−4−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベン
ゼンスルホン酸は、浮腫の場合、0.32mg/耳のED50を、MPOの場合、
0.36mg/耳のED50を示し、2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチ
ル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキ
シ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホン酸は、浮腫の場合、0.
87mg/耳およびMPOの場合、0.25mg/耳であった。
加えて、AA耳モデルでは、デキサメタゾン、スカララジアルおよびワイス化
合物について前記した情報とは正反対の、化合物2−[2−[3−(4−クロロ−
3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4−トリフルオロメチルフェノキ
シ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンスルホン酸は、1mgで−22の
活性を示し、2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]
カルボニル]アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジ
メチルプロピル)ベンゼンスルホン酸は、1mgで−25の活性を示した。
かくして、これは、限定されるものではないが、炎症性腸疾患、接触性皮膚病
、光線性角化症、乾癬または結膜炎のような、本明細書に記載の炎症に伴う疾患
の局所投与治療にて明瞭な有用性を示す。
分析(I):LMW−PLA2についてのDMPM分析
DMPM分析を特異的触媒性抑制物質と非特異的薬剤と区別するのに用いる。
低分子量のPLA2により触媒作用は、2工程、すなわち、まず酵素が水−脂質
の界面に結合し、ついでその活性部位でリン脂質の単分子と結合し、加水分解す
ることからなる。その界面に対する結合は可逆工程である。界面結合および基質
加水分解の相対速度は、個々の基質系における速度論を決定する。化合物が表面
電荷または界面の「特性」に影響を及ぼすならば、抑制は、加水分解が抑制され
るからというよりもむしろ酵素がより少ない時間を界面で費やすため生じるのか
もしれない。DMPMが低分子量のPLA2をその水−脂質界面に非常に固く結
合させ、加水分解反応がその界面結合に対して完全に進行性となることがわかっ
ている。すなわち、酵素が表面から離れる前に、多くの(本質的には無数の)加
水分解サイクルが生じる。界面結合は酵素の表面の略大部分と関与しているため
、この強固な結合が、抑制物質の添加された妥当な濃度(10モル%未満)で影
響することはないであろう。DMPMを用いると、界面結合工程が反応速度論に
て重要なファクターであるより一般的なPLA2分析に固有のアーチファクトを
基質が排除する。
Dixonプロットに類似する速度論的モデルによれば、DMPM分析における直
線状の抑制は、競合抑制と非競合抑制を区別することはできないが、特異的な酵
素相互作用を意味する。結果を、Xi50としてまたは50%抑制に必要な脂質基
質に対するモル%として表す。基質の調製
:
0.1mg/分析のDMPMを秤量し、分析当たり[3H]DPPCを含むCH
Cl3 5mlに溶かし、シラン処理した13x100試験管に入れ、CHCl3中
のDMPMを加え、アルゴン下で乾燥し、わずか1mlの水に再懸濁させ、出力
を10にセットして1.5分間音波処理し、室温に5〜10分間放置し、容量を
分析当たり50μLに調整し、シラン処理した12x75試験管にアリコートし
た。分析
:
前記調製の50μLのDMPM/DPPC、および抑制物質(モルフラクショ
ンにて測定、水またはDMSO中に添加)に加え、50℃に5〜10分間加熱し
、必要ならば、同じ温度で平衡にした水を加え、150μLのCa混合物(1.2
mLの0.12M CaCl2、0.6mLの0.4M HEPES(pH8.0)、10
.2mLの水)を加え、室温に冷却する(15分)。酵素を添加し、撹拌するこ
とで分析を開始する。5μLの5N HClを添加することでクエンチし、2x0
.
5mLのクロロホルム:メタノール(2:1)で抽出する。抽出物を乾燥し、0
.5mLのへキサン:酢酸エチル:酢酸(80:20:1)に再懸濁させ、調整
された3mLのSiカラム(1mLのヘキサンで調整)に加える。2.5mLの同
じ溶媒でシンチレーションバイアル中に溶出し、7mLのカクテルを添加し、い
ずれか適用可能な周知方法で計数する。
前記した分析にて正の活性を示す式(I)および(II)の代表的化合物は:
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−クロロフェノキシ]−5−クロロベンゼンスルホン酸、および好ま
しくは、そのモノナトリウム塩;
5−クロロ−2−[2−(3−(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ウレイド)
−4−トリフルオロメチルフェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;
5−(1,1−ジメチルプロピル)−2−[4−(トリフルオロメチル)−2−[[[[3
−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]ベン
ゼンスルホン酸、好ましくはそのモノナトリウム塩;
2−[2−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]−4
−トリフルオロメチルフェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピル)ベンゼンス
ルホン酸;
2−[2−[[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]
アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−(1,1−ジメチルプロピ
ル)ベンゼンスルホン酸;
5−クロロ−2−[(4−クロロ−2−(3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチ
ルフェニル)ウレイド)フェニル)チオ]ベンゼンスルホン酸;および
5−クロロ−2−(4−クロロ−2−(2−(3−クロロフェノキシ)−5−トリフ
ルオロメチルフェニルアミノカルボニルアミノ)フェノキシベンゼンスルホン酸
;
である。
本明細書において用いる種々の略号および説明は以下のとおりである:[3H]
,放射活性なアソトープである三重水素元素を含有する分子;A23187,細
胞中にカルシウムを自由に流入させる化合物;AA,アラキドン酸;アラキドネ
ート,リン脂質中に含まれるアラキドン酸;遊離アラキドン酸,リン脂質中に含
まれないアラキドン酸;[2H8]アラキドン酸,8個の安定なアイソトープであ
る二重水素元素で標識されたアラキドン酸の形態;1−アルキル,1−O−アル
キル;1−アルケニル,1−O−アルク−1’−エニル;BSA,ウシ血清アル
ブミン;CoA,補酵素A;CoA−IT,CoA独立性トランスアシラーゼ;
DTT,ジチオトレイトール;EGTA,[エチレンビス(オキシエチレンニト
リロ)]テトラ酢酸,カルシウムキレート化剤;GPC,sn−グリセロ−3−
ホルホコリン;EDTA,金属イオンキレート化剤;GPE,sn−グリセロ−
3−ホルホエタノールアミン;GC/MS,ガスクロマトグラフィーおよび質量
分析;5HETE,5(S)−ヒドロキシエイコサ−6,8,11,14−テトラ
エン酸;15HETE,15(S)−ヒドロキシエイコサ−5,8,11,13−
テトラエン酸;HL−60,単球に類似したアメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクション指定セルライン;LTB4,ロイコトリエンB4;LTC4,ロイコ
トリエンC4;LTD4,ロイコトリエンD4;リソPAF,1−アルキル−2−
リソ−GPC,リソ血小板活性化因子;PLA2,ホスホリパーゼA2;PBS,
リン酸緩衝セイライン;PAF,血小板活性化因子,1−アルキル−2−アセチ
ル−GPC;PL,リン脂質;PC,ホスファチジルコリン;PE,ホスファチ
ジルエタノールアミン;PI,ホスファチジルイノシトール;PMN,多形核好
中性細胞、好中球;PS,ホスファチジルセリン;Rf,化合物が溶媒のフラク
ションとして移動する距離;TLC,薄層クロマトグラフィー;U937,単球
に類似したアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション指定セルライン。
前の記載は、本発明の好ましい具体例を含め、本発明を十分に開示するもので
ある。本明細書中に詳細に開示されている具体例の修飾および改良も後記する請
求項の範囲内である。さらに工夫することなく、当業者は前の記載を用いて本発
明を最大限に利用できると考えられる。したがって、本明細書の実施例は単なる
例示的なものであって、本発明の範囲をなんら制限するものではないと解釈すべ
きである。排他的性質および優先性を請求する本発明の具体例を以下のように定
義する。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/185 ACJ A61K 31/185 ACJ
ADA ADA
AED AED
(72)発明者 ディクソン,ジェイムズ・スコット
アメリカ合衆国19355ペンシルベニア州
マルバーン,セント・アンドリュース・ド
ライブ920番
(72)発明者 ホール,ラルフ・フロイド
アメリカ合衆国19085ペンシルベニア州
ビラノバ,プロスペクト・ヒル・ロード
1311番
(72)発明者 マーシャル,リサ・アン
アメリカ合衆国19118ペンシルベニア州
ワインドムーア、ワイドナー・ロード8514
番
(72)発明者 チルトン,フロイド・エイチ・ザ・サード
アメリカ合衆国27041ノースカロライナ州
パイロット・マウンテン、パターソン・
ファーム・ロード、ピー・オー・ボックス
65(番地の表示なし)
(72)発明者 メイヤー,ルース・ジュディク
アメリカ合衆国19087ペンシルベニア州
ウェイン、レビール・ロード115番
(72)発明者 ウィンクラー,ジェイムズ・デイビッド
アメリカ合衆国19034ペンシルベニア州
フォート・ワシントン、ハートランフト・
アベニュー 701番