JPH10321342A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JPH10321342A
JPH10321342A JP9368546A JP36854697A JPH10321342A JP H10321342 A JPH10321342 A JP H10321342A JP 9368546 A JP9368546 A JP 9368546A JP 36854697 A JP36854697 A JP 36854697A JP H10321342 A JPH10321342 A JP H10321342A
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spark
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center electrode
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Wataru Matsutani
渉 松谷
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • H01T13/39Selection of materials for electrodes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発火部の合金組成がIr−Rh系をベースと
しつつも、従来のIr−Rh二元合金を使用したものと
比較して、高温でのIr成分の酸化・揮発による発火部
の消耗が格段に起こりにくいスパークプラグを提供す
る。 【解決手段】 スパークプラグ100は、中心電極3
と、その中心電極3の外側に設けられた絶縁体2と、絶
縁体2の外側に設けられた主体金具1と、主体金具1に
一端が結合され、他端側が中心電極3と対向するように
配置された接地電極4とを備え、それら中心電極3と接
地電極4との少なくとも一方にチップ31ないし32が
固着されて火花放電ギャップgが形成される。そして、
該チップ31ないし32は、Irを主体としてRhを
0.1〜35重量%の範囲で含有し、さらにRu及びR
eの少なくともいずれかを合計で0.1〜17重量%の
範囲で含有する合金により構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関に使用され
るスパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車エンジン等の内燃機関用の
スパークプラグとして、耐火花消耗性向上のために、電
極の先端にPt(白金)合金のチップを溶接して発火部
を形成したものが使用されているが、白金は高価であり
融点も1769℃程度であって耐火花消耗材料としては
十分ではないため、チップ材料としてより安価で融点も
2454℃程度と高いIr(イリジウム)を使用する提
案がなされている。ところが、発火部をIrで構成した
場合、Irは900〜1000℃の高温域においては、
揮発性の酸化物を生じて消耗しやすい性質を有している
ため、そのまま電極発火部に使用すると、火花消耗より
も酸化揮発による消耗が問題となる欠点がある。従っ
て、市街地走行のような温度の低い条件であれば耐久性
はよいが、高速連続運転の場合には、耐久性が極端に低
下してしまう問題がある。
【0003】そこで、チップを構成する合金に適当な元
素を添加して、Irの酸化揮発による消耗を抑さえる試
みがなされている。例えば、特開平9−7733号公報
には、Rhを添加することによりIr成分の酸化揮発を
抑さえ、チップの高温耐熱性と耐消耗性を改善したスパ
ークプラグが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
開示されたスパークプラグにおいてチップ材料として使
用されているIr−Rh合金は、内燃機関の高速・高負
荷連続運転に耐えうるだけの酸化揮発による消耗を抑え
るためには、Rhの含有量をかなり多くしなければなら
ない。しかしながら、RhはIrと比べて数倍高価であ
り、しかも融点は1970℃程度とIrよりもかなり低
いため、含有量を多くし過ぎるとチップの材料コストが
高騰するばかりでなく、耐火花消耗性も十分ではなくな
るという問題がある。すなわち、近年では、内燃機関の
性能向上に伴いプラグの使用条件はますます厳しくなる
傾向にあり、チップをIr−Rh二元合金により構成し
た場合には、Rhの含有量を相当に増やすと、運転条件
によっては耐火花消耗性を必ずしも十分に確保できない
場合がある。
【0005】なお、上記公報の実施例には、Ir−Rh
二元合金をベースとして、これにPt、Niといった第
三金属成分を、Irを置換する形で添加した合金でチッ
プを構成したときの、プラグの耐久性試験の結果が開示
されている。しかしながら、該結果によれば耐久試験後
のチップの消耗量は、PtないしNiを添加しない合金
を用いた場合よりも却って大きくなっており、Ir−R
h二元合金の耐消耗性を改善する結果にはなっていな
い。
【0006】本発明の第一の課題は、発火部の材料とし
てIr−Rh系合金を使用しつつも、従来のIr−Rh
二元合金を使用したものと比較して、高温でのIr成分
の酸化・揮発による発火部の消耗が格段に起こりにく
く、ひいては市街地走行においても、高速走行において
も優れた耐久性を確保することができるスパークプラグ
を提供することにある。また、第二の課題は、上記第一
の課題を解決しつつ、さらに、高価なRhの含有量を上
記従来のスパークプラグよりも少なく抑さえることがで
き、より安価で耐久性を確保できるスパークプラグを提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために本発明のスパークプラグの第一の構
成は、中心電極と、その中心電極の外側に設けられた絶
縁体と、絶縁体の外側に設けられた主体金具と、中心電
極と対向するように配置された接地電極と、それら中心
電極と接地電極との少なくとも一方に固着されて火花放
電ギャップを形成する発火部とを備え、その発火部が、
Irを主体としてRhを0.1〜35重量%の範囲で含
有し、さらにRu及びReの少なくともいずれかを合計
で0.1〜17重量%の範囲で含有する合金により構成
されることを特徴とする。
【0008】また、本発明のスパークプラグの第二の構
成は、中心電極と、その中心電極の外側に設けられた絶
縁体と、絶縁体の外側に設けられた主体金具と、中心電
極と対向するように配置された接地電極と、それら中心
電極と接地電極との少なくとも一方に固着されて火花放
電ギャップを形成する発火部とを備え、その発火部が、
Irを主体としてRhを0.1〜35重量%の範囲で含
有し、さらにRuを0.1〜17重量%の範囲で含有す
る合金により構成されることを特徴とする。
【0009】本発明者は、火花放電ギャップを形成する
発火部を、Irを主体として上記組成範囲のRhを含有
し、さらにRu及びReの少なくともいずれかを上記組
成範囲で含有する合金で構成することで、高温でのIr
成分の酸化揮発による消耗が、前記従来技術に開示され
たIr−Rh二元合金を使用した場合と比較してさらに
効果的に抑制され、ひいてはより耐久性に優れたスパー
クプラグが実現されることを見い出したのである。
【0010】なお、上記発火部は、表記組成の金属から
なるチップを、接地電極及び/又は中心電極に対し溶接
により接合して形成することができる。この場合、本明
細書でいう「発火部」とは、接合されたチップのうち、
溶接による組成変動の影響を受けていない部分(例え
ば、溶接により接地電極ないし中心電極の材料と合金化
した部分を除く残余の部分)を指すものとする。
【0011】上記合金中のRhの含有量が0.1重量%
未満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分とな
り、発火部が消耗しやすくなるためプラグの耐消耗性が
確保できなくなる。一方、Rhの含有量が30重量%を
超えると、ReないしRuを含有する合金の融点が低下
して耐火花消耗性が損なわれ、プラグの耐久性が同様に
確保できなくなる。それ故、Rhの含有量は上記範囲で
調整される。
【0012】一方、RuないしReの合計含有量が0.
1重量%未満になると、これら元素の添加によるIrの
酸化揮発による消耗を抑制する効果が不十分となり、例
えばIr−Rh二元系合金を使用した場合に対する優位
性が失われる。また、RuないしReの合計含有量が1
7重量%を超えると、発火部が却って火花消耗しやすく
なり、プラグの十分な耐久性が確保できなくなる。それ
故、Ru及びReの合計含有量は上記範囲で調整され、
望ましくは0.1〜13重量%、さらに望ましくは0.
5〜10重量%の範囲で調整するのがよい。
【0013】なお、Ru及びReはいずれか一方のみを
単独で添加してもよく(例えば本発明の第二の構成では
Ruのみを添加する形となる)、両者を複合して添加し
てもいずれでもよい。
【0014】Ru及び/又はReを合金に添加すること
により発火部の耐消耗性が改善される原因の一つとし
て、例えばこれら成分の添加により、合金表面に高温で
安定かつ緻密な酸化物皮膜が形成され、単体の酸化物で
は揮発性が非常に高かったIrが、該酸化物皮膜中に固
定されることが推測される。そして、この酸化物皮膜が
一種の不動態皮膜として作用し、Ir成分の酸化進行を
抑制するものと考えられる。また、後述の実験データに
示す通り、Rhを添加しない状態では、Ru及び/又は
Reを添加しても合金の高温での耐酸化揮発性はそれほ
ど改善されないことから、上記酸化物皮膜はIr−M−
Rh系等の複合酸化物(ただしMはRu及びReの1種
又は2種以上。以下同じ)であり、これが緻密性ないし
合金表面に対する密着性においてIr−M系の酸化物皮
膜より優れたものとなっていることも考えられる。
【0015】なお、Ru及び/又はReの合計含有量が
増え過ぎると、Ir酸化物の揮発よりはむしろ下記のよ
うな機構により火花消耗が進行するようになるものと推
測される。すなわち、形成される酸化物皮膜の緻密性あ
るいは合金表面に対する密着力が低下し、該合計含有量
が17重量%を超えると特にその影響が顕著となる。そ
して、スパークプラグの火花放電の衝撃が繰返し加わる
と、形成されている酸化物皮膜が剥がれ落ちやすくな
り、それによって新たな金属面が露出して火花消耗が進
行しやすくなるものと考えられる。
【0016】また、Ru及び/又はReの添加により、
さらに次のような重要な効果を達成することができる。
すなわち、Ru及び/又はReを合金中に含有させるこ
とにより、Ir−Rh二元合金を使用する従来のスパー
クプラグと比較して、Rh含有量を大幅に削減しても耐
消耗性を十分に確保でき、ひいては高性能のスパークプ
ラグをより安価に構成できるようになる。そして、本発
明のスパークプラグの第三の構成は、発火部の合金組成
以外は第一の構成と同様であるが、発火部を構成する合
金のRhの含有量が、第一の構成よりも少ない0.1〜
3重量%の範囲で調整される。なお、RuとReとは、
第一の構成と同様に、その少なくともいずれかが合計で
0.1〜17重量%の範囲で含有される。
【0017】すなわち、Ir−Rh二元合金を使用する
前述の特開平9−7733号公報には、発火部たるチッ
プに含有されるRhの量は、1〜60重量%の範囲で調
整され、望ましくは3〜30重量%の範囲で調整される
旨が開示されている。そして、その実施例にも示されて
いるように、Ir−Rh二元合金の場合、Rhの含有量
が1重量%未満の組成においてはチップの耐消耗性が明
らかに不足し、1〜3重量%の範囲においても必ずしも
最上の耐消耗性は確保されていない。しかしながら、R
u及び/又はReを添加することにより、従来、十分な
耐消耗性の確保は困難とみなされていた上記組成範囲に
おいて、前記二元合金を使用した従来のスパークプラグ
に匹敵するか、又はそれ以上の耐消耗性を確保できるよ
うになる。
【0018】なお、発火部の酸化消耗特性の評価方法と
しては各種考えられるが、本発明においては一つの目安
として、該発火部を構成する合金により直径0.7mm、
厚さ0.5mmの円板状の試験片を作製し、これを大気中
にて1100℃で30時間保持した後の試験片の重量減
少値(以下、酸化減量という)を採用するものとする。
そして、発火部の合金の組成は、上記酸化減量が20%
以下となるように選定するのがよい。酸化減量が20%
を超えると、発火部の耐消耗性を確保できなくなる場合
がある。なお、合金の組成は、上記酸化減量が、望まし
くは10%以下、さらに望ましくは5%以下となるよう
に設定するのがよい。
【0019】また、上記発火部を構成する合金には、元
素周期律表の3A族(いわゆる希土類元素)及び4A族
(Ti、Zr、Hf)に属する金属元素の酸化物(複合
酸化物を含む)を0.1〜15重量%の範囲内で含有さ
せることができる。これにより、Ir成分の酸化・揮発
による消耗がさらに効果的に抑制される。上記酸化物の
含有量が0.1重量%未満になると、当該酸化物添加に
よるIrの酸化・揮発防止効果が十分に得られなくな
る。一方、酸化物の含有量が15重量%を超えると、チ
ップの耐熱衝撃性が低下し、例えばチップを電極に溶接
等により固着する際に、ひびわれ等の不具合を生ずるこ
とがある。なお、上記酸化物としては、Y23が好適に
使用されるが、このほかにもLa23、ThO2、Zr
2等を好ましく使用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の
形態を図面を用いて説明する。図1に示す本発明の一例
たるスパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端
部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込
まれた絶縁体2、先端に形成された発火部31を突出さ
せた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及
び主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに
他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の
先端部と対向するように配置された接地電極4等を備え
ている。また、図2に示すように、接地電極4には上記
発火部31に対向する発火部32が形成されており、そ
れら発火部31と、対向する発火部32との間の隙間が
火花放電ギャップgとされている。
【0021】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパーク
プラグ100のハウジングを構成するとともに、その外
周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロック
に取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0022】次に、中心電極3及び接地電極4の本体部
3a及び4aはNi合金等で構成されている。一方、上
記発火部31及び対向する発火部32は、Irを主体と
してRhを0.1〜35重量%、望ましくは0.1〜3
重量%の範囲で含有し、さらにRu及びReの少なくと
もいずれか(例えばRu)を合計で、0.1〜17重量
%、望ましくは0.1〜13重量%、より望ましくは
0.5〜10重量%の範囲で含有する合金により構成さ
れる。
【0023】図3に示すように、中心電極3の本体部3
aは先端側が縮径されるとともにその先端面が平坦に構
成され、ここに上記発火部を構成する合金組成からなる
円板状のチップを重ね合わせ、さらにその接合面外縁部
に沿ってレーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等に
より溶接部Wを形成してこれを固着することにより発火
部31が形成される。また、対向する発火部32は、発
火部31に対応する位置において接地電極4にチップを
位置合わせし、その接合面外縁部に沿って同様に溶接部
Wを形成してこれを固着することにより形成される。な
お、これらチップは、例えば表記組成となるように各合
金成分を配合・溶解することにより得られる溶解材、又
は合金粉末あるいは所定比率で配合された金属単体成分
粉末を成形・焼結することにより得られる焼結材により
構成することができる。
【0024】発火部31及び対向する発火部32のいず
れか一方を省略する構成としてもよい。この場合には、
発火部31又は対向する発火部32と接地電極4又は中
心電極3との間で火花放電ギャップgが形成される。
【0025】以下、スパークプラグ100の作用につい
て説明する。すなわち、スパークプラグ100は、その
ねじ部7においてエンジンブロックに取り付けられ、燃
焼室に供給される混合気への着火源として使用される。
ここで、その火花放電ギャップgを形成する発火部31
及び対向する発火部32が前述の合金で構成されること
で、Irの酸化・揮発による発火部の消耗が抑制され、
加えて融点の高い材料を有効に使用できることによって
耐火花消耗性も改善される。これにより、長期に渡って
火花放電ギャップgが拡大せず、プラグ100の寿命を
伸ばすことができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)所定量のIr、Rh、Re及びRuを配合
・溶解することによりIrを主体としてRhとRe又は
Ruとを各種組成で含有する合金を作製し、これを直径
0.7mm、厚さ0.5mmの円板状のチップに加工した。
そして、それらチップを試験片とし、大気中にて110
0℃で30時間保持した後の各試験片の重量減少を測定
した。その結果を図4〜図6に示す。まず、図4は、R
e及びRuを含有しない、Ir−Rh二元合金を用いた
場合の試験片の酸化減量と、Rh含有量との関係を示し
ている。Rhを3重量%以上添加した場合は、酸化減量
の値が比較的小さく、スパークプラグの発火部として使
用可能であることが示唆されているが、3重量%未満の
範囲では酸化減量は急速に大きくなっており、発火部と
しての耐消耗性に問題が生ずることを示している。
【0027】次に、図5は、Rhの含有量を1重量%に
固定したときの、試験片の酸化減量と、ReないしRu
含有量との関係を示している。ReとRuとは、合金に
対してそれぞれ単独で添加したが、酸化減量とそれらの
含有量との関係は両者でほとんど差は生じなかった。図
5にはその結果を重ね合わせた形で示している。すなわ
ち、ReとRuとを添加しない場合(図4でRh=1重
量%に対応)は、酸化減量がほぼ100%に近い大きな
値を示しているのに対し、ReないしRuを微量添加し
ただけで酸化減量は急速に小さくなり、添加量が0.5
重量%以上では20%以下、1重量%以上では10%以
下と大幅に減少していることがわかる。これは、図4に
示すIr−Rh二元合金の試験結果において、Rh含有
量を20重量%以上に増大させた場合に匹敵するか、あ
るいはそれをしのぐ良好なレベルであり、該合金でスパ
ークプラグの発火部を構成すれば、プラグの温度が上昇
する高速・高負荷運転状態においても発火部の消耗が抑
制され、プラグの耐久性が高められることが示唆されて
いる。なお、ReないしRuの含有量が10重量%を超
えると酸化減量は増大に転じ、さらに含有量が17重量
%を超えると、発火部の耐消耗性に問題を生じうる40
%程度にまで酸化減量が大きくなっている。
【0028】また、図5には、Rhを添加しない場合の
試験結果を破線で示しているが、酸化減量の大幅な改善
は見られない。このことは、合金の酸化揮発による消耗
性を向上させる効果が、RhとReないしRuとが複合
添加されることではじめて達成され、それら元素の添加
効果が一体不可分に結びついていることを示すものであ
る。
【0029】一方、図6は、Rhの含有量を30重量%
に固定して同様の試験を行なった場合の、結果を示すも
のである。ReないしRuの添加量を例えば0.5〜1
0重量%の範囲で設定した合金は、それらを添加しない
Ir−Rh二元合金に比べて、酸化減量の値が1/3〜
1/4程度に小さくなっていることがわかる。
【0030】(実施例2)所定量のIr、Rh、Re及
びRuを配合・溶解することによりIrを主体としてR
hとRe又はRuとを各種組成で含有する合金を作製
し、これを直径0.7mm、厚さ0.5mmの円板状のチッ
プに加工した。
【0031】なお、合金中のRuないしReの添加条件
は、RuないしReの合計含有量を10重量%又は0.
5重量%のいずれかに固定するとともに、それぞれRu
単独添加、Re単独添加及びRu−Reの複合添加の、
都合6種類のいずれかに設定し、各条件毎にRh含有量
を0〜40重量%の各種値で設定した(ただし0重量%
は比較例)。また、比較のため、Re及びRuをいずれ
も添加せず、Rh含有量を0〜40重量%各種値で設定
した合金のチップも合わせて作製した。
【0032】そして、このチップを用いて図1及び図2
に示すスパークプラグ100の発火部31及び対向する
発火部32を形成した。ただし、火花放電ギャップgの
幅は1.1mmに設定した。そして、これらプラグの性能
試験を以下の条件にて行った。すなわち、6気筒ガソリ
ンエンジン(排気量3000cc)にプラグを取り付け、
スロットル全開状態、エンジン回転数5500rpmに
て400時間連続運転し(中心電極温度約900℃)、
運転終了後のプラグの火花放電ギャップgの拡大量を測
定した。図7は、その結果を合金中のRhの含有量と火
花放電ギャップ増加量との関係で示したものである。
【0033】すなわち、Re及び/又はRuを含有させ
た合金で発火部を構成したものは、それらの含有量を
0.5重量%及び10重量%のいずれに設定した場合に
おいても、Ru単独添加、Re単独添加及びRu−Re
の複合添加の別によらず、ReないしRuを含有しない
Ir−Rh二元合金で発火部を構成したものと比較し
て、いずれのRh含有量においてもこれとほぼ同等か、
あるいはそれ以上の耐消耗性を示している。例えば、R
e及び/又はRuの合計含有量が0.5重量%の条件で
は、Rhが5〜35重量までの広い組成範囲で、良好な
耐消耗性能が安定的に得られていることがわかる。ま
た、Rh含有量が5重量%未満の範囲においては、二元
合金を使用したものでは耐消耗性が急速に低下している
のに対し、Re及び/又はRuを含有する合金を使用し
たものは、良好な耐消耗性を示していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグを示す正面断面図。
【図2】その発火部側の正面部分断面図。
【図3】図2の要部を示す拡大断面図。
【図4】実施例1において、Ir−Rh二元合金試験片
を用いた場合の、試験片中のRh含有量と酸化減量との
関係を示すグラフ。
【図5】同じく、Rhを1重量%含有するIr−Rh−
Re系合金試験片ないしIr−Rh−Ru系合金試験片
を用いた場合の、試験片中のRe又はRuの含有量と酸
化減量との関係を示すグラフ。
【図6】同じく、Rhを30重量%含有するIr−Rh
−Re系合金試験片ないしIr−Rh−Ru系合金試験
片を用いた場合の、試験片中のRe又はRuの含有量と
酸化減量との関係を示すグラフ。
【図7】発火部を構成する各種合金中のRh含有量と、
火花放電ギャップの増加量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】 1 主体金具 2 絶縁体 3 中心電極 4 接地電極 31 発火部(チップ) 32 対向する発火部(チップ) g 火花放電ギャップ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との少なくとも一方に
    固着されて火花放電ギャップを形成する発火部とを備
    え、 その発火部が、Irを主体としてRhを0.1〜35重
    量%の範囲で含有し、さらにRu及びReの少なくとも
    いずれかを合計で0.1〜17重量%の範囲で含有する
    合金により構成されることを特徴とするスパークプラ
    グ。
  2. 【請求項2】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との少なくとも一方に
    固着されて火花放電ギャップを形成する発火部とを備
    え、 その発火部が、Irを主体としてRhを0.1〜35重
    量%の範囲で含有し、さらにRuを0.1〜17重量%
    の範囲で含有する合金により構成されることを特徴とす
    るスパークプラグ。
  3. 【請求項3】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との少なくとも一方に
    固着されて火花放電ギャップを形成する発火部とを備
    え、 その発火部が、Irを主体としてRhを0.1〜3重量
    %の範囲で含有し、さらにRu及びReの少なくともい
    ずれかを合計で0.1〜17重量%の範囲で含有する合
    金により構成されることを特徴とするスパークプラグ。
  4. 【請求項4】 前記発火部を構成する合金は、Ru及び
    Reの少なくともいずれかを合計で0.1〜13重量%
    の範囲で含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の
    スパークプラグ。
  5. 【請求項5】 前記発火部を構成する合金は、Ru及び
    Reの少なくともいずれかを合計で0.5〜10重量%
    の範囲で含有する請求項1ないし4のいずれかに記載の
    スパークプラグ。
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