JP4167816B2 - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパークプラグの製造方法及びそれに使用される加締め用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパークプラグの主体金具は一般に炭素鋼等の鉄系材料で構成されている。そして、腐食防止のため主体金具の表面に亜鉛メッキ又はニッケルメッキ等の金属メッキ層を施したり、さらにこれら金属メッキ層が形成された後の表面にさらにクロメート被膜を施したりする方法が行なわれている。これら表面処理のうちでクロム成分として六価クロムが含有されるクロメート被膜(以下、六価クロメート被膜ともいう)は、特に防食性が良好でありスパークプラグに好適に使用されている。しかしながら、六価クロメート被膜はそのクロム成分として六価クロムを含有しているため、環境保護が高まりつつある昨今ではしだいに敬遠される傾向にあり、将来全廃しようとの検討も進められている。
【0003】
そこで、六価クロムをほとんど含有しないクロメート被膜、つまりクロム成分の略全てが三価クロムであるクロメート被膜(以下、三価クロメート被膜ともいう)の開発が比較的早くから行なわれていた。このようなクロメート被膜は六価クロムの含有量が比較的低い処理浴によって形成可能であり、また、全く六価クロムが含有しない処理浴からも形成することができる。
【0004】
なお、上記のような三価クロメート被膜においては、厚い膜厚のものを形成することが困難であったため、六価クロメート被膜と比較して良好な耐食性を得るのが困難であった。しかし、処理浴の開発によりクロメート被膜の膜厚を厚くすることが可能となり、良好な耐食性を確保できることとなった。したがって、六価クロメート被膜とともに、スパークプラグの主体金具における腐食防止に好適に使用される傾向にある。
【0005】
一方、スパークプラグの主体金具をその内部に挿入された先端側に中心電極を配置した絶縁体の外側に取付ける方法として、筒状に形成された主体金具の後端部周縁(加締め予定部)を絶縁体の外周面に向けて屈曲させて加締め固定する方法が一般的に行われている。
【0006】
しかしながら、主体金具として、その表面に三価クロメート被膜が形成されているものを使用すると、加締め固定後に主体金具の各種寸法が寸法公差内から逸脱する場合が目立って多くなった。この各種寸法の寸法公差内からの逸脱(以下、これを寸法ずれともいう)は、六価クロメート被膜といった他の表面処理を主体金具に行った場合でも確認される場合があるが、特に三価クロメート被膜が形成されている場合において顕著であった。これらの各種寸法ずれは十分な加締め固定を阻害する。特に工具係合部の対辺や加締め高さ等の寸法ずれが過大になると、主体金具の内周面と絶縁体との間に充填される滑石の充填密度や、スパークプラグ自体の気密性が低下したりするため好ましくない。そこで、これを抑制するために、主体金具を絶縁体に加締め固定する際に用いられる加締め用金型として、加締め予定部の圧縮スクロールを深くしたものも使用されている。加締め予定部の圧縮スクロールを深くすることにより工具係合部の対辺寸法の拡大は抑制されやすくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような加締め用金型にあっても、使用当初は効果があるが主体金具の加締め固定を繰り返すことにより該効果が薄れ、加締め固定後の主体金具の各種寸法ずれが目立つようになる。このような寸法ずれは、主体金具に下地金属メッキ層としての亜鉛メッキ層を形成し、その上に三価クロメート被膜を形成した場合において特に顕著であったが、他の表面処理を施した場合であっても発生する傾向にあった。
【0008】
本発明の課題は、主体金具の絶縁体への加締め固定を繰り返しても、加締め固定後における主体金具の各種寸法が寸法公差内から逸脱することを抑制するスパークプラグの製造方法及びそれに使用される加締め用金型を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明のスパークプラグの製造方法は、機関取付けのための工具係合部を有する筒状の主体金具の加締め予定部を、該主体金具内に挿入された軸線方向に伸びる絶縁体の外周面に対して加締め固定するスパークプラグの製造方法であって、
前記加締め固定における加締め用金型として、軸線方向に貫通孔を有するとともに、少なくとも軸線方向片側の内周面にテーパー状の内周面(以下、テーパー状内周面ともいう)と、前記軸線に関するラジアル方向において該テーパー状の内周面よりも内側に位置するとともに前記主体金具の前記加締め予定部を屈曲させるための加締めアール部とが形成されており、前記主体金具の前記加締め予定部と接触・摺動する該加締めアール部の内周面に、非晶質炭素相を主体としてなる硬質炭素被膜が形成されてなるものを使用することを特徴とする。
【0010】
さらに、上記本発明のスパークプラグの製造方法に使用される、本発明の加締め用金型は、機関取付けのための工具係合部を有する筒状の主体金具の加締め予定部を、該主体金具内に挿入された軸線方向に伸びる絶縁体の外周面に対して加締め固定するために使用されるスパークプラグの加締め用金型であって、
軸線方向に貫通孔を有するとともに、少なくとも軸線方向片側の内周面にテーパー状の内周面(以下、テーパー状内周面ともいう)と、前記軸線に関するラジアル方向において該テーパー状の内周面よりも内側に位置するとともに前記主体金具の前記加締め予定部を屈曲させるための加締めアール部とが形成されており、前記主体金具の前記加締め予定部と接触・摺動する該加締めアール部の内周面に、非晶質炭素相を主体としてなる硬質炭素被膜が形成されてなることを特徴とする。
【0011】
加締め固定後に主体金具の各種寸法ずれが起こるのは、加締め固定時に望まざる応力が主体金具に働いて主体金具の望まざる変形を誘発するためである。この望まざる応力を低減させるためには、加締め用金型の主体金具と接触・摺動する面と、主体金具との間の滑り摺動性を向上させる事が有効である。そこで本発明者らは鋭意検討の結果、加締め用金型として、主体金具の加締め予定部と接触・摺動する面に、非晶質炭素相を主体としてなる硬質炭素被膜が形成されたものを使用すれば、加締め固定における滑り摺動が良好に行われ、加締め固定後の各種寸法ずれを効果的に抑制することができることを見い出し本発明の完成に至ったものである。
【0012】
本明細書において、「非晶質炭素相を主体としてなる硬質炭素被膜」とは、膜の主体をなす炭素の骨格構造が非晶質であり、そのビッカース硬さが1500kg/mm以上のものをいう。なお、被膜の硬さは、例えば、ダイナミック超微小硬さ試験機によって測定できる。このような硬質炭素被膜のうちで、非晶質中の骨格構造を構成する結合に炭素のダイヤモンド結合を多く含んでいるものは、DLC(Diamonnd Like Carbon)被膜とも称され、ダイヤモンドに類似の硬度を有する。そのため、高硬度が要求される部材の表面に被膜されて使用されることが多い。また、DLC被膜に代表される硬質炭素被膜は、摩擦係数が特に小さいため、他部材との間の滑り摺動性を向上させる効果がある。本発明においては、このようなDLC被膜に代表される非晶質炭素相を主体にしてなる硬質炭素被膜を加締め用金型に形成することにより、主体金具の加締め予定部との間の滑り摺動性を向上させようとしたものである。なお、本明細書において「主体に」、あるいは「主に」とは、その対象となる組織中において含有量(質量%)が最も多いものをいう。
【0013】
また、本発明においては、主体金具として少なくとも前記加締め予定部の外周面に、
亜鉛メッキ又はニッケルメッキ処理を施した後、該表面にさらにクロメート処理を施したもの、
あるいは、Niメッキ処理のみを施したものを使用できる。これらの表面処理は、スパークプラグの主体金具に一般的に行なわれている処理である。本発明では、これらの一般的な表面処理を施した主体金具を加締め固定する際において、各種寸法の寸法公差からのずれを抑制できるので、産業上大きな効果を有する。
【0014】
なお、主体金具表面に形成されるクロメート被膜は、六価クロメート被膜及び三価クロメート被膜のどちらの場合であってもよい。すなわち、三価クロメート被膜を形成した場合における主体金具の各種寸法ずれが特に顕著であり、本発明により、該寸法ずれが効果的に抑制されるものであるが、六価クロメート被膜を形成した場合においても、本発明を適用することの効果(すなわち、各種寸法ずれのより一層の抑制)が、十分に得られるものである。さらに、本発明は、上記のように主体金具にクロメート皮膜を形成した場合にとどまらず、Niメッキ処理のみをほどこした場合においても、同様の効果が得られるものである。
【0015】
また、上記のように、主体金具の表面に金属メッキ及び/又はクロメート被膜を形成した場合、従来の加締め用金型を使用すると、該加締め用金型の使用頻度(加締め固定の回数)が増すにつれて、加締め固定後の主体金具の加締め部における、メッキ剥離あるいはメッキ荒れ等のメッキの損傷が酷くなる傾向にあった。しかしながら、本発明の加締め用金型を使用すると、該加締め用金型の使用頻度が増しても(多数回加締め固定を行っても)、従来の加締め用金型を使用した場合と比較して、メッキ剥離あるいはメッキ荒れ等のメッキの損傷が発生しにくいという効果がある。具体的には、本発明の加締め用金型を使用した場合、従来金型と比較して、10倍以上の回数を使用しても、主体金具の加締め部においてメッキの損傷が発生しない。
【0016】
主体金具にクロメート被膜を形成する場合、主体金具は、含有されるクロム成分の95質量%以上が三価クロム成分である膜厚0.2〜0.5μmのクロメート被膜が、少なくとも前記加締め予定部の外周面に形成されているものとしてもよい。含有されるクロム成分の95質量%以上が三価クロムである当該クロメート被膜(広義の三価クロメート被膜とする)は、六価クロムの含有量が5質量%未満と少ないため、該クロメート被膜を使用することの環境対策上の効果は大きい。なお、上記クロメート被膜は実質的に六価クロムを含有しないのが環境保護上さらに望ましい。このような、三価クロメート被膜においては、前述のとおり加締め固定における主体金具の各種寸法ずれが、特に顕著であるので、本発明の効果がより一層期待できる。
【0017】
また、スパークプラグの使用状況を考慮すれば、主体金具に形成される三価クロメート被膜の膜厚は0.2〜0.5μmに設定するのがよい。膜厚を0.2μm以上とすることにより、温度が上昇しやすく酸のアタック等も受けやすいというスパークプラグ特有の使用状況であっても、三価クロメート被膜の耐久性を十分に確保することができる。一方、膜厚が0.5μmを超えると、加締め固定時に皮膜にクラックが生じたり、あるいは被膜の脱落等が発生し、却って耐久性が損なわれることになる。三価クロメート被膜の膜厚は望ましくは0.3〜0.5μmに設定するのがよい。
【0018】
しかし、上記のような膜厚の三価クロメート被膜においては、加締め固定時における各種寸法ずれが、特に発生する傾向にある。これは、三価クロメート被膜の形成が湿式法で行なわれるため、被膜中の含水率が相対的に高くなり、前述のような膜厚においては、クロメート皮膜の特に表面部分に該水分が過剰に分布するためであると考えられる。つまり、この水分のために摺動相手となる加締め用金型との間で望まざる吸着力が働き、これらの間の滑り摺動性が損なわれ、寸法ずれが生じると考えられる。
【0019】
本発明によれば、加締め用金型に前述の硬質炭素被膜を形成することにより、主体金具上の三価クロメート被膜と加締め用金型との水分による吸着を抑制し、滑り摺動を良好に行うことができる。そして、ひいては加締め固定の際の各種寸法ずれを抑制することができる。
【0020】
また、主体金具の表面に亜鉛メッキ層を形成後、さらにその上から、該三価クロメート被膜を形成した場合には、特に寸法ずれの発生が顕著であったが、これは、加締め固定を繰り返すことにより、加締め用金型に亜鉛及びクロム等の成分が付着して、加締め用金型と主体金型との間の滑り摺動が阻害されるためであると推測できる。実際、使用後の加締め用金型の表面を観察すると、これらの成分が付着している様子が観察されている。本発明は、このような状況でも効果を発揮する。これは、硬質炭素被膜の形成により加締め用金型への亜鉛及びクロム等の付着が抑制され、主体金型との間で良好な滑り摺動が継続されるためであると考えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明により製造されるスパークプラグ100を示すものである。筒状の主体金具1、先端部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に形成された放電部31を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに、他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の放電部31と対向するように配置された接地電極4等を備えている。また、接地電極4には上記放電部31に対向する放電部32が形成されており、それら放電部31と放電部32とに挟まれた隙間に火花放電ギャップgが形成されている。なお、主体金具1の表面には、亜鉛メッキ層41及びクロメート皮膜層42が形成されている。
【0022】
絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、その内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込むための貫通孔6を有している。また主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパークプラグのハウジングを構成するとともに、その外周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロックに取付けるためのねじ部7が形成されている。貫通孔6の一方の端部側に端子金具13が挿入・固定され、同じく他方の端部側に中心電極3が挿入・固定されている。また、該貫通孔6内において端子金具13と中心電極3との間に抵抗体15が配置されている。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16、17を介して中心電極3と端子金具13とにそれぞれ電気的に接続されている。なお、放電部31に対向する放電部32は省略する構成としてもよい。この場合には、放電部31と接地電極4との間で火花放電ギャップgが形成されることになる。
【0023】
以下、このようなスパークプラグ100の本発明の製造方法について述べる。まず、下地金属層としての亜鉛メッキ層41を公知のメッキ処理により主体金具1に形成する。下地金属層の種類としては他に、ニッケルメッキ層等が好適に採用される。そして、このような下地金属層が形成されている主体金具1を三価クロム塩と三価クロムに対する錯化剤とが配合されたクロメート処理浴に浸漬することにより三価クロメート被膜42を形成させる。なお、処理能率向上のため、公知のバレル処理法(透液性の容器内に金属部材をバラ積み挿入し、上記クロメート処理浴中にて容器を回転させながら行う処理)等を採用することができる。
【0024】
錯化剤としては、各種キレート剤(ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキシ酸、水酸基ジカルボン酸あるいは水酸基トリカルボン酸:例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等)を用いることが有効であるが、他の錯化剤を用いても良い。このような処理浴を用いることにより、比較的厚膜のクロメート被膜を形成することができる。なお、このようなクロメート被膜の形成方法については、ドイツ公開特許公報DE19638176A1号に詳細が開示されている。
【0025】
また、上記のクロメート処理浴の温度は20〜80℃に設定しておくのが良い。また、クロメート処理浴への被処理物の浸漬時間は、20〜80秒とするのが良い。浴温の温度が20℃未満のときは、形成されるクロメート被膜の膜厚が十分に得られず、一方浴室の温度が80℃以上のときは、浴からの水分蒸発が激しいため、浴条件の精度が困難となる。また、浸漬時間が20秒未満になると十分なクロメート被膜が形成できなくなる場合がある。一方、浸漬時間が80秒を超えると、形成されたクロメート被膜が厚くなりすぎて、被膜にクラックを生じたり、被膜の脱落等が生じたりしやすくなる。
【0026】
クロメート処理後の主体金具1は、水洗後、温風等によって乾燥させる。
【0027】
次に、以上のような状態の主体金具1に対して、貫通孔6に中心電極3及び導電性シール層16、17、抵抗体15並びに端子金具13を予め組み付けた絶縁体2を挿入開口部側から挿入し、絶縁体2の係合部2hと主体金具1の係合部1cとを線パッキン(図示略)を介して結合させた状態とする(なお、これらの部材については図1を参照)。次に、主体金具1の挿入開口部からその内側に線パッキン62を配置し、タルク等の充填層61を形成してさらに線パッキン60を配置する。その後、これらの線パッキン60、62及び充填層61を介して主体金具1の加締め予定部を絶縁体2に対して加締めることにより主体金具1と絶縁体2とを組み付ける。
【0028】
上記主体金具1と絶縁体2との加締め固定は、具体的には図2のようにして行なわれる。まず、加締めベース110のセット孔110aに主体金具1の先端部を挿入し、主体金具1に形成されたフランジ状のガスシール部1fをその開口周縁に支持させる。次いで、主体金具1の軸線方向において、主体金具1に加締め金型111を接触・保持させる。ここまでの状態を図2(a)に示す。その状態で、加締め金型111に軸線方向の力(図2(a)に示す矢印参照)を加えると、主体金具1の加締め予定部200の滑り摺動予定面200aと加締め用金型111との間に滑り摺動が生じ、その結果、主体金具1の加締め予定部200が絶縁体2のほうに向かうように屈曲することにより主体金具1と絶縁体2とが加締め固定されることになる(図2(b))。そして、主体金具1内での絶縁体2の抜き止めがなされるとともに、主体金具1の内周面と絶縁体2の外周面との間がシールされる。このとき、座屈部1hは軸線方向の圧縮により座屈されるとともに、工具係合部1eにはその寸法を広げようとする応力が働く。
【0029】
本発明においては、上記加締め固定に使用される加締め用金型111には、図4(c)に示すように、本発明の要件である非晶質炭素層を主体としてなる硬質炭素被膜60が形成されている。また、工具用合金鋼等で構成されることの多い加締め用金型と硬質炭素被膜との密着性を向上させるために、硬質炭素被膜60と加締め用金型111との間に中間層61を形成することもできる(図4(a)(b))。中間層61は(b)のように単層のみを形成してもよいし、(a)のように複数層形成してもよい。なお、(a)に示すように、中間層61を2層にて形成するときは、クロム又はチタンを主体とする下層中間層61bの上に珪素又はゲルマニウムを主体とする上層中間層61aを形成するのが密着性を高めるためにより望ましい。このような多層の被膜構造の形成は、例えば特開平6−60404に記載された方法により形成することができる。詳細は以下の通りである。
【0030】
まず、加締め用金型111の表面を脱脂・洗浄した後、下層中間層61b及び上層中間層61aを公知の真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等により順次形成する。次いで、これをプラズマ重合成膜装置の真空チャンバ内において、そのカソード側にセットする。そして、真空チャンバ内を真空排気し、ガス導入口から炭化水素ガス(例えば、メタン、エチレン、ベンゼン等;水素を混合してもよい。)を導入し、その圧力を例えば0.1torr程度に調整する。そして、真空チャンバ内のカソードとアノードとの間に高周波電圧を印加し、プラズマを発生させる。これにより炭化水素が分解して水素を取り込みながら非晶質炭素の形で堆積し、密着性の良好な硬質炭素被膜60が形成される。
【0031】
図3は本発明の加締め用金型111の一例を示すものである。本発明の加締め用金型111は、軸線Cの方向に貫通孔112を有するとともに、少なくとも軸線方向片側の内周面にテーパー状内周面111aと、主体金具1の前記加締め予定部200を屈曲させるための加締めアール部Rが形成されている。なお、加締めアール部Rはテーパー状内周面111aとストレート部111cとの間に形成されている。図3においては、金型の寿命を延ばすために、軸線Cの方向両側にテーパー状内周面111a及び加締めアール部Rを有するリング状に形成されている。また、少なくとも加締めアール部Rの加締め内周面111bには、スパークプラグの主体金具1と滑り摺動性を向上させるための、非晶質炭素相を主体としてなる硬質炭素被膜が形成されている。この加締めアール部Rを形成する加締め内周面111bは、加締め用金型111の内側に向かって凸形状となっている。そして、この加締め内周面111bと、テーパー内周面111aとの境界付近においては、外側に凸形状となる形態でアールが付与されている。ここで、該加締め用金型111の軸断面において、該中心軸線Cと直交する直線Bと、形成されているテーパー状内周面111aとのなす角を、加締め用金型111の金型テーパー角度A(°)と定義する。そして、加締めアール部Rの軸線Cの方向における長さを、加締めアール部深さD(mm)と定義する。該加締めアール部Rの軸線Cの方向における長さとは、該加締めアール部Rの加締め内周面111bに沿う仮想円Oと、テーパー状内周面111aの延長線Gとの交点を点Eとして、点Eから加締め内周面111bまでの軸線Cの方向における最長距離をいうものとする。なお、ストレート部111cの内径は、主体金具1の加締め予定部200よりも後方側の絶縁体2の外径よりも大きい値で形成され、絶縁体2の上記後方側を挿通可能なものにしている。
【0032】
加締め用金型111は、製造されるスパークプラグ100の種類に応じて好適なものを使用するのがよい。つまり、各種得るべきスパークプラグ(詳細には主体金具)の寸法に応じた金型の金型テーパー角度A(°)及び金型加締めアール部Rの深さD(mm)の条件がある。すなわち、以下の条件を満足するものを使用するのがよい。
(1)主体金具1の工具係合部1eの対辺寸法N(mm)(図6参照)を14mm以下とする場合(以下この場合を、N≦14mm以下の場合ということもある)、
6≦A/D≦22・・・条件1
(2)主体金具1の工具係合部1eの対辺寸法N(mm)を15.7〜16mmとするとともに、該主体金具1のJIS−B8031に規格されるねじ径を14mm、12mmあるいは10mmのいずれかとする場合(以下、この場合をN=16mmの場合ということもある)、
5.5≦A/D≦19.5・・・条件2
(3)主体金具1の工具係合部1eの対辺寸法N(mm)を19.7〜20mmとするとともに、該主体金具1のJIS−B8031に規格されるねじ径を14mmとする場合(以下、この場合をN=20mmの場合ということもある)、
3≦A/D≦9.5・・・条件3
となるものを使用する。このような加締め用金型111を使用すれば、硬質炭素被膜60の形成の効果とも相俟って、主体金具1の加締め固定後における主体金具1の各種寸法ずれを抑制できる。
【0033】
また、上記(1)の場合、上記条件1に加えて、金型テーパー角度A:15〜35°、かつ金型加締めアール部深さD:1.6〜2.4mmとしたとき、特に主体金具1の各種寸法ずれを抑制することができる。また、上記(2)の場合は、上記条件2に加えて、金型テーパー角度A:15〜35°、かつ金型加締めアール部深さD:1.8〜2.6mmとし、並びに(3)の場合は条件3に加えて、金型テーパー角度A:10〜20°、かつ金型加締めアール部深さD:2.2〜3mmとしたとき、同様に主体金具1の各種寸法ずれを、さらに抑制することができる。
【0034】
上記加締めアール部深さD(mm)は、深過ぎると加締め予定部200が、絶縁体2の所望の位置に十分に当接せず、主体金具1の各種寸法ずれを誘発し気密性の低下を招く。また、浅過ぎると加締め固定後に得られる加締め部220(図2b参照)の形状が良好なものとならないため、同様に各種寸法ずれを誘発するため好ましくない。従って、得るべきスパークプラグ100の形状によって、それぞれ上記のような範囲で加締めアール部深さD(mm)を設定するのがよい。また、金型テーパー角度A(°)は、大きすぎると工具係合部1eに加締め用金型111が早く当接し過ぎて、工具係合部1e等に余計な応力が働くため寸法ずれを誘発する要因となる。一方、小さすぎると工具係合部1eに加締め用金型111が当接するのが遅くなり、同様に寸法ずれを誘発する原因となる。従って、得るべきスパークプラグの寸法に応じて、上記範囲に金型テーパー角度A(°)を設定するのがよい。
【0035】
上記主体金具1の絶縁体2に対する加締め固定は、熱加締め及び冷間加締めのいずれを行っても差し支えない。
【0036】
また、本実施の形態においては、加締め用金型111は、軸線Cの方向両側にテーパー状内周面111a及び加締めアール部Rが形成されているものについて示したが、軸線Cの方向片側のみにテーパー状内周面111a及び加締めアール部Rが形成されているものでもよい。この場合、主体金具1との間の滑り摺動性を向上させる硬質炭素被膜60が少なくとも加締めアール部Rの加締め内周面111bに形成されているものを使用する。
【0037】
さらに、上記実施の形態においては、絶縁体2の外周面と主体金具1の内周面との間に滑石を充填して加締め固定する場合について示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、滑石を主体金具1の内周面と絶縁体2の外周面との間に充填せずに、主体金具1を加締め固定するスパークプラグの製造方法においても当然適用することが可能である。
【0038】
【実験例】
本発明の効果を調べるために、以下の実験を行った。
(実験例1)
金型にDLCコーティングを施した場合の、主体金具の加締め固定時における寸法ずれ低減効果を調べるため、以下の実験を行った。まず、JIS−G3539に規定された冷間圧造用炭素鋼線SWCH8Aを素材として用い、図1の主体金具1を冷間鍛造により製造した。次いで、これに公知のアルカリシアン化物浴を用いた電解亜鉛メッキ処理を施すことにより、膜厚約5μmの亜鉛メッキ層を形成した。
【0039】
主体金具1として、次の方法により三価クロメート被膜及び六価クロメート被膜を形成したものをそれぞれ用意した。
(1)三価クロメート被膜
クロメート処理浴として、脱イオン水に対して1リットル当り、塩化クロム(III)(CrCl・6HO)を50g、硝酸コバルト(II)(Co(NO)を3g、硝酸ナトリウム(NaNO)を100g、マロン酸31.2gの割合で溶解することにより建浴し、ヒーターにより液温60℃に保持するとともに、浴のpHを苛性ソーダ水溶液の添加により2.0に調節したものを使用した。そして、亜鉛メッキ後の主体金具1を上記クロメート処理液に60秒浸漬し、次いで水洗後、70℃の温風により180秒仮乾燥して、三価クロム系クロメート皮膜を形成した。その後、該クロメート被膜を温風により乾燥した。そして、X線光電子分光分析法(XPS)により含有されるクロム成分の95質量%が三価クロムであることを確認した。また、三価クロメート被膜の膜厚をSEMによる断面からの実測により測定したところ、0.2〜5μmの範囲内であることを確認した。
【0040】
(2)有色(黄色)クロメート被膜(六価クロメート被膜)
黄色クロメート処理浴として、脱イオン水に対し、無水クロム酸7g/リットル、硫酸3g/リットル、硝酸3g/リットルの割合で溶解したものを用意し、液温20℃に保持した。そして、これに主体金具1を約15秒浸漬して引き上げ、70℃にて温風乾燥させたものを作製した。また、三価クロメート被膜と同様に、その膜厚をSEMによる断面からの実測により測定し、膜厚が0.2〜5μmの範囲内のものを実験に供した。
【0041】
なお、膜厚の測定においては、クロメート皮膜の観察を容易にするために、被膜表面に、クロメート被膜よりも導電率の高い成分の薄膜(例えば、Au薄膜)をスパッタ法により形成する。SEM像では、導電率の高い下地層(例えば、亜鉛メッキ層)と、新たに形成した導電率の高い薄膜層(Au被膜層)とに対し、導電率の低いクロメート被膜層が暗く写るので、そのコントラストからクロメート被膜の像を容易に確認することができる。例えば、SEM像中に、該コントラストから確認されるクロメート被膜層と、例えば亜鉛メッキ層及びAu皮膜層との各境界に対応する位置に白線を表示し、その白線間距離から膜厚を同定する。
【0042】
三価クロメート被膜が形成された主体金具に対して、絶縁体を組み付けたものを複数準備した上で、表面にDLC被膜を形成した金型(以下、DLC金型という)あるいはDLC被膜を形成していない金型(以下、通常金型という)を使用して、同一寸法の主体金具に対して、同一の荷重を負荷することにより順次加締め固定を行っていき、加締め固定回数と、加締め固定後の主体金具の各種寸法との関係を測定した。なお、加締め用金型へのDLC被膜の形成は前述したプラズマ重合法により形成した。ただし、原料ガスはメタンを使用し、ガス流量を30cm/分、圧力0.1torr、高周波電力100Wとした。なお、得られたDLC被膜のビッカース硬度を前述のダイナミック超微小硬さ試験機によって測定し、1500kg/mm以上であることを確認している。得られた結果を図5に示す。なお、主体金具1の各種寸法は、図6に示す位置にて測定したものである。まず、工具係合部1eの対辺寸法(六角対辺寸法ともいう)Nは、図6(a)のAA断面図(b)において、工具係合部1eのそれぞれ対向する二つの平行面の間の距離Nのことをいう。また座屈部径は、図6の座屈部1hおいて、得られる外形線の径が最も大きくなるようにBB断面をとったとき、その断面外形線の直径Mのことをいう。さらに、加締め蓋高さFとは、屈曲後形成された加締め予定部200の軸線方向の長さ(すなわち、加締め部220の軸線方向の長さ)のことをいう。
【0043】
図5によれば、六角対辺寸法、座屈部径寸法及び加締め蓋高さのいずれの寸法においても、通常金型の場合は加締め固定回数が増す毎に(つまり使用される毎に)寸法が使用初期と比較して大きくなっているが、DLC金型を使用した場合にあっては、加締め固定回数が増しても、各種寸法は使用初期と比較してほとんど変化せず、寸法の増加は通常金型の場合よりも小さい範囲内で推移している。つまり、DLC金型により主体金具の各種寸法ずれが抑制されていることがわかる。
【0044】
さらに、以下の方法により、主体金具と加締め用金型との間の滑り摺動性を調べた。、図7に示すように、主体金具1内部に絶縁体2を挿入し、それを第一治具20により保持した後、軸線方向から加締め用金型111に第二治具21を介してオートグラフにより荷重Fを加え、その荷重Fと、そのときの加締め用金型111の軸線方向における変位xとの関係を測定した。オートグラフの設定条件としては以下の通りにした。
テストモード:単純圧縮
下降スピード:30mm/min
上昇スピード:100mm/min
使用ロードセル:5ton
【0045】
図8に得られたチャート結果を示す。図8を見ると、荷重をかけ始めた段階では、ほとんど差がないが、1500kgf程度の荷重が印加されだすと、加締め用金型111の変位xに差が生じ始めているのがわかる。すなわち、三価クロメート被膜を形成した場合よりも、六価クロメート被膜を形成した場合のほうが同じ荷重でより多く変位し、さらに、通常金型を使用した場合よりも、DLC金型を使用した場合のほうが同一荷重においてより大きな変位が起こっているのがわかる。つまり、三価クロメート被膜よりも六価クロメート被膜、通常金型よりもDLC金型を使用したほうが加締め固定時の滑り摺動性が良好となることを示している。
【0046】
また、主体金具にそれぞれ三価クロメート被膜あるいは六価クロメート被膜を形成し、これらに対して、通常金型あるいはDLC金型をそれぞれ使用して加締め固定を行った場合において、加締め固定後のそれぞれの主体金具1の工具係合部1eの六角対辺寸法N(mm)(図6参照)を測定した。主体金具の得るべき所望の六角対片寸法Nはいずれも同一(N=15.7〜16mm)とし、いずれの加締め固定も同一の荷重を負荷することにより行った。結果を表1に示す。なお、六角対辺寸法N(mm)は、加締め固定後のスパークプラグにおいて特定個数(通常金型:3個、DLC金型:5個)測定したときの平均寸法を示すものとする。
【0047】
【表1】
Figure 0004167816
【0048】
表1に示すように、いずれの場合における六角態変寸法N(mm)も、寸法公差内(15.7〜16mm)に収まっているが、通常金型を使用した場合よりもDLC金型を使用したほうが六角対辺寸法Nがより小さく抑制されている。つまり、DLC金型を使用したほうが、六角対辺寸法の拡大を抑制することができ、ひいては、各種寸法ずれを抑制できることを示している。また、主体金具に六価クロメート被膜を形成した場合、六角対辺寸法Nの拡大を抑制することができ、さらに、三価クロメート被膜を主体金具に形成した場合であっても、六価クロメート被膜を形成した場合と同様に、六角対辺寸法の拡大が抑制されている。
【0049】
(実験例2)
次に、DLC被膜が形成された加締め用金型111において、加締めアール部深さD(mm)及び金型テーパー角度A(°)をそれぞれ変化させた場合の、主体金具の寸法ずれへの影響を調べた。
まず、N≦14mm以下となるスパークプラグを得たい場合について、表2に示すようなD(mm)及びA(°)の組み合わせの加締め金型を用いて加締め固定をそれぞれ50回行い、得られたそれぞれ25個のスパークプラグ群における六角対辺寸法N(mm)の標準偏差(3σ)を求めた。これらのうち、標準偏差(3σ)が0.05未満のものを◎、0.05〜0.1のものを○、0.1〜0.15のものを△として評価した。評価結果を合わせて表2に示す。さらに、N=16mmあるいはN=20mmの場合についても同様に、表3あるいは表4のようにD(mm)及びA(°)を変化させて上記実験を行った。得られた結果を同様に表3あるいは表4に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004167816
【0051】
【表3】
Figure 0004167816
【0052】
【表4】
Figure 0004167816
【0053】
表2に示すように、N≦14mmの場合(1)、6≦A/D≦22(条件1)の条件を満たす加締め用金型を用いた場合は、より六角対辺寸法N(mm)の寸法ずれを抑制できることがわかる。同様に表3あるいは表4に示すようにN=16の場合(2)は、5.5≦A/D≦19.5(条件2)、あるいはN=20の場合(3)は、3≦A/D≦9.5(条件3)の条件を満たす加締め用金型を使用すれば、六角対辺寸法N(mm)の寸法ずれを一層抑制することができる。さらに(1)の場合15°≦A≦35°かつ、1.6mm≦D≦2.4mmとし、(2)の場合、15°≦A≦35°かつ、1.8mm≦D≦2.6mmとし、(3)の場合、10°≦A≦20°かつ、2.2mm≦D≦3mmとするとき、さらに寸法ずれを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるスパークプラグの正面部分断面図。
【図2】加締め固定を詳細に説明する図。
【図3】加締め用金型の一例を示し、及び加締めアール部深さD、金型テーパー角度Aの定義を説明する図。
【図4】加締め用金型に形成される硬質炭素被膜の形態をいくつか示す図。
【図5】実験例1における加締め回数と各種寸法の関係を示した図。
【図6】主体金具の各種寸法の定義を説明する図。
【図7】加締め固定における荷重と変位との関係を測定する方法を説明する図。
【図8】加締め固定における荷重と変位との関係を示す図。
【符号の説明】
100 スパークプラグ
1 主体金具
2 絶縁体
111 加締め用金型
111a テーパー状内周面
111b 加締め内周面
111c ストレート部
R 加締めアール部
60 硬質炭素被膜
1e 工具係合部
200 加締め予定部
200a 加締め予定部の外周面

Claims (4)

  1. 機関取付けのための工具係合部を有する筒状の主体金具の加締め予定部を、該主体金具内に挿入された軸線方向に伸びる絶縁体の外周面に対して加締め固定するスパークプラグの製造方法であって、
    前記加締め固定における加締め用金型として、軸線方向に貫通孔を有するとともに、少なくとも軸線方向片側の内周面にテーパー状の内周面(以下、テーパー状内周面ともいう)と、前記軸線に関するラジアル方向において該テーパー状の内周面よりも内側に位置するとともに前記主体金具の前記加締め予定部を屈曲させるための加締めアール部とが金型端面側からこの順序で形成されており、前記主体金具の前記加締め予定部と接触・摺動する該加締めアール部の内周面に、非晶質炭素相を主体としてなる硬質炭素被膜が形成されており、
    中心軸線を含む断面において、該中心軸線と直交する直線と、前記テーパー状内周面とのなす角を、金型テーパー角度A(°)とし、かつ、
    前記加締めアール部の軸線方向における長さを、加締めアール部深さD(mm)としたとき、以下の条件、すなわち;
    前記主体金具の工具係合部の対辺寸法を14mm以下とする場合、
    6≦A/D≦22;
    前記主体金具の工具係合部の対辺寸法を15.7〜16mmとするとともに、該主体金具のJIS−B8031に規格されるねじ径を14mm、12mmあるいは10mmのいずれかとする場合、
    5.5≦A/D≦19.5;
    前記主体金具の工具係合部の対辺寸法を19.7〜20mmとするとともに、該主体金具のJIS−B8031に規格されるねじ径を14mmとする場合、
    3≦A/D≦9.5;
    となるものを使用するとともに、
    前記主体金具は、少なくとも前記加締め予定部の外周面に、
    亜鉛メッキ又はニッケルメッキ処理を施した後、該表面にさらに三価クロメート処理を施したものとされることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 前記主体金具は、含有されるクロム成分の95質量%以上が三価クロム成分である膜厚0.2〜0.5μmのクロメート被膜が、少なくとも前記加締め予定部の外周面に形成されているものである請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記主体金具は、前記クロメート被膜に六価クロムが実質的に含有されていないものである請求項1又は請求項2に記載のスパークプラグの製造方法。
  4. 前記クロメート被膜は、前記主体金具を三価クロム塩と三価クロムに対する錯化剤とを配合したクロメート処理浴中に浸漬することにより形成される請求項1ないし請求項3に記載のスパークプラグの製造方法。
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