JP2019061859A - 金属部品の製造方法およびスパークプラグの製造方法 - Google Patents

金属部品の製造方法およびスパークプラグの製造方法 Download PDF

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Kazuhiro Kodama
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Abstract

【課題】亜鉛を主成分とするめっき皮膜が金属母材の表面上から剥がれ難くできる金属部品の製造方法を提供すること。【解決手段】ニッケル成分を主成分とし、クロム成分とアルミニウム成分とを合計して3.4質量%以上含む金属母材をストライクめっき液に浸漬して、金属母材の表面上にストライク層を形成するストライクめっき工程と、ストライク層が形成された金属母材をめっき液に浸漬して、ストライク層の表面上に亜鉛を主成分とするめっき層を形成するめっき工程と、ストライク層およびめっき層が形成された金属母材の少なくとも一部を屈曲する屈曲工程と、を備え、ストライクめっき工程は、亜鉛成分を主成分としつつポリカチオン成分を含有するストライクめっき液に金属母材を浸漬して、金属母材の表面上に亜鉛を主成分とするストライク層を形成する。【選択図】図2

Description

本発明は金属部品の製造方法およびスパークプラグの製造方法に関し、特に亜鉛を主成分とするめっき層を有する金属部品の製造方法およびスパークプラグの製造方法に関するものである。
従来より、金属母材(以下「母材」とも言う)に亜鉛めっきを施して母材の耐食性を高めた金属部品が知られている。また、母材に亜鉛めっきを施した後、母材の一部を屈曲して所望の形状にした金属部品も知られている。スパークプラグの接地電極はこの種の金属部品の一例である。具体的には、主体金具母材に接地電極母材を接続した後、両者に亜鉛めっきを施し、その後、接地電極母材を屈曲することで接地電極が形成される。
ところで、接地電極のようにめっき後に接地電極母材を屈曲すると、接地電極母材の表面上に形成された亜鉛めっき皮膜のうち、接地電極母材との密着性が良好でない部分の亜鉛めっき皮膜が接地電極母材から剥がれることがある。そこで、接地電極母材と亜鉛めっき皮膜との密着性を良くするために、ニッケル又は銅を主成分とするストライク層を接地電極母材の表面上に形成した後、このストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層を形成する技術が知られている(特許文献1)。
特開2005−285488号公報
ところで、最近では、母材の耐熱性または耐食性向上のために、母材の材料として、ニッケル成分を主成分とし、クロム成分とアルミニウム成分とを合計して3.4質量%以上含む合金が使用されることがある。しかしながら、このような合金を用いた母材の表面上に、特許文献1記載のストライク層およびめっき層を形成すると、母材を屈曲したときに亜鉛めっき皮膜が母材の表面上から剥がれてしまうことがある。特許文献1記載の技術はめっき層(亜鉛が主成分)の物性とストライク層(ニッケル又は銅が主成分)の物性とが異なるため、めっき層とストライク層との密着性が十分でないことが原因の一つと考えられる。
なお、母材の表面上から亜鉛めっき皮膜が剥がれてしまう問題は、スパークプラグの接地電極に限られるわけではなく、亜鉛めっき皮膜を金属母材の表面上に形成し、その後に金属母材を屈曲する他の金属部品においても同様に発生する。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、亜鉛を主成分とするめっき皮膜が金属母材の表面上から剥がれ難くできる金属部品の製造方法およびスパークプラグの製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明は、ニッケル成分を主成分とし、クロム成分とアルミニウム成分とを合計して3.4質量%以上含む金属母材をストライクめっき液に浸漬して、金属母材の表面上にストライク層を形成するストライクめっき工程と、ストライク層が形成された金属母材をめっき液に浸漬して、ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層を形成するめっき工程と、ストライク層およびめっき層が形成された金属母材の少なくとも一部を屈曲する屈曲工程と、を備える金属部品の製造方法である。ストライクめっき工程は、亜鉛成分を主成分としつつポリカチオン成分を含有するストライクめっき液に金属母材を浸漬して、金属母材の表面上に、亜鉛を主成分とするストライク層を形成する。
また、本発明は、先端側から後端側へと延びる軸孔を有する絶縁体と、軸孔の先端側に配置される中心電極と、絶縁体の外周を取り囲み絶縁体を保持する主体金具と、主体金具に一端部が接続され他端部が中心電極の先端部に対向する接地電極と、を備えるスパークプラグの製造方法であり、接地電極は、前記方法で製造された金属部品である。
請求項1記載の金属部品の製造方法によれば、ストライクめっき工程において、亜鉛成分を主成分とするストライクめっき液に金属母材を浸漬して、金属母材の表面上に亜鉛を主成分とするストライク層を形成している。これにより、ストライク層の物性と、ストライク層の表面上に形成されるめっき層の物性と、を略同じ物性にできるので、ストライク層とめっき層との密着性を十分に得ることができる。
ところで、ニッケル成分を主成分とし、クロム成分とアルミニウム成分とを合計して3.4質量%以上含む金属母材は、金属母材の表面上に難溶の酸化皮膜が形成され易いことが知られている。そして、難溶の酸化皮膜が形成された金属母材にストライクめっき工程を行うと、亜鉛は金属母材の表面に析出する析出力が弱いので、金属母材の表面のうち、酸化皮膜が形成されていない表面上や酸化皮膜が薄く形成された表面上に(酸化皮膜を還元して)亜鉛が析出し、ストライク層が形成される一方、酸化皮膜が厚く形成された表面上にストライク層が形成されないことがある。その結果、めっき工程の後、屈曲工程により金属母材を屈曲すると、このストライク層が形成されていない金属母材の表面を起点にして、めっき皮膜が金属母材から剥がれてしまうことがある。
これに対し請求項1記載の金属部品の製造方法によれば、ストライクめっき液はポリカチオン成分を含有している。これにより、難溶の酸化皮膜が表面上に形成された金属母材であっても、金属母材の表面全体に亘ってストライク層を形成できる。これは以下の理由からである。
難溶の酸化皮膜が形成された金属母材がストライクめっき層に浸漬されると、まず金属母材の表面のうち、酸化皮膜が形成されていない表面上や酸化皮膜が薄い表面上に(酸化皮膜を還元して)亜鉛が析出しストライク層が形成される。このとき、ストライクめっき液に含まれるポリカチオン成分が、このストライク層内に取り込まれたりストライク層の表面に付着したりすることで、ストライク層の成長を抑制する。すると、ストライク層が形成されていない金属母材の表面、つまり酸化皮膜が厚い金属母材の表面において、酸化皮膜の還元が促進され、この表面にも亜鉛が析出してストライク層を形成させることができる。これにより、金属母材の表面全体に亘ってストライク層を形成できる。その結果、屈曲工程により金属母材を屈曲したとしても、めっき皮膜が金属母材から剥がれ難くできる。
請求項2記載の金属部品の製造方法によれば、ストライクめっき液は亜鉛がイオン化した酸性なので、金属母材に形成された酸化皮膜を溶解し易くできる。よって、請求項1の効果に加え、ストライク層と金属母材との密着性を向上できる。
請求項3記載のスパークプラグの製造方法によれば、スパークプラグは、先端側から後端側へと延びる軸孔を有する絶縁体と、軸孔の先端側に配置される中心電極と、絶縁体の外周を取り囲み絶縁体を保持する主体金具と、主体金具に一端部が接続され他端部が中心電極の先端部に対向する接地電極と、を備えている。接地電極は請求項1又は2に記載の製造方法で製造された金属部品なので、接地電極のめっき皮膜を剥がれ難くできる。
本発明の一実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。 (a)は本発明のストライクめっき工程におけるストライク層を形成するメカニズム(推定)を示す模式図であり、(b)は従来のストライク層を形成するメカニズムを示す模式図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスパークプラグ10の軸線Oを境にした片側断面図である。図1では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という。図1に示すようにスパークプラグ10は、絶縁体11、中心電極14、端子金具18及び主体金具19を備えている。
絶縁体11は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成された部材であり、軸線Oに沿って軸孔が貫通することにより内周面12が形成されている。内周面12は、後端側を向く後端向き面13が先端側に設けられている。後端向き面13は、先端に向かって内径が次第に小さくなる。
中心電極14は軸線Oに沿って延びる棒状の部材であり、頭部15と、頭部15よりも外径が小さい軸部16と、を備えている。中心電極14は、銅または銅を主成分とする芯材がニッケル又はニッケル基合金で覆われている。中心電極14は、絶縁体11の内周面12の後端向き面13に頭部15が係止され、軸部16の先端部17が絶縁体11の軸孔から露出する。
端子金具18は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。端子金具18は、先端側が絶縁体11の軸孔に挿入された状態で、絶縁体11の後端に固定されている。端子金具18は、絶縁体11の軸孔の内部で、中心電極14に電気的に接続される。
絶縁体11は外周に主体金具19が固定されている。主体金具19は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成された略円筒状の部材である。主体金具19は、絶縁体11の先端側の外周を取り囲む先端部20と、先端部20の後端側に連接されると共に先端部20の径方向の外側へ鍔状に張り出す座部22と、を備えている。先端部20の外周面におねじ21が形成されている。主体金具19は、内燃機関(シリンダヘッド)のねじ穴(図示せず)におねじ21を締結して固定される。
接地電極23は、主体金具19の先端に一端部24が接合された金属製の部材である。接地電極23は棒状に形成されており、他端部25側が屈曲し中心電極14の先端部17と対向する。スパークプラグ10は、接地電極23の他端部25と中心電極14の先端部17との間に火花ギャップを形成する。
接地電極23及び主体金具19は、それぞれ接地電極母材23a及び主体金具母材19aの表面上に、亜鉛を主成分とするストライク層26が形成され、ストライク層26の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層27が形成されている。ストライク層26とめっき層27との間の境界は判別できないことが多いが、図1では便宜的にストライク層26とめっき層27との間の境界が図示されている。
接地電極母材23aは耐食性および耐熱性を向上させるため、ニッケルを主成分とし、クロムとアルミニウムとが合計して3.4質量%以上含まれるニッケル合金で作られている。このようなニッケル合金としては、例えばJIS G4901:1999に規定されたNCF600,NCF601,NCF625,NCF690,NCF718,NCF750,NCF751,NCF800,NCF800H,NCF825,NCF80A等が挙げられる。また、めっき層27の成分としては、例えばZn,Zn−Fe,Zn−Ni等が挙げられる。
スパークプラグ10は、例えば、以下のような方法によって製造される。まず、絶縁体11の軸孔に中心電極14を挿入し、中心電極14の頭部15を後端向き面13に係止する。次に、絶縁体11の軸孔の内部で中心電極14と端子金具18との導通を確保しつつ、端子金具18を絶縁体11に固定する。次いで、接地電極23が予め接合された主体金具19に絶縁体11を挿入し、主体金具19を絶縁体11に組み付ける。接地電極23の先端部が中心電極14の先端部17と対向するように接地電極23を屈曲して、スパークプラグ10を得る。
接地電極23が接合された主体金具19に施される亜鉛めっきの工程について説明する。まず、接地電極母材23aが主体金具母材19aに接合されたワークを準備する。次に、脱脂工程では、ワークの表面に付着した油脂等の有機化合物を除去するため、アルカリ溶液や溶剤などにワークを浸漬して脱脂が行われる。必要に応じて電解脱脂が行われる。次に、酸洗工程では、酸洗によってワークの表面の酸化物などを除去し活性な金属を露出させる。
次いで、バレル法やラック法によるストライクめっき工程により、ワークをストライクめっき液に浸漬して、ワークの表面上に、亜鉛を主成分とするストライク層26を形成する。ストライクめっき液は、例えば、塩化亜鉛、塩化水素およびポリカチオン成分を含む添加剤を含有する酸性浴である。ストライクめっき液は、MRT−75S,MRT−76S(いずれも株式会社ムラタの商品名)が例示される。
ポリカチオン成分は、水中で陽イオンとして存在するカチオン性高分子電解質が用いられる。ポリカチオン成分としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリ−(2−〔(2−アミノエチル)アミノ〕−エチル−アスパルタミド(pAsp(DET))、ポリエチレングリコールとポリアルギニンとのブロック共重合体、ポリエチレングリコールとポリリジンとのブロック共重合体、及び、ポリエチレングリコールとポリ−(2−〔(2−アミノエチル)アミノ〕−エチル−アスパルタミドとのブロック共重合体(PEG−pAsp(DET))等が挙げられる。
ストライクめっき工程の後、バレル法やラック法によるめっき工程により、ストライク層26の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層27を形成する。必要に応じて、めっき層27の表面上にクロメート処理を施すことが可能である。
図2を参照してストライク層26を形成するメカニズムを説明する。図2(a)は本発明のストライクめっき工程におけるストライク層26を形成するメカニズム(推定)を示す模式図であり、図2(b)は従来のストライク層31を形成するメカニズムを示す模式図である。まず、図2(b)を参照して従来のメカニズムについて説明する。
ワークの接地電極母材23aは、ニッケル成分を主成分とし、クロム成分とアルミニウム成分とを合計して3.4質量%以上含有する。よって、図2(b)に示すように、接地電極母材23aの表面上に難溶の酸化皮膜28が形成され易い。ワーク(接地電極母材23a)がストライクめっき液に浸漬され接地電極母材23aが陰極になると、まず、ワークの表面のうち、酸化皮膜28が形成されていない表面上や酸化皮膜28が薄い表面上に(酸化皮膜28が還元されたうえで)亜鉛が析出し、ストライク層31が形成される。ストライク層31で亜鉛イオン29が還元される速度は、酸化皮膜28が還元されたうえで亜鉛イオン29が還元される速度よりも著しく速いので、ストライク層31がさらに成長する。その結果、酸化皮膜28が厚く形成された表面上にストライク層31が形成されずに、その周囲のストライク層31が成長し続け、周囲のストライク層31が繋がり、ストライク層31の一部(酸化皮膜28が残る部分)に密着不良(空隙)が生じる。
めっき工程では、ストライク層31の表面上にめっき層27(図1参照)が形成される。めっき工程の後、屈曲工程により接地電極母材23aを屈曲すると、接地電極母材23aの中央を通る軸線(圧縮応力が作用する部分と引張応力が作用する部分との境界)よりも外側には引張応力が作用する。これにより、ストライク層31(密着不良の部分)に凝集破壊が生じる。その結果、亜鉛めっき皮膜(ストライク層31にめっき層27が一体化した皮膜)が接地電極母材23aから剥がれてしまう。
これに対し、図2(a)に示す本実施形態でも同様に、ワーク(接地電極母材23a)がストライクめっき液に浸漬され接地電極母材23aが陰極になると、まず、ワークの表面のうち、酸化皮膜28が形成されていない表面上や酸化皮膜28が薄い表面上に(酸化皮膜28が還元されたうえで)亜鉛が析出し、ストライク層26が形成される。しかし、本実施形態ではストライクめっき液にポリカチオン成分30が含まれているので、電離したポリカチオン成分30(陽イオン)がストライク層26の表面で還元され、ポリカチオン成分30がストライク層26の表面に析出する。
ストライク層26に析出したりストライク層26に取り込まれたりしたポリカチオン成分30(高分子化合物)は非導電性なので、ストライク層26における亜鉛イオン29の還元を抑制し、ストライク層26の成長が抑制される。すると、ストライク層26の成長が抑制される分だけ、酸化皮膜28が厚いワークの表面で酸化皮膜の還元が促進され、この表面にも亜鉛が析出してストライク層26が形成される。これにより、ワークの表面全体に亘ってストライク層26を形成させることができ、めっき皮膜の密着不良(空隙)を抑制できる。その結果、めっき工程の後、屈曲工程により接地電極23を屈曲したときのストライク層26の凝集破壊を抑制でき、亜鉛めっき皮膜(ストライク層26及びめっき層27)が接地電極母材23aから剥がれ難くできる。
ストライク層26及びめっき層27はいずれも亜鉛を主成分とするので、ストライク層26とめっき層27との間で線膨張率等の物性を同じようにできる。これにより、層間の線膨張差などに起因するストライク層26とめっき層27との間の界面破壊をも抑制できる。
ストライクめっき液は亜鉛がイオン化した酸性なので、ストライクめっき工程において、接地電極23に形成された酸化皮膜28を溶解し易くできる。酸性のストライクめっき液によって酸化皮膜28の除去、酸化皮膜28の表面の粗化ができるので、ストライク層26と接地電極母材23aとの密着性を向上できる。その結果、めっき皮膜の剥離を抑制できる。
ところで、スパークプラグ10は、エンジン開発の方向性から、エンジン(図示せず)におねじ21が結合する主体金具19の小径化が求められている。主体金具19の直径が小さくなるにつれて接地電極23の曲げ半径は小さくなり、それに伴い、接地電極母材23aを曲げる屈曲工程においてめっき皮膜に作用する応力は大きくなる。従って、めっき皮膜には、これまで以上に高い密着性が要求される。本実施の形態によれば、接地電極母材23aとめっき皮膜との密着性を向上できるので、曲げ半径の小さい接地電極23においても、めっき皮膜の剥離を抑制できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(サンプルの作成)
Cr及びAlの含有率が0.5〜50.0wt%の表1に示す合金1〜6を使って種々の直線状の角棒の接地電極母材を準備し、この接地電極母材を炭素鋼製の主体金具母材にそれぞれ接合した。これにより、主体金具母材から軸線方向に接地電極母材が突出した種々のワークを得た。
なお、合金1〜6は、表1に示すNi,Cr,Fe,Al以外に、Mn等の微量成分や不可避不純物が含まれていた。また、合金1〜6を使って製造された接地電極母材は、化学成分は異なるが、同一寸法にした。
Figure 2019061859
これらのワークを表2に示す以下の3通りの条件でめっきした。条件1はワークを脱脂し酸洗した後、ストライクめっき工程を経ずに、ワークの表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層を形成した。条件2はワークを脱脂し酸洗した後、ポリカチオン成分を含有しないストライクめっき液(商品名MRT−74S、株式会社ムラタ製)にワークを浸漬して、ワークの表面上に亜鉛を主成分とするストライク層を形成した後、ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層を形成した。条件1及び2は比較例である。
条件3(実施例)はワークを脱脂し酸洗した後、ポリカチオン成分を含有するストライクめっき液(商品名MRT−75S又はMRT−76S、株式会社ムラタ製)にワークを浸漬して、ワークの表面上に亜鉛を主成分とするストライク層を形成した後、ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層を形成した。条件1〜3はストライクめっき液による影響を調べるため、ストライクめっき液以外の要素は一定にした。
Figure 2019061859
(評価方法)
めっき層が形成された接地電極母材をバーナで15分間300±5℃に加熱した後、室温まで空冷した。その後、接地電極母材を直角に屈曲した。このときの接地電極母材の曲げ半径は2mmだった。接地電極母材のうち曲げられた部分を中心に、目視または10倍の拡大鏡を用いてめっき皮膜を観察した。
観察の結果、めっき皮膜の膨れ(浮き)、剥離、脱落がないものをA、めっき皮膜の膨れ、剥離、脱落がΦ1mm未満のものをB、めっき皮膜の膨れ、剥離、脱落がΦ1mm以上のものをCと判定した。結果は表2に記した。
表2に示すように、ストライクめっきを施さなかった条件1では、Cr及びAlの含有率が0.5wt%(合金1)及び1.5wt%(合金2)の接地電極母材の場合に評価Aだったが、Cr及びAlの含有率が3.0wt%(合金3)の接地電極母材の場合に評価B、Cr及びAlの含有率が3.4wt%以上(合金4〜6)の接地電極母材の場合に評価Cであった。また、ストライクめっき液にポリカチオン成分が含まれていない条件2では、Cr及びAlの含有率が0.5〜3.0wt%(合金1〜3)の接地電極母材の場合に評価Aだったが、Cr及びAlの含有率が3.4wt%以上(合金4〜6)の接地電極母材の場合に評価Bであった。
これに対しストライクめっき液にポリカチオン成分が含まれていた条件3では、Cr及びAlの含有率が0.5〜50.0wt%(合金1〜6)の接地電極母材(つまり全範囲)で評価Aだった。以上の実施例によれば、ストライクめっき液がポリカチオン成分を含有することにより、めっき皮膜が接地電極母材から剥離、脱落を抑制できることが明らかになった。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施の形態では、主体金具母材19aに接地電極母材23aが1本接合された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、接地電極母材23aを複数本、主体金具母材19aに接合することは当然可能である。
実施の形態では、金属部品の一例として、スパークプラグ10の接地電極23の場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。接地電極23以外の他の金属部品にこの実施の形態に係る技術を適用することは当然可能である。他の金属部品としては、例えばコネクタやセンサ(例えばノックセンサ)等に用いられる金属製のケースやハウジングが挙げられる。ケースやハウジングは、ケースやハウジングの一部(縁や爪など)を屈曲して、その屈曲した部分を他の部材に密着させて固定できる。ケースやハウジングの表面に形成されためっき皮膜を剥がれ難くできるので、耐食性を確保できる。
10 スパークプラグ
11 絶縁体
14 中心電極
17 先端部
19 主体金具
23 接地電極(金属部品)
23a 接地電極母材(金属母材)
24 一端部
25 他端部
26 ストライク層
27 めっき層
30 ポリカチオン成分

Claims (3)

  1. ニッケル成分を主成分とし、クロム成分とアルミニウム成分とを合計して3.4質量%以上含む金属母材をストライクめっき液に浸漬して、前記金属母材の表面上にストライク層を形成するストライクめっき工程と、
    前記ストライク層が形成された前記金属母材をめっき液に浸漬して、前記ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とするめっき層を形成するめっき工程と、
    前記ストライク層および前記めっき層が形成された前記金属母材の少なくとも一部を屈曲する屈曲工程と、を備える金属部品の製造方法であって、
    前記ストライクめっき工程は、亜鉛成分を主成分としつつポリカチオン成分を含有する前記ストライクめっき液に前記金属母材を浸漬して、前記金属母材の表面上に、亜鉛を主成分とする前記ストライク層を形成する金属部品の製造方法。
  2. 前記ストライクめっき液は酸性である請求項1記載の金属部品の製造方法。
  3. 先端側から後端側へと延びる軸孔を有する絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に配置される中心電極と、
    前記絶縁体の外周を取り囲み、前記絶縁体を保持する主体金具と、
    前記主体金具に一端部が接続され他端部が前記中心電極の先端部に対向する接地電極と、を備えるスパークプラグの製造方法であって、
    前記接地電極は、請求項1又は2に記載の製造方法によって製造された金属部品であるスパークプラグの製造方法。
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