JP7319230B2 - スパークプラグおよびスパークプラグの製造方法 - Google Patents

スパークプラグおよびスパークプラグの製造方法 Download PDF

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本発明は、内燃機関に用いられるスパークプラグおよびその製造方法に関する。
自動車用エンジンなどの内燃機関の着火手段として、スパークプラグが用いられている。スパークプラグは、軸状の中心電極と、その中心電極を内側に保持する円筒状の絶縁体と、その絶縁体を内側に保持する主体金具とを有している。主体金具には、中心電極との間に火花放電ギャップを形成するように、略L字状の接地電極が溶接などによって取り付けられている。主体金具は、一般に、炭素鋼などの鉄系材料で構成され、その表面には防食のためのメッキ処理が施されている。
メッキ処理は、例えば、亜鉛などの金属材料を含有するアルカリ性のメッキ浴中で行われる。この亜鉛メッキ処理は、例えば、特許文献1に開示されているスパークプラグの製造方法のように、主体金具に接地電極を溶接した後に行われることが多い。これは、接地電極の取り付けを主体金具へのメッキ処理後に行うと、亜鉛メッキ層の介在により溶接不良を起こしやすいためである。また、溶接部において亜鉛メッキ層の破損が生じ、耐食性が低下するためである。
主体金具に接地電極を溶接した後に亜鉛メッキ処理を行う場合、主体金具と接地電極とを一括してメッキ処理する方法が簡便である。この場合、接地電極の表面にも亜鉛メッキ層が形成される。
特開2019-61859号公報
しかし、接地電極がニッケルを主成分とする金属で形成されていると、亜鉛メッキ処理を行った際に、接地電極の母材の表面に、酸化被膜(不動態膜)が形成されやすくなる。接地電極の母材の表面に酸化被膜が形成された状態でメッキ層が形成されると、メッキ層の密着性は不十分となり得る。接地電極に対するメッキ層の密着性が弱いと、例えば、その後の接地電極の曲げ加工時にメッキ層の剥離が生じやすくなる。この結果、剥離したメッキ層が中心電極と接地電極とをブリッジする等の不良が生じる。
そこで、本発明では、接地電極の表面に形成される亜鉛メッキ層の密着性を向上させることのできるスパークプラグおよびその製造方法を提供する。
本発明の一局面にかかるスパークプラグは、筒状の主体金具と、前記主体金具に溶接され、ニッケルを主成分とする母材を有する接地電極と、前記接地電極の母材の表面の少なくとも一部に設けられている亜鉛を主成分とするメッキ層と、前記母材と前記メッキ層との間に設けられている中間層とを備えており、前記中間層は、ニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成されている。
中間層がニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成されていることで、亜鉛を主成分とするメッキ層との密着性を向上させることができるとともに、ニッケルを主成分とする母材との密着性を向上させることができる。したがって、上記の構成によれば、母材とメッキ層との間に中間層が設けられていることで、接地電極の表面に形成される亜鉛を主成分とするメッキ層の密着性を向上させることができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグにおいて、前記母材と前記中間層との間には、酸化被膜が設けられていてもよい。
通常、母材と中間層との間に酸化被膜が形成された状態でメッキ処理を行うと、酸化被膜が形成されている箇所のメッキ層の密着性は低下する。しかし、本発明の一局面にかかるスパークプラグでは、母材とメッキ層との間に中間層が設けられているため、酸化被膜が形成された状態でメッキ処理を行っても、得られるメッキ層の密着性の低下を抑制することができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグにおいて、前記中間層は、ニッケルおよび亜鉛の拡散層を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、中間層がニッケルおよび亜鉛の拡散層を含んでいることにより、中間層における母材との界面は母材と一体化されやすくなり、中間層におけるメッキ層との界面はメッキ層と一体化されやすくなる。そのため、母材に対するメッキ層の密着性をより高めることができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグにおいて、前記母材は、マンガン、クロム、アルミニウム、およびチタンより選択される少なくとも一つの金属元素をさらに含み、前記少なくとも一つの金属元素の含有量は、合計で20重量%以下であってもよい。
接地電極の母材がニッケル単体で形成されている構成よりも、ニッケルに加えてマンガン、クロム、アルミニウム、およびチタンなどが含まれている構成の方が、スパークプラグの製造工程中に形成される酸化被膜などの不動態膜が厚くなりやすく、メッキの密着性が低下しやすい。そのため、接地電極の母材が上記のような構成を有するスパークプラグにおいては、母材とメッキ層との間に中間層を有することによって得られる効果をより高めることができる。
本発明のもう一つの局面は、スパークプラグの製造方法に関する。この製造方法は、筒状の主体金具と、ニッケルを主成分とする母材を有する接地電極とを有する金具部材に対して亜鉛メッキ処理を行ってメッキ層を形成するメッキ工程を備える。この製造方法は、前記メッキ工程の後に、前記金具部材を100℃以上300℃以下に加熱し、前記接地電極の母材と前記メッキ層との間に、ニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成された中間層を形成する加熱工程を含む。
上記の製造方法によれば、母材とメッキ層との間に、メッキ層の密着性を向上させることのできる中間層を形成することができる。したがって、接地電極の表面に形成される亜鉛を主成分とするメッキ層の密着性を向上させたスパークプラグを得ることができる。
上記の本発明のもう一つの局面にかかるスパークプラグの製造方法において、前記スパークプラグは、前記主体金具の内周に保持されるとともに先端部が前記接地電極と対向する中心電極をさらに備えており、前記接地電極における前記中心電極との対向位置において前記母材が露出した露出部に、前記中心電極の前記先端部へ向かって突出する貴金属チップを溶接する溶接工程をさらに含んでいてもよい。
上記の製造方法によれば、母材が露出した露出部(すなわち、メッキ層および中間層が設けられていない箇所)に貴金属チップを溶接することで、母材に対して貴金属チップをより強固に接合させることができる。
以上のように、本発明の一局面にかかるスパークプラグによれば、接地電極の表面に形成される亜鉛を主成分とするメッキ層の密着性を向上させることができる。また、本発明のもう一つの局面にかかるスパークプラグの製造方法によれば、母材とメッキ層との間に、メッキ層の密着性を向上させることのできる中間層を形成することができる。
本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの外観を示す側面図である。 本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの金具部材の外観を示す側面図である。 本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの接地電極の表面付近の内部構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの接地電極の表面付近の内部構成の他の例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態にかかるスパークプラグの製造方法の工程を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
本実施形態では、スパークプラグ1を例に挙げて説明する。
(スパークプラグの構成)
先ず、スパークプラグ1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。スパークプラグ1は、絶縁体50および主体金具30を備えている。図1では、紙面下側をスパークプラグ1の一方もしくは先端側、紙面上側をスパークプラグ1の他方もしくは後端側という。
絶縁体50は、スパークプラグ1の長手方向に延びる略円筒形状の部材である。絶縁体50は、絶縁性、耐熱性、および熱伝導性に優れた材料で形成されている。例えば、絶縁体50は、アルミナ系セラミックなどで形成されている。絶縁体50の一方の端部(先端部)51には、中心電極21が設けられている。また、絶縁体の他方の端部(後端部)には、端子金具52が取り付けられている。
中心電極21は、その先端部(電極先端部22)が絶縁体50の先端部51から突出した状態で、絶縁体50の軸孔に保持されている。中心電極21は略円柱形状を有しており、その先端部分は、電極先端部22へ向かってテーパ状に縮径している。電極先端部22は、縮径された中心電極21の先端部分と同径の略円柱形状を有している。
中心電極21は、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料を母材として形成される。Ni基合金に添加される合金元素としては、Al(アルミニウム)等が挙げられる。中心電極21は、その内部に、熱伝導性に優れた金属、例えば、Cu(銅)又はCu合金等の金属材料等からなる芯材を有していてもよい。
中心電極21の先端には、電極先端部22が設けられている。電極先端部22は、例えば、円柱状に成形された貴金属チップにて構成することができ、溶接等により中心電極21の先端に接合される。貴金属チップは、例えば、Pt、Rh、Ir、およびRuから選ばれる1種の貴金属を50wt%以上の含有割合で含む。
主体金具30は、内燃機関のネジ穴に固定される筒状の部材である。本実施形態では、主体金具30は略円筒形状を有しており、絶縁体50を部分的に覆うように設けられている。主体金具30は、導電性を有する金属材料で形成されている。このような金属材料としては、低炭素鋼、または鉄を主成分とする金属材料などが挙げられる。主体金具30は、主に、加締め部31、工具係合部32、湾曲部33、座部34、および胴部36などを有している。
加締め部31は、主体金具30の後端側において絶縁体50側に屈曲する部位である。工具係合部32は、加締め部31の先端側に接続され内燃機関(シリンダヘッド)のネジ穴に主体金具30を取り付けるときに使用されるレンチなどの工具を係合させる部位である。座部34は、工具係合部32より先端側に位置し、主体金具30の径方向外側に張り出している。湾曲部33は、工具係合部32と座部34とを接続する薄肉の部位である。胴部36は、座部34の先端側に位置し、外周にネジ部が形成されている。座部34と胴部36のネジ部との間には、環状のガスケットが配置される。スパークプラグ1が内燃機関に取り付けられる際には、胴部36の外周に形成されたネジ溝(図示せず)が内燃機関のネジ穴に螺合される。このとき、座部34とシリンダヘッドとで環状のガスケットが挟まれることにより、ネジ穴における気密性が確保される。
また、主体金具30には、接地電極11が接合されている。接地電極11は、主として、本体部11aと、凸部12とを有している。本体部11aは、略L字形に屈曲した形状をなす。本体部11aの基端部は、主体金具30の胴部36の先端面に接合されている。本体部11aの先端部は、中心電極21の電極先端部22に対向する。
本体部11aは、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料を母材として形成される。Ni基合金に添加される合金元素としては、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)等が挙げられる。接地電極11は、その内部に、熱伝導性に優れた金属、例えば、Cu(銅)又はCu合金等の金属材料等からなる芯材を有していてもよい。
また、本体部11aの母材13は、Ni以外の成分として、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、およびTi(チタン)より選択される少なくとも一つの元素を含んでいてもよい。この場合、Mn、Cr、Al、およびTiより選択される少なくとも一つの元素の含有量は、合計で20重量%以下とすることができる。また、本体部11aの母材13には、亜鉛(Zn)成分は含まれていない。すなわち、本体部11aの母材13は、Znの含有量が0%である。
接地電極11の母材13がNi単体で形成されている構成よりも、Niに加えてMn、Cr、Al、およびTiなどが含まれている構成の方が、製造工程中に形成される酸化被膜などの不動態膜が厚くなりやすく、メッキの密着性が低下しやすい。そのため、接地電極11の母材13が上記のような組成を有する場合には、中間層15を有することの効果がより高まる。
また、接地電極11の母材13の組成において、Mn、Cr、Al、およびTiより選択される少なくとも一つの元素の含有量が合計で20重量%を超えると、製造工程中に形成される不動態膜の厚さが大きくなり過ぎる。そこで、これらの元素の含有量は合計で20重量%以下とするのが好ましい。
Niに加えてMn、Cr、Al、およびTiなどを含む材料として、具体的には、JIS G 4901に規格されるNCF材を挙げることができる。NCF材には、Cr、Al、Mn、Fe(鉄)などの多くの元素が含まれている。このようなNCF材は、耐酸化消耗性を有している。一方、接地電極11の母材13をNCF材で形成すると、その表面に形成されるメッキ層の密着性が低下する。そこで、本実施形態にかかるスパークプラグ1のように、母材13とメッキ層14との間に中間層15を設けることで、母材の材料としてNCF材を使用した場合のメッキ密着性の低下を抑制することができる。
凸部12は、本体部11aの先端側に配置されている。凸部12は、中心電極21の電極先端部22側に向かって突出するように設けられている。凸部12の先端は、中心電極21の電極先端部22に対向する対向面となっている。凸部12は、中心電極21の電極先端部22と同様に貴金属チップにて構成されている。貴金属チップは、例えば、Pt、Rh、Ir、およびRuから選ばれる1種の貴金属を50wt%以上の含有割合で含む。
凸部12は、例えば、レーザ溶接によって本体部11aに貴金属チップを溶接することによって形成される。なお、貴金属チップを本体部11aに溶接する際には、溶接箇所には、メッキ層14および中間層15は形成されていないことが好ましい。すなわち、貴金属チップは、本体部11aにおいて母材が露出した露出部に溶接されることが好ましい。これにより、本体部11aに対する貴金属チップの接合強度が低下する可能性を減少させることができる。
接地電極11は、溶接などによって主体金具30に接合されている。本実施形態では、接地電極11に主体金具30が溶接された状態のものを金具部材40と呼ぶ。図2には、金具部材40の外観構成を示す。図2では、接地電極11の本体部11aに対して曲げ加工が施される前の金具部材40を示す。本実施形態では、この状態の金具部材40に対してメッキ処理が施される。
メッキ処理後の金具部材40の主体金具30および接地電極11の表面には、メッキ層が形成される。表面にメッキ層が形成されることで、主体金具30および接地電極11の腐食を抑えることができる。メッキ層には、Zn(亜鉛)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)、およびCr(クロム)などが含まれている。より具体的には、メッキ層には、Znが主成分として含まれている。後述するように、金具部材40へのメッキ処理は、アルカリ性のメッキ浴を用いて行われる。
また、本実施形態にかかるスパークプラグ1の接地電極11においては、本体部11aの母材13と、メッキ層14との間に、中間層15が形成されている。
図3には、接地電極11の本体部11aの表面付近の断面構成の一例を示す。接地電極11の本体部11aの表面の少なくとも一部には、メッキ層14が形成されている。メッキ層14は、Znが主成分として含まれている。
また、メッキ層14の最表面には、Ni成分は含まれていない。すなわち、メッキ層14の最表面は、Niの含有量が0%である。また、メッキ層14の最表面は、Zn単体の金属層で形成されていてもよい。
表面のメッキ層14と、内部の母材13との間には、中間層15が形成されている。中間層15は、NiおよびZnを含む合金で形成されている。中間層15に含まれるNi成分は、母材13に含まれるNi成分に由来する。また、中間層15に含まれるZn成分は、メッキ層14に含まれるZn成分に由来する。
中間層15がNiおよびZnを含む合金で形成されていることで、中間層15の熱膨張係数を、母材13の熱膨張係数とメッキ層14の熱膨張係数の間の数値とすることができる。スパークプラグ1をエンジンで使用する際、エンジンの燃焼熱によって接地電極11は高温に晒される。このとき、中間層15の熱膨張係数が、母材13およびメッキ層14の熱膨張係数と大きく異なっていると、熱膨張差による応力により中間層と母材との間、または中間層とメッキ層との間で物理的な剥離が起こる可能性がある。中間層15の熱膨張係数が、母材13の熱膨張係数とメッキ層14の熱膨張係数の間となっていることで、このような剥離を抑えることができる。
したがって、中間層15が設けられていることで、接地電極11の表面に形成されるメッキ層14の密着性を高めることができる。
中間層15は、例えば、NiおよびZnの拡散層で形成されていてもよい。NiおよびZnの拡散層とは、中間層15の下層に設けられている母材13に含まれるNiと、中間層15の上層に設けられているメッキ層14に含まれるZnとが拡散して形成された層である。このような拡散層で形成された中間層15では、その下方部分(母材13に近い部分)では、Niの含有量がより多くなっており、その上方部分(メッキ層14に近い部分)では、Znの含有量がより多くなっている。
中間層15が拡散層で形成されていることにより、中間層15の下方部分(母材13に近い部分)は母材13と一体化されやすくなり、中間層15の上方部分(メッキ層14に近い部分)はメッキ層14と一体化されやすくなる。そのため、母材13に対するメッキ層14の密着性をより高めることができる。なお、中間層15の少なくとも一部が拡散層で形成されていることで、このような効果を得ることができる。また、中間層15の全体が拡散層で形成されていることで、母材13に対するメッキ層14の密着性をさらに高めることができる。
中間層15が拡散層で形成されていることは、例えば、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)、および波長分散型X線分析装置(WDS)などを用いて観察することができる。
図4には、接地電極11の本体部11aの表面付近の断面構成の他の例を示す。接地電極11の本体部11aの表面の少なくとも一部には、メッキ層14が形成されている。表面のメッキ層14と、内部の母材13との間には、中間層15が形成されている。中間層15は、NiおよびZnを含む合金で形成されている。
また、図4に示す例では、母材13と中間層15との間には、酸化被膜16が設けられている。酸化被膜16は、母材13の表面の全体に形成されていてもよいし、母材13の表面の少なくとも一部に形成されていてもよい。
通常、母材13の表面に酸化被膜16が形成された状態でメッキ処理を行うと、酸化被膜が形成されている箇所のメッキ層の密着性は低下する。しかし、本実施形態にかかるスパークプラグ1では、母材13とメッキ層14との間に中間層15が設けられているため、酸化被膜16が形成された状態でメッキ処理を行っても、得られるメッキ層の密着性の低下を抑制することができる。
(スパークプラグの製造方法)
続いて、スパークプラグ1の製造方法について説明する。図5には、スパークプラグ1の製造方法に含まれる工程を順に示す。
先ず、主体金具30に接地電極11が接合された金具部材40が準備される。この工程を、準備工程(ステップS11)と呼ぶ。準備工程における金具部材40には、メッキ層は形成されていない。また、本実施形態の準備工程では、図2に示すように、接地電極11の本体部11aは、L字状に屈曲されていない。この工程で準備される金具部材40は、従来公知の製造工程を経て製造される。準備された金具部材40の表面には、防錆油などの有機物が付着している。
次に、準備された金具部材40に対し、脱脂処理が行われる。この工程を、脱脂工程(ステップS12)と呼ぶ。脱脂工程は、通電されていない脱脂浴中に金具部材40を浸漬させること(すなわち、浸漬脱脂)によって行われる。この脱脂工程によって、金具部材40の表面に付着する防錆油などの有機物が除去される。
脱脂浴には、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性薬剤の水溶液が含まれている。例えば、脱脂工程において使用する脱脂浴としては、従来公知のPR電解脱脂などで使用される脱脂浴と同じものが使用可能である。脱脂工程において、脱脂浴中の溶媒の温度は、例えば、50℃以上60℃以下の範囲内の温度に維持される。脱脂工程の処理時間(脱脂浴への浸漬時間)は、例えば、5分以上15分以下とすることができる。
PR電解脱脂などのように、脱脂浴を通電させた状態で脱脂を行うと、脱脂の効率を向上させることができる。しかし、PR電解脱脂では、金具部材40の極性を陽極と陰極との間で交互に変えながら脱脂が行われるため、金具部材40が陽極になったときに表面(特に、接地電極11の本体部11aの表面)に、酸化被膜16が形成されやすい。この酸化被膜は、後に行われる酸処理工程において除去されるが、完全には除去されない可能性がある。この酸化被膜16が形成された状態で、メッキ層14の形成を行うと、メッキの密着性が低下する可能性がある。
しかし、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、後述するように、メッキ工程の後に加熱工程を行うことによって、母材13とメッキ層14との間に中間層15を形成する。このような中間層15を設けることで、母材13の表面の少なくとも一部に酸化被膜16が残存していた場合であっても、母材13とメッキ層14との密着性の低下が抑制される。
また、金具部材40を陰極に維持した状態で行われる陰極電解脱脂であれば、酸化被膜の形成は抑制される。そのため、脱脂工程において、浸漬脱脂の代わりに陰極電解脱脂を行うことも可能である。但し、陰極電解脱脂では、陰極となる金具部材40において水素ガスが発生し、水素脆化が起こり得る可能性がある。したがって、陰極電解脱脂よりも、通電されていない脱脂浴中に金具部材40を浸漬させる浸漬脱脂がより好ましい。
脱脂工程によって防錆油などの有機物が除去された金具部材40の表面には、上述した酸化被膜16などの不動態膜の層が、例えば、数十~数百μm程度の厚みで形成されている。この不動態膜の層には、金具部材40が形成される際に付着した加工屑と金具部材40に含まれるNi、Cr等の酸化物とが含まれる。
そこで、脱脂工程が行われた後に、金具部材40を酸性溶液中に浸漬させる酸処理が行われる。この工程を、酸処理工程(ステップS13)と呼ぶ。この酸処理工程において、金具部材40の表面に形成されている酸化被膜16などの不動態膜の層が除去される。
酸処理工程において使用される酸性溶液は、例えば、硫酸、塩酸、および硝酸などから選択される少なくとも一つの酸性薬剤を含む水溶液である。酸処理工程に用いられる酸性溶液の温度は、例えば、20℃以上60℃以下の範囲内の温度に維持される。酸処理工程の処理時間(酸性溶液への浸漬時間)は、例えば、1分以上20分以下とすることができる。
なお、上述したように、本実施形態にかかるスパークプラグ1は、母材13とメッキ層14との間に中間層15を設けることで、母材13の表面の少なくとも一部に酸化被膜16が残存していた場合であっても、母材13とメッキ層14との密着性の低下が抑制される。したがって、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、酸処理工程の時間を短縮することができ、これにより、酸処理工程中に起こる主体金具の水素脆化を抑制することができる。
次に、酸処理が行われた金具部材40に対して、洗浄工程(ステップS14)が実施される。洗浄工程では、水、または弱アルカリ性溶液を用いて、金具部材40の洗浄が行われる。このような水または弱アルカリ性溶液を含む液体中に、金具部材40を浸漬させるなどして、金具部材40の表面が洗浄される。洗浄工程に使用される水は、蒸留水、脱イオン水、水道水などである。また、弱アルカリ性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性薬剤の水溶液が挙げられる。
次に、洗浄工程が行われた金具部材40に対し、亜鉛メッキ処理を行ってメッキ層を形成する。この工程を、メッキ工程(ステップS15)と呼ぶ。メッキ工程は、アルカリ性のメッキ浴中で行われる。アルカリ性のメッキ浴としては、例えば、シアン化アルカリ浴、シンジケート浴などが挙げられる。アルカリ性のメッキ浴を用いるメッキ処理は、酸性のメッキ浴を用いるメッキ処理に比べて、メッキ浴の成分が単純なので管理が容易であるという利点を有する。
メッキ処理の方法としては、例えば、従来公知の電解メッキ処理が用いられる。電解メッキ処理には、従来公知のバレルメッキ装置などが使用される。本実施形態のメッキ処理では、例えば、3~10μm程度のメッキ層が形成される。メッキ処理条件としては、アルカリ浴中でのメッキ処理において一般的に利用される処理条件を利用可能である。
メッキ工程において、亜鉛メッキ処理を行うことで、金具部材40の表面に亜鉛を主成分とするメッキ層を形成することができる。
亜鉛を主成分とするメッキ層は、前処理によってメッキの密着性を高めることのできるニッケルを主成分とするメッキ層と比較して、メッキ密着性を確保することが難しい。そこで、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、メッキ工程の後に、加熱工程(ステップS16)を行う。
加熱工程では、金具部材40を100℃以上300℃以下の温度に加熱する。この加熱工程では、例えば、恒温槽でのバッチ式加熱処理、あるいは、コンベア式加熱炉による連続加熱処理などの方法で、金具部材40を所望とする温度に加熱することができる。加熱温度を100℃以上とすることで、接地電極11の母材13とメッキ層14との間に中間層15を形成することができる。また、加熱温度を300℃以下とすることで、亜鉛を主成分とするメッキ層14が酸化したり蒸発したりすることを回避することができる。これにより、メッキ層14の最表面を、Zn単体の金属層の状態で維持することができる。
加熱工程において、金具部材40を上記の温度に加熱する時間については、特に限定はされないが、例えば、30分以上120分以下とすることができる。
このような加熱工程を行うことによって、母材13とメッキ層14との間に、ニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成された中間層15を形成することができる。
加熱工程で形成される中間層15は、NiおよびZnの拡散層であってもよい。中間層15が拡散層で形成されていることにより、中間層15の下方部分(母材13に近い部分)は母材13と一体化されやすくなり、中間層15の上方部分(メッキ層14に近い部分)はメッキ層14と一体化されやすくなる。そのため、母材13に対するメッキ層14の密着性をより高めることができる。
以上のようにして、主体金具30および接地電極11の表面にメッキ層(具体的には、亜鉛メッキ層)が形成された金具部材40が得られる。
その後、溶接工程(ステップS17)によって、接地電極11の本体部11aに貴金属チップが溶接される。溶接工程では、中心電極21と対向する位置に存在する母材13が露出した露出部に、中心電極21の電極先端部22へ向かって突出する貴金属チップを溶接することによって、凸部12を形成する。これにより、凸部12をより強固に本体部11aに接合させることができ、凸部12が剥がれにくいスパークプラグ1を得ることができる。
本体部11aにおける母材13が露出した露出部は、メッキ工程の終了後に、硝酸などの薬剤を用いてメッキ層14および中間層15を剥離することによって形成することができる。また、別の方法では、メッキ工程を行う前に、本体部11aの所定の箇所にマスキング処理を行って、当該所定の箇所にメッキ層14および中間層15が形成されないようにすることで、露出部を形成することができる。
図5では溶接工程以降の工程については図示していないが、溶接工程が行われた後、金具部材40には、中心電極21および端子金具52が固定された絶縁体50が挿入される。そして、加締め部31が径方向内側に加締められる。
その後、接地電極11には、曲げ加工が施される。これにより、図1に示すように、接地電極11は、その先端部が中心電極21の電極先端部22と対向するように折り曲げられる。このような工程を経て、図1に示すスパークプラグ1が製造される。
本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法によれば、母材13とメッキ層14との間に、メッキの密着性高めることのできる中間層15を形成することができる。
本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、加熱工程によって中間層15を形成することで、母材13の表面に酸化被膜16が形成された状態であっても、メッキ層14の剥がれにくいスパークプラグ1を得ることができる。そのため、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、メッキ処理を行う前に酸化被膜を除去する必要性を低減させることができる。したがって、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法では、酸処理工程(S13)の時間を短縮でき、酸処理工程(S13)中に起こる水素脆化を抑制することができる。
(実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかるスパークプラグ1は、金具部材40を備えている。金具部材40は、筒状の主体金具30と、接地電極11とを備えている。接地電極11は、主体金具30に溶接され、Niを主成分とする母材13を有する。接地電極11の母材13の表面の少なくとも一部には、亜鉛を主成分とするメッキ層14が設けられている。母材13とメッキ層14との間には、中間層15が設けられている。中間層15は、ニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成されている。
中間層15がニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成されていると、亜鉛を主成分とするメッキ層14との密着性を向上させることができるとともに、ニッケルを主成分とする母材13との密着性を向上させることができる。すなわち、中間層15を間に配置することで、母材13に対するメッキ層14の密着性を向上させることができる。
また、本実施形態にかかるスパークプラグ1の製造方法は、メッキ工程の後に、金具部材40を100℃以上300℃以下に加熱し、接地電極11の母材13とメッキ層14との間に、ニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成された中間層15を形成する加熱工程を含んでいる。この製造方法によれば、母材とメッキ層との間に、メッキ層の密着性を向上させることのできる中間層を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
1 :スパークプラグ
11 :接地電極
11a :(接地電極の)本体部
12 :凸部(貴金属チップ)
13 :(接地電極の)母材
14 :メッキ層
15 :中間層
16 :酸化被膜
21 :中心電極
30 :主体金具
40 :金具部材

Claims (3)

  1. 筒状の主体金具と、
    前記主体金具に溶接され、ニッケルを主成分とする母材を有する接地電極と、
    前記接地電極の母材の表面の少なくとも一部に設けられている亜鉛を主成分とするメッキ層と、
    前記母材と前記メッキ層との間に設けられている中間層と
    を備え、
    前記中間層は、ニッケルおよび亜鉛を含む合金で形成されており、
    前記母材と前記中間層との間には、酸化被膜が設けられている、スパークプラグ。
  2. 前記中間層は、ニッケルおよび亜鉛の拡散層を含む、請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記母材は、マンガン、クロム、アルミニウム、およびチタンより選択される少なくとも一つの金属元素をさらに含み、
    前記少なくとも一つの金属元素の含有量は、合計で20重量%以下である、
    請求項1または2に記載のスパークプラグ。
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